モモンガ通信2023年(第4期) ヴェノーヴァとかフルートとかオートバイとか・・・のどかさんの日常ヨタ話


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#69
2023年10月2日(月)
「フェンダー・ジャズマスター地獄」


さあ10月です。今年もいよいよラスト3か月という所まで来てしまいました。この先は冬至までひたすら日が短くなるばかりですから、外出して遊ぶのは午前中が勝負という感じでしょうか。若い頃は「暗くなってからが大人の時間」という感じでフィーバーしてましたが、加齢とともに夜目が利かなくなってきて「できれば日没前に家に帰りたい」と弱気になっているのであります。もう夜遊びをするガッツは無いのです。早く帰ってお風呂に入って寝たい。



秋の風景

秋の散歩は午前中が勝負よ




さて、今回のモモ通は10月の第一弾ということで久しぶりにギターの話をしようと思います。オートバイや車の話は尽きないのですが「芸術の秋」という言葉もありますから、ちょっと方向性を変えて音楽ネタ(というよりも正確には楽器ネタ)ですよ。

私が最初にギターを手にしたのは中学2年の時であった。兄が中学生になった時に親に買ってもらったモーリスのアコースティックギターを「借りパク」したのであった。兄はギターを買ってもらったとはいえ本人はむしろサーフィンに夢中で、ギターは部屋の片隅に放置されていたのである。

中島みゆきになりたかった私がこっそり借りて触るようになった。ところが、なぜか家に置いてあるギター教本はクラシックギター用であった。教本に乗っているギターの写真と手元にあるギターの見た目があまりにも違うのでいきなり躓(つまず)いた。

兄のアコースティックギターはカントリーシンガーが使うようなズン胴のドレッドノート(本体にくびれがないデカいタイプ)であり、教本のようにクラシックギターの構えをするのは絶望的であったし、そもそも私は「弾き語り」をしたいのに教本の練習曲は「禁じられた遊び」なのですよ。方向性が違う。

意を決して母に「ギター教室に行きたい」って言ったら「いい先生がいるから」と連れて行かれたのがクラシックギターの教室であった。ひとりだけドレッドノートを持参した私はあからさまに浮いており、音色も一人だけ違うので(クラシックギターはナイロン弦だけどドレッドノートは金属弦)悪い意味で目立ちすぎてとても居心地が悪く、高校受験が近づいたのを理由に長続きしないままヤメてしまった。

その後は音楽は「聴く専門」になってしまった。あらためてギターを本格的に始めたのは社会人になってから。実家で深い眠りについていたギターをひっぱり出し、弦を張り直して「ヤマハ大人の音楽教室」の門をたたいたのであります。もちろんアコースティックギター教室です。願いが叶い、ようやく中島みゆきになれたのだった。

というわけで私は「アコースティックギターをやりたいのにクラシックギター楽曲を強制され挫折」→「社会人になってようやくアコースティックギターで念願のフォーク&ロック三昧」→「魂のふるさとスペインに帰るためにフラメンコギターに転向」という流れでギター人生を歩んだのでありました。

ご存知のように「私は練習もロクにしない」「技量は上達しない」という駄目ギタリストのくせに機材だけは欲しがるコレクター気質のため、所有するギターだけは増えていったのであった。演奏する事ではなくギターを買い集める事が趣味になっているという、絶望的に駄目なパターンです。

・アコースティックギター(モーリスのドレッドノート:兄から借りパクしたもの)
・エレクトリック・アコースティックギター(タカミネ:イーグルスのコピーバンドで使用)
・12弦ギター(タカミネ:イーグルスの楽曲等で使用)
・エレクトリック・アコースティック・ミニ12弦ギター(路上ライブ用:小型軽量のため警官が来た時にも抱えたまま速く逃げられる)
・フラメンコギター(フラメンコに転向したときにサグラダ・ファミリアのてっぺんから飛び降りる覚悟でスペイン製を購入)
・サイレントギター(ヤマハのクラシックギタータイプ:自宅練習用)

ほかにもアコースティックギターはたくさん持っていた。気に入ったのがあると欲しくなるんだ。さらにマズい事でありますが、コレクター気質の人間がアコースティックギターだけで満足するはずがない。当然、弾けもしない(弾き方がわからない=ピロピロできない)エレキギターにも手をそめて無数に買った。というか、買っては売り、買っては売りを繰り返した。

エレキギターはカラフルだし形状もさまざまで、大きな楽器屋にでも行けば売場は実に華やかであります。ずらっと並んだエレキギターを見ているだけで目の保養になるレベル。あの光景は心の健康を保つのにとても良いのです。それこそ「一目惚れ」の一本が目にとびこんできたらそれだけで目がハートになり金額を見て苦しみ悶えたりするのよ。結果、所有する本数が増える増える。

加えてエレキベース。ドラムス&パーカッションとともにリズム・セクションを担う重要な楽器であります。低音の好きな私としてはベースの音というのはゾクゾクするほどたまらない!のであって、これも(弾けもしないのに)増える増える。

で、エレキギター購入遍歴を語ると話が長い上に内容は事実上「無意味」ですので今日は芯だけ話しましょう。

私が過去に所有して、ものすごく気に入っていて、のちにカネに困って売り払ってしまったことを超絶に後悔しているエレキギターがあります。スクワイヤーというブランドのジャグマスター(JAGMASTER)というタイプです。



JAGMASTER

スクワイヤーのジャグマスター




はっきり言って安物ギターです。スクワイヤーというのはフェンダーというトップブランドの「廉価版」ラインナップで、本腰を入れて音楽活動をする人はまず使わないようなシロモノです。スクワイヤー=仕上げが雑で音もクソな粗悪安物ギターというのが一般ギタリストの認識です。実際、私はこのジャグマスターが本当に大好きでしたが仲間うちではおもいっきりバカにされていました。安物ブランドのスクワイヤーを使っている時点でバカにされ、当時キワモノ扱いされてたジャグマスターというのが加わって更にクソミソにけなされたのだった。

別にいいのである。私に言わせればエレキギターなんてどれを使ってもエフェクターの音が出るから一緒よ(←出たよ暴論)。楽器本体の値段とか使われているパーツのグレードとか正直どうでもいい。本人が気に入っていれば他人に何を言われようと「かまわない」のであります。

ジャグマスターの特徴は、本家フェンダーのラインナップで燦然と輝くジャズマスターというギターのボディ形状をコピーしつつ、ネック部分を短くしてパーツ構成も専用に簡略化した空前絶後のヘソ曲がり仕様で固めているという所でしょうか。スペック的に誰も欲しがらないという、要するにキワモノ系ヒネクレ製品ですよ。



JAZZMASTER

本家フェンダー・ジャズマスター




やっぱりジャズマスターはかっこいいな。でも、私のジャグマスターのほうがむしろかわいい。いや、断然かわいい。

案の定、ジャグマスターはまったく売れずに瞬間芸のようにカタログ落ちしたのです。そもそも店員さんも売る気ゼロで私が買う時もジャズマスターを買ったほうが断然良いです考え直した方がいいですと強く引き止められ、のちにカネに困って売却する際も「あージャグマスターですか」と鼻で笑われて二束三文で買い取られたのです。

ところがそれから年月が経って私が買い戻そうと探したら無い。もともとタマ数が少なかったうえに、なにやら有名なミュージシャンが使ってるとかでプレミアがついて今では強気の値段で売買されているというのである。

これだから他人の評価はアテにならないんだよ。何?お前らのその「手のひら返し」は。販売していた当時はさんざんバカにしていたくせに、どこぞの有名人が愛用していると知った途端に「再評価」みたいな。ふざけるのもいい加減にしろくま。あんた達、本当はギターの良し悪しなんて自分じゃ分からないんじゃないの?聞きかじりの知識でジャグマスターをバカにしてただけじゃないの?ダセぇよ、そういうの。

何はともあれジャグマスターを買い戻すのは事実上不可能な状態になりました。そこで私が選んだのがこちら。スクワイヤーのミニ・ジャズマスターHHというモデルであります。スクワイヤー(フェンダー系)とエピフォン(ギブソン系)はビンボ人御用達2大ブランドです。間違いない。



Mini JAZZMASTER HH

現在のメインギターはこれよ




購入した時のネタは過去のモモ通で書いてます。


モモンガ通信 2021年5月17日(月)
「スクワイヤー ミニ・ジャズマスターHH」
https://ezomomo.com/momo_j/2021/momo_j2021_2.html#47


これがとても可愛くて、見た目がとにかく陽気で突き抜けるポップ感にあふれております。ボディ形状はジャグマスターっぽくて最高に好みなうえにサーフグリーンのボディと白いピックガード、そしてメイプル指板の組み合わせが爽やかで気分をどこまでも明るくしてくれる感じです。サーフ・ロックが似合いそうです。クイーンズランド州ゴールドコースト、サーファーズ・パラダイスの野外ステージでライブできそうな雰囲気です。どこをとっても最高!であります。

おかげでジャグマスターへの未練はほぼ断ち切る事に成功(ほぼ、というのがポイントで完全に吹っ切れた訳ではない)。このミニ・ジャズマスターを買って私は大いに満たされているのですよ。全国のギタリストからはバカにされるスクワイヤーの安物ですが、私はエレキギターに関してはもはや他人の評価など微塵もアテにはしていないのでノー・ダメージです。繰り返すけどエレキギターなんて何を使おうがエフェクターの音しか出ませんし、ステージでは演奏が全てなのでギターの良し悪し(※端的に言えば値段)など取るに足らない要素にすぎないのです。このギターだって誰か有名人が使えばお前らの評価は手のひら返しでしょ、どうせ。

まあエレキギターを持っているとはいえ私はほとんどエフェクターを「アコースティック・シミュレータ」にしてアコースティックギターの音を出して弾いているのです。だって私はピロピロ弾く技術がないんだもん。

そしてここからが、今日の本題ですよ。相変わらず前置きが長いっすね。「今はエレキギターに関してはスクワイヤーのミニ・ジャズマスターHHを使っています。サーフグリーンで超お気に入りです。」って書けば2行で済む話だった。

管楽器メインに転向した私はここ2年ぐらいフルートに夢中になっていたので知らなかったのですが、数年前からフェンダーがおそるべきギターを販売していました。人呼んで「アコスタソニック」と呼ばれる、いわばアコースティックギターとエレキギターの両方の要素を兼ね備えたハイブリッドな特性をもつシリーズであります。定番のテレキャスター、ストラトキャスターに加えてアコスタソニック・ジャズマスターも登場していた。リンク先の公式サイトを見つつ、フェンダー公式の動画もご覧いただきたい。ギターにまったく興味が無い方でも、奏でられる音色のバリエーションの豊富さは驚くであろうレベルです。


フェンダー・アコスタソニックシリーズ(公式)※日本語
https://www.fender.com/ja-JP/acoustasonic-special-page.html


The American Acoustasonic Jazzmaster | American Acoustasonic Series | Fender(公式)※英語





この表現力の幅の広さですよ。単体では普通のアコースティックギターのように使えて、プラグドで使えばエレクトリック・アコースティックギターとして使える(ボディサイズで異なる音色を使い分けることすらできる)。そのうえ、エレキギターと同様にクリーントーンからディストーションサウンド(ひずみ系の音)まで出せてしまう。これ一本あれば「さだまさしからボン・ジョヴィまで」ぜんぶイケてしまうのだ。まさに夢のギターではないか。

アコスタソニックのジャズマスターがあれば全てのギター物欲を一本に集約することができそうであります。



アコスタソニック・ジャズマスター

まさかジャズマスターにこんな変化球があったなんて







ナチュラル

素敵すぎる




これは欲しいであります。超絶に欲しいであります。もう私は管楽器の虜であるからギターなんて手元にある2本だけで充分、と思っていただけに衝撃がデカいのであります。それにつけても税込価格29万7千円ではなあ。楽器屋の無金利ショッピングローン必殺の24回払いの審査を通過できたとしても、月々の支払いは12,000円を超えるわけで私の場合は間違いなく破産コースです。とてもじゃないけど今の生活水準にはつりあわない高級品です。

まあ冷静に考えようではないか。アコスタソニックの魅力=購入の動機をまとめてみましょう。

・見た目は私が大好きなジャズマスターそのもの
・生音は完全にアコースティックギター
・エレクトリック・アコースティックギターとして優秀
・エレキギターとしても使える!特に歪(ひず)みの音がいい
・セレクタースイッチだけで音色が切り換えられて操作が分かりやすい

いいところだけ目をめとめると文句のつけようがありません。「買う理由」ばかりが理論武装の強化をはかる一方です。実際、アコスタソニックはいわゆるキワモノ扱いではなく、すでに多くのギタリストが高く評価しその素晴らしさを認めて愛用者が増殖しているのがYouTube動画を見ていてもわかります。ネットで情報を集めれば集めるほど欲しくなる訳ですよ。

ちなみに、いつも音楽関連用品(楽器本体だけでなくギター弦のような消耗品も含む)を購入している大御所のネット通販サイト、サウンドハウスでは思いのほか値引きされていてますます発狂寸前。24万円を切ってますよ!!



特価

税込236,800円ってマジっすか




30万円のギターが24万円になっているのだから身悶えするのであります。夢のような機能をもった理想のギターがここにある訳ですよ。これは動揺せずにいられない。私がずっと寝不足気味なのは布団に入ってからこのギターのことを考えてハァハァしているからです。「今後の音楽活動に必要なのではないか」みたいな理論武装をどんどん強化するばかりなのです。

しかし、こういう時こそ立ち止まって冷静になる必要がコアリクイ。

ひとくちに「236,800円」といいますが、それは50ccの原付自転車が買えるレベルの、かなりの金額であります。手元にギターが一本も無くて困っている、というのなら話は別ですが、少なくとも手元には「モモンガ兄から借りパクしたアコースティックギター」と「超お気に入りのミニ・ジャズマスター」の2本がすでにあり、自分のやりたい音楽の方向性をしっかり押さえた盤石の布陣ができあがっている状態です。もしもアコスタソニック・ジャズマスターを入手したいというのなら、今手元にある2本と入れ替えるというのが筋でありましょう。それなら「これまで2本のギターでやってきた活動を今後は1本でまかなう」みたいな大義名分が成り立つのです。

しかし「兄のギター」と「サーフグリーンのミニ・ジャズマスター」はどっちも宝物であって絶対に手放す気はない訳で、そこに新たな1本を買い増しするのであれば「無駄遣い感」は否定できない。百歩譲ってギターをメインでやっているならアリかもしれないけど、今は私自身の軸足は管楽器に据えていてギターの出番など無いも同然です。

そうであるなら、たいして使いもしないギターの買い増しに大金をつぎ込むのは愚かな行為であり、むしろ原付バイク購入計画を優先する方が遥かに有益なのはレッサーパンダにもわかるという結論になります。オートバイに乗りたい乗りたい、もう時間が無い!と騒いでいる私はギター購入ごときで無駄遣いしているヒマはないのだ。

かくして私はようやく熱病からさめて「ジャズマスター地獄」から奇跡の生還を遂げたところであります。いやもう、この半年ぐらい本当にキツかったです。おしよせる物欲を払いのけるのは本当に難しい。じっくり時間をかけて冷静さを取り戻して、かろうじて難を逃れたという感じです。

買うならオートバイが先です。絶対の優先事項です。この「鉄の原則」を忘れることなく貧乏生活と戦うのが私の使命。夢叶うその日まで、あきらめる事なく強く生きていこうと気持ちを新たにした私であった。










#70
2023年10月6日(金)
「靴底剥がれの悲劇ふたたび」


今年のゴールデンウィークの遠足で神奈川県の川崎市幸区にある「夢見ヶ崎動物公園」を訪ねたのちにバスで移動し横浜市港北区にあるショッピングモール「トレッサ横浜」を見てまわりました。楽しい一日で終わると思いきや、トレッサ徘徊の途中で靴底が剥がれてしまい遠足は急遽中止。脚の長さが違う状態で必死に家路を急ぎ、ヨレヨレ状態で帰宅したという惨事がありました。

モモンガ通信 2023年5月19日(金)
「ゴールデンウィークの遠足 その2 トレッサ横浜に行く」
https://ezomomo.com/momo_j/2023/momo_j2023_2.html#35

あの時は本当にえらい目に遭いました。履き古しつつあったスニーカーの靴底が剥がれたことにより不自然な歩行を強いられたのです。バスと電車を乗り継いでやっとの思いで家に帰ったのですが当然のように股関節炎が超絶悪化。翌日は痛くて起き上がれない状態でした。

そして、今日のモモ通はタイトルにあるように一度ならず二度までも「靴底剥がれの刑」をくらったのであります。

本当は10月のモモ通はしばらく「音楽ネタ」というか「楽器ネタ」を書くつもりでいたのですが、思いがけず二度目の靴底事件が発生したため本日は予定を変更してお送りしております。

といっても内容的には前回のトレッサ横浜で起きたのとまったく同じであり、買い物で商店街を歩いている途中で足に何とも言えない異変を感じ、気づいたらスニーカーが壊れていたという事であります。

正直「またかよ!」と思いました。

幸いなことに今回の靴底剥がれ事件はウチの近所の商店街をめぐっている最中のことで、買い物を途中でよしてサッサと家に帰ってきました。



靴こわれる

また見事に壊れましたな







危険な状態

自宅はすぐそこだ!ふんばれ!




こちらの靴は、かつて1980年代エアロビクスが流行した時代に世界を席巻した名門ブランド、リーボックのアウトドア路線のスニーカーでございます。靴底のパターンが悪路向きになっており、さりとて本格的なトレッキングシューズのような硬さはないのでヒジョーに歩きやすく気に入っていたのだ。でももう10年ぐらい履いてる気がする。靴底も相当すりへっていて、実はもう破けている部分もあったので「この秋冬で引退だなあ」と思っていたのであります。



破れてる

すでに破れてたのよ




帰宅してそのまま次回のゴミ出しで処分できるように準備をしてサヨウナラ。これまでいろいろ遊びに行く時に履いていたお気に入りシューズだったので感謝しかない。ありがとね。

こうなるとにわかに浮上するのが「次の靴どうするよ問題」であります。ひきこもりがちな生活を送る人の場合、油断すると「靴を捨てたら外に履いて行く靴がなくなってしまった」「仕方ないので近所のホームセンターまでトイレのスリッパで出かけた」という事態が起こる可能性もあったりしますから甘く見てはいけません。

しかし安心めされよ。こんな事もあろうかと、私はすでに靴を一足確保してあるのだ。ウシシシ。



作業靴

謎の迷彩柄作業靴




定期的に通っている内科に行く途中にすごく昔からやっている作業服屋さんがあり、朝イチで現場に向かう職人さんが出勤ついでに立ち寄って必要なものを買ったりする光景が見られるのですよ。朝早くからお店を開けてちゃんとニーズにこたえているというイカしたお店であります。

このお店では在庫処分品みたいなものを特別価格にして店先に並べており、お仕事で使うシャツからズボンから靴、その他いろいろ、サイズさえ合えば超オトク!みたいな感じで覗くと楽しいのだ。

で、ずいぶん前にこの珍妙なカモフラージュ柄の作業靴が一足だけ置かれていたのであった。雑な値札に「998円」書かれています。見た目こそ「いやソレ普通のセンスじゃあり得ないわ」という感じですが、ちゃんと先芯が入ったまともな作業靴であり、サイズを見たら私のデカ足でもイケそうな感じであります。試しに履いてみたら丁度いいではないか。

紐ではなく2か所をベルクロで留めるタイプなのでオートバイの運転もできそうだし、医者の帰りということで財布には千円札が一枚あったから「これは買っとけ!という事だな」「秋冬はこれで乗り切れるな」と思って手に取ってお会計に向かったのであります。

おばちゃんが「サイズ大丈夫?ちゃんと履いてみた?」と訊いてきたので「エーイ」と回答し、私はおもむろに財布から千円札を取り出したのです。するとおばちゃんは「袋いる?」というので「オネガイシシーマス」と答えたら「袋5円だから1,003円ね」などという。マジか!!3円あったかなぁ(冷汗)。

「1円を笑うものは1円に泣く」という言葉がありますがこういう時に力及ばず敗北を喫し涙目でグランドの土を手に取るのが「貧乏人あるある」です。しかしここで神風が吹いて私の財布には1円玉が3枚あったという奇跡が起こり私はピッタリ1,003円を払ってルンルン気分で帰宅したのであった。

で、保管していたこの靴をおろして秋冬の支度は完了であります。ファッションセンス的にどうなのか?という問題を無視すればオートバイの運転もOK牧場です。教訓。ビンボ人は自宅の備蓄品で「お米」と「靴」は決して切らしちゃいけない。トイレのスリッパで靴を買いに行くハメにならなくて本当によかった。



靴問題解決

履く靴があるって有難いなァ




かくして今年2度目の「靴底剥がれ事件」を乗り切った訳でありますが、今後は車やオートバイの運行前点検のように「外出する際はまず靴の状態をチェックしてから履く」という習慣にしようと思います。いささかセコい話ではありますが、オートバイのタイヤは安全マージンをとって比較的早めに交換する私ですが自分が履く靴についてはギリギリ限界まで履き倒すというスタイルは今後も変わらないと思います。であるなら、出先での突発的なトラブル(靴底剥がれ)は避けて通れません。よって、運行前点検マジ大事。

という訳でこの秋冬はあやしい作業靴を履いてウロチョロしていますので、あまり足元をジロジロ見るのはやめて下さいお願いします。










#71
2023年10月30日(月)
「まさかの職務質問に備える話」


このところ「モモンガ通信」の更新をしていません。言い訳はしません。サボってました。

10月に入ったので「芸術の秋」というコンセプトにもとづき、しばらくは音楽ネタ(というか楽器ネタ)をいろいろ語って過ごそうと思っていたのです。しかしネタを綴るよりも早く私があれこれ手を広げてしまったので現実の展開が「収拾がつかない状態」に陥っており、やってる事が何もかも現在進行形で結論が出てないのです。ゆえに、どこからどこまで話をしたら良いのか分からない。どこから話せばよかんべえ、と頭を抱えていたら原稿執筆の手が止まってしまった。

また、音楽活動と並行して別の趣味にも手を出しはじめたこともあって、毎日が割とカオス状態です。私自身は今後の方針として


「人生に悔いを残さぬようやりたい事は全部やり尽くしておこう」

「老後、身体が衰えて自由に外出ができなくなってもノンビリ続けられる趣味を(音楽活動にプラスして)今のうちに増やしておこう」


という2つを掲げていますので、多方面に手を広げながら毎日を送っているのです。考えてみて下され。ちょっと変なたとえかもしれませんが、仮に私が将来ヨボヨボの寝たきり婆さんになって、それこそ「いまわのきわ」になって


「実は、一度でいいからバニーガールの格好をしてみたかった」


などとカミングアウトしたら周りの人が困るのである。手遅れなのである。そういう願望はもっと若いうちに済ませておけ!!としか言いようがないではないか。でも実際問題として

「もっと〜しておけばよかった」

と人生を悔いる人はけっこう多いらしいよ。だから「社会に迷惑をかけない」という大原則はあるものの、とっとと自己を解き放った方がヨイのである。やりたいと願う事はさっさと経験するのが吉である。そう思えば人生で躊躇しているヒマなどないのです。いつか(やれたら)やってみたい、などと先延ばしにしてはいけないのです。いつ果てるとも知れないこの人生、一刻たりとも無駄にはできないのであります。

私自身、先日友人とランチを楽しみながらちょっと話題にしたのですが「かつての若者がモッズと呼ばれるライフスタイルを創造してスクーターという乗り物を生活の一部に取り入れて楽しんだ」ことに大変な憧れと称賛の感情を抱いておりまして、自分も今後の人生を賭して「品川区五反田発祥の、自動二輪とともにある新しい生活のカタチというか文化のようなものを創造し、世に残したい」という願望があるわけですよ。

いま自動二輪の愛好者は比較的年齢層が高く、新規ユーザーが増えていない状況にあります。端的にいえば若者がバイクに乗らなくなった。日本には世界でトップに君臨するオートバイメーカーが4社もあるのに、その未来は暗いのだ。だから老若男女とわず誰もがもっと生活を楽しむ、そんな自動二輪文化を広めていきたいのだ。



スクーター

スクーターを復権させたい




ですので、とりあえず「芸術の秋で音楽ネタ」という作戦はいったん中止したいと思います。いつもどおりの「全く役に立たないヨタ話」を綴る方向でモモ通を再開したいと思います。

いきなりですが皆様はおさわりまんから職務質問(略称:職質)を受けたことはありますでしょうか。私は夜中にオートバイで走っていてスピード違反で捕まった事はありますし、もっと過去にさかのぼると一人で山に行ったり自転車で旅をしていた頃に割とサラッと野宿をしていたので「家出した人」や「これからイノチを絶とうとしてる人」の疑いをかけられたりした事ならあります。しかしさすがに街中を普通に歩いていて職務質問をされた経験はありません。

交友関係のせまい自分の周りの人に限られた範囲ですが、女の人で職務質問を受けた経験のある人はいませんでした。逆に男の人はけっこういます。というか想像以上に多くてビビったレベルです。車の運転中に検問で呼び止められ、荷室のみならずプライベートな持ち物までチェックされた人なんかも含めると相当な人がおさわりまんに「絡まれて」います。

車に工具箱を積んでいるだけでも話がややこしくなったりするそうです。キャンプ道具のつみっぱなしなんかも落とし穴で、車内からナイフが見つかろうものなら面倒な騒ぎに展開するそうよ。

そういえば、ずいぶん前の話だけどアウトドア用のマルチツールを携行している人が職務質問で持ち物チェックをくらい「なぜナイフを持ち歩いているんだ」と絡まれた話が事件として報道されたことがあった。

マルチツール。たとえば「ビクトリノックス(VICTORINOX)」のナイフが有名ですね。「スイスアーミーナイフ」とか、もっと古くは「十徳ナイフ」なんていう呼び名もあった。私のヤング時代はアウトドア雑誌で盛んに広告を打っていたものです。

通はスイス軍に制式採用されていた本家「ウェンガー(WENGER)」を使っていた。これもスイスのナイフ製造会社で「ビクトリノックス」と並ぶブランドであったけど、今はない。経営が傾いてビクトリノックスに吸収されたような記憶がある。

「ビクトリノックス」の最上位モデル「スイスチャンプ」なんかはズッシリと重くて機能が30以上あった。事実上出番のない「魚のウロコとり」とか「ビミョーな切れ味のノコギリ」とか味わい深い装備がついていたんだよね。なつかしー。

ちなみにヒネクレ者の私は当然のように「レザーマン」派でした。こちらはアメリカ合衆国の比較的新しいブランドで、スイス系の2社があくまでもナイフをメイン機能にしていたのに対して「レザーマン」の主要機能はプライヤー(ペンチを含めた挟み工具)なのが最大の特長です。アウトドアに限らず日常においては「つかむ動作」をする工具の出番が圧倒的に多いので、レザーマンのほうが何かと応用がきき、使い勝手がよいのだ。

と、ヤング時代にアウトドアショップ店員だった私はこの手の話をはじめると止まらないのであります。

こういう類のマルチツールというのは「不測の事態に備えるためにあえて携行する」「出番は来ないかもしれないけど、イザという時に備えて持ち歩く」という事に意味があるのであって、ポリスメーンから職務質問で呼び止められ携行品チェックをされて


「貴様はなんでナイフを持ち歩いているんだ」


と言いがかりをつけられても困るのである。目的など無いのである。万一のピンチに陥った時に活用する「かもしれない」ということでお守りのように持ち歩く道具なのだから、マルチツールに装備されているナイフ機能部分だけをとりあげて銃刀法うんぬんと難癖をつけられ「詳しい話は署で聞くから」とか言われても、そりゃないよって思う。極端な話、だったら販売されてるのがそもそもおかしいジャン!という話になりアウトドアショップで販売できなくなってしまうではないか。

さて。このたび私は「とある小物」をヨドバシで買って来たのであります。



買い物

なんです?これは







サイズ比較

パッケージはこれぐらいのサイズ




ちょっと画像の文字は小さすぎて読めないかもしれませんが、ずばり「携帯はさみ」です。クツワの携帯はさみ極小サイズというものです。隣に写ってるのは単三形乾電池ですので、おおよそのサイズ感がおわかりいただけると思います。さっそく出してみましょう。



はさみ収納時

収納時はこんなにちっちゃいのだ




実は私はふだんキーホルダーに小さい「ビクトリノックス」をつけているのだ。「クラシックSD」と呼ばれるミニマムサイズの定番モデルで、まさに単三型乾電池サイズ。何故これを使っているのかというと「はさみ」機能が便利だからです。ナントカとハサミは使いよう、と言うではないか。買ってすぐ着る服のタグを切ったり、あけにくい袋をサラリと切って開封したり、手では切れない梱包のヒモをぷちっと一撃で始末したり、いつでも手元にはさみがあるのは実に快適なのであります。



ビクトリノックスと携帯はさみ

左が長年愛用してきたビクトリノックス




逆に言うとビクトリノックスなんて持っていても実際に使うのは「はさみ」だけだったりする。爪やすりは使い勝手がイマイチだしナイフなんて出して使用した記憶すら無い。そして、肝心かなめのハサミも小さすぎて使いにくいのは事実であった。



展開した状態

ハサミ単体で充分ではないのか




今回入手したクツワの携帯はさみは文字通り「たんなるハサミ」にすぎない訳ですが、持ち手の部分はじゅうぶんな大きさがあり使いやすさはビクトリノックスの比ではない。刃の長さも充分だし、あとは先端が丸まっているので安全性も高い。日本製をアピールしているのはダテではなく、切れ味もよい。ふだん持ち歩くならこっちのほうが断然オススメであります。

私はキーホルダーにつけるのでこの小っちゃいタイプを選びましたが、筆箱に入れるタイプのハサミなんていうのも文具メーカー各社が出しているし、自分の生活スタイルに合うものをじっくり探したら楽しいだろうと思います。文房具マニアの気持ちもわかるよね。

というわけで私のキーホルダーからVICTORINOXが退役し、かわりに携帯はさみがスタメン入りしました。小さいカラビナにカギ以外もいろいろゴチャゴチャ付いてます。



自分のキーホルダー

全装備一覧




私が部屋のカギと一緒に持ち歩いているのは
・アポロステーション(ガソリンスタンド)のドライブペイ
・超小型のUSBメモリ(32GB)
・ランタン機能付懐中電灯
・携帯はさみ(※今回買ってきたもの)
という感じです。

これなら、いきなり職務質問を受けることになって「携行品チェック」に及ぶことがあっても面倒な話になる可能性は大幅に下がる思うのです。時代の流れの中で、令和の世においてはもうVICTRINOXはイザという時に備えて持ち歩けるアイテムではなくなってしまったんだ。今後も国内で継続して販売するなら、あえてナイフ機能の無いモデルをリリースするしかないと思う。

もう今の子供は「国民皆兵で祖国を防衛するとの固い意志を表明するスイス人の誇り」に憧れたりすることもないんだろうね。スイス軍?ナイフ?興味ないっすねー、みたいな感じであろうか。アウトドア遊びがブームとかいうけどキャンプ場にはコンセントがあってドライヤーが使えるのが当たり前、みたいな遊戯がはびこる世の中だもんなあ。まあ日本の治安も悪くなったしクマやサルやイノシシに襲われる可能性を思えばおいそれと野宿もできないし。

要するに時代が変わったのよね。仕方がない。










#72
2023年11月3日(金)
「ダイソーのマルチツール」


前回のモモ通で携帯はさみの話を書きました。これまでキーホルダーにビクトリノックスをつけて持ち歩いていたのを「職務質問」にあった場合に備えてヤメにして、代わりに携帯はさみを購入したという内容でした。

先日ダイソーに行って偵察していたら工具売場に何やらあやしいマルチツールを発見。プライヤーをメインに装備したニセ物のレザーマンみたいな感じでしょうか。300円とビミョーに高額だったので一瞬ひるんだものの、ネタ的におもしろいかなと思って冷やかしに購入してきました。

店舗によってはアウトドアコーナーに置いてあったりもするらしい。



マルチツール

左のグリーンの物体が今回の獲物




右のピンクの物体がこれまで使っていたビクトリノックス「クラシックSD」であります。ならべてみると大差ないサイズに見えますが、厚さや重さがかなり違います。ダイソーのマルチツールはズッシリとして気軽にキーホルダーに付けるようなものではありません。ちなみに大きさは収納時の長さが7cmぐらいで、重さは約91グラム。このオリーブグリーン・メタリックの色はワテクシの好みであります。

パッケージはとっとと捨ててしまったので手元にないのよ。ふつう、こういう「お買い物のインプレ」を書く時はパッケージ画像を最初に載せるのだよね。仕事が雑だよなあ。そのへんが、いかにも「モモ通」っぽくてよいでしょ。



展開

いきなり開封後の画像を載せてるんだもん、テキトーすぎるインプレ記事だよ




ガバッと広げると情けないペンチのようになります。かみ合わせを見ると絶望するレベルのChina品質となっており、間違ってもコイツで精密な作業を行なってはヤバいというのが見て取れます。良くも悪くも値段なりの100円ショップ工具ですね。



プライヤー部

無いよりはマシという程度




いちおうマルチツールという事で柄の部分にアレコレ収納されております。役に立たないヤスリ、絶対ダメなノコギリ、心配なネジまわし。個人的には「栓抜き」と「缶切り」に淡い期待を寄せていますが、おそらくダメでしょうね。缶切りは小さすぎてすごく苦労しそうだし、一度使ったらもう二度目は引退しそうな頼りなさです。栓抜きはビンのフタをあけるぐらいならイケるかな?いきなりアウトドアに実戦投入するのは怖いので事前に自宅でテストするのが大事っぽい。



ツール全開

出たよ、なんちゃってレザーマン




いちおう各ツールのロック機構はしっかりしているので「缶のフタを切ろうとガシッと力を入れた途端に軸部分から崩壊して刃物がふっとぶ」という最悪の事態はなさそうです。でも、やっぱり試してみないとわからない。あと、どうやら私のスマホのカメラが近接撮影できないらしくて終始ピンボケ画像をのせていますが、そこはご容赦いただきたいと思います。



片方の装備

缶切り、マイナスドライバー2サイズ、やすり







もう片方

ナイフ、プラスドライバー、栓抜き、ノコギリ




ん?すごい違和感があります。これ、どう考えてもナイフのレイアウト(位置と向き)がおかしいぞ。右手で持っても左手で持っても、刃の位置が妙で使いづらい。というか、正常な手の形をしている人にはマトモに使えるナイフではない。いろいろな意味で「配置が逆」な気がする。画像だけ見ても「は?」って思うかもしれないけど、ふだんナイフを使う機会がない人でも握ってみると向きがおかしいと感じると思う。



ナイフが変

ナイフ、その位置にその向きだと使いにくいよ




柄の部分の取付が外側と内側で逆な気がする。明らかに設計がおかしい。出たよテキトーな粗悪コピー製品にありがちな大陸品質。わざとやっているのか?っていうぐらい変だ。

なによりも肝心のプライヤー機能がオートバイの車載工具でついてるショボい製品に負けるレベルでガビーン。まあ、これは「シャレで買ったらオチがシャレだった」という事であきらめろこ。

ニッパ―やペンチといったら「フジ矢」と決まっているのである。ラジオペンチごときに4千円も出せるかよ!という人もいるかもしれないけど工具というのは精度が命なのである。だからといって「海外メーカー製の超高額な工具こそ至高」という極論に走るのもどうかと思う。私は鉄道に居た時に現場で働いている人が使っている工具を見せてもらったり教えてもらったりしたので、昔から定評のある国内メーカー品の信頼性はダテではないと学んだのであった。


フジ矢株式会社(公式)
https://www.fujiya-kk.com/ja/


それにしても、他人には「工具をケチるもんじゃない」などと偉そうなウンチクをたれるクセに、そういう自分は人にかくれて300円工具を買ってきて玉砕してるんだから私もつくづくアホだと思うわ。この300円(税抜)で明日のおかずを買うべきであった。こういう無駄遣いの積み重ねで私は事実上死んでいるんだよなぁ。

ということで、みなさま。ダイソーでつい「マルチツール」を手に取りたくなる事もあろうかと思いますが、正直ヤメておいたほうがいいです。ちょっと触ってみたい気持ちはよくわかりますが、必ず失敗に終わります。私の犠牲を無駄にすることなく、強く正しい道を歩んで下され。










#73
2023年11月7日(火)
「ダイソーのマルチツール その2」


前回はダイソーで買ったマルチツールをネタに取り上げ「正直ヤメておいたほうがいい」と結論を言い放ったにもかかわらず、今日はその話の続きでござる。

ということは早速「缶切り」「栓抜き」を試したのでしょうか?と聞かれそうですがソレはまだなのよ。手元には缶詰もビン飲料も無いのだ。キャンプに行った先で「缶詰はあるけど缶切りがない」という状況に陥ったら発狂ものですが、なかなかどうして「缶切りはあるけど缶詰がない」っていう状況も切ないものがあるなぁ。

さて、前回話題にしたダイソーのマルチツール、このままホイホイと持ち歩いたら職務質問のさいにアウト判定が出ても文句は言えませんので、自己責任の改造でナイフの刃を取り外します。ネジをゆるめて抜き取るだけですから大した作業ではありません。



改造完了

ナイフレス仕様に改造した




あのさー。こういうのって普通はネジをゆるめるところから始まって、ナイフのブレードを取り外して、代わりになるゴムの板に穴あけ加工して挟んで再び組み直すプロセスをひとコマずつ画像に撮って手順がわかるように記事を掲載するモンじゃないの?何この、作業が全部終わってからピンボケ画像だけ載せてるレポート。仕事ぶりが雑過ぎてマジで「ほぼ意味なし記事」じゃないっすか。

まあ、あんまり細かい事を気にしてると人相が悪くなりますからコレぐらいでヨシとしましょうよ(←雑)。

実はいろいろ思案にふけっていたのよ。何はともあれ職務質問を受けた時にそなえてナイフ機能は必ず外すというのは購入時点から考えていたのですが、帰宅して開封して実物をいじってみたら

「使い物になりそうもないノコギリも要らないような気がする」

「爪さえマトモに削れないヤスリもついでに外していいような気がする」

「ねじの精度・強度的な意味で使うのがヒジョーに不安なプラスドライバーも正直イラネ、という気がする」

と、いろいろ感じるところがありまして、いざという時のために持ち歩いても実際の現場では正直使いたくないなァっていう機能を片っ端から外したら


何 も 残 ら な い


ということが判明してしまい、なんともいえない虚無感を2分ほど味わったのちに「とりあえずナイフ機能だけ外してあとはそのままでいいや」ということになったのでありました。

安心して外に持ち出せます。



私の道具3選

ダイソーのツール、色だけはいいよね




なお余談ですが屋外活動で使うモノっていうのはある程度目立つ色のほうが落とした時に探しやすくて絶対おすすめです。黒い小物は歩行中に地面に落としただけで見失う可能性が爆増します。舗装路ならまだしも登山道なんかだと即死です。私は古いカメラの接眼ファインダーに装着するゴムの部品を落下させて絶望に陥った経験があります。マイナーなクラシックカメラの純正部品なんて二度と手に入らないですからね。我々一般人は軍事作戦をやるわけじゃないんだから目立つ装備のほうがイイんです。



展開

正直、ハサミだけあれば充分じゃないですかね




なんだかんだで先日購入した携帯はさみがキーホルダーに付けて持ち歩く道具の「最適解」という気がします。外出中に着ている服がほつれて糸が長く出てしまったのをとりあえずカットするとか、会計をすませたばかりの防寒着をすぐに着たいのでタグを外したいとか、あるいはどうしても包装袋が手で開けられない時に刃物を使いたいとか、そういう状況ならコンパクトなはさみが一丁あればコト足りるのであります。

「ナイフを持っている」

などという理由で変ないいがかりをつけられて署まで連行されるなんて、たまったものではありません。



ナイフの刃

外したナイフの刃




今回はダイソーのマルチツールからナイフの刃だけを取り外した訳ですが、そもそも「ナイフの持ち歩きはダメよ」っていうのは日本だけの事情ではありません。スイスナイフの元祖ウェンガー(WENGER)の経営が行き詰まったのも、世界中でテロ行為が増えて飛行機へのマルチツール持ち込みが禁止となったあたりから売り上げが激減したのが一番の影響ですよ。昔話になるとつい熱くなっちゃう自分が悲しいけど、かつてはスイス土産の定番でしたからね。



ナイフ封印

ナイフの刃はケースに入れて封印、家にしまっておく




登山をはじめアウトドア趣味の人であるならなおさら、マルチツールのナイフ機能だけで全てをまかなうということは有り得ません。料理用の包丁として使うナイフとその他アレコレを切る為のナイフは別にするのが通常です。いずれもある程度の長さ(刃渡り)が必要になるのでマルチツールのナイフごときでは中途半端なのです。あんなのを包丁にするなんて普通はやりませんし、料理以外の用途で使うナイフというのは割と刃の消耗が激しい(すぐボロボロになる)から別途「もっと堅牢で力が入れやすくて研ぎやすい」単体の刃物を用意するのが王道です。私はアックス(斧)を使ってました。ナイフでは薪割りすらできません。今だと手斧なんて持ち歩いたらそれこそ事件になりそうですけど、私が山に入っていた頃はそれが当たり前でしたよ。



プライヤ

まあプライヤ機能メインということでヨシとしましょう




オートバイの車載工具でついてくるコンビネーションプライヤに負けるレベル。これはもう無理して「工具として活用しよう」などと欲張ったことは一切考えず、車に常備するみたいな無謀なこともヤメにして「いざというときに使い捨てにできる金属の何か」っていう認識で工具箱の隅に入れておくぐらいが良いのだと思います。

それにつけても日本のおさわりまんの職務質問のみならず、世界中を見渡しても現代は何かと物騒なムードがただよっていますから、マルチツールの製造メーカーはあえて「ナイフ機能を装備しないモデル」を出したほうが良いでしょうね。というか、そうしないと駄目でしょ!と思ったらとっくにラインナップされていました。私がアウトドア・ギアの浦島太郎状態だっただけで、メーカーは時代の流れにのってちゃんとアップデートしているようです。以下、レザーマンのナイフ無しモデルを紹介しましょう。画像はレザーマン公式サイトのものを引用しております。


レザーマン ナイフレス・リーバー
https://www.leatherman-japan.com/shop/products/detail/294



レザーマン

レザーマンのREBAR(リーバー)はナイフ機能を持たないモデル




ああ、やっぱりレザーマンはいいっすね。このナイフレス・リーバーはその名のとおり直刃と波刃を外して代わりにWAVEモデルと同じハサミ機能を装備しているというのだから道具として文句のつけようがありません。価格は15,950円ですって。さすがのお値段ですが、やっぱダイソー330円とは比べ物になりませんよ。

と思ったらもうひとつ、素敵なのがあった。こっちのほうがツボった。


レザーマン リープ(グリーン)
https://www.leatherman-japan.com/shop/products/detail/243



子供向けモデル

こちらもナイフ無し、LEAP(リープ)は新世代レザーマン




LEAP(リープ)いう名の「安全性重視設計モデル」で、このようなマルチツールに使い慣れていない人や初めて触れる子供をターゲット層にした新世代レザーマンだそうです。私がアウトドアショップでアルバイトしていた頃には当然なかったですからとても新鮮です。かっこいいな。

赤、青、緑の3色展開で本体は強化プラスチック。購入時にはナイフ機能は付いておらず、付属品としてナイフの刃が同梱されていて「必要な人だけが後付けする(一度装着したら外せない)」という設計になっています。そのまま使えばナイフ無しのマルチツールとして活用できるという事ですな。ちょっくら仕様を引用してみましょう。


■本体
ステンレススチール
ガラス繊維樹脂エルゴグリップハンドル

■サイズ
全長8.3cm(プライヤー収納時)

■ナイフ刃渡
5.5cm

■重さ
138g

■機能数 合計:13
・ニードルノーズプライヤー
・レギュラープライヤー
・ワイヤーカッター
・ハードワイヤーカッター
・後装着式420HC直刃ナイフ
・ノコギリ
・ハサミ
・マイナスドライバー (S)
・マイナスドライバー (M)
・プラスドライバー
・ピンセット
・栓抜き
・定規 (15cm/5インチ)
※ナイフパーツは付属品として同封されています。一度装着すると取り外しは出来ませんので注意してください


あえてケチをつけるなら「缶切りが無い」ぐらいで、ほぼ理想的ではないか!これは正直欲しいであります。お値段は9,900円。ダイソーの30倍っすね。まあ残念ながらカラーバリエーションに黄色はない、ということを理由に我慢するしかない。これで黄色があったら私は完全に理性を失うところであった。

ということで話をまとめましょう。ダイソーで見かけたマルチツールを冷やかし半分で購入してゴニョゴニョしていたら最後はレザーマン物欲が強化されてしまった、というのが今日のオチであります。まあ現時点ではレザーマンよりも電動スクーター"e-choinori"が市販化されるか否かが私の人生の最重要項目となっておりますので、これにてマルチツールの話は終了、めでたし、めでたし、という事にしたいと思います。










#74
2023年11月11日(土)
「ホンダ・スーパーカブ110のカラーバリエーション」


モモンガウォッチャーの皆様はすでにご存知かと思いますが、私の好きな色は「黄色」であります。理由などなく、生まれた時から好きだった、としか言いようがありません。幼稚園の時点で「クレヨンは黄色だけが減っていく」という事態に突入しており、生まれつき魂が黄色いという宿命を背負っているとしか思えません。

ということでオートバイも新車購入時にわざわざ黄色に塗ってもらったりしていたのだ。「好きなオートバイがストライクゾーンどまん中の黄色だった」とか「なんとしてでも黄色いオートバイに乗りたい」とかそういう一般的なレベルを超越してしまい、「正直、色さえ黄色ならオートバイのメーカーや形にこだわりはなくて、みんなOKだと思う」みたいな域に達しているのであります。ここまでいくと完全に本末転倒なのであります。車を扱った漫画の登場人物ですら「黄色いRX-7に乗っている」というだけで惚れてしまう(顔とか性格とかまったく関係なし)という状態ですわ。

そんな私も、スーパーカブの黄色を見た時はちょっとひるんだのであります。

ここでいうスーパーカブというのは言わずと知れたホンダのビジネスバイクのアレですよ。新聞配達のアニキをはじめ、お蕎麦屋さんが出前で乗ったり農協勤めのオヤジさんや八百屋のとっつぁんが颯爽と走らせている、あのオートバイの事です。

郵便屋さんは赤いカブ、新聞屋さんは濃紺のカブ、八百屋さんはダークグリーンのカブ、みたいなイメージでしょうか。以前は「働く人の実用車」という印象が非常に強かったのですが、ここ20年ぐらいは「趣味バイク」という感じで地位が向上してきました。自動二輪好きは「カブに始まりカブに終わる」なんていうフレーズを耳にしたり、カブの愛好家を「カブ主(かぶぬし)」と呼ぶという話を聞いたりするようになりました。

なぎら健壱さんの楽曲『葛飾にバッタを見た』(1974年)の歌詞にも「ぼくはいまだホンダのカブのバイクしか乗った事がないのに奴は車にのっている」みたいな内容があったではないか。私の高校時代だって、父親のカブに乗ってきたクラスメイトの男の子はバカにされていたのである。

私が普通自動二輪の免許を取った頃、ホンダはなぜか発狂してそれまで日本国内で製造していたスーパーカブをフルモデルチェンジのタイミングで大陸China製(製造は新大洲本田摩托有限公司)に切り替えたのであった。悪名高いJA10であります。デザインもがらっと変わってしまった。すでに「趣味としてカブを愛好する人たち」が大勢いる時代であったから悪評の嵐であった。

しかしヘソ曲がりな私はこの異形のカブを「デザインとしては従来の『カブ像』とは一線を画していて、むしろ良いのではないか」と感じてショップにわざわざ見に行ったのである。特にボディ&レッグシールドともに黒い「パールプロキオンブラック」のJA10がモーレツに気に入ったのであります。



黒いカブ

カブとしては革新的な見た目ですよ




みんなに叩かれるのを覚悟の上で正直に告白しちゃうけど、私はスーパーカブのアイデンティティともいえるあの白いレッグシールドがどうにも苦手なのよ。あれだけで「農協のアニキ」感がスパークするじゃないですか。ビジネスです!!というイメージを強烈にアピールしてしまう。でもボディとレッグシールドが黒いだけで随分と印象が変わります。色使いが黒とシルバーのツートーンに仕上がっていておしゃれですよ。アマミノクロウサギという感じで可愛い。いや、もっと精悍な印象すらある。

で、ナンなら初バイクはこれを買おうぐらいの気持ちでバイクショップに行ったのです。そして「スーパーカブ110に乗りたいんです」と軽くカムアウトしたら店員さんが「すぐ探します!!」って言うの。いやいや、ここにあるコレですよ、この新型カブですよって言ったら目を丸くしてキョトンとしてるの。よくよく話を聞いたら


新型の出来が悪すぎてお客さんが前モデルのスーパーカブ110を買い求めに殺到中


という事態に陥っているとの話だった。で、私も前モデルを求めに来た人だと勘違いしたらしい。あえて新型カブを欲しがる客なんていいカモでしょうに、店員さんは「正直、品質のバラつきがひどくて初心者には勧められないです」とか言うんだもん。ショックでしたよ。そんなにヒドいんですかね。

まあ私は結局カブを買うことはなくポンコツのTDR80を買ってオートバイ生活をはじめたのですが、あれから歳月は流れても「いつかはカブに乗ってみたい」という思いはあったのです。

で、カブの運転メソッドを試したく思って「武漢肺炎改め新型ころ奈」大流行中の2020年9月にレンタルバイク屋で黄色いクロスカブ110を借りて、初めてカブの変速を体験したのであった。同じところをぐるぐる周回しながら練習したけどマジで難しい。シフトアップはできるけどシフトダウンでギクシャクする。あと、いまギヤが何速に入っているのか全くわからなくなり信号待ちの停車時に必死にペダルを踏んでニュートラルを探す。これが本当に大変でした。股関節が痛い私には拷問に近い。私には向いてない、と思いましたね。



クロスカブ

レンタルで乗ったクロスカブ110




そうこうしているうちにクロスカブ110のラインナップから黄色がなくなったりして、もうカブ系は無理して乗らなくてもいいや!という気持ちが固まりました。ごく普通に左手でクラッチレバーを握るリターン式変速機のMT車のほうが慣れているし、運転で楽をしたいならスクーターでいいよね、と思ったのです。

さてホンダはChina製カブの不評っぷりに懲りたのか、スーパーカブの製造を日本の熊本工場に戻したりデザインも従来路線に回帰させたり、あるいは「C125」という充実装備の高級路線カブを発売したり(←スーパーカブなのに車両本体価格が44万円もする)と、なかなかに攻めているのであります。そんな中、新型のスーパーカブ110には黄色もラインナップされていたのですが、いくら黄色好きな私でもさすがにコレはキツいなと思っていました。



黄色いカブ

人呼んで、パールフラッシュイエロー




これは実物を見た時に本当にショックでありました。正直ダサいと思いました。黄色が大好きな私でもナンともいえない残念な印象を抱いてしまうのであります。黄色ければ全てOK、というはずの私ですら受け入れがたいのであります。何がダメ、と具体的に言えないのがもどかしい。

レンタルで乗ったクロスカブと比べると黄色が絶望的に似合っていない。黄色のボディに茶色いシートと薄らベージュなレッグシールド&サイドカバー、そして銀色のキャストホイールがチグハグに見えてしまう。色彩の揃え方が雑だなと感じられる。上に掲載した黒いChina製カブのような引き締まった統一感、無駄な色を削ぎ落とすことで洗練された「美しさ」みたいなものが無い。黄色いカブに乗ってるみなさま、ディスってるみたいでスミマセン。でも、黄色好きの私にはどうしても我慢ならないんです。

と、そんなことをウダウダ言っている矢先にホンダからカラーバリエーションの変更についてアナウンスがありました。


2023年11月09日ニュースリリース(ホンダ公式)
「スーパーカブ110」と「クロスカブ110」のカラーバリエーションを変更し発売
https://global.honda/jp/news/2023/2231109-supercub110.html


12月14日(木曜日)発売ということで、これが2024年モデルということでしょう。機能的な変更はなく、ボディ色のラインナップを見直すだけみたいです。

「フレアオレンジメタリック」(←新色)
「グリントウェーブブルーメタリック」
「タスマニアグリーンメタリック」
「バージンベージュ」
「クラシカルホワイト」

の5色展開ですって。ということは、はい。


黄 色 消 滅


です。私がケチをつけた「パールフラッシュイエロー」がラインナップから陥落しました。なんだろう、黄色が消えても残念に思えないという不思議な感覚を味わっています。

ちなみに新色はオレンジとのことです。私はオレンジ色が苦手なんだ。以前は好きだったのよ。日本の秋の色っていう感じがするじゃん。でも、ファッションに取り入れるのがけっこう難しい。ずいぶん昔の話になるけど、殿方と初デートで会う日に黒のトップスにオレンジ色のロングスカートで出かけたのよ。そしたら開口一番


「ジャイアンツファンですか?」


って訊かれたの。言われてみれば確かに「巨人軍カラー」じゃないですか。よりによって、大洋ホエールズ時代からの熱烈ベイスターズファンの私にとっては屈辱的ともいえる事件ですよ。私は崩れ落ちそうになった。いちおう「あ、いや、オートバックスです」と返したけど、あの日以来トラウマと化したのは言うまでもない話で、オレンジ色の服が買えなくなり、オレンジ色のものを避けるようになって今日に至っているのであります。オレンジ色を見るとついジャイアンツを連想してしまうんだ。これはもう、絶対に無理ですよ。

ということでスーパーカブ110は今後あらたな5色展開という次第ですが、公式サイトを見ても「この中から好きな色をえらべ」と言われてもけっこうキツいものがあるなー、と思っていたのであります。

新色のオレンジは上記理由により即パスするとして、他はどうでしょうか。青は「農協アニキ」の頃に比べると明るいブルーのメタリックで印象はだいぶ違いますが、あえて選んで乗りたいかと言わると悩ましい感じです。ベージュは元気がない色だしホワイトは警視庁っぽくてどうも好きになれない。できれば避けたい。となると、残ったのはグリーン。それこそ八百屋のとっつぁんになってしまう・・・これだけはキツよなぁと思っていました。

しかし。私はバイク屋で見てしまったのです。お前なんでバイク屋に行ってるんだよ!というツッコミが来そうですがそこはいったん置いておくとして、バイク屋の店頭で朝日をあびて輝くスーパーカブを見てしまったのであります。



緑のカブ110

うわっ!めちゃくちゃ綺麗なグリーンメタリック




あれ?なんか私のイメージする「昔からある緑のカブ」の色じゃないぞ!!私の好きなタイプのメタリックグリーンじゃないですか。隣の黄色いクロスカブが視界に入らなくなるレベルでかっこいい緑のスーパーカブです。なんですこれは超絶にかっこいい。

現行のスーパーカブ110が登場した時にホンダの公式サイトを舐めるように眺めて


「なんでカブがキャストホイールにディスクブレーキなのよ!違う、違う、そうじゃ、そうじゃなーい」


とボヤきつつ「カブも実用車の道を捨てて一部のマニアに媚びるようになって世も末だな」とかなんとか思った私がいたんですけど、間違ってました。これは良いスーパーカブですよ(断言)。オートバイあるあるネタですが、写真で見るとイマイチっぽいのに実車を見ると超絶にかっこいいという謎現象はよく起きるのです。あれは一体なぜなのか?理由は誰にもわからない。



公式画像

公式サイトの画像ではメタリックグリーンの美しさがわからない




ちなみにこのカラーの正式名称は「タスマニアグリーンメタリック」です。タスマニアというのはオーストラリアの右下にぽちょっとあるハート型のかわいい島であります。タスマニアデビルっていう動物が住んでいるあそこですよ。私の好きなバンド"GOANNA"のシェイン・ハワードがタスマニアの自然を歌った"Let the Franklin Flow"という素敵な曲を残していますよ。「Oh!タスマニア!ですからね」フランクリン川の流れに思いを馳せながらしみじみ聴くのだ。最高ぅ。







余談ですが、私がオーストラリアに渡豪して大陸に渡った時(←こういう「危険が危ない」とか「腰の腰痛が痛い」みたいな話法が個人的に大好き)は、まだバリバリの白豪主義が残っていたから私のようなイエローモンキーはおもいっきり差別されてました。くやしいから「あなたも罪人の子孫ですか?」と切り返してた私もどうかと思うけど結局は仲良くなってみんなで毎日楽しくサーフィンしてました。今でもまぶたの奥にはサーファーズ・パラダイスの風景が広がってるわ。オーストラリアまじ最高。

話をスーパーカブに戻しますが、朝日をあびればキラキラと美しく輝くタスマニアグリーンメタリックとはいえ普通にそこらへんで見かけたら「農協勤めのアニキ」状態になっちゃうんだろうなあ。それがスーパーカブの宿命ってもんですよね。

ちなみに、スーパーカブ50(排気量50ccのタイプ)は今もスポークホイールのままだし液晶の距離表示や燃料計なんていう高級装備はついていません。こちらのほうが古き良きスーパーカブの面影がある。



メーターパネル

50ccのメーターは昔ながらのカブな感じ




あと、50ccのスーパーカブは2025年で製造販売が終了することが確定していますから(排ガス規制により、カブに限らず50ccの原付はみんな製造終了になる)、むしろ持っておくならこの最終モデルになるであろうスーパーカブ50のほうが良いような気がするよマニア的に考えて。



スーパーカブ50

こちらは50ccで色は同じくタスマニアグリーンメタリック




スポークホイールに前後とも60mm幅の細いチューブタイヤだし、黒いマフラーがかっこいいし、50ccのほうが(110ccよりも)かっこよく見えるのは私だけであろうか。で、やっぱりあれこれ考えると「農協勤めマン」になるよりも地雷というのを覚悟の上で「黒いChina製スーパーカブ(JA10)」のほうがヘソ曲がりで自分には合っているような気もしたりするのだった。

なんにせよ数年後には確実に50ccのスーパーカブは争奪戦になって中古価格も高騰すると思うわ。割と真面目な話で買うなら今だな、と思った次第であります。










#75
2023年11月15日(水)
「サンディロホンダ(中共)とホンダ(インディア)で悩む?」


前回はタスマニアグリーンメタリックのスーパーカブの話をしたのだった。八百屋のとっつぁん的なイメージを抱いていた緑のカブが、いざ実物を目の前にしてみたら実にかっこよく見えてビビったという「まさかの展開」でありました。

と同時に、やはり、というか案の定「そもそもお前はなんでバイク屋にいるんだ」という疑惑が浮かぶのであります。そのあたりは全国民がきちんと納得できる答弁を求めたいところであります。

ここでちょっと話はさかのぼる。

私は今年のゴールデンウィークに「遠足」と称して横浜市港北区の「トレッサ横浜」に出かけたのであった。ここはトヨタが運営する巨大なショッピングモールでありまして、何がスゴいって正規のショールームとしてトヨタとダイハツの自動車が展示されており、自由に最新型の車を見てまわることが出来るというおそるべきスポットなのであります。

そもそも車の販売店なんて、おいそれと入れる場所ではありません。まずもって私には車を買う財力が無い。いまどきの新車なんて軽自動車ですら100万円スタートです。車両本体価格300万円や400万円なんて序の口で、当たり前のように500万円だの600万円だのといった金額が設定されている時代なのです。三菱ミラージュ特別仕様車「わがままマリオン」エアコン&パワステ付で88万8千円の時代とは訳が違うのだ。

ビンボ人の私が車のディーラーに行っても軽く無視されるか、ヘタをすれば「お前のような奴が来るところじゃない」とばかりに追い払われるのが関の山です。要するに私ごとき下層民がノコノコと行かれる場所ではないのです。

だから新しい車が発売されてニュースになって「実物はさぞカッコ良いのだろうなあ」と思っても、ショールームに行ってこの目で見てみたいなんていう欲望は叶わぬ夢なのです。

しかしトレッサ横浜は私がサラッと行っても普通に車を見せてくれるのである。残りの人生の可処分所得をすべて注ぎ込んでも到底購入不可能な最新型のスープラを普通に展示しているのである。これはもう「目の保養になる」というレベルを超越して、感激の涙で視界がヌラヌラになっちゃうレベルです。

私はヤング時代は日産や三菱を応援していたからトヨタという自動車メーカーは「倒そうと思っても倒せない憎い強敵」という認識で、正直好きではなかった。放っておいても売れるメーカーだから、ヘソ曲がりな自分が応援する必要はないと思った。でも今は違う。こんなふうに自社の車をズラリと並べて私のような底辺の人間にも「どうぞ自由にご覧下さい」と言って見せてくれるのである。なんと太っ腹な、気前の良いメーカーであろうか。これが王者の余裕というものであろうか。お買い物のついでに新車が見られるこんなショールーム、他の自動車メーカーにありますか?

思い起こせばかつては池袋に「アムラックス」っていうトヨタのショールームがあって、あそこも車を自由に見られたのだよね。そういう意味では昔からトヨタは「大勢の人にトヨタファンになってもらうための工夫と努力」を積み重ねていたという事だ。これは素直に評価したいよね。

ひるがえってオートバイ業界に目を向けると「悲惨」としか言いようがない。まあホンダには「ウエルカムプラザ青山」があるっちゃあ、ある。でもトレッサ横浜の「いらっしゃい!どうぞ存分に見てって」っていう、あのニコニコ笑顔の歓迎ムードとはちょっと雰囲気が違う。

ホンダに関して言うと今は街のバイク屋さんでは排気量250ccの軽二輪までしか取り扱っていない。それより大きいオートバイはホンダドリーム店という「ホンダ専売のショップ」に来てね!というスタンスになった。ウチなんかは隣の大田区にドリームがあるからいいけど、日本全国で考えたら近所にドリーム店がない人も大勢いるでしょうに。多くの人が近所のバイク屋さんのお世話になっていたと思う。ところが今は、そういう街のバイク屋さんには限られたサイズの車種しか卸さない、という商売をホンダはやりはじめたのですよ。オートバイファンを増やすために地域密着で長い間コツコツと商売をしてきた街のバイク屋さんに対して、あまりにも酷い仕打ちではないか。

ホンダだけではなくカワサキもヤマハも似たような商売に切り替えている。乗りたいオートバイがあっても近所の馴染みの店では買えない。買わせてもらえないというか、メーカーが取り扱いをさせてくれない(卸してくれない)。「そのバイクはカワサキプラザでしか買えません」「YSP(ヤマハ・スポーツ・プラザ)でしか取り扱いしません」みたいな感じで、妙に閉鎖的・排他的な「囲い込み商法」に舵を切っているのだ。

みんなで二輪業界を盛り上げましょう!みたいな空気は全く無いのであります。

もちろんメーカー側の言い分も理解できる。昔とちがって今の自動二輪は高度に電子化されてしまい、コンピュータ制御に起因するトラブルも増えているから、そのような修理に対処できる大掛かりな設備がどうしても必要になる。そういう巨大で高価な整備機械を小規模のバイク屋さんが備えるのは困難だから、分担しましょうという事だと思う。従来のやり方では現代に通用しない、と言われれば仕方がない。

でも、それじゃあ私みたいな「原付おばさん」レベルのライダーを地域密着で支えてきた街のちいさなバイク屋さんは今後どうやって食べて行けばよいのか?遅かれ早かれ商売が成り立たなくなってしまうではないか。過去、さんざん自社のオートバイ販売に協力してもらったクセに、時代が変わったから今後は限られた店舗で商売するわ、と手のひらを返して個人経営のお店を切り捨てるなんていくらなんでも酷すぎる。

こうなると私なんかはすごく反感を抱いてしまうのである。極論かもしれないけど、そんな商売をやったら街のバイク屋さんは一軒もなくなってしまうぞ!と言いたくなる。となると意地でもホンダドリームには行きたくない!!絶対にドリームでは買いたくない!!と逆に思ってしまう。ただでさえ新規ユーザーが増えていない自動二輪業界の、入り口をせまくしてどうするんだ?ってう話ですよ。未来は真っ暗じゃないですか。

まあ私自身は普通自動二輪免許しかもってないし経済的にも運転技能的にもデカいバイクなど乗れないので完全に「負け惜しみ」になるけれど、個人的には近所のバイク屋さんでちっちゃいオートバイを買って「買い支え」したいと思ってしまう。負けるな、私たちがついてるゾと熱烈応援したくなる。

というような不満というか異論というか、現在の国内オートバイメーカーの商売の方向性に対する反発がぬぐいきれない複雑な心境を私はモヤモヤと抱えているのであります。

で、話はようやくバイク屋に行った話に戻るのであります。ということは、トレッサ横浜のくだりからここまでの話は全て「前置き」という事であります。あいかわらずモモ通は前置きが長いのであった。

何を隠そう、今回は以前から薄々気になっていた「国内正規モデルではないホンダのオートバイ」つまり「並行輸入車」をリサーチに行ったのだ。

ご存知のように日本のメーカーと言えども実際のオートバイ製造は海外工場というのがほとんどであります。昔は「国産」が当たり前でしたが今は特にバイク需要の高い東南アジア諸国に現地法人をつくって、たとえば台湾やインドネシアやフィリピンやベトナムやタイの工場でオリジナル車をバンバンつくっているのが実情です。そしてその中で目ぼしい車種だけピックアップして、日本国内用としてラインナップに掲げているのです。端的にいえば、バイク人気の高い外国でつくられた製品の「おこぼれ」を我々日本人は「乗らせてもらっている」のであります。これはホンダに限らず、どのメーカーも一緒です。

実際、ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキという日本の4大メーカーいずれもインドネシアやタイやベトナムやインドのウェブサイトを見たほうが販売されている車種のラインナップが多彩で楽しいです。日常生活におけるオートバイ需要の高さ、もっと言えば移動手段として社会インフラの役割を担っているオートバイの地位の高さ、価値の大きさが明らかに見て取れます。日本ではオートバイなんて「趣味・道楽の乗り物」ですが、多くの国では利便性の高い実用的な移動手段として生活と深く結びついている実態がよくわかります。個人的には「日本でも乗れたら楽しいだろうな」という車種がいっぱいあります。

今回はそんな中でも大陸China(中共)製のCRF190LおよびIndia製のCB200Xという車種を並行輸入で販売している店を、こっそりと偵察してきたのであります。あ、どちらもホンダのバイクね。



並行輸入車

左の黒いのがCB200Xで赤白青の派手なのがCRF190L




まず私のお目当ては右側、赤白青のトリコロールが派手なオートバイ、CRF190Lであります。左の黒くてフロントフォークが金色の車種と比べてもタイヤが細くて直径が大きいのはなんとなくわかると思います。

これは中共の「新大洲本田(サンディロホンダ)」が2021年に発売したアドベンチャータイプの車種であります。「新大洲本田」の公式サイトのURLを貼ってもいいんだけど個人的に中共とはリンクしたくない(かかわりたくない)ので興味ある人はググって検索してください。

4スト空冷184cc単気筒OHCエンジンを積んでおり「ミニ・アフリカツイン」といった雰囲気の魅力的なオートバイです。



CRF190L

ホンダはホンダでも翼のエンブレムは付いていない




さて多くのホンダファンなら「新大洲本田」と聞いただけでオェッとなるであろう事は想像に難くない。2002年に登場したあの50cc原付のトゥデイ(発売時の新車価格が10万円を切っていて話題になった)を製造していた所であります。もっと言うと、2012年に登場しスーパーカブ愛好家を絶望の淵に叩き落した悪名高いChina製カブ(AA04とJA10)を世に送り出したアソコであります。名誉を傷つけたくないからこれ以上多くは語らないけど、あえて言うなら名前はホンダで確かにホンダといえばホンダなのだけど個人的には「一応ホンダ」というふうに呼びたくなる存在であり、タイホンダやベトナムホンダと同列に扱うのは激しく抵抗があります。私の中ではギリギリ「アウト」判定。世界に冠たるホンダの証である翼のエンブレムが無い(つけられない?)のが何よりのパチモン感全開という、うがった見方をしてしまうレベルです。

でも、それでもこのCRF190Lはかっこいい。私の好みでいえば完全にストライクど真ん中です。やっぱりこれはミニ・アフリカツイン(ツインじゃなくて単気筒だけど)であって、まごうことなきアドベンチャーバイクの風格です。



アドベンチャー

冒険心をくすぐる!こういうのが好きなんだ




公式サイトに掲載されている画像なんかを見ると、そりゃあもう熱い魂がふるえるレベルで旅への想いが高まってゆくのですよ。私の中では、人生というのは終わりのない旅なんですよ。だからこそ、こういう自由の翼が欲しくなる。まあ繰り返しになりますが「新大洲本田」に翼のエンブレムはない。笑。



公式画像1

タラス河畔の戦い(唐とアッバース朝の会戦)に思いをはせつつ西域を旅してる感じでしょうか




私は今モーレツに興奮しながらこれを書いていますが、ひょっとしたら私以外は誰も興味ないネタに突入しているかもしれません。わざわざ公式サイトを見てクレというのも面倒な話ですから、せめて基本スペックぐらいは公式サイトから引用したいと思います。サイズはかなり大きく見えて存在感のある車格とはいえ車両重量は150kgの軽二輪ですから私みたいな非力で運転技能もイマイチなライダーでもナンとかなりそうなアドベンチャーバイクです。


CRF190L
全長:2100mm
全幅:820mm
全高:1387mm
ホイールベース:1387mm
最低地上高:241mm
シート高:830mm
車両重量:150kg
最小回転半径:2.3m
乗車定員:2名
原動機種類:4ストローク
気筒数:1
シリンダ配列:単気筒
冷却方式:空冷
排気量:184.4cc
カム・バルブ駆動方式:OHC(SOHC)
内径(シリンダーボア):61mm
行程(ピストンストローク):63mm
圧縮比:9.5
最高出力:11.55kW(15.7PS)
最高出力回転数:8500rpm
最大トルク:15.75(N・m)
最大トルク回転数:6000rpm
燃料供給方式:フューエルインジェクション
燃料タンク容量:14L
エンジン始動方式:セルフスターター式
点火装置:フルトランジスタ式
点火プラグ標準搭載・型式:CPR8EA-9
バッテリー容量:12V-6.0Ah(10HR)
エンジン潤滑方式:ウェットサンプ式
エンジンオイル容量:全容量1.2L、オイル交換時1.0L
推奨エンジンオイル(SAE粘度):10W-30
クラッチ形式:湿式・多板
変速機形式:リターン式・5段変速
変速比
1速:2.785
2速:1.789
3速:1.368
4速:1.090
5速:0.927
動力伝達方式:チェーン
スプロケット歯数・前16、後50
チェーンサイズ:428
標準チェーンリンク数:132
キャスター角:27°40′
トレール量:95mm
ブレーキ形式:(前)油圧式ディスク、(後)ドラム
ブレーキオイル適合規格:DOT 4
懸架方式(前):テレスコピックフォーク
懸架方式(後):スイングアーム式
タイヤ(前):90/90-19 バイアス 荷重指数52 速度記号P
タイヤ(後):110/90-17  バイアス 荷重指数60 速度記号P
ヘッドライトタイプ(Hi):LED
テールライトタイプ:LED
スピードメーター表示形式:デジタル
メーター表示:ギアポジション有、燃料計有、エンジン回転計有、時計有


あー、興味の無い人にはどうでもいい文字の羅列になってしまいました。スミマセン。でも我々のようなマニアはこういう「諸元」を眺めてるだけで半日過ごせるレベルなのよ。旅好きとしてはかなりそそられるスペック(あくまでも数字上ですが)になってます。



公式画像2

ゆったり乗れそうなサイズ感が良いな




昨今はこういう「アドベンチャー系」というジャンルが脚光を浴びて個人的には嬉しいけど、たいてい無駄にデカい車種なのよね。CRF190Lなら私ごときのヘボライダーでもなんとか扱えそうな車格であるし、サービスエリアの駐車スペースにたむろして排気量のデカいバイクでドヤってる人たちを余裕で見下ろしながら華麗にスルーできそうであります。

でもフロント19インチにリア17インチでこのタイプだとタイヤの選択肢があまりなさそうで不安な気がする。19インチは相当候補が絞られそうであります。こういうのは後で地味にストレスになるんだよねえ。



さて、次はCB200Xを見てみましょう。こちらの製造国はインド、翼のエンブレムもちゃんと付いている正真正銘のホンダ製です。



公式画像1

これがインドのCB200Xだぁ




こちらはアドベンチャーモデルではなく純粋にオンロードモデルと見た方がよいですね。先にとりあげたCRF190Lのような、地の果てまで行けそうな冒険心をくすぐる雰囲気はありませんが車で言う「なんちゃらクロス」的な、クロスオーバー風味をかすかにたたえたモデルで舗装路をメインに旅をするならむしろこちらのほうが快適性は高そうです。

私は一時期インド映画にハマっていたこともあり、また自分自身もインド製オートバイに乗っていたので親近感があります。インド映画ではオートバイの登場シーンは非常に多いです。主人公がスポーティなオートバイを操り華麗なアクションシーンを決めるようなパターンからはじまって、ヒロインがイカしたバイクでキラキラまぶしく登場したり、若者の仲良しトリオがちっちゃなスクーターに3人乗りしてるシーンがあったりとか、とにかく「人々とオートバイの距離感が近い」「生活にオートバイという乗り物が身近にある」という印象がとても強いです。みんなが元気に楽しそうに乗っている姿が当たり前に見られるのが日本社会と決定的に異なっています。日本のドラマではカップルのデートシーンにオートバイなんて登場しないじゃん。インドの皆様のほうが自動二輪とともにある人生をエンジョイしている感がハンパないっすよ。



公式画像2

このアングルで見ると超インド感が炸裂




こちらのCB200Xも公式サイトからスペックを引用したいと思います。「そんなの知って誰が得をするんだよ」って感じですが自分用の個人的メモみたいなところがあるので勘弁してやっておくれ。


CB200X
全長:2035mm
全幅:843mm
全高:1248mm
ホイールベース:1365mm
最低地上高:167mm
シート高:810mm
車両重量:147kg
乗車定員:2名
原動機種類:4ストローク
気筒数:1
シリンダ配列:単気筒
冷却方式:空冷
排気量:184.4cc
内径(シリンダーボア):61mm
行程(ピストンストローク):63.09mm
圧縮比:9.5
最高出力:12.7kW(17.3PS)
最高出力回転数:8500rpm
最大トルク:16.1N・m
最大トルク回転数:6000rpm
燃料供給方式:フューエルインジェクション
燃料供給装置形式:PGM-FI
燃料タンク容量:12L
エンジン始動方式:セルフスターター式
点火プラグ標準搭載・型式:CPR8EA-9
点火プラグ必要本数・合計:1
搭載バッテリー・型式:YTZ6V
バッテリー容量:12V-5Ah
エンジンオイル容量:全容量1.2L、オイル交換時1.0L
推奨エンジンオイル(SAE粘度):10W-30
クラッチ形式:湿式・多板
変速機形式:リターン式・5段変速
動力伝達方式:チェーン
フレーム型式:ダイヤモンド
ブレーキ形式(前):油圧式ディスク
ブレーキ形式(後):油圧式ディスク
ブレーキオイル適合規格:DOT 4
懸架方式(前):テレスコピックフォーク
フロントフォークタイプ:倒立フォーク
懸架方式(後):スイングアーム式
ショックアブソーバ本数(後):1
タイヤ(前):110/70-17 バイアス 荷重指数54 速度記号S チューブレス
タイヤ(後):140/70-17 バイアス 荷重指数66 速度記号S チューブレス
ヘッドライトタイプ(Hi):LED
テールライトタイプ:LED
スピードメーター表示形式:デジタル
メーター表示:ギアポジション有、燃料計有、エンジン回転計有、時計有
車両装備:ハザードランプ有
車両装備:アンチロックブレーキ(ABS)有


あくまでもスペック上で見る限りの話ですが、なかなか良いバランスではないか。排気量は184.4ccで車両重量は147kg。サイズ的には国内正規販売されているCB250Rとほぼ同じか、ちょっとだけ大きい感じです。そして、インド車ならではの目立った特徴もあります。



前のナンバープレート台座

インドではバイクの前にもナンバープレートを装着するので台座がある




これは超ダサいと一蹴する人が多いかもしれないけど、ここにドライブレコーダーのカメラを装着するなど工夫次第で便利に使える台座だったりする。オリジナルのヘッドライトガードを付けたりと改造ネタは無限大よ。

あともうひとつ、後席に女の子を乗せるときに役に立つサリーガード。インド娘の衣装、サリーのすそを後輪に巻き込まないように工夫がされているのだ。いわば、モテる男の証ですよ。女の子はサリーガード付のオートバイに乗っている男の子に、デートに誘ってもらう日を夢見て乙女心を磨いているのよ。実に健全な発想じゃないか。左翼思想の活動家が男女の対立をあおりまくってる日本とは大違いよ。



サリーガード

モテる男のオートバイ、サリーガード装着で乙女はみんなイチコロよ




舗装路をメインに旅をするなら、ちょっと変則的なサイズのタイヤを装備したCRF190LよりもこちらCB200Xのほうが断然いいと思う。前後17インチのチューブレスタイヤは現在の主流ですから、自分の使用目的や走行スタイルに合ったタイヤが選び放題です。

驚くなかれ、このCB200Xは34万円ですよ。さっき書き忘れたからツイデに書き足すと上で紹介したCRF190Lは44万円。仕上がりと使用目的と価格差を考えたら私は見た目が断然好みなCRF190Lをサクッと断念してインド製のCB200Xを選びたいなと思った。

250ccクラスの日本国内正規モデルはどれもこれも60万円だの80万円だのと高額になっている現代において、34万というのは破格の安さに思えます。おせっかいな高級装備をてんこ盛りにして値段が上がったら自動二輪に憧れるヤングなど育ちませんよ。60万なんて口で言うのは簡単だけど、ヤングやビンボ人には到底買えない金額です。もっとシンプルな構造と装備でかまわないから、価格が手ごろで買いやすく気軽に乗れるオートバイを求めている人は私だけではあるまい。

とはいえ「並行輸入車」っていうのは気軽に買えるものではないから注意が必要よね。まず第一に「買ったお店以外ではいっさい面倒をみてくれない」という宿命から逃れることはできません。正規の国内販売モデルではない(要するに店が勝手に輸入して売ってるだけという扱い)から、仮に何かトラブルが起きた場合に普通のショップにあわてて駆け込んでも診てもらえません。一切のメンテナンス、修理を断られます。正直、売った店もいつまで面倒見てくれるかはわかりません。仮にコケて部品がポキッと壊れて修理、となったら製造国に補修部品を取り寄せることになりますから、届いて実際に修理してもらえるまでどれだけ待たされるのかもわからないし、そもそも部品の値段がいくらなのかも「輸入してみないとわからない」という事になります。お店だって慈善事業ではないから販売在庫がはけたらどこまで対応してくれるかは未知数です。3年後、5年後、あるいは製造販売も打ち切られた後も末永く修理が受けられるのかどうかは「神のみぞ知る」という事になります。長く乗り続けたい人はイバラの道です。じゃあ3年で売り払えばいいか、と思っても並行輸入車など買取価格は事実上つきません(ナンならお金を出して引き取ってもらうレベル)。

だから「価格の安さにつられて並行輸入車を買う」なんていうのは絶対にやってはいけない行為です。点検・整備・修理は全部お店に任せる私のような素人レベルのライダーは、断じて手を出してはいけません。何かあったら自分が直接インドに赴いて部品を買ってきて自分で修理する、ぐらいの覚悟と財力と技術力がないなら買ってはイカン。声を大にして言いたいのですが、並行輸入車を甘く見てはいけませんぞ。

ということで隠密行動でオートバイを見に行ったけど「やっぱりChinaもIndiaもナシだわ」と思って店を出た次第。まあ、そもそも論として現在の私には軽二輪を維持管理する財力は無いですからね。家から近くもない距離の、雨ざらしの月極駐車場に月額8千円なんて払えませんよ。



原付スクーター

唯一、私にも買えそうなのはコレだけだった




走行距離の少ない中古車のスズキ・レッツ(50ccスクーター)ならナンとか買えそうだな、と思ったけどさすがに金を出してまでコレに乗りたいかって自問する事すらキツいものがあった。急いで中古のレッツを買うぐらいならe-choinoriを待った方がはるかにいいよなァ。

というわけで、ひそかにオートバイを見に行ってきた事件を赤裸々に告白して今日のモモ通は終わりにしようと思います。真面目な話として私は本命としてe-choinoriの市販化に期待するしかないんだ。あとは意表をついた対抗馬としてクロスカブ50でしょうか。

まあ今できることは購入に向けてゆっくり資金準備するだけですよ。










#76
2023年11月19日(日)
「本気なのか?まさかの半キャップ・ヘルメットが欲しくて悶える話」


オートバイ運転に必要なヘルメットに関連するネタは過去にも何度か書いています。ことし6月12日のモモ通では、クラシカルなジェットヘルメットの話をしております。安全最優先でフルフェイスヘルメット以外は使う気にならないという私が、歳月を経て以前はまったく興味が無かったレトロ風味のヘルメットを欲しくなっている、という内容でした。


モモンガ通信 2023年6月12日(月)
「人の好みは変わる?オートバイ用ヘルメットの話」
https://ezomomo.com/momo_j/2023/momo_j2023_2.html#41


このとき、文章の締めくくりに「そのうち半キャップを買う日がきたとしても、不思議は無いなって思います」などと綴っておりますが、まさに今日はその半キャップと呼ばれるヘルメットについて語ろうというのであります。もうストレートに言っちゃいますが


「半キャップをかぶってみたい」


と本気で思っている次第です。ここで複雑な心境を吐露しますと、半キャップをかぶって実際にオートバイに乗りたいという気はサラサラありません。半キャップは「名ばかりヘルメット」であり、防御力はほとんど期待できません。断言しますが交通事故という「万一の事態」に遭遇したら顔面がどうなるか、想像しただけでもヤバい。



具体例

半キャップヘルメットってこういうの




こちらは高校時代の同級生がみんな普通にかぶっていたタイプの半キャップです。これをちゃんと頭にかぶってしっかりあご紐を留めるんじゃなくて、後頭部にチョコンとひっかけるようにして「装着している(かぶってるとは言ってない)」みたいな状態でスクーターで走っていました。なお、製品画像はリード工業のモデルCR-740を引用しています。


リード工業 CROSS CR-740
https://www.weblead.co.jp/product/helmet.php?id=200


仮にきちんとかぶるとしても頭の上半分だけを守る感じで、顔面はもちろんのこと側方から後頭部にかけての部位は保護性能ゼロです。あと重要なポイントとして目をやられる点も見逃せません。前からの走行風をモロに受けますからゴーグル装着しない限りは角膜へのダメージは甚大ですし、飛んできた虫やらゴミやらがクリティカルヒットしたら文字通り目も当てられません。

余談ですがオートバイの運転中に顔面に虫がぶつかってくるというのは日常的にあります。風防付のフルフェイスヘルメットを装着して走っていても、カナブンか何かの虫がガン!と当たってすごい衝撃が来るものです。最悪の場合は虫が「爆死」すなわちヘルメットの風防にブチ当たって原型をとどめないカタチでお亡くなりになると視界がおぞましい色彩になりウギャーと叫びたくなるほどのホラー状態ですよ。

ということで、こんな半キャップヘルメットなんていうのをかぶってオートバイに乗るなんていうのは無謀にもほどがある、というのが私の持論です。じゃあなんで欲しがってるんだよ!という話ですが、誤解を恐れずにあえて言うと「家でかぶって遊びたい」という感じですね。

私は原付デビューした頃から安全を最優先にしてフルフェイスヘルメットを愛用してきました。友達からは「たかが原付でフィルフェイスとかひったくり犯かよ」とバカにさていましたが、たとえチキンと呼ばれようとも顔面をケガしてしまったら元も子もないのです。だから自分の選択は間違ってはいかなったと思っているし、仮にこれからオートバイに乗ろうという人がいたら安全のためにまずはフルフェイスヘルメットを勧めると思う。

でも、みんながかぶっていた半キャップを「一度もかぶったことがない」言い換えれば「誰もが経ているプロセスを自分ただひとりが未経験のまま歳を重ねてしまった」という事実に対して「表現しがたい劣等感」のようなものを感じるのであります。極端に言えば「その点については人生経験が足りない」という事実が自分の未熟さの要因のひとつ、みたいに思われてしまうのだ。

ゆえに実用の道具としてではなく「家でかぶって遊びたい」のです。というか「一度でいいから試してみたい」のです。だったらバイク用品店に赴いて店頭でサンプルを試着させてもらえばそれで済むんじゃないか?という気がするし、実際それで万事解決しそうな話なんですけど、原付マンを自称しながら半キャップを持っていない事実が敵に隙を見せるようでつらいのだ(←敵って誰だよ)。やっぱり頭おかしい人の思考回路は意味不明っすね。

そもそも「家でかぶるための半キャップを買おうか迷う」という発想が初手から変です。これはたとえば「布団の中で履くための登山靴を買おうか迷う」と言っているのと同じぐらい支離滅裂というか普通に頭おかしいですよね。いくら個人的な趣味嗜好は自由といえども「家で被るためのヘルメット」という出発点が甚だ常軌を逸しており、社会からの理解は到底得られないだろうと思うのです。ひっそり、こっそりと自分の中で折り合いをつけて解決するしかない。

ちなみに現在私が愛用しているヘルメットはOGK Kabutoのシステムヘルメットです。工事現場みたいな色使い&柄が気に入って衝動買いしたのですが、実際に使ってみたら実に良いモノでありました。



システムヘルメット

現在メインで使っているヘルメット




私は最初、システムヘルメットというものを馬鹿にしていました。いわば多機能ヘルメットでして、たとえばシールド(透明の風防窓)の内側にレバー操作で上からスライドしてくるサングラスが出てきます。真っ昼間の眩しい時間帯や西日に向かって走行する時などは、このサングラスをスルリと下ろせば視界が楽になります。トンネルに入ったらヘルメットの側面のレバーをちょろっと操作すればただちにサングラスはオデコ部分に収納され、暗い状況になっても慌てる必要がありません。

もうひとつ、システムヘルメット最大の特長といえば「あごを保護する部分を上にはね上げて顔を出すをことができる、という点です。上の画像で見るとフルフェイスヘルメットのようにあごの部分をしっかり覆っていますが、あごの先っぽ部分を手でつかんで上にヨッコラショと持ち上げると回転軸にそってアゴ部分がめくれあがり、「ヘルメットをかぶったままだけど顔面まる見え状態」に変形するという複雑なからくりを装備しているのです。

この手のシステムヘルメット世に出てきたときに私は「そういう策に溺れたようなヘルメットはイザという時に頼りにならないだろうな」とバカにしていました。サングラス機能を内蔵すればオデコ部分には無駄な空間が必要になり当然防御力は落ちるであろうし、更にあごの部分が可動式ということは別パーツを回転軸で固定しているだけだから同様に防御力はガクンと落ちるはずである。帽体が一体の殻状で目の部分だけくりぬいてある通常のフルフェイスヘルメットに比べたら安全性(保護性能)は足元にも及ばないだろう。複雑な機構を盛り込んでいるから無駄にデカくて重量も増し、当然値段も高くなる。

という具合にケチをつけて買わない理由はいくらでもあったのだけれども、実際に買って使ってみたらすごく快適で便利なのであった。ここ数年の真夏の暑さでコマメな給水が不可欠になり、水を飲むためにいちいちヘルメットを脱いでいられないということで3年前に人生初のジェットヘルメットを買ったのだけれども、それすら不要になるほどであった。快適なシステムヘルメットがあれば他は何も要らないという事実は否定できなかったのである。



ジェットヘルメット

暑い季節に使用しているジェットヘルメット




また、一度経験してみたらジェットヘルメットにはジェットなりの快適さがあることも分かった。視界なんてフルフェイスで何の不自由もない、と思っていた私ですがジェットヘルメットの下方向の視界の広さ、というのも長所だと素直に感じました。やっぱり何事も自分で体験してみないと評価なんてできません。オートバイ趣味とひと口に言っても、ライディングの目的も楽しみ方も人それぞれなのだから、フルフェイスでもジェットでもどちらでも好きなもの(自分の楽しみ方と合うもの)をかぶれば良いと思う。

でも半キャップ、やっぱりお前はダメだ。肝心の防御力が決定的に足らない。交通事故はどんな状況で起きるかわからないもので、走行速度が遅ければ大丈夫という問題ではない。

でもかぶりたいんだよ。かぶってみたいんだよ。私はどうすればいいのか?

たとえば前にも紹介したようなバブルシールドをつけるタイプなら顔面はちょっと安全になる?



バブルシールド付

半キャップ+バブルシールドの組み合わせ、CR-760




ちなみに、ここからいくつか製品画像を引用しますがすべてリード工業の公式サイトからお借りしています。


リード工業 CROSS CR-760
https://www.weblead.co.jp/product/helmet.php?id=174


もっとレトロ風なゴーグルタイプもあるけど、これだと目だけは保護できてもあとはダメでしょうかね。家でかぶって遊ぶにも辛そうな感じがする。



ゴーグル仕様

レトロふうモデル、CR-750




リード工業 CROSS CR-750
https://www.weblead.co.jp/product/helmet.php?id=198


すごくクラシカルなデザインのオートバイなら似合いそうに思うけど、まあ私が買っても事実上出番はなさそうですよ。だったら、もうちょっと潔く「自転車用ヘルメットに毛が生えたようなモデル」で妥協するのもアリかもしれない。保護するのは頭の上半分と目だけ。どう?



シールド付

気軽にかぶれそうなRE-40




リード工業 SERIO RE-40
https://www.weblead.co.jp/product/helmet.php?id=172


ううむ。実際にかぶってオートバイに乗る気にはなれない、という意味では実用性ゼロです。そんなものにお金を出すのはやっぱり無駄な気がする。仮の話として知り合いがこれを買おうとしたら全力で止めに入ると思う。いくら原付でも、もうちょっと安全性を考えたほうがいいぞ!と言うであろう。

まあ今かぶっているジェットヘルメットが、せいぜいあと5年程度で耐用年数を迎えるであろう。私は世界の名門ブランドであるAraiのEU公式ウェブサイトに書かれている「ヘルメットの使用期限は製造より7年」っていうのをひとつの目安にしているのであります。だから、そのタイミングでジェットを手放すツイデに「リード工業SJ-9よりもお気軽なジェットヘルメット」を導入することで事態を収拾しようと思う。やっぱり半キャップを買うのはヤメておくのが良い。

実用の道具として考えたらこのあたが「落としどころ」ではないかと思う



セミジェット

セミジェットRE-35




リード工業 SERIO RE-35
https://www.weblead.co.jp/product/helmet.php?id=169

これはいわゆる「セミジェット」と呼ばれるタイプで、ジェットヘルメットの中でも、かぶりが浅いタイプになります。いちおう側面まで固いシェルでおおっているのは画像でもお分かりいただけるでしょう。側面から後頭部にかけて、半キャップよりは保護性能は幾分マシ、というのがセミジェットの特長であります。通常のしっかりしたジェットヘルメットと比較するとちっちゃくて軽いのが利点、という感じでしょうか。まあ原付で時速30km走行する範囲ならかぶっても大丈夫かな、という気がするし値段も今かぶってるリード工業SJ-9よりずっと安いから候補としては良いかもしれない。

今日の結論としては半キャップはやっぱり無し、ということにして、今使ってるジェットヘルメットが寿命を迎えたら次はセミジェットに切り替えるという方向で今後の自動二輪ライフを楽しみたいと思います。個人的なおすすめはやっぱりシステムヘルメットだなあ。リード工業のシステムヘルメット"REIZEN"(レイゼン)なんてメーカー希望小売価格は25,000円、実売価格は2万円ぐらいですからね。この価格でシステムヘルメットが使えるなら、本当にすごいと思います。



レイゼン

やっぱりリード工業は私たち庶民の味方だ




リード工業 REIZEN(レイゼン)
https://www.weblead.co.jp/product/helmet.php?id=208


安全性をとるか気軽さをとるか、という問題は人それぞれ判断基準が違うからヘルメット選びに「正解」というのはありません。最悪の場合、いくら機能やデザインや価格のバランスが気に入って欲しいと願っても実際にかぶってみたら頭のカタチが合わなくて断念するというケースもあるぐらいだから、こればかりはナンとも言いようがない世界ですよ。

というわけで、私はいずれ遠くない将来、バイク用品店にひそかに出かけて半キャップヘルメットを試着させてもらって「半キャップ処女」を卒業し、この歪んだ欲望を解消しようと思っております。誰にも知られぬよう、こっそりと済ませたいものです。










#77
2023年11月23日(木)
「緊急課題:今更、中古で2スト50ccスクーターに乗るのはアリかナシか」


いきなり直球で私の気持ちを率直に白状すると、私は次に原付が欲しいのであります。道路交通法が定めるところの、排気量50cc以下の原動機付自転車ですよ。電動機の場合は定格出力が0.6kWを超え1.0kW以下というふうに定められていまして、来たるべき電動モビリティ時代も想定の範囲内ということになっています。

ことし2023年(令和5年)の7月1日から原動機付自転車の一区分として「特定小型原動機付自転車(特定原付)」というのが定められ、特定原付に該当しないものを「一般原動機付自転車(一般原付)」と呼ぶことになったのですが、そもそも私は特定原付に乗る気はありませんので今回の話題には登場しません。排気量50ccの、原付免許で乗ることができる昔ながらの原付が私の獲物だということだけを話の前提としてご理解いただければヨイと思います。

乗り方のルールとして、以下の二点がポイントになります。

・最高速度は時速30kmに制限される
・原則、左端の車線を走行し右折時は「二段階右折」を行う

誰もいない田舎の広域農道を走ってる分には時速30km制限も気になりませんが(←絶望的に寂しい場所を孤独感にひたりながらチンタラ走るの好きという私のような流派も存在する)、交通量が多く他の車両が速いスピードで流れている幹線道路を時速30kmなどという中途半端な速度で走っていたら周りの人にむしろ迷惑なケースがほとんどです。

また、二段階右折は「ケースバイケース」で交差点によって「やらなきゃダメ」もしくは「絶対にやっちゃダメ」という真逆のケースがあるので、走り慣れない道では道路標識に細心の注意を払わないとイッパツでおさわりまんの餌食になります。せっかくなので原付で右折する場合のルールを定めている道路交通法第34条第5項を引用しましょうかね。以下引用ぅ。


原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。

(引用ここまで)


途中で読むのがイヤになるのは私だけではあるまい。法律をつくる人たちって本当に頭が良いのかどうか疑念を抱きたくなるレベルです。本当に頭が良い人は例外なく他人に分かりやすく説明するのが上手いですから、この条文を定めた人は義務教育の頃の国語の成績はかなり「アレ」だったのではなかろうか。

とにかく、排気量が50ccを超えれば時速30km制限と二段階右折の「ふたつの忌まわしい呪縛」から逃れることができるので、自動二輪免許を取った人は「50ccなんて二度と乗るかよケッ!」と言いながら去ってゆくのが世の習いなのです。一般論として、自動二輪の運転免許を取得した人があえて「原付」を選ぶ事はほぼ無いと言えます。

しかしですよ。

私の住んでいる品川区あたりだと「駐車スペースどうするよ問題」というのが割と重大なテーマになってきます。シンプルにいえば、原付は自転車の駐輪場の中に停めるスペースが用意されていることが多い。もしくは自転車と同じ場所に停めてもよいというルールになっています。区内の多くの駅前に有料の駐輪場(※自転車置き場)がありますが、50ccの原付は停めることが可能です。

逆に言いますと50cc原付以外の自動二輪は置かせてもらえません。ここは50ccまでだよ、と言われて拒否された時、ほぼ100パーセントの可能性で置く場所が無いという状況に陥ります。

私がTDR80に乗っていた時に東急線の某駅の駐輪場に置かせてもらおうと思ったら「ねーちゃんそれなんシーシー?黄色ナンバーはここ置けないよ!」と言われてサラリと拒絶されたものです。排気量50ccのTDR50と排気量80ccのTDR80はボディサイズが同じですが、駐輪場の可否はボディサイズの問題ではなく排気量(すなわちナンバープレートの色)が基準なのです。

もともと50ccのエンジンだったのを88ccに改造しただけのちっちゃなホンダ・モンキーは停めちゃ駄目で、50ccとは名ばかりの車体の巨大なホンダ・マグナ50やNS-1は停めてもOKな理由を誰もが納得のゆくカタチで説明してみろよ!などとゴネても「ならぬものは ならぬ」のひとことで片付けられてしまうのであります。日本において自動二輪という乗り物は伝統的に排気量によって細かく区分がされており、いわゆる「バイク免許」だけで区分が7つもあるのですよ。

だから区内で「ちょっと調剤薬局で薬もらってくる」「駅前のスーパーにサラッと買い物に行ってくる」「一瞬だけ用事を済ませてくる」みたいな使い方を想定した場合、排気量が50ccを超えたオートバイはまったくもって不便!という真実があるのです。ナンバープレートが白の「原付」じゃないと逆に不便になってしまうのだ。

私が「つぎは原付マンになる」と宣言している理由はまさにこの一点に尽きるのであります。

さて、ここでいったん話は変わって皆様は「原付の2025年問題」はご存知でしょうか。一言でいえば、現行で販売されている排気量50ccの原付では厳しい排ガス規制をクリアできないので製造販売は終了(確定事項)、という「50cc原付の終焉」であります。

本当はもうとっくにアウト判定だったのを「猶予期間」ということで2025年10月末までは売ってもOKという事になっており、メーカーも知恵を絞っていたのです。しかし50ccエンジンなんていうのを本気でやってるのは世界でも日本ぐらいしかなくて、仮に最新テクノロジーを注ぎ込んで技術の粋を集めて排ガス規制をクリアしたとしても完成した原付の本体価格が50万円になりました!ヨロシク!!では誰も買わないのです。

かつてはオートバイの販売台数を支えていた原付も今は電動アシスト自転車に地位を奪われて売り上げは減る一方です。日本ではホンダという昔から4ストエンジン開発に執着する変態的技術者集団がいたおかげでこれまではなんとかやってきましたが、もうメーカーが50ccの研究開発は無駄だからヤメちまおうという話になっているわけです。

もともと私は「どうせ日本国内でしか使う人がいないんだから海外の排ガス規制基準なんてガン無視して小型軽量で高出力の2ストエンジンを続けてればいいんじゃね?」という考えでしたが、何をトチ狂ったのか日本は免許制度も車両区分も異なるEUの排ガス規制をそのまま輸入し適用しちゃったので、たかが50ccのスクーターごときに水冷式4ストロークエンジンwith電子式燃料噴射装置なんていう無駄に凝ったものをつくって袋小路に突き当たってしまったのであります。エンジンがデカくて車体が重くて力が無くて遅い、でも高額!とかいって完全に迷走状態。アホとしか言いようがない。EUなんて関係ないんだから2ストエンジン続けていればよかったのにバカだよなぁ。

でももう結果的にここまできちゃったのだから、2025年以降はあきらめて50ccは電動車に移行、でいいんじゃないの?というのが私の持論です。すでに「定格出力が0.6kWを超え1.0kW以下」っていう明確な基準もあるのだから、その範囲でエレキ原付開発にリソースを全振りすればいいじゃん。だから私も「ジャパンモビリティショー2023」にスズキが参考出品したe-choinoriに期待をしてるんだよ。

電動は上り坂で速度がガタ落ちするしブレーキ周りを超絶強化しないとマジ危険だし充電池は重いし火を噴くかもしれないし、充電に時間はかかる上に劣化とともに航続距離は悪化する一方だし、ロクなもんじゃないけど


「それしか代替方法がない」


のなら、しょうがないじゃん。私は世の中のEV推進派とは真逆の立ち位置に居る人間だけど、それしか無いなら黙って買って乗るよ。

しかし何をどうトチ狂ったのか、メーカーが「125ccのバイクをデチューンして50cc並のパワーしかない非力タイプつくるから、それを50ccの代替品にしてもいいかな?」などと提案し、警察庁もその提案に耳を傾けちゃったりしているのである。訳が分かりません。自動二輪は厳密に排気量で区分してきた従来の理屈と整合性がありません。何を考えているんでしょうか。

そんな理屈が許されるなら私はアフリカツインをデチューンして「改造の結果、出力は原付に該当します」とかいって白い原付ナンバープレートを申請しに行くわ。それで駅の駐輪場に「原付です」と申告してアフリカツイン置かせてもらうわ。

まあこの件についてはまだ結論が出た訳ではないのでどんな内容で決着をつけるのか見守っていますが、なんにせよ言えるのは


今は排気量50ccの原付を買う最後のチャンス


という事です。2025年を迎えて市場から在庫がなくなれば新車を買う事はできません。あるいはまた、中古車の価格も高騰する可能性があります。

いちおう私は「スズキからe-choinoriが市販されるのを期待している」という発言からお分かりいただけるように、国産のエレキ原付でいいのが出たらそれで解決!というのがほぼ結論です。主たる目的が「近所にちょっと乗る程度」なので、エンジン車だと却ってオイル管理に気を遣う必要が出そうに思います。

その一方で、今はむしろ不人気と化している50cc現行モデルを買って老後を楽しみたい的な気持ちもあります。感染症パンデミックの頃に半導体不足や物流の停滞など諸要素がかさなってオートバイの新車購入が困難な事態が発生しましたが、今はだいぶ落ち着いて店頭在庫を普通に買えますからね。先日もスーパーカブ110でしたが実物の色が気に入って「カブ50なんかもいいな」と思いましたもん。まあ、でもなあ。4ストエンジン車だと、ちょっと乗ってエンジンがあったまらないウチに目的地に着いてエンジン切って、用事を済ませたあとに再びエンジン始動してちょっと乗ってエンジン暖まらないうちに帰宅しておしまい、なんて乗り方を繰り返していたらメカにもオイルにも良いはずがないんだよなあ。ちょい乗りマンは電動のほうがいいような気がする・・・

などと思っていた矢先に、近所のバイクショップでおそるべき車体が売られているのを見つけました。なんと!2ストエンジンを積んだヤマハのビーノであります。



ビーノ

2スト・・・だと?




こちらのお店は街道に面したウィンドウに「おすすめ中古車」が上記画像のようにペタペタと貼り出されているのですが、まさかの2スト50cc原付ヤマハ・ビーノが6.5万円(税込7.15万円)というのが目に飛び込んできました。うわっマジかよ。ちょっとした興奮で私のハートビートが上昇してきました。

さすがに実物は見ていない(店員さんに声をかけようものなら、ヘタをするとそのままトントン拍子に話が進んでヤバい展開になる可能性が高い)ので状態その他ナンとも言えませんが、少なくともお店が「売り物として出せるレベル」という事で貼り出していると思うとかなり燃えるものがあります。とはいえ排ガス規制のあおりで日本のオートバイから2スト車が虐殺されたのはもう20年ぐらい前の話ではないか。いったん帰宅して、この貼り出されていたビーノが一体いつ頃のものなのかネットで調べてみました。



ビーノ・デラックス

どうやら2000年のモデルっぽい




多くのオートバイは年が変わるとカラーリングのバリエーションに変更があるので、このシルバーと濃紺の2トーンカラーを手掛かりにして情報を得ました。インターネットの検索ってマジ便利。2000年モデルのヤマハ Vino CLASSICで間違いなさそうです。空冷2ストローク単気筒50ccエンジン搭載で最高出力は6.3PS、車両重量はわずか71kgというのだから現時点の常識からみると相当ブッ飛んでいます。でも2ストが普通だった当時はこんなのが当たり前だったんですけどね。50ccでもスポーティなモデルは7.2PSでしたから。現行の代表車種であるホンダ・タクト(4ストエンジンのスタンダードなタイプ)は4.5PSしかありません。重量は78kgですから7kgも重い。

私は以前のモモ通でスズキのヴェルデというスクーターに乗りたがっていた話を書きました。90年代の終わりごろでしょうか、ホンダ・ジョルノとかヤマハ・ビーノとかスズキ・ヴェルデといったレトロ感のあるデザインの原付が流行ったのであります。


モモンガ通信 2023年5月8日(月)
「悔いを残すのはゴメンだ その3」
https://ezomomo.com/momo_j/2023/momo_j2023_2.html#32


ヴェルデの、イタリア製本家ベスパに寄せ過ぎたデザインは非常に魅力的ですが製造販売期間が限られ短命に終わったモデルのため、いかんせんタマ数が少ない。気に入って乗っている人は手放さないから中古市場に出てくるといってもせいぜいネットオークションにゴミみたいなのが出るばかりでマトモそうな個体がショップに並ぶことはまず無い。仮に入手できたとしても、補修部品が手に入らず走行可能な状態を維持してゆくのは相当難しいであろう。



ヴェルデ

今年5月8日のモモ通に載せたヴェルデの画像




このときのモモ通で「2スト時代のジョルノ(AF24)なら探せば見つかるかも?」などと書いていますが、ちょうど今回は偶然見つけてしまったという感じでしょうか。

でも現実問題として2スト車なんてもう「いつ壊れて不動車になってもおかしくはない」っていうのが実情ですよね。ヘタをすれば買ったその日に致命的な故障が発生してそのまま天に召されて終了という可能性もある(←中古車の宿命ですよ)。そう考えると、いくら「税込7.15万円」といわれても、「とりあえず計10万円で乗り出せるんじゃないか」という誘惑に駆られようとも、やっぱり手を出すべきじゃないような気がする。

という具合に、言ってる内容は半年前から一歩も進歩していないというのが浮き彫りとなったモモンガ通信であります。少し冷静さを取り戻しつつあえて言うなら「最新のエレキ原付か、もしくは最後の購入チャンスとなる50ccエンジン車か」というのが私の狙い所でしょうか。自分の使用目的で考えるとエレキ原付のほうが良いような気がするんだけど、スーパーカブ50のファイナルエディション的なものが出るのはほぼ確実だからそっち系を攻めるのもオオアリクイ。いずれにせよ、デチューンした125ccスクーターだけは乗りたくない。その方向性だけは有り得ない。

ということで原付マンの悩みは尽きないのであります。










#78
2023年11月27日(月)
「エレキ!(テケテケテケテケ・・・)」


今日の話題はエレキです。エレキといったら原付よ。ベンチャーズのテケテケ・サウンドのエレキギター話を期待した皆様、本当に申し訳ありません。YouTube動画によくある「タイトル詐欺」というのを私も一度やってみたかったんです。

思えば"electric"(エレクトリック)の略語としての「エレキ」という用語は江戸時代の平賀源内がオランダ製の静電気発生装置「エレキテル」を復元・模造製作した時に発祥して(それ以前に「エレキ」という語が日本で用いられた形跡はない)、現在では「エレキギター」(エレキベース含む)にて限定的に用いられる非常に稀有な外来語(略語)であります。私は船乗りなので小型船舶の世界では電気モーターの船外機のことを「エレキモーター」「エレキ」と呼ぶ事実を体験で知っていますが、非常に狭い業界で使われる専門用語といったほうが適切であり一般的に知れ渡っているとは思えません。

世間で「エレキ」といったらエレキギターを指すのです。

若かりし頃の加山雄三が主演する一連の映画作品「若大将シリーズ」に『エレキの若大将』(1965年作品)というのがありました。勝ち抜きエレキ合戦、とか設定が熱いんだよなあ。劇中で披露されたのは名曲『夜空の星』ですし寺内タケシさんも出演しているし本当に指折りの最高傑作ですよ。私の大好きな村下孝蔵さんもこの映画を見たのをきっかけにギターを始めたとおっしゃっていた。まだ見てない人、若大将シリーズでどれを見たらいいか迷ってる人はぜひこの名作から入っていただきたい。

とはいうものの、ギタリストの間でも「ひょっとして『エレキ』っていう言葉ってむしろダサいんじゃないか?」という意見が出るぐらいビミョーな用語であるのは間違いない。そんな具合だから、他の分野で「エレキ」というダサい用語が新たに使われた用例はひとつもない。

しかし、かつてTVK(テレビ神奈川)の看板番組である『新車情報』でおなじみの三本和彦氏(故人)が、番組ゲストに招いた設計担当者に新規採用されたテクノロジー等をインタビューするシーンでいわゆる「電子制御」のことを


「エレキ仕掛けですか?」


と訊ねたのである。これはかなり刺激的なセリフであり、教養がなければパッと口をついて出る事は無い異次元の単語チョイスであり、三本氏の語彙力おそるべしと視聴者は唸ったのであります。三本氏の没後にファンが編纂した俗称「三本語録」にも収録されている不滅のフレーズとして永遠に刻まれています。

で、私は三本和彦氏の偉業をたたえる意味もこめて電気式のものについて触れる際には「エレキ」という用語を積極的に使用し世間に広く普及させようという決意を固めたのであります。ゆえに電動の原動機付自転車を頑なに「エレキ原付」と呼んでいる次第であります。「エレキ原付」も「エレキ自動車」も使っているのは品川区広しといえども私だけであって、用語としては絶対に普及しないと思います。でも私は使うんです。これは使命なんです。エレキという言葉が死語にならないように保つのが私の残された人生に課せられた最後の仕事であります。

現代においては家庭で使う調理器具や照明、あるいは肌身離さず使用するスマートフォンのような機器等ありとあらゆる分野で電気が使われております。電気なしで生活することなど不可能です。

発電所を操業することでうみだす電気エネルギーそのものを貯めておくことはできませんから、化学変化に変換して電気エネルギーを取り出す方法すなわち「電池」というものを人間は必死に研究開発してきました。大容量かつ強力な電力をくりかえし充電して使用できるリチウムイオン電池の実用化がノーベル賞をとるほどに画期的だったのは皆様の知るところであります。

しかし、私自身は「環境問題の解決とりわけCO2排出を削減する目的でEVの普及を目指す」といういわゆる「EVシフト」運動には賛同しかねる、いやむしろ逆のスタンスで足場を固めております。どこぞの首相が本当に意味を理解して使っているのか甚だ疑わしい「適材適所」という言葉があります。ストレートで言うと私は「リチウムイオン電池ごときの性能で車の動力源を内燃機関の代替とするのは不可能」と思っています。人類がもっている現在の科学技術力では、車をエレキ化するには時期尚早なのです。

エレキ自動車は走行時にCO2すなわち二酸化炭素を出さない、というのは事実ですからそれを否定する気はありません。

しかし、EV推進することによって世界全体としてCO2の削減ができていなければ意味が無いですよね。

・バッテリーの材料となるリチウムやコバルトを採掘するのにCO2が出ちゃいます!
・リチウムイオン電池を製造する過程で工場からCO2がブリブリ出ちゃいます!
・数が増えまくったEVをかたっぱしから充電する為に火力発電所をフル稼働しなくちゃならないのでCO2が出まくりですど勘弁してな!

というのが実情ですから、気づいたらEVシフトをすすめればすすめるほど電気が必要になって「車の走行中はCO2を出さないけど、その裏のプロセスでCO2を絶賛増産中!」となっているのは意味がありません。

しかもリチウムイオン電池は充電をくりかえすほど性能が落ちてきます。皆様もスマホを使って3年もすれば電池の持ちが悪くなってゆくことを体験としてご存知であろう。

歴史の長い鉛電池などはリサイクル技術がかなり進んでいるのできちんと回収すれば必要な化学物質を効率よく分離回収して低コストで再利用することができます。しかし、リチウムイオン電池については現状、回収はしているけれども簡単かつ低コストでリサイクルする技術が確立されておらず、なんなら新品に買い換えたほうが安いレベルですから


「処分に手間と金がかかるから、このままこっそり地中に埋めちゃおうぜ」


っていう悪徳な連中が跋扈しているのであります。充電池なんて有害物質のデパートみたいなものですから、長年放置すればヤバい物質が垂れ流し状態となり深刻な土壌汚染を引き起こします。廃バッテリーは今後ますます増える一方なのにまだマトモなリサイクル技術が確立できていませんから、こうなると本当にEVシフトが地球環境に良いのかどうか根本から揺らいでしまいます。

要するにリチウムイオン電池は携帯用の電気製品やスマホ程度に使うのが適任であり、自動車を動かすにはあきらかに性能が足りない(お前にできる仕事じゃない)という事です。素晴らしい発明だけど使い方を誤ったらむしろ害悪、というのが私の主張です。

事実、欧州が中心となって強力に推進してきたEVシフトがここにきて急激に失速していますからね。「日本はEV後進国」などと声を荒げていた奴らが、そろそろ現実に気づいてきたというのが2023年11月末現在といえます。

ちょっと話は脱線しますが私が小学生の頃「石油はあと30年で掘り尽くされる」みたいな主張が割と真面目に幅をきかせていました。石油は過去の地球上に存在した化石などの堆積物が数万年かけて生成した有限の資源であり、掘っていればいずれ枯渇するという話だったのです。

しかし実際はそんなことはなくて、掘削技術の進歩で更に深い場所から石油が取れるようになったり、新たな油田が発見されたり、挙句の果てには「石油は、実は化石由来ではなくて地底のマントルの活動によって生じる事実上無尽蔵の資源っぽいよ」なんていう話にすり替わっていたりするのであります。過去の常識は現在の非常識、という感じです。

さらに内燃機関の進化はとどまるところを知らず、少ない燃料で効率よく出力を得ながら排気ガスから有害な物質を極限まで取り除いている状態です。最新の自動車のエンジンなんて数値だけ見ると排気ガスを出しているのか空気清浄機なのかわからないレベル。むしろ私がふだん呼吸してる品川区の大気のほうが汚いんじゃないのかと思う。

まあ、ここまでの話で私が「EVシフトに疑念を抱いている派」であることは充分すぎるほどにご理解いただけただろうと思います。いよいよ今日の本題に入っていきましょう。

車に電気モーターと巨大な充電池を積んで走らせようなんて馬鹿げている、と思っている私ですが、何をかくそうエレキ原付に関してはずいぶん昔から関心を向けており、リサーチを続けております。10年ぐらい前にはヤマハのEC-03に試乗したこともある。



EC-03

2010年登場のエレキ原付




外見は往年の原付ブームを思い起こさせる「ソフトバイク」ふうの細身なデザインで車両重量がわずか56kg、一度の充電で航続距離は43km(しょせんカタログ値ですが)というなかなか野心的なモデルでありました。仕様上、駐輪場にコンセントがないと充電できない(バッテリーパックを外して部屋で充電することができない)ゆえに私のような長屋住まいのビンボ人には事実上のれないという「ざんねんな電動原付」でありましたが、スムーズな出足と静かで快適な乗り味は驚きの体験であり、これは将来の可能性としては大いにアリだな!と思いました。

そんな昔にくらべれば2023年現在はずいぶんと進化したものです。いわゆる電動キックボードのような「特定小型原付」が7月から法制化され、いわばエレキ原付元年と呼ぶにふさわしい年となりました。そして、ここからが重要なのですが、なにを隠そう私はこの夏にあちこちのショールームやショップを訪ねては、様々なエレキ原付の試乗をしまくっておりました。なぜモモ通のネタにしなかったのかというと「実際に買ってから事後報告したかったから」です。

国を挙げてEVシフトに取り組んでいるChinaから、もはや訳が分からないレベルで雨後の筍のように登場したエレキ仕掛けの乗り物が大量に日本国内に入ってきております。



ミノ

XEAM(ジーム)さん取り扱いのトロモックス・ミノ




ここではっきり言っちゃいます。猛烈に感激しました。素晴らしい乗り物です。乗ってみたら最高に面白いオートバイでした。


TOROMOX MINO(XEAMさん公式)
https://www.xeam.jp/tromox/mino/


ミノは排気量50ccエンジンの原付に相当するカテゴリーの、China製エレキ原付であります。画像はXEAM(ジーム)さんの公式サイトよりお借りしております。どうです?いわゆるスクータータイプではなく普通に跨って乗るオートバイの形をした、なかなか素敵なデザインの原付ではありませんか。画像で見てもなかなかの可愛さですが、実物はむしろカッコイイと感激するレベルですぞ。私のような「ちっちゃい乗り物好き」のハートをわしづかみにする気マンマンです。

形は跨って乗るタイプであるものの、運転作法はスクーターと一緒のオートマチックでラクチンそのものです。

肝心のバッテリーですがセルはスマホでおなじみのサムスン製で定格容量は1860mWh。充電時間は7.5時間。満充電で航続距離は90km(あくまでもカタログ上の値ですが)ということです。話半分と聞き流してマトモに走れるのは45kmぐらいだとしても、寝る前に充電をセットしておけば翌日は五反田駅前を出発して神奈川県の横浜駅まで行って帰ってこれるレベルです。そう考えると本当に凄い。

なお車体重量はわずか69kg(バッテリーパック搭載時)しかありません。電気モーターは電源を入れただけで瞬時に超絶なトルクを発生させますから、信号が青になってスロットルをあけた瞬間の出足が文字通り「韋駄天」です。50cc相当の原付といえども、慎重に操作しないとフロントタイヤが簡単に持ち上がります。すごい威力です。ここで恥を忍んで告白しますが、私が最初に抱いた感想はずばり


「2ストに勝つにはエレキしかない」


という、さながら原付免許取りたて高校生みたいなレベルの興奮でありました。原付ごときで「勝ち負け」をイメージする辺りが私の精神的な幼さを如実に物語っています。でも本当なんだからしょうがない。私は「これは2ストに勝てるな!というか既に勝ったな!!」と大興奮しながらスタートダッシュに酔いしれつつ試乗時間を存分に堪能したのであった。

私自身は原付購入計画にあたって、その主たる目的としては近所の「ちょい乗り」を想定して、品川区内で駐輪場に困らない50cc相当の原付を買うつもりでいるわけですが、こちらのミノみたいな車種をまのあたりにすると「私にはむしろエレキ原付が最適解ではないか」というふうに思った次第であります。

自転車と同じ駐輪場に停めることができる点を重視している私にとっては50cc原付以外の選択肢はありません。前回のモモ通では2ストのビーノが欲しくて狂おしいほどに身をよじらせていましたが、現実問題として今更「骨董品でいつ壊れても文句は言えない」2ストの中古車を買うのはギャンブルのようなものです。

さりとて、最新モデルの4ストエンジン搭載スクーターが良いかといえばそれも違う。朝、エンジンをかけて戸越銀座の内科に行く。ちょっと待て、五反田から戸越銀座なんてすぐそこ、歩いて通える距離じゃないか!と言われるけど私は股関節が痛いからラクをするために乗るのである。まあ5分ほどでかかりつけの医者に到着しますよ。正直、まだエンジンが暖まっていません。でもフルスロットルしちゃった。エンジンを切って駐輪して診察。数十分後、医者を出てまたエンジンを始動してひとっ走りして2分全開走行して調剤薬局に移動しエンジンを切る。またしてもエンジンは暖まる前にオフにされてしまいました。そして薬をもらって、ブワッと全開走行して帰宅。以上!!

・・・というような使い方は、エンジンやオイルにとって一番よくない状況なのであります。本来であればエンジンをかけたら細心の注意をはらいつつじっくりとオイルがエンジン全体にしっかりゆきわたって、適温になるのを待ちます。ここまで準備が整ってはじめて性能を発揮するのがエンジンであり変速機であります。いきなり全開走行というのは、たとえるなら人間が準備運動もせず全力疾走すると身体をケガする可能性が高まるのと似ています。ちょこまかとエンジンのオン・オフをくりかえして短距離だけ酷使する、という使い方では本来の性能を発揮できないばかりかむしろエンジン周辺に無駄なダメージを蓄積させる極悪非道な行為に近い。

こういう使い方をしていると「たいした距離走ってないのにエンジンの調子が悪い」「いざ高回転まで回そうと思ったらスムーズに走らない」「ナンか変な音がする」みたいなトラブルが発生して、いよいよ調子が悪くなってバイク屋さんに持ち込んでみたら意外と修理費がかかってガビーンみたいな事があるのだ。

つまり私のように「ご近所ちょい乗りを想定しているマン」にとっては、エレキ原付はむしろメリットしかないのです。メインキーのオン・オフは単なる回路の接続のきりかえにすぎませんし、電気モーターは内部は磁石とコイルの回転でありオイルを適度に温める必要も循環させる必要もない。シュルッと走ってスパッと止まって何の問題もありません。通院やら買い物やらで乗り回してバッテリーが減って来たな、と思ったらバッテリーパックを持ち帰って家のコンセントで充電すれば良いのです。ツーリングなんてしません。それはガソリンエンジンのオートバイの出番であって、そもそもの使いみちが違うのです。

しかし、私自身がどうしてもひっかかるのは魅力的なエレキ原付がどれもこれもChinaからの輸入品だという点です。Chinaのオートバイ製造メーカーが本腰を入れて日本市場に参入しているのではなく、ただの貿易会社が「輸入して売ってるだけ」というのが気に入らないのです。

端的に言えば、アフターサポートはゼロです。

実際に販売を担っているのは「ただの輸入業者」であって、仕入れた商品を売り切ったら(在庫がハケたら)それで終わり、という売り逃げ&一時的な金儲けビジネスの気配がプンプンします。たとえ気に入った車種があっても、消耗品の充電池が1年あるいは2年後に継続して入手できるかどうかの見通しすらたちません。売った後の事はシラネ!というスタンスで売りさばいているだけなのです。輸入販売した業者が2年後にはトンズラしている可能性すらある。これでは、どんなに魅力的で面白い乗り物だと思っても買おうという気にはなれません。

であるなら、エレキ原付を買うにしてもやっぱり日本のメーカーが正式に取り扱いをしている車種を買いたいと思うじゃないですか。仮にモデルチェンジをして製造販売が終わってもスペアのバッテリーぐらいは入手できるようなモノじゃないと困ります。

エレキ原付に関しては古くからヤマハが積極的に市場を開拓しようと試みています。『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』というテレビ番組に登場するe-Vinoは長寿モデルといえるでしょう。もちろん試乗しましたが、2023年時点の目でみると基本設計が古すぎて上で紹介した最新鋭のChina製ミノにくらべると見劣り感がハンパないです。中途半端な実用性。遊び心はゼロ。今更これを買いたくはない。



イービーノ

やばいよやばいよー、ってこれは旅をする原付じゃないですぞ




スズキも10年ぐらい前にエレキ原付「イーレッツ」を出していましたが短命に終わりました。冬の時代が長く続きましたが、今年は満を持してホンダがEM1 e:を登場させました。



イーエムワンイー

ホンダがいよいよ本格参入




しかしこのEM1 e:を見てがっかりしたのは私だけではあるまい。新たにホンダが独自規格として定めた着脱式可搬バッテリーの"Honda Mobile Power Pack e:"があまりにも残念な感じです。満充電にした"Honda Mobile Power Pack e:"をあちこちに準備しておけばガソリンの給油のような手軽さでバッテリーパックだけを交換してすぐに走り出せるよ!というコンセプトですが、重さが10.2kgもあるのだ。おいそれと取り出して家に持ち運んで充電器にセットするのも大変であります。しかもこのバッテリーだけで88,000円、充電器"Honda Power Pack Charger e:"はまた別売りで重さ5.3kgの巨大な装置が55,000円ですよ。こんなのをガチャガチャやりながら充電に追われる生活はイヤだし、ただでさえ高騰している電気代がコイツのせいでひと月どれだけアップするのかを考えると、ただただ不安しかないという状況です。

しかも、そもそも乗り物としてのEM1 e:自体があまり楽しそうじゃないし。駐輪場に置けばまわりの自転車オバサンにガンガンぶつけられて傷だらけになるのが関の山なんだから、こんな高級感満載の原付スクーターなんて要らないよ。

なんか日本人って頭固いですよね。既存の原付像、スクーター像にとらわれすぎ。せっかく新しい時代をつくる電動モビリティなんだから、もっと柔軟な発想でつくればいいのにって思うよ。



スマートEV

小型軽量・おりたたみ機構つきのスマートEV




こちらのBLAZE SMART EVなんて重さわずか18kgで折りたたみ機構をそなえており、家の玄関の中に置いて保管するのも可能なエレキ原付ですよ。電動ならではの発進加速の鋭さは当然のようにありますから乗っていて楽しいし気持ちいい。移動用の道具として考えたらこれぐらい突き抜けたデザインで個性全振りでふっきれてるほうが魅力が際立つのですよ。まあ前述のようにChinaからの輸入品ですから2年後にスペアバッテリーや補修部品がちゃんと入手できるのか予測も付きません。だから、車体がどんなに素敵でも怖くて買えないのです。

このような話をふまえると、今年のの「ジャパンモビリティショー2023」でスズキが参考出品した"e-choinori"に私が期待を寄せている意味がおわかりいただけるんじゃないかと思います。1年後のサポートすら不安を抱かずを得ないChina製のエレキ原付を買うよりも、安心のスズキ製を買いたいと思いうのは当然の話であります。



イーチョイノリ

私の理想に近いぞ




まあスズキはあくまでも「参考出品」としており市販化されるとは一言もいってませんから、e-choinoriは夢まぼろしで終わる可能性もあります。車も同様ですがコンセプトモデルがそのまま発売されるなんてまず在り得ない話です。

おそらくホンダは上記の独自規格バッテリー"Honda Mobile Power Pack e:"を使う路線でしばらく行くと思いますので正直期待できません。なのでスズキが本気で出してくるエレキ原付か、ひたすらイービーノで時間をかせいできたヤマハが新時代に向けて投入してくる新型に希望を託したいと思っています。なんにせよ2025年10年の「50ccエンジンの最期」に向けてなんらかの動きが出ると見込まれますので、それを待ちながら地味に貯金を続けて購入に備えるつもりです。

以上、EVシフトに否定的な立ち位置にいて、環境問題をギャーギャー騒ぐ運動家とは一線を画している私が実用の道具として本気でエレキ原付を買おうと考えているお話でありました。果たしてどんな結果で着地するのか楽しみですねえ。










#79
2023年12月1日(金)
「レッグシールドでカブれる話」


前回のモモ通で書きましたように、私は自分の使用目的を考えた上で、エレキ原付に期待を寄せているのであります。品川区に住んでいる私が近所を「ちょい乗りする」という用途に向いた乗り物はナンであろうか?と考えると、家で充電してサラッと乗れそうなエレキ原付はひとつの最適解に思える、と書いたのであった。

その一方で、日本の交通インフラの土台ともいうべき「いちばん下の階層」で戦後のモータリゼーションを支えてきた排気量50ccの内燃機関がいよいよ消滅するという、その悲しみは計り知れないものがあります。製造が終了する2025年10月以降は、お蕎麦屋さんも新聞配達も農協の営業部署も50ccスーパーカブを新規導入することはもうないなのだ。

私はレンタルで「クロスカブ110」という、きわめて趣味性の高いアウトドア志向なデザインの派生モデルを試乗したのが「カブ初体験」でした。変速の操作がうまくできなくて慣れるまで苦労しましたが、排気量が110ccということで実際に走り出せば想像以上の動力性能を有しており乗って楽しく、魅力に取りつかれる人が続出する気持ちがよくわかった。

むかしはスーパーカブと言えばビジネスバイクの代表であって、あくまでも実用の道具として乗る人が圧倒的多数でしたがこの15年〜20年ぐらいの間に趣味であえてスーパーカブに乗る人が激増したように思います。見た目のかわいいリトルカブやスクーター型のジョルカブといった派生モデルは新規ファンを増やすのに大きく貢献し、クロスカブやハンターカブといったアウトドア志向のモデルが現在は圧倒的にすそ野をひろげた印象です。今は見た目はビジネスバイクの面影をのこしつつ細部に至るまで高品位に仕上げたC125というゴージャス仕様まで登場して、今はカブといったら趣味バイクの王道のような印象です。

かくいう私も排気量90cc時代の古いモデルのスーパーカブに乗りたい衝動に駆られたこともありまして、ライダーのたしなみとして趣味用のカブを1台は持っておきたいという謎の願望を抱いたものであります。

私が普通自動二輪免許を取得したのは2012年(平成14年)の夏でしたが、当時勤務していた職場の先輩がホンダCBR1100XX、またの名を「スーパーブラックバード」と呼ばれた巨大マシンに乗っており、私が免許を取ったと言ったらニコニコしながらホンダのフルラインナップが掲載されたカタログとドリーム店のチラシを持ってきたのであった。それで当時最新型のCBR250Rを勧めつつ、ホンダに乗れ!ホンダに乗れ!!と言うのである。

カタログを見せてもらった私は消去法的に「この中だったらCRF250Lだよなぁ」と思っていたのですが、オフ車のくせに水冷エンジン搭載でボテッと腹の下がふくらんでシシャモのごき外見、そのうえ車両重量も144kgとずいぶんヘヴィ級なので「いやー、これは無い無い」と思ったのであった。当時はまだヤマハの傑作機セローが普通に販売されていたからヤマハ党に私としてはセローの方が魅力的に思われました。

さすがに免許取ってすぐスクーターという選択肢は無いな、と思っていたのですが当時ベンリィ110とベンリィ50が登場し、広大な荷台と容量10リットルというビッグサイズの燃料タンクをそなえているのが旅心に刺さった。1回ガソリンを満タンにすれば航続距離は500kmとかに届くであろう。純粋に旅の相棒として面白そうです。

しかしそれ以上に私の目を引いたのが新型のスーパーカブ110(JA10)でありました。先月、11月11日のモモ通でも画像を引用して話題にあげた黒いスーパーカブであります。



黒いスーパーカブ

ビジネスバイクのイメージを刷新した歴史的モデルJA10




従来のスーパーカブが頑なに守ってきた「派手さは無いけど実用に徹した真面目な働き者」の路線から妙に色気を出した派手系デザインに変更しています。スーパーカブといえば丸いヘッドライト、丸いウインカー、丸いミラー。そして風雨や泥はねからひざ下を守る白いレッグシールドですよ。それが、まさかの黒ずくめ。ヘッドライトやウインカー周辺もナンともいえない形状でカブ史上では相当な異彩を放っております。

実はこの時代のスーパーカブ110(JA10)およびスーパーカブ50(AA04)は製造が本家ホンダではなく大陸の「新大洲本田摩托有限公司」であります。11月15日のモモ通で「サンディロホンダのCRF190L」っていうホンダの翼エンブレムのない珍車種の話をした、あのメーカーです。

前回話題にしたときはお茶を濁しましたがサンディロホンダは我々の知っている「日本を代表する世界的企業のホンダ」が現地で立ち上げた本家本元の法人ではありません。もともとはスーパーカブのニセモノをつくっていた会社です。Chinaではカブのコピー品(補修部品等も含む)が大量に流通しており手を焼いたホンダが、コピー品製造会社の中で一番品質がマトモな会社を傘下に入れて技術的支援を行った、というのがサンディロホンダの生い立ちであります。

そしてあろうことか、実用の道具であるスーパーカブを「フルモデルチェンジ」と称してサンディロホンダ製造のものを輸入して日本国内販売することに決めたのでした。

これはホンダファンの間でも物議をかもしたのであった。ホンダは「海外製造で値下げを実現!」と派手に宣伝していましたが「品質も下がってるじゃねえか」という冷静なツッコミが殺到したのであります。その後2018年にフルモデルチェンジしたときにデザインも旧来の見た目に戻し、生産場所も日本の熊本に引き戻したのであります。ゆえに変なデザインの糞カブは6年で消滅。

というわけで「新大洲本田摩托有限公司製造時代のスーパーカブ」はすこぶる人気が無く、比較的高値がつきがちな中古スーパーカブ市場においても割と安く売られていたりするのです。まあ販売されていた当時から故障やトラブルが多い事が広く知られていたから、値段につられて買っちゃいけない典型例と言えます。

これまでのモモ通で書いてきましたように今の私は排気量50ccクラスの原付マンとして生きていく決意を固めていますので、当然スーパーカブ50も気になるのであります。何しろ今はまだ現行モデルが普通に新車で買えますし、2025年10月以降は製造終了が確定していますので「日本でしか販売されていないスーパーカブ50」は買うなら今がチャンスの世界的珍品ということになります。

で、上でさんざんコキ下ろしたサンディロホンダ製カブですが、やっぱり私は真っ黒なカブのデザインが好きで好きでたまらないのですよ。ちなみに当時のスーパーカブ50には5種類のカラーバリエーションがありました。黒以外はこんな感じ。



カラー展開

緑、ベージュ、淡い青、濃紺の4色




画像はホンダの公式画像をお借りしています。見ていただくと一目瞭然、いくらヘッドライトまわりのデザインが大胆に変更されていても、白いレッグシールドがついているだけでビジネス臭がハンパないのであります。ああ新聞配達とかのスーパーカブですね、と素人でも解るレベル。

しかし同じスーパーカブ50でも黒だけはレッグシールドが黒いのよ。それだけでガラッと印象が変わるのよね。控え目に言って超カッチョエエ。



黒

黒のスーパーカブ50(AA04)




レッグシールドがボディと同色の黒になっただけで別物のような精悍さがあります。マフラーカバーやリヤサスペンションの銀色が似合い過ぎるのですが、これは「黒と銀」の組み合わせがいわゆる「ブラックチョコレートと銀紙の関係」でポイントを高めているわけですよ。シビレるわぁ。私は白いレッグシールドがどうも好きになれないので普通のスーパーカブは正直苦手なんだけど、この黒いモデルだけは特別だと思う。正直、スーパーカブに乗れるなら愛車はこれにしたい!とさえ思う。



販売中

売ってた




走行距離1万2千キロの中古車が11万円とな。自賠責5年にして任意保険に入ってゴニョゴニョ、とやったら15万円ぐらいで乗り出せそうである。無駄にエレキ原付買うよりも、むしろこっちの方がよくないかい?購入後にはボロボロと故障しそうだけど、まごうことなき黒いスーパーカブに乗るチャンスじゃなかろうか。

ちなみにクソミソにけなされてるモデルですけど当時としては割と普通に正常進化しています。まず最初にとりあげる大事なポイントですが、メーターパネルに燃料残量計があります。



メーター

スピードメーターの下にガソリン残量を示す針がある




私も過去には燃料残量計が無いスクーターに乗っていたことがありますが、割とストレスが溜まります。ガソリンを満タンにしてガス欠するまでのおおよその距離を把握しておいて、給油する度に「次回は走行距離が○○kmになる頃にガソリンスタンドに行く感じだな」とか思う訳ですが、記憶力がおちてくると前回給油した時のオドメーターの表示なんて覚えていないし、次はナンkmに達する頃にスタンドに行けばよいかも思い出せないのである。

だからこの、スピードメーターと一緒にガソリンの残量表示があるというのは割と大事であります。満タンにすれば針は右にゆき、走行しているうちに左に傾いて行く。針が赤いゾーンに達したらガソリンスタンドに行けば済むわけで、難しい事は考えなくてよいのだ。

これを当たり前だと思ってはいけない。昔のスーパーカブなんて、ガソリンの残量計がイスの下にあったりするのだ。止まってシートをめくらないと見ることが出来ない残量メーターなんて、もはや意地悪レベルの変化球ではないか。



むかしのカブ

シート下に残量メーターって不便すぎる




それ以外にも、このサンディロホンダ製カブはウインカースイッチが左手操作を採用しています。これも当たり前だと思ってはいけない。



左手ウインカースイッチ

スーパーカブ50(AA04)はウインカーも左手操作




昔のスーパーカブは、あろうことかウインカースイッチが右手側にあった訳ですよ。しかも縦にスライドする操作。上にスライドさせると右のウインカー、下にスライドさせると左のウインカーが点滅。ウインカーを消す時は指で上下から真ん中に戻す。右折時はブレーキとスロットルとウインカースイッチを同時操作ですよ。普通に頭おかしいレベル。百歩譲って、右手操作は良いけどなぜスイッチが縦スライドなのか意味が分からない。シンプルに横スライドにしてくれよ・・・マジで・・・

さらに、これは好みの問題ですがヘッドライト&フロントウインカー周辺のデザインがちょっと角ばったのと同様に、リアの灯火類もデザインが「私が胸をおどらせる感じ」に仕上がっております。当時はすごい評判悪かったけど、私は個人的には好きでしたぞ。



リア灯火類

かっこいいリアデザイン




という訳で、前回のモモ通では「エレキが最適解」とか言い放ったくせに、舌の根も乾かぬうちに中古バイク検索サイトでスーパーカブ50(AA04)の黒をこっそり隠れてチェックしているのだった。まあ総合的に判断すると、よりによって評判の悪かった型を中古車で買うなんて言うのはアホの極みであり、確実に維持管理にお金がかかって絶望するパターンなのは目に見えております。これはヤメておくべきだろうなあ。



黒のAA04

間違いなく維持が大変な奴




いつも言っていることですが私はスピードを出すことには憧れがコレっぽっちもないので、別にスーパーカブ50が非力で遅くても構わないのであります。繰り返しになりますが今の私は排気量50cc相当の原付しか興味が無いのであります。家族にオートバイに乗るのを猛反対され、結局ナイショで自動二輪免許を取得した私ですから、まあスーパーカブ50なら仮に乗っていることが家族にバレたとしても「これは原付だから、学生時代に乗ってたスクーターと一緒だから」という理屈でごまかせるんじゃないか、というのもあります。

でもなあ。スーパーカブ50で「ご近所ちょい乗り」は使い方としてヤバそうな気がするんだよなあ。やっぱりエレキ原付にしたほうがいいのかなあ。悩みは尽きない。










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