モモンガ通信2023年(第3期) ヴェノーヴァとかフルートとかオートバイとか・・・のどかさんの日常ヨタ話


2023年第2期 ← モモンガ通信 2023年第3期 → 2023年第4期



#46
2023年7月2日(日)
「フルート演奏報告」


さあ7月に突入いたしました。はやいもので今年も半分が終わったという事ですよ。

昨年11月の終わりに交通事故にまきこまれ首と左腕を負傷するというアクシデントがあったため、今年は非常に重苦しいスタートでありました。肩も上がらず寝返りも打てずという状態で年末に突入、非常に冴えないお正月を迎えたのでした。

その後首と腕はどうなった?という話も気になるところですが、実はまだ治っていません。というか、治療費の負担をめぐって保険会社とモメている最中でございます。まだ日常生活に支障をきたす状態で苦労を強いられているにもかかわらず保険会社が治療費の支払を終了させてくれと言ってきたので温和な私もさすがに「それはあまりにもヒドくないか」と異を唱え、今なおすったもんだの真っ最中です。



診断

まだ治ってないよ!





教訓としては、交通事故に遭ったとしても保険会社はちゃんと治るまで治療費を負担してくれるわけではないという事実を体感したという点でしょうか。マジで交通事故なんて遭ったらそれだけで丸損、なんのメリットもありません。まあ事故に遭いたくて事故に至る人などいませんから、これはもう神様のきまぐれで人生は一瞬で狂うという人間の運命であります。

以前にもちょっと触れたかもしれませんが、私は文字を書くのも絵を描くのも箸を使うのも正真正銘の右利きですが、「ドアノブを操作する」「水道の蛇口をひねる」「スイッチを押す」「ダイヤルをひねる」「財布からお金を出して支払う」といった些細な動きで無意識に左手を使います。モールスの電鍵も左手。あと投球も左。これは小学1年生の時に右肩を骨折してうまく治らず、歪んだ状態で固定してしまったので、右で投げられなくなったという悲しい過去があります。

左手負傷のダメージは計り知れなくて、フルートの練習が完全に失速しました。そもそも痛くてフルートが構えられない。3月半ばぐらいからようやく演奏を再開しましたが、腕は重だるく首は張り手はシビレて1時間ももたないレベル。マズい展開です。それでも師匠から「うちの生徒みんなで演奏会やろう!」と誘われて奮起しました。私の処女作"本牧Deep Blue"を初めてオーディエンスの前で演奏するというチャンスですから、ここは本気を出していこうと決意したのであります。

そして先月の18日(日曜日)、東京さくらトラム(都電荒川線)の走る街で我が師匠の門下生が揃って演奏会が開催されました。

おもいっきり話がそれるけど私は都電荒川線には深い思い入れがあります。幼少時の私が「将来、行きたいである」と漠然と憧れた大学が東京外国語大学であった。2000年に府中市に移転するまで北区西ケ原にキャンパスがありまして、成長し高校を出て将来は研究者になろうと志した私は山手線の大塚駅から都電に乗って通ったのですよ。

都電荒川線には「面影橋」という停留場があって、橋自体はナンていうこともないコンクリートの橋なのですが、幼少の頃から「おもかげばし」という響きになんともいえない風情を感じていました。今年のゴールデンウィークに川崎市幸区の「夢見ヶ崎動物公園」にマーコールを見に行った話をモモ通に書きましたが、その時にちょっとだけ太田道灌の話をしましたよね。あの太田道灌の「山吹の里」の逸話はこの面影橋あたりが舞台だそうで、山吹の里の石碑があります。

私の好きなフォーク・グループ「N.S.P」に曲名がずばり『面影橋』という曲がありまして、アルバム「風の旋律」(1979年リリースの12枚目のアルバム)に収録されております。率直に言って歌詞も楽曲もN.S.P史上もっとも暗い絶望的なアルバムのひとつですが性格の暗い私には絶妙に波長がシンクロするのです。『面影橋』は学生時代をまざまざと思い出させる個人的名曲です。私がしばしば引用するフレーズ


「心のままに生きたとしても幸せとは限らない」


という2番の歌詞が今なお心にしみるのであります。ギターを構えるとつい指がAマイナーを押さえて口ずさんでしまう。あらためて歌詞を追うと今どきだとつい「これは不倫の歌じゃないのか」と解釈してしまいそうですが、あれは青春時代の辛い恋の歌だと思っていたいよ個人的には。

あと、これまた私の好きな八代亜紀も『追憶の面影橋』という曲を歌っています。作詞が喜多條忠ということで世界観はモロに『神田川』風味ですがコレがまた青春時代の記憶がよみがえってくるような良い曲ですのよ。喜多條忠の話になるとまた語り出すと止まらないのでこのぐらいにしておかないと、フルートの話に戻らない。放っておくと私はいくらでも脱線する。脳みその構造が根本的に壊れてるんだと思う。



東京さくらトラム

オシャレになったカラーリングだZE




こういう話題になると「むかしは横浜の六角橋に横浜市電の停留場があって」みたいな話を延々と続けたくなる。市電が廃止されたのち、軌道に敷かれていた御影石は神奈川大学の横浜キャンパスで再利用されて・・・的な話を続けたくなってしまう。どうにもとまらない。

六角橋といえば横浜好きの私が最も愛するエリアのひとつであります。私の人生とは切っても切れない大切な場所です。私がパイプたばこの手ほどきを受けたのは六角橋商店街の「仲見世タバコ雨宮商店」であります。ここのご主人がパイプタバコの葉の詰め方から最後まで上手に吸う方法まで丁寧に教えてくれたのだ。パイプをはじめてからいろいろな人と妙な人脈が出来上がって気が付いたら私もパイプ雑誌に記事を書くまでになったのだから人生というのは本当に訳が分からない。そもそも世の中にたばこの雑誌がある事なんて普通の人は知らないしパイプの雑誌なんて喫煙者ですら見たこともないであろう。もうたばこはヤメてしまったけれど、卒業記念にこの六角橋の店で買ったパイプだけはまだ手元に置いてある。あ、なんか話がまた脱線してきた。六角橋といえば神奈川区。そう、何が凄いって横浜市神奈川区の存在ですよ。住所の表記で


〒221-0045

神奈川県横浜市神奈川区神奈川


という凄まじい「神奈川」ジェットストリームアタックをかけてくる地区があり、途中で「横浜市」を中継ぎ登板させてしまったのが惜しいと感じさせるレベルの完成度ではないかといつも思ってしまう。普通、住所表記ってだんだんとピンポイントに絞り込んでゆくのがセオリーなのに、いったん横浜市と明確なエリアに限定しておきながら再び「神奈川区」という県名とモロかぶりな「おおざっぱなワード」を繰り出してきて、こちらがひるんだ隙にラストも「神奈川」でしめくくるという、もうちょっと工夫して何とかならなかったのか的な感じのエリアがすごく私の魂をゆさぶる。

という具合に私の話はどんどん変な方向に飛んで行ってしまうのだった。こうなるとどこまで話が脱線するのか収拾がつかない。肝心な話がまったく進まない。ここで全ての誘惑を断ち切ってフルートの演奏ネタに話を戻さなければなるまい。

ちょっと話は前後しますが私は尻に火が付かないと集中力を発揮できないというか、ギリギリになってから慌てるタイプのダメっ子どうぶつです。学生時代も「試験前になると普段やらない部屋の片づけを始める」という謎の行動をしがちな人生でした。今回の演奏会も同様で、4月から5月にかけてはあまり練習が捗りませんでした。そろそろ真面目にやらないと間に合わないなあ、と思いながらフルートを持ってカラオケボックスに練習に行くわけですが、イマイチ集中できない。本番が迫ると分かっているのに、そういう時に限ってほかの楽曲を演奏したくなったりする。どうせ集中できないなら今日はちょっとストレス解消していくか!などと現実逃避して、ついカラオケで


『ゴーショーグン発進せよ』


をセレクトしてマイクを握って熱唱してスッキリして帰宅。で、家に帰ってから「今日わたしは一体何をやっていたんだ」と頭を抱えて激しい自己嫌悪に陥るという感じでありました。ちなみに『ゴーショーグン発進せよ』っていうのは昔のロボットアニメ「戦国魔神ゴーショーグン」のオープニング曲です。ちょっと意味不明な歌詞なのですがなんと作詞は荒木とよひさですよ。すごい守備範囲で活動していたのを証明しています。作曲はあかのたちお、歌っているのは藤井健(←素晴らしい歌声が魅力)。割とマジで名曲ですので興味ある方はYouTubeで検索して聴いていただきたいと思うよ。

まあそんな生活をしていたせいで5月半ばのリハーサルでは爆死しました。これはヤバいということでようやく練習に本腰を入れて、ギリギリまで悪あがきをしつつ演奏本番を迎えたのであります。



会場

演奏会場に到着




師匠の門下生は多くがサクソフォン奏者でありまして、あとはヴェノーヴァ奏者とヘソ曲がりのファッション・フルート奏者(←私だ!)という感じです。バックを固めるのは師匠のバンドのメンバーの皆様。まあ、端的に言えば私のオリジナル楽曲『本牧Deep Blue』がプロのバックバンドによる演奏&師匠のフルートハモリ入りという超絶豪華エディションで初ステージ披露という事になります。実にありがたい機会ですよ。

自作自演のオリジナル曲を、プロの演奏によるサポート付でこの世に発表するというのは誰もが経験できる事ではないと思います。そういう意味で私は「この世の全ての富を手に入れた」のと同じぐらいのプレシャスな時間を過ごしたのであります。正直、夢のような経験ですよ。



演奏

こんな雰囲気でステージに立ったエゾモモンガ




まあ正直言って本番の演奏はイマイチでした。案の定「本番に弱い」という私の特性がいかんなく発揮されてしまいミスも連発。サクソフォンやヴェノーヴァに較べるとフルートって圧倒的に「楽器そのものの音が弱い」わけですよ。弱音楽器なのですよ。ステージでは自分の音が想定していたよりも聴こえにくかったこともあって苦戦したというのが実情であります。

とはいえトークでは笑いも取れたのでヨイかな。

他の出演者の皆様も日ごろの練習の成果を見事に披露して堂々たるステージ。人にはそれぞれの音楽の世界があるのだなあと実感しながらさまざまな楽曲を楽しんだ一日でした。

夜は打ち上げに突入。出演者みんなで互いの健闘をたたえ合い、音楽トークに花が咲いたのでした。私はヴェノーヴァ奏者チームに取り囲まれて

「なにシレッとフルート吹いてんのさ?」

とデビルマンばりに裏切り者の名を受けて土下座してました。「二刀流」ということで勘弁してもらった。このままハブられるのを覚悟したら「次は一緒にヴェノーヴァやろうよ」と声をかけてもらったので涙が出るぐらい感動した。友達のいない私にとって、そんなふうに誘ってもらうのは夢のような気分であります。あなた方はいい人たちだ。全員まちがいなく天国に行くことが約束されてるわ。

かくして、非常に満ち足りた幸福な一日が終わったのでした。音楽だけは続けていてヨカッタと本当に思うのであります。6月18日は私のフルート奏者としてのデビュー日ということにしたいと思います。折しも今年は私がカトリック教会で洗礼を受けて20周年という節目の年であって、「受洗20周年プロジェクト」の一環としてフルートでステージデビューを果たしたことは大変意義深いものがあると感じております。こういう喜びを通じてまことの神の愛というものを知り、あらためて我が主イエス・キリストに感謝しつつ、この世に愛を伝えるために今後も強く生きていこうと決意するのでありました。オレ、タチ、カリタス。これからも「生きる月刊カトリック生活」をモットーに神の愛の伝道師として歩んでいきたいものです。

今年の後半もあれやこれやに一層励みつつ、充実した日々を送りたいと思います。










#47
2023年7月6日(木)
「尊い命を預かる資格のない私が『多頭飼い』する話」


私は幼少の頃より動物園が大好きでありました。といっても生き物は全部OK、などという博愛主義者でもなかった。私の守備範囲は哺乳類に限られてました。百歩譲って鳥類まで。ヘビとかトカゲとかはもちろんのこと、虫のたぐいも一切ダメでありました。爬虫類だの両生類だの魚類だの、軟体動物だの節足動物だの、全部アウトです。気持ち悪くてダメ。ストライクは哺乳類だけ。なんというゾーンの狭さでしょう。

これは今も変わりはありません。鳥類は昔ほど怖くなくなった、というのはありますが、それでも鳥の脚を見るとやっぱりちょっと不気味な気がする。

そんな幼少期のある日、隣の地区のナントカさんのお宅でウサギの赤ちゃんが生まれました、という話をきいて母親と一緒に見に行った。真っ白な赤ちゃんウサギがいっぱいいた。とても小さくてふわふわで誠に美しかった。私は母に「ちゃんと面倒を見るから飼いたい」とねだって、赤ちゃんウサギを連れて帰ったのだった。

ウサギは15年一緒に暮らしました。とはいえいつも庭に穴を掘って脱走を試みるという「阿呆」で、脱走に成功しても遠くに逃げおおせて行方知れず、という訳ではなく隣のウチの車の下にもぐりこんで出てこない、みたいな「お前はいったい何がしたいんだよ状態」の繰り返しでした。食べてるか寝てるか穴掘ってるか、という単純な生活を延々と続けていましたな。老衰でさいごは起き上がることもできなくなって、死んじゃった時は本当にショックでした。

以来、動物は飼っていません。自分よりも先に死んでしまう動物の命のはかなさがあまりにも胸にしみてしまい、ペットを飼うことは(自分の性格では)もうできないと痛感したのです。

とはいえ動物が好きなのは今も変わらず、動物園に行ってケモノたちのにおいをかぎながらノホホンと眺めて過ごすのが最大の喜びのひとつであります。今年のゴールデンウィークに神奈川県川崎市幸区にある「夢見ヶ崎動物公園」に行った話をモモ通に書きましたが、現役で仕事をしていた頃はサンシャイン国際水族館(当時)の年間パスポートを所持してミナミコアリクイのタエちゃんを見に通ったものです。上野動物園の年間パスポートも持っていた。上野ではまだオオアリクイのガンコちゃんが存命中だったのでランチタイム(アリクイのエサやり時間が決まっている)に合わせてお弁当持参で出かけていって、デートしてる気分で食事の時間を共にしたものです。アリクイが長い舌をニョロニョロと出しながら透明のボトルに入ったペースト状の「アリクイごはん」を食べている横で私はコーラを飲みながら「私ホント幸せ」とか言っていたのですよ。オオアリクイは人気がないのでほぼ私が独り占めしていたわ。

動物園と並んで好きなのは牧場ですな。オートバイで八ヶ岳山麓に行くのが私の最上の気晴らしでしたが、野辺山高原牧場はお気に入りスポットでした。牧場であの独特の「牧場のにおい」をかぎながらくつろぐひと時はまさに天国の先取り状態という心地がしました。

牧場でヤギだのヒツジだのロバだのポニーだの、あるいはウシやらブタやらがいるリラックス空間は幸福感がスパークして、もうたまりません。オーストラリアの広大な牧場で牧羊犬が走りまわって上手にヒツジの群れを誘導する風景とか最高でしたよ。

そんな私は幼少時から動物のぬいぐるみが大好きでした。聞くところによると赤ちゃんの頃からタオル地でできたぬいぐるみを持って離さなかったという。着せ替え人形の「リカちゃん」よりもフサフサとした毛で包まれている動物のぬいぐるみのほうが好きでした。ウサギのぬいぐるみは一体いくつ持っていたか分からないレベル。そしてどこに行くにも持ち歩いていました。

動物園に行けば売店で動物のぬいぐるみを買ってクレとねだる。そんな訳で私の部屋はぬいぐるみで溢れていました。お気に入りをバスケットに入れて持ち歩き、夜寝る時は自分の周りに敷き詰めて布団に入るという生活を社会人になるまで続けていました。

ハタチぐらいの時に親から「ぬいぐるみ禁止令」が出て買い増しすることが許されなくなったのですが、友達が「シベリアンハスキー」のスリッパをプレゼントしてくれたのだ。アニマルスリッパというのが流行ったのです。母親には


「これはぬいぐるみじゃなくてスリッパだからセーフ」


という理論武装でルール違反の判定をまぬがれた。どんな「法」にも抜け道は有るのだと学んだあの頃。シベリアンハスキーのスリッパは並べておくと仲良しの2頭が寄り添っているようにしか見えず、私は「ポチ」と「パッキー」と名付けて事実上ぬいぐるみと同様に可愛がっていた。むろん、スリッパとしては使用していない。

私は漫画は読まないのでよく知りませんが1980年代の終わりごろから90年代にかけてマンガ作品の影響でシベリアンハスキーが大ブームとなりました。もともと極寒の地域で犬ゾリを引く犬種ですから気候も違うし都市部では十分な飼育場所も確保できない日本の地で安易に飼えるわけがない。日本人の悪い癖でブームになるとそれをチャンスに金儲けする奴が必ず現れて、さらに悪いことに踊らされるミーハーも大量発生。数年後には「手がかかるので面倒を見きれなくなった」との安直な理由で多数のシベリアンハスキーが保健所送りになりニュースで報じられた始末。ほかにも消費者金融のCMの影響でチワワが流行ったり、振り返ればいろいろな犬のブームが突発的に発生しては消えている。ゴールデンレトリバーやミニチュアダックスフントなど、ブームが下火になった後の結末はみな「保健所送り」ですよ。現代日本人の良くないところだよ。生き物は安易な気持ちで飼っていいものではない。尊い命を預かる覚悟がいるのを忘れてはならぬ。

さて、私はヤング時代は旅に明け暮れ家におらず、底辺仕事をしていた頃は生活に困窮し、現在は頭をヤラれて自分の命をつなぎとめるのがやっと、という状況ですから、ペットなど飼う余裕があろうはずもない。必死の思いで住居と衣服を確保し自分ひとり分の食費を捻出して体調の様子をみながらカツカツの暮らしをしているのです。文字通り「自分の介護におわれている」というのが実情ですから動物など飼える訳が無い。すべて動物園にお任せして、自分はそんな動物園をたまに訪ねて感謝しながら一巡りするぐらいがちょうどいいのだ。

それにつけても実に腹立たしいのは、かつて一大ブームで脚光をあびて人気を独占した犬のシベリアンハスキーが今は「バカ犬」的なレッテルを貼られているという真実であります。YouTubeでおすすめにあがってきたネット用アニメ作品(?)で犬が出てくる内容のものを見たのですが、ハスキーが露骨にオツムの弱い「オチ担当キャラ」の扱いでひどい描かれようであって、作者としては「ネタ的に冗談として受け止めろと」いう事なのだろうが私もいささかムッとしたのであります。

まつ毛も鼻水も凍り付くような極寒の地でソリを引いて人のために尽くしてきた犬をただのバカ呼ばわりはひど過ぎるではないか。神が造りたまいしイヌに対してその物言いは厚顔無恥、不遜にもほどがある。ハスキーをバカにするお前は氷点下40度、50度の世界でソリを引いて何百キロも走れるのかよ!!と言いたい。

人間にも人それぞれ得手・不得手があるのと同様、犬だって得意・不得意があるのだ。「飼育に手がかかるバカ犬だろ」とか平然と言い放つクズ人間はアリクイの爪を舐めて出直して来いと言いたくなる。

私は「ぬいぐるみ禁止令」が出たのちに就職して箱根の関を超えて東海地方の街に赴任しました。休日は自転車旅三昧の生活を送っていました。当時北海道の網走にあった「やまね工房」のエゾモモンガのぬいぐるみに魂を抜かれてしまい


「本日をもって、エゾモモンガに限ってぬいぐるみの所持を許可する」


という自己ルールを制定して購入し自宅に連れ帰ったのであった。ぬいぐるみ作家、落合けいこさんの「やまね工房」は惜しまれつつぬいぐるみ製造販売の歴史に幕を閉じましたが、エゾモモンガは宝物ですよ。

また、サンシャイン国際水族館(当時)でミナミコアリクイのタエちゃんが脱走する事件が起きてこんどはミナミコアリクイに魂を抜かれてしまいぬいぐるみが増殖。

そうこうしているうちに、ぬいぐるみ禁止のルールは事実上崩壊して「もふっとオオカミ」シリーズが怒涛の勢いで部屋に侵入、今は完全に「ぬいぐるみ屋敷」に戻ってしまいました。私の心の健康のために仕方がないのです。

私のオオカミ好きは子供の頃に読んだシートン動物記の『オオカミ王ロボ』の話あたりから始まっていると思いますが、定かではありません。物心ついた頃には好きな動物でした。ゆえに「もふっとオオカミ」の破壊力はすさまじいものがあります。高さが40cmもあるオオカミのぬいぐるみが部屋にあふれております。もう数はわかりません(数えるのをやめた)。



もふっとオオカミ

ツンドラオオカミのカムちゃん




この「もふっとオオカミ」のシリーズは脈々と続いて今なお新ラインナップが増えるありさまで、さすがの私もコンプリートする気はありません。気に入ったものだけ選んで入手しています。そもそも「オオカミ」と謳っておきながらキツネだのジャッカルだのコヨーテだのイヌだのが割とスムーズにシリーズに追加されてゆく時点でキリがないのです。キツネは欲しくないよ。北海道をツーリングしてるとき、キタキツネは割と本気で怖かったですからね。エキノコックスに感染とか勘弁願いたい。

期待通りといいましょうか、「もふっとオオカミ友達来たよ」というシリーズが登場した時に「シベリアンハスキー」もラインナップに加わりました。


もふっとオオカミ友達来たよ
https://www.amunet.co.jp/media/2020/11/02/758



友達来たよ

友達のシベリアンハスキーだよ




友達が来たという設定は実にうまいこと考えたな。法の抜け道ここにありって感じじゃん。友達ってことにすれば何でもアリになりそうだ。ということで、シベリアンハスキーのツンドラーを入手したのは言うまでもない。



ツンドラー

ああ、その柄できたか、という感じ




ボディが白とグレーのツートーンカラーで目が青いという属性は私の好みにドンピシャというか超ド真ん中ストライクですから、もう可愛くてたまらない。これは、良いものです。私の心の健康のために、実に良いものです。「ぬいぐるみ療法」ですよ。ということで・・・



増えた

カップル成立!!




増えたよ。増やしたよ。理由は聞かないで欲しい。ぬいぐるみも単体だと「さいごの一頭」みたいで可哀想に見えてきちゃうんだよ。「つがい」の状態にすると、今後も繁殖していく希望が持てて安心感があるのだ。このあたりが、私がキチガイたるゆえんであろう。思考回路が正常じゃないよね。いちおう自覚があるからまだマシなんだと思う。本当に頭おかしい人は、自分の思考回路がどこか変であるという自覚すら無いですから。私は比較的冷静と言うか、節度をわきまえた常識ある狂人といったところでしょうか。自宅でひっそりとやってる分には誰にも迷惑かけないですからね。



また増えた

交尾して生れた・・・のか?




その後シベリアンハスキーの「シベリーヌ」が登場して、なんかちょっと色が違うモデルなのですが「シベリーヌ」という名前が妙に私に響いてしまい、我慢できなくなって入手。こちらはひとまわりちっちゃいサイズです。「もふっとオオカミ」はサイズが何種類もあって、うちの部屋に陣取ってるのはほぼ全てがBIG(一番大きいモデル)ですが、携帯電話のストラップには小さいモデルをぶら下げたりしているのも事実であります。つまり全種類・全サイズをコンプリートしようなどとは考えてはいけないシロモノであります。本当にキリがないし部屋が大変なことになります。



家族

幸せ家族




という訳で私の部屋は「多頭飼いで崩壊しているダメなブリーダー」のような状態です。本当の犬だったら大変な騒ぎですが、ぬいぐるみだから個人が家でひっそりと隠れてやっている分には誰にも迷惑をかけることもない「人畜無害」な趣味と言ってよいのではないでしょうか。ちなみに寝る時は別のシリーズ「くったりシベリアンハスキー」のぬいぐるみを抱いております。

冗談抜きに人には見せられない部屋となっています。壁一面ぬいぐるみとか、本格的にヤバいです。まあこれも夏の怪談のひとつとして軽く聞き流していただければ幸いでございます。

本人としては「買い増しするのはそろそろ打ち止めにしよう」と思っていますが、果たしてどうなることやら。










#48
2023年7月10日(月)
「ハスラー特務隊仕様」


私は「旅の相棒」としてオートバイをこよなく愛する者であります。「少年の心を持ったおばさん」ということで車も大好きです。スポーツカーだけじゃなくて消防車とかバスとかトラックとかショベルカーみたいな働く車も好き。付け加えるなら鉄道も航空機も船舶も好きです。けっこう微妙に好き嫌いのラインが存在していて、たとえば潜水艦は好きですが宇宙ロケットには興味がありません。ヘリコプターは好きですがドローンは嫌いです。ガンダムよりゾイドの方が好きです(←そんなの超どうでもいいってば)。

状況が許されるなら車に乗りたいとは常々思っております。大きいオートバイに乗る気がないのと同様、車も小さいのが好きです。むかし流行った、アルトやミラのような軽ボンネットバンのマニュアルシフト車が好きです。

あとは漠然と「小さいオートバイが積めるような箱型の軽バンに乗りたいなあ」という夢を描いたりします。50cc時代のホンダ・モンキーのような小さいバイクを荷台にのせて、車でどこかの高原にでも出かけて行って、現地に着いたら荷台からバイクを下ろしてゆったりと散歩するようにのんびりツーリングを楽しむ、といったスタイルを楽しめたら最高だろうなあと妄想をしている次第です。

しかし現実問題として車を買うのは今の私の暮らしでは到底不可能であって、まず駐車場を借りなければならないし(品川区五反田周辺で月極駐車場を借りようとすると屋根なし物件ですら4万円ぐらいする)、それにプラスしてガソリン等諸々のランニングコストおよび税金&メンテナンス関連(車検とか)の維持費がかかることを考えれば「どうあがいても無理」なのは明白であります。

いざ使おうとすると車内が臭くて汚いカーシェアなんて不潔すぎて絶対に利用したくない。不潔きわまりないカーシェアと比較すれば断然マシなレンタカーも借りる時の事前の手続き(ボディの傷チェックとか)が激しく面倒だし返却時間に追われて焦って運転するのも精神的によろしくない。

というわけで車は乗りたいけどそんな贅沢は許されなくて辛い、みたいな重たい気分を引きずって生きてきたのであります。

ところが先日、あからさまに血迷った衝動買いのような感じで好きな車のミニチュアを入手したら非常に満足しまして、端的に言えば「クルマ物欲」が忽然と消失したのであります。まあそこまで言うとちょっとウソっぽいけど、好きな車のミニチュアを毎日飽きもせず眺めていると


「どうせ車は乗りたくても乗れないのだから、あとは気持ちを切り替えてオートバイに乗ることに持てる力の全てを注ごう」


という気分になったのであります。ここで重要なのはどうでもいい車のミニチュアではなく「もしも許されるなら本気でコレしか乗りたくない!というレベルの一番好きな車」のミニチュアを入手して飾る事です。私が好きなのは古い車ばかりですから実車に乗るのは現実問題として無理だけど、よくできたミニチュアを見ていると心が存分に満たされる、というところが重要であります。



ミニカー

永遠の恋人パルサーエクサ




好きな車を1台だけ挙げろと言われたら発狂します。好きな車、というだけでキリがないレベルでいくつも候補があがってしまいます。たとえるなら「ビートルズで一番好きな曲をひとつだけ挙げろ」と言われるようなものです。そう簡単に答えられるものではありません。ですが私は文字通り全身の毛が全て抜け替わるほどに迷いに迷って考え抜いた挙句、


「好きな車と言ったらやっぱり日産パルサーエクサという事になるねえ」


と結論づけたのであります。ちっちゃくてカクカクしたデザインの2ドアのクーペでスーパーカーブーム世代なら胸がときめくリトラクタブルライト装備で、そのうえ私の大好きなフェンダーミラー仕様ですよ。フェラーリ512BBやR30スカイラインを思い起こさせる赤黒のツートーンカラー。私の「好き」要素が全て詰まっている車はこの初代パルサーエクサが唯一無二です。もう40年以上前の車ですから程度の良い中古車を入手して大切に乗り続けることなど絶望的に不可能です。でも、ミニチュアなら鮮烈にデビューした当時の姿そのままでいつも手元に置いておけるのだ。実車はなくても満足感は相当なものです。



ミニカーコレクション

好きな日産車を3台集めたよ




一番好きな初代パルサーエクサ(1982年 一番左)のみならず二代目エクサ(1986年 真ん中)およびNXクーペ(1990年 右の黄色い車)の3台をコンプリートしたら私のセイシュンは完全に網羅されてしまい、言わば「この世で個人的トップ3の車をいつも手元に置いて眺める生活」が実現してしまったので、もう車は無理して買わなくても充分満足だわ!という「明るい気分で爽やかに諦める」境地に達したのであります。

あとはもう気分をスパッと切り替えて、身の丈にあったオートバイを所有することが出来れば何も要らないや!という割り切りが可能になりました。今後は持っているリソースを全てオートバイ購入&維持に注いで、再びバイクとともに旅する生活を取り戻せたらそれでもう充分です。

とかなんとか言いながら、やっぱり街を走る車でちょっと良さそうだな、という車種を見かけると「おっ!」となるのは抑えられません。もう自分が買う事はないものの、偶然出会う「魅力的な車」には目が行ってしまう。これはある意味、仕方ないですよね。

最近私が好きなのは「見た目に愛嬌があって、ついこっちの顔も緩んでしまうような優しい顔の車」です。現代の流行なのかデカくてイカつい顔、やたら威圧感のある顔、怒ったような目つきの顔の車が実に多いので、ホンワカした「のほほん顔」の可愛い車を見るとホッとします。ダイハツのムーヴキャンバスとか、スズキのラパンLCとか、スズキのハスラーが好きです。


ダイハツ ムーヴキャンバス(公式)
https://www.daihatsu.co.jp/lineup/move_canbus/

スズキ ラパンLC(公式)
https://www.suzuki.co.jp/car/lapin_lc/

スズキ ハスラー(公式)
https://www.suzuki.co.jp/car/hustler/


で、今日の話はスズキのハスラーですよ。私はスズキ・ハスラーというと自動二輪のほう(昔のオフロード車、TS50ハスラーとか)を思い浮かべてしまうのですが、今は四輪のハスラーが大人気です。可愛いルックスの初代が空前の大ヒットとなり、モデルチェンジした後も「可愛い路線」はしっかりと引き継がれており街でもよく見かける素敵な軽自動車です。

使い勝手の良い遊びの道具としてオーナーの趣味にあわせて自由自在に活用できるイメージを前面に打ち出して、カラフルなボディー色バリエーションを展開しています。



トップページ画像

公式ページの画像を引用




これは車の性格にもピッタリな戦略で実に良いと感じます。その昔、猫も杓子も白のハイソカーを選ぶっていう時代があったことを思い起こせば、街をカラフルに彩る可愛い車というのはそれだけで価値があります。世の中は明るくしないと駄目よ。世の中には「売却するときに買取価格が下がりにくい色を選ぶ人」というのが一定数いるらしいけど私にはちょっと理解できません。買い物をする時に「リセールバリュー」を考慮した事などただの一度もないわ。みんなが自分の好きな色の車に乗って街の色彩が豊かになれば気分も明るくなるわ。

ということで見かけるハスラーはほとんどがオーナーの個性あふれるボディカラーをまとっているという印象があります。しかし。どこが本拠地かはわかないけど近所で白いハスラーのオーナーさんがいるようで、ウチの周辺を徘徊しているとボディカラーが白のハスラーを見かけるのです。これが実に渋い。



白いハスラー

公式ページの画像を引用




不思議な存在感があるのです。普通、とりたてて凝った装備をしているとは思えない白い車を見ると、どこかの会社の営業担当者が乗る車のように見えるのが世の習いであります。しかしこの白いハスラーには商用車や営業車っぽい雰囲気は感じられず、むしろ「何か特殊な任務をおびた機関の専用車両」の如きたたずまいです。本来であればツマらない色であるはずの白がめちゃくちゃカッコよく見えるのです。たとえるなら『機動戦士ガンダムAGE』に登場したガンダムAGE-2特務隊仕様の雰囲気ですよ。「この白いハスラーはスペイン治安警備隊で制式採用している車両です」と言われたら割と本気で信じるレベル。



黄色ツートーン

普通ならカラフルなのを選ぶ







白

どう見ても特殊任務をおびた車両




ちょっと話はそれますがハスラーにも数種類のグレードがあり、一番下のグレードを買うとヘッドライトはハロゲンバルブ仕様、上位グレードにはLEDライトが採用されています。私の個人的な趣味嗜好で単なる「好き嫌い」を言わせてもらうとハロゲンバルブの光のほうが好きです。LEDの白い光って「やたらまぶしいクセに実際に照らす能力はたいしたことがなく、しかも光の届く距離も拡散範囲も狭い」という印象があります。ハロゲンバルブのライトは電球がある日突然切れる可能性があるけれども、その光は対向車から見てもまぶしくないし、運転手からすると遠距離まで広範囲で照らして非常に見やすいと感じる。どちらか好きな方を自由に選べるなら私は旧来のハロゲンバルブのライトを使いたいなあ、と思う。

しかしLED仕様とハロゲン仕様では外見が大きく変わってくるのだ。ここが極めて重大なポイントですよ。正直、LED仕様のほうがハスラーのフロントマスクは可愛い。今どきの言葉で言うと「目ヂカラ」というのでしょうか、ヘッドライトを目にみたてると黒目と白目の境界がハッキリしてLED仕様のほうが目がいきいきとして良い顔になる。



ライトの違い比較

LEDとハロゲンで顔がこんなに違う




これは非常に悩ましいところです。見た目は大事ですからねえ。でも運転する立場で言うとハロゲンライトを選びたいなあ。ということで、こちらのグリーンはいかがでしょうか。



ボディ色グリーンにハロゲンライト

ハロゲンライトならこっちのボディカラーがいいかも




このダークグリーン(スズキの公式名称はクールカーキパールメタリックZVD)ならハロゲンバルブ仕様でも似合うと思います。これはこれで「イタリア陸軍で制式採用」という雰囲気があって、実に良い。ホイールの色もマッチしてるし、サイドミラーも悪目立ちせず最高です、軽自動車の黄色いナンバープレートも似合うでありましょう。

しかしなあ。ハスラーも一番下のグレード(HYBRID Gの2WD最安モデル)を選んでも、車両本体価格だけで138万7千円もする。今は本当に軽自動車も高くなってしまいました。



価格

軽自動車もずいぶん高いなあ




個人的には車なんて雨漏りしない屋根とエアコンとパワーステアリングさえ付いていればあとは何も要らないんだよなあ。窓の開閉なんてパワーウィンドウすら不要、クランク状のハンドルをくるくる回す昔のアレで充分ですよ。その昔、パワーウィンドウが普及し始めた頃、電動で閉まる窓に子供が首をはさんで窒息死するという事故が多発し、その対応策として「窓が閉まる途中で障害物を検知するとただちに動作の停止および逆方向への窓開放動作に移行する」という前代未聞の無駄装備が標準化されました。そうまでして窓を電動で開け閉めしたいモンですかね?今の車は過剰装備でいけないよ。もっとシンプルにできませんかね?

という具合に、買いもしない車の話でよくそれだけベラベラと語るねえ、と突っ込まれそうな私なのであります。マジでほんとそれ。買えるはずもないものを、いちいち並べて眺めてアレコレ想像をふくらませては一日が過ぎてゆくんだ。控え目に言って頭おかしい。でも本人はこれで幸せなんだ。笑って許しておくんなせえ。










#49
2023年7月14日(金)
「流れる方向指示器」


ここ数年でよく見かけるのが車の「流れる方向指示器」です。シーケンシャルウインカーというものですな。方向指示器の動作は灯火が「点滅する」というのが大原則でありますが、これを「内側から外側に向かって灯火が流れるようにのびてゆく」という流儀で点灯させるものです。

軽自動車でつけている人もいるし中にはオートバイでも使っている人がいるほどです。この流れる動きがたまらないZE!ナイトライダーも真っ青ZE!!というファンが一定数いるのでしょう。

しかし私はあれを見ると『トラック野郎』の世界を連想してしまうのであった。トラック野郎はその昔、絶大な人気を誇ったシリーズ映画であります。私が好きだった菅原文太さんがシリーズ主人公の桃次郎を演じ、そして相棒のジョナサンにはこれまた私の愛する愛川欽也さんが出演していたのであります。桃次郎が運転するトラック「一番星」をはじめ、超絶に派手な装飾をほどこしたトラックがたくさん出てくるのよね。制作したのは東映、ということで現在は東映ビデオが公式に当時の告知映像などをYouTubeで動画公開しています。うむ、なんとも昭和時代の味わいがあって大変よろしい。



トラック野郎 度胸一番星 告知用(東映ビデオ)





なお余談ですが10年ぐらい前にスズキが軽トラのキャリイのCMで「軽トラ野郎」というのを流していました。菅原文太さんとはるな愛ちゃんが出ていて、文太さんが愛ちゃんに

「これでお前も軽トラ野郎だ!」

と声をかけると愛ちゃんが

「野郎じゃない!!」

と返し、最後は「働く男はキャリイだぜ」と締めくくる、なかなかに胸を打つCMであった。文太さんが亡くなる直前ですっかりおじいちゃんになってはいたけれどやっぱりカッコよかったのよね。スズキがこのCMを打っている当時は販促品で「軽トラ野郎」と書かれた赤いキャップやジャンパーがあって、私はひそかに欲しくてならなかった程であります。



軽トラ野郎

当時のスズキ公式から画像を引用




単純に笑えていいCMですなあと思っていましたが、これ、現代だと「働く男はキャリイだぜ」というフレーズに「女が仕事で使っちゃいけないんですか?」などと意味不明な言いがかりをつけて噛みつく自称「女性解放を目指す人権派」の人が現れそうですよね。

フェミニズムの活動家というのでしょうか、やたらと


「ありもしない男女の対立構図をつくりあげ、何かにつけて差別だと一方的に決めつけ、謎の被害妄想を根拠にして声を荒げて自己主張をしまくって世界中の一般人に不快感をふりまく人たち」


がいるのが私には本当に理解できません。想像するに、ああいう好戦的な活動に一度しかない貴重な人生の全てを注いでしまう人というのは青春時代に「楽しい男女交際」を経験できなかったのではないか。個人的見解とはいえ割と真面目に断言しちゃうけど男女が対立してもお互いに良い事なんてひとつもないです。

男女はほどよく仲よくしておいたほうが人生は楽しいのにね。男性から全くモテない暗黒の青春時代を送って勉強し過ぎて頭がおかしくなっちゃって被害妄想をこじらせて男性を敵視していのだろうな。ある意味気の毒な人たちですが、ハッキリ言って世の中には不要な存在です。正直ウザい。

またしても話がややこしい方向に流れてきたので「トラックの方向指示器」に話を戻します。

いまどきの流れる方向指示器はLEDを採用しているのでしょうが、あんなものは電球の時代からあった。乗用車についてはちょっと詳細はわからないけれども、すくなくとも私が子供の頃には外側に向かって3つの灯りがのびてゆく方向指示器をつけたダンプトラックをずいぶん見かけたものであります。私は社会人になるまでウエスタン東京(多摩地区ともいう)の山岳地帯に生息し、奥地に採石場がある関係でダンプトラックが何台も列をなして走る文化圏で過ごしたので覚えているのですよ。「昨日の夜なにを食べたかはパッと思い出せないけど、幼少期の事は鮮明に思い出す」という現象が顕著になってきました。

小学校の帰り道、列をなして爆走するダンプトラックの運ちゃんにピースサインをすると運ちゃんが笑顔でピースを返してくれたものです。あれがすごく嬉しかった。コワモテの運ちゃんが笑顔でピースしてくれるんですよ。楽しかったなあ。映画ほどではないにせよ、そこそこ派手な装飾をしたダンプトラックがたくさん走っていて、私がピースすると両手放しでピースを返してくれるイカしたアニキもいたのだ。

で、トラックの方向指示器で、たとえばリア右側で黄色い四角形が3つ横に並んでいる訳ですよ。そして右折の合図を出すと


まず一番内側の黄色が光る
 ↓
一番内側の黄色が点灯したまま、つぎは真ん中の黄色が光る
 ↓
さいごに一番外側が光り、合計3つが灯る
 ↓
パッと全部消える
 ↓
最初に戻る


という流れで、外側に向かって灯りが流れていったのです。棒グラフがのびてゆく、というようなスムーズな動きではなくて、昭和時代のネオンサインというか、街の明かりがとても綺麗ねヨコハマ、という感じの味わい深い「電飾」でありました。

そんな次第で、私個人としては流れる方向指示器については「かっこいい」とも「ダサい」とも思いません。曲がる方向というか運転手の意図は傍から見てもちゃんとわかる表示方法だから、ケチをつけるほどのものでもないような気がします。ただ単に私はあれを見るたびに「デコレーションしたトラックのアニキ」を連想してしまう、ただそれだけの話です。自分はわざわざ自分の愛車に付けたいとは思わないけど、別に他の誰かが使っていても「トラック野郎みたいっすね!」と感じるだけです。

実際、日産のノートという車にはオプションで「シーケンシャルドアミラーウインカー」というものが用意されているほどです。ドアミラーに「流れる方向指示器」が埋め込まれている。これを付けようとすると4万円ぐらいする。あえてお金を払ってでもこれを付けたい!という人がいる、言い換えれば流れる方向指示器には熱烈なファンがいる、その証拠ですよ。


日産ノート シーケンシャルドアミラーウインカー(日産公式)
https://www3.nissan.co.jp/optional-parts/vehicles/note/exterior/exterior_parts.html#sequentialDoorMirrorTurnSignal



ノートのドアミラー付属タイプ

日産公式から画像を引用




傍から見て「合図が出ているのかどうか分からない」というよっぽどヒドいものでない限りは何でも好きなのを付ければいいと思うのであった。ちょっと話は脱線しちゃうけど、イタリア製のベスパっていうスクーターの古いモデルで、ハンドルバーの先端にオレンジ色の方向指示器がついているのがあり、これが個人的には大好きでした。オートバイでは車体のいちばん外側に位置することになるハンドルバーの先っぽが光るので、前から見ても横から見ても後ろから見ても光っているのが分かる、ゆえに、わざわざ後ろ用に別途方向指示器を付けなくても済むでしょ!みたいな合理性を感じたのですよ。その代わり、バランスを崩して車体を横倒しにするとハンドルバー先端のレンズが砕け散る、ナンなら電球も割れるという危険性も併せ持つという玄人用の装備ですよ。さほど大きくないスクーターを横倒しにする事はほぼ無いですが、そうやって油断してるとやらかすのが世の習いであります。

そもそも「流れる方向指示器」を付けたがるような人は、魂の奥底では「凝った電飾が好き」という属性を持っているはずで、おそらくは右折・左折の合図を出すたびに快感を得ているのではないだろうか。それはそれで良い事だと思うのよ。何しろ最近は「合図を出さない奴」とか「合図を出すタイミングが極端に遅い奴」とかが増殖して、私はウンザリしているのだ。

そう、現代ではむしろ合図を出さずにいきなり曲がる奴とか車線変更してくる奴、あるいは合図を出すタイミングが遅すぎる奴のほうがよっぽど問題ですよ。もしかして「合図を出さずに曲がるのがかっこいい」とでも思っているのか?というようなトンデモドライバーは割と多い。マジで教習所からやり直してクレ。っていうか免許返納してクレ、と本気で思う。日曜午後の公道は本当にカオスすぎてできれば走りに行きたくはない。

まあ「問題のある運転手」っていうテーマになると「右折レーンから直進してくる奴」とか「全然前を見てなくて(たぶんスマホいじってる)、割とヤバいかんじに突っ込んでくる奴」とか「後続車がつかえてるのに譲らず謎の低速で走る奴」とか、いろいろな手合いがいて並べたらキリがありません。

かくいう私も「オートバイで方向指示器を消し忘れる」というのを時々やらかすので、あまり偉そうなことを言う資格は無いかもしれません。自動車だとステアリングホイールを戻すと自動的に合図が消灯するのでこういう事象は起きませんが、オートバイは自分で消す操作をしないと「つきっぱなし」になっちゃうのですよ。後ろの人からしたら「コイツはどこで曲がるつもりなんだ?」という気分になるでしょう。スマン。

あと方向指示器を操作しようとしてホーンを鳴らしてしまうこともあったりする。言い訳するわけじゃないけど車種によってスイッチのレイアウトにビミョーな違いがあったりする訳よ。ちっちゃいオートバイなんてホーンの音も「プピッ!」とかいってショボいので、あれはかなり恥ずかしい。

まだある。冬に厚手のグローブをしているときにやりがちなパターン。左折の合図を出して曲がり終わって、方向指示器のレバーを戻そうとして指の動作が行きすぎてしまい間髪を入れずに右折の合図を出でしまうというアレですよ。やばい!と思って再度レバーを戻そうとしてまた指が行き過ぎて左折に入れてしまう。後ろから見たら何がしたい奴なのかサッパリ分からないであろう。ごめんねごめんねーゴメンネー。人生いろいろあるのよ。まあ、今後も注意して運転したいと思います。

蛇足ですが昔の日産サニー(B12)のハッチバックで「303」「305」「306」というモデルがあり、このリアウインカーが三角形なのが超絶に好きでした。このハッチバックはイエローバルブのヘッドランプを搭載していたりしてマジでかっこよかった。今はイエローバルブのヘッドランプって禁止されてしまったのよね。「安全面で問題がある」ということらしいけど実際にイエローバルブのヘッドランプに乗っていた身としては不便も危険も感じたことはなく何が問題なのか?と不思議に思う。禁止になった理由がサッパリわからない。

まあ世の中って往々にしてそういう「意味不明ながら禁止されていくもの」もあるよね。時代の流れと割り切って、小難しい理屈をこねくりまわしたりせず軽くスルーして「キニシナイ!」ぐらいが丁度良いのかもしれない。ゆるーく生きていた方が、ストレスたまらないから良いよね。










#50
2023年7月18日(火)
「個人的には『脱炭素』より『脱電力』に軸足を据えたい」


先日、使用しなくなった古いデジカメのリチウムイオン電池をヨドバシカメラに持ち込んで処分をお願いしてきました。我らが品川区では回収していないのであります。

ゴミと化した電池の扱いはけっこう厄介でして、品川区では回収するものと回収しないものがあります。


資源の日に回収するもの
・乾電池(単1〜単5、角形9V)
・リチウム一次電池(円筒型およびコイン型)※テープ等で絶縁してから出すこと

区では回収しないもの
・ボタン電池(酸化銀電池、空気亜鉛電池、アルカリボタン電池)
・小型充電式電池(ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池)


加えて、品川区では9品目を「小型家電」と定め、区内6か所に回収ボックスを常設&月2回指定場所にて回収を行っています。
・携帯音楽プレーヤー等(デジタルオーディオプレーヤー、ICレコーダー等)
・携帯電話等(携帯電話、スマホ)
・携帯ゲーム機
・車載機器(カーナビ、VICSユニット、ETCユニット)
・付属品(ACアダプター、延長コード、充電器、リモコン等)
・電卓
・電子辞書
・ポータブルビデオカメラ
・デジタルカメラ

サイズは10×25cm以内のもの、と定められています。


余談ですが、ちっちゃい「リチウム電池」と「ボタン電池」という区分がよくわからん、という皆様は


電池に記載された型式記号が"CR"もしくは"BR"なら「リチウム一次電池」(ウチの場合、品川区が資源の日に回収する)


ということだけ覚えておいて、それ以外は区では回収してもらえないので「回収協力店」に持ってゆくと判断すれば良いのであります。

ボタン電池をちゃんと分けると"SR"は酸化銀電池、"PR"は空気亜鉛電池、"LR"はアルカリボタン電池という区分なのですが、こんな情報を覚える必要はありません。覚えても人生で何の役にも立ちません。「こんな情報をそらんじている女は嫁に行かれない」というのは私がこれまでの半生をかけて証明済みです。涙。

基礎知識としては、電気というものは「電気エネルギーそのものの状態として貯めておくことができない」ゆえ、電気エネルギーをいったん化学変化エネルギーに変換して「化学反応を起こすことで再び電気エネルギーを取り出すもの」にしたのが電池と覚えておくと分かりやすいと思います。

やや脱線しますが「揚水発電」というのがありますね。火力発電所や原子力発電所で夜に余ってしまいがちな電力を利用して川下に流れてしまった水を上流のダム湖にポンプで汲み上げておき、昼間の電力需要が激増する時間帯に水を落とすことでタービンを回し、発電する(要するに水力発電する)からくりです。貯めておけない電気エネルギーを、川の上流のダム湖に戻すことで位置エネルギーに変換するという行為です。電気をつくるために電気を使ってわざわざ水を汲み上げてるんだZE。私は最初に揚水発電を知った時に「なんかすごく壮大な無駄な事をしているなあ」って思いましたが、皆様はどんなふうに感じますでしょうか。

電気の使い方として最も正しいのは昔の自転車に付いていた「ダイナモ発電機」によりランプを点灯させる事ぐらいではないか?光らせたければペダルを漕げ!漕いで漕いで漕ぎまくれ!!というアレですよ。

前進するのをヤメれば灯りは消え、スピードを出せば明るく点灯する。貯めておけない電気は必要な時に必要な分だけ丁度よくつくるのがいかに難しいものであるかという、電気エネルギーの本質を理解するうえでこれ以上適切な教材は無いと思う。

みんな割とお気楽に「乾電池」や「充電池」を使っていますが、いったん電気エネルギーを化学変化に変換しているという時点で「無駄な事している上にけっこうヤバい物」です。そんな認識を抱いてる人は少ないと思います。ちょっと前までは水銀だのカドミウムだのと有毒な物質が電池の製造に普通に用いられていました。出来る限り有毒な物質を使うのはヤメようと必死の改良を続けながら今日に至っているわけですが、さまざまな化学物質がこれでもか!というぐらいに使用されている点やそれを資源としてリサイクルするのが意外とコスト高でけっこう面倒くさい事ぐらいは知っておいた方が良いと思います。

さて皆様は全国のアチコチのゴミ処理場でリチウムイオン電池が火災事故を引き起こしているという実態はご存知でしょうか。最近だと今年(2023年)の4月17日に埼玉県さいたま市桜区のごみ処理施設「市桜環境センター」でリチウムイオン電池(本来、家庭ゴミとしては受け入れていない)が発火し、火災はリサイクル設備に甚大な被害をもたらし10日以上稼働を停止させられる事態に陥り、また修理に3千万円の費用がかかったということで首都圏のニュースでは大きく報じられました。

なんとなく不燃ごみ扱いで捨ててしまったものの中にリチウムイオン電池が内蔵されていた、ということでこの手の事故は後を絶たないのです。我々が思っている以上に、割と深刻な問題になっています。

しばしば大陸製の粗悪なリチウムイオン電池が火災を引き起こすニュースを耳にしますが、たとえ品質のよいものであろうとも大きな圧力がかかれば発火するおそれがあります。これはリチウムイオン電池の構造的特性というか「宿命」みたいなものです。ウチで使ってるのはパナソニックのセルを使った最高品質よ!とドヤる気持ちはわからなくもないが、ちゃんとしたメーカーのちゃんとした製品なら安心という訳ではありません。リチウムイオン電池は、実はとても危険なシロモノなのです。

私が憂いているのは、リチウムイオン電池は非常に危険なものだという認識がみんなにきちんと知れ渡っているとは到底言えない状況にもかかわらず、あまりにも粗製乱造されて世の中に普及しまくっている点です。

たとえば私がこの春にほぼ衝動買いした充電式の黄色いヘッドホン、こちらはmicroSDカードに音楽データを入れておくと単体で音楽プレーヤーとして使えるので大活躍しているお気に入りアイテムですが、これは闇市Amazonで購入した大陸の謎メーカー製で中には「素性の知れない」リチウムイオン電池が使われています。極論をいえば頭に装着した状態でいつ火を噴いてもおかしくはない極めてヤバめな製品です。



ヘッドホン型音楽プレーヤー

個人的には気に入ってるけど人には決してオススメしない




いずれ壊れたり、充電池がヘタってくる日も来ることでしょう。そのときに私が軽い気持ちで「不燃ごみ」として出してしまったら、内蔵のリチウムイオン電池が処理場で火災を引き起こす可能性があるという事ですよ。だから今、処理場で働いている方々はゴミの中にリチウムイオン電池が潜んでいないかと人海戦術でチェックしながら作業にあたっているのです。その苦労を想像すると従業員の給料を十倍にしないと割に合わないレベルではないかと思います。

身の周りにある充電式のものはほぼ全てリチウムイオン電池です。現代生活には無くてはならないスマホも同様です。スマホ依存気味のヘビーユーザーの方ですと、外出中にバッテリーが切れてしまう時に備えて「モバイルバッテリー」を携帯している方もいるかもしれません。あれもリチウムイオン電池のカタマリですよ。

で、はっきり言いますけど、リチウムイオン電池は自治体が回収しないような危険なシロモノであるばかりか、現状ではきちんと回収してリサイクルするシステムが確立していません。コストをかけて回収しリサイクルするよりも「大陸で新規に作ったほうが早くて安くて儲かる」ので、正直言って誰も本気でリサイクル事業をやっていないのです。

資本主義の世界において、危険なものを回収して超絶に面倒な手間をかけ、しかも全く儲からない事業をわざわざやる奴はいません。

ということで、世の中には廃棄されたリチウムイオン電池がそのまま放置され増えてゆく。

自動車産業に目を向けましょう。マトモな自動車用エンジンがつくれない大陸で、このままでは日本車に到底太刀打ちできないと悟った共産党が国家戦略として電気自動車への転換を加速させたのは皆様もご存知の通りです。国策として電気自動車を推進したから振興の電気自動車メーカーの参入も相次ぎ、爆発的に普及が進みました。

しかし充電池というのは使っていくうちに性能が低下してゆきます。スマホも3年も使えばバッテリーが相当ヘタってくるのは誰もが経験で知っているでありましょう。で、今ひそかに大陸で問題になっているのは実用に耐えないレベルになった「バッテリーがごみ化した車」が、広大な畑に大量に放置されているという現実であります。中古で売ろうとしてもバッテリーのヘタった車は値段がつかないし、かといってリサイクルの技術もないし、いろいろ面倒くさいし、じゃあそこにポイしとくか、という感じでしょうか。

かくして、朽ちて行く電気自動車のリチウムイオン電池から有毒な物質が出て土壌を汚染してゆくのだ。

思い起こせば2019年のノーベル化学賞はリチウムイオン電池の開発に貢献した吉野彰氏、ジョン・グッドイナフ氏、スタンリー・ウィッティンガム氏の3人に授与されました。日本国内が沸き立ったので覚えている人も多かろう。でも、発明としては確かに画期的ですごい事をなしとげた訳だけど、使用済みの後処理については何も考えていないまま普及が進んだという点では「核開発」と同じレベルでヤバいと個人的には思ってしまう。核は簡単につくって商売になるモノではないから「普及」はしないけれど、リチウムイオン電池は利便性の高さゆえに爆速で普及して今では粗製乱造されている現実を考えればむしろ核以上に厄介かもしれない。

一時期、それこそスマホが普及する前のデジタルカメラ市場なんてヒドいものでした。各カメラメーカーがてんでんばらばらに好きな形状や容量の充電池を造りまくって、別のカメラとほとんど使いまわしが不可能な状態が当たり前になっていました。乾電池のように「各メーカーが共同でデジタルカメラ充電池用の規格をたちあげて統一し、仮に使うカメラのメーカーや機種が変わっても手元のバッテリーパックを末永く活用できるしくみ」をつくればいいのにと多くのユーザーは願ったのだが、全く叶うことは無かった。むしろメーカーは機種ごとに専用のバッテリーパックと充電器を新たに制定し、カメラ買い替えと同時に充電池関連も全て強制的に買い替えを強いるようにしていた。中には専用のチップを埋め込み、サードパーティ製の他社バッテリーパックを使えようにする「高額な純正バッテリーを売りつける商法」に走ったぐらいであります。あれは本当に辟易したわ。

ということで今日の結論としましては、あくまでも私個人に限った話ですが、今後は「脱電力」を図りたいというか「あまり充電池に依存しない生活」を送りたいなと思った次第であります。真夏の昼間にエアコンを使う、とかの電気代はしょうがない。どうしても必要な電気というのは確かにある。だからこそ、不要な電気は極力使わないスタイルでいきたいなあ、と思うのです。

まあミュージシャンとしては「エレキギターではなくアコースティックギターをメインで使う」とか、「ローランドのエアロフォンを売り払ってヴェノーヴァとフルートに集中する」とか、そういう感じでしょうか。なんかセコいというか焼け石に水って感じがハンパないですが、少なくとも「なんでもかんでもエレキ仕掛け」というスタイルから脱却することで「本来貯めることができない電気エネルギーを化学反応に変換して保存し、使いたい時は充電池の化学反応から電気エネルギーを取り出す」という無駄な行為を少しでも減らせたらいい感じに自己満足できるだろうと思います。

さてさて。先ほど話題に出た「モバイルバッテリー」の話をして話をまとめようと思います。外出先でスマホの電池が切れそうなときに、一時しのぎでスマホに電気を供給するための充電池であります。時はさかのぼり2007年。まだスマホが世に出ていない時代です。ワンセグ搭載ガラケーの全盛期。当時、自然放電の少ない画期的なニッケル水素電池「エネループ」のリリースで他メーカーをぶちのめし無双状態にあったサンヨーが、いきなり発売したのが「エネループ・モバイルブースター」であった。リチウムイオン電池を用いた小型の充電器であります。これが、いわゆる「モバイルバッテリー」の始祖というか事実上の「元祖」であります。モバイルバッテリーを略して「モバブ」と呼ぶ人がいるのはこの製品に由来します。

発売当初からガラケーや携帯ゲーム機やiPodのバッテリー切れをしのぐ最強のリリーフエースとして「そっち系のマニア」から絶大な支持を受けていました。その翌年2008年7月に日本でもiPhone 3Gが発売され、ソフトバンク表参道店に大行列ができて大きな話題となったのは皆様もご記憶にあろうかと思います。サンヨーのモバイルブースターは「iPhone対応」という威力絶大なキャッチフレーズで飛躍的に人気沸騰、まさに時代の流れにジャストな製品で無敵を誇ったのでありました。

その後のサンヨーが辿った運命は「悲劇」としか言いようがないのですが、ここでは触れません。今となっては懐かしいブランド名ですよ。

私が一番最初にモバイルバッテリーを入手したのは2012年9月のことでありました。"cheero Power Plus"という製品です。当時はあまり選択肢もなかったのですが、ネットの口コミなどで情報収集して選びました。10000mAhの大容量タイプで、評判にたがわず良いものでありました。cheeroは今も良質のモバイルバッテリーを販売している、いわば「老舗」でありまして、ここの製品なら闇市Amazonで買っても大丈夫だろうなという安心感はあります。



cheero Power Plus

10年経った今も愛用中







スペック

今では大してすごくもないけど、当時としては高性能でした




この、リサイクルマークがついてるのが大事なのよ。矢印が3つ円形に並んでいるマークね。これが付いているものは、経年劣化で使えなくなったらヨドバシカメラなどに持ってゆけば回収してくれるのです。処分するのに困ることはありません。



端子類

出力はUSB Type-A端子×2、モバイルバッテリーの充電にはmicroUSB端子を使用する




このモバイルバッテリーはちゃんとスペック通りの性能が出る優等生です。今や闇市と化したAmazonで謎ブランドの安物モバイルバッテリーを買うと容量の実測値はカタログ表記の半分だった(涙)という事もあるそうですから、注意しないといけません。10年使っていますがまだ余裕で使えています。レンタルバイクに乗る時などに前後カメラ一体型の簡易的なドライブレコーダーを使用していますが、USBケーブルでこのモバイルバッテリーにつなぐだけでしっかり録画できるので今なお手放せずにいます。本当はオートバイのドライブレコーダーも車体の前後に高性能な超小型カメラを固定してレコーダー本体を目立たない場所に据え付けて、エンジン始動とともに自動的に録画してくれるような物が望ましいのですがレンタルバイクではそういう訳にもいきませんからね。当面はこれで乗り切ります。



モバイルバッテリーとオートバイ用ドラレコ

バイク用・簡単ドラレコ装着セット一式




一番左上がモバイルバッテリー、cheero Power Plusです。一番下に写ってるのがオートバイにカメラを固定するクランプ。黒い懐中電灯みたいなのがドライブレコーダー本体です。前後にカメラがついており、底部に三脚穴があります。私はたいてい車体後部につけて「後ろから煽られるのを防ぐためにカメラがあるよアピール」をするのですが、そうすると前カメラに映るのは半分以上自分のお尻という状態になりますな。

一時期はヘルメットのてっぺんにカメラを付けたこともありました。そうすれば前後の映像が高めのアングルからしっかり撮れる。でも運転中に頭が重いのが気になるのよね。悩ましいところです。

モバイルバッテリーごときはせいぜい1個持って、それをひたすら使いまくれば充分な訳ですが、私も血迷って無駄なモバイルバッテリーを追加購入した痛い過去があります。



巨大なモバイルバッテリー

よせばいいのに怪しい品を購入




イヤな事はとっとと忘れるスタイルで生きてるのでいつ、どこで購入したのか思い出せませんが、まあ闇市Amazonで間違いないと思います。この画像を見ていただくとわかるように上面が何やら独特のパターンになってるじゃないですか。これが太陽電池で、太陽光の下に置いておけば充電できますよ!っていう謳い文句だったのよ。容量が26800mAhで、出力ポートが3つあって、IPX6の防水仕様で、しかも太陽光で充電できるというのだよ。フル装備状態で無敵じゃなかろうか?ということでロクに下調べもせずに衝動買いしたのだった。



公称スペック

いちおう公称スペックはすごい(棒読み)







防水

カバーもついてバッチリ防水(棒読み)




まあ、控え目に言ってアリクイのウンチ未満でしたよ。まあ冷静に考えるまでもなく、モバイルバッテリーの上面に太陽電池パネルを敷き詰めたところで発電量なんてタカが知れている訳ですよ。しかもこの見た目、どう見てもまともな太陽電池には思えない。案の定、夏のカンカン照りの炎天下に2週間さらしても1パーセントも発電されなかった。そのうえ、電池容量26800mAhというのも相当疑わしいレベル。たしかにデカくて重いんだけど、公称10000mAhのcheero Power Plusが割と正確な能力をしっかり叩き出しているのに対して、その2.5倍以上の蓄電能力があるとは到底思えないハッタリくんでありました。けっこうな値段したのだが、まあ闇市Amazonにありがちな詐欺的商品を掴まされただけの話でありました。



大きさ比較

モバイルバッテリーの大きさ比較




大きさをイメージしていただけるように並べて置いてみました。右下に置いてあるのは単三形乾電池とSDカード(アダプタ)です。銀色のcheero Power Plus(重量:258g)のほうはまあ「持ち歩く気になる」サイズだというのはおおよそ察していただけると思います。問題は左の黒い糞製品ですよ。もはやおぞましいレベルのサイズであります。長辺は約18cm、短辺は約9cm(角の突起含まず)、厚さは2.5cm。重さは驚くなかれ556g!こんなもん誰が持ち歩くのか。

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」じゃないけど、ここまで嫌いになると黒とオレンジのカラーリングがセ・リーグの某球団『商魂こめて』のあのチームすら連想してしまい余計に不快感が増すレベル。モバイルバッテリーとしては重たいので持ち歩く気にもなれず、さりとて車に置きっぱなしにしたらいつ火を噴くか分からなくて怖い。マジで私が買ったものの中では群を抜いて「ダメ番付の横綱」ですわ。私はコイツを買った頃からAmazonを利用しなくなったのですよ。

かつて外資系の旅行会社で大陸人と一緒に仕事していた事があるけど、差別ではなく経験で断言させてもらうと総じて奴らは雑で莫迦なんだよなあ。ウソついてばっかりだし怠けるし責任転嫁しまくるし最悪だった。モノづくりをさせてもこのザマですわ。スペックを盛るとか粗悪なコピー品で金儲けするとか、あいつら本当にロクなことをしないわ。かかわらないのが一番いいよ。

ということで「今後は電気への依存度を減らして生活したい」というのが今の私の率直な気持ちなのです。エレキ仕掛けは程ほどがヨイ。できる範囲でプラグレス(アンプラグド)で生きていきたい、などと寝ぼけた事を言い放って今日はおしまい。










#51
2023年7月22日(土)
「FM補完放送対応の小型ラジオ」


書き出しの時点でいきなりタイトルより大脱線した内容で申し訳ないのですが、つい画像を貼らずにはいられない。



京王のポスター

我らが京王の高尾山PRポスター




言いたいのは「せっかくのポスターなのだから、もうちょっと丁寧に貼って欲しかった」という一言に尽きるのであります。清原果耶ちゃんの高尾山ポスターは沿線民の喜び(可愛い女の子は目の保養になります)なのですから、ピシッと美しく貼っていただきたかった。

以上ぅ!!

ということで今日の話題に入ろうと思います。7月19日と20日はプロ野球のオールスターゲームがあって私も大いに盛り上がったところです。初戦はパ・リーグの投手陣の見事なピッチングと強力な打線の破壊力にしびれつつも、セ・リーグは我らが横浜DeNAベイスターズの東投手と山ア投手が無失点の力投&宮ア選手がソロホームランを放って存在感を示してくれたのが実に嬉しかったのであります。

続く第2戦もパ・リーグの選手が躍動して圧倒的に強かったですな。バウアー投手は4回に登板して日本ハムの万波選手からホームランを浴びるなど2失点していましたが、笑顔でお祭りムードを楽しんでいるように見えたのでヨシとしましょう。パ・リーグ2連勝おめでとうございます。選手のみなさん、楽しい試合をありがとう。

さて、今回のオールスターゲームのテレビ中継は2日とも「え!このタイミングかよ!」というシーンで終わってしまいましたから、続きはラジオで楽しんだのであります。もともと私はラジオ大好きっ子でありまして、思春期は「深夜ラジオ」に耳をすます生活を送り、また英語の勉強を熱心にやりはじめた高校時代なんかは『百万人の英語』という番組を熱心に聴いたりFEN(当時の「極東放送網」:Far East Network=現在のAFN(American Forces Network、米軍放送網)でカントリーミュージックを聴いたりしておりました。そして受験生の頃は旺文社の『ラジオ講座』。プライベートで楽しめる娯楽あるいは教材として存分に活用したものです。

ウエスタン東京の山岳地帯に住んでいたのでFM波は受信困難であり、本来の魅力であるクリアな音質で聴くことが事実上できなかったのでメインで聴くのはAM放送ばかりでした。

FM放送は某J-WAVEあたりが「英語なまりの日本語でゲップをがまんしながらしゃべるような独特の話し方でカッコつけてるけど話題がつまらない」という世界を完全に定着させてしまったので、あまり聴きません。スカしたパーソナリティがたくさん出てくるけど面白い話をするわけでもなく、聴き流していてもイライラする。やっぱりトークの面白さはAM放送に軍配が上がります。JOLFニッポン放送の『テレフォン人生相談』とか二代目笑福亭鶴光の下ネタとかのほうがコンテンツとしては面白いのよね。

総務省はAM放送を廃止して2028年秋までに民放AMラジオ局をすべてFM化する方針を打ち出しています。すごく雑な言い方になりますがAM放送は「非常に大掛かりな設備が必要」で「放送設備の使用電力が大きい」という特性があります。これはAM放送が使用する周波数帯の宿命であって避けられないのです。正直もはや商売としては儲からない、という放送局が総務省に泣きついたのを「OK!」とアッサリ認めてしまったのです。そういう「儲からないけど災害時に備えるインフラとして重要なもの」こそNHKが続けるべきじゃないのか?

NHKはチャンネルを持ちすぎなんだよ。ラジオはAMが1局、テレビは地上波デジタルが1チャンネルあれば充分でしょう。現状のAMで2局(第一と第二)も要らないし、FM放送は廃止でいい。テレビは地上波デジタル1チャンネルあればいいでしょう。BS4Kだの8Kだのの番組宣伝ばかりやっていて腹立つわ。そうすれば無駄な番組制作費は削減できるし放送設備の維持管理費も従業員も減らせる。世間的に見て「高すぎる」といわれている給与も根本から見直せば受信料など現在の10分の1まで下げられると思うよ。公共放送すなわち国を支えるインフラの一端を担うのが組織の存在意義であると自覚して最低限の重要な仕事だけしていればいいんだよ。

まあNHKの在り方については人それぞれ様々な意見もあるだろうからこれ以上は触れないけど、抜本的な改革が必要なのは間違いない。

ひとつだけ言えるのは今後は「ワイドFM(FM補完放送)」に対応したラジオを持っていないと何かと不便な時代が来るということですよ。総務省が国策としてワイドFM環境の整備を推進していますから仕方がないことです。私の愛用しているAM専用の1バンドラジオは近いうちに「ただのゴミ」と化すのだ。余談ですが私は古いラジオ受信機が好きで大量にコレクションしていましたが、もうすでに「売り抜けて」おります。カネになるものは処分済みですので気楽なモンです。


総務省|放送政策の推進|ワイドFM(総務省ウェブサイト)
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html


まあ私は皆様ご存知のように「コレクター気質」という悪癖の持ち主ですから、すでに手元にはワイドFM対応の受信機をいくつか確保してニヨニヨしているのであった。ずっとFM受信用に愛用していたアマチュア無線機を処分してしまったこともあり、このタイミングで新しいラジオをひとつ開梱したところです。



小型ラジオ

よし、これをスタメンに起用しよう




AudioComm(オーディオコム)のブランドでおなじみ、株式会社オーム電機のコンパクトラジオであります。オーム電機は私の子供の頃からある老舗の電気用品製造・卸売業者であります。製品に高級感はないものの価格が変態的に安いのが最大の特長でしょうか。立ち位置としては

アイリスオーヤマ
山善
小泉成器
ツインバード

あたりと似たような存在感でしょうか。最新技術を売りにするのではなく枯れた技術の製品を安く提供するという方針は、まさに庶民の味方でありまして私は好きですよ。

オーム電機は1989年の「坂本堤弁護士一家殺害事件」、1994年の「松本サリン事件」、1995年の「地下鉄サリン事件」をはじめとする数多(あまた)の事件をひきおこしたカルト宗教団体と名前が「音的に一緒」ということで誤解されモロに風評被害を受けまくった気の毒な企業であります。あの苦境をよく乗り切ったと思います。

今回ひっぱり出したのはRAD-P132Nという型番のAM/FM 2バンドのコンパクトラジオであります。色はピンクですよ。ソニーやパナソニックはたいてい黒とかグレーとかの渋くて高級感をかもしだす色しか出しませんから、ピンクのラジオというのは気分も明るくなって実に良いものです。



開梱

付属品は取扱説明書と片耳イヤホンのみ




AudioComm RAD-P132N AM/FMポケットラジオ ピンク
https://www.ohm-electric.co.jp/product/c13/c1301/41469/

あーあ。もう販売終了になってるじゃん。先に結論を言うとけっこういいラジオであって、受信性能はしっかりしているしスピーカーの音質も聞き取りやすくていいし、これならみんなにオススメしてもヨイかなと思ってモモ通の原稿を書いていたのです。しかし販売終了した今は流通在庫が強気の値段になってしまったので千円以上出してわざわざ買う価値はないかもしれません。私が買った時は700円しないぐらいで投げ売りされていたのですよ。



電池ボックス

単四形乾電池2本で動作します




何しろ小さいラジオなのであります。一般的にポータブルラジオのスピーカー音質の良し悪しはスピーカーの直径と正比例の関係にあって、サイズの小さいラジオはおのずと直径の小さいスピーカーを鳴らすことになりキンキンと耳障りな音になる傾向があります、聴き疲れしにくい落ち着いた音質を追求するとある程度のスピーカー径が必要となり、それに伴いラジオの本体のサイズもそれなりにデカくなってしまいます。そのあたりのバランスをみながら「サイズがそこそこ小さくて受信感度と音が優れていて電池が長持ちするラジオ」というのを探すのがラジオマニアというかコレクターの楽しみのひとつなのです。



サイズ比較

これまでのメインラジオと並べてみた




現時点で私のメインラジオとなっているのが写真左の銀色のパナソニック製AMラジオであります。こちらは単三形乾電池2本を使用するタイプで、今回のピンクラジオにくらべると二回りデカいですが受信感度、スピーカー音質、電池の持ちという面でかなり良い成績を上げる優等生です。まあAM専用機ですので遠くない将来に引退することになります。当面はAMを聴くのはパナソニック、FMを聴くのはオーディオコムのピンクちゃんという使い分けをしてゆきます。



サイズ比較その2

ピンクちゃんは本当に小さい




パナソニックのラジオは横の変な位置にイヤホンジャックが付いています。気に入らない点はそれだけ。なかなかの名機であります。AMラジオに関しては「中のバーアンテナの長さが命」みたいなところがあるのですが今後はAM放送は消えゆく運命ですのでもう気にすることは無いでしょう。余程のことがない限りFM放送は(山奥でなければ)大丈夫ですからね。しょせん無線は立地が命。ロッドアンテナを伸ばして電波が入ればそれでヨシ。品川区にひきこもっている限り、たいていの製品で問題が生じることはない。

さすがに今普通に売られているラジオはどれもワイドFMに対応していると思いますので、ケチってオークション等で古いラジオを入手するような行為をしてはなりません。ワイドFM対応(FM 90.0MHz〜94.9MHzに対応したラジオ)じゃないと意味がありませんから、今後ラジオを買う予定の人は現行製品から気に入ったものを選んで新品で買うのが一番です。FMの目盛りが90Mhzまでしか書かれていないラジオはワイドFM非対応だから絶対に買っちゃダメよん。

なお私はFM補完放送の周波数が覚えられないので印刷して目の前に貼っています。私が一番好きなRFラジオ日本(92.4MHz)のFM補完中継局は横浜市鶴見区の三ツ池公園にありますので、品川区内の長屋1階暮らしビンボ人にはちょっと受信が難しいです。南向きにラジオを構えて受信できる場所を探す感じになりますが、理論上ロッドアンテナは80cm必要ですからピンクちゃんみたいなコンパクトラジオでは歯が立ちません。現状では普通にAM放送(1422kHz)を聴くのがヨイ。ちなみにAM送信所は川崎市幸区にあります。うちでもビンビンに受信できます。



周波数一覧

墨田は言うまでもなくスカイツリーですよ




いずれは自分の部屋にRFラジオ日本のFM補完放送を快適に受信できるような設備を整えたいなあ、などとまたマニアなことをつぶやいてしまうのであった。

こういう事を書いてると現代では「ラジオなんてネットでradiko(ラジコ)聴けばいいじゃん」とか言う人が続出するんだろうけど、解ってないナァと思う。そうじゃないんだよ。なんでもスマホでやればいいってモンじゃないのよ。電波を送受信するロマンがわからない人間は(まあ、ふつうの人はたいていそうかもしれないが)つまらないですよ。なんて偉そうに言ってる私もラジオ局は廃止してコールサインも失ってしまったからイマイチ説得力が弱いのだけど、それでもスマホとラジオは別に持ちたいと思う。

これからもアンテナのばして電波受信生活は楽しみたいと思ってるよ。










#52
2023年7月26日(水)
「リサイクルショップ『ハードオフ』でポイント消化目的の買い物」


しばらく前にスマホがピコーンと鳴り、何やら通知が届いたので内容を確認しました。それはリサイクルショップチェーンの「ハードオフ」から「まもなくポイントの有効期限が切れます」という連絡でありました。

私は基本的に「ポイントなんていうのはしょせん水モノ」と思っていて、せっせと貯め込むという行為にほとんど興味がありません。ある程度ポイントを意識しているのはふだん使っている近所のスーパーとヨドバシカメラぐらい。ポイントカードを持ち歩くのもウザいしスマホのアプリなんてわざわざ使ってまでセコセコとポイントを集める気は全く無いのでした。

しかしよく読んでみるとハードオフでは1ポイントが1円として店舗で利用できるそうで、私は現時点で400ポイントを貯めているとのこと。使用期限内であれば商品の購入費用に400円充当できるのだ。

仮に金額が1万円の物を買うなら400円ごときは「焼け石に水」「微々たる得」にしかならないけど、千円の物ならポイント使用で事実上600円になるという「4割引効果」が得られるわけで、この貴重なポイントを安易に消滅させるのはもったいない気がしてきました。

ハードオフで千円で買えるものなどあるのか?という点が最大の疑問ですがひとまず一度ぐらいは偵察に行くべきでありましょう。いい獲物が見つからなかった場合はUSBケーブルとかmicroSDカードでも買ってくれば無駄にはなるまい。ということで店舗にリサーチに行ってきました。

ハードオフには家電製品やスマホ等のデジタル機器のみならず、パソコンやらオーディオ関係やらゲーム機やらいろいろな中古品が並んでいます。楽器コーナーもあり壁には中古ギターが吊り下げられている一角もありました。まあ当然ですがどれもこれもソコソコの値が付けられており私が目論んでいた「千円ごときの商品」などそうそう無い。

それでもギター弦(新品)が置いてあったので、ああ買うのはコレでいいかと思いました。ギター弦を400円引きで買えるなら損にはなるまい。しかしいざ値札を見てみると、いつも利用している通販ショップ「サウンドハウス」の方が安いような気もして悩んでしまいました。

今すぐ要る訳ではないものを、ただポイントを消費するために無理して買うのは本末転倒ですし、それこそ「無駄遣い」になってしまいます。これぞ掘り出し物!!よくぞ発掘した!!ぐらいの物じゃないと無理して買う意味がありません。弦を買うならサウンドハウスでいいなあ、と思うとハードオフでギター弦を買う作戦はどうも気持ち的に乗り気がしない。

と、その時であります。楽器コーナーのすみっこにヤマハのテナーリコーダーを発見しました。リコーダーもあなどってはいけない。海外有名メーカーの木製高級品だと普通に10万、20万と値段が張る世界です。ましてや小学校で使うソプラノリコーダーや中学・高校あたりで用いるアルトリコーダーではない。リコーダーのアンサンブルで用いられるテナーですよ。本体が太くて大きく、我々一般人がそう頻繁に目にするものではありません。

店に置いてあったのはヤマハのプラスチック製の普及モデル(?)と思われるタイプです。いや、テナーリコーダーは普及してないよ。さすがに木製の10万円超製品ではないから、たいして値が張るものではないだろう。しかし当然のことながら元の値段(新品価格)が分からないので、この中古品が安いのか高いのか見当もつかない。

とりあえずモデル名をメモしていったん帰宅しました。ネットでヤマハの公式やサウンドハウスの新品実売価格をきちんと調べた上で、ハードオフの中古品が購入に値するかどうかの判断をしようと思ったのです。血迷って衝動買いしたら「むしろサウンドハウスで新品を買ったほうが安上がりだった」みたいな悲劇を生む可能性もあり、そんなことになったらマジで立ち直れないですからね。

調べたところ、ヤマハの希望小売価格は税込9,790円。音楽関連用品の大手通販サイト「サウンドハウス」での新品価格が税込7,330円。やはりテナーリコーダーはけっこうな値段がするのだった。ヴェノーヴァ(ソプラノ)よりホンの少しだけ安いぐらいですな。新品がこの価格帯ということなら、程度にもよるけどちゃんと使える中古良品が2,000円を切るぐらいなら納得のいく価格設定のように思う。



ヤマハ公式サイト

そうそう、コレコレ!!




いささか面倒ではありますが改めてハードオフに行き、現物のコンディションを詳しく見せてもらって特に問題がないなら間違いなく「買う価値はアリクイ」であろうと結論づけました。

慌ててハードオフに戻る必要はないであろう。どうせ売れ残っているだろう。断言しちゃうけどリコーダーのニーズがあるのはソプラノとアルトだけであります。テナーリコーダーなんてキワモノを一般人が買うはずがない。本気のリコーダー奏者なら最安グレードのヤマハ製品などとっくに卒業しているはずであり、海外メーカーの高級品にしか興味がないでしょう。ちょっと目を離した隙に売れてしまった、という心配は無用であろうと思います。仮に買いそびれてしまったとしても「今すぐ必要な楽器」という訳ではないから事実上この身にダメージはない。

ということで日をあらためて翌週、おこづかい2,000円をナウい財布に入れてハードオフに舞い戻り、楽器コーナーに直行。おお、あった。やっぱり売れ残っていた。ヤマハのYRT-304BIIであります。



テナーリコーダー

さーて商品の程度をチェックしますか




手に取ってじっくり見たところ使用感の感じられないなかなかの良品であります。これは「買い」だなと判断してお会計にれっつごー。使用期限ギリギリのポイントを全部投入する。中古価格が2,000円、400ポイント使用して値引きされ1,600円、これに消費税を足して1,760円という破格の安さでバカでかいリコーダーという「ある意味珍妙な楽器」を入手したのであった。

前のオーナーがどんな人なのか想像するのはあまり意味のないことですが、いちおう他人が口をあてて吹いていたのだから万全を期したいところです。プラスチック楽器ですからメンテナンスも楽なもんです。満足のゆくところまでザブザブと洗ってしまえばスッキリ気分よく使えるのであります。木製の超絶高級リコーダーではそんな雑な扱いは不可能ですから、チープ楽器にも利点はあるのだ。



ケースから出した状態

みっつのメカがひとつになって〜




音域としては小学校でおなじみの「ソプラノリコーダー」の1オクターブ下となりまして、なかなかに心地よい音が出ます。低音は息の量も要るし吹き込む加減を調整しないとすぐにオクターブ上の音が出てしまいます。けっこう練習が必要です。

音量自体はリコーダーですのでそれほど大きくはありません。私がふだん吹いている「見た目はショボいのにびっくりするほどの爆音が出る」ヴェノーヴァとは真逆の感じです。まあ、それでも部屋で吹いたらご近所から騒音で苦情が来るのは避けられません。



ヤマハ

ヤマハの楽器が安く買える日本に生まれたのはありがたいことだ




ちょっと話は脱線しちゃうけどいまは小学校の音楽の授業でリコーダーを使わないという話を聞いたとことがあります。ハーモニカも我々が使っていた15穴の単音ハーモニカではなくて「鍵盤ハーモニカ」がメインなのですって。まあ冷静に考えると「リコーダー」も「ハーモニカ」もちゃんと演奏するのはなかなか難しい楽器であり、音楽のたしなみがない「付け焼き刃の教師」がニワカ知識で指導できるほど甘いものではない。子供の音楽教育に向いた楽器は何がふさわしいのか?というのはなかなかに難しい問題だと思います。個人的には音楽(西洋音楽)の初歩を理解するのに鍵盤は最良の教材だと思うので、鍵盤ハーモニカは良い「落としどころ」ではないかと思います。

さて、話はテナーリコーダーに戻しましょう。まずもって、組み立てた状態のデカさがハンパ無い。太くて長い。ちょっと他の楽器と並べてみましょうか。



サイズ比較

比較対象は私のメイン楽器、ヴェノーヴァとフルート




一番上の黄色いのがヴェノーヴァ(ソプラノ)です。その下の銀色の楽器がおそらく皆様もイメージしやすいであろう普通のフルート(C管)です。そして一番下の楽器が、今回入手したテナーリコーダーです。フルートが横笛、ヴェノーヴァとリコーダーは縦笛です。こうしてみると写真の遠近感を差し引いてもテナーリコーダーがいかに巨大な楽器であるかお分かりいただけると思います。

ざっくり長さを計ってみると、まずヴェノーヴァ(ソプラノ)がマウスピース込みで46cmです。これに対してフルートは68cm。テナーリコーダーは65cmということでフルートよりちょっと短いのですが、何しろ太い(最大の部分で直径5cmぐらいある)ですから存在感はハンパない。しかも、これに口をあててまっすぐに構えるということで、ある程度手がデカくないとしっかりホールを指でふさぐことができません。よく、手の小さい人がピアノやギターで苦労する話を聞きますが、テナーリコーダーは人間工学的に頭がおかしい次元でタテ方向に両手をガバッと広げないといけません。あとは必殺の「バロック運指」を覚えないといけない問題も浮上しますから、誰にでも簡単に楽しめるとは言い難いですねえ。



鉛筆&ボールペンとのサイズ比較

えんぴつとボールペンを置いてみた




左側の緑色の細いのが鉛筆です。オレンジ色のキャップをつけています。右側の細いものはパイロットの4色ボールペンです。この方がテナーリコーダーの巨体が分かりやすいかもしれません。まあ、普通の生活を送っていたらこんなデカいリコーダーを見る機会はほぼ無いでしょう。次はケースに入れてみましょうかね。



ケース収納状態

ケースに収納した状態を撮影




先ほどの楽器を並べた画像とは「並び順」が異なっているので注意が必要です。写真の一番上の角ばったケースがフルートです。その下の(真ん中の)ベージュのケースがテナーリコーダーです。そして一番下の黒いケースはドラムスティックケースで、この中にヴェノーヴァが入っています。

フルートとリコーダーは楽器本体が「分割式」になっており、ケースに収納するときは3つのパーツをうまく収めてコンパクトにまとまるようになっているのです。他方、ヴェノーヴァ(ソプラノ)はマウスピースは外せるものの楽器の本体に分割機構はありませんので、そのままの状態で収納しなければならずケース自体にそれなりの長さが必要になります。

しかもヴェノーヴァ付属の純正ハードケースは「無駄にデカくて重い」という実に忌々しい仕様でありまして、リュックには入らないしトートバッグからははみ出るし、かなりイラッとくるケースに仕上がっています。そもそも楽器自体が180gしかないのにケースの重さが508gとかいう時点で頭おかしいです。ヴェノーヴァを一本入れるだけなのにケースは無駄に長くて全長51cm、幅は13cmぐらいあります。本当に使いにくい、全くもってひどい仕上がりのケースです。

その後アルトヴェノーヴァが登場した時は楽器本体が「2分割式」になったものの、なんと付属の専用ハードケースは分割機構をまったく活かすことなく組み立てた状態で収納する超絶巨大ケースでした。長さは62cmを超えて重さは868g。ちなみに楽器本体の重さは293gね。これには世界中のヴェノーヴァ奏者が「アホか!!」と呆れたのでありました。ヴェノーヴァはとにかく可搬性が悪い。

そこで多くのヴェノーヴァ奏者が「ドラムスティックケースを流用する」という意表を突いた荒業で純正ケースから逃れたのでありました。ケースによっては「2分割したアルト」と「分割できないソプラノ」を2本同時に収納できたりするので便利です。私もみんなのマネをしてドラムスティックケースにヴェノーヴァとファイフ(ヤマハの横笛)の2本を収納しています。ずいぶんと快適に持ち運べるようになりましたが、でもやっぱり長くてデカいですよ。

ちなみにフルートの四角いケースは"SKB"というメーカーの、ワールドツアーに出るようなミュージシャンが使う「保護性能を最優先にしている堅牢なケース」です。ギターの世界だと"フェンダー"が純正ケースとしてSKBを使用していることで知れ渡っており、トップクラスの品質は折り紙付きです。私もかつてはフラメンコギターをSKBのハードケースで持ち歩いていた時期があります。正直重たすぎて肩が抜けそうになってました。ところがフルート奏者の間ではSKBを使っている人にこれまで会ったことがありません。みんな、もっとかわいいケースを使っています。無骨なSKBフルートケースはあきらかに「異質」であり、ヘソ曲がりの私にはちょうどいい存在感があります。なおSKBという文字列から別名「スケベケース」と呼ばれているのも味わいがあります。

まあ楽器ケースも三者三様でありますが、ひとつだけ言えるのは「どれもオートバイで運ぶには不向き」という感じでしょうか。ギターケース背負って原付スクーターで走ってた頃を思えば可搬性ははるかに上ですし、工夫次第でナンとでもなりそうですが、とはいえ大事なフルートをオートバイで運ぶにはどうしたらよかんべえ?と悩みは尽きません。

別の言い方をすると、オートバイに装着するバッグやボックスにスポッと入って壊れる心配なく気楽に持ち運べるのはファイフ(ちっちゃい横笛)ぐらいしか手元にありません。いっそのこと雨にぬれても心配ご無用のオモチャのブラスチック製ウクレレを入手して『人造人間キカイダー』のジローのように背負って走るのが良いのかもしれないな。弦楽器なら「弾き語り」ができるという強みもありますからね。

ということで、今日の話をまとめましょう。ハードオフのポイントが消滅する寸前に「テナーリコーダー」を入手することが出来ました。思いがけない出会いで突発的に購入した楽器ではありましたが、おこづかい程度の安い値段でおもしろい楽器が手に入ったのは本当に嬉しいです。

さぁ、がんばって「バロック運指」を覚えましょうか。



バロック運指

加齢とともに物覚えが悪くなってヤバい




ヤマハ公式サイトで運指表の参照&ダウンロードが可能です。テナーはソプラノと同じ運指で1オクターブ下が鳴りますから簡単です。アルト(F管)の場合のような「ソプラノリコーダーで覚えた『ソ』の指づかいで吹くと『ド』の音が出る」というような人生に絶望するほどの混乱に陥る事態は回避できます。助かる―。私のような「音楽野人」にはC管以外の楽器は理解できないのだった。泣ける。

ヤマハ 楽器解体全書 リコーダーの運指表
https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/recorder/play/play002.html

さぁ、新しい楽器も入手できたし、今年の後半も音楽を存分にたのしみましょう。嬉しいね。










#53
2023年7月30日(日)
「ホンダの50cc原付スクーター、ダンクの話」


私が語ろうとするネタはほぼ、同じことの繰り返しなので今日はできるだけ前置きを短くして本題に入ろうと思います。もう、これまでのモモ通で明らかにしてきたように

・私はちっちゃい乗り物が好きである
・(かつての若者がレトロスクーターでモッズ文化を謳歌したように)私も「二輪とともにある楽しくて新しいライフスタイル」を世に投げかけたい

という立ち位置にいますので、次に乗るべき愛車(乗りたい愛車)はおのずと「ちっちゃい自動二輪」に絞られるのであります。



モッズスタイル

スクーターとともにあったモッズ文化




とはいえ私自身は「モッズスタイルを再現したい」という訳ではありません。昔のファッションを真似るだけでは事実上何も生み出さないのであります。スリムなスーツでファッションをビシッとキメて、レトロなスクーターを派手にデコレーションして乗るのを今更私が実践したところで、それはただの「懐古趣味」にすぎないのです。

私が目指してるのは、そういう簡単な事ではないのよ。ちょっといい方を変えて伝えるならば、自動二輪に全く関心の無いような人が私のライフスタイルを傍から見て


「ああ、あんなふうにバイクのある暮らしを送ったら楽しそうだな」


と、思ってもらえるような「新たな価値観」を生み出したいのであります。今のこの混沌とした時代、もはや「日々の豊かさ」というものを多くの人が実感していないような世の中だからこそ「あの人ずいぶんエンジョイしてるな」と思わせるような、充実感ほとばしる「バイクとともにある生活様式」というものを全身でプレゼンする「アイコン」になるのが私の目標なのです。

そして私の二輪生活を見て「なんか面白そうだな」「自分もバイクの免許とってみようかな」と思ってくれる人が一人でも現れたなら、それこそ私がこの世に生まれてきた意味があるというものですよ。私が世の人に伝えたいのは


「バイクがあれば 暮らしは闇でも心は錦」


という一点に尽きるのであって、どうせ日本はこれから貧困国になるのだから老若男女関係なくひとりひとりの身の丈に合った「ちっちゃいオートバイ」に乗って貧乏なりに楽しもうYO!!と言いたいのであります。限界集落で路線バスが廃止されようが、赤字経営で第3セクターの鉄道が廃止されようが、あるいは自分が車すら維持できないほどの貧困生活に落ちぶれようが、原付に乗れればとりあえず行動半径の自由度は確保できるのだ。買い物も行けるし友達に会いにも行ける。モータリゼーションの黎明期に本田宗一郎さんがつくりあげた原動機付自転車というものが、こんどは国民にとって最後の社会的・交通インフラとして底辺を支えてくれるのだ。

ちなみに今年7月からは免許なしで乗れる「特定小型原付」すなわち電動キックボードが出てきましたが、あれは遅かれ早かれ規制が強化される事でしょう。この先、交通事故の件数が「爆増」するのはほぼ間違いないですから、私はあまり重視していません。

で、いよいよ今日の話題です。ホンダの50cc原付スクーターの「ダンク(Dunk)」という車種についてちょっと書きたいと思います。



ダンク

ホンダ ダンク(公式サイトより画像引用)




ホンダ ダンク(公式)
https://www.honda.co.jp/Dunk/


まあひとことで言っちゃうと私はコレが好きなのであります。トップページには"Mobility Gadget"というキャッチコピーが見えますが、このスクーターは2014年2月に発売されまして、その開発コンセプトは「プレミアムスニーカー」とのことでした。海外のモデルを含めてこのクラスのスクーターラインナップを見まわしてもなかなか個性的な、いいデザインだと思います。あえてレトロ路線をつきすすむ「ジョルノ」や従来のオーソドックスなスクーター像を堅実にまとめた「タクト」とは明らかに一線を画した「新時代の乗り物」の姿を具現化しているように思います。



フロントとリア

前も後ろも素敵なデザイン







ナナメ前

シックでおしゃれな感じがするよ




とりわけ私がいいな、と思っているのがこのスピードメーターまわりのデザインであります。ただのバーハンドルにアナログのスピードメーターを組み合わせたオーソドックスなタイプで、とりたてて騒ぐほどの個性はないでしょ!タクトと変わらん!原付なんて必要な表示が見られればそれで充分なんだから正直どうでもいいじゃん!!と言われそうですが、これだけかっこよく仕上げたのはすごいと思うんだ。



ハンドル周り

たかが50ccのくせに(←失礼!)何ですかこのカッコ良さは




黒いパネルの上に白の目盛りとスピード表示、そしてスピードメーターの針は赤ですよ。ゼロが水平を指し、法定速度の時速30kmを指す時は針が12時の位置(まっすぐ真上)に来るという芸の細かさですよ。私はもう、それだけでシビれてしまう。

は?メーターの針が赤くてゼロの位置が水平で時速30kmで真上に来るだけでしょ

だ か ら 何 ?

っていう人がほとんどかもしれません。皆様もモモ通を読みながら半ば呆れつつ「こいつは何を言っているんだ?」って思ったかもしれません。このメーターの色づかいとデザインは、刺さる人にはものすごく刺さるのです。「要するに感性の問題でしょ」と言われればそれまでですが、個人的にこのハンドル周りの計器類デザインは歴代の50ccスクーターの中では最上のかっこよさだと思うのであります。

ちなみに搭載しているエンジンはAF74Eという型式の水冷4スト単気筒で、最新技術を全力で注ぎこんでつくられた異状なレベルの贅沢設計です。個人的には「たかが50ccごときは空冷2ストで軽量シンプルにつくればパワフルだし無駄も無い」と思うのですが、度重なる排ガス規制に対応するべく複雑きわまりないメカニズムのエンジンが出来上がってしまったのですよ。何度も言っちゃうけどたかが50ccですよ。それをわざわざ水冷化したうえに燃料噴射装置も電子制御。あからさまに装備が過剰です。本気出しすぎ。もう「伸びしろが無い」ところまで到達しています。これぞ究極の50ccエンジン、という気がする。



エンジンスペック

こんなのつくったら誰がどう考えてもコスト的にやばい




まあホンダは昔からモノをつくらせると妙にムキになるというか真面目に本気を出しすぎて無駄に他社を叩きのめすような「少々おとなげない部分がある」ので今更驚くこともない。


(例1)

ホンダ:ウチは2ストやらないから。大嫌いだから。4ストエンジンで2ストを叩きのめしてやるから覚悟しとけ→VT250F登場

スズキ:時代は2ストのレーサーレプリカよ!カウルの認可もとれたからガンマ250つくった(笑)

ヤマハ:負けてられるか!ウチはTZR250で迎え撃つぜ(笑)

ホンダ:VT250Fじゃ勝てないなぁ(←目が笑ってない)
 ↓


2ストNSR250R登場!!(ホンダがなぜか2ストのレーサーレプリカをガチで製造)

結果:レプリカ市場はNSR250Rの無双状態で他社は草木も生えない焼け野原と化して終了


(例2)

スズキ:これちょっとした冗談なんですけど「GAG(ギャグ)」つくっちゃいました!(笑)

ヤマハ:なぬっ?じゃあウチはガチンコ勝負で「YSR」つくったわ(笑)



ホンダ:「NSR50」出しときました(←目が笑ってない)

結果:NSR50の無双状態で他社は草木も生えない焼け野原と化して終了


まあ、私個人的にはそんなプライドの高い、というか絶対に負けたくない!っていうホンダの魂は嫌いではない。


話をダンクに戻しますが、このスクーターは2014年にデビューした当時はベトナム製造でありましたが、2016年から日本(熊本)での製造に移行しています。しかしダンクはそれほど人気があったという訳でもありません。かつてはオートバイの販売台数の大部分を50ccの原付が占めていましたが、電動アシスト自転車の普及とともに原付の販売台数自体が激減してきまして、若者のニーズを掘り起こそうと設計されたダンクに注目した若者はほとんど居ない(というか、そもそも「少子化政策」を行っていた日本には若者がいない)という状況でありました。

少し話がそれちゃうけど莫迦政府が「少子化対策」とか言ってるけど何を今更って感じですよね。これまでやってきたのは「少子化政策」すなわち少子化を促進させる方向で社会の変化を事実上見過ごしてきた(問題を放置してきた)訳じゃないですか。少子化はお前らセージカの怠慢がもたらした結果にすぎない。今の時代、結婚したい!結婚させてクレ!!って叫んでるのは「同性愛者」だけですよ。普通の人は自分の暮らしを必死で守ってギリギリの崖っぷちで耐えてるんだよ。そんな人が結婚して子育てなんて出来る訳がないじゃん。

このところセージカどもは「最低賃金を千円にできるか否か」なんて真剣に考えてるフリしてるけど、私に言わせればまず「こっかいぎーん」が全員、東京都の最低賃金(時給)で働いてみろって感じですわ。もちろん「実働時間」ベースで時給を計算するから国会の会期中は時給出るけど、閉会してる期間中は給料出ませんからね。あと、ただ議事堂で座ってるだけじゃダメだかんね。寝てたりスマホいじったりしてる時間は勤務時間にカウントしないで、ちゃんと議論に参加した人だけが最低賃金の時給払い。黙って座ってるだけで時給もらえる職場なんて世間には無いからね。あと年金は国民年金に加入して負担してください。賞与?んなもん実績あげてからの話ですよ。一律支給なんてとんでもない。成果をあげた人だけが、それに見合った報酬を受けるのが賞与ってもんだ。

まずは最低賃金で実際に生活してみろ!金額についてあーだこーだ言うのはその後にしろ!!って思うのよ、私は。

という感じで話はすぐに脱線するのだった。ダンクの話に戻るよ。ダンクのデザインは上に掲載した画像からお察しのように、後方部分がスパッとナナメに切り落とされている感じです。むろんシート下に荷物を収納するスペースがあるのですが、そこに入りきらない大きい荷物はどうするのか?という問題が発生します。安心召されよ。ちゃんとオプションでリアキャリア(荷台)が用意されているZE!



オプションのリアキャリア

純正リアキャリア(10,450円)




え・・・ちっちゃくないですか?マジですかこれ。材質がスチールで許容積載量が3.0s。サイズは長さが約125mmで幅は142mm〜165mm。そこに何を積めと??

という、トンデモ設計なリアキャリアも大変な魅力となっております。だめだコレばっかりは笑うしかない。たしかにこのキャリアにベースプレートつけてデカいトップケース(箱)なんて付けちゃったら後ろを走るトラックの運転席からブレーキランプが見えなくなりそうだ。

このダンクは2018年に「平成28年排出ガス規制(ユーロ4)」に対応したエンジンに変更され、同時に行われたカラーチェンジでグリーンが消滅。その後もボディカラーバリエーションが減りまくって現在に至るのであった。なお現時点(2023年7月30日現在)ではメーカー希望小売価格が229,900円(消費税込み)となっております。意外と高いんだな、これが。

と、サラリと書きましたが私はかつて存在したグリーン(正式名称はマットアーマードグリーンメタリック)のダンクが好きで、仮に自分が乗るならこの色がいいなと思っていたのよね。でももう新車では買えないし、中古のタマ数もそれほど潤沢にあるわけではないから程度の良いグリーンがサラリと見つけられる可能性は低い。つまり乗りたくても乗れないというのが実態であります。



グリーンのダンク

この色のダンクが最高に好きだったんだ




そうこうしているうちに2025年11月が来てしまいます。そう、50cc原付滅亡のタイムリミットです。小排気量の50cc原付エンジンは厳しい排ガス規制に対応困難なので「猶予期間」として現状のまま販売して良い、とされているのが2025年が10月末までなのであります。内燃機関をなくしてEV化を強力に推し進めてきたEU陣営がちゃぶ台をひっくり返している状況もあり将来の展開はどういう方向で決着がつくのか行き先は不透明ですが、確実なのは現行の50cc原付は消滅するという事です。業界は


「50ccで排ガス規制のクリアは無理なので、ここは発想を変えて規制に対応できている125ccのバイクをパワーダウンさせて原付の代わりに売らせてクレ」


と働きかけています。つまり2025年からは「どんくさい125ccを買って乗れ」という事になる可能性がきわめて高い、という事態なのです。こう言ってはナンですが125ccのスクーターではボディサイズがふたまわりも大きいのです。ちっちゃくてかわいい50ccスクーターを入手できるのはあとわずかの期間なのですよ。

あとはヤマハのE-Vino(イービーノ)のような「電動」に切り替えていくしか道はない。ホンダもEM1 e:(イーエムワン イー)を来月8月24日に販売開始しますから、各メーカーとも50cc原付クラスはエレキに軸足を据えてゆくという可能性もあります。

何はともあれ今ならダンクが普通に買えるのよね。こういう状況を当たり前だと思ってはいけない。今後の自分の「自動二輪生活」に関してじっくり作戦を練って、無理のない範囲で「次の一手」を打ちたいところです。










#54
2023年8月3日(木)
「利き耳の話」


左右どちらをメインで使っているか、という意味で「利き手」「利き足」「利き目」等々、あるわけですよ。手や足ぐらいは多くの人が自覚しているものですが、それ以外の部位だとあまり意識しない人もいるかもしれません。

私は利き目が「左目」です。これはカメラのファインダーやバードウォッチングで使うフィールドスコープの接眼レンズをどっちの目で覗くか、という無意識の所作ですぐ判明するものです。角膜の病気の状態は右目の方がマシでコンタクトレンズを使えば矯正視力も出せるのですが、病状的にダメなほうの左目をメインで使う癖があるため矯正視力は左目にあわせてバランスをとっています。

話はそれますが私は幼少時から視力が悪く、なおかつ山向こうにある「目の不自由な方々が暮らしている施設」にワケあってよく出入りしていたこともあり、目の不自由な人に対してなんとも表現しがたい共感というか、寄り添いたい思いに駆られてしまうのであります。

で、高校生の時のときに話はさかのぼるのですが、当時からすでに私は自分が頭脳的にも身体能力的にもあまり世の中の役に立ちそうもないことを薄々感じていたので、いつもお世話になっている眼科の先生に「将来、私が死んだら自分の角膜を提供をしたいです」と申し上げたのよ。そしたら先生が


「その気持ちは嬉しいけど、健康な角膜が欲しいのよ」


と申し訳なさそうなビミョーな口調でおっしゃったので、いろいろ察して割と深刻に精神的ダメージを受けて帰りの中央線で頭を抱えて帰宅した過去があります。たしかに病気の角膜を欲しがる患者さんが居るわけない。視力が出ない角膜を移植しました!とか意味が分からないですもんね。涙。

手は右利きです。文字を書くのも箸を持つのも右手。でも以前ちょっと書いたかもしれないけど「スイッチを押す」「ドアのノブを操作する」「水道の蛇口をひねる」「容器のフタをあける」「小銭を取り出す」「落ちているものを拾う」等、ちょっとした動作で左手を使う習慣というか傾向(癖?)があります。昔からそうなので理由はよくわかりません。小学生の時に右肩を骨折した時に治りがよくなくてボールを投げるのは左に転向したのですが、去年11月の交通事故で頚椎から左腕をヤラれてしまいましたので二度とマウンドには上がれないでしょう。次は最後の手段で右のアンダースローに挑戦するしか無いと思います。あ、そういえば交通事故の話がどうなったかまだ書いてないですが、これは何を隠そう


ま だ

話 は 終 わ っ て な い


という実情なのであります。決着がついたらモモ通で報告するつもりでいるのですが、今なお示談に至ってないので書きようが無いのです。断言しますが決して私が不当にゴネているという訳ではありません。ご存知のように私はむしろ物事は穏便に済ませたいと思うタイプの生き物です。もめごとは大嫌いなのです。何事もスムーズに終わらせたいのです。ただ「私の左手が不自由になってしまった」という事実をどのレベルに判定するかまだ確定していないのよ。面倒だね。



ということで今日の話題は「利き耳」の話です。皆様、自覚したことあります?私は割と子供の頃からハッキリと意識していました。というのも、電話で話す時に受話器を左耳にあてないと、相手の言っている内容がまったく頭に入ってこないのです。これはもう思い出せないぐらい昔から自覚していました。

右耳だと聞こえない、という意味ではありません。ちゃんと相手が日本語でしゃべっているのは理解できるし、単語はちゃんと聞き取れるのです。でもどういう訳なのか内容が理解できなくなってしまう。頭には入るけど何も残らないという表現が一番近い。

たとえば教室で先生が教壇に立ってしゃべるのを聞くときも自分の座る位置で結果が左右されてしまう。先生の声が左耳に入ってくる席じゃないと内容を理解できない。またァ、いつもみたいに大げさな事を言いだしたなコイツと言う人もいるかもしれませんが本当です。

音楽活動をするようになってバンド内での自分の立ち位置による「聞こえ方の差異」も深刻な影響を及ぼしていました。たとえば自分がステージの下手(シモテ)に立ち、他の演奏者が全員自分の左側に居るようなポジショニングになってしまうと、他のプレーヤーの演奏がモロに聴こえ過ぎてしまい自分の出している音が全く分からなくなってしまう。

バンドにもよるから一概に言えないけれども、一般的なロックバンドだと客席から見て通常はセンターにヴォーカル、その右側(上手)にリードギター、ヴォーカルの左側(下手)にベースがいるパターンが多い。私は「お前はリズムギターに専念してろ」と命じられている不器用な野人であったから、ベースのナナメ後ろに立ってジャカジャカやる役割ですよ。立ち位置はおもいっきり下手(←ヘタじゃなくてシモテ)。私が一番ヤバいポジションですよ。みんなが出す音が左耳から明瞭に入ってくるので自分の出している音がよく聴き取れず頭が混乱しているうちにライブが終わる的な感じ。

これが演奏するジャンルが違うと、ステージの下手にピアノがドン!と置いてあって「フルートはこっち立って!」みたいな感じで上手(カミテ)に押し出され「結果的に助かる」場合もある。他のプレーヤーの音を右耳で聴きながらの演奏だと私はすごく楽です。安心感があります。

その違いは本当に大きいのであります。

昔つかっていた携帯電話用のBluetoothイヤホンマイクも、当然左耳に装着していました。



イヤホンマイク

もう15年以上前に使ってたやつだ







左耳に装着

プラスチックのフックを耳の上にひっかける




もちろんこのフックの部品を逆向きに付ければ右耳に装着できて、操作体系的にはむしろそっちが正式なのだろうなというスイッチ配置になっているのですが、先ほども書きましたように私はこういう小さい機材の操作は左手でやる方が「やりやすい」ですし、そもそも右耳につけてしまうと相手の言っている内容が頭に残らなくなってしまう。かなりヤバいです。

まあ今さらですが「私は耳に関しては左利きなんだなあ」と思ったりしたので、ちょっとネットで利き耳について検索してみたのです。私は目が左利きだから、耳も左利きというのは普通に有り得るだろうな、ぐらいに思っていました。

そうしたら、おそるべき事実を知ってしまいました。以下、参照したサイトの一つを引用してみます。他のサイトでも書いてある説明というか内容はほぼ同じです。



千葉市科学館(千葉県千葉市中央区)公式サイト内
「おうちでサイエンス」のページ

あなたは右利き? 左利き? その3 〜利き耳、ではなく聴き耳!?編〜
https://www.kagakukanq.com/2021/22422


(以下、上記サイトより引用)

「音」の情報は、入ってきた耳と反対側の脳の聴覚野で受け取り、その後、左脳だけにあるウェルニッケ野(感覚性言語野)というところに情報が送られ、そこで初めて「言葉」として認識されます。なんと、右脳にはこのウェルニッケ野がないのです!

(中略)

右耳から入った情報は、【右耳】→【左脳の聴覚野→ウェルニッケ野】の移動で、右脳と左脳をまたいでの移動は1回で済みますが、左耳からの場合は、【左耳】→【右脳の聴覚野】→【ウェルニッケ野】と、右脳と左脳をまたいでの移動は2回となります。このため、右耳で聞いた方が右脳と左脳をつなぐ通路(脳梁)を通る回数が1回で済み、よりしっかり話を聞けるのです。

(中略)

特に電話で大事な話をするときには、右耳で聴くのがおすすめです。



は?
はあああああ??

右耳で聴くと内容の理解不能に陥る私は一体ナンなのでしょうか?

ということで、余計なことをネットで検索したばかりに無駄に「自分のカラダの完成度の低さ」の真実を知ったのでありました。「右脳」と「左脳」は役割分担が違うという話はよく聞きますが、他人の言語を理解する機能をもつウェルニッケ野(ウェルニッケや、英: Wernicke's area=知覚性言語中枢)は左脳にしか無いから右耳を使え!と今更言われても私にはもうどうする事も出来ないではないか。

ふつう成長とともに左脳の機能が大幅に向上して論理的な思考とか判断力とかが身についていく訳ですよね。私はそれができないまま左脳が充分に発達してないスペック的にダメな大人になってしまい、当然のことながら人間社会には通用せず最終的に発狂して精神病院に放り込まれたのではないか?と思うとなんか微妙に納得がいくんですけど、なんか完全にダメ人間ってことの裏付けが今回の調査結果で判明したみたいでショックです。

っていうか私は本当に日本語が理解できているんでしょうか。実は言語としては理解できていなくて、イメージだけで聴いたり話したりしてるんじゃなかろうか。いろいろ不安になってきたヨ。

まあこういう事はあんまり考えすぎても無駄ですよ。それこそ時間をかける価値のない悩みです。脳についての研究だって実際どこまで真実なのかワカランではないか。あまり小難しい事ばかり考えて眉間にシワよせてるとブスになるから、ほどほどに聞き流してスルーしてしまうぐらいが丁度いいでしょう。

仮に私の知性がアリクイ並だとしても、その自覚さえあれば救いがあるというものよ。くれぐれも他の人に迷惑をかけぬよう気をつけながらひそやかに暮らせばいいだけの話であります。いまさら「利き耳」を矯正する必要もないだろうし、ひとりで暮らしている分には困らないのだからヨシとしようではないか。

言い方としては乱暴に聞こえるかもしれないけどさ、要するに私みたいな日陰者は目立たず騒がず、おとなしく過ごしていればいいんだよ。他人を不快にさせない生き方、って大事だと思うんだ。



イヤホンマイクその2

まあ古いイヤホンマイクが今も使えるってことでヨシとしよう




そもそもアリクイには右利きも左利きも無さそうだよね。野のケモノたちはそういう難しい事は考えてないと思う。「やっぱアリ塚壊すときは左手よね」とか絶対に考えてないと思う。それよりもミュージシャン的には「難聴にならないように耳を大事にする」ぐらいの結論でいいんじゃないでしょうか。










#55
2023年8月7日(月)
「私は『モノを持っていない人』が嫌いっぽい」


ひところ「断捨離」などという言葉が流行りました。最低限のモノだけで生活する「ミニマリスト」なんていうのも現れた。昭和時代じゃあるまいし、現代においては「モノに執着する価値観」は時代遅れで見苦しい、みたいなムードをつくりだそうとする社会になりました。武漢肺炎およびその変異株が世界的に広まったことで、家に居る時間が増えて「片付け」に熱心になった人も多かったという話を聞いたこともある。

人の価値観はそれぞれ、と言ってしまえばミもフタもないのですが、私自身は他人とは違うものを所有し使いまくりたい、というヘソ曲がりな性格と割と重度なコレクター気質というのがあいまって、明らかに「身の周りにガラクタが多いタイプ」であります。そしてそれをヨシとしています。

「資本主義社会では他人より良いモノをもっている人が上位」という主張をする気はないし、「ミニマリストなんて貧乏な負け組の自己弁護」とこき下ろすつもりもない。

ただ、私自身はこれまでの実経験から、モノを持ってない人に共通している「明らかな能力の欠如」を見抜いている。間違いないと確信している。彼らには絶対的な法則とでも呼ぶべき共通点がある。

ここに断言する。


モノを持っていない人は「トラブルシューティング」ができない(その知能もない)


これは今まで見てきた「あえてモノを持たないと主張する人」は結果的に「トラブル時に対応するために必要なモノを持っていない人」である、という共通項でまとめられるという意味です。

トラブルシューティングとは、ざっくり言えば「機械などで何かトラブルが発生した時に原因をつきとめる作業」であります。そしてこのトラブルシューティングを行う際の対応は「問題と思われる個所を切り分けてひとつずつ解決してゆく」というプロセスを行います。

モノを持ってない連中は、これが出来ない。なぜなら、問題点をきりわけて個別に「可」か「否」かを判別するには、それを判定するためのスペアパーツや工具が必要だからであります。



しばらく前の出来事であります。私はアマチュア無線局を廃止したので、使わなくなった無線機を全部ネットオークションに出品して処分しました。今後アマチュア無線をやる若者なんて現れるはずもないですから、いずれ買い手もつかない悲惨な状況に陥るのは明らかです。とっとと手放したのはある意味正解だったと思っています。

で、無線機とイヤホンマイクのセットが無事に落札された訳ですよ。サクッと送ってサクッと受け取り完了の連絡が来て、スムーズに取引が終わったかに見えたのです。

ところが数日たってから取引メッセージという機能で「相手の声は聞こえるが自分の声が相手に伝わらない」と言ってきたのであります。何度やってもダメなので、セッティングする際に注意すべき点があるのか等確認したいので連絡をクレ、などと書かれていました。

お前さぁ、受け取り連絡しといて今さらナンなんだよ、って正直思いましたね。面倒くさい奴に絡まれたかな?と警戒態勢に入りました。出品直前まで私が実際に問題なく使用していた物であるから、ホントかよ?と深い疑念を抱きつつマイルドに返信したのであります。

モモ通では口が悪い文章を書きなぐる私ではありますが、実際の私は断じて乱暴な言葉遣いの下品なアバズレではありません。「丁寧語」と「べらんめぇ」のバイリンガルなのです。

面倒な相手かもしれないですから超絶丁寧な返信をしたのは言うまでもありません。このときに、確認してほしい事項をやんわりと伝えて、再確認してほしいとお願いしたのです。要するに、問題を切り分けて順番にチェックしてくれという内容ですよ。

・問題点は自分の声が相手方の無線局に伝わらないという事で間違いないか
・可能性があるとすれば次の4点を疑いひとつずつチェックすべし

(1)各機器の接続
(2)マイクの故障
(2)マイクと本体をつなぐケーブルが断線
(3)本体の端子の破損
(4)本体内部の故障

しかし「何度やってもダメだ」としか返事がこない。別のマイクに替えてみる、ケーブルを交換してみる、端子の具合をチェックする、ここまでは相当な阿呆でも容易にできるはずである。(1)はクリアしたと解釈しても(2)は調べたのか?お前は私の返信を読んで実際にちゃんと試しているのか?

こっちの問いかけに対する明確な回答がない、という不毛なメッセージのやりとりが続きました。「ダメだ」「ダメだ」の繰り返しを返信されても何も事情がわからないではないか。

私もいいかげんウンザリしてきたし、もともとたいした金額のモノではないので「不良品ということで落札金額を返金しましょうか?」と申し出たのです。送り返してもらうとまた送料をどっちが負担するんだ的な面倒が起きるから、送り返さなくて構わん、とまで言ってやった(もちろんマイルドな表現で)。

すると取引メッセージに個人情報は書きたくないという。私は玉砕用のメールアドレス(万一、流出して迷惑メールに汚染されてもダメージゼロの捨てアドレス)をいくつも持っているから、それのひとつを晒して「次回からこっちにメールくれ」と伝えたのです。返金の段取りを伝えるからメール待ってるぜ、と書いて返信を待った(もちろんマイルドな表現の文章ですよ)。

ところが待てど暮らせど連絡が来ない。件名はこう書け!本文は白紙でOK!と具体的な指示まで出してるんだからさっさと送ってこいよ。ここまで鈍い奴だと相手にするのもイヤになってきます。

そして意外な結末で物語は幕を閉じたのであった。忘れた頃に取引メッセージが何やら届いたので、てめえまだ生きてたのかよ!と思いながら読んでみたら


「商品に同梱されていたケーブルに接続したら問題なく使えました。どうやら私のケーブルが断線していたようです。この件は終わりにいたします。」


と書かれていたのであります。私はおもいっきりズッコケましたよ。目の前に居たら怒鳴りつけるレベルで怒りが身体の隅まで駆け抜けた次第。



無線機

今私が使ってるのは特定小電力トランシーバーよ







端子カバー

カバーの下にスピーカー端子、マイク端子があります




一応、アマチュア無線の従事者免許を取るには少しぐらいは勉強しないといけないのです。この私ですら勉強したのです。無線に関する知識、たとえば電波であるとか電気回路であるとか、分野としては(雑な言い方ですが)理系です。魂で感じるものではなくて知識を動員して頭で考える類のものです。ある程度の「理屈責め」でなんとかする最低限の技量が必要です。しかし、今回の相手はとても無線従事者免許をもっている人間のアクションとは思えないレベルではないか。

というか、そもそも落札物が手元に届いた最初の時点で「同梱されているモノをチェックしていない」という事ですよ。それで文句をつけてきたのだから呆れるばかりであります。こういう奴こそ真の意味で「莫迦」ではないのか?

私はあえて言いたいのですが、こういうふうに「トラブルシューティングができない人」というのは世の中に割と多く存在するという事実であります。普通、無線マニアであればスペアのマイクやケーブル、なんなら本体もいくつか持っているものです。

考えてみてくださいよ。無線通信は基本的に「もしもし」「はいはい」の世界ですから、ひとりで実験するにも最低2台は持ってないと通信テスト(動作確認)すらできません。無線局免許状(ラジオ局の開設に必要な免許)を取得し世界でひとつだけのコールサインを持っていながら「無線機を1台しか持っていない」というのは相当特異なケースです。アウトドアブームにおどらされて「登山女子」とかを名乗って、そのなりゆきで無線免許を取得したような「ファッション登山家」ぐらいじゃないの?

最低限しかモノを持たない生活を送っていたら、手元の機械に何かトラブルが起きた時に「別のモノと交換して試してみる」というトラブルシューティングの基本ができません。どこに問題があるのかを順番に切り分けて調べながら不調の原因を探る、という基本的な行為ができない。そもそも代わりのモノが手元にないからそういう発想ができない。

いや、むしろそうではなくて、「何かあった時にスペアがあると安心」というような発想自体がミニマリストには存在しないから、問題を切り分けてトラブルの原因とおぼしき可能性を順につぶしてゆくという考え方が身に付いていない(できない)のだ。だからモノを持たない生活を無条件に「良いもの」と結論づけてしまう。要するに無知なのである。

簡単な例でいえば「懐中電灯のスイッチを入れてみたけど光らない」となったら

・電池を新品に交換してみる
・電球が切れている可能性を疑い、予備(良品)に交換してみる
・各接点や配線に問題がないか調べる(←バラす工具が必要)

ぐらいのことを普通にやるわけですよ。そういう前提に立てば、おのずと電池や電球はスペアを買い置きしておくものだし、工具だって日常生活で必要なものぐらいは揃えるものです。これは有事に対する備えであって、普通の人にとってはナンでもないことです。ところがミニマリストはそういう「備え」すら「無駄」と一蹴し、シンプルに暮らす事こそが美徳!モノに執着している奴はダサすぎて話にならないとかいって自分に酔っているからタチが悪い。なにしろ自己顕示欲が強いからSNSで自分のミニマリストっぷりをアピールしまくって過ごしているので「突然パソコンが壊れた!何もしてないのに壊れた!!」と騒ぐタイプですよ。

という訳で、私は「極端にモノを排除して生きてる人」というのをあまり信用していないのよ。適度に人生を楽しんで毎日愉快に暮らしていると、身の周りはそれなりにモノが増えるのではないかと個人的には思うのであります。人生の半分はトラブルで残りの半分はトラブルシューティングです、ぐらいなことを言って笑っている人のほうが、話し相手としては楽しいのです。なんらかの趣味を持つ人なら趣味に関連する道具類などそれなりに買い揃えることになるのは当然の流れです。モノを持ってないことを誇る人は「逆にたいした趣味のない人なのではなかろうか」と勘繰ってしまう。

だから一般人に限っては「ある程度いろんなモノを持ってる人」のほうが会話が通じやすいし、人間として信用できるのですよ、私は。いくら金銀財宝を身の周りに積み上げても天国には持ってゆけない。たしかにその通りです。でも、だからといって何ももってない人がドラマチックで愉快な毎日を過ごしているとは到底思えない。この世を存分に楽しむにはある程度の「モノやカネを介した娯楽」は必要だと個人的には思っています。










#56
2023年8月11日(金)
「セダン(絶滅危惧種)」


今日もまた車の話です。もう私が今後の人生で四輪を買って乗ることは可能性ゼロなので「正直どうでもいい」もしくは「事実上関係ない」というネタではあるのですが、好きなものは好きなのだ。話題にするぐらいはヨイではないか。

先日、新型の軽自動車「デリカミニ」を販売開始し評判となり、かなりいい波に乗っていると嬉しいニュースをもたらしてくれた三菱自動車が、こんどはピックアップトラックの「トライトン」を日本市場に再投入するらしいのです。


トライトン 2024年初頭 日本発売(三菱自動車公式)
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/products/triton/



ラリーに挑む新型

三菱トライトン超かっけえ!(公式サイトより画像引用)




モータースポーツで名を馳せた栄光のブランド「ラリーアート」が復活し、チーム三菱ラリーアートのトライトンが2022年アジアクロスカントリーラリーで初出場初優勝の鮮烈なデビューをなしとげたのは往年の三菱ファンを歓喜させたものであります。そして今年2023年は新型トライトンで連覇を目指すという。

三菱自動車ファンの私は大感激で胸が熱くなるのですよ。

そう、こういう路線でいいのよ。もともと日本国内に生息している三菱自動車ファンは過去のパジェロやランサーのような「ラリーという舞台で実力を全世界にみせつけた勇者のような車」を求めているのであって、特技もない中途半端な車をつくっても正直失望しか無いのであります。そもそも普通の人は素直にトヨタを選ぶわけで、わざわざ三菱車を買おうと思う熱烈ファンはもっと刺激的な車を求めているのです。

ルノー、日産、三菱という「負け組連合」ですから、三菱の立ち位置としては「主たる販売市場を発展途上国と定め、あとは少数生息している日本国内の熱烈マニア」に絞り込んで、過酷な条件に耐えうる堅牢で実用的な車というイメージを徹底的に前面に出して、連合の一角を担えばいいのであります。

・根本的に頭おかしい欧州市場はルノーに任せる
・海外市場でコケまくってる日産は日本国内市場を主戦場と定めて最新技術の開発と製品化に専念する
・三菱は発展途上国向けの実用車に全リソースを注ぎ込んで、積極的にモータースポーツに参戦しで実績をあげ世界中にコアなファンを獲得する

という役割分担をすれば、現時点では「負け犬連合」であろうとも未来は明るい、というよりむしろ希望に満ちていると言えます。底力のあるトヨタの「全方位作戦」に対して、3社で分担して挑めばいいのだ。まだまだ勝算はある。それに、EVシフトが失速している欧州で仮にルノーがコケても日産と三菱の2社はダメージを最小限にとどめて再び這い上がれるチャンスは十分にある。

トライトンはその昔日本市場に導入されましたが全く売れず、壮大な爆死をしたいわくつきのピックアップトラックです。私はモーターショーで実車を見て一目惚れし、大好きな車のひとつでした。当時のトライトンのミニカーを今もパソコンのモニターの上にのっけて飾っているのであります。



PC画面の上

ディスプレイの上にミニチュアを並べている







ミニカー

かつての不人気なトライトン




ピックアップトラックといえば昔は日産の「ダットラ(ダットサントラック)」をはじめマツダの「プロシード」、いすゞの「ファスター」などいろいろあったのであす。私が運転免許を取得したころは普通に「サニートラック」が売られていました。1971年に登場した2代目サニトラはFR駆動方式のB110サニーとパーツが共有なのでチューニングパーツが豊富にあり、当時から根強いファンがたくさんいたのです。



箱絵

プラモデルまで売られているサニトラ




余談ですが我らがスズキはクーペタイプの軽自動車「セルボ」のリアをスパッと切ってピックアップトラック「マイティボーイ」なんていうのをつくったりしていました。CMソングは歌い出しが


「金はないけどマイティボーイ」


っていう歌詞で、すさまじいインパクトがありました。安い値段で販売され「スズキのマー坊とでも呼んでくれ。」っていうキャッチコピーでCMのアニキがクールに決めていたけど、当時としては全くもって不人気で売り上げは伸びずたちまち販売終了。数年たって忘れ去られた頃に再評価されて、今はコアなマニアが乗ってる印象ですな。YouTubeを見たら当時のCM動画がアップされていたわ。懐かしい。


1983 SUZUKI MIGHTY BOY Ad




最近のCMは歌って踊るワケわからないのばっかり(しかも昔の替え歌ばかり)だから、本当につまらない。昔のCMはメッセージが明確でセンスもいいなと思います。こういう事言うと叩かれそうですけど、たばこの「パーラメント」のCMとか素敵な雰囲気に満ち溢れて最高でしたよ。ニューヨークの摩天楼の映像とAOR系のBGM。あの都会的で大人の時間を匂わせる美しいCMは大好きでした。といいますか、たばこのCMはそれぞれの世界観がはっきりしていてみんな良かった。西部劇『荒野の七人』のテーマ曲をみごとに活かした「マルボロ・カントリー」の世界。俳優ジェームズ・コバーンを起用した「スピーク・ラーク」(←もはや意味が全く解らないキャッチコピーなのだが、かっこいいので全てがOKという謎CM)。オートバイの男と旅先で出会う美女、そして最後に走り去る男というマンネリ様式美が完成された「ラッキー・ストライク」、という感じで一貫した世界観を毎回楽しめたものです。

マイティボーイについて語りはじめると終わらないので話を三菱トライトンに戻しますが、ピックアップトラックなど日本で需要がそうそうあるはずもなく国内メーカーが続々と撤退したのです。徐々にライバルが消えていくニッチな市場で気づけばトヨタのハイラックスだけが生き残り、日本市場を独占して終了という現状に落ち着きました。



ハイラックス

トレッサ横浜に展示されていたハイラックス




そんなニッチな市場に「アジアクロスカントリーラリー優勝実績」をひっさげて三菱自動車が再びトライトンを国内市場に投入するのです。ひとり勝ちのハイラックスに殴り込みをかけたところで、月に何台売れるのでしょうか?っていう世界ですよ。狂気の沙汰であります。

まあ北米ではピックアップトラックは人気のある車種ですし発展途上国を中心に海外での需要は相当な規模がありますから、ピックアップ自体は「日本国内においては絶滅危惧種だけど海外に目を向ければ多数生息する車種」というのが実状でしょうか。三菱自動車も海外で売れてるツイデに日本でも存在感をアピールして消費者の反応をみてみましょうか、というぐらいの戦略だと思います。

海外市場も含めて本当に絶滅危惧種と言えるのはセダンだけかもしれません。

今の子供に自動車の絵を描かせると「ミニバン」か「SUV」だというではないか。いま警視庁のパトカーはクラウン(最新モデルではなく前の型)が多く使われていますが、クラウンですらSUVになってしまった時代ですからね。そのうちパトカーもセダンじゃなくなるかもしれません。セダンって何?っていう世代が現れても不思議はありません。

昔は乗用車といったら4ドアのセダンだったのですよ。利便性の高いステーションワゴンですら「商用車っぽい」と敬遠されたものです。3ボックスカーというのが基本。もう今は3BOXって死語ではなかろうか。フロントのボンネット、乗用空間、リアのトランクスペースの3つが独立しているカタチですよ。家族が乗る車も、タクシーも、パトカーも、4ドアセダンが「普通」もしくは「当たり前」でありました。こういう形の車ですよ。



セダンの例

セダンの例 ダイハツ・シャルマン




・・・またずいぶんとマニアックな車種の画像を引っ張り出してきたな、と言われるでしょうが、こういうチャンスがないと忘れ去られてしまう車にスポットライトを当てたいじゃないですか。まごうことなきダイハツのフラッグシップモデルであり、ダイハツが自社開発した最後のFR車ということで私には忘れ難い車であります。エンジンやトランスミッションはカローラのものを使っていたのですが、カローラがFFにモデルチェンジした後もシャルマンに変更はなく、最後はトヨタが「前のカローラの部品なんていつまでも供給してられないから、いいかげん販売をヤメめてくれ」みたいな感じで部品供給を断ち切られ非業の死を遂げた悲しみのセダンよ。このカッコ良さはちょっと現代では再現できませんな。排気量1500ccとはいえ高級感がハンパない。シャルマン("Charmant"=フランス語で「魅力的な」「素敵な」という意味)という名前がすでに最高に似合っています。この車に迷いなくお金を払っていた人は真の意味で「お金持ち」だと思います。いろいろな意味でゆとりがなければ、この車は買えません。

セダンの代表としてシャルマンを引用するのはさすがに苦情が寄せられそうですから、もっとメジャーで馴染み深いセダンの例を一台出しときましょうかね。



セダンの例その2

セダンの例その2 マツダ・ルーチェ




また変化球じゃないですか(笑)。セダンならトヨタや日産にそれこそ有り余るほどの車種があるでしょうに、何ゆえにマツダのルーチェなんだよ!!って言う人もいるかもしれませんね。100%…SOかもね!(←シブがき隊かよ)。ルーチェは言わずと知れたマツダのフラッグシップモデル、最上位に君臨する高級車であります。あ、今「マツダの暗黒時代」とか言った奴、前へ出ろ。

「歴代のルーチェでどれが一番かっこいいか問題」っていうのは自動車好きならけっこう燃える議題になると思うのです。一晩かけても語り尽くせないレベルです。上に画像を載せた4代目はコスモと兄弟車で、かなりアメ車(合衆国の車)っぽい雰囲気を放っております。鋭い直線で構成された見事なボディデザインは昨今の厚ぼったいズングリムックリ車と比べて実に優雅であります。残念ながらこの頃のマツダはだいぶ存在感が薄くルーチェやコスモなどの旗艦モデルがことごとく販売不振に陥っており状況としては危機的でしたが、この後ファミリアのフルタイム4WD発売やら販売網の拡大路線(ユーノス、アンフィニ、オートザム等)やらでイケイケドンドンの大躍進時代を迎えるのですから、熱い時代の前夜という趣であります。そして拡大路線はバブル経済の崩壊とともに大爆死。マツダは深手を負い工場は長期にわたり操業を停止し従業員は絶望の淵へを投げ込まれたのでありました。苦難の時期を経てまた這い上がって「不死鳥の如く甦る」のだからすごい企業です。振り返ればマツダの歴史は波乱に満ちております。そんなマツダが嫌いになるわけがない。ただ、自分が乗ってみた範囲で印象を語るとおしなべてマツダの四気筒エンジンはイマイチな印象が強かった。気持ちよく吹けないし力強さも感じられなかった。でも、どういう訳なのかマツダ車は一度乗ると謎の中毒性があるのよね。

で、私が一番好きなセダンはナンなのさ?という話になると、これはもう即答であります。

好きな車を挙げたらキリがないし、仮に三菱自動車に絞ったとしても「ギャランΣ」「ランサーEX」にはじまって「トレディア」とか「ディアマンテ」とか「カリスマ」等々いくつも候補がノミネートしてしまうから、あまり真面目に悩み始めると永遠に結論は出なくなってしまいます。だからもう「物心ついたときに最初に一目惚れしたセダン」ということにすると、答えはひとつ。コレで決まりなのです。



リベルタビラ

登場!日産リベルタビラ




はい。日産のリベルタビラです。読み方はリベルタ・ビラと区切るのよ。イタリア語で「自由」という意味の「リベルタ」と、「別荘」という意味の「ビラ(ヴィラ)」という単語がくっついてるの。今の日産には「ローレル」も「ブルーバード」も「サニー」も「スタンザ」も「パルサー」も無いですから、リベルタビラの名を忘れている人がいても仕方のない事です。

私が先日ミニチュアを手に入れて大騒ぎした「一番好きな車」がパルサー・エクサだったのは覚えておられますでしょうか。あれと全く同じ時代(N12型)のセダン版です。そう言われてみればデザインがあからさまにモロかぶりというか完全に一致というのがお分かりになると思います。

このリベルタビラはブルーバードの販売店(当時、日産自動車は販売店を多チャンネル展開していた)で販売される「ブルーバードの弟分」みたいな立ち位置でありまして、排気量1500ccクラスのファミリー向けセダンであります。これまたカクカクのシャープな直線デザインがきわだっております。いくぶん丸みをおびて穏やかそうなシャルマンとは雰囲気の異なる、エッジの効いた独特のデザインが実にイカすのです。私は基本的に角ばってるものが好きですから一欠けらの迷いもないリベルタビラの直線構成は実に痺れるものがあります。



リベルタビラその2

ナナメ後ろから見るとこんな感じ




まさにパルサー・エクサを4ドアセダンにしたようなシルエットです。リアウィンドウとトランク部分のバキッとした角度がたまりません。最近の車はセダンといっても屋根からゆるやな傾斜でリアに流れてゆくようなデザインが主流で、あたかもハッチバック車のごとくトランクの張り出し部分がほとんど無いものばかりです。リベルタビラの独立したトランク部分の張り出しっぷりはバランス的に見事なパッケージングではありませんか。これでいて車のサイズは全長が4.12メートル、全幅が1.62メートル、全高は1.39メートルしかありません。こんなちっちゃいサイズでちゃんとした4ドアセダンのデザインをバランスよく仕上げているのだからマジで凄い。車両重量なんてホンダの現行軽自動車N-ONE(840kg)よりも20kgも軽いんですよ(リベルタビラは820kg)。

車両側面、乗り降りするドアの窓枠に注目していただきたい。この時代はすでに「窓枠を黒く塗る」というのが主流となっていました。上に掲載した「シャルマン」や「ルーチェ」の画像を見てもお分かりいただけると思います。特にBピラーを黒くするとフロントとリアの窓の境い目が目立たなくなる効果が得られます。しかし「リベルタビラ」の窓枠はボディカラーの色そのまんまなのです。白いボディカラーのリベルタビラは窓枠も白いのです。これが実に良いではないか。私に言わせれば「たかが窓枠ごときをわざわざ黒くする必要はない」という思考ですから、むしろこれが正解なのよ。

という具合に、リベルタビラには1980年代の美学がつまっております。見事としか言いようが無い。

いやぁ、今日は皆様に「リベルタビラ」の紹介ができた、それだけで私は大満足です。これで悔いを残すことなくいつでも天国に行けますよ。一番好きなセダンは日産リベルタビラです、って言えただけでも肩の荷がおりたというか胸のつかえが無くなった心地です。今宵は実にすがすがしい気分です。こうやって一つずつ心の中に秘めたる思いを順にモモ通で吐露していれば「何も言い残した事はない」といってあの世に行けるね。今まで誰にも言えずに心の内で燃えていた熱い思いを、こうしてモモ通で発表できたことを嬉しく思います。

しかしもう、機能をパッケージングするという意味では事実上「セダンである必要性」は無いですよね。家族で乗るなら天井の高いハイトワゴンとかミニバンのほうが何かと便利でしょう。車いすの人や足腰の不自由な人の乗り降りを考えたら、おのずと車の形状はセダンから遠ざかっていくだろうなと思います。実用面に重きをおいて使い勝手の良さを客観的に評価したらセダンって何の優位性もないですもん。絶滅するのも仕方がないのかな、と思います。

かといって無駄に大きいタイヤを履いたSUVっていうのが最適解とも思えないんですよねえ私は。



セドリック

日産セドリックの名前も消滅してしまった




こちらは日産セドリック(430系)。これぞ高級車、という風格があります。本当に素敵です。さようなら、そしてありがとう、セダン。あと4ドアハードトップもね。たとえ地上からセダンが消滅しても、過去の輝かしい歴史が消えることはないのだ。










#57
2023年8月15日(火)
「車載ぬいぐるみについて真面目に語る」


ここはJR市ケ谷駅であります。四ツ谷〜市ケ谷界隈は私はいろいろ縁(ゆかり)のあるエリアで、今もヤボ用で定期的にちょろちょろ出没するのであります。市ケ谷には昔ユースホステルもあって会員の更新手続きに来た記憶がありますが、街の風景はすっかり変貌を遂げてしまいかつての風景はサッパリ思い出せません。



市ケ谷駅

いちがや!!




さて、この市ケ谷駅にはイメージキャラクターの「いちがも」がいます。



いちがも

お辞儀をする「いちがも」




市ケ谷駅といえばお堀、お堀にいるカモが起用されている訳ですよ。率直に申しますがせっかく駅キャラを準備したのに出番が少なくてイマイチ知名度がのびていません。なんならJR武蔵小杉駅の「むさっこあら」(←コアラでありながらスリム体型でなかなかの破壊力あり)にすら差を付けられているレベルで世に知られていない、それが「いちがも」の実情です。アピールが足りないのですよ。実に惜しい。

と、ここまでは壮大な物語の前フリ(伏線)でして、いよいよ今日の本題に入ろうと思います。

私が重度の「ぬいぐるみ依存症」で「死ぬまで治らない収集癖」とあいまって部屋の中がも「ふもふ状態」なのはすでに皆様ご存知の通りであります。最初はエゾモモンガをメインにモモンガだけを厳選して集めていたはずが、ミナミコアリクイに魂を抜かれてからタガが外れ、みるみるぬいぐるみが増殖したうえ「もふっとオオカミ」シリーズに完全に理性を奪われて今では


ヤダこの人、ぬいぐるみの隙間に寝てる


っていう生活になってしまったのであります。全部でいくつあるのか既にわからない状況ですし、今さら数える気力もありません。ぬいぐるみをどれぐらい持っているのですか?と訊ねられたなら「一部屋です」と答える次元です。ぬいぐるみを数える単位が「部屋」です。

タチが悪いのは「抱き心地のよい大きいぬいぐるみ」をためらうことなく買い増しするという点に尽きると思いますが、それだけ「もふっとオオカミ」シリーズの威力が凄かった=私は大敗北を喫して完全に支配される身となった、としか言いようがありません。

最初に入手したもふっとオオカミは「ツンドラオオカミのカムちゃん」でありまして、彗星のように現れたと思うとあっという間に私をとりこにし、それまで毎晩抱いて寝ていたマレーバクの「バクダヨーさん」をトップの座から引きずり下ろして一緒に布団に入ってネンネする地位についたのでありました。



カムちゃん

これがツンドラオオカミのカムちゃん




カムちゃんは抱っこするのにちょうど良い巨大サイズであり、強くギューギュー抱きしめつつほっぺをスリスリしているともう天にも昇るほどに心地よいのだった。そしてココからが今日の本題となる訳ですが、私はカムちゃんを自分の後ろに載せてオートバイで「タンデムで走りたい」という衝動に駆られたのであります。

かつてパジェロミニ(←軽自動車です)に乗っていた頃は北海道で買ったエゾモモンガのぬいぐるみを載せておりました。というか、自転車旅に連れて行っていました。モンちゃんは一緒に旅をする相棒だったのです。だから「愛車にぬいぐるみを積む」という行為は決して今に始まったことではありません。

とはいえ時々見かける「ぬいぐるみをリアウィンドウの際(きわ)に敷き詰めたような車」みたいな事はしてません。あたかも秘密の任務であるかの如く、ぬいぐるみをひそやかに連れていたのです。携帯電話にちっちゃいオオカミのマスコットを付けているのと同じ感覚ですよ。たとえば電車の中で巨大なぬいぐるみを抱いてウフウフしてたら不気味なオバサンになっちゃうけど、携帯電話にちっちゃいマスコットがぶらさがってるぐらいなら許される的な「常識の範囲という境界線」って明確にあるじゃないですか。

私も頭がおかしい人間とはいえ「趣味として自分を解放するのはあくまでも自分ひとりの時間、自分ひとりの世界に限るよう心掛け、公共の場においては他人が違和感を抱くような行為は厳につつしむ」という常識ラインは自覚し死守しているのであります。諸般の事情により頭が狂っちゃったのは百歩譲ってやむを得ないとしても、だからといっていつでもどこでも何をやっても許される訳ではありません。他の人に不快感や不安感、あるいは不審感を抱かせる行為は決してやらない、という


「身の程をわきまえて控え目に行動する理性ある狂人」


でありたいと常々思いながら、私はその場の空気をしっかり読みつつひそやかに暮らしているのであります。

オートバイの後ろにぬぐるみを載せて走る、という行為は「誰かと一緒に行動する前提なら即アウトだけど、単独行動で運転する分にはギリギリセーフ」ではなかろうか。ということで具体的な作戦の立案にとりかかった。シンプルに考えて、子育て中のアリクイのようにカムちゃんを「おんぶ」するのが一番手軽な気がする。

というわけで私は久しぶりに友人に連絡を入れてみた。彼女は結婚して家族もいてとっくにオートバイ生活から引退しているとはいえ、いちおう出産前はライダーだった人である。彼女はサラリと電話に出てくれた。どうやらまだ私の電話番号は削除していなかったっぽい(←地味に嬉しい)。挨拶もそこそこに私はさっそく本題に入った。

「なんかオススメの、良いおんぶ紐ある?」
「え?」
「赤ちゃんおんぶするハーネス的な」
「何を突然?」

私は事の次第を簡潔に説明した。オートバイに乗る時にオオカミのぬいぐるみをおんぶするためにアイデアを拝借したい、という趣旨は割とアッサリ通じたようであった。

「いや、それはむしろ、ノドカがいろいろ検証した結果を世界に発信するべき問題であって、答えられる人は世界に一人も居ないと思うよ」

というのが彼女の回答であった。そのうえ「随分久しぶりに電話してきたからマルチか宗教の勧誘でもするのかと思ったら、そのナナメ上を行く質問だった」ぐらいの事を言われ「やっぱアナタは相変わらず頭おかしいわ」と笑っていたのである。まあ、確かに子育てに忙しい母親がわざわざぬいぐるみを背負う実験なんてするはずがない。そういうトンデモな質問を他人にあびせるのは愚かであった。そういうテーマこそ自分で試行錯誤して答えを見つけるべきであります。私が間違っていたよ。

それから私はしばらく「いかにしてカムちゃんを背中にのせるか」という課題で頭をかかえたのであります。早くも話がやや脱線しますがカムちゃんがあまりにも可愛いので外に持ち出して万一汚したりしたら大変だけどどうしよう?と新たな悩みもわきおこっていたのだ。

いいこと思いついたよ
同じのをもうひとつ入手して「室内保管用」と「外に連れて行く用」で使い分ければいいんだよ

という結論に達し、カムちゃん(二体目)を入手してしまったのであります。もはやこのあたりで発想が「狂気」をおびてきているのであります。

で、おんぶ作戦については「ペット運搬用のリュック」なるものが売られていると知り、さっそくそれを購入してみたのであります。メッシュになっていて中の動物が閉じ込められる状態を回避できる設計のリュックです。底の部分に必要な荷物を入れ、カムちゃんを上からストンと入れるといい感じに顔を出す具合であります。しばらくこのリュックで散歩を試みた。まあまあ結果は良好でありました。



散歩リュック

リュックを背負うとカムちゃんは後ろを向く




これを背負ったおばちゃん(←私だ!)がテクテク歩いている姿というのは控え目に言ってホラーかもしれませんが実験としては成功と言えました。ペット用リュックはオススメです(真顔)。

また、これと並行してギンビスのビスケット「たべっ子どうぶつ」の「らいおん」のぬいぐるみ状のリュックを入手しました。まあ子供用の小さいリュックですよ。「らいおん」の後頭部にあるファスナーをあけるとごくわずかな収納スペースがあり、タオルとティッシュ、あとはスマホと小銭入れぐらいはナンとか入るかな?という感じの収納力です。ピンク色のショルダーストラップがついていて「らいおん」が後ろを向いた状態で背負える仕様になっています。

しかし正直に申しますと私はオートバイに乗る時はできればリュックは背負いたくないのです。肩が凝るのよ。できれば荷物は車体に固定して運びたいという流派に属しているのです。そのうえ、「らいおん」のぬいぐるみリュックは割とよく出来ていてとても可愛いのでリュックとして使うのが勿体ないレベル。これはこのままぬいぐるみの地位で大切に持っておきたいと思いました。そのうえさらに問題が発生。カムちゃんは上述のように二体揃えてしまったのですが、並べておくとさながら仲の良いカップルのように思われ、私の欲望を満たすためだけに二頭の仲を引き裂くのはあまりにも可愛そうに思えてしまい、


この子たちの幸せを奪うぐらいなら私は身を引いて孤独を貫いたほうが生き方としては尊い


などという「控え目に言ってやっぱり頭狂ってる人」の思考回路が作動してしまい、結局カムちゃんは二頭ともお家で過ごすスタイルになってしまったのであります。ダメだもう訳がわからねえ。

その後私は「もふっとオオカミ」シリーズをひたすら集めまくったのでありますが、どれも皆可愛いので外に連れ出そうという気にはなれないのでした。ペット用リュック購入は一体何のための実験だったのでしょうか。

そこで私は思いましたよ。

アリクイだのオオカミだのと、好きな動物のぬいぐるみを買ったら「大切にしたくなる」のは当然であって、オートバイの旅に同行させるなんて過酷すぎる使命を負わせるのはハナから無理な相談ですよ。極端な言い方になりますが、もっとストレートに言えば「大して思い入れもない、どうでもいい動物のぬいぐるみをバイクにのせる」ぐらいが丁度いいのです(たぶん)。

いくら「どうでもいい動物」といっても根本的に苦手な爬虫類とか両生類とか虫とか水中に生息する気持ち悪い生き物はたとえぬいぐるみといえどもイヤなので、とりたてて好きでもないけど嫌いでもないレベルの絶妙な距離感の生き物がいいよね。とはいえ大抵の哺乳類は可愛いからなあ。たとえば私は「サル系」の動物を観察していると自分の醜い部分を鏡映しで見ているような気分になるためあまり好きではない。それでも赤ちゃんを抱いてる母子ザルとか見てると素直に尊いと思ってしまうし、アリクイのタエちゃんの横でケツをかいていたワオキツネザルなんかはナンだカンだで好きであった。

そんなこんなで頭を抱える日が長く続いていましたが、ある時「コウテイペンギンの赤ちゃん」のぬいぐるみがネットフリマで送料込み1,000円で出ているのを見つけました。商品としては「ふわふわペンギン2ウルトラBIG」というものです。そうか!ペンギンという手があったか。熱烈なファンもいますよね、ペンギン。私の知り合いにも「ぺそぎん」っていうキャラクターが好きな子がいるわ。

たまたまネットオークションの売上金が残っていたのと、クーポンでの値引きが適用されたのもあって200円ぐらいの支払いでエイヤッと購入してしまいました。コウテイペンギンの赤ちゃんならオートバイに乗っていても自然な感じでいいと思ったんだよ(←意味がわからねぇ)。届いたぬいぐるみをさっそく見てみると想像していたよりもはるかに魅力的なペンギンが現れたのであった。ま、まじかよ。



コウテイペンギン

目をとじて安らかに寝ている風味




な、なんか可愛いじゃないですかコレ。私自身としてはペンギンに対してはとりたてて深い思い入れはないはずであったのだが、このぬいぐるみはナカナカの破壊力であります。全長は「もふっとオオカミBIG」をはるかに超える50cmにおよび、その巨体がもたらす抱き心地の良さは圧倒的なのであります。いやいや、これはオートバイにのせて「風雪ながれ旅」にさらすのはちょっと勿体ないレベルです。万一、走行中に落っことしたら泣くわ。マジ逸品。



ペンギンぬいぐるみ

人生初ペンギンだけどコレは大切に持っておきたい可愛さ




という訳で「200円で買ったペンギンならオートバイの荷台に乗せていても惜しくはないだろう作戦」は見事に砕け散り、物語は振り出しへと戻ったのであります。

さてさて。ことし7月26日のモモンガ通信にて「ハードオフ」というリサイクルショップでテナーリコーダーを購入した話を書きました。このページの上の方にスクロールしていくとサラリと載っております。使用期限が迫るポイント残高を使い果たすべく店にのりこんで、死闘の果てにリコーダー購入に至った顛末は皆様の記憶の片隅にあることでしょう。

で、「ハードオフ」じゃなくて「ホビーオフ」っていうおもちゃのリサイクルショップがあるのよ。フィギュアとかミニカーとかいろいろ置いているのですが、わざわざ行くほどの用事は無い。私は商店街に行ったついでに気が向いたらちょっと覗く程度です。いくら私がコレクター気質だといっても、今さらガラクタみたいなおもちゃを集める気力はないのです。

ところが今回その「ホビーオフ」の前を通ってチラ見したら、お店の入り口に出ている「ぬいぐるみの叩き売りコーナー」に、ちょっと気になるものを発見しました。あれは・・・マガモのぬいぐるみではないか?

突然ですが皆様はマガモという鴨はおわかりになりますでしょうか?人気のカモといえば「カルガモ」が有名ですね。お母さんカモがヒナをいっぱい連れて歩いてお引越しするネタがテレビで取り上げられたりニュースで報じられたりします。いやな話になりますが高速道路で前の大型車にビタ付けしてETCを突破する無賃利用トラックを「カルガモ走法」などと報じたニュースがあったけど、あれはカルガモに対する風評被害も甚だしいと思いました。悪人のしでかす違法行為にカルガモの名を使うなんてひどすぎる。カルガモの場合は後ろにくっついて歩くのは母親をしたって必死についていく小さいヒナたちであって、高速道路をタダ乗りする犯罪者は似ても似つかぬ行為ですよ。たとえとして適切じゃないよ。カルガモに変なイメージがついたら責任取ってくれるのかよ、と声を大にして言いたい。



カルガモのポスター

東京都交通局の啓発ポスターでもカルガモを起用




都営地下鉄の駅には「駆け込み乗車はいけない」とアピールするポスターが貼られていました。やっぱりカルガモの人気は不動ですな。

しかし今回の話はマガモであります。画像を見れば「ああ、このカモなら見た事あるよん」「近所の池にもいるから知ってるよん」という人が多いのではないかと思います。



マガモ

マガモ(オス)




なかなかに良いカラーリングですよね。センスあるなぁと思います(←どこから目線だよ)。くちばしが黄色で頭から首がみどり、胸は茶色で腹は白、羽は独特のグラデーションがありつつ一部に非常に美しいブルーが入っております。で、足は微妙な中間色系のピンク。ちなみにオスはこんなに綺麗だけどメスはかなりの地味子ですよ。まあ野鳥にありがちな「オスは派手だけどメスは地味」っていうパターンですね。なお余談ですがこのマガモを家禽化したのがアヒルであります。

上述のように「ホビーオフ」の店頭には平台にぬいぐるみが山積みになっている「投げ売りコーナー」があるのです。明らかにちゃんとした価値があるぬいぐるみ(ディズニーのぬいぐるみとか)は店内の奥に綺麗に並べて置かれていて、値段もけっこうな金額がついているのであります。そういう地位につけなかった底辺級のぬいぐるみが店頭で投げ売りされるという現実があるのです。言うまでもありませんがほぼ全部、遊び倒されてヨレヨレ状態と化したぬいぐるみです。ピカチュウとか謎のクマとか何のキャラだか分からないものが雑然と積んであり、近づいて見れば「小汚いぬいぐるみ」という感じで、店側もたぶん本気で売ってるわけではないと思うレベルの商品群であります。よその子供ちゃんのヨダレにまみれた中古のぬいぐるみなんて、普通の人は買いませんからねえ。

で、そのコーナーに緑色の頭(?)が見えたのだ。「バードウォッチャーのどか」は即座に反応した。私は思わず近づいて見た。

ぬいぐるみの山をほじくって本体を掘り出してみると、やはりマガモであった。ほぼ二頭身のマガモであります。サイズもなかなにデカい。水球のボールよりデカい。しカモ、この投げ売りコーナーの商品としては割と綺麗というか、使用感(←は?)のない良品であります。一瞬「これをオートバイに載せたらちょうどいいんじゃなかろうか」という電流火花が身体を走る。値段を見ると500円(税込550円)となっている。うーん。300円なら迷わず買うけど500円って言われるとちょっとなあ。投げ売りコーナーにしてはかなり強気の価格設定ではないか。まったくもって、ストレートに値段が高すぎる。私はそう思いました。

私は手に取ったマガモのぬいぐるみを「投げ売りコーナー」に戻し、帰宅したのでありました。

しかし気になるのである。買わずに帰宅したものの、「マガモ ぬいぐるみ」なんていうワードでネットで検索しちゃったりしたのである。調べてみたところ、どうやら「ことり隊」というシリーズのラインナップのひとつだということがわかった。


ことり隊(株式会社アミューズの公式サイト)
https://www.amunet.co.jp/character/kotoritai.html


ことり隊の隊員たち、とかいってすさまじい種類ではないか。まあ、なんだ。世の中にはいろんなキャラクターがあるのだねえ。個人的にはキウイがツボった。ニュージーランドにいるあの妙ちくりんな鳥ですよね。キウイはちょっと欲しい気がする。ツルとかハクトウワシとかハシビロコウは「ことり」じゃないだろう!!と突っ込みたくなるけど、それを言うと「もふっとオオカミ」にブーメランが刺さるので黙っていた。

そしてネットでぐるぐるふにふにしていると、意外な真実を目の当たりにしたのであった。



オークション出品物

ネットオークションに1,000円(送料別)で出ている




新品で千円ですか!!けっこう強気じゃないですか。と思ったら、その程度で驚いてはいけなかった。



まさかの高値

は?1万6千えん??




いくら闇市Amazonとはいえ頭おかしいレベルでしょうコレは。有り得ないっすねー。誰がそんな大金を投げうって買うのよ。しかしこうして見ていると、知らず知らずのうちに、というか、だんだんと可愛く見えてきてしまったのですよ私としては。

うーん。夏休みだからなあ。鳥好きの子供の目にとまったら即、身柄を確保される可能性もあるわな。これは夕飯のおかずを減らしてでも確保しておくべきかもしれないな、などと思うと居ても立ってもいられなくなってしまいました。結局、翌朝ダッシュで買いに行った次第。笑。



マガモ入手

というわけで確保




さながら池田屋に突入する新撰組の隊士のような勢いでホビーオフになだれ込んだ私はかなり痛い人なのだろうと思う。でもしょうがない。こればっかりは早い者勝ちなのであります。先手必勝なのであります。

思い起こせば私が中古バイク屋にヤマハTDR80を朝イチで見に行って、文字通り開店と同時に突入して「昨日電話したモモンガです、黄色のTDR見に来ました」と言って、もうすでに奥から出してあった車両を20秒眺めて即決。「これ買います」って宣言して、じゃあこちらにおかけになって、と店長さんに促されて奥のカウンターで契約書類に名前を記入をしている最中に店の扉がバン!と開いて「ネットに載ってるTDRを見に来たのですが」っていうお客さんが現れたのだった。店長が


「すみません、たった今売れちゃいました」


と言って、私が肩越しにふり返ってその人に向かって「ニカッ」と笑ったという事件があったのだ。あれは本当にタッチの差であった。私がもう一本遅い電車に乗っていたら完全にアウトであった。オートバイに関してはネット検索なんかで気になる車両を見つけたら速攻で電話を入れて、できればその足で直行、最悪の場合でも翌日の朝イチに行かないと他の人に先に買われてしまうのだ。中古バイクは一期一会ですから、買えるか買えないかは時の運であり、ほぼ博打であり、マジで何があるかわからないのだ。迷っている間に売れてしまうのです。ためらった者が敗者となるのであります。

とにかく、私は550円でマガモを連れ帰ったのであります。

まずもってデカい。もふっとオオカミも相当な大きさですが負けず劣らずデカい。そして二頭身のデフォルメ感がすごい。横から見ると「いくらなんでもソレはないだろう」という仕上がり。それでもちゃんと特徴はしっかりと押さえていて、見る人が見れば(バードウォッチャーであれば)パッと見て「マガモだ」ってわかるレベルだし、何よりもそこそこ可愛いというのがヨイではないか。これをオートバイの後席もしくは荷台に後ろ向きに乗せて走れば、私の満足度はメーターをふりきるであろう。後続車のドライバーも


「あ、こいつはたぶんヤベー奴だ」


と感じて車間距離をとってくれるのではなかろうか。そのうち「五反田の鴨ライダー」とかいって地元じゃちょっとばかり名の知れた存在になれるかもしれない。

かくして無事に「車載ぬいぐるみ問題」はマガモを制式採用するカタチで解決したのでありました。オオカミとペンギンは残念ながら不採用という結果ですが、長きにわたる悩み苦しみがひとつ円満に決着というのは素直に喜びたいところです。あとはもう


「どうやってオートバイに固定するか」


っていう問題だけをじっくり考えて生きていこうと思います。いやはや、よかった、ヨカッタ。



記念撮影

最後はツーショットで締めますか




プライバシーに配慮して画像をちょっと粗くしてあるZE。今は顔写真なんて不用意にネットにアップしようものならどんな災難が待ち受けているか予測もできないですからね。画像を粗くしたってAIとか活用すればある程度は元の顔を復元できちゃったりしそうだし。芸能人でもないのに無駄な身バレをしてよからぬ事態を招くような事は避けなければなるまい。顔写真とか愛車の写真とかSNSにホイホイと載せちゃうのはマジでやめたほうが良いよね。ネットの向こうにいる他人なんて信用したら絶対にダメですよ。

あとはこのマガモに名前をつけてあげたいよね。私はさ、絶望的に名付けのセンスがないんだよ。「サン・ファン・バウティスタ」(洗礼者聖ヨハネ)とか割と本気で付けてしまう。いいからお前はいったん宗教から離れろ!って言われるんだけど、名前をつけるというとどうしてもカトリック教会の聖人とか聖書の登場人物にちなんだものを候補にしちゃう。これはもうしょうがないんだ。常に思考回路がそっちに作動しちゃうんですよ。

ということで、何かいいホーリーネーム、じゃなかった名前を考えておきたいところです。










#58
2023年8月19日(土)
「軽車両という区分は時代にそぐわないから見直したほうが良いのではなかろうか」


今日は軽車両の話をしたいと思います。「軽自動車」ではなく「軽車両」ですのよ。趣旨としては


自転車を「軽車両」に位置付けていることが諸悪の根源


というのが、今日の私の主張であります。いろいろなものを内包する軽車両ですが、事実上現代の日本においては軽車両の代表といえば自転車であり、これがあまりにもザルなルールで乗れてしまう乗り物であることが根本的に誤りだから自転車の法的な位置づけを変更して厳しい規則を定め、最終的な目標としては交通事故を減らしたいというのが私のスタンスであります。

さて、まずは「軽車両とは何なのか」「何が問題なのか」というあたりからハッキリしていこうと思います。

「軽車両」の定義は、道路交通法において以下のように記載されています。

自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう

(道路交通法第2条第1項第11号)


また、道路運送車両法には以下のように記載されています。

人力若しくは畜力により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引(けんいん)して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、政令で定めるものをいう

(道路運送車両法第2条第4項)


なるほど分かったような、分からないような。自転車以外には何があるのか明瞭ではない。私としてはもっと具体的に、公道上において一体何が「軽車両の扱いとなるのか」を、例をあげてハッキリ明示してもらわないと理解ができない。結論からいいますと、軽車両の定義に該当するものは次の7つに絞られます。


1.自転車

道路交通法では、「ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車」(第2条11の2)と定義。言うまでもない、免許不要かつ法の知識がなくても許される無敵の存在。自分の都合にあわせて車両になったり歩行者になったりするトンデモ身勝手な走行が野放し状態になっている。現在の日本の公道においては一時停止義務違反も逆走も信号無視もナンでもありの無法者として君臨している。今日の話題の主たるテーマはコイツである。


2.リヤカー

人力で引く、または自転車の後ろにつなぐ等により荷を運ぶ2輪の車。法施行の時点から定義が非常にあいまいであったが、2017年に警察庁が発表した資料において「道路交通法第2条第1項第11号で定める軽車両のうち、乗車装置を備えておらず、物を積載して運ぶために用いる車であって、一定の大きさ以下の原動機を有する普通自動二輪車、原動機付自転車等によって牽引されることが想定されるもの」と明記された。当然、車道を走行する。


3.人力車

人を乗せて人力で引く二輪車。浅草あたりで観光客を乗せてるアレ。「自転車通行可」とされている歩道、自転車道の通行は不可。つまり車道を走るのがルールと定められている。なおサイズの大きいベビーカー(長さ120cm、幅70cm、高さ109cmを超えるもの)は「小児用の車」ではなく「人力車」とみなされ、歩道を通行できない=車道を走らなければならない。赤ん坊をのせて車道を押す必要がある。


4.馬車

馬が引く車両。運ぶモノが人か荷物かは問わない。写真は2輪または4輪。馬の数も分類に影響しない。つまり1頭立て、2頭立ての区別もない。極端な話、古代メソポタミアの2頭立て2輪戦車「チャリオット」を現代日本で走らせても軽車両となる。当然、車道を走行する。戦場に赴く際、戦士は二段階右折をしなければならない。


5.荷車

荷物を運搬する道具。車輪は1輪または2輪。一輪車は押して、二輪車は引いて動かします。大きさの明確な規定がないため、たとえば土砂をはこぶために小さい一輪車を押して通行する場合は歩道を使用するべきなのか車道を使用するべきなのか定義がない。大きい2輪の荷車であれば歩道での使用は事実上困難になるケースが発生するため、おおむね車道を走行するものと考えてよい。


6.そり

サンタクロースのマシンとして圧倒的知名度を誇る乗り物。車輪では走行が難しい雪上や砂上で滑走させて用いる。動力源は人力の場合もあるが多くが犬や馬やトナカイ等の動物を使う。私は問いたい。観光客向けのアトラクションではなく公道で生活の足として犬ぞりを使用している人が日本にいますか?生活の足として馬に乗っている人はいますか?走行場所については、雪にうもれてもはや歩道も車道もへったくれもない状況下で使用するので明確な規定はない。「おい!そこの犬ぞり!車道を走りなさい!!」と注意された経験のある人がいるなら名乗り出て欲しい。また法律に従えば二段階右折をしなければならないのだが、犬ぞりでの二段階右折は割と難しいと個人的に思っている。


7.山車(だし)

祭礼のときに引くデコレーション屋台。大人数で引く巨大なものが多く車道を走行する。「やま」とか「だんじり」とか様々な呼び名がある。これが軽車両であるならば山車を引く人が酒酔い状態の場合は違反切符の対象となるはずだが、そんな話は聞いたことが無い。蛇足ながら肩にかつぐ「みこし」はどういう扱いなのだろうか。乗馬も軽車両扱いだし「そり」の例もあるから車輪の有無は関係ない。軽車両なのか?そうであるならば酒を一杯ひっかけたら担げない(酒気帯びと認定されたら厳しい罰則を免れない)、という事になる。まあ、山車の出番が予定されている期間はあらかじめ他の車両の進入を規制する場合がほとんどであるから、基本的に他の車両との交通事故は無いと考えてよい。自動二輪が絡む交通事故においては直進するライダーと右折する四輪が衝突する「右直事故」が圧倒的に多いが、これまで直進するオートバイと右折する山車による右直事故はただの一件も発生していない。


なるほど、具体的に挙げてみれば理解も進むというものだ。ここまで書いて私は気づいたのだが、要するに公道において誰もが明確に認識できる「原動機を有する車両」(つまり車とかオートバイとか)と「歩行者」の二つが明確な存在としてあり、「そのいずれかに属するとはいえないその他もろもろ」をひっくるめて「軽車両」と一括りに扱っているのが実情であります。

そしてハッキリ言わせてもらえば、上記7つのうち「1.自転車」以外のモノタチちはほぼ、人畜無害というか事実上考えなくても良い程度の存在です。「犬ぞりによる歩行者のひき逃げ事故」とか「騎馬武者と軽自動車の追突事故」とか聞いたことが無いのである。明らかに「自転車」だけが突出して無法者集団であり、交通事故の火種であり、公道のガンなのであります。

自転車のマズいところは、純粋に人力でペダルを漕いで走行するタイプにとどまらず「電動アシスト自転車」という凶器までが雑に含まれている点です。「電力は補助で使ってるだけです!」「あくまでもアシストに過ぎないんです!!」という屁理屈を口実に原動機付の車両を勝手気ままに乗ることが許されている。実にけしからん状態が放置されているのです。

法律をなし崩しに改正しまくった結果「車両だけど所によっては歩道も走行可能」という悪しき例外を認めたのを皮切りに、今は「前後に子供をのせて3人乗りして爆走が可能」なんていうありさまです。考えてみてください。運転免許が必要な50ccの原付自転車ですら1人乗車に限られており車道を走る鉄の掟と時代遅れな時速30km制限があるのに、無免許・無登録の電動アシスト自転車(乗員あわせて総重量は100kgにおよぶ)が歩道を逆走・爆走できる状況が容認されてきたのです。根本的に頭おかしいではないか。

そもそも自転車って子供が小さい時に「遊具」として買い与える訳ですよ。ずばり、おもちゃなのです。子供が自転車にチャレンジする前に、道路交通法を座学でみっちり教える親など一人もいない。ペダルをこいでバランスをとりながら前進する能力を身につけたら「合格」と認定され野に放たれるのです。

で、その延長で小学校、中学校、行けるなら高校までズルズルと「マイルール」で乗り続けるのだから無法者が育つのは当然のことであります。後から「自転車は軽車両だからルールがあるよ」と言われても、ヤングが素直に従うはずなどないのだ。

事実上「サイズアップした遊具」でしかない。

分類としてはむしろ「一輪車」「スケートボード」「ローラースケート」「インラインスケート(ローラーブレード)」「リップスティック(ブレイブボード)」「ストリートリュージュ」と同じ立ち位置ではないだろうか。共通して言えることは、どれも走行場所の定義があいまいで、なおかつ「歩行者から見ても車のドライバーから見ても邪魔で危険」という点です。

だから私は自転車については下記のように扱うのが適正だと思う。


・自転車を軽車両の枠組みから外し「自転車」という独立したカテゴリーを新設したうえで、日本の道路事情をしっかり検証し自転車に関する法規をイチから見直す。根本的に「遊具」なのか「乗車可能危険物(仮称)」なのかハッキリさせ、これに応じてしっかりと法整備をやり直し免許制度やナンバープレート、自賠責加入義務化などを課す。

・電動アシスト自転車はアシスト性能の内容や搭載するモーターの定格出力等に関係なく一律「第一種原動機付自転車」とする。

・なし崩しに合法化した「3人乗り」の認可取り消し。排気量1100ccのオートバイだって2人乗りである。3人で移動したいなら車に乗れ!バスに乗れ!歩け!!


というわけで、要するに「軽車両の枠組みから自転車を切り離せ」というのが私の主張です。これまで自由自在に(というか身勝手に)乗っても許されたのを、放置してよいわけがない。ルールが厳しくなるのは、これまで勝手気ままに乗り続けていた過去の代償ということで受け入れてもらう。

うちの近所では自転車が歩行者にぶつかってケガをさせ、救護義務を放棄し警察への通報すらスルーして逃亡する悪質な事故が多発しているのです。あっちこっちに「目撃情報求む!〇年〇月〇日〇〇時頃、この付近で自転車による歩行者当て逃げ事件が発生しました」みたいな内容の看板を警察が設置しています。イヤホンを装着しスマホいじりながら歩道を爆走する若いネーチャンとか普通に見かけますから、本当に危なくて仕方がない。

そもそも、日本には自転車があふれかえっているけれども乗っている人たちのオツムの程度はタカがしれている。これは断言する。乗り手がまっとうな知性をそなえた人たちであったなら、世界的に見て優秀であった日本の自転車メーカーが消えていないはずである。宮田工業(明治時代に国産第一号の自転車をつくった宮田製銃所)も今は自転車をつくっていない。ヨコタサイクルもデキバイシクル(出来鉄工所)も倒産してしまった。ちゃんとした製品をつくるメーカーがみんな無くなっちゃったのである。私が「もう日本の自転車業界はダメだな」と見限ったのはデキが倒産した時であった。海外から輸入された粗悪な安物をすすんで買うような連中が増殖して、それが多数派になって、優等な企業を倒産に追い込んだのである。

しょせん自転車に乗る日本人なんて、粗悪な安物を買って壊れたら捨てるような貧相な価値観で生きてる民度の連中が多数派なんだよ。しっかりしたものを買って大切に長く乗る、っていう人なんて居ないんだよ。こんなことを言うと自転車マニアは顔を真っ赤にして怒るだろうけど、自転車競技をやってた私が言うんだから「現実」は「現実」として受け入れて肝に銘じないとダメだぜ。

明らかに日本の道路事情に合ってない乗り物である「自転車」というものについて、そろそろ真面目に議論する必要があると私は本気で思っているよ。










#59
2023年8月23日(水)
「秋葉原の『バイクの日イベント』にいってきた」


8月19日は語呂合わせで「バイクの日」なのだそうである。私は「世界アリクイの日」(11月29日)とか「世界オオカミの日」(8月13日)とか「国際レッサーパンダの日」(毎年9月の第3土曜日)とかはチェックしてたけど、いろんな「ホニャララの日」があるよね。残念ながら「世界モモンガの日」は無いみたいだ。

まあそれはともかく、バイクの日は1989年に政府総務庁(現内閣府)交通安全対策本部が交通事故撲滅を目的に制定したという長い歴史があるそうで、今年もあちこちでバイク関連イベントが開催されたよ。

私は秋葉原で開催される「バイクの日イベント2023」に行ってきました。


バイクの日イベント2023

主催:一般社団法人日本自動車工業会、一般社団法人日本二輪車普及安全協会
後援:内閣府、警察庁、警視庁交通部、一般社団法人全国軽自動車協会連合会、一般財団法人全日本交通安全協会、一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会

ウェブサイト(公式)
https://bikeday.jama.or.jp/event.php



ウェブサイト

おお、楽しそうじゃないか




私はふだんオートバイ関連のYouTube動画をよく見るのですが、いつも見ている「アイキョウ バイクチャンネル」でイベントの事を知りました。アイキョウさんがステージでトークショーに出演されるとのこと。上記の公式サイトを見たら、「かなえADV」のかなえさんも来るとのことで、これは楽しいお話をいろいろ聞けるに違いない、行くしかあるまいと思ったのです。


アイキョウ バイクチャンネル さん
https://www.youtube.com/@aikyobike


かなえADV さん
https://www.youtube.com/@motorcycle.travel


もう何年も訪ねていない秋葉原に到着。景色が変わり過ぎていて笑うしか無かった。ここで「思ひ出の秋葉原」みたいな昔話をしはじめると長くなるから今日はヤメておこう。というか、8月19日はいつにも増してすさまじい暑さで、それこそ行くのは今日はヤメておこうか、と思うほどでした。私がひそんでいる品川区でも連日のように熱中症警報が出ており「外出はヤメて」と呼びかけているのであるから、本当は家でおとなしく過ごしたほうが安全なのは間違いない。



秋葉原到着

久しぶりの秋葉原は、久しぶりの秋葉原だZE!




私はステージイベント開始時刻(13:00)の15分ぐらい前に到着しましたが、すでに会場はかなりの混雑っぷりでした。オートバイでキャンプツーリング、みたいなコンセプトの展示が真っ先に視界にとびこんできました。



バイクでキャンプ

アウトドアを満喫しましょう




なんといいますか、今のキャンプってすごく「綺麗」なイメージですよね。道具とか凝っちゃってやたらオシャレ感があるというか。私がアウトドアショップでアルバイトをしていた学生時代はもうちょっと野生的というか、野人の文化というか、人としてギリギリの線を攻めてた感がありました。でもそれは私が単に、人間としてのギリギリを攻める流派に属していただけでシャレオツにキャンプしている人もいたのかもしれない。先日久しぶりに高校時代の友人と会って昔話をしていて、話題もアウトドアネタに突入したのだけれども


「ノドカ、あなたがやってたのはキャンプじゃなくてビバークだから」


って言われてナルホドと思った。そうかそうか、「野営」じゃなくて「露営」をしていたということか(←謎の納得)。奥多摩原人、山に帰る、みたいな。



仮面ライダーのマシン

こちらは『シン・仮面ライダー』のマシンですって




やっぱりヒーローはオートバイに乗って欲しいものですなあ。私も念願かなって普通自動二輪免許を取ったときは「これでいつ『仮面ライダー』出演のオファーが来ても大丈夫だな」って思ったものよ。あれから時はずいぶん流れたけど出演のオファーはまだ来ない。まあどっちかというと『仮面ライダー』よりも『電人ザボーガー』に出演したかったですねえ。

さてステージイベント開始です。私は前の方のヨイ位置を陣取って仁王立ちしておりました。やたらデカい女(←ワタシ)が最前列に立っているとか普通に迷惑行為っぽい気もするけど、そもそも遠慮して中途半端に後ろの場所に突っ立っているキミタチが悪い。ポールポジションは私がいただくわ。



ステージイベント開始

楽しいおしゃべりタイムがはじまりました




イベントのキャッチコピー"HAVE A BIKE DAY"っていうのは良いね。英語の"HAVE A NICE DAY"をいい感じにアレンジしてるじゃないですか。主催団体や警察のえらーい方々の挨拶のあと、もりだくさんのプログラムが目白押しですよ。単純に「楽しむ」っていうことだけでなく「安全」にもしっかり注意を払いましょう、というメッセージが明確でなかなか充実した内容でした。



安全装備を呼びかけ

ピーポーくん、見てるだけで暑いぞ!!




警視庁女性白バイ隊"QUEEN STARS"のカッチョエエおねーさんたちが、正しいヘルメットの着用や胸部プロテクターの重要性を説いていました。最初はピーポーくんを見ているだけで暑さが倍増して「この酷暑のなかでピーポーくんの出番は辛いな」とか余計なことを考えてしまい集中力を削がれていたのですが(←出たよ典型的なダメな奴)、いわゆる「着用エアバッグ」の紹介ならびに実演すなわち、実際にはどんなふうに膨らむのかを初めて見ることが出来たのは大きな収穫でした。車を買って「どれエアバッグを試してみるか」って思う人などいません。オートバイ運転中に万一身体が飛ばされた際に瞬時に膨らみダメージを軽減するエアバッグの存在は知っていましたし、できることなら自分も導入したいと思っていたのですが、やっぱり実際の作動っぷりを間近に見ることができたのは貴重な体験でした。マジで頚椎をポキッとヤッちまったら命は助かっても事実上ジ・エンドですから、自分もエアバッグは欲しいなと強く思いました。



トークショーその1

オートバイ関連の動画を配信しているアイキョウさんとかなえさんのトークショー




アイキョウさんが「神奈川県民なので三浦半島推し」という切り口で三浦半島の魅力を語っていました。もう全面的に同意しかない。私も三浦半島大好き京急マンですから、まさかの「フナムシ」トークでウケまくりでした。荒崎海岸にれっつごーな気分になりましたよ。



トークショーその2

出演の皆さんの楽しい話をいっぱい聞けて満足じゃ




ステージに出演された皆さんは「多くの人にメッセージを届けたい」という情熱にあふれていて、実に良いなあと思いましたよ。ひと口にオートバイの愉しみ方といっても十人十色、人の数だけ楽しみ方があるというかスタイルがあるわけで、奥深いものだとしみじみ思いました。ましてや、自分の世界観を動画その他いりいろな手法で積極的に発信するというのは相当なエネルギーが必要なわけですから、現役で「全力投球している人」の話をたくさん聞くことで私自身もだいぶ元気を分けてもらった感じがしました。私は何をするガッツも残されていない廃人ですので、放っておくと家畜状態になりますから、今回はいい刺激をたくさん吸収しました。

前々からしばしば口にしていることですが、私もかつての「モッズスタイル」のように「自動二輪とともにある楽しいライフスタイル」を追求したいと思っていますから、このままくすぶっている訳にはいかないゾ、と心を奮い立たせたのでありました。ちょっと大風呂敷を広げるような言い方になりますが


「品川区五反田発祥の二輪文化」


というものを確立するのが私の目標でありますから、いつまでも部屋にこもって「ぬいぐるみの山くずし」遊びをしている場合ではないのであります。

なんだかんだで13時開始のステージイベントを最後まで楽しんでしまい、全プログラムが終了すると会場退出の16時まで数分しか残されておらず、展示車両はほとんど見ませんでした。ひとまず「コレだけはしっかり見てきたい」と気になっていたスズキのVストローム250SXだけは舐めるように見て、跨ってきました。



Vストローム250SX

これは実に良い




以前から販売されているVストローム250も好きなのですが、2気筒エンジンを積んだ車体はちょっと重々しい感じで「単気筒原理主義者」の私にはひっかかるものがあったのよ。前後17インチタイヤのオートバイに乗るなら普通のロードスポーツ系のほうが楽しいんじゃないのか?という気もするし。

しかし新たに追加投入されたVストローム250SXは単気筒エンジンだし前輪は19インチと大径だし色々な意味でツボに刺さるのであります。カタログ上ではシートの高さが835mmとあったので足がつかなかったらヤバいな、と思ったけど跨ってみたらOK牧場だった。まあアテクシはホンダのアフリカツインも大丈夫だったというクソデカ女なのであまり足つきが問題になることは基本的に無い。跨ってコレはダメだと思ったのはヤマハWR250R(シート高895mm)ぐらいでしょうかねえ。

とはいえ、冷静に考えると前輪19インチはタイヤの選択肢が限られ値段も高そうだし、そもそもこのような車種を買ったところで品川区のどこでアドベンチャーするんだよって話ですよ。アドベンチャー系は大好物なんですけど日本じゃ過剰スペック感がハンパないのよねえ。これで桜田通りを走ったところで何が面白いんだって思うよなあ。あと、自宅に屋根付きの保管場所があるなら欲しいけど外に置いとくのは辛い。総合的に判断すると残念ながら私には縁が無かったってことかな。

というわけで「バイクの日」はイベントを堪能して帰ってきました。いちおう私自身は2025年秋をめどに買う車種をほぼ決めているのでありますが、そういうタネあかしは事前にもりあがってしまうとイザその時に決意をひるがえして読者を裏切る、というパターンに陥る可能性が高まりますから今は多くは語らずにいようと思います。割と真面目な話、置き場所問題が切実なのよね。以前はちゃんと働くことができたから駐車スペースを月極で借りる経済的余裕もあったけれど、今は温泉カピバラみたいな生活ですからね。イナカに引っ越せばいいのかもしれないけど、私は品川区にひきこもっていたいんだ。

さて。「バイクの日」が終わったから次のイベントは9月第3土曜日(ことしは9月16日)の「国際レッサーパンダの日」でしょうか。その頃には涼しくなるといいなあ。










#60
2023年8月27日(日)
「バイク置き場事情」


今日はいつになく割と真面目に、オートバイ所有者にとってはきわめて深刻であるものの自動二輪など乗ることもない世の中の多くの人にとっては非常にどうでもいい話を書こうと思います。ずばり、大切なオートバイを普段どこに置けばよいのかという話であります。

まずはこの動画を紹介したいのであります。動画をアップした方はマンション住まいで自分専用のガレージもなく車も所有していない、という「東京都内では割とよくあるケース」に該当するオートバイ乗りの方ですが、驚くべきことにレンタルで軽自動車の貨物バンを借りて荷台に排気量1000ccのオートバイをのせ、サーキットに通って走行を楽しんでいるというのです。

で、動画はサーキット走行を終えて片付けのシーン(レンタルの軽バンにオートバイとその他の荷物を載せて帰途につく直前まで)をノンストップで撮影しているのですが、所要時間は10分たらず。ものすごい手際の良さで「撤収」しており、私は相当の驚きをもって感動したのであります。


炒飯Film(公式)
トランポはレンタカー軽バンで全然OK(軽トラもいける)







ちなみに「トランポ」とは英語「transporter:トランスポーター=荷物を運搬する装置や車両、あるいは運ぶ人という意味」の略語で、バイクトランポといえば「オートバイを積載して運搬する車」を指します。

私は個人的にこのようなスタイルを日常化する人生というものに果てしない憧れを抱く者であります。もともと私自身が長きにわたり

「自転車を車に積んで快適に生活文化圏から脱出し、ロングドライブを楽しみながらツーリングスポットまで移動、現地で自転車をおろして景色や道路など美味しい部分だけ味わって気分よく駆け抜け、そして心地よい疲労感とともに自転車を車に再度積み込んで撤収、ノンビリとドライブしながら自宅に帰投する」

というスタイルを楽しんでいたので、この「ツーリングは美味しいところだけ頂く」というのが言わば当たり前という価値観が染みついているのであります。

私は公道でスピードを出すことに全く興味がなく、サイズが小さくて身軽で運転して楽しいオートバイで田舎の風景を堪能しながらノンビリ走るのが好きなのです。ゆえに、かつて自転車で楽しんだように、お気に入りのちっちゃいバイクを車に載せて「気持ちよい所だけオートバイでつまみ食いするのを最優先にしながら車のある生活も楽しむ」というのを理想として胸に思い描いている部分は今もあるのです。

しかし実際にそんな夢を実現するのは品川区民にとって意外と困難であります。車の置き場所については今回の話題の直接のテーマではないのであえて触れずオートバイを所有した場合に避けては通れない「オートバイの保管場所」について「のみ」に焦点を当てて話を続けましょう。

オートバイを所有することになった場合「ふだん何処に愛車を置いておくのよ?」という問題が発生します。避ける事のできない、割と重大な問題です。暮らしている家、マンションもしくはアパートに置くだけの充分な場所があるのか?という点がスタートになります。

品川区民でも上流階級に該当する「一軒家を持っている人」ですら、さほど広いとは言い切れない駐車場スペースにご自慢の車が停めてあり、追加でオートバイをねじ込むだけの余裕はない可能性が高い。

マンション民だと限りある駐車場をめぐって住人同士で争奪戦している惨状だと聞き及ぶから、オートバイなど置くスペースは事実上無く、つぎに述べるアパート民のように「駐輪場とされる場所に置けるか否か」という点にテーマが絞られてくる。

アパート民は悲惨だ。物件そのものに自転車の駐輪スペースがあれば、そこにオートバイを置いても大丈夫か否かは大家さんのサジ加減ということになる。仮にOKが出たとしても「隣の自転車にぶつけられても上等」っていう過酷な環境が駐輪場というものだ。自転車おばちゃんはオートバイの値段など知るはずもないから、容赦なくガンガンぶつけてくる。ナンなら自転車民から「邪魔者扱い」されるが文句は言えない。こんな思いをするぐらいならオートバイ専用の駐車場を別途借りたほうがいいや、となるのは間違いない。

アパートに駐輪場が無い場合、もう絶望だけであります。ずばり、オートバイ駐車場を借りるしかない。

この「オートバイ専用の駐車場」というのを月極で借りるのは意外と難しい。なぜならあまり存在しないからである。余っている土地を有効活用すべく時間貸しの駐車場にする資産家は多いが、わざわざオートバイ置き場を提供する酔狂な人はあまりいないのである。ゆえに、自宅から歩いて気軽に使えるバイク駐車場をサクッと借りられる人など一握りしか居ない。ようやく探し出しても空きはない。キャンセル待ちをしながらの「争奪戦」がはじまるのである。

しかも、屋根なし・雨ざらしで大型のオートバイは絶対に置けないであろう狭いスペース(たぶん50ccの原付スクーターを想定している)ですら最低でも月6千円はする。

以前私が使っていたところは奇跡的に屋根ありで月8千円であった。場所は家から徒歩15分。駅とかバス停とかは近くに無い、つまりどこから行っても相当歩かされるというすさまじい立地であった。借りる際には開口一番「ハーレーのような大きい車両は不可」と念押しされ、排気量や車種など詳しく聞かれました。実際に場所を見させてもらって一目瞭然、全て納得でした。屋根ありとはいえ1台あたりのスペースはかなり狭くて私のYZF-R15(排気量150cc)ですら出し入れに苦労するレベルでした。長さ的にハーレーのような大きい車種は入らないのは明らか。隣の車両にぶつけないように神経をすり減らしたものです。

それゆえ品川区に居を構えたまま車体が大きく金額も張る高級オートバイに乗りたい人は、実際に見つかるかどうかは別として「大型オートバイ駐車可」と謳った賃貸物件を血眼で探すか、壮絶に高額な月額費用がふっとぶオートバイガレージを契約するか、いっそのこと広い車庫付の一軒家に全リソースをブチ込むかの3択ということになります。どれも、かなり困難な作戦です。

さて先日、といっても随分前の話で7月の終わりごろであった。ウチの郵便受けに「TERRADAトランクルーム」のチラシが入っていた。新規の店舗がオープンするので近隣の店舗でもキャンペーンするから検討してね、という案内であった。TERRADAトランクルームは東京ではメジャーな「貸倉庫」であり、店舗によってはセキュリティも万全なオートバイ置き場も提供しているのでライダーの間では知名度がきわめて高い。



チラシ

トランクルームのチラシ




我らが品川区だと

・TERRADA トランクルーム 品川(東品川1丁目)
・TERRADA トランクルーム 西小山(小山6丁目)

の二店舗がある。場所と月額費用が気になるではないか。どんなもんかとネットで検索してみた。


TERRADA トランクルーム 品川
品川駅南口から徒歩14分
バイクガレージ無し→問題外

TERRADA トランクルーム 西小山
西小山駅から徒歩4分
バイクガレージあり 現在満室とのことで月額利用料金は不明


ちなみにバイクガレージがあるというその他の店舗(目黒区の学芸大学、都立大学)も見たけど、どこも満室(空きナシ)であった。いわゆるキャンセル待ち状態であり、いつになったら空くのかは「神のみぞ知る」という話ですよ。仮に運よく空きが出たとしても金額はいくらになるのか?セキュリティ万全の屋内保管と考えると、けっこうな金額だろうと察する。全く想像はつかないものの、二万円プラス消費税と言われても不思議は無い。

こうなってくると最後の希望は区が運営している公共の駐車場(駐輪場)ということになる。月極の駐輪場が、割とリーズナブルに提供されているのだ。但し、ここはきわめて重要なポイントであるが、区が提供している駐輪場は停めてよいのは50ccの原付自転車である。その上位クラスは停めてはダメなのだ。

「スーパーカブ50もスーパーカブ110も外寸サイズは変わりません」

という理屈は通用しないのであります。車体の長いホンダ・マグナ50は置けても、改造してエンジン排気量を少しサイズアップして黄色ナンバープレート登録に変更した古いホンダ・モンキーは許してもらえないのです。ボディのサイズは関係なく、エンジン排気量による登録の区分が問われるのであります。不合理な気がするけどそういう決まりだからしょうがない。安く駐車スペースを確保するための引き換え条件として、排気量50cc縛りが発生するのです。

また、こちらも混んでいてなかなか空きがありません。キャンセル待ちをして空きが出たら即刻押さえないと確保できません。あくまでもメインは自転車置き場であり、月極で貸し出されている原付スペースは非常に限られているのです。



駐輪場

区の設置する駐輪場(原付置き場)




何が悲しいって自動二輪免許を持ちながら50cc原付を強いられるという罰ゲームですよ。せめて125ccクラスまで解放してもらえたら良いのにと思うのだけれども決められたルールなんだから仕方がない。

という次第で、オートバイを買うのはヨイとして肝心の置き場所をどうしましょう?という問題を考えると割と深刻に悩ましいのであります。私自身としては「旅の相棒&生涯の趣味として乗るメインマシン」と「ご近所ちょい乗り用の道具的位置付けのちっちゃいマシン(できればスクーター)」の2台体制が理想像として頭の中に確立されているんですけど、うーん。現実は厳しい。










#61
2023年8月31日(木)
「PCのSSD換装、ハードディスクドライブ交換とWindows11の導入」


私が使っているパソコンは、かつては名門IBMのブランドであったが落ちぶれて(落ちるところまで落ちて)いまや大陸の手先となりさがったレノボ(笑)のデスクトップ機でございます。ミニタワーという、中途半端なサイズのしょぼい機種ですよ。

新型が出た後に型落ちのモデルが安くなっているのを購入したので、本体の購入日は2017年2月ですが型としてはその前のもの。当時はもう私の中では「パソコンごときにお金をかける時代は終わった」という認識でしたから、無駄に高いスペックを必要とは思いませんでした。ただ、それまでがノート型で小さい画面が視力的につらく感じていたこともあり、思い切ってデスクトップにしたのです。

デスクトップなんて学生時代に親に頭をさげまくってNECの初代PC-9821を買ってもらった時以来ですよ。就職した後はモービル・コンピューティングに目覚めたのでパソコンも持ち運び移動して使うのが私の主目的になったのでおのずとノート型を使うのが当たり前になり、何年もそのスタイルを続けていたのでありました。

2017年2月といえば6年半前ですから、なかなかの時代遅れっぷりです。それでもCORE i3(第4世代)をひっさげて標準で500GBのハードディスクドライブ&4GBのメモリを搭載しており、購入時には将来を見越してメモリを8GBに増設したのであった。モニタは21.5インチのフルHD(1920x1080)で従来のノート型に較べれば超絶大画面&高解像度でしたから、その快適な環境は実に感動的でありました。自分の持っているデジタルカメラ画像のRAW現像も、ハイビジョン撮影したハンディカム動画も余裕で扱える充分な性能を誇った。

デスクトップ機の良いところは何と言ってもインターフェイスの充実度、つまり「USBポートなど接続端子がいっぱい付いてる」という点です。本体の背面にはUSBポートが4つ(うち、USB3.0対応ポートが2つ)もあり、さらに筐体の正面にもUSBポートが2つ。マウスとキーボードのPS/2端子とLANケーブルの差込口。あとはDVDドライブとSDカードスロットまで付いているのだから、利便性の高さはノート型とは比べ物になりません。ミニタワー型という事で本体に空きスロットはありませんが、もともと私は外付ハードディスクドライブを2台つないで1台はデータ保管場所、もう1台はそのバックアップ用に使うというスタイルですからUSB3.0ポートが2つあるのは割とマジで有難いと思いました。

この「外付HDD2台体制」というのが私の運用スタイルの最重要ポイントです。ある日突然PCが起動不能に陥ったとしても、大事なデータが外に保存してあれば損失はゼロで済みます。いったん外付HDDをケーブルごと外し、PCをまるごと買い換えたうえで再び外付HDDをつなげばたちまち復旧するのであります。加えてもう1台のHDDがバックアップ任務を担っていますから、外付HDDの片方が突然死しても絶望せずに済みます。ただちに新しい外付HDDを購入してまた2台体制に戻せばよいのです。さすがに2台同時に壊れる可能性は(ゼロではないすが)低いですから事実上「勝ったも同然」と言えます。大切なデータを喪失するという悲劇は何としてでも回避したいですから、用心に越したことは無いのであります。

しかしここ数週間、バックアップ用HDDの接続が不安定な状態が頻発して気になっていました。私は新しい機械を導入する際には稼働開始日をラベルシールに書いてペタッと貼る習慣なので「いつから使っているか」は一目瞭然です。古いメインHDDは2016年6月、バックアップ用HDDは2019年12月から使っているということで、これまでの実質稼働時間を考えるとどちらのドライブも「いつ昇天してもおかしくない」と思いました。

バックアップ用HDDの接続不安定の原因そのものはHDDそのものではなく格納しているケースもしくはPCとつなぐケーブルにあると思われます。ドライブから異音がする等の症状がないからです。急場をしのぐ、という意味では外付用のHDDケースだけ新規購入して交換すれば瞬時に解決できそうな感じです。

でもバラすついでなので、このたび思い切って

・古いメインHDDを引退させ新品に更新する
・PC本体のHDDをSSD(Solid State Drive:ソリッド・ステート・ドライブ)に換装し、Windows11をインストールする
・ツイデなのでメモリを8GB→16GBに倍増する(マシンの上限いっぱいまで搭載する)

という大プロジェクトまでイッキにやってしまおうと決意したのであります。あと数年はこのマシンを使いたいので、延命措置的に性能を限界まで引っ張り上げるという作戦です。

ひとまず新品のHDDとSSD、メモリを購入。あと、HDDケースの交換に関しては魅力的な製品を見つけたので興味半分で取り寄せてみた。


ロジテック LGB-2BDPU3ES
エラースキップ搭載 2BAY Duplicator HDD/SSDスタンド
https://www.logitec.co.jp/products/hd/lgb2bdpu3es/



HDDスタンド

PCを介さずにデータコピーができる機械だぁ




これはSATA端子のドライブ(HDDもしくはSSD)を計2台、立てて使うスタンドであります。これは単体でHDDからSSDに、あるいはその逆もOKだけど、とにかくデータをサクサクとコピーして「クローンディスク」をつくってくれるという画期的な機械なのだった。

たとえば今回、私が企んでいる「PC本体のHDDをSSDに換装する」という作戦においては、PC本体の内蔵ドライブ(Windowsのシステムが書き込まれてるドライブ)をそっくりそのままSSDに移す作業が必要になります。もとのHDDのクローンSSDをつくるわけです。そしてそのSSDをPCの中に入れて無事に起動すれば作業完了、という流れですよ。

この「クローンディスクの作成(ディスクのデュープ)」というのをアプリケーションソフトを用いるなどの方法でやろうとすると「割と労力を要する作業」になるのですが、上述のスタンドにコピー元とコピー先のドライブを挿してスイッチを押せば


ぬいぐるみで遊んでご飯を食べてひと眠りして目を覚ますころにはクローンSSDが完成している


という、実にすばらしい展開になるのであります。PCを介さずデータコピーができるというのはけっこう画期的な事であり、しかもその後はPCとケーブルでつなぐことによって2台の外付ドライブとして活用できるのであります。持ってたら便利なのは明らかです。

手元に全てが揃ったので、さっそく作業にとりかかりましたよ。まずはPCからWindowsシステム並びにCドライブとして使用している内蔵HDDを取り外し、ロジテックLGB-2BDPU3ESのスロットAに挿し込む。これが元データです。次に新しく買ったSSDをスロットBに挿し込む。これが将来クローンになる「コピー先」です。どれぐらい時間がかかるのか知りたいと思ったのでストップウォッチを使って計測した。



作業完了

クローン作成完了




結論から言いますと500GBのHDDからSSDのクローン化を完了するまでに1時間21分かかりました。作業は全部機械任せで放置しておけば勝手に終わるのだからこんなにラクな話はありません。作成済のクローンSSDをPCにサクッと入れて起動してみる。あら速い!この世にSSDなるものが登場したと聞いてもう10年以上経っているけど、私が実際に使ってみたのはこれが人生初であります。1TBで7,500円ぐらいだったから、まあまあ良い設備投資ではなかろうか。

あと内蔵HDDを外してSSDを装着するためにPC本体をバラしたので内部の清掃とメモリの入れ替え(4GB×2→8GB×2)も実施。これは今まで装着していたのを抜いて新しいのを挿し込むだけですから作業は一瞬で終わりです。

次は古いデータ保存HDD(3TB)を新品のHDD(4TB)にコピー。またしてもロジテックLGB-2BDPU3ESが大活躍です。こちらはさすがに容量がデカいですから5時間20分かかりました。でも以前はHDDのデータコピーは夜通しPCを起動したまま一晩かけてやっていたから、それを思えば断然速いし楽チンです。

最終的には新しいHDDをAスロットに挿してメインのデータ保存ドライブとし、接触不良だったケースから取り出したバックアップ用HDDをBスロットに挿して完了です。Aスロットのデータ保存ドライブが更新されたら自動的にBスロットのディスクに内容をコピーしてくれるアプリケーションソフト「フォルダ自動バックアップツール」(無償ダウンロード)が付いてきたので、それを使えば使えば私は何もしなくて良いのであります。PC作業中に余計な操作をする必要はなく、放ったらかしでも従来と同じ体制が維持できるという、すごい環境が整いました。もちろん「今すぐ手動でバックアップしたい」という時もワンクリックですよ。何この超便利な機能。アッパレ。

もうひとつ重要なポイントがあります。古いHDDの処分どうするよ?っていう問題もサックリ解決なのです。HDDは単にフォーマットするだけではデータが完全に消える訳ではありません。中のデータなんて個人情報てんこ盛りだし、あまり大きな声では言えないけど私のひみつのフォルダ「若くてかわいい女の子画像これくしょん」とか、他人に見られたらマジ悲劇じゃないですか。そういう情報漏洩を防ぐために、わざわざ「HDDデータを完全消去するのためのソフト」が販売されているのだ。しかし安心めされよ。今回購入したロジテックLGB-2BDPU3ESにはデータ消去ツールもついてくるZE(無償ダウンロード可能)。内部データをごっそり削除して、マニアがゴニョゴニョしてもデータを復元することは事実上不可能な状態になったので安心して処分できます。

というふうに、ロジテックLGB-2BDPU3ESは一見、値段は高い気もするけど購入して使ってみると便利な機械&有用なソフトのセットということで結果的にはお得感がハンパなかった。無理をしてでも買った価値はオオアリクイです。

最後にWindows11のインストールです。皆様ご存知かと思いますがWindows11が要求するシステム要件はけっこう厳しくて、比較的新しいモデルでないとインストールさせてもらえません。2年前のハイスペックモデルぐらいでギリギリ合格じゃないかと思います。6年半も使っている私のマシンなど問答無用で足切りの対象です。

そこで、Windows11のインストーラーをダウンロードしてから直ちにインストールを試みるのではなく、事前に内部のデータをゴニョゴニョしてシステム要件チェックの項目を書き換えてインストーラーを騙し、シレッとインストール作業に移ったのであります。



インストール

うまく騙せたっぽい







起動

無事にWindows11が起動したよ




やりましたよご隠居!ちょっと「裏口入学」っぽい手法ではあったけどWindows11の導入に成功しました。これまで使ってきたアプリケーションソフトも無事に移行しちゃんと使えることを確認。モモ通の更新環境も従来のまま。OSだけが新しくなって興奮が止まりません。

メモリの使用率や各ドライブの空き容量など、PCの動作速度に直結する部分で劇的に状況が改善したわけですから言う事なっしんぐ。すばらC。



ドライブ使用量

各ドライブの空き容量がユトリ全開よ




で、気になるのはWindows11にしたことで速度低下というか動作が重くなる心配がある訳ですが、そこはシステムドライブのSSD換装が見事に効いているようで「むしろ今までよりも高速」になってますから全く不満はありません。画面上のスタートボタンの位置とかのレイアウト変更は慣れてしまえばどうという事はありません。今まで使っていたアプリケーションソフトが使えなくなったら大惨事ですが、そのような事態が起きていない以上Windows10に戻す必要もない。勝利ですな。



メモ帳

メモ帳をひらいてみた




私はテキストを綴るのに"メモ帳"を常用していますが、無駄に四隅が角が丸まったりするなどデザインがいちいちカッコつけているようです。違和感があるのは最初だけで、数回使ってれば慣れちゃいますから「これが一番ナウいやつ」って思えば文句をつけるようなものでもない。私はMicrosoft Windowsについては3.0Bの時から使ってきた古参者ですので、「思えば遠くへきたもんだ」と歌いたくなるのであった。

かくして2016年6月から使っていたHDDは爆死する前に無事引退して新品に更新できたし、PC本体はSSD化&メモリ増設したうえにWindows11に移行も完了したし、外付ハードディスクドライブを勝手にバックアップしてくれる体制も確立できたし、何から何まで大成功ですよ。出費的にはフトコロ大打撃ですがこれでPCに大規模な延命措置が施されあと数年は戦えるということを素直に喜びたいと思います。まあ、そうは言ってもしょせん古いCPUですので時代遅れなのは変わりません。ひとまずあと数年は現状維持して、5年か6年後ぐらい(?)に次のバージョンのWindowsが出てきた頃に改めてPC買い替えができれば悔いはない、と思うのであります。

今回購入し利用したHDDスタンド「ロジテック LGB-2BDPU3ES エラースキップ搭載 2BAY Duplicator HDD/SSDスタンド」は本当におすすめです。SSD換装を検討している方なら買って損は無いです。見事なアイデア商品だと思います。










#62
2023年9月4日(月)
「ナンバープレートを上に向ける行為がイヤなのよ」


その昔、自動二輪の世界で「ビッグスクーターの大流行」というムーブメントがありました。西暦2000年頃からはじまったような気がするけどはっきりとは覚えていない。

それまでスクーターの主流は排気量50ccの原付自転車であった。車の運転免許を取得するとオマケで乗れてしまうという気楽さもあって長きにわたり日本の自動二輪販売台数のほとんどを占める巨大市場を形成しておりました。原則、道路の左端を走らなきゃイケナイとか時速30kmまでしか出しちゃダメとか絶望的な制約でがんじがらめに縛られているものの、運転メソッドはきわめて容易で知性や教養がなくても前に進むことができるので交通インフラの底辺を支える乗り物として原付スクーターは幅広い層から支持を得たのであった。

排気量の大きいスクーターもあるには在ったが、車種は少なくマイナーな存在にすぎず「オッサン&オバハンの乗り物」という感じで地味に生息していたのである。しかし1990年代半ばにヤマハから「マジェスティ250」という250ccの巨大なスクーターが登場、堂々としたデザインと高い動力性能に加え「謎の高級感」をアピールしたところ何故か若者のハートを捕らえたのであった。ただちにスズキが「スカイウェイブ250」を市場に投入して応戦し、ホンダも得意の後出しジャンケン戦法で「フォルツァ」を発売、壮絶な人気争いを繰り広げることになりました。

ビッグスクーター大旋風は同時に独特の「改造文化」を発展させまして、車体に派手な塗装をしてメッキパーツをゴテゴテと飾り付けたり、段差で車体の底を擦るほど車高を下げたり、すさまじい爆音マフラーを付けたりという改造が大流行。青く光るLED照明を車体にちりばめ、これを点灯させて走行する俗称「イカ釣り漁船」というのも現れまして、乗り手は乗り手で水面に仰向けで浮かび腹の上でホタテ貝を割るラッコのように足を前に投げ出しのけぞったような姿勢で運転しつつインパネに装備したスピーカーから大音量で音楽を流しながら走行するというスタイルが街にあふれたのであった。

ときどき「スクーターはバイクじゃない」という主張をされる方がいますが、おそらくはそのような派閥が誕生したのはこのビッグスクーターブームで風体の悪いラッコ乗りのイカ釣り漁船が増殖したのを受けてのカウンター・ムーブメントではないかと私は思っています。

さてそんなイカ釣り漁船のラッコ団ですが意外な展開で急速に生息数を減らし、あっけなく絶滅してしまいます。2006年6月に違法駐車対策の強化を目的として道路交通法が改正され、世にいう「ミドリムシ」(駐車監視員)が登場、彼らがそのへんに停めてあるイカ釣り漁船系スクーターを恰好の餌食とみなし「駐車違反」として徹底的に取り締まった結果、都市部を自由自在にうごきまわっていた若者の改造スクーターが乱獲されて草木も生えない状態になってしまったのであります。

ミドリムシの横暴に対しては私も個人的に申し上げたい事はいろいろあるのですが今日の本題ではないので話を進めてゆこうと思います。

実際のところ、私は個人的にイカ釣り漁船のように改造されたビッグスクーターは品が無いように思えて好きではなかった。乗っているライダーも風体の悪いだらしない感じの人が多かったし、マフラーとオーディオのダブルパンチで爆音を響かせて走る姿にはお世辞にも「美学」が感じられなかったからであります。最近は私もいよいよ天に召される時が近づいてきたせいなのか「この世の全てが愛おしい」という心情になりつつあり、他の人が何をやろうと本人が良いと思ってやっている事にケチをつける気持ちがだいぶ弱まっているのであります。ビッグスクーターの改造だって単に好みの問題にすぎず、所有者自身が自分でお金を出して改造を施し満足しているなら他人が口を挟むのはヤボというものだ。

ということで以前は「下品な改造オートバイは大嫌い」と言ってはばからない私であったが、今はすっかりカドが取れてしまい「みんな好きなように楽しんだらいいじゃん」と思うほどに変化してしまったのであります。自分の価値観だけふりかざして他人を叩くような生き方を続けてもツマらない。法にふれるような罪を犯すのは論外ですが、個人が趣味の範囲内で自己実現を図るのはむしろ良い事ですよ。

それでも、そこまで「アウト判定」がガバガバに甘くなり果てた私であっても、どうしても好きになれないのがオートバイの「フェンダーレス化」と呼ばれる改造であります。

ざっくり言うと車体の後部についている保安部品(制動灯や方向指示器、すなわちブレーキランプやウインカー等)ならびに自動車登録番号標、車両番号標、標識(すなわちナンバープレート)を装着するための「泥除けの位置に該当する台座部品」を取り払い、外見を大きく変更する改造のことです。まあ、文章で説明するよりも画像を見てもらうのが一番早いと思います。



純正

純正フェンダーのついた状態の例




車体の最後部に何やらニョローンと突き出た部分がありますね。これがオートバイのリアフェンダーよ。先端部分に制動灯、方向指示器、標識(ナンバープレート)および標識を照らす照明がくっついております。真横から見るとショボくて貧弱な部品に見えますが外してみるとけっこうデカくて重たいのでビックリします。

サーキットやオフロードコースを走る競技用の車両には要らない装備であり、ある意味公道を走るために「仕方なく付けている」という側面がありますので

「純粋にダサいから外したい」
「無駄に重いから軽量なものに換えたい」
「せめて必要部品だけを車体後部にコンパクトにまとめて理想の姿に仕上げたい」

と思う人が出るのは当然でありましょう。このようなニーズにこたえる形で「フェンダーレスキット」なる部品が普通に販売されており、個人個人が愛車を自分の理想像で完成させるべく購入して装着するという文化があるわけです。



例

フェンダーレス化した車体の例




注目!って言われてもよく見えないですね。拡大してみましょう。



拡大画像

ナンバープレート取付台座の角度を見て欲しいにょ




本体からニョロッと突き出ていた巨大な部品を根元から取り外し、代わりに非常にスッキリとした台座を装着しています。方向指示器や反射鏡もしっかり付いているのでケチをつけることもなかろう、と言いたいところですがちょっと待て。

この台座にナンバープレート(自動車登録番号標、車両番号標もしくは標識)を装着した場合、取付角度という意味において随分と上を向いてしまうのではないか?

ナンバープレートは「付いていれば良い」というものではありません。取付についてはちゃんと細かな規定があります。


車のナンバープレートの表示に係る新基準適用までの猶予期間を延長します(国土交通省 令和3年3月9日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha06_hh_000119.html



法に基づく基準

国土交通省サイト上記ページより画像引用




バイクのナンバープレートの設置について
・上向き40度〜下向き15度
・左右向き0度(まっすぐでないとアウト)
・フレーム(枠)の装着 禁止

という内容であります。


これに照らし合わせると上の画像のオートバイ、上向き40度に収まっているかどうかがきわめて疑わしいではないか。

フェンダーレスキットは車種ごとにいろいろ販売されているけれど、正直多種多様すぎてひとくくりに語れるものでもないのでした。ちゃんと純正部品と同じようにしっかりプレートを法にかなった向きに装着するものもあれば、ひどいのになると事実上空に向けてあるようなトンデモ製品もあった。

ナンバープレートを上に向ける、という行為が既に「ろくでなし」ではないか。要するにナンバーを隠すために「あえてやっている」のであって、公道においてナンバーを読みにくくするような小細工をする輩は断じて「善良な人」ではないのであります。ちょっと言い過ぎかもしれないけど、端的に言えば自分の身を隠す必要のある犯罪者もしくは犯罪者予備軍ではないか。

というわけで私の中では「フェンダーレス化する人イコール悪人」というイメージが定着し、ナンバープレートを上に向けている奴にロクな奴がいるはずもないと断じていたのです。

しかし今になって冷静に考えてみると、かつてはナンバープレートの取付規定もユルい時代はあった。ちゃんと基準が定められたのは上の国土交通省のサイトにあるように令和の世になってからであります。それ以前は「取り締まる警察官の気分次第」で違反扱いされたり黙認されたりしていたのですよ。かえってタチが悪いではないか。こう言っては何ですけど警察官は「悪人を捕まえる」のではなく「自分が捕まえたい人を選んで捕まえる」のが仕事なので、怖い人が乗っていそうな黒塗りのメルセデス・ベンツが駐車違反をしていても見て見ぬフリをする一方で、一時停止のライダーを「お前、ちゃんと足ついてなかったから違反な」とか言いがかりをつけてイジメたりするのである。すべてはおさわりまんのサジ加減ひとつで違反かどうかが決定するのである。

で、フェンダーレスの話に戻しますけど今はフェンダーレスキットを製造販売しているメーカーもちゃんと法に適合した仕様のものを販売しているわけで、

「フェンダーレスにしているか否か」



「ナンバープレートの角度が基準を超えて上を向いているか否か」

は、しっかり切り分けて別の問題として考えないといけないな、と私は猛烈に反省しているのであります。私の決めつけは誤りだったという事ですよ。

ひどい奴になるとナンバープレートの角度を「可動式」にして、警察に呼び止められたら指で角度をひょいと下げてその場をしのぎ、逃げ切ったのちにまたこっそり上を向けるなどという糞ダサい行為におよぶという。私は老若男女とわず、そういうセコい人間が大嫌いであります。「自分は命を賭(と)して権力と闘う」と決めてナンバープレートを上に向けるのなら違反切符を切られようが署まで連れていかれようが断固としてそのポリシーを貫くべきだし、逆に「模範的なライダー」として胸を張りたいなら適法の角度でしっかり固定するのが筋であります。

ということで今日の結論。「フェンダーレス化をする奴イコール悪人」と断じていた過去についてはここに深くお詫び申し上げる次第であります。一方的に決めつけて「悪人呼ばわり」して本当に済みませんでした。でもナンバープレートを上に向けてる奴、お前はダメだ!!いかなる理由があろうともナンバーを隠す行為は許される訳がない。オートバイに乗る資格がない。人としてクズだ。ゴミだ。犯罪者だ!アリクイのウンチ未満、ライダーの風上にもおけない!!


・・・風下においておこう。

(完)










#63
2023年9月8日(金)
「インドスズキのイーコという車」


今日は買いもしない(今の私ごときに購入することなど到底不可能な)車の話です。

ここ数年、車といえば「ミニバン」と「SUV」が大流行しています。とりわけファミリーカーとしてのミニバンの位置づけに関しては国民のニーズにぴったりと合致しており、どうやら一時的な流行ではなさそうに思います。

休日になれば日本の道路は混みます。買い物に出る車で道はあふれます。遠くへ行こうと高速道路に乗れば渋滞です。あたかも拘束具のごとく乗車姿勢を長時間強いられるセダンより、ひと部屋まるごと移動しているような室内の広いミニバンのほうが純粋に「くつろぎながら過ごせる」という事かと思います。

今は軽自動車すら「ハイトワゴン」などと呼ばれる背高ノッポの車が主流ですから、スズキの初代ワゴンR(1993年に登場)は時代を先取りした革新的な存在だったのだと感動を新たにするのです。

他方、SUVについてはまだ中途半端な流行という印象がぬぐえません。過去に存在したガチガチ・コテコテの無骨なクロスカントリー系四輪駆動車など一般人の生活には過剰性能、という発想を起点にして「快適な室内空間、充分な動力性能、そしてそこそこの悪路走破性」をバランスよくまとめてみた、という趣旨はよくわかります。これは言い換えれば「条件の過酷な雪国や路面の整備・舗装がまだ追いついていないような地域でも安心して使える基本性能の高い車をつくろう」というふうに(好意的に)解釈すれば、極めて素晴らしい発想です。しかし現在において市場にあふれるSUVのたぐいは、流行のファッションにあやかっているだけというか、見た目だけのカッコだけSUV、ハッタリSUVがほとんどではないか?と穿(うが)った見方をしてしまうのです。

まあ車を買えないビンボ人が「ひがんでいるだけ」って言われたらミもフタもないんですけど。

「なんちゃらクロス」と名乗って大径極太のタイヤをはき、最低地上高をちょっと上げてフェンダーに樹脂パーツをくっつけて「ワイルドだろぉ」とアピールする車を見ていると、しょせんスズキのKei(ケイ)の二番煎じじゃないか、と思ってしまうのです。わかります?スズキのKei。乗用車の常識をくつがえしてちょっと腰高にまとめた秀逸なデザインで、乗車すると目線の高さはけっこう上になり視界がよく、乗り降りもしやすく、荷室はさほど大きくないものの大径タイヤで走破性が高いという絶妙なサジ加減の車でありました。1998年に登場し10年以上にわたって人気を誇った超絶ベストセラー軽自動車ですよ。

さすが「アルト」と「ジムニー」をつくっているスズキというだけのことはあります。廉価でありながら実用の道具として充分なベーシックモデルからKeiワークスなんていうスポーティモデルまで幅広いバリエーションを展開し、多くの人に愛されたのです。昨今の「なんちゃらクロス」と称する「クロスオーバーSUV(という呼称で良いのか?)」の先駆者であり、あらためて時代の先端をゆくスズキの先進性を称えたいのであります。

この40年ぐらいでスズキに対する世間の評価もずいぶんと変わったなあとしみじみします(←お前34歳じゃないのかよ)。あの頃はスズキというだけで馬鹿にされ笑われたのです。ボディはペラペラ鉄板ですぐにサビて穴が開く、などと悪しざまに言われていて、実際それは否定できない真実であった(涙)。でも今は違います。今なおスズキを馬鹿にしている連中は「時代遅れで世の中を知らない経験不足な人」だけです。

ひたむきに「国民車」をつくるという理念を貫いてきたスズキは今は日本国内にとどまらずインドにおいても「国民車構想」を具現化して存在感を放っています。

まあ上記をひと言でまとめると「私はスズキが好きです」で終わっちゃうんですけどね。I love SUZUKI.

で、そんなインドで今大人気な車が、今日の話題であるスズキのイーコ(EECO)であります。


MARUTI SUZUKI EECO (Official Site)※英語
https://www.marutisuzuki.com/eeco



イーコ

スズキのイーコ(公式サイトより画像引用)




うむ。先代のスズキ・エブリイをうまい具合にサイズアップして仕上げた多目的自動車という感じでしょうか。アチラには軽自動車枠は無いですから、より実用性を向上させるための工夫が感じられる上手な大規模改修がほどこされています。5人乗りと7人乗りがあり、最上位モデルは「救急車仕様」となってます。



外観と内装

これは素晴らしい!




排気量1.2リットルのエンジンはガソリン仕様と圧縮天然ガス仕様が選べるようです。トップページで見るに現地価格は52万7千ルピー。単純にレートで換算すると93万円から94万円。貧困にあえぐ我ら日本人より活気あるインドの皆様の方が今はお金を持っていそうな気がするので、一概に高いのか安いのか判別はできません。しかし虚飾を排して真面目につくった国民車という感じがして個人的には非常に好感を持ちます。



エンジン等

バンパーやサイドミラーに塗装などせず、ホイールも鉄チン、潔し




YouTubeには紹介動画がありました。一時期インド映画にどハマリしていた私ですが何を言ってるのかサッパリわかりません。それでも車のありよう、というか放つ魅力はバンバンに伝わってきます。

2023 Maruti Eeco Review: Space, Features, Mileage and More!





素晴らしい。この車が私の好みにジャストフィットな感じで合致していますが皆様はいかがでしょうか。私にとっては車というのは「実用の道具としてのトランスポーター」であって、エアコンとパワーステアリングさえ付いていれば他は何もいらないという流派に属しております。デザインの良さを優先し質感の高い内装はもとより、珍妙な装備としかいいようがない謎の足元照明とかマジで不要。シートの素材も肌触りの良い起毛なんて無駄の極みで、汚れたらサッと水拭きできるビニール・ナイロン系素材で良いみたいなところがある。必要とあらば農作物や家畜が運べるぐらいの車の方が多目的に使えて便利じゃないか?と思う。こういうことを言うと「そんな車で銀座に行けるか!」「帝国ホテルに乗りつけられるか!」ってケチをつける人が必ず発生するけれど、そういう時は電車かタクシーを使うから無問題よ。

なんか今どきの車はどれも「過剰装備」だと思ってしまうのです。割と真面目に問いたいのですが皆様、車の「スマートキー」って本当に要ります?トヨタの人気高級車がリレーアタックだのCANインベーダーだのといった手口で割と頻繁に盗難に遭っていると聞くに及んで私はなんとも言えない気分になるのですよ。防犯を重視して電子装備で固めても逆に「策に溺れる」感じじゃないですか。それより、鍵ごときは昔ながらのものでよいから、オーナーしか知らない「ひみつの端子」を結線しないとエンジンがかからない配線加工をしておくなどの工夫をしたほうが盗難されにくいのではないか?



人気の車

今をときめく高級車(トヨタ公式サイトより画像引用)




かつて「いつかはクラウン」っていうキャッチコピーがあったけど今は憧れの対象はミニバンらしいですね。仮の話ですが、もしトヨタのアルファードとスズキのイーコのどちらか1台、好きな方に乗らせてあげるって言われたら私は迷わずイーコを選んでしまう。アルファードってものすごい高額らしいけど、そもそも自分で運転したい車には思えない。お抱えの運転手さんがいて自分は後ろでふんぞりかえるような社会的地位にいるならともかく、アルファードではオートバイも家畜も運べないですし、「作業服のナックル」や「靴流通センター」の駐車場に気楽に停められる感じではない。車体が大きいから洗車も大変そうです。車内で「みたらし団子」を食べてタレをこぼしてシートを汚し、張り倒される未来しか見えません。その点、イーコなら水拭きすれば許してもらえそうじゃん。

今は軽自動車すら高級装備が当たり前になりつつある時代ですから、私みたいな「シンプルな車を安く売ってクレよぉ」っていう少数派は涙をのむしか道は無いのだよなあ。売れ筋の軽自動車は普通に200万を超えていますからね。中古車を買おうにも古い車は「謎の増税」でビンボ人には維持するのが厳しいし。

考えてみるとすごい時代になりましたよ。食べ物を買っても消費税という名の「罰金」を払っているような心地がしますから。生きてるだけで罰金地獄ですよ。私のヤング時代はサーフボードを買うと「マジかよ」っていうレベルの物品税をとられたものです。一言でいえば贅沢品といいますか、お金に余裕があってはじめて手を出せるような趣味・道楽・嗜好品から物品税をとってた昔のほうが分かりやすいし納得ができるよなあ、としみじみするのであります。

話が脱線して長くなりそうなので結論でシメましょう。シンプルで実用的なイーコに乗れるインドの皆様がうらやましい。車はこういうのでイイんだよ、っていう思考回路の人間はもはや日本では少数派なのだろう。残念ではありますが、それが現実ですな。










#64
2023年9月12日(火)
「NTT東日本と直接契約していたフレッツ光が改悪されるので他社のコラボ光に乗り替えた話」


今日のネタは自宅のネット固定回線の話です。結論を先に言うと9月11日付で乗り換えを完了しました。

これまで:
・回線はNTT東日本と直接契約でフレッツ光を利用
・インターネットプロバイダはOCNを利用

今回の乗り換え後:
・光コラボ事業者「GMOとくとくBB光」に回線とプロバイダを一本化


なぜこのタイミングでわざわざ面倒な乗り換えに踏み切ったのかと言うと、去る7月半ばにNTT東日本が「従来の割引制度を廃止して事実上値上げするYO!」とアナウンスしたからであります。以下、ページのリンクと内容の要約です。


弊社サービスにおける各種工事費・割引等の改定および終了について(NTT東日本 ニュースリリース2023年7月14日)
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20230714_01.html

・工事費値上げ
・Web明細サービスの割引廃止&書面発行手数料値上げ
・2年契約による割引廃止=事実上値上げ
・フレッツ光の会員サービス(ポイントプログラム)の終了=事実上値上げ



にねん割の終了

マジかよ「にねん割」廃止するのか




現状、NTT東日本のフレッツ光の回線を直接契約している私はモロに打撃を受けます。昔は回線とインターネットプロバイダを個別に契約するのは当たり前でしたし、私はマニアだったのでプロバイダ2社契約で併用していた時期もあった関係で、そのままの体制をずっと続けておりました。回線速度など不満がなかったですからね。しかし値上げされるのなら話は別です。根本的に見直さなければなりません。

昨今は「コラボ光」すなわち光コラボレーション事業者を利用するのが一般的なようです。光コラボレーション事業者とはフレッツ光の回線とプロバイダをセットで提供するもので、たとえば「ドコモ光」とか「ソフトバンク光」とかがありますね。

ドコモ光を契約するとセット割引でドコモのスマホ代が安くなるという特典があります。同様に、ソフトバンク光を自宅に引けばソフトバンクモバイルのスマホ代が安くなるしくみです。

私は「殿様ドコモ嫌い」「うさんくさいKDDI嫌い」「詐欺師ペテン師ソフトバンクモバイル嫌い」ということで格安SIMを使っていますからスマホ料金を割引するようなサービスは要りません。マトモに通信できることが大前提ですが、固定回線単体で料金が安いものがよい。検討を重ねて、最終的に選んだのが「GMOとくとくBB光」です。



乗り換え先

よし、契約だぁ




8月末付で従来の光回線&プロバイダを解約しました。乗り換え先「GMOとくとくBB光」の工事日(開通予定日)は9月11日でしたから、月初から11日間は自宅の固定ネット回線が無い状態です。パソコンにケーブルを介してスマホをつなぎ、モバイル回線で通信してしのぎます。

いい機会なのでいろいろ実験してみました。「高速データ通信トッピングをしないpovo2.0の回線でネット接続したらどうなるのか」とか「楽天モバイルの『最強プラン』の実力はどんなものか」とかですな。

とりわけ、楽天モバイルに関しては家のWi-Fiルーターに接続して「固定ネット回線の代わりにしている」などという強者(つわもの)がいると聞き及んでいるから、私もいちど試してみたいと思っていたのであります。

マニアの実験にはお金がかかるのが世の習い。まずはスマホをWi-Fiルーターにつなぐアダプターを買ってみた。これを使うとスマホに給電しながら従来から使用しているWi-Fiルーターがそのまま使えるという便利グッズよ。逆に言うとそれ以外は何の役にも立たない無駄グッズでもあります。



アダプター外箱

届いたぞ







中身

姐さん、またツマラン物を買いましたな




この先の話はマニアック過ぎる内容なのでグダグダ書くのはヤメておきましょう。普通の人には何が面白いのかわからない次元の実験です。それに私自身、だいぶ前の話ですが「どうせ家にいる時間は限られているのだからネット回線はイーモバイル(当時)のモバイル端末に一本化できるんじゃなかろうか」と試してみたところ全く実用にならず作戦はみごとに失敗して砕け散ったという苦い経験もあるので、大原則として家の固定ネット回線とモバイル回線はお金がかかっても別にしないとダメだと思っているのであります。今回の実験結果でも同じ結論に至っただけです。

楽天モバイルについては品川区五反田民としては電波の問題は無くビンビンに入るし速度も出ますが、やっぱりスマホ本体をルーターにつなぎっぱなし&常時給電状態にしてあるというのは気分が悪い。あと、何故か通信が途切れる(スマホを再起動すると直る)というのもかなりのストレスでした。

それよりも何よりも、YouTubeの動画を全く見ないで過ごしたのに1日あたり1GB前後を消費するのが驚きでした。いつものウェブサイトを巡回して、ネットショッピング&オークションを覗いて、夜にモモ通をアップするだけなのにデータ通信量が1GBを超えています!今どきのネットはデータ量が20年前と比べてケタ違いに多いのだと痛感しました。これでYouTube動画なんて見てたら月に何GB消費するのか想像もつかないわ。やっぱ固定回線は大事よ。

まあ、イザという時は楽天モバイルが頼りになるということが判明しただけでも良かったです。「地下や店舗内で繋がらないからクズ」だの何だのと叩かれる楽天モバイルですが、私に言わせればドコモのシティフォン(←ずいぶん古い話だな)やアステルならびにNTTパーソナル時代のPHSに比べたら遥かに素晴らしい通信網ですよ。サービス開始したばかりの時を思えばすごい改善してますよ。これに文句つける輩は単なるスマホ依存症だと思う。楽天モバイルはマジで良い子。アイシテル。これからも応援するぞい。

そうこうしているうちに予定通り11日に「GMOとくとくBB光」が無事に開通し、光回線の乗り換えプロジェクトは幕を下ろしました。YouTubeの動画を見ても全くストレスはないし、夜間など混雑する時間に速度低下する印象もない。月額料金も従来より月800円ぐらい安くなるし、総合的に見てナイス判断だったと結論づけて良いでしょう。自宅用として使っていたOCNのメールアドレスを失ったのがちょっと痛いけど、昔と違って今は自宅もモバイルもGmailで足りちゃうもんなあ。ドコモの軍門にくだったOCNとスパッと縁が切れて逆に良かったかもしれない。

モバイル回線はだいぶリストラしたし(←いったいいくつ電話持ってたんだよ)このたび固定回線の乗り換えも上手くいったので、これで通信費の見直しプロジェクトは完了であります。ウレシイネ。










#65
2023年9月16日(土)
「は?まさかのモバイル通信回線を追加開通?」


前回のモモ通で家の固定ネット回線の乗り換えが無事に完了したという話を書きました。で。最後には「モバイル回線のリストラも完了したからこれで通信費の見直しはおしまい」などと結論を言い放ったのであります。

しかし舌の根も乾かぬうちに、あろうことかスマホのデータ通信SIMを開通してしまったのを正直に告白するというのが今回の内容です。

そもそもお前は全部でいくつモバイル回線を持ってるんだよ?という疑問が自然発生的に湧き上がる事もあろうかと思いますが、世の中というのは何でも真実を白日のもとにさらせば全人類が幸福になるとは限らないのですよ。むしろ本当の事なんて知らない方が良い場合もある。

PHSが消滅したので現時点で移動体通信事業者(MNO)は「NTT」と「KDDI」と「ソフトバンク」と「楽天」に限られるわけですよ。それらの回線は一通り押さえてある、とだけ申し上げておきましょう。まあ通信マニアですからね。

その昔、私はJ-PHONE(当時)という携帯電話キャリアのとある部門に勤めていたのだが、当時の私はモービル・コンピューティングに情熱をかたむけていてハンドヘルドPCやPDAを携帯電話やPHSあるいは公衆電話に接続して通信するという行為に限りない喜びを感じておりました。まあ当然J-PHONE回線は職場のつきあい的に持つのは当然として、ドコモやTu-KaはもちろんのことNTTパーソナルやアステル、DDIポケットのPHSも契約していたので職場でもマニア扱いされていました。当時の携帯電話は第2世代移動通信システムでしたから通信速度はPHSが圧倒的に有利で、ノートPCのカードスロットにガシャッと差し込む機能を備えたPHSのようなおもしろい製品がたくさんありました。まだ携帯電話料金がバカ高い時代だったので毎月すさまじい金額の通信費を払っておりました。まあ趣味なんだからしょうがない。

今はMVNOの格安SIMが普及して、その中から厳選した料金プランだけ契約して運用中ですから月の支払総額では大した金額ではありません。スマホ依存症ではないですし、ゲームもしないし、なんちゃらペイとかのバーコード決済の類もやりませんので「本家docomoのeximo(エクシモ)」なんて要らないのです。PHSも消滅しちゃったし。

そんな感じでヤング時代にモービル・コンピューティング生活を一生分味わいつくした私ですから今はその手の趣味からすっかり卒業してしまい「もう携帯電話なんてどうでもイイっすよ」というステージに着地しています。いろんな通信会社をとっかえひっかえ試したけど結局はメイン端末が二つ折りのケータイになっちゃってるし。

ところが、私の「通信関連書類保管ボックス」を片付けていたら、あろうことか未使用のプリペイドSIMが出てきました。以前はよく闇市Amazonで携帯電話のプリペイドパックだのエントリーパッケージだのが激安価格で投げ売りされているのを見つけると「とりあえず買っておく」というスタンスで生活していたのです。通常は回線契約をすると最初に事務手数料が3千円ちょっとかかったりするじゃないですか。エントリーパッケージを買っておくと、この事務手数料を支払わずに契約できるので、50円とかで売られているときに予備的に購入しておくのである。

今回ボックスの中から出てきたのはmineo(マイネオ)という格安SIMの「プリペイドパック200MB」というものであります。文字通りお試し的にデータ通信(200MBのみ)を使ってみて、電波エリアが自分の行動範囲内で問題ないかをチェックするためのものでした。しかしこれには意外な裏技(当時)がありまして、開通後にすぐ通常契約に移行する事で事務手数料やSIM発行手数料が不要で月額1,265円でデータ使い放題が可能だったのです。今はその裏技は塞がれて不可能になってしまった。



プリペイドパック

未開封新品が出てきちゃった




で、私もそのデータ使い放題を実践していた時期があったのですが、mineoのサービスがいまいち自分に合わないと感じたのでヤメてしまったのです。プリペイドパックが闇市Amazonで安売りされていた時に2個買ったので、その残りの1個が出てきちゃったのである。裏面を見ると、開通期限がすぐそこに迫っているではないか。



開通期限

ことし9月末日でジ・エンド




どうせ使う気はない(もうmineo回線を契約する気はない)のだからスルーして捨てちゃっても良いのですが、いちおう200MBは通信できるのである。せっかくだから使えるだけ使って、その後に処分するのも悪くはないだろう。

もしくは骨董品のようなゴミスマホに使用済のプリペイドSIMを入れた状態で持ち歩き、仮に賊に襲われたときに


「このスマホを渡すから許して」


といってゴミスマホ(使用済SIM入り)を渡して逃走する、という身代わりにできるかもしれないじゃん。

などとアホな事を考えつつ開通してみた。開通手続きをしてからマルチカットSIMを取り出してスマホに装着し、APN設定をするだけです。200MB使って遊ぼうじゃないか。



SIMとトレー

私はこの、SIMを装着する作業が大好きなんだ




スマホはもうバッテリーの持ちが絶望的な古い機種をひっぱり出しました。SHARPのAQUOS sense 2という機種です。とても使いやすいスマホでかなり気に入っていたんだけどバッテリーがヘタると駄目ね。バッテリーパックが簡単に交換できない、というのは私がスマホを嫌う最大の理由のひとつです。ちょっとバッテリーの持ちが悪くなっただけで新しい機種に交換するのを押し付けられるようで本当に腹立つ。二つ折りのケータイなんて裏蓋をあけてバッテリーパックを交換できるのが当たり前だったじゃないですか。私はそのほうが好きだわ。



SIM挿入

ドッキングの瞬間が迫る




こういう専用パーツの脱着作業って燃えますよね。私大好きだわ。ジャックにプラグを挿すとか、端子を接続するとかだけで嬉しい。エレキギターのジャックにシールド(シールデッド・ケーブル)を挿すだけでもう気分は最高潮に達しますよ。ガチッとはまって爪がロックされる感触とかタマンネ。逆にLANケーブルの爪が折れていると心も折れる的な思い、わかります?お風呂で髪を洗ってドライヤーで乾かすときに、ドライヤーをコンセントにつなぐだけでも胸いっぱいになるわ。

APNはもともとmineoのドコモ回線の設定がプリセットされていて、SIMを入れるだけで自動的に切り替わりました。



APN

面倒な設定は不要でした




ということで無事に開通。翌日、外出時にこのスマホを持ち出して写真をgoogleアカウントに自動バックアップ設定していたらあっという間に200MBを使い切ってSIM人生終了となりました。繰り返しになりますが今はmineo回線を契約する気はないのでこれで任務完了でござる。mineoはクセの強い料金プランが多く、かつ金額もお高めなので私はもう使う事は無いな。ドコモ回線なら日本通信の1GB290円(通話料30秒11円)が私には合ってるわ。予備回線が必要ならauのpovo2.0でいいでしょ。普段は0円で回線を維持して半年に一度、オートバイツーリングに出る日にでも24時間データ通信トッピングをしてGoogleマップでも使えばヨイ。

今の時代、スマホ回線ごときにお金をかけたくないよ。










#66
2023年9月20日(水)
「ノドカ、『伸びしろ』について語る」


常々思う事ですが日本人がつくるモノって「完成した時が頂点」で「伸びしろが無い」ですよね。設計にユトリがないというかギリギリのカツカツまで限界に挑み過ぎちゃっているせいで完成品には改良の余地が全く残されていないというか。パッと浮かんだ例はいささかマニアックな分野で「戦闘機」の話になっちゃうけど許しておくれ。

アメリカ合衆国のジェット戦闘機でF-4ファントムIIという機体がありました。海軍の要望で全天候艦載機(←航空母艦にのっけて運用する機体)として設計され1958年に初飛行、改良・改修を行う事で海兵隊や空軍でも採用されたのみならず、西側陣営の各国にも提供され累計で5,000機以上生産された超絶ベストセラーです。歴史に名を残す傑作機であります。

我らが航空自衛隊でも運用されていました。凄い事ですが三菱重工業がライセンス生産(←許可されたのは日本だけ)していまして、延命措置的な改修を重ねてヨレヨレの限界まで酷使され、空自で全機が退役したのはつい先日の2021年(飛行開発実験団所属のF-4EJとF-4EJ改)ですよ。マジでレジェンドです。

もうひとつ。合衆国にはF-15イーグルという戦闘機がありまして、これがまた凄い。ベトナム戦争で苦い経験を重ねた空軍の要望を受け、F-4ファントムIIの後継機として開発され1972年に初飛行、1976年に実戦配備されたのであります。初期型が就役したのちも新型ミサイルの搭載、エンジンの換装、電子装備の近代化など次々にバージョンアップが図られて今なお世界中で大活躍しているのであります。航空自衛隊でも現役で運用中です。極端に斬新な機構などは採用せず堅実にまとめた基本設計が素晴らしかったのと、将来の改修・改良を見越して余裕をもたせた構造にしたのが功を奏して半世紀たった現在も第一線で活躍しています。

私は骨の髄までカトリック教徒ですので左翼思想の陣営には嫌悪感しかないんですけど、旧ソビエトの戦闘機にはMiG-21という傑作機があるのは素直に認めたいと思います。こちらはいわば東側版・F-4ファントムII的存在です。1956年に初飛行した後、こちらも改良・近代化を重ねて夥(おびただ)しい数のバージョンが派生し、現在も運用されている機体は初期の性能をはるかに超越したバケモノと化しています。運動性能がきわめて高く、それでいて最新鋭機よりも維持が容易という点も含めると世界で最も成功した歴史的名機であることは間違いありません。

他方、日本国産の機体はどうでしょうか。

日本が初めて開発した超音速機である三菱重工業のT-2高等練習機およびF-1支援戦闘機からいきましょう。いきなり話が脱線しますが私はこの「支援戦闘機」っていう珍ワードが大好きです。一般的な呼称を用いるなら、運用方法としては「攻撃機」もしくは「戦闘爆撃機」にあたるものです。任務は普通に「空から対艦ミサイルをぶっぱなして敵の船を沈める」とかですから。ただ憲法上、「ウチらは専守防衛ですぅ攻撃なんてとんでもねぇ」っていう建前があるので、左翼の連中から要らぬケチがつかないように「支援戦闘機」という謎用語をひねくり出したという次第です。日本人ってこういう無駄な言葉遊びが得意ですよね。

で、T-2は最初から「イザとなったら支援戦闘機の役割が果たせる練習機」「むしろ将来は支援戦闘機タイプもつくって総生産数を増やす」という前提で設計され、1971年に初飛行。運用開始は1974年よ。1982年には松島基地の戦技研究班がブルーインパルスを結成。このブルーインパルスのグラフィックデザインは女子高生グループの手によるもので(一般公募により採用)、超絶にかっこよかったの。ぜひ「ブルーインパルス T-2」で画像検索してください。シビレます。

このT-2は練習機と言う事で複座(2人乗り=教官が後ろに乗ってスパルタ教育する)ですが、この後席をとっぱらって兵装に必要な電子装備その他をぎゅーぎゅー詰め込んで本気の「支援戦闘機」としたのがF-1です。こちらはT-2特別仕様として初飛行が1975年、運用開始は1977年です。で、皆様お察しと思いますが私はこれらの機体(T-2とF-1)が「かつ丼」「親子丼」と同じぐらい好きで、アラート任務に就きソ連(当時)の軍用機が領空侵犯するたびにスクランブル(警報を受けて緊急離陸すること)するF-1を頼もしく思った可憐な少女だったのであります。

しかしT-2、F-1ともに2006年に退役ですよ。老朽化が理由ですが上述のF-4ファントムIIやF-15イーグルあるいはMiG-21のような継続的かつ大規模な改修が行われることはなく、あまりにも短命であります。これは端的に言えば「完成した時点で改良の余地が残されていない」すなわち「絶望的なレベルで伸びしろが無い」という決定的な弱点を抱えていたからであります。

さて現在、航空自衛隊のブルーインパルスは川崎重工業製のT-4練習機を運用していますが、こちらも(個人的には「大好物」ですが)いかんせん、そもそもの設計がカツカツで伸びしろがありません。



T-4

T-4(航空自衛隊公式サイトより画像引用)




他国に目を向けると似たようなサイズ、似たような形状の練習機がいろいろあります。ブリテンのBAeホーク、独仏のアルファジェット、スペインのC-101等々。みな共通して言えるのは「基本は練習機だけどイザという時は攻撃機としても使える」すなわち「武装を前提として設計されている」のであります。しかし我らのT-4にはそれができない。「緊急時は武装も可」という想定はしていない。武器を積むと重くて飛べなくなっちゃう!などと言うのである。

阿呆か!!と思う。

日本は海を隔てた背後に変な思想の国家しかありません。北はミサイルを発射しまくり、南は竹島を不法占拠しています。その向こうには海洋進出しまくりの共産党独裁軍事大国。こんな連中ばかりですから、彼らが血迷って攻めてきた場合はありったけのものを総動員して祖国を防衛しなければなりません。そんなときに「練習機として用いる以外に使い道が無い機体」なんて役に立ちませんぞ。

ジコー連立政権が防衛費のために増税!!などとほざく現状にはホトホトうんざりする訳ですが、

「そういう戯言(ざれごと)をタレる前にT-4を設計する段階で最初から攻撃能力を有する、イザとなれば実戦に転用できる練習機をつくるとか色々工夫するべきだったでしょうが!」

と言いたくなるではないか。要するにお金の使い方が根本的に間違っているのである。無駄遣いが過ぎるのである。今はウクライナでドンパチやっており、従来想定していた「戦略」や「戦術」が割と根本的にくつがえされる現実を目の当たりにしており、真剣かつ早急に今後の国土防衛構想を練り直す必要があるタイミングなのである。にもかかわらず、そのあたりの議論を一切せずにただひたすら増税だけを進めようとするから腹が立つ。目先の事にとらわれて右往左往するのではなく、20年後、30年後といった長期的な視野で祖国防衛の手段をしっかり検討してもらいたいのである。

第一、危機感がコレっぽっちも感じられない「Jアラート」なんてマンガ用語みたいな名前をひねり出してるヒマはあるけど実際には北朝鮮が発射するミサイルの軌道も精確に捕捉できないレベルではないか。なんか飛んだっぽい?でも現在位置もワカンネ、今後のコース予測も落下地点もよく分からないけど、ひとまず警報だけ出しときます!みたいな低次元で「やってますアピール」するだけだからムカつくのである。あまりにも頼りないのである。

話が脱線しちゃったけど「日本人のつくるモノには伸びしろがない」という真実は今に始まった事ではいのだった。たとえば、旧帝国海軍の零式艦上戦闘機(いわゆるゼロ戦ね)も艦載機として真珠湾攻撃した21型が一番完成度が高くて、その後はエンジンをチューンナップしたり翼の先端形状を変えたりいろいろ工夫したけど「一部だけ性能向上した部分もあるけど全体のバランスは悪化してむしろ性能劣化」みたいな感じで苦し紛れ感がハンパ無い派生型ばかりであった。



零戦21型

零戦21型(ハセガワ製48分の1スケール模型のボックスアート画像を引用)




それでいて海軍は戦局の急速な変化で動揺し「零戦では対応できない」という状況になると場当たり的に

「以下ノ要求ヲ満タス新型機ヲ開発セヨ」

という命令を乱発するのである。航空機メーカーのエンジニアに割とムチャな要求をつきつけるのである。しかも「こんな飛行機をつくれ」「あんな飛行機も必要だ」と要求パターンが多すぎて命じられた航空機メーカーはパンク状態。早くやれ!と急かされたところで最新鋭の航空機を3日4日でつくれる訳がない。限界に挑むギリギリ設計の試作機ばっかり完成するのだけれども、実用化には至らない。

これではとても間に合わない、となると海軍は「並行シテ零戦ヲ改良セヨ」と言う。同時にアレもやれコレもやれ、というのは無理です。でも「できません」じゃなくて「どうやったらできるかを考えるのがお前の仕事」だ!とか言うのである。こういう言葉を上司から浴びせられた勤め人は現代においても日本中にゴマンといるのではなかろうか。

戦争末期はメリケンの爆撃機に容赦なく空襲されながら涙目で新型機の開発を強いられているという惨状ですよ。日本国内にはびこる「命令するだけの無能」による現場イジメ体質・末端の人材がコキ使われるブラック体質は今に始まった文化ではないのよ。

比較対象としてブリテンのスピットファイア戦闘機を見てみましょう。1938年にMk.Iが運用開始。これが大戦中の戦局の変化に応じる形で改良を重ねてMk.24ぐらいまで発展しているのである。スピットファイアといえば1940年の英国本土航空戦(バトル・オブ・ブリテン)でドイツ空軍を返り討ちにした立役者であり、アフリカ戦線やアジア・太平洋戦線にも駆り出されています。1943年にはオーストラリア周辺空域でラバウル航空隊の零戦とも交戦記録があります。

特徴は初期の型と退役時の型とでは性能に雲泥の差がある点です。当初から将来の性能向上を見越して設計していたので伸びしろがありました。最初は1000馬力級のエンジンで時速580kmほどの最高速でしたが、1943年のMk.XIVで2000馬力のエンジンを搭載して最高速度は時速720kmにまで向上しています。むろん航空機の性能は最高速度が全てではありませんが、大戦末期の零戦が涙目の改良でようやく570kmを絞り出していたのを思うと「進化がとまらないスピットファイア」と「完成した時がピークの零戦」との違いが大きすぎて驚くのであります。



スピットファイアMk.IXc

スピットファイアMk.IXc(ハセガワ製48分の1スケール模型のボックスアート画像を引用)




なお第二次世界大戦終結後は早々にジェット戦闘機の時代に突入します。しかしイギリス空軍でスピットファイアが退役したのは驚くなかれ1955年です。アイルランドでは1960年ぐらいまで使っていました。本当にすごい事です。

ということで私としては「何事であれ、未来に発展する可能性を前提にして計画を練る」ということの大切さを強く訴えたいのであります。伸びしろを残しておく。生き方も同じよ。


「私が本気を出したらどれほどすごいか、今にみていろ!」


という気概をもって、明日につなげる希望とともに今日を生きるのが大事だと思うのですよ。今の私がベストだと思ったら大間違いで、秘めたる能力、私の内側にひそむ伸びしろをあなどる奴らは全員覚悟しておけ!ぐらいの鋼鉄の信念を胸に強く生きていこうではないか。

まあ私の場合は希望を明日に託し過ぎて今日はこれぐらいでヨシとしておこう的な基本姿勢が癖になっているから、そこを改善しよう。「私は大器晩成型なんです」と言いながら人生を折り返してしまった私としては、お前いつ本気出すんだよっていう言葉をかけられても何も言い返せない現実を直視しなければなるまい。残された時間は短い。

よし、明日から本気出そう。(完)










#67
2023年9月24日(日)
「欧州、こんどはタイヤ粉じん規制だってよ(笑)」


今日は本題に入る前にどうしても書いておきたいことがありますので、まずはそのネタをサラッと。サンシャイン水族館(X公式)による2023年9月18日付の投稿を引用します。


\ 今日は #敬老の日 /
#ミナミコアリクイ の #タエ
https://twitter.com/Sunshine_Aqua/status/1703687804302344286



タエちゃん

なんと!久しぶりにタエちゃんの姿が




ミナミコアリクイの寿命は、かつては「8〜12年程度」と聞いていましたし、動物園で飼育されていても短命な個体はいましたから、サンシャイン水族館の展示からすっかり姿を消したタエちゃんもひそやかに天に召されたものと覚悟をしておりました。アリクイ界初のアイドルであったから、サンシャイン水族館が武田信玄ばりに死んだ事実を隠していてもおかしくはない。

もともとタエちゃんはパラグアイから来日したから正確な年齢はわからない。第一回脱走事件のときですら「推定2歳」といわれていました。あの報道で私は初めてミナミコアリクイという動物を知り、タエちゃんのあまりの可愛さに魂を抜かれて「熱烈アリクイ党」と化して現在に至っているのだ。

それまではエゾモモンガのぬいぐるみだけで踏みとどまっていたのに、堤防が決壊するかのようにぬいぐるみ物欲がはじけたのもタエちゃんがきっかけです。

そんなタエちゃんが現在19歳(推定)で今もバックヤードで余生を送っていると知り実に嬉しいのであります。タエちゃんには感謝しかない。私がこうして人生をあきらめずに生きているのはタエちゃんに出会えたおかげです。彼女こそ私の命の恩人(恩コアリクイ)です。ありがとうタエちゃん。この世に生まれてきてくれて。


ということで話は変わって今日の本題に入りましょう。

スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ(Volvo Car Corporation)が先日「2024年初頭にディーゼルエンジンを全廃する」と発表しました。ずいぶん前に「2030年には販売する全モデルを純EVにする」と言ってましたから、その目標達成に向けて加速化している感じでしょうか。

しかし他方で、EU陣営の掲げてきた「EVシフト」がここにきて雲行きが怪しくなってきました。夏にはこんな報道がされています。


車の走行でタイヤ摩耗による粉じん 欧州で新たに規制する動き
2023年8月11日 15時17分 NHKニュース

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230811/k10014160301000.html


詳細は上記記事を読んでいただくとして、芯だけ話すと「EVはガソリン車などと比べてより大きいバッテリーを搭載し、車体が重いため、タイヤの摩耗による粉じんの排出量がおよそ20%多い」「より大きく、より重いEVへ移行することで、タイヤの粉じんの排出量が増え、問題は大きくなる」などと言い出しているのであります。

私は笑ってしまった。あのね、タイヤがすりへりながら発生する摩擦でグリップすることにより車は走行しているのよ。今更何を言っているんです?

こんどはタイヤ粉じん規制だってよ!ということで今日の主張を結論から申し上げたい。欧州のイカれた価値観に付き合うのは、そろそろヤメにしませんか?

ここでハッキリ言うけど欧州の皆様はおしなべて我々有色人種を見下している、もっと明確に言うと「差別している」という現実(基礎の基礎)を改めて思い出していただきたいと思います。ときどき「日本人は優秀だから欧州からも一目置かれている」などと謎の自信を持っている人がいたりしますが幻想です。

スポーツであれナンであれ日本人が勝ちはじめるとルールを変更するのは欧州連中の「お家芸」です。

冬の競技「ノルディック複合」で日本人が前半のジャンプで無双し、逃げ切りスタイルで勝ちまくるようになった途端に「前半のジャンプの得点配分を減らして後半のクロスカントリースキーの得点割合をふやす」というふうにして自分たちに有利なルール変更を行ったのは記憶に新しい。フィギュアスケートもフォーミュラ1もそうだったじゃん。露骨すぎて逆に笑えるレベルであった。

欧州の連中が一貫して抱いている「東洋のサルに負けるなんてプライド的に絶対に我慢ならない」という本音は実に強固であって、今後も決して変わることなどありません。

根本的に「日本憎し」で生きている人たちですから、車についても世界で先頭をひた走るトヨタが目障りで仕方がない。そこで、ハイブリッド技術で先行するトヨタを引きずり下ろす方便として「クリーンディーゼル」を推し進めたのであります。

ところが事実上「陣頭指揮をとっていた」フォルクスワーゲンが不正を働いていたことがバレてしまった。インチキが露見したばかりか、環境負荷も実質的にガソリンと変わらないこともわかってきた。これによりクリーンディーゼル推進運動は見事に爆死。

うろたえた欧州が手のひらをかえして今度は「脱・内燃機関」「EVシフト」を表明したのでありました。EVこそ正義!唯一の解決策!!と声を荒げてブチあげたのであります。しかし意外な展開で彼らはふたたびうろたえるのだった。蓋を開けてみたらEVは合衆国のテスラと共産党チャイナのBYDのシェアが圧倒的になってしまい、自分達にまったく旨味がないことがハッキリしてしまったのです。そりゃそうだ。欧州の自動車メーカーなんて稼ぎ頭は富裕層向けの高級車ばかりですから低価格勝負してくるメーカーに殴り込まれたらひとたまりもない。結果、日本よりもっと厄介なチャイナの車による大幅なシェア拡大を招いただけで盛大に自爆したのでった。

連中は「SDGs」だの「環境問題」だのとキレイゴト言ってるけどそれは表向き。同様に「人権問題」とかすぐ言い出すけどぜんぶ自己中心的なモノサシで決めつけているだけで、自分に旨味がない、逆に損害が及ぶとわかれば手のひらを返してルールを変更する汚い奴らなのであります。

どうやらEVシフトはチャイナを利するだけ、と分かってきたのでそろそろ伝家の宝刀「ちゃぶ台がえし」によるルール変更をやるのは確実です。

それにしても、まさか「タイヤの粉じん」などという今更なモノをターゲットにして規制の必要性を叫ぶという変化球は想像もしませんでした。あいつらマジで頭おかしい。この流れがいきなり激流と化し、意表をついてブリヂストンタイヤ、トーヨータイヤ、横浜ゴムあたりの日本企業が「スケープゴート」にされてピンポイントで狙い撃ちされる可能性も高まってきました。

私は声を大にして言いたい。

欧州の自己中心的な価値観に基づく屁理屈を無条件で盲信して受け入れるのは、いいかげんヤメにしませんか。

しょせん民族も歴史も文化も異なるのです。モノの考え方だって違って当たり前です。彼らの唱える「主張」「正義」を盲目的に信じて「右へ倣え」する必要性なんて無いのです。国によっておかれている状況が違うんだからエネルギー政策だって異なるのは当たり前。

私はオートバイ乗りということもあり、引き合いに出す例がおのずとソッチ系に限られてしまうけど、そもそも日本の50cc原付に欧州の排ガス規制を適用した事自体が誤りだったのではないでしょうか。50ccという極小排気量で必要充分な乗り物をつくるには2ストエンジンをそのまま続けていれば良かったのではないの?メーカーは多大な資金と労力をかけて4スト化、インジェクション化、触媒の性能向上をやってきて、結局ここにきて「もうこれ以上は無理」ってギブアップ宣言した訳じゃん。

タラレバの話になっちゃうけど、50cc原付なんて日本でしか売らないんだから欧州のルールなどハナから無視して2ストエンジンを続けつつ、淡々と環境性能の向上をはかってきたなら20年の間に「4ストには及ばないものの昔とは比較にならないほどクリーンな2ストエンジン」なんていう夢のテクノロジーが実現していたかもしれない。あるいは「2スト内燃機関と抜群に相性のいい代替燃料」が発明されたりしていたかもしれない。

欧米列強の帝国主義時代なんてとっくの昔に終わっているのだよ。むしろ日本が主導権を握って新しいルールづくりを進めるぐらいの方が良いでしょ。ウチら約2700年の歴史があるんだからさ(※令和5年は皇紀2683年ですぞ)、もうちょっと胸を張って100年先、200年先を見据えつつ日本独自の道を堂々と歩めばいいと思う。

タイヤの粉じん規制?馬鹿め。何を今更。最初から小さくて軽い車をつくればいいだけの話。

高校の物理からやり直せ!










#68
2023年9月28日(木)
「四輪を買えない私の負け惜しみ」


いきなり妙な話になりますが、どんなに熱い鉄道マニアになっても好きな車両を個人で所有することはまず不可能です。百歩譲ってお金を積んで車両を一両手に入れたとしても、実際に線路上を走行させて楽しむなど出来るはずもなく、せいぜい自分の所有する広大な敷地に飾って眺めることしかできないでしょう。

航空機ファンも同様です。ボーイング747(ジャンボジェットの愛称で知られた超大型の旅客機)が好きで好きでたまらない!となっても、機体を個人で手に入れることなど夢物語ですし、ケタ違いの資産家が仮に血迷って入手したところで庭に飾るのがやっとでありましょう。雨ざらしにしていたらあっという間にボロボロになります。外見を綺麗な状態を維持しておくのも大変です。

そう考えると「農場を経営していて趣味はトラクターの操縦、寝ても覚めてもトラクターのことで頭がいっぱいのマニア」なんていう人が仮にいたとすれば、その人は地上に居ながら天国を先取りした人生を送っているようなものです。事業拡大のために最新型のトラクターを買うと決めてカタログを眺めている時間なんて最高に幸せであろうと思います。

一般人であれば「車が好き」と言っているぐらいが丁度よいのであろう。ふだんは通勤で使い休日は家族で出かける!とかいう人なら「次はどの車に乗ろうか問題」は家族会議において相当重大な議題になるのは間違いない。

さて、もはや私は今後の人生で四輪を買って乗る事は無い(生活水準的に不可能)と悲壮な覚悟を決めております。レベルは違いますが車両を買えない鉄道マニア、ジャンボジェットを買えない航空マニアと似たような状況です。だからせめて好きな車のミニチュアぐらいは手元に置いて飾っておこうと「パルサーエクサ(初代・N12)」「エクサ・キャノピー(KN13)」「NXクーペ(B13)」という日産の名車3台を入手して眺めてはニヨニヨしているのであります。いい歳してミニカーかよ!って思われるかもしれないけど満足度は相当なものがあります。本当に買ってよかった。

だから私個人は「部屋に線路敷いて模型を走らせるのに夢中な鉄道ファン」や「精巧な模型を組み立てて飾っている航空ファン」の気持ちはよくわかる。好きな音楽をオーディオで鳴らしつつミニチュアを眺めて過ごす夜は一杯やらずにいられませんよ。(←私は酒ヤメたけど)

最近は「人生に悔いを残さないよう、残された時間は自分を解き放って好きなように生きる」という決意がいっそう強固になっているので、「もふっとオオカミ」のぬいぐるみが大量に増殖したり楽器が増えたりしているのであります。まだ内緒にしてるけど吹き方すら分からないサンポーニャ(←アンデス民謡で使われる楽器)を物色してる最中ですよ私は。

今日は車の話です。私はもともと収集癖のあるマニア気質ですので、大好きな日産の3台のミニチュアを眺めつつも他方で「シトロエン2CVのミニチュアも飾りたいなァ」などと思うのであります。2CVは私が世界で最も好きな自動車のひとつで、最終モデルの「チャールストン」(茶色と黒の2トーンカラーのゴージャスなモデル)は私が高校生の頃まだ現行車として販売中であったから割と本気で欲しかったのです。第二次世界大戦が終わった後、各国でモータリゼーションをおしすすめた「立役者」的な国民車がたくさんあったじゃないですか。ブリテンのミニ(BMC=ブリティッシュ・モーター・コーポレーションのアレ)とかイタリアのフィアット500とかドイツのフォルクスワーゲンビートルとか。それぞれ創意工夫がみられて本当に愛おしい。なかでもフランスの2CVは見た目の可愛さのみならず、構想段階で示された「合理性の追求」「掲げたテーマ」が私の魂をつかんで離さないのです。曰く、

・50kgのジャガイモまたは樽を載せて走れること
・60km/hで走行できること
・ガソリン3Lで100km以上走れること
・荒れた農道を走破できるだけでなく、カゴ一杯の生卵を載せて荒れた農道を走行しても、1つの卵も割ることなく走れるほど快適で乗り心地がよいこと
・車両重量300 kg以下
・もし必要とあれば、(自動車に詳しくない初心者の)主婦でも簡単に運転できること
・スタイルは重要ではない

興味ある方はググッてみてください。Wikipediaの記事には「問題が多い」と厳しいチェックが入っていますが、車の解説としてはわかりやすくて割とマトモだと思うよ。

2CVのミニチュアに関しては、手元のパルサーエクサ等と同じシリーズ(43分の1スケール)のものがあるみたいで時々ネットオークションに出ています。手に入るうちに動きたいなと思っていたら、ちょうどいいタイミングで出物があったのでエイヤッ。



落札

やっちまったYO!!




まさに私が乗りたかった「チャールストン」そのもののミニチュアですから、結果オーライということにしたいと思います。シトロエンは2CVとDSとタイプH(貨物バン)が大好きです。我らが品川区内には"JAVEL"という老舗のシトロエン専門店がありまして、私はちょくちょくそのお店の前を通るのですがタイミングが良ければピカピカのDSやCXを見ることができたりするので、本当に夢を見ているような気持になります。

シトロエン専門店「ジャベル」東京都品川区(公式)
https://javel.co.jp/



DS

シトロエンDSの美しさよ




そういえば最近シトロエンの車って見かけないですね。以前ほどの存在感が無いように感じます。いまどきのSUVの見分けがつかない私が知らないだけで実は走ってるのかな?

なんにせよ2CVのミニチュアが手に入った今、もう四輪に関しては思い残す事は無い。車とともに愉しみあふれる生活というのは自分にはもう手の届かない世界としか思えないから、ようやく諦めがついたような気持ちになってます。私ごときにはとてもじゃないけど買えるモンじゃない、と思いつつ街を走る車を見ればどれも、これもが素晴らしいお宝に見えますよ。もうドライバー全員に「いい車に乗ってますねえ」って声かけたいレベル(←やめろよキチガイ)。

そんな先日、外出先でGRACE(←グレイス:「主の御恵み」という意味ですな)という素敵なセダンを初めて見かけました。エンブレムを見るとどうやらホンダの車らしい。



グレイス

まさにAmazing Graceって感じヨ(画像はホンダ公式より引用)




最近ホンダの四輪は軽自動車こそ販売好調(トップを独走中)なものの、他の車種はいまいちパッとしない印象だったので「わお!ホンダにも超かっこいい車あるじゃん!」と思ってウキウキしながら帰宅。ルンルン気分でネット検索したら既に製造販売終了した過去のモデルだったと知りガビーン。


ホンダ グレイス(ホンダ公式 アーカイブページ)
https://www.honda.co.jp/auto-archive/grace/2020/


実際に乗ったわけではないから評価のしようもないけれど、見た目に限っては最近のメルセデスやBMWのセダンよりも断然私の好みです。こう言ってはオーナーの方は気分を害されるかもしれませんが、最近のBMWはグリルの腎臓が肥大化・ギラギラ化しすぎてちょっと品がないように感じています。ドイツはメルケル時代に共産党Chinaとの距離がずいぶん接近していたから、あれはチャイニーズの好みに合わせたデザインなのだろうと察しています。かつてBMWがまとっていたダンディズムはどこへ行ったんだ?というレベルで、イッキに成金くさくなってしまい私は残念に思っているのですよ。

それにくらべてこのグレイスのかっこよさ、どうです。往年のダイハツ・シャルマンを思わせる理想の高級車ではないか(←誉めてるのよ)。寸法は小型車(5ナンバー枠)にしっかり収まっていてこのデザイン。ホンダらしいスポーティな雰囲気もたたえている。マジ凄い。これがセールス的に大ゴケして販売終了って、私にはちょっと何が起きているのか理解できません。



セダン

もはや何も付け足す必要が無い完成度のスポーティなデザイン




これほど魅力的なセダンを誰も買わない時代になってるのかと思うと絶望しかない。むかしカリーナとかプリメーラとかカペラとか乗ってた人たちは一体どこへ行ってしまったの?みんなセダンが嫌いになってしまったの?本当にミニバンかSUVで満足しちゃうのですね。もうセダンには興味ないんだね。私にはまったく理解できないよ。

まあ私はもう「車が好き」っていう情熱をこじらせすぎて一周まわって「日本車はフェンダーミラーじゃないとヤダ」「トレッドがちょっと狭くてボディの全幅よりもタイヤが内側に入り込んでるぐらいがいい」「ペッタンコなタイヤに大径ホイールなんて論外!バルーンタイヤに鉄ホイール、これぞ至高」というような謎の好みがエスカレートしてしまい、事実上現時点では選択肢がないレベルにまで達しています。人間、ひねくれると「負け惜しみ」が強くなっていけないね。

でもまあ車が最高にかっこよかった時代に青春を過ごせたのだからヨシとしようではないか。


ホンダ 1982年11月25日ニュースリリース
ホンダ独自の数々の新技術を導入したFFスペシャルティカー「新プレリュード」を発売
https://www.honda.co.jp/news/1982/4821125.html



プレリュード

あの頃ホンダは凄かった




いまはホンダの四輪が元気なくて本当に寂しいんだ。YouTubeにはホンダコレクションホールで動態保存している車両を紹介する動画がありまして、見始めると止まりません。


ホンダコレクションホール(公式)
https://global.honda/jp/collection-hall/


Honda Collection Hall 収蔵車両走行ビデオ Z(1972年)





私の大好きだったZ。めちゃくちゃいい音してる。オートバイみたい。こういう、ちぃーっちゃい乗り物が私は心の底から大好きなんだ。パワーとか最高速度とか興味ないの。運転して楽しいかどうかが大事。


Honda Collection Hall 収蔵車両走行ビデオ BEAT(1991年)





私の中ではホンダ最後の輝き、ビート。ビートといったら50ccの妙ちくりんなスクーターのイメージだったのが、この車の登場で完全に上書き保存されたものです。うちの近所にもビートを大切に保管してときどき走行させている方がおられます。夢の軽自動車ですよ。


Honda Collection Hall 収蔵車両走行ビデオ CITY(1982年)





ホンダの傑作、初代シティ。登場した時のインパクトはすさまじかった。実に素晴らしい動画です。4本ならんだMAXコーヒーで大爆笑。糖尿病まっしぐらじゃないですか!


Honda Collection Hall 収蔵車両走行ビデオ MOTOCOMPO(1982年)





シティといったら、モトコンポを忘れてはいけません。なんか今はみんな珍重がって程度の良い車両を高値で取引してるけど、発売当時は馬鹿にして全然売れない不人気車だったじゃないですか。私が「黄色のモトコンポかわいい!乗ってみたい!」って言ったら「あんなの使い物にならない」って鼻で笑われて全否定された記憶は一生消えないぞ。あんたたちの後出しジャンケンみたいな「手のひら返し」には本当にウンザリだよ!!もし仮に将来、自称・モータージャーナリストがしたり顔で「グレイスは実は隠れた名車だった」とか言おうものなら私はブチ切れますよ。グレますよ。

なんにせよ昔のホンダって、いつもワクワクが詰まっていたよなあ。小さくて面白い乗り物をつくらせたら右に出るものはなかった。正直、ホンダのエンジンは一個もっておくと人生は楽しいですよね。50ccで4スト水冷単気筒、キャブレター仕様という甚だクレイジーなものを所有していた時がありましたが、フルスロットルで走り続けると廃車レベルで壊れる恐れがあるので控え目に走りましょう、とかいう鉄の掟に縛られつつライディングする時間は本当に楽しかったわ。

まあ繰り返しになりますが私はもう四輪は買えないので、全部負け惜しみです。軽くスルーしてください。












モモ通2023年第2期 ← 工房 エゾモモンガ 最初のページ → モモ通2023年第4期