モモンガ通信2023年(第2期) ヴェノーヴァとかフルートとかオートバイとか・・・のどかさんの日常ヨタ話


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#23
2023年4月3日(月)
「東京モーターサイクルショー2023の報告(いつもより長文)」


4月最初のネタは先月24日の金曜日から3日間にわたって東京ビッグサイトにて開催された「東京モーターサイクルショー2023」の話をしようと思います。いつになく掲載画像も多め&長文になりますので、テキトーにお読み下され。

オートバイなんて全く興味なし!という皆様からすれば「どうでもいいイベント」でありましょう。

そのうえ世の中の多くの人がオートバイという乗り物もしくはライダーに対して抱いているイメージというのは辛口のものが多い、というかむしろ「騒音をまきちらす害悪」「公道を勝手気ままに走るウザい存在」というような感じで「嫌悪」や「憎悪」に近いものがあるので愛好家は肩身が狭いのです。本来は紳士と淑女の乗り物であったオートバイがどうしてこうなった的な悲しみは海よりも深いのであります。

しかしそんな「いわれなき誹謗中傷に人知れず涙しながら唇かみしめて生きている我らライダー」にとっては年に一度の貴重なお祭りなのでありまして、主催者ならびに出展される企業・団体の皆様にはマジ感謝であります。憧れの車両が大量に展示され、モノによっては「実際に跨ってみる」こともできるという貴重なチャンスですから億劫がらずに行ってみる価値はオオアリクイ。

という事で私はイベント初日、3月24日金曜日の一般公開(13:00から)にあわせて東京ビッグサイトに突撃したのです。



到着

久しぶりのビッグサイトは、久しぶりのビッグサイトだZE!(←意味不明)







イベント開催看板

モーターサイクルショーとともに春が来るのだ




まあ正直言うと股関節炎がつらいのであまり長時間会場を歩き回るのは無理だな、と感じていたためひとまずは国内四大メーカー(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)のブースを一通り見て、あとは会場を適当に一周して「最新のバイク用ドライブレコーダー事情」あたりを軽くリサーチできればいいかな、ぐらいの作戦をたてていました。事前のウェブサイト巡回による下調べ段階で、とりたててじっくり見たいと思うほどの新型車もなかったですから、サラッと行こうと思います。



会場突入

とはいえ会場に入るとテンションが一気に上がる




まずは元・熱烈ヤマハ党員ということもありヤマハ発動機のブースに向かいます。かつては一番好きなメーカーでしたがここ数年は私がわざわざお金を出してまで乗りたいと思うモデルがただの一台もないという状況が長く続いており、正直私の心はもう離れているのよね。



ヤマハブース

余談ですが谷山浩子さん作曲・唄の『ヤマハ発動機社歌』は大好きです




さて最初に目をひいたのはテネレ700であります。カラーリングが懐かしすぎて目頭が熱くなるんですけど。ヤマハはしばしばこの「往年の名車につかわれた色の再現」を繰り出して特定の世代のハートをガッチリつかもうという作戦に出るよね。YSP限定カラーとか謳って昔のカラーリング外装を数量限定販売して消費者の人生を狂わせる戦法を多用してる気がする。テネレ700はいいなと思うけど、私に言わせればTDR250のかっこよさには到底及ばないわ。そもそもデカすぎるのよ。



テネレ700

まあいちおう現行ヤマハ車ではNo.1の「私好みのマシン」なのは疑いが無い




そして次は、なんとまさかのYZF-R15です。市販予定ですって!!マジか。



R15

装備が高級になって超絶進化したR15




私が乗っていた「タエちゃん」もモデルチェンジを重ねてこんな高級装備満載のブルジョワ仕様になってしまったのか。これは相当値が張ることでしょう。たぶん私が持ってたR15の倍ぐらいの値段になって販売されそうな気がする。私が乗っていた頃は排気量150ccというだけで鼻で笑われたものですが、いまは150cc〜160ccなんていうクラスも多くのライダー層に受け入れられつつある風味。時代は変わるものであります。

今年はヤマハが排気量125ccクラスのマニュアルシフト車を市場投入するとのことです。スズキがだいぶ健闘しているもののほとんどホンダが市場を独占状態ですから、出遅れたヤマハがどれだけ巻き返すか見守りたいところです。

さあ、ではホンダのブースを見に行きましょう。



ホンダ

大人気で、ブースに入るまでの待ち時間が40分ぐらいだったかな




私は基本的に行列に並ぶのはあまり好きではないのですが、かといってホンダの展示を見ないのもどうかと思うので温泉カピバラ状態でボーッとしながら列の流れに身を任せておりました。スタッフの方が「並んでいる間にスマホにアプリを入れるように!」と呼び掛けていましたが私は古いスマホでストレージ容量は足りないしバッテリーは弱っていて帰りまでモバイルPASMOを持たせないといけないのでアプリは入れず。インストールした人だけガチャガチャを楽しめたり、ブース内で回転木馬のようにまわるバイクにまたがれたりといった特典があったようです。ホンダに限らず今回は「スマホで登録した人だけ特定の恩恵が受けられる」というブースが多かったですね。



CL250

こういう車種はスクランブラーっていうの?よくワカラン




スクランブラーはオンロードバイクをベースにオフロードでも走れるように仕上げた車種ってことで、このCL250はレブルがベースみたいです。リヤシートに荷物を載せる時に気をつけないとマフラーの熱でナイロン製のバッグが溶けそうだし、ヘタすれば火災を起こしそうです。っていうかタンデム乗車したら後席の人の右の太もも内側がアチチチチってならないんでしょうか。



トランザルプ

「昔の名前で出ています」という感じで懐かしの「トランザルプ」が750ccで復活ですって




ここ数年はアドベンチャータイプが流行してる印象です。個人的には見た目的に旅心をくすぐるので大好きなジャンルで車種が増えるのは素直に嬉しいのですが、これほどの高級大型車を実際にダートに持ち込んで万一スッテンコロリンしたら起こすのも大変だし修理代も相当な額でしょうね。やっぱり私はデカいバイクは怖くて乗れないなって思う。



ADV160

SF映画のメカに出てきそうなビッグスクーター




ガンダムみたいなスクーターを発見。跨ってみたけどこれまたデカいのなんの。私自身は旅の道具として自動変速のスクーターというのはおおいにアリだと思っています。シート下のトランクスペースやリアボックスに荷物を入れて、カップルでタンデムしてのんびり旅に出たら楽しそうじゃん。ってことは、悲しき独身の私には不要ということだな(泣)。

次行こう、次。スズキ。二輪と四輪の両方をつくってる世界の三大トップメーカー、知ってるかい?「バイエルンのBMW」、「ハママツのHONDA」、そして「俺たちのSUZUKI」だぁ!



スズキブース

今年はどんなネタを仕込んでくるのか




スズキの展示は毎回コンセプトが明確でワクワクするんですよ。今年のキャッチコピーは「踏み出そう 鼓動たかめて!!」ということで、私の血圧も上がってまいりました。ブース内にはいろいろな車種が並んでいるのですが、すでにその一角に「ときめきの黄色バイク軍団」がチラリと見えてしまったので他の車種を集中して鑑賞することができない状態に陥りました。黄色のバイクは最後にゆっくり見ると決めて、興奮を静めつつ順にじっくり見てゆきます。



GSX-8S

今年の大注目はこのストリートファイター




スズキのGSXという名前はロードスポーツモデルに冠する伝統の称号であって、私の世代だとGSX250F「アクロス」のインパクトが強すぎるのですが、このGSX-8Sはまさに最新テクノロジーの結晶、精悍かつ美しいオートバイに仕上がっておりまして「こういうのはホンダやヤマハがどうがんばっても造れないんだよねえ」「これがスズキですよ」みたいな気分に浸るのであります。スズキは奇想天外なメーカーで「責任者は本当に冷静な判断をしてOKを出したのか?」と思うようなトンデモデザインや謎設計を平然とやってのけて奇妙奇天烈な車種を平然と発売しセールス的に大爆死することがしばしばありますが、そうかと思うと突然「神がかってるレベル」のかっこいい車種を出して人気を独占するような場外ホームランを放つことがあるので目が離せません。そつのない「手堅いバイク」をつくらず、特定の方向性めがけて突出した個性派をリリースする面白いメーカーです。そいうい意味でこのGSX-8Sは素晴らしいです。人気出そう。私から見るとデカすぎですけど。



Vストローム1050DE

黄色いスズキ車は二輪界の宝石




ひととおりまわっていよいよ黄色軍団(Vストローム1050DE、800DE、SXの3台)のコーナーに突入。もうエゾモモンガは悶絶死しそうなレベルで興奮しております。とりわけVストローム1050DEの圧倒的なかっこよさですよ。並居るライバル車をひとひねりで叩きのめすほどの威力であります。私もあと35年若かったら免許取ってこれに乗りたいと思ったかもしれませんby永遠の34歳(あれ?計算が・・・)

なお余談ですが今回は独りで会場に行ったため自分が写ってるショットはほぼ皆無であります。「ほぼ」というのが重要で、スズキのアドレス125の展示空間には鏡があったのでこんなのを撮ることができたよ。



アドレス125

アドレス125に乗った自画像(画像はわざと粗くしてあります)




アドレスって伝統的にシャキーン!とスリムで尖ったデザインを身にまとい、小回りの利く俊足スクーターのイメージを踏襲してきましたが、新型はまさかのレトロスクーター路線。ウェブサイトで見ると丸っこくてかわいい車種でしたが実物は巨大なトドみたいなむっちりスクーターでした。ボリューム感がありすぎ&太りすぎ。全てのメーカーに言えることですが「スクーターの巨大化・肥大化」が止まりません。いやな傾向です。



カワサキブース

さあ次はカワサキを見に行くぞ!




さてここで私は世界中にいる全てのホンダファンを敵に回す覚悟で言いますが、私の持論はずばり


「ホンダは優秀なオートバイをつくり、カワサキは新しい時代をつくる」


というフレーズであります。ホンダのオートバイはどの車種も欠点らしい欠点はないし、文句のつけようが無いほどに優秀なのですが、あまり「未来」を感じさせないのですよ。革新的な技術で最先端を行き、世界中にいるライダーの魂をガッチリつかむ車種をどこよりも先にリリースし、乗り手の心に新しい価値と人生の指針を指し示すような熱い「激流」を全力で注ぎ込んでくるのは間違いなくカワサキであります。私の中では唯一無二、世界の頂点に君臨する最高のオートバイメーカー。それがカワサキであります。



グリーンとエボニーの2色ですべてを語る

最新技術のカワサキですよ




決してカワサキを持ち上げるためにホンダをけなしているのではない、というのは理解していただきたいところです。ホンダは凄い。「伝説」と言い換えても差し支えない実績を積み上げ、セールス面でも世界の覇者といえましょう。でも、それでも、それほどの優等生であるホンダにはない魅力がカワサキにはあるのよ。

まあ興味がある方は「カワサキ 適当な棒」でネット検索していただきたいものです。車両の整備に必携のサービスマニュアルに「適当な棒を用意」などという表記があるメーカーは世界広しと言えどもカワサキだけです。



ZX-4RR

令和の世に4気筒400ccのスーパースポーツを投入!?




ここ数年、カワサキの車体にほどこされたグラフィックが群を抜いてかっこよくなっている気がするのは私だけでしょうか。10年以上前ですけどレンタルで乗った250TRとか超絶にダサいカラーリングで跨るのも恥ずかしく私は深く絶望したのですが、今ではそんな過去も夢か幻のように思われます。優秀なデザイナーが開発の最前線にいるのは間違いありません。



エリミネーター

今年のモーターサイクルショーの主役はコレです




各社、新型を投入して臨んだモーターサイクルショーでありますが、おそらく一番話題をさらったのがカワサキ・エリミネーターの復活ではないでしょうか。低く構えたスタイリングはこの手の車種が好きな人にはたまらないでしょう。これが排気量400ccというのだから驚きですよ。外見だけでは、まさかこんな迫力のあるマシンが普通自動二輪免許で乗れるとは想像もつかないわ。水冷エンジンのネイキッド、というのも見慣れてしまえばむしろ機能美すら感じられて良いものです。



エリミネーターSE

悠々と走ったら気分よさそうですな




なお私はちっちゃいオートバイが好きなので、ハッキリ言ってカワサキの想定する顧客層から完全に離れた立ち位置にいるのであります。昭和の2スト車全盛時代はともかく、2023年春の時点でカワサキの製品ラインナップに私の乗りたい排気量&小さいボディサイズの車種は存在しません。思えば免許を取得して最初に公道を走ったのはレンタルバイクで乗ったカワサキDトラッカー125でありましたが、超絶に気に入った最高の車種だったのに今はもう絶版車ですからねえ。私とカワサキは運命の赤い糸で結ばれてはいなかった。どうしようもないけど私にカワサキは「縁が無い」のでしょうな。



ライムグリーン

カワサキと私は結ばれない運命なのよ




気を取り直して他のブースをまわりましょう。次はウェアやプロテクター、グローブやブーツからバッグに至るまで守備範囲とするコミネであります。ブースの壁面が「コミネマン」(全身コミネのウェアで固めた熱烈なコミネファン)のための記念撮影用背景となっているのがいいよね。アウトドアブランドでたとえると「モンベル」みたいな感じでしょうか。アウトドアブランドの製品って基本的に値が張るので、性能を追求しつつお手頃価格のものを探してしまうと「歴史ある日本のブランド、モンベルっていいよね」という結論になり気づくと頭のてっぺんからつま先まで全身モンベル装備になったりするのだ。

この現象と同様です。免許取得後におこづかいを握りしめてバイク用品店に行くわけですが、バイク用のウェア類が実はすさまじく高価だという真実を知ってショックを受けた初心者が気が付くとコミネマンになっているという事例は枚挙にいとまがない。かくいう私もコミネマンですよ。



コミネブース

防御力のコミネマン参上!




ひとりで行くとコミネマンの決めポーズで記念写真を撮れないのが残念ですよね。ということでブースの展示を見る訳ですがもうウェアもあるしプロテクターも揃えているからとりたてて急ぎ必要なものはない。と思ったら驚くべき展示をまのあたりにして大興奮!



コミネのバイク

コミネ50「ジャイアント号」




いやはや。噂には聞いたことはありましたが実物を見るのは初めてです。かっこいいなあ。と同時に、いわゆる「原付免許」がそもそもの発端してはこういう車種を想定したものであり、現代の交通事情に当時そのままの道路交通法が適用されている実情はやっぱり無理があるなあとしみじみしたのであります。「原動機付自転車」っていうのは、ずばり、こういう車種のことですよねえ。筆記試験だけで取得でき、時速30km制限で乗れるのはコレですよ。言い換えれば筆記試験のみで取得した免許でNSR50やDT50に乗れていたあの時代が、ある意味「異常」だったのだ。



コミネKB-1

排気量125ccのコミネKB-1(1956年)




これはシビレます。KB-1。排気量125ccの2ストロークエンジンを搭載し6.5psを誇ったそうです。2段変速機構を搭載。かっこいいなあ。話とんじゃうけど、そのむかし私は趣味で自転車をやっていて、ブリテンのBSAっていうメーカーの自転車(1936年)に乗っていたのよ。ちょっとその記憶が蘇ったわ。私個人は、わざとレトロっぽくするためにあえてメッキパーツを多用する「わざわざクラシックふうを装う外観」というのはあまり好きではなくて、当時全力で最先端技術を惜しみなく搭載してつくったものが数十年経ってから見ると「結果的にクラシカルに見える」というのが好きなのよ。わかります?このKB-1は当時の最先端をゆく夢のマシンだったわけで、それが時を経て「いぶし銀の魅力をたたえている」というのが、たまりません。いやはや、良いものを見ました。

ほかのブースもサラリとまわる。欧州をはじめとする海外からの輸入車は、おおむね大型バイクがメインで私の守備範囲から外れるのですが見ているぶんにはすごく楽しいです。ワクワクします。自分が乗りたいかどうか、とは別の視点で純粋にキャーキャー騒ぐのはいい気分ですよ。



骨格

骨格部分だけ展示して充分カッコいいというのは凄いな




こちらの一枚は外装のみならずエンジン等の主要部品をすべて外した状態での展示で興味ない人から見たら「だから何??」って感じかもしれませんけど、マニア的視点で眺めてると最低でも30分は釘付けになります。素人が見てもフロントのステアリング&サスペンション構造がかなりの変態っぷりなのは瞬時にわかります。フロントフォークが存在しません。ハンドルバーを左右に曲げたときの各アームの動きを想像するだけでウヒョヒョヒョヒョと発狂します。フレームおよびその他細部の素材やパイプ曲げ加工の過程に加えて溶接の話とか根掘り葉掘り聞きたいレベルです。それにしたってちょっと手間とお金をかけすぎじゃないでしょうか。



フロントフォークの無いバイク

フロントフォークが本当にナイヨ!




フロントのスイングアーム周辺を見ているだけで驚くのに、このボディデザイン&カラーリングで仕上がった姿は芸術的な美しさですよ。完全に黄色が決め手になってる必殺の「差し色」と化しております。たまりません。



Multistrada

ドゥカティのムルティストラーダ




大田区北千束にドゥカティのディーラーがあって、しばしばその前を通るのですが、私みたいな宇宙無職は畏れ多くて店内に突入はできない訳ですよ。通りすがりに店内をチラ見するのがやっとですから、こんな夢のような車両を間近に見ることができるだけでもモーターサイクルショーはありがたいものです。四輪にも言えますけどイタリア車ってどうして我々の心に刺さるんですかね?不思議です。



BMW

BMWもすごいのを展示していたよ




ホイールベースが超絶に長くて低く構えたオートバイ、まさかのBMWでびっくり。水平対向エンジンで排気量は1800ccとかいう化け物でした。実際に公道でこんなの見かけたらビビってひれ伏すわ。道の駅やらサービスエリアやらで「愛車みせびらかしマン」は大勢いるけれど、こんなの跨ったアニキが来たら横綱の土俵入り状態ですよマジで。最小回転半径はどれぐらいだろうか?考えただけでもおそろしい。



MVアグスタ

私が惚れたのはこちら




いよいよ来ましたよイタリア三色旗カラーのMVアグスタ。排気量798ccのコンパクトでお手頃なF3 RCは396万円です!日本には15台導入です!!とか言われても私にはどうすることもできないよ。こうやって実物を間近に見られただけで大満足ですよハイ。

ということでスペシャル級の外車を眺めているとかなりお腹いっぱいになります。そろそろ話も長くなってきたので、あとは気になったものをちょっと紹介して終わりにしましょう。

私はここ数ヶ月、股関節炎が悪化して苦労していることもあり「スクーターもヨイな」などと思っているのであります。ストップ&ゴーを幾度も繰り返す街中の走行というのは、小排気量マニュアル車では頻繁にギヤチェンジを強いられてかなりの苦役ですからね。右手のスロットル操作だけで発進・加速するスクーターは近所の気楽な乗り物として優秀というのは間違いありません。



プジョーのスクーター

おフランスのプジョーでございます




プジョー・ジャンゴ125ABSファイナルエディション。このネオレトロモデルは製造中止で国内流通在庫のみの販売との事です。ことしフルモデルチェンジして夏には新型が日本にも入るといってましたがモデルチェンジ後のデザインは好みも分かれそうですし150ccの設定がなくなる(日本導入予定は現時点でナシ)ということですから現行ジャンゴが好きな人は急いだほうがいいってよ。



イタルジェット

まさかのイタルジェット復活!




つづいて私の好みに超ど真ん中で刺さったのがこのスクーター。あれ?イタルジェットって倒産しませんでしたっけ?よくわからないうちに復活していました。ずばり、私はこういう変わり種スクーターが欲しいんですよ。日本だとスクーターはどれもこれも「実用の道具」ということに重点が置かれてしまい、似たようなものばっかりです。過激にぶっとんだデザインとか実用性は切り捨ててスポーティな走りに全振りしたコンセプトとか絶対に出てこないじゃないですか。みんな大同小異で、退屈でつまんないのよ。物足りないのよ。変な乗り物が好きな私としてはイタルジェットなんて最高にシビレるのよ。こういう冒険デザインが世の中を明るくするのよ。いいなあイタルジェット。値段も過激なのでちょっと手が出ないですけど。



ロイヤル・アロイ

ロイヤル・アロイのGP




シャレオツ系のスクーターは今なお人気ですな。さりげなくレトロ感があるのがイイ感じにそそります。それにしてもデカいな。最近はベスパなんかもすごく大きくて、昔のちっちゃいボディの車種を記憶している世代からみるとちょっと残念な感じがします。ハンドチェンジ式のベスパも滅亡したし、スクーターの未来はあとはもう水冷エンジン積んで肥大化するかエレキ化するかどっちかなのでしょうか。細身のスーツをクールに着こなしてデコレーションした(なぜかヘッドライトがたくさんついている)スクーターに乗っていたモッズ文化は忘れ去られてゆくのでしょうか?



ランブレッタ

おお!黄色のランブレッタだ




ベスパとともにモッズ文化をささえた名車ランブレッタであります。こういうちょっとレトロなデザインだと渋いカラーリングが似合うのですが私のパーソナルカラーである黄色をストレートに出されるとさすがに文句は言えません。ソリッドな明るい色も素敵ですなあ。まずいよ、こういう魅力的なスクーターを続けて見てると私の中の謎スイッチが押されてしまいそうです。スクーターもいいなあ、と冗談抜きに思います。私はそれほどモッズ文化への憧れはなかったけれども、ファッショナブルな今の若者にスクーターは以外と刺さるんじゃなかろうか?などと思ったりしました。



トネのブース

こちらは工具メーカー、TONE(トネ)のブース




モーターサイクルショーはオートバイ製造メーカーだけでなくヘルメットやウェアなどのメーカー、パーツメーカーやタイヤメーカー等のブースもたくさんあります。まさか総合工具メーカーのTONEが出展しているとは!ということでけっこうな人だかりでした。私も大好きですからね、トネの工具。金曜日は工具がよりどりみどりで大変な賑わいでしたよ。



カブトのブース

カブトのブースで新ヘルメットをチェック




ヘルメットメーカーではOGKカブトがデュアルパーパスモデル"Geosys(ジオシス)"を発売予定ということで見てきました。カブトはオフロード用フルフェイスがラインナップに無いのが弱点でしたが、いよいよ満を持して発表されたという大ニュースです。ここ数年アドベンチャー系バイクが流行していますからタイミング的には「遅すぎた」感もありますがかぶってみると快適で素晴らしい仕上がりでした。グラフィックモデルを出しておくれ!

かくして、私の「モーターサイクルショー2023」にいってきた長文の報告は終わるのであります。感想としては「どれもこれも車体がデカすぎる!」というのが私の印象です。オートバイの肥大化・巨体化が止まりません。かつて私のYZF-R15が「たかだか排気量150ccのクセにサイズだけは一人前」とハリボテバイク呼ばわりされてさんざんバカにされましたが、あれから10年経って今はどうでしょう!どのオートバイもみんなよく言えばボリューム感あふれる存在感、あるいはグラマラスで迫力ある外観を身にまとい、いざ跨ってみると思いのほかシート幅があったりして小柄な人では足が地面に届くか届かないかで切実な問題発生!という感じです。

私は166cmの「巨体モモンガ」なのでホンダCRF250Lみたいな車種でも無問題ですが、普通の女の子は身長153cmとかですよ。そのうえ体重も軽い子だとサスペンションも沈まないですから、足がつかないバイクが続出するレベルです。私の好きな「スリムなオートバイ」「ちっちゃいオートバイ」は一台もありませんでした。モータージャーナリストと名乗る人は大勢いるけれども昨今の「オートバイの肥大化問題」をとりあげてる人は見たことがありません。もっとちっちゃいバイク、スリムなバイクは出せないもんでしょうか?

四輪車が海外市場向けにサイズを拡大したりとか、年々厳しくなる安全基準に対応するために巨大化・肥大化してゆくのはまあ理解できます。でも自動二輪にはそんな必要もない。小柄で非力な人でも安心して扱えるスリムで軽量な車種、というニーズはあると思うよ。

あとは相変わらずセキュリティ(というか盗難対策)が全くもって蔑ろにされているのが辛い。「イモビライザーを標準装備」とか「所有者が運転免許証を挿入しないとエンジン始動できない」とか「車両に何かイタズラされるとセンサーが察知し持ち主のスマホに即時に通知がゆく」とか、そういう工夫は何一つ出てこないですね。これもメーカーの怠慢だと思う。オートバイの窃盗事件は後を絶たず、盗難にあった人は「泣き寝入り」を強いられる時代が何年続くのか?「手間をかけてバイクの本体を盗んでも、労力の割に合わない(闇市場で儲からない)」という機構を備えて欲しいものであります。

あとは数枚画像を貼って終わりましょ。かわいい女の子好きな私は各社ブースを華やかに彩るおねーちゃんを楽しみに行った訳ですが、マスク姿だと「機動戦士ガンダム」のキシリア様状態で惜しいなと思う。私は新型コロナが憎い。



マスクのおねえさん

あのバイクをキシリア様に届けてくれよ!




マスクを着用するかしないかは企業さんごとの判断に基づいておりました。ちなみに私はマスク着用で行きましたよ。人混みに行くときは、まだ油断しちゃいけないよ。



マスク無しのおねえさん

やっぱり会場の華はおねえちゃんよ




やれジェンダーがどうだとかポリティカル・コレクトネスへの配慮がどうだとかルッキズムがなんだとか、色々とうるさい世の中になってしまったけれども、私は「イベントの華はかわいい女の子です」と断固たる姿勢を貫きたいと思います。可愛い子が何の努力もせずに展示会のブースに立てていると思ったら大間違いだぞ!人知れず努力を重ねて選ばれたかわいい女の子を眺めて喜ばしい気持ちになって何が悪いんだよ。いわゆる「ミス・コンテスト」(独身女性の美を競うイベント)にケチがついて廃止に追い込まれたりする現代は本当に狂ってると思うわ。ついでだからもう一枚、美人画を貼っておきましょうかね。



首都高パトロール

美人画って・・・お前かよ!




何年たっても山手トンネル(首都高)パトロールの黄色のCB400SB(通称:黄バイ)はかっこいいな、と思ってつい跨らせてもらってしまうのであります。五反田マンとしては「大井基地」の話をいろいろと伺えたのが嬉しかったです。あのーすみません、バイクの洗車を担当するパート職員とか募集してないですか?(←何その意味不明な野望)


首都高パトロール バイク隊の役割(公式)
https://www.shutopato.co.jp/business/motorcycle/


というわけで今回の戦利品は少なめ。要らないカタログとかパンフレットとかもらっても最終的にはゴミ箱に行きますからね。これはもらわなくてもいいかな、というものはあえて受け取りませんでした。喜んで受け取ったのはコミネとラフ&ロードのカタログ、あとはステッカーとかレンタルバイクのパンフレット。一番うれしかったのは首都高パトロールのブースでもらった首都高マップと黄バイのおもちゃですかね。さっきまでマップ眺めてたけど首都高はやっぱ私には無理だわ。金を積まれても走りたくはない。



戦利品

首都高ドライブMAPは見てるだけで恐怖しかない




以上、長くなりましたが「東京モーターサイクルショー2023」に行ってきた報告ということで今回のモモ通を終えたいと思います。まあ通常なら3部構成ぐらいで書いたネタでしょうけど、早い人は会場レポートを当日のうちにYouTube動画にアップしたりしてる時代ですから、今さらもったいつけて3回に分けて書くほどのネタでもないわ。読んでくださった皆様に感謝です。

ほなまた!











#24
2023年4月7日(金)
「春のおしゃれを足元から」


この春の嬉しいニュースのひとつといえば、欧州が強力に推し進めてきたEVシフト(ガソリンなどの化石燃料を使用する内燃機関の自動車から電気自動車への転換)が見事に空中分解して事実上「失敗」したことであります。かつて「クリーンディーゼルこそが最良である」と謳って日本車つぶしを図ろうともくろんだものの、フォルクスワーゲンをはじめとする各社の「不正」が明らかになり作戦は自爆。そんな欧州が手のひらを返してこんどは「EVシフトだ!」と路線変更したのは皆様ご存知の通りであります。

内燃機関の技術のみならずハイブリッド車の開発においてもトヨタを筆頭とする日本車勢には太刀打ちできないと見るや「環境負荷が少ないEVこそが正義」などと言い放ち、阿呆のような厳しい排ガス規制をルール化したのであります。自分たちに勝ち目が無いとわかるとルールを都合のいいように変更するのが欧州の連中のやり方です。これは今にはじまったことではありません。冬のスポーツ、ノルディック複合なんかで日本人選手が勝ちまくっていたらサクッとルールを変更して日本人が不利になるようにしましたからね。連中はアジア人を見下してるから日本人に負けるのはプライドが許さないのだ。

で、EUの連中が「2035年にガソリン車(ハイブリッド車ふくむ)の新車販売を全面禁止する!(これで日本も終わりだウヒヒヒヒ)」と息巻いてEVシフトを推進してきたのですが、ここにきてブンデスレプブリーク・ドイッチュラント(←普通に「ドイツ」って書けよ)とレプブリカ・イタリアーナ(←普通に「イタリア」って書けよ)が反旗を翻して「やっぱ内燃機関を続けるずら」と言い始めて内部分裂。結局、ガソリン車を禁止して日本車つぶしをしようという作戦はまたまた頓挫したのであります。プッ。ダサすぎてコアラも樹から落ちるわ。

だからもう欧州の連中の言う事なんかテキトーに聞き流して日本は「大東亜共栄圏」の近隣諸外国と仲良くやってればいいのよ。いやむしろ「日独伊三国内燃機関同盟」でもつくって、共同でe-fuel(合成燃料)の研究開発をして他国を出し抜いて、世界の覇権を取るってのもアリですね。

と、どうでもいいことを話してきましたが前置きは以上です。今日のテーマは「靴の話」です。おいおい、これまでの話は何の関係もないじゃないかよ。

さて4月に突入して一週間。さすがにこの時期になると冬用のブーツは「お片付け」して、春夏モードの靴を出すことになります。さすがにまだサンダル出動、という季節ではありませんが軽快な足元で颯爽と歩きたいところです。

とはいえ宇宙無職は「徒歩での行動」が圧倒的に多いので一番活躍するのはスニーカーなどの運動靴だったりします。私は腰だの股関節だのが悪いこともあり、ハイヒールを履いたりすることはありません。若い時にキメ狂ってミニスカ&ハイヒールとかやりまくったから、もういいやって感じです。

私は初対面の人から「バレーボールやってた人」と第一印象で思い込まれるレベルの巨人なので、ジーンズを買う際はすそ上げもしたことがない(必要が無い)というね。背が小っちゃくてかわいい友達が「ブーツカットのジーンズを買ってもすそ上げするとブーツカットじゃなくなる」って言っていたけど、客観的に見れば小っちゃくて華奢な子のほうが問答無用で可愛いのよ。

そんな次第ですからハイヒールを履いてたときは冗談抜きに「お台場ガンダム」状態でしたよ。自分で言うのもナンですが街を歩いていて自分と目線の高さが同じぐらいの女の子が向こうから歩いてくると「随分デカい女だなあ」って思うもん。「上から目線」っていう言葉があるけど、私も超厚底のロンドンブーツを履いていたときは世の中のすべてを見下ろしてる心地がしたわ。

さて、秋冬モードの靴やらブーツやらを片付けたのはいいけれど春っぽい靴がない。そういえば去年、履き古したスニーカーを一足処分した記憶がある。うむ、新しい靴が一足欲しいなあ。

などと思いながらも、ニューバランスの靴なんかはけっこうな値段がするので、おいそれと気軽にサクッと購入!という訳にはいかないのだ。



ニューバランスの靴

こんな感じなら派手過ぎず地味過ぎず、いいじゃん




そんなことをウダウダ思っているさなか、全く別件で壁にとりつけるフックが欲しくて近所のホームセンターに行ってきました。取り付け場所の寸法を計ってメモして、ちょうどいいのがあるといいな的な気分で出かけた訳ですよ。すると作業靴コーナーで商品の入れ替え時期だったのか、旧タイプ(?)だかの「現品限り」コーナーで超絶値引きされている作業靴を見つけました。

もはや「並べてある状態」ですらなく、デカい箱の中に左右バラバラ状態で適当に数足の靴が放り込まれているのであります。ヤケクソ感ただようスゴいワイルドな売り方だな、と思いつつ中を覗くとパッと見がスニーカー風にみえなくもない作業靴がいくつかありました。いい感じに派手なので良いなあ、と思ってひとつ手に取ってみたら偶然私でもイケそうなサイズです。

右側か。とりあえず履いてみたところ悪くない感じです。え、これ2,980円っすか?ということで私はその箱の前に陣取って両手を突っ込みガサゴソとあさりながら同じサイズの左側を探しました。あった!さっそく両足履いてみて、売り場をチョロチョロと歩いてみる。特に問題も無さそうなので買ってきちゃったよ。



作業靴

I'Z FRONTIERと書いてある作業靴




スニーカーのような見た目ですが金属の先芯が入っているのでつま先はガッチガチです。ジムニーに踏まれてもケガしないでしょう。でも歩くときはその硬さはほとんど気にならないです。ちょっと重いかな?ぐらいの印象で普通に歩けます。



横から見た所

ガンダムの足ですかね




本体はホワイトで紐と足首まわりがターコイズ、靴底の側面がブルーでかかとにはピンクのワンポイント、そして中敷きはイエローという、なかなかチャレンジングな色づかいをしています。



ななめ後ろ上から

ずいぶんカラフルじゃないですか




甲の部分はベルクロでとめるようになっています。紐をはさみこんで留めればオートバイの運転もいける・・・かな?足の操作がいらないスクーターなら余裕です。



ベルクロで留める

いっぱい文字が書いてあるのが絶妙にダサくていい感じ




値段と派手な見た目につられて発作的に買ってきた作業靴ですが実際に履いて使用したところ、割といい感じです。インチキくさい安物かと思ってあまり期待していなかったのは見事に裏切られました。ちゃんとした靴でした。これは思いがけずヒットだったかもしれません。今シーズンはこの作業靴で明るい気分で過ごせそうであります。春のオシャレといいつつオチは作業靴ですから色気もへったくれもない話ですが、個人的には満足であります。



派手な作業靴

今年は「派手な作業靴おばさん」路線でいくよ!




それにつけてもホームセンターは侮れませんな。工具とかネジとか接着剤とかは普通に買っていたけれども、まさか靴を買う日が来るとは思わなかったですよ。「実用の靴」っていう意味では作業靴は狙い目かもしれません。しかもこんなポップなデザインの作業靴があるとは知りませんでした。いやはや、よかった。足元もカラフルに明るい気分で過ごしたいものです。











#25
2023年4月11日(火)
「2スト船外機&混合給油の思い出」


二十世紀の初頭にフランスの作家マルセル・プルーストが書いた長編小説『失われた時を求めて』は、私自身は一行も読んではいないのですが、物語の冒頭部分が有名でしばしば取り上げられて話題になっているので、まあタイトルと作者名ぐらいは知っているのであります。Wikipediaによれば、その冒頭部分につてこのように書かれていました。


物語は、ある日語り手が一さじ掬った紅茶に混ざった一片のプチット・マドレーヌを口にしたのをきっかけに、その味覚から幼少期に家族そろって夏の休暇を過ごした田舎町コンブレーの全体の記憶が鮮やかに蘇ってくる、という「無意志的記憶」の感覚を契機に展開していく。

Wikipedia 『失われた時を求めて』の解説文より引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/失われた時を求めて


この、「味」や「香り」などで過去の記憶が鮮明によみがえる、というのがすごく「納得」できるというか、共感を覚えるのであります。皆様もそういう経験はきっとおありだろうと思います。それを文章にして小説の書き出しに使ったという意味でプルーストっていう人はかなりの感性の持ち主だろうな、と「読んではいないけど妙に納得」してしまうのであった。

私は先日工具箱を片付けておりまして、なつかしのグッズをいろいろと発掘したのであります。たびたび話題にしていますが私はヤング時代は自転車にのめりこんでいたので、部品やら工具やらで大変な荷物をかかえておりました。クラシック自転車のパーツ類はあらかた処分したものの当時つかっていた工具類はまだ手元に残っておりました。津々浦々を旅した時に携行していたアレコレが出てきて非常に懐かしい気持ちになりました。



自転車用携帯工具

タイヤレバーとチェーン切り




ほかにもボトムブラケット(ペダルがついてるクランクの付け根、自転車の一番底の軸の部分)を分解する工具とか出てきちゃって頭を抱えておりました。もう使わないよぉ。金属ゴミの日にしれっと出してしまおうと思いますが回収してもらえるんでしょうか。

ちなみに青いのがタイヤレバーでして、樹脂製なのですがものすごく丈夫で使いやすいUSA製。私は旅の途中でパンクしたことはあまりなかったです。逆にそのせいで修理した時の記憶が鮮明に思い出されます。小雨降る愛知県蒲郡。名も知らない峠越えの最中に前輪のパンクに見舞われ、なんでこんなタイミングでこういう事になるかなぁと悪態をつきながら道端の大木の下で雨宿りしながらスペアのチューブに交換。なんとかその場をしのぎ、夕刻に駅前の古めかしい商人宿に到着。案内されたのは薄暗い電灯の6畳部屋で、パンクしたチューブにパッチを貼る修理作業をしたのであった。実に、しみじみとわびしい夜であったなあ。



タイヤレバー

ホイールリムからタイヤを外すのに使います




銀色の工具はチェーン切りです。私の時代は「チェーン切り」って呼んでたけど今はみんな「チェーンカッター」って呼んでますね。まあ意味は一緒ですけど。私の時代には「ロードレーサー」って呼んでいた競技用自転車が今は「ロードバイク」に代わってますから、そういう些細なところで年がバレるんでしょうな。



チェーン切り

ツーリング中にチェーンのトラブルは無かった




いずれもサイズが違い過ぎてオートバイの整備には使えないようです。どなたか必要な人、いらっしゃいます?もう使わないんで差し上げます、といいたいところですが最新の優れた工具が普通に安く買えますから、何もこんな古い工具を使おうなんて人はいないであろう。ゴミ箱行きですかね。

さて、前回のモモ通ではホームセンターで作業靴を買った話を書きましたが、お店をひとまわりしていて素晴らしく懐かしいものを見つけてしまいプルーストの『失われた時を求めて』状態になったのです。ガソリンとオイルを混ぜて混合燃料をつくるための便利タンクであります。



混合計量タンク

なつかしの便利グッズ発見!!




これは何かというとガソリンと2ストエンジン用オイルを特定の割合で混ぜ合わせるのに使う容器であります。青いキャップが二つありますよね・この、左の大きい方の器にガソリンを入れ、右側の小さいタンクの方に(必要量の)オイルを入れて、いざこの容器を傾けて燃料タンクに注ぎ込むとあら不思議!ちょうどいい塩梅に両方の液体がタンクに入り、必要な比率の混合燃料がつくれますよ、という発明品であります。

私は今も小型船舶操縦士免許を所持して「宇宙艦長」の肩書を持つ身ですが、そのルーツは学生時代の一時期にマリンスポーツに熱をあげていた過去にまで遡ります。私はウエスタン東京(多摩地区ともいう)の山岳地帯で育った「自転車野人」だったこともありマリンスポーツに大変な憧れがあったのよ。横浜のいとこの兄ちゃんはサーフィンをやっていたし、モモンガ兄もサーファーだし、私もいつまでも山の中で自転車こいでないで海に出たいなと思ったのですよ。で、ナニを血迷ったのか帆を張って進むフネの部活に入部したのであります。セイラ―を目指したのですよ。

むろん私は選手になって競技に出たかったわけですが、入部早々主将から「おい、おまえら1年の中から誰かひとり救助艇の担当者を選べ」という命令がくだったのです。競技中の船にトラブルがあった場合に、モーターボートで救援活動に向かう役割です。その主将の発言の直後に


同級生がいっせいに私の方を見た


という、謎の事件が起こって全会一致、言わば強制的に私が「救助艇担当者」に指名されたのであります。あれは絶対に何か根回し的な裏準備があったんだと思う。あいつにやらせようZE、みたいな事前工作があったに違いない。

私はただちに小型船舶操縦士の免許を取りに行かされたのであります。てっきり講習費用とか免許取得費用とか部が多少は補助・支援してくれるのかと思ったら全部自己負担でマジ泣いたわ。

免許取得後は先輩から引継ぎを受けたのだが、これがヒドかった。あまりにも強烈だったので昨日のことのように覚えています。

「ガソリンとオイルは50対1。スタンドに行ってそう伝えればやってもらえるよ」
「エンジンなんてオイルさえきちんとやってりゃ壊れねえから大丈夫」
「海で保安庁(海上保安庁)が来たら、逃げろ」

以上!ですよ(マジ)。50対1って何が何なの?そんな一言で通じるスタンドがあるの?っていうか保安庁見たら逃げろって何??みたいな。

部は救助活動用にボートを所有しています。いわゆる「テンダー」すなわちテンダーボートです。桟橋のない砂浜からでも進水・上陸できるのが特長です。これに船外機と呼ばれる、発動機とペラ(スクリュー)、そしてかじ取り装置とスロットルレバーが一体になったものを船尾に固定して運用します。



船外機

画像は4ストエンジンの船外機です




操縦者が船のいちばん後ろに搭乗してこの船外機を操る姿はなんとなくイメージできるかと思います。私の頃は小型軽量かつ大出力の2スト船外機が広く使われていました。だからガソリンにオイルを一定割合で混ぜる(混合燃料)が必要だったのです。ちなみにオイルまみれの排気ガスは水中に放出する機構だった。環境問題が騒がれる現代では考えられない構造です。

オートバイだとよほど特殊なモノでない限り「分離給油」というのが一般化していて、オイル専用タンクに2サイクルエンジンオイルを継ぎ足せば機械が勝手にガソリンと混ぜてくれる機構が装備されていました。私が乗っていたホンダDioというスクーターも分離給油。だから私は船外機で「混合給油初体験しちゃった」という次第。

さて、いくら2ストの船外機が小型軽量といってもすさまじい重量があるわけです。これを、地上では車輪のついたスタンドに装着して運搬・保管するのであります。スタンドから外して船につけるのもひと苦労だし、疲れた身体で船から外してまたスタンドに固定するのも大変な作業であります。そして、海から離れたところにある(歩いて12、3分ぐらいの所にある「艇庫」すなわち船を保管する場所まで運ぶのよ。



船外機スタンド

こんなので船外機を運ぶのよ




朝、みんなが出港の準備しているのを横目で見ながら、私はひとり艇庫からこの車輪付きの船外機スタンドをえっちらおっちら押して海まで運ぶのであります。手伝ってくれる人なんて誰もいない。古くてぼろいスタンドだから車輪の軸が歪んでてまっすぐ押すのもひと苦労なのよ。キーコキーコ音をたてながら押し歩くという孤独な作業です。

もうひとつ、大荷物としてあるのがガソリン携行缶です。船外機と燃料タンクは別体なので、別途タンクを用意してそれを船に運び込み、チューブで船外機と連結して混合燃料を供給するのです。船外機とガソリン携行缶を一緒に運搬することは不可能ですから、船外機を運んだあとはふたたび艇庫に戻ってこんどは台車にのせた携行缶を押し歩くのです。そして海沿いのガソリンスタンドに寄り、ひきつぎで教わったように

「ガソリンとオイル50:1で満タンおねがいします」

と言って給油してもらうのだ。さすが、マリーナがあるようなエリアのスタンドのおじさんは心得たもので、私にとってはトンチンカンな呪文でしたがこちらが申告した通りにガソリンとオイルを混ぜて入れてくれるのです。その時にスタンドのおじさんに教えてもらったのが、上に掲載した写真の「混合計量タンク」です。ガソリン50対オイル1の比率、というのは単純に言うと「ガソリン1リットルに対してオイルを20cc入れればよい」という事ですから、こういう道具があるのだと教えてくれました。まあスタンドのおじさんは給油量を見てからチャチャっと必要なオイルを入れて、あとはタンクを適度にタッポンタッポンとゆすって終了。手際のよさが見事でしたな。



燃料タンク

ガソリンはこんな感じのタンクに入れてもらって台車にのせて移動していた




船外機のエンジン始動はグリップのついたヒモがリール状に巻き取られているのを強く素早く引っ張ってクランクをまわすという作法です。オートバイがレバーを足で踏み下ろしてエンジン始動する、あの動作を「手でやる」という事です。これがまたシンドいのよ。グリップのついたヒモを勢いよく、力強く一気に引ききらないとエンジンはかかりません。これまた当然ですが、誰も手伝ってはくれない(涙)。

風が強い日とか、同級生(新入部員)の船が流されちゃったりするわけですよ。あとはごく稀にですが船の装備が壊れて航行不能に陥ったりすることもある。そうすると私の出番で、テンダーを操って助けに行くというのが任務であります。現場に急行する正義のヒーローみたいでかっこいいじゃん!というのは幻想で、行けば行ったで現場では怒号をあびせられながら救援業務をやらされ、終わったら「さっさとどけ!!練習の邪魔だ」と言われるのです。万一私の操るテンダーが競技用の船にコツンとぶつかったりしようものなら烈火のごとく怒られるという、なんとも報われない重労働であった。

夕方、一日の練習がおわって最後は全員、円になって反省会ですよ。これがまたキツかった。

「救助艇の準備が遅い、もっと早く出航しろ」
「競技艇にテンダーぶつけるの何度目だよ、ふざけるな」
「申し訳ありませんって謝るだけじゃなくて次からどうするのか解決方法を具体的に言え」

とか集中砲火をあびてズタボロ状態。何をやっても叱られ、メッタメタに叩かれて、いつも帰りの逗子駅でひとりで泣いていたわ。夏合宿はこれが毎日続くマジモンの地獄だった。今だから笑って思い出にしているけれども、当時は

「自分は誇り高き帝国海軍の血筋である」
「海上自衛隊横須賀教育隊で受けたシゴキを思えばどうということはない」

と自分に言い聞かせて歯を食いしばって耐えていたわ。ま、今と違ってヤングな頃の私は圧倒的に忍耐が足りなかったので最後は「ある時ついに堪忍袋の緒が切れて先輩に反論すると同時に(以下略)」という流れでブチキレてしまい、やらかした系の懲罰処分で退部するという結末でした。当時は私もついカッとなるとブレーキがきかないという莫迦丸出しの最悪な阿呆でしたから、まあ未熟だったということで許していただきたい。

その後私も働くようになって、フタをあけてみたら学生時代のつらい経験などまだヌルかった、というレベルで辛酸をなめつつ地獄の経験を積み、最終的には身も心もボロボロの廃人になって最後は精神病院送りになって現在に至る、ということですよ。個人的には「日本社会や日本人のメンタリティってこういう所、あるよね」的なネタで文句のひとつも並べたいところですが、そのような行為はあまり建設的ではないから今日はやめておきます。ただ、ひとりの「人生の負け犬」としてたったひと言だけ言わせてもらうと


「相手がどんなに温厚な人間だからといって、調子に乗ってあまり追い詰めるのは良くない」


という事は皆様に伝えたいのであります。どんなに忍耐強い人だって、限界まで追い詰められたら決死の覚悟で反撃する可能性はあるのだということを、誰もが肝に銘じる必要はあると思うのです。集団心理で図に乗って弱い者いじめをするのは、絶対にやってはならないと思うよ。

何やら話が訳わからない展開になってきたのでそろそろマトメに入ろうと思います。ホームセンターで見かけた「混合計量タンク」のせいで懐かしの記憶が蘇ったというのが今日の話でありました。

正直、もう船を操縦する機会は今後ゼロだと思うので小型船舶操縦士免許の更新もどうしようかと思うのですが、とりあえず現在手元にある免許が令和7年(西暦2025年)5月まで有効なので、当面は現状維持でいいやと思っています。余談ですけど小型船舶操縦士免許は本籍地がちゃんと記載されているので身分証明書としては運転免許証よりも情報量的にも上だと思うのですが、携帯電話の回線契約するのに使えなかったキャリアもあったな。たいていの窓口で「身分証明書を出してください」って言われたときに船舶免許をスッと出すと担当者が一瞬かたまってから「えーと他に運転免許とかないですか?」とか言い出すんだよ。国土交通大臣の名で発行されてるのに何が問題なんだ!!と言いたい。

マイナンバーカードなんて要らないから船舶免許にマイナンバーを埋め込んでくれよ(←出たよ屁理屈)。

以上!!











#26
2023年4月15日(土)
「船酔い&車酔い(デリカ酔いと日産e-POWER酔い)の話」


私は子供の頃から船が大好きで車の運転免許よりも先に小型船舶操縦免許を取得した「我は海の子」であります。

しかし恥を忍んで告白しちゃうけど実は「船酔いをする」という、船乗りとしては致命的な弱点を抱えております。自分でボートを操縦しているときは大丈夫なのですが、それ以外シチュエーションではまるっきりダメなのです。波に揺られているとたちまちゲーゲー。

前回のモモ通で「救助艇担当」だった話をしましたが、実際に救助活動しているときはいいのよ。問題は何もトラブルがなくて私がイカリをおろして海上で待機している時間であります。競技中のフネを遠くから双眼鏡で眺めて「緊急事態」に備えるわけですよ。波がタッポンタッポンして揺れている船の上で双眼鏡なんて覗いてみてごらんよ。秒で酔います。相模湾にゲーゲー。

サイズのデカい船なら大丈夫か?というとそうでもないような気がする。学生時代に八丈島に行ったことがありましたが、竹芝桟橋を出て1時間後にはゲーゲーやっていた思い出があります。今だからこれも告白しちゃうけど横須賀時代に護衛艦に搭乗したときも任務そっちのけでゲーゲー。

船酔いの不思議なところは、船をおりて陸に上がった途端にさっきまでの体調不良状態がウソのように忽然と消失するのであります。あれは一体なんなのでしょうか。

なお、いつの日かオートバイを買い直して自由の翼を取り戻したあかつきには、神奈川県横須賀市の久里浜から千葉県富津市の金谷まで「東京湾フェリー」に乗って房総半島に渡り、「マザー牧場」でルンルン気分を味わったのち、南房総の海岸線を気分よく駆け抜けるツーリングに行こうと企てていますが、東京湾を横断する所要40分の航海に私の「ゲロッパ体質」が果たしてタエられるのか不安でなりません。

車は酔わないです。大丈夫!と言いたいところですが、そのむかし日本中に空前のスキーブームが吹き荒れていた頃、先輩の運転する三菱デリカ・スターワゴン4WDに乗せてもらってみんなでスキー場に向かったわけですが、あの車は酔いましたな。ワインディングを走ると妙にロールが激しいのよね。悪路走破性を高めるためにサスペンションのストロークが長い、すなわち浮き沈みが激しいうえにかなり柔らかいセッティングなので、なんともいえないユラユラで気分が悪くなったものでした。

今のデリカD:5はどうなんでしょうか。と思ってネットで調べたら「デリカ酔い」っていう言葉が存在している事を知りました。スターワゴンの時代と比べたらだいぶ改善されているらしいけど最新のデリカD:5オーナーの間でも「酔う」「酔わない」が話題にのぼっている様子であります。

で、今日いちばんメインで語りたいのは「技術の日産」が展開している電気モーター駆動の自動車"e-POWER"(イーパワー)についてであります。

すでに皆様ご存知のように私自身は「二酸化炭素の排出量削減のためにEV化を推進」という現代の潮流に批判的というか真逆の立場に陣取る生き物であります。


・二酸化炭素がなくなったら植物が困る
・1000年後、2000年後の未来に向けて「再生可能エネルギー」の研究開発をすすめるのは賛成だけど5年後、10年後の短期的なスパンで考えたら現時点では火力発電が一番効率がよく安全で無駄がない
・廃バッテリーの処理やリサイクルの手間とその過程で環境汚染する点を考えたら充電池を大量生産しまくるのはむしろ悪でしかない


というのが私の主張であります。小学校で植物の光合成って習ったじゃないですか。光合成に必要な要素は光、水、栄養(窒素やリン酸など)そして二酸化炭素です。きわめて雑な言い方ですが植物は二酸化炭素を吸収して酸素を外に出しながらデンプンなどの栄養をつくりだす、実に偉い奴なのですよ。

そもそも電気エネルギーは貯めておけないのだ。こう言うと「お前は電池を使ったことが無いのかよバーカ」とか言い出す奴が必ず現れるのですが、電池は電気エネルギーそのものを「そのままの状態で」貯めているわけじゃない。電気エネルギーを化学反応に変換しているだけで、言っちゃ悪いけど壮大なる無駄です。

電気は必要な時に必要な分だけ発電機を回すのが一番良いのです。たとえば夏の真っ昼間、暑い時間帯はみんながエアコンを使いますから、電力需要が一気に増えます。そうしたらその需要に応じて発電量を増やす。夜になったら電気の消費量がガクッと下がります。そうしたら発電量をおとして必要なぶんだけ電気を作れば良い。このように需要の増減にリアルタイムでこたえるカタチで自由自在にコントロールできる発電施設は、とりあえず2023年現在の時点においては「火力発電」以外にない。火を焚いてタービンをまわす。必要な時は火力を強める。不要な時は火力を弱める。このように「人類が自由自在に扱えるのは火しかない」という事実を認めないと、話が進まないのよ。

「再生可能エネルギー」の例、太陽光発電や風力発電はお天気次第。需要の変動にあわせて発電をコントロールなんて夢物語です。

水力発電だってホンの30年前ぐらいまでは「ダム建設反対!」とか言っている人が大勢いたぐらい問題が多い。ダム建設は生態系への影響がデカいし、何年も使ってると土砂が堆積してくるし、一度つくればそれで完璧ってワケじゃない。

原子力発電は放射性廃棄物の処理をどうするか?という根本的な問題を先送りにしているキケンな代物です。皆様はフィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」ってご存知?地震の危険性がきわめて少ないとされる安定した地盤の地下深くに迷路のようにトンネルを掘り、使用済み核燃料棒を銅製のカプセルに封印した上でこのトンネルに運び込む。そして粘土で覆ってトンネルを埋める。原子力発電所を稼働する限り、いずれは放射性廃棄物でトンネルは満タンになってしまうであろう。その後はどうするのか?実に恐ろしい事をしていると個人的には思う。

…などという話をしているといつまでたっても本題に入らないので、そろそろ日産e-POWERの話をしましょう。

私自身はハイブリッド車とか電気自動車とかほとんど興味が無かったので、日産e-POWERの名前ぐらいは聞いたことがあるものの、いかなる仕組みのものなのか全く知りませんでした。


日産e-POWERの解説(日産自動車の公式サイト内)
https://www2.nissan.co.jp/BRAND/EPOWER/



日産e-POWER

日産自動車公式サイトより画像引用




・搭載するガソリンエンジンは発電のため「だけ」に使われる
・車を駆動するのは電気モーター
・つまり「ガソリンで発電して電気モーターで走るシステム」が日産e-POWER

え?それってけっこう凄くないですか?その発想で行くと「発電能力に特化したエンジンをひとつ設計すればヨイ」ということですよね。最も効率の良いガソリンエンジン式発電機を完成させれば勝ったも同然じゃないですか。エンジンの回転数を無駄に変化させる必要もなくなる。キーをオンにしたら、ただちに「もっとも発電効率のいい回転数でひたすら地味に働くエンジン」があって、そこから常に潤沢な電力が供給されてあとはスロットル操作でモーターの回転数を自由自在に操れば思い通りに車が走る、ということでしょ?もしそれが本当に実現しているなら日産が自称している「技術の日産」というキャッチコピーはホラでも嘘でもない。

なにをかくそう私自身は幼少期から日産自動車の大ファンで、車はもちろんのことJリーグ発足前からサッカーは日産自動車サッカー部を応援していたのだ。モモンガ母と一緒に試合を見に行ったものです。木村和司選手の伝説のフリーキックとか水沼貴史選手のドリブルとかの黄金時代ですよ。私は車の運転免許取得後はサクッと三菱自動車党に鞍替えするという前代未聞の裏切り行為に及ぶのですが、それまでは「シルビア」と「ガゼール」の区別がつくぐらいの熱烈日産党でした。

海外進出で事業拡大作戦を展開したもののことごとく「爆死」してみるみる業績が悪化、フランス野郎がトップに就任したあたりで完全に私の心が日産から離れました。カルロス・ゴーンが楽器ケースに潜んで国外逃亡したニュースは笑って見ていたわ。グロリアもローレルもブルーバードもサニーもパルサーもなくなった日産なんて正直どうでもいいと思ってました。今の日産車なんて名前すら知らない。

で、話をe-POWERに戻しますが、たとえば「セレナ」に搭載されているエンジンの諸元を見てみましょう。

発電用エンジン型式:HR14DDe
種類・シリンダー数:DOHC水冷直列3気筒
シリンダー内径×行程:78.0×100.0mm
総排気量:1.433L
圧縮比:13.0
最高出力:72kW(98PS)/5600rpm
最大トルク:123N・m(12.5kgf・m)/5600rpm

3気筒というのは構造的に利点が多いと聞きますから、けっこういい線いってそうな予感がします。このエンジンが最大効率の回転数を保って充分に発電するのであればe-POWERは「画期的なシステム」ではないかと思う。

つぎに「ノート」という車のエンジンをチェックしてみたら、別のエンジンであった。え?何それ。「効率よい発電」という同じ目的のためにいくつも違う型のエンジンをつくってるの?一種類のエンジンを使いまわす、という訳じゃないのか。

発電用エンジン型式:HR12DE
種類・シリンダー数:DOHC水冷直列3気筒
シリンダー内径×行程:78.0×83.6mm
総排気量:1.198L
圧縮比:12.0
最高出力:60kW(82PS)/6000rpm
最大トルク:103N・m(10.5kgf・m)/4800rpm

これも3気筒で発電に特化しているエンジン。排気量が違う。わざわざ発電用エンジンの種類を増やすのはちょっと馬鹿馬鹿しいな。ちなみに、最高出力や最大トルクの回転数を見ても「で、結局一番発電効率がいいのは何回転なの?」と聞きたくなる。

でも日産e-POWERの車が「爆発的に売れている」という話を聞いたこともない。正直なところ、どういう評価なのだろうか。気になってネットで調べたり、YouTubeでインプレ動画を見たりしたのです。すると、私が想像したのとは違った。というか、私が想像するような出来の良いものではないらしいことがわかった。

ご興味のある方は、ネットで「e-POWER」「酔う」などの単語で検索していただきたい。

特にYouTubeの走行動画を見ていて顕著に感じたのですが、ちょっとしたアクセル操作でエンジンが始動したり切れたり、挙動がギクシャクしているのです。端的に言えば発電機として機能するべきエンジンの「制御プログラムがお粗末」という感じであります。発電機エンジンと駆動用モーターの間に充電池を介しており、その残量によって発電量を繊細にコントロールしようと目論んだのであろうが、結果的には「運転手以外は全員酔ってゲロッパ」という、たいへん不快な乗り心地を実現しているようであります。もはや「試乗してみたい」という気さえ失せるレベル。e-POWERの挙動を見たら「デリカ酔い」なんて可愛いものだと思いました。

無理に細かく制御する必要はないと思うのですがどうなんでしょうか。最も発電効率のよい状態でひたすらエンジンの回転を一定に保ち、充電池など間にはさまないでモーターを直接駆動したらいいと思う。ダメなのか?

というよりも、どうせガソリンを燃料にするならわざわざ発電目的で積むのではなく普通に車格に見合ったサイズ&性能のエンジンを選定して従来通りのガソリン車をつくるほうがずっと良いではないか。身もふたもない言い方になっちゃうけど、実際そういう事ですよね。

e-POWERは「一見、グッドアイデアっぽく感じたけど実は壮大な無駄ではないか」というのが私の率直な感想であります。事実、海外市場では全くといっていいほど鳴かず飛ばずでサッパリ売れないという話であります。ですよねえ。私も欲しいと思わないもん。

まったく、カルロス・ゴーンの海外逃亡から何年経ってるのよ。頼むよ日産。もうちょっとしっかりしてクレよ。


カーラインナップ(日産自動車 公式)
https://www.nissan.co.jp/CARLINEUP/


日産のラインナップ


割とマジで乗りたい車がひとつも無かった




トヨタのハイエースだと窃盗団に狙われるから、あえて日産のキャラバンを選ぶとか、そんな感じですかね。ルノー、日産、三菱の「負け組連合」は本当に絶望的な感じがして泣ける。



Y61サファリ

かつて日産は輝いていた




本当に今の日産って過去の面影はないですね。ダットサンの栄光もプリンス自動車工業の輝きもはるか遠い記憶の中に埋もれていきそうです。悲しすぎます。私の憧れだったY61サファリを返してくれよ。応援したいけど、応援したくなる車がひとつも無いっていうのは本当にやりきれないものがあります。

もう一度、魅力的な車を世に送り出して私たちを「酔わせて」欲しい、ただひたすら、そう願っております。











#27
2023年4月19日(水)
「井上陽水には『傘』がなく、私には『ライディングブーツ』がない」


井上陽水のファーストアルバム『断絶』(1972年)を聞いたのは18歳の時であった。すさまじい衝撃でありました。高校3年の時にクラスの担任(国語教師)が「お前ら全員黙ってこれを聴け」とかいっていきなりレコードを持ってきて、ウチのクラスの全員が感受性豊かな多感な年齢のなかでモロに影響を受けてしまい、クラス中に猛烈な「井上陽水旋風」が吹き荒れたのであった。


SIDE A
1.あこがれ
2.断絶
3.もしも明日が晴れなら
4.感謝知らずの女
5.小さな手
6.人生が二度あれば

SIDE B
1.愛は君
2.ハトが泣いている
3.白い船
4.限りない欲望
5.家へお帰り
6.傘がない


こうして収録曲のタイトルを書いているだけで震える。奇跡的な完成度で強力なインパクトを秘めた恐るべきアルバムであります。アンドレ・カンドレ名義で活動していたものの水面下を深く潜行する不遇の時代を送り、井上陽水の名義で再デビューした渾身の作品であります。

常人ならこの一枚を完成させたところで燃え尽きるのでありましょうが、続くセカンドアルバム『陽水II センチメンタル』において独特の「陽水ワールド」をいっそう強めているのであります。そして1973年のオリジナルアルバム3枚目となる『氷の世界』は大ヒットとなった「心もよう」が収録されている文字通りの傑作でありまして、その後の井上陽水の快進撃(?)はますます激しさを増しながら日本の音楽シーンをリードしていったのでありました。

1996年にPUFFYという女の子ふたりのユニットがデビュー。ファーストシングル「アジアの純真」は井上陽水が作詞を手掛けているのですが、この曲の歌い出しである


北京 ベルリン ダブリン リベリア 束になって 輪になって


あたりの歌詞は、長年の井上陽水ファンなら「想定の範囲内」という感じでありました。また来たぞ、いつもの陽水節、みたいな感じで心に余裕をもって聴いていることができたのです。しかし曲が進行し


白のパンダを どれでも 全部 並べて


というくだりで、またしても井上陽水の繰り出す斬新な切れ味にハートを射抜かれたのでありました。この歌詞はただの一人も想定できなかったのではないかと思います。とにかく、井上陽水の綴る言葉には魔術的な輝きがあります。

一体何の話をしているのか?という感じになってきましたが、今日のテーマはタイトルに書いたように


井上陽水は「傘がない」と歌い
私には「ライディングブーツ」がない


というのが本題なのであります。つまり、ここまでの井上陽水に関する話は全部「前置き」だったということですな。

まあ要するに私はオートバイに乗りたいわけですよ、オートバイに乗る時に履くのが、ライディングブーツやライディングシューズであります。私は学生時代に原付スクーターで自動二輪デビューしたクチなので、そもそもオートマチックのスクーターは足で操作する動作がないので、普通にスニーカーや革靴で乗っていました。夏はビーチサンダルで乗ることもあった。それはスクーターの長所でもあり短所でもあります。

自動二輪の教習所に通ったときはハイカットのバスケットシューズを履いていきましたが、教官から「ヒモ靴はシフトペダルに絡んだりすることがあって危ないから卒業して免許取ったら最初にバイク用のブーツを買ってね」と言われました。

バイク用ブーツといっても主たる目的に応じて色々なタイプがあります。オンロード用とオフロード用で大きく違うし、サーキット等で競技をするための物とツーリング用とでは求められる性能も変わります。とにかく、自分がどんなオートバイに乗ってどんな使い方をするかがハッキリしないとブーツを選ぶのは難しい。まあ共通して言える事は

・オートバイの運転操作(正しいステップ位置に足を置き、シフトチェンジや後輪ブレーキを行う)に適した設計になっている
・万一の事故の際にケガの被害を最小限におさえるための保護性能を備えている

といったような点をしっかり押さえている点でしょうか。人間の身体はどこをケガしてもただでは済まない苦労が発生しますが、とりわけ足首というのは骨を粉砕するようなケガを負ってしまうと普通に歩けるように回復することすら非常に困難になります。間違っても、オートバイはビーチサンダルで乗っていいような甘いモノではありません。



ライディングブーツの例

スポーツ走行用のブーツ




思い起こせば私は免許を取得してしばらくはバスケットシューズでごまかしていたものの、レンタルバイクを借りたりしているうちに靴がボロボロになってしまいました。ヤマハTDR80を買った時点でただちにブーツを買おうと決意を固めて今は無き「ナップス世田谷店」というバイク用品店に出かけたのであります。

で、ヘルメットはオフロード用だしバイクもTDRだし、ということでラリー選手のようなスタイルを目指してオフロード系のブーツを買う決意がほぼ固まっていました。オフロード用にもいろいろあって、「モトクロス競技用」「トライアル競技用」「エンデューロ競技用」「ツーリング用(旅先で歩くことも考慮した造りになっている)」等、ちゃんと用途別で違いがあるわけです。

まあ売り場に着いて真っ先に目にとまったかっこいいブーツをサラリと手に取ってみたら値段が11万円を超えていてビビったのであった。こ、こんなにするのかよ…

最終的には「ガエルネ」っていうブランドの、バイクを降りて歩くのにも適したタイプのオフロード用ブーツを買ったのでした。6万円ぐらいだったかな。

その後TDRからR15っていうヤマハのオンロードスポーツ車に乗り換えた時、さすがにオフロード用ヘルメットとブーツじゃ見た目がおかしいというかトンチンカンが過ぎるということで買い直しました。いろいろ試して一番気に入ったのが「アルパインスター」っていうブランドのライディングブーツ。こちらはセールで超絶値下げされているのを6万円ぐらいで買った記憶があります。これが実に快適な装着感で、車体と身体が直結したような「一心同体」感が得られて最高に運転が楽しかったです。グローブとかブーツというのは運転操作に直結する「愛車と自分が接するパーツ」ということで極めて重要なのだという事を身をもって悟った次第ヨ。

そんな日々から歳月は流れて当時履いていたブーツなんてとっくに廃棄済であります。今はもう、ライディングブーツなんて持っていません。数年前にレンタルバイクで「クロスカブ110」っていうのを借りたけど、あれは「ペダルを踏む操作」はあっても「つま先でシフトレバーをかき上げる操作」というのは不要ですから、普通にスニーカーで乗り切ったのであった。

どうせ今後に乗る機会があるとしてもカブ系の操作法で走るバイクにしようかななどと思っているし、ナンならスクーターで余生をノンビリ過ごすのもいいかなという気分もある。先日ホームセンターで買った派手なスニーカーふうの作業靴でいいか、ぐらいに考えておりました。



作業靴

カブ系の「ペダル踏むだけ操作」ならこの靴で充分ではなかろうか




ただ、この作業靴では万一コケた場合には足首が完全にアウトでしょうね。まあ足首用と膝&すね用のプロテクター(←すでに持ってる)を装着すればいっか。

ということで話が終わるとおもいきや、先日モーターサイクルショーを見てきたこともあり「左足のつま先でシフトペダルをかき上げたい」という欲望が抑えきれなくなっちゃったのであります。しかしブーツを買うだけの経済的余裕はない。

「コミネのブーツなら安く買えるんじゃないか」などと思ってネットでリサーチをはじめたりしていたのでありますが、そうは言っても予算を2万確保してようやくスタート地点に立てるようなものですから少なくとも「今買うのは無理」という真実は変わらないのであります。

そこで考えた。現在、普段履きしているナイキの黒いスニーカーがいよいよカカトがすり減って絶望的になって「そろそろ捨てるかな」と思っているところであります。もう捨てるつもりレベルのヘタり具合なので、これならシフトチェンジで左脚の甲の部分が傷んでも精神的ダメージはない。では、これをひとまず「バイク用シューズ」という位置付けにして延命し、時間稼ぎをしていずれ「ガエルネ」なり「アルパインスター」なり、気に入ったブーツを買う事にしようではないか。

当然ローカットのスニーカーでは防御力はゼロなので、プロテクターを装着してその弱点を補う。こんな感じヨ。



プロテクター装着

足首&かかと用プロテクターと、膝&すね用プロテクターをつけた状態




プロテクターはコミネ製ですよ。教習所御用達の名門ブランド、防御力はトップクラス。足首&かかと用プロテクターは教習所で400ccのスクーターに乗った時に装着するよう言われて付けたのよ。ああ、こんな素晴らしいものがあるのかと思って、自分用に迷わず購入したのであります。



後ろ姿

ふくらはぎの下から足首の両側、アキレス腱からかかとまで完全防御




いわゆる「ニーシンガード」すなわち膝&すねのプロテクターを持っている人は多くいますが、この足首&かかと用を持っている人は自分以外に見たことがありません。これはマジでオススメなんだけど脱着が面倒くさいのは事実です。



横から見たところ

ローカットのスニーカーでも足首は万全の体制です




完全に足がガンダム状態といういでたちで「そうまでしてオートバイに乗りたいとか冷静に考えて頭おかしいだろ」って突っ込まれそうです。そうだよ、その通りだよ。頭がおかしいからオートバイに乗れるんだよ。

このスタイルで当面はしのごうと思います。そしてチマチマとお金をつみたてて、秋〜冬〜春に向けてライディングブーツ貯金に励むというのがヨイであろう。せっかく買うなら妥協して所持金=予算で「たいして気に入ったわけでもない安いブーツ」を無駄に買うよりも、また「ガエルネ」か「アルパインスター」を履きたいではないか。人生は一度きりですよ。本当に好きな物だけを使って楽しい時間を豊かに過ごしたいではないか。



膝から下

左ひざのキズを見ると派手にコケた記憶が鮮やかによみがえる




マジでプロテクター大事。これにプラスして上半身は「甲冑(かっちゅう)」みたいなプロテクター入りのジャケットを着ればとりあえずはOK牧場よ。もう年齢的にケガしたら治るのに時間もかかるし完全回復は見込めないですから、安全装備はいくらあってもいい。

ということで、ライディングブーツを持っていない私がひそやかに試行錯誤している日常を赤裸々に告白して今日はおしまい。











#28
2023年4月23日(日)
「不審なバイクを見つけたので警察に通報した話」


ヤボ用があって区役所に行ってきました。マイナンバーカードを取得済みだとコンビニエンスストアのマルチコピー機で「住民票の写し」とか「印鑑証明書」とか「特別区民税・都民税の納税証明書」とかを取得できるよ!!とかいうけどそんな大事な書類をコンビニごときで入手したいとは思わん。

さて、品川区役所のすぐ向かいには「しながわ中央公園」という公園があります。そのむかしは「三菱マテリアル」があった広大な敷地で、ふだんは公園として、そして自然災害が起きた時は行政機関による復旧活動の拠点として使用できるようにヘリポートがあったりするスポットとなっております。

私は区役所に向かって歩いていたのですが、この公園の駐輪場にホンダのエイプという原付バイクが停められているのをチラリと発見しました。皆様よくご存じのように私はオートバイが欲しくてならず「どこかにヤマハDT125とか落ちてませんかね?」とか思いながら生きているので街でバイクを見かけるとついついマジマジと目で追ってしまうのであります。

しかしこのホンダのエイプ(50ccエンジンを搭載したギヤ付マニュアルシフトのちっちゃいバイク)、ナンバープレートが付いていないのでちょっと気になりました。ん?ついてないゾ?

しかし区役所の目の前の公園ですから、もしかしたらナンバープレートの返納(抹消)手続きに来た人かもしれないし、たとえば「標識交付証明書」を紛失したのでナンバープレートを証拠品として持参して役所の窓口で証明書の再発行を依頼しにきた人なんていうパターンもあるかもしれない。ということであまり気にせず、素通りしました。

そういえばホンダのエイプもおもしろそうなオートバイだよなあ、乗ったら楽しいだろうなあ、などと考えていました。


ホンダ(公式)2001年02月14日ニュースリリース
親しみやすいコンパクトな50ccギアミッション付バイク「エイプ」を発売
https://www.honda.co.jp/news/2001/2010214.html



エイプ50

ホンダのエイプはこんな感じのちっちゃいオートバイ




空冷4ストローク単気筒50ccエンジンにリターン式の5速マニュアルトランスミッションをくみあわせ、小型軽量でシンプルなミニサイズのバイクとなっています。最初に登場した時はバッテリーすら装備しておらず、エンジンはキックスタートのみ。実に「いさぎよし!」という仕上がりですよ。なまじいバッテリーなど装備してしまうから色々とエレキ仕掛けにしてしまいたくなる訳で、最初からバッテリーを積んでいなければ「バッテリーあがり」の心配もないのであります。エンジンが始動することで必要最小限の電力を発電して前照灯や方向指示器を点灯させるというのはある意味「合理的」ですよ。

しかしそんなシンプルさが裏目に出て「エイプは盗まれやすいバイクNo.1」という不名誉な地位を不動のものにしたのであった。時代的にも「エイプの盗み方」的なノウハウというか悪い情報がネットで拡散したのであろう。クソガキが他人のエイプを盗みまくるという大変困った事態が発生したのでありました。日本では「刑法が異常レベルで犯罪者に甘い」うえに「司法が加害者を優遇する判決を出しまくる」ので、個人的には納得がいかない事が非常に多いですよ割とマジで。

さて私は役所での用事をサラリと終えて帰宅しようと歩き始めたのであります。そして朝、駐輪場で見かけたナンバープレートのないエイプがまだ停めてあるのを見つけて胸騒ぎにも似た違和感を覚えたのであります。

朝に見かけた時はなんとなく「誰かがナンバープレートを持って役所の窓口で何か手続きをしているのかな」程度に思ったのですが、その可能性はゼロだというのは断言できます。なぜなら私も税務課に用事があったのだ。しかし、私の前に「客」(←役所に行く人は何て呼べばいいんだろう?建物を「区庁舎」って呼ぶから来庁者かな)はいなかったし、私のあとにも「来庁者」はいなかった。私が税務課で窓口の人とやりとりしている時間は、私しかいなかったのです。

もしも私よりも先に窓口に来て何か車両登録がらみの手続きを済ませているとしたら、とっくに用件は終わっているはずであり、ここにナンバープレートをはずしたままのバイクを置きっぱなしにしているはずはない。

そして私はもうひとつ違和感の理由に気づいた。ハンドルバーについているはずの「後写鏡」すなわちサイドミラーが付いていないのだ。たしかに50ccの原付は「ミラーは右側だけでも可」というような話だったような気もするけれど(正直、50ccはあまり興味がないのでよく覚えていない)、右側にミラーがないのは即アウトであります。

私は思わず立ち止まり、そして停めてあるエイプにじわじわと近づいたのであります。シートにはホコリがつもっており、明らかに数日はここに放置されている雰囲気がただよっています。これ盗難車じゃなかろうか?私は思いました。

ちょっと試しにハンドルロックがかかっているかどうかを確かめようと触れてしまった。ハンドルバーを軽く握って動かすと、ハンドルロックがかかっておらずスタンドを上げればただちに押し歩きが出来る状態であることが判明した。間違いなく盗難車であろう。これは発見者として警察に通報すべきではないだろうか。ただちに私はスマホをとりだして近くの警察署を調べた。品川区役所は大井町にあるから(住所的には品川区広町だけど)エリア的におそらく「おーい警察署管轄」であろう。こういう「命にかかわるような緊急性のない用件」で「110番」というのはちょっと気が引けますから、管轄の警察署の代表電話にかけるのが一番いい。

私は通話用にはガラケーを使っているので、スマホの画面を見ながら警察署の番号をプッシュして電話をかけました。まあ用件としては「ナンバープレートを装着していない不審な原付バイクを発見したので、盗難車の可能性があるから来てクレ」ということを伝えたのだが、謎の「たらいまわし」に見舞われて電話をあっちにつなぎ、こっちにつないで…という感じに待たされ、通話に出る人が代わるたびに同じ話を何度もくりかえし(涙)、ようやく最後に「あーはいはい。わかったわかった。今からそちらに向かいます」という返答をもらった。

私の通報が終わってから30分後、向こうの方から自転車をチンタラと漕ぐおさわりまんの姿を発見。私は必死に手をふって「おさわりまーん!!こっちですー!!」と叫んでいるのに全然気づいてくれない。そもそも視線がこっちに向いていない。公園のアッチの方を見ながら、何やらうろうろしている。さっき電話でちゃんと現場の番地と目印の建物と私の服装その他もろもろ超絶具体的に伝えてるんだからスムーズに来いよぉ。

ようやくおさわりまんが私の叫びに気づいた。エゾモモンガは大声で鳴く動物じゃねえんだよ、さっきからずっとデカい声を出して恥ずかしいわ。おさわりまんが自転車を押してこっちに近づいてきた。どうやら若いニーチャンである。まあいい。仕事さえしてくれればおじさんだろうがヤングだろうが男だろうが女だろうが「犬のおさわりまん」だろうが私はキニシナイ。

私はすぐに「先ほど電話で通報したエゾモモンガです」と名乗り、身分証明のために小型船舶免許を提示した。若いおさわりまんは「けーさつ手帳」も見せず自ら名乗りもしない。おい!!ちょ待てよ。そこは

「私、おーい警察署の〇〇です」

ぐらいの挨拶があってしかるべきだろう。私はちょっとムッとした。しかも、さっき電話で何度も繰り返した話をまたイチからさせられるのだから腹立たしい。

9:15 区役所に向かう途中で見かけてナンバープレートのない点に違和感をおぼえつつ通り過ぎた

9:30 区役所にて用事をこなす

10:10 区役所の用事を終えて、帰途につくべく役所を出て歩きはじめる

10:10ちょい過ぎ 朝見かけたナンバープレートのない原付バイクがまだ置いてあるのを見かける。後写鏡を装備しておらず、かつシートにほこりが積もっている点を不審に思い近づいてハンドルを触ったところ、ロックされていないことを確認。

10:15 盗難車ではないかと疑い、けーさつ署に通報

というような経過を、しかたなく話す。おさわりまんは一応メモを取りながら聞いていた。聞き流していたらこちらも「何度も同じこと言わせるんじゃねーよ!!」とブチ切れるところであるが、しっかりメモをとっているので許す。

次に、おさわりまんが私に質問を浴びせてくるターンに移った。

「で、いつからここに置いてあったんですか?」
(しらねーよ。朝、区役所に行く途中に見かけたのが最初だって言ったろ!)

「あなたはここの管理人さんか何かですか?」
(は?)

いえ、違います、さっきから申し上げている通り、用事があって偶然通りかかった者ですと答えると

「え、管理人でもないのに通報?なんで電話してきたんですか?」

…おいちょっと待てよ。ナンなんだその発言は意味が解らないぞ。私はこう見えても善良なカトリック教徒であり、三位一体の神を信じる「主のはしため」であり、この世に主の愛を伝えるために生きているエゾモモンガであります。そんな善良な区民に対してなんだその言いぐさは。

「私自身はオートバイを趣味としており、この車両を見て盗難車ではないかと感じたので通報したのです」

と答えた。するとあろうことか、おさわりまんは深くため息をついた。あからさまに面倒くさいと言わんばかりの態度が丸出しである。ふざけているのか?私はついムッとしてひと言付け加えた。

「だいたいやね、バイク乗る人間ならホンダエイプの盗難被害が多い事ぐらいは誰でも知ってるんですよ。この車両も盗難届出てるかどうか調べてくれませんか

面 倒 か も し れ ま せ ん け ど」

なお余談ですが「だいたいやね」っていうのはパイプをくわえて大阪弁で辛口コメントする評論家の故・竹村健一氏の口癖でありまして、私もかつては喫煙者でシャーロック・ホームズばりにパイプたばこを好んでいたので習得した「しゃべる時の第一声ワード」なのですよ。

おさわりまんは「あーわかったわかった」みたいなダルそうな表情を見せて私を不快にさせつつ話を終わらせるモードに入った。

「こちらではまず盗難届が出ているか照合します。もし判明しない場合は駐輪場の管理者に引き渡します。ひとまずあーたの名前とか電話番号とかもう一度控えさせてもらっていいっすか?」

しょーがねえ奴だなこれ。私は再び船舶免許を提示しつつ電話番号を伝えた。たぶん、こやつの仕事ぶりから察するに、調査した結果持ち主がわかった、とか、被害届がなかったため駐輪場の管理者に渡しました、とかの事後報告が私の所にくることは無いであろう。

そして最後におさわりまんは「あ、もういいですよ」と言い放ってバイクに近づき、いろいろ調べていたようである。私はヒマだったので後ろで腕組みしてずーっと見届けてやろうかと思ったけれども、おさわりまんを怒らせたりするとロクな結果にならないことはコレまでの人生でイヤというほど味わってきたので、素直に撤収しました。

結論。はっきり言います。日本のけーさつは、人身事故や傷害事件等、「人命」がかかわる案件には比較的真面目に対応しますが、モノに関する案件(物損事故やら窃盗被害やら)については悪い冗談かと思えるほどに仕事しません。っていうか、事実上放置される(何もしてくれない)ぐらいに考えた方がいいです。車やオートバイの窃盗事件なんて、けーさつがマトモに犯人を探してくれる事は断じてありません。

昔からオートバイの盗難被害に涙する人は後を絶たないのですが、けーさつが徹底的に追い詰めて犯人が逮捕されたことなどありません。最近は古いスカイライン等のスポーツカーや世界で人気のハイエースなんていう4輪車まで窃盗団に狙われて被害に遭う時代ですが本当にけーさつは何もしてくれません。ましてやカーボンフレームの競技用自転車(180万円)が盗まれても「たぶん見つからないねー」などと無責任に言い放って、とりあえず被害届を受理しておしまい、というレベルです。あいつらはモノの窃盗事件については本当に仕事をしません。

私からすれば「窃盗」なんていうのは重罪でありまして、窃盗癖がある奴=手癖が悪い奴というのは死ぬまで治らないですから犯人を捕縛した暁には二度と窃盗が出来なくなるように「両腕切り落としの刑」ぐらいがちょうどいいと思っています。

というわけで我々ライダーは「オートバイが盗まれたら二度と返ってこない」という覚悟のもとで乗る、という悲しい宿命から逃れることはできないのであります。すくなくとも「盗まれてもけーさつは何の役に立たない」というのは真実です。

車種や排気量に関係なく愛車が盗まれるというのは悲しいものでありますから、ひたすら「自衛」するしか道はありません。シャッター付のガレージに入れておいても盗まれる。鍵付きのコンテナに入れておいても盗まれる。強力にロックしておいても盗まれる。一体どうしろって言うのよ。登録した人しか乗れないシステムとか造れないものですかね。「手間をかけてオートバイを盗んでも割に合わない」ぐらいにならないと盗難被害は無くならない。メーカーにはそういう「セキュリティ機能の強化」を実用化して装備してほしいと思うし、司法は窃盗犯への裁きはもっと厳しくしてほしい。何よりも、けーさつはもっと窃盗事件への取り組みを強化して欲しいよ。本当にそう思いました。

あのエイプがオーナーの手元に戻ることを願わずにはいられない。窃盗ダメ!絶対!!











#29
2023年4月27日(木)
「さらば高速道路」


私は関東民なので行った事はありませんが、京都府内にある大山崎(おおやまざき)ジャンクションをご存知でしょうか。「名神高速道路」「京滋バイパス」「京都縦貫自動車道」が接続し、インターチェンジもある複雑怪奇な構造で「初見ではクリア不可能」というレベルの構造となっています。

高速道路ですから道に迷ったときの基本「いったん止まって心を落ち着けて現在地を確認、進むべきルートを再度確認する」という行動が事実上不可能。ひとたびミスったらもうあとは間違った方向に向かって全力で駆け抜けるしかないという恐ろしいスポットであります。


大山崎ジャンクション分岐案内NAVI(NEXCO西日本 公式)
https://www.w-nexco.co.jp/search/jct_map/oyamazaki/



大山崎JCT図


もう何がなんだかワカラン




まあこういう上級者向けの道路というのは全国あちこちにあるわけです。私は東京在住ですが個人的に箱崎ジャンクション(東京都中央区日本橋)のあたりが苦手です。もともと首都高速は怖くて走れない生き物でありますが、箱崎周辺は一般道を走っていても「どのレーンを走れば目指す方角に行けるのか」が何年たっても理解できない。頭上は首都高速道路が複雑に絡み合っており、その下の一般道を後続車から突き押されるように走ってゆくのですが、気が付くと高速道路の入り口に達してしまい発狂するという迷宮であります。

ちなみに首都高速が入り交じるジャンクションの下層部はロータリーとなっており箱崎出入口、浜町出入口、青洲橋出口を利用するときはこのロータリーを経由しなければならないのです。またパーキングエリアもこのロータリーの中にありますし東京シティエアターミナル(バスターミナル。通称T-CAT)も箱崎にありまして成田空港や羽田空港に行くリムジンバスもここに発着するのですが私にとっては「一度入ったら二度と出ることが不可能なクレタ島の迷宮」同然であり、もはやミノタウロスの餌食になるよりほかにないのであります。


T-CAT(ティーキャット)東京シティエアターミナル フロアガイド(公式)
https://www.tcat-hakozaki.co.jp/floorguide/



箱崎ロータリー拡大図


だめだサッパリわからん




私はつねづね東京都江戸川区にある「江戸川区自然動物園」(ここではオオアリクイのアニモくんとアイチちゃんの間に待望の赤ちゃんがうまれたのだ)に自走していきたいと思っているのですが、方角的にどうしても新橋を経て箱崎方面に向かわないと江戸川区に向かって東へ抜けるルートをたどることが不可能なイメージがあり恐怖におののきつつ二の足を踏んでいるのであります。なんか、もっとストレスなくオートバイで走れるコースはないですかね。多少遠回りになってもいいから都心を抜けずに走れる道を探したいところです。

かつて軽二輪のYZF-R15に乗っていた頃はETCも装備していたので「ウザい都心部」から脱出するために高速道路を使うのも当然、という生活でありましたが、今後はもう大きいバイクなんて体力的に乗れないし乗りたいとも思わないのです。

そもそも、ツーリングに出かけるにあたっては

・都市部の混雑する下道で発進・停止をくりかえしながらジワジワと進み郊外に出る
・サクッと高速道路に乗ってウザい区間をすっとばし、早々に都市部を脱出する

という2つの選択肢しかない以上、貴重な休日のオートバイ旅を充実して楽しむには高速道路に乗って現世から別世界にワープするというのは仕方のない話で、「高速道路など走っても景色がツマラン」などと言っている場合ではなかったのよね。

個人的にはもう高速道路はできれば避けたいところであります。ヤング時代のような体力にモノをいわせたロングツーリングはもう心も身体もキツいのが現実であります。高速道路を使って大洗港までいってフェリーで苫小牧にわたり北海道を走ってこようとか、横須賀に出て「東京九州フェリー」で新門司まで船旅を満喫してから九州を走ろうというようなガッツはありません。さりとて下道をつかって北に向かうと東京の中心部を抜けなければならないのが苦痛だし、関東平野から抜け出るまでに心が折れるレベルです。

山に行きたいなら西の秩父奥多摩山系、海が恋しければ南の神奈川県湘南エリア、それで充分であります。のんびり、ゆるゆると走りたい。あとは「行けそうな範囲内の動物園を訪ねることが出来たらそれで満足」といったところでしょうか。伊豆シャボテン公園はものすごく行きたいけど下道ベースで考えるとけっこう遠い。体力的に日帰りは無理だと思う。旅ヤングだった頃は安宿に泊まるのは当たり前、スキあらば野宿も辞さないという「割と大胆」なことをしていましたが今はもうそんな恐ろしい事はできません。できればちゃんとした宿に泊まって、ちゃんとした寝床でグッスリ眠りたい。

ちょこっと話はとぶけど若い頃はあんなに好きだった野営(キャンプや野宿)が今は無理にやりたくなるほどでもない。理由を考えたら明白で、要するに現在の生活すなわち築の古いボロ長屋の狭い一室で一人暮らしをしていると、ちょっと設備の整ったバンガローで「ひとりキャンプ」してるのと事実上同じなのですよ。起きて食事の支度して食べて片付けてノンビリ近所を徘徊して帰宅したら風呂浴びて寝る的な意味ではキャンプ生活してるのとまったく変わりがありません。

キャンプに必要な装備を一式リュックに収納し、背負って歩くのはもう腰と股関節的に正直無理だと思う。身体中ガタがきているので無茶な事はできません。容赦なく時は流れたのであります。

これからはちっちゃいオートバイで下道をノンビリ走れたらもうそれでいいやって感じです。早朝のうちに出発して「走ってもナンの面白味もない混雑する都市部」を脱出し、日が昇る頃には

「もう青梅駅前にいて奥多摩から塩山に向けて出発する」
「もう高尾駅前にいて大垂水峠、笹子峠を目指している」
「もう横須賀駅前を過ぎていて観音崎方面に向かっている」

ぐらいのペースで行動できたらいいなと思う。自転車に乗っていた頃は朝ごはんをきちんと済ませた後でなければ空腹でペダルは漕げなかったけれども、オートバイなら右手でスロットルをひねれば前に進むのである。朝食は街を抜けてからでヨイ。



舗装林道

小さいバイクだからこそ楽しめるような道を走りたいよね




というわけで、もう高速道路を疾走してひたすら距離をかせぎ「今回はドコソコまで走ってきたZE」という走行距離メーター基準の満足感を満たすような長距離ツーリングはやらなくてもいいやと思います。これはひとえに「若いうちにやりたい事をやりまくってきた」おかげで今は「足るを知る」の境地に至ったと言い換えることもできると思います。

これからは無理しない範囲で「なるべく腹八分目でおさえて続きはまた次回のお楽しみ」という感じで、ユルめで気楽な自動二輪生活をエンジョイしたいな、というようなことをしみじみと思うのでありました。











#30
2023年5月1日(月)
「悔いを残すのはゴメンだ その1」


ゴールデンウィークに突入ですよ皆様。私は、毎年この時期に日本の自称・公共放送局がかたくなに「大型連休」って呼ぶのを滑稽に思いながらニュースを見るのであります。

いきなりですが「人生は思ったよりも短い」のであります。年齢を重ねてくると痛感することですが、月日の経つのは本当に速いのです。子供の頃、横浜のおばあちゃんが「すぐにお正月がきちゃうね」といつも言うのが不思議でしたが今は気持ちがよくわかる。一年なんてあっという間です。


「少年老い易く学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず」


とはよく言ったものだと思います。そして同時に身体も衰えてくるのであります。ひとつ、ふたつと持病を抱えて無理もきかなくなり疲労回復にも日数を要するという感じになります。「アタシは鍛えているからその辺の人とは違うのよ」とか言っててもしょせん人間は不老不死ではありませんから、いずれは思い通りにならない身体でオノレの直面する「老い」の現実を悟る日が来るのです。

先日モモンガ母と久しぶりに会ってランチしながら楽しく語らってきましたが、モモンガ母は「人生は『私もそろそろ終わりだ』と思ってからが意外と長い」などと言っていました。それもわかるような気がする。身体の衰えを感じながら光のように過ぎゆく歳月を見送りながらも、自分が願うタイミングで死ねるとは限らないのであります。そう簡単に天国からの迎えは来ない。

そして結論としては

・これからの人生で今日が一番若い
・やりたいと思っている事は後回しにせずに即実行したほうがよい
・いまわの際(きわ)になって「もっと自分の気持ちに正直に生きればよかった」などと思っても遅い

というのは断言できます。「仕事ばかりじゃなく、もっと家族との時間を大切にしておけばよかった」などと激しい後悔の念にかられながら死んでいくのはあまりにも悲しすぎる。

私自身について言えば「この世に一石を投じる為に神様が遣わされた愛の伝道師」という使命をおびて誕生し、聖書に出てくる「放蕩息子」のたとえ話のごとく好き勝手にやりたい放題やって生きてきたので、意外と「やり残した感」は少ないのであります。振り返れば「想定していたのとは違った事態に直面した」とか「当時は必死に考えて、最善であろうと判断した決断が裏目に出た」とか、そういう類のハプニングには事欠かない日々ではありましたが、なんだかんだで(結果の良し悪しは別として)やりたい事をやりたいようにヤリまくってきた、という意味で過去に対して後悔は微塵も無いのであった。

学生時代は家族に猛反対されてバイクに乗れなかったけど、働いてからサクッと免許も取って昔欲しくてならなかった車種を入手してぶいぶい乗り回しながら


「これで『仮面ライダー』出演のオファーがいつ来ても大丈夫だな」


とか思ったものですが、その機会は無かったという。人生はなかなか思い通りにはならないものですが、それでも自分の魂の叫びに対して正直に生きる、ということを貫いていれば満足度は高いし後悔などあろうはずもない。

私自身は最終的には精神病院送りになって「狂人」という扱いを受けるところまできちゃった訳ですが、ひとくちに狂人といってもいろいろタイプがいます。私は(自分で言うのもナンですが)比較的「人畜無害」な系統の発狂っぷりですから、自分は頭がおかしい日陰者だという自覚を忘れることなくつねに他人に迷惑をかけぬよう、他人を不快にせぬよう心掛けながら静かに部屋でぬいぐるみを抱いていればさほど社会に害をなしたり迷惑をかけまくる事態も起こりません。

さて、そんな具合で割と自分の欲望に正直に生きてきた私ですが、ふと「何かやり残した事はないだろうか?」と自問したのであります。残された時間にやれることは限られています。惰眠をむさぼり暴飲暴食の果てに怠けて時間を無駄に過ごす、なんていうヒマはありません。

私の生活からオートバイという「自由の翼」が失われてから歳月が流れ、とにもかくにも再び自動二輪のある生活を取り戻して大好きな八ヶ岳山麓、白樺の森に帰るというのが私の「悲願」であります。黄色い愛車にまたがって高原に帰るまでは死んでも死にきれません。まあ、このあたりはいつも言ってる事でありますから今更あえて書き記すまでもないかもしれません。オートバイとフルートとぬいぐるみさえあれば私はそれでよいのです。私の好きなものは五・七・五で言い尽くせるのでありまして


アリクイと バイク フルート ぬいぐるみ


と一句詠めるレベルに私の欲望はシンプルなのであった。

じゃあそれだけかよ!ホントのホントにあとはやり残したこと無いのかい?と聞かれると、やはり「まだ正直に自分を全て解き放ったとは言い切れない」という思いが胸の内にくすぶるのであります。

ウダウダ前振りするよりさっさと結論からお伝えしますが、ずばり


「もうちょっとオートバイではじけた遊びをやりたかった」


という思いがオオアリクイ。具体的に言うと、私にとってはオートバイは自由気ままに動き回るための旅の道具という位置付けが確立していて、とりあえず愛車は色が黄色ならそれで満足という感じであった。オートバイは買ってそのままノーマル状態で乗ると皆様が思っているほど排気音はうるさいわけではないし、排気ガスが汚いわけでもない。昔の車種はともかく現代のオートバイは普通に乗るぶんには意外とおとなしくて、それほどウザい存在ではないのであります。

そういう意味で私自身はいくら自己満足のためとはいえあちこちチューンナップしてマフラーまで交換して爆音を響かせるような改造バイクには賛同できかねる気分があったのです。もともとオートバイは紳士淑女の乗り物なのだから、サーキットで競技走行する目的であるならいざ知らず、間違っても公道で他人を不快にさせるような改造はダメでしょ!と否定的な思いで苦々しく見ていた側面もあります。

しかし、これはもう恥をしのんで告白すると車とかオートバイとかのメカのたぐいは「少々手を入れて自分好みのチューニングを施してゆくと一層楽しい」というのは真実なのであります。だから、もう火の玉ストレートで本音を吐露するならば


「私もバリバリにチューンしたマシンと一心同体となってイキリ倒したい」


という思いがコアリクイ。いい歳したおばさんが「バリバリ」とか「イキってる」とかいう単語を繰り出すのは恥ずべき事だと自覚はあるのですが本音なのだから仕方がありません。お前、以前は上から目線で否定していた世界を本当は自分もやりたかったんじゃねーか!!と突っ込まれたらグゥの音も出ません。

早朝、新聞配達のスーパーカブの音ですら「いい音だなあ」と思うレベルですから、街道を走り去るオートバイがあきらかにマフラーを交換してノーマルとは違う排気音を響かせていたりすると「あーなんかすごくいい音してますねー!!」と喝采を送りたくなってしまう。ナンバープレートを上に向けてるような「犯罪者的改造」は今でも嫌いですが、走行性能の向上を目指して吸排気系に手を加えたりサスペンションまわりのセッティングを変えたりするのはむしろアリじゃん。っていうか私もやりたいです!!やらせてくださいお願いします!!みたいな感じになっちゃってるのだ。

たとえばの話ですけどトヨタ自動車の商用バンで「プロボックス」という車があります。ビジネスに使われる荷車の一種ですから派手さは皆無ですが、虚飾を排してシンプルな装備に小型軽量の車体、社会を支えるビジネスマンの頼れる相棒という意味ではこんなにかっこいい車はありません。


トヨタ プロボックス(トヨタ公式)
https://toyota.jp/probox/



プロボックス


トヨタ公式より画像引用 頼れる相棒、プロボックス




今はもう無段変速のみとなってしまったようですが、かつてのプロボックスにはマニュアル・トランスミッション車が当たり前に存在しました。商用バンは荷物を積んで力強く機敏に動けるようなギヤ比が設定される事が多いですから、高速道路の巡行では高級車の絶対的な動力性能&社内の快適さには敵わないけど、下道(一般道)メインでストップ&ゴーを繰り返したり曲がりくねった山坂道を走るにはむしろ「運転する楽しさ」で優位に立つ、みたいなところがあるのです。軽のボンネットバンも今は滅亡しましたが、高級装備てんこ盛りの乗用車モデル5速マニュアルよりもバン仕様の4速マニュアル仕様のほうがギヤ比のチューンが絶妙で運転して楽しかったりしたのですよ実際。

などと思っていると、プロボックスのマニュアル車を中古で探してきて、貧弱な足まわりのチューンナップ(サスペンション、ブレーキ関係、あとはより高性能なタイヤに履き替える等)を施せば「操って楽しいゴキゲンな車」ができるんじゃないか?と妄想は膨らむわけです。もうスペック上の排気量とか馬力とかはどうでもよくて、要するに「楽しく操れる車」がイイね!という方向性です。絶対的なパワーとかスピードとかはロマンがありますが、しょせんは公道、下道ですから次の信号で止まらなきゃいけない。長い直線なら最高時速300km出せるぜ!っていう車よりも、地味で非力だろうと次の信号まで気持ちよく加速して思い通りに停止線でピタリと止まる車の方が楽しいのよ。

でもプロボックスの中古車市場価格を見たらけっこう高くて笑った。業務でさんざんコキ使われて走行距離も相当のびてる個体が5速マニュアルというだけでかなり強気な価格で売られているという真実。私と同じような事を妄想している人が世の中には案外いるのかもしれません。

私自身はもう四輪を入手し維持するガッツも財力もありませんから、残りの人生のリソースは全て「ちっちゃいオートバイ」に全振りしたいと思います。

次回は「具体的に何がしたいのよ?」という話をしたいと思います。











#31
2023年5月4日(木)
「悔いを残すのはゴメンだ その2」


前回のモモ通の続きです。人生で何かやり残したことはないか?という自問自答の結論をここに記しておこうと思います。ちっちゃいオートバイが大好きな私が、この期に及んで「私もバリバリにチューンしたマシンと一心同体となってイキリ倒したい」などと発言しましたように、私はまだ「バイクいじりの楽しみ」を存分に味わったとは言い難いのだ。

ふりかえれば私の自動二輪人生はけっこう充実していた、というか恵まれていた。

・若き日に憧れていた車種を数十年越しで購入して乗り回し、青春を取り戻した(タエちゃん1号:TDR80)。

・誰も乗っていないようなインドヤマハ製のフルカウル・スポーツ車を黄色に塗って愛車とし、さすらいの旅をしまくった(タエちゃん2号:YZF-R15)。

・死ぬまでに一度でいいから「誰もが振り返ってマジマジと眺めてしまうような、とにかく変な見た目の乗り物にのりたい」という夢を叶えた(タエちゃん3号:Bite)。

で、もうあとはスーパーカブあたりを「人生のあがりバイク」として余生を過ごせばいいかなと思っていたのですが、じっくり考えた結論は


「見た目をなんじゃそりゃあ的に改造したバイクでイキって自己満足(※自己顕示欲含む)を満たしたい」


というのが、まだ足りていないという事を自覚したのであります。もったいつけないでサッサと具体的な話に入りたいと思いますが、端的に言えば「モッズスタイルにカスタムしたレトロスクーターに乗って横浜・元町をねじろにしつつ時代錯誤な青春を謳歌したい」のであります。



モッズスタイルのベスパ


ズバリ、こういうのをやりたいんだ!!




なんじゃこりゃ!?という方も多数おられるかもしれません。このスクーターは映画『さらば青春の光』(1979年作品)に登場したモッズのリーダー的存在のキャラクターが乗っていた愛車のベスパであります。

1960年代初期、連合王国(←イギリスの事ね)若者の文化として2つの勢力がありました。すなわち「モッズ」と「ロッカーズ」であります。これらの2大勢力が当時のヤングには最先端のスタイルであって、その日常や対立を描いた作品となっています。

映画の原題は"Quadrophenia"すなわちロックバンドのザ・フーが1973年にリリースしたアルバム"Quadrophenia"(邦題:『四重人格』)であります。劇中ではこのアルバムの曲がバックで流れるのです。

で、映画の詳細についてはWikiprdiaの説明がほぼ「完全ネタバレ状態」で語り尽くしている感じなので、手っ取り早く理解していただくのはそちらをお読みいただくのが一番早いです。


ウィキペディア さらば青春の光 (映画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/さらば青春の光_(映画)


主人公のジミーは「モッズ」のライフスタイルに青春をどっぷりと浸かっていて、仲間と乱交パーティや改造スクーターでの暴走、ドラッグの乱用、そして対立する「ロッカーズ」との抗争で毎日を送っていたのです。

「モッズ」と「ロッカーズ」については、これもWikipediaにけっこう詳しく書いてる人がいるので一通り読んでおけばなんとなく理解できるでありましょう。YouTubeにはこんな動画もありました(英語)。


Mods and Rockers




映画のストーリーをわかると邦題の『さらば青春の光』というのはなかなか味のある意訳というか超訳ですが、少なくとも『四重人格』よりはしっくりきます。劇中にはモッズスタイルにカスタムされたベスパやランブレッタといったスクーターがたくさん登場します。私がこういうスクーターの世界を知ったのは中学生の頃です。兄が読んでいたトラッド系のファッション雑誌『MEN'S CLUB (メンズクラブ) 』に、モッズスタイルに染まってる人が出ているのを傍から見て


「すごいトンチンカンな改造もあるもんだなぁ」


と思ったのが最初です。ハッキリ言っていいイメージはひとつもなかった。ヘッドライトとサイドミラーがいっぱいくっついてるとか意味がわかりません。この動画にもいっぱい出てくるけど、今の言葉でいうなら「スクーター珍走団」じゃないですか割とマジで。


The Kingsmen - Louie Louie




有名な、映画の結末シーン。YouTubeにアップされていました。もうWikipedia読んでる人にはネタバレもへったくれもないよね。ということで引用ぅ。


Quadrophenia - Fine




映画『イージー・ライダー』も最後はオートバイがふっ飛んでましたから、この結末はある意味「様式美」みたいな感じですね。

さて、私もかつては意味不明とみなして割とバカにしていたモッズスタイルのレトロスクーターでありますが、なんか最近「一周まわって」かっこよく見えてきちゃったのよね。皆様ご存知のように私はかなりのヘソ曲がりでありまして、最近は四輪車も「昔の国産車のフェンダーミラーが好き」などという完全にナナメ上をゆく思考に至るほどに色々とこじらせてしまっています。「ドアミラーは外車みたいでなぁ」とか言いながらテンションが下がる奴なんて、これまで会った事がないわ。よもや自分がそこまでヒネクレた人間になってしまうとは。トホホ。

私はもともとベスパが好きだったのです。で、なんで素敵なベスパをゴテゴテの改造でダサくしちゃうかなー、みたいな感じでモッズスタイルのカスタムを苦々しく思っていたのですが、最近は「昔きらいだった物がいろいろと許せるようになる」みたいな感じに変化してきて、ふと気づいたら自分も「時代錯誤」なのをあえて覚悟のうえで横浜・元町でモッズスタイルを貫く謎のオバサンとして余生を楽しみたい!とか思ってしまったのですよ。何しろ横浜・元町界隈といえば1970年代後半から80年代の初頭にかけて「ハマトラ(横浜トラディショナルの略)」ファッションがイケてた時代がありましたからね。ブリテンのモッズが細身のスーツで決めてスクーターを乗り回したように、私もトラッドスタイルのファッションでキメ狂って元町でナウなヤングにおばさんの威力をみせつけてから燃え尽きるように死にたいと思うのであった。もうあらいざらい正直に告っちゃうけど私はトラッドスタイルのアイビールックが昔から大好きなのよ。



映画に登場する、スクーターで走るモッズ


今の私の脳内はこんな感じのイメージが炸裂中




ただ問題は今どきのベスパですよ。時代の流れとともにメカもデザインもアップデートして、昔とはだいぶ違った雰囲気のスクーターになりました。決して悪くは無いのだけれども、私が求めてるものとはだいぶ違うものに変わってしまった。



ベスパその1


ベスパとしてのアイデンティティは保っている…のか?







ベスパその2


現行ベスパはずんぐりむっくりして、デカいのよね




写真の背景が不自然なのは塗りつぶし加工しているからです。よそ様のベスパを勝手に撮影しているので、写真の背景やミラー等の金属部分の映り込みから場所を特定する変態的ストーカー気質の犯罪者がいたりする時代ですよ。万一この車両が盗難にでもあったら私は責任を取れないですから、安易にホイホイと写真をそのまま載せる訳にはいきません。

エンジンの4サイクル化、水冷化、排気量の拡大など、もろもろのアップデートを重ねて現行のベスパはとにかくデカい。言い方は失礼になるかもしれませんが、無駄に巨体化してしまった。



最近のベスパ


正直、この車両に50万円とか出したくはない




しかも昔は50ccや125ccのベスパは「スモール」と呼ばれてバカにされてちたのに、今ではプレミア価格がすさまじいことになって信じられないような高値でオンボロ個体が取引されているのですよ。割とマジで、あの頃小さいボディの小排気量モデルをバカにしてこき下ろしていた奴らの顔が見たい。

まあ日本でも50ccクラスの原付は販売数がガタ落ちして主戦場は110cc〜125ccクラスに移ってきていますからね。それにスクーターの肥大化が止まらないのは日本メーカーも一緒で、以前モモ通で「モーターサイクルショー」に行ったときの話を書きましたがスズキのアドレス125も実物はトドのように巨体であったよ。4ストの水冷エンジンなんて積んだらデカくせざるを得ないのよね実際。50ccごときは2ストの空冷エンジンで充分でしょうに。時代が変わっていくのは当然だし我々ひとりひとりの意識もアップデートしなきゃいけないっていうのは確かに真実だと思うけど、なんか無駄が多すぎると思うのよ現代は。



スズキ アドレス125


無駄にデカい125ccスクーター




なんかグダグダな話になってきちゃったのでまとめましょう。要するに私は

「レトロなちっちゃいスクーターを入手して」
「ちょっとモッズをきどったカスタムをして」
「トラディショナルなファッションでキメて」
「横浜・元町あたりをねじろにしてイキりたい」

という欲望に駆られているのであった。これは話の次元としては「本当は長髪にしてハードロック・バンドをやりたかった」とか「本当はガッツリ痛車をやりたかった」とかに近いものがあるかもしれない。でも人生、犯罪行為に及ばない限りは結局のところ自分を解き放ってやりたいようにやった人が幸せになれるのよ。


Mods, mods, we are the mods, mod weekender in Brighton!




すごい楽しそうじゃん。みんな楽しんでるじゃん。年齢関係なく、こんなふうに「突き抜けてる人」って毎日をエンジョイしてそうで良いよね。

というわけで、ここだけの話、私はひっそり、こっそりとレトロでちっちゃいスクーターを探す日々を送っているのであります。話はあと一回、次回に続く。











#32
2023年5月8日(月)
「悔いを残すのはゴメンだ その3」


これまで2回にわたる話の中で、私がやり残していることはズバリ

「トラッド系のファッションに身をつつみ、少々派手目にデコレーションしたレトロなちっちゃいスクーターにのって横浜・元町あたりに出没し、青春の後始末をしたい」

というモノであると赤裸々に告った次第であります。その行為に何の意味があるのか?と問われても返答のしようがありません。やや変化球的な表現になりますが、かつての若者がモッズ・スタイルで自分たちのアイデンティティを追求した世界観にあこがれつつ、モッズ文化をいまさらマネすることを通じて自分自身が密かに持っている「コスプレ的変身願望」を叶えてみたい、そういう行為によって自分の内に秘めた感情を解き放ってみたい、という感じでしょうか。

前回のモモ通で「モッズ」と「ロッカーズ」というふたつの若者文化についてちょっと触れましたが、なんとなくですが「ロッカーズ」のほうは割と素直というか、非常に解りやすいと思います。エルヴィス・プレスリーに代表されるようなラケンローラーのスタイルを取り入れてオートバイも楽しんでいた文化という印象で、自分自身も系譜としてはその流れの延長線の上にいるような気がします。言い換えると単純明快で理解しやすい「ストレートな不良文化」です。若い時ならではの反抗心とロックンロールという音楽といかにも不良っぽいファッション、というのはすごくシンプルな図式に見えます。

しかしもう一方の「モッズ」のスタイルというのは相当ヒネクレているというか、ヘソを曲げてわざわざ新しい価値観をつくりだそうと試行錯誤しているというか、だいぶヒネリが入ってる印象です。細身のスーツでバシッとファッションをキメて、それでも支障なく乗れるという理由でスクーターに乗ってイキり散らすというのはなかなか創造性に富んでいると思います。時代を考えると仕方ない部分もありますが、あの時代の若者はドラッグに手を出しがちであったという点だけが私の気に入らないポイントですが、それを責めても仕方がないでしょう。理由はどうあれドラッグに手を出すのは絶対にアウト判定、というのが私の思想信条でありますが、当時の若者にはドラッグへの漠然とした憧れがあったのだろうと察する。

というわけですからレトロなスクーターが欲しいのであります。そりゃあ、希望を言うなら黄色い小排気量のスモールベスパに乗りたいけれど、そもそも古いベスパはプレミア価格なうえにもう補修パーツも争奪戦になっていますから、維持管理を続けられるか考えると貧乏人にはおいそれと手が出せないシロモノです。

3月にモーターサイクルショーを見てきたとき、レトロな外見をした海外製スクーターもありましたがなんかデカすぎて自分が望んでいるのはコレじゃないというのが率直な感想でありました。



現行のレトロ風スクーター


バカでかいロイヤル・アロイのスクーター、全長は約1.85メートル







現行のレトロ風スクーターその2


黄色のランブレッタは良かった!でも全長は1.9メートル




日本でも最近は110cc〜125ccクラスのスクーターが人気ですが、50ccの原チャリと比べるとふた回りぐらいボディサイズが大きいのがいただけません。50ccサイズの、あのコンパクトな感じが私は好きなのです。50ccのスクーターは小柄な女の子でもさほど苦も無く押したりスタンドを立てたりできるけど、125ccクラスになるとデカくて重たくなりイッキに難易度が増します。上に写真を載せたロイヤル・アロイのスクーターなんて重量が148kgもあります。これに対して例えばホンダの現行50ccスクーター、ジョルノの車両重量は81kgです。ロイヤル・アロイはガソリンタンク容量は10.5リットル。ジョルノは4.5リットル。ガソリン満タンにしたら重さの違いはさらに顕著になります。

私が口癖のように「ちっちゃくて軽いオートバイが好き」と言っているのは、単に好みもありますが、自分の技量と体力から経験で得た結論でもあるのですよ。

さて、自動二輪の免許を取得している人間にとって50ccの原付に乗ることは何のメリットもありません。むしろ50ccに課せられている法律的な足かせがストレスのもとになります。

・制限時速30キロメートル
・二段階右折

普通のオートバイや車のように走ってはいけないのです。周りの車両とは一線を画して修行のような走行を強いられます。二段階右折なんて、ルールとしては理解しても場所によっては「やっちゃダメ」という標識があったりするので、いつも馴染みの道を走るならともかく初見の道では油断も隙もあったものではないという現実に直面します。その昔、オートバイで世界中を旅してその名を知られた加曽利隆さんが「50ccで日本一周」に挑戦した時も、あの加曽利さんですらスピード違反でおさわりまんの餌食にされちゃってるのであります。冗談抜きに免許証を回数券で持っていないと足りません。ゴールド免許から陥落間違いなしであります。

しかし。私が生息している品川区では、たとえばアチコチにある区営の駐輪場は50ccしか置かせてもらえません。東急線の沿線で駅に整備されている駐輪場も同様で、50ccしか停められません。スーパーカブなんて110ccも50ccも同じ車体でエンジンが違うだけなんだから、スーパーカブ50はOKでスーパーカブ110を置いちゃダメと言われると「なんで?」と聞きたくなります。

私はTDR80に乗っていた時に駅の駐輪場に入ろうとしたら受付のオヤジさんに「ねーちゃん!それナンシーシー?」って呼び止められて「80ccずら」と答えたら「だめだよココは50ccまでだよ、あっち行けシッシッ」とか言われて泣いたことがあった。TDR50とTDR80のボディサイズは同じなのである。エンジンが違うだけなのである。でも駐輪場に置くのはTDR50ならOKでTDR80は不可なのである。

これは消防法に基づく判断によるものだと聞いた事があるけれども詳しくは知らない。要するに50ccの原付自転車は扱いが自転車と同様なのでシンプルな駐輪場をつくってもOKだが、排気量が50ccを超えると相応の消火設備の設置が義務付けられる、というような話だ。ボディサイズは関係ないのです。

個人的には「リチウムイオンバッテリーの火災の危険性を考えたら電動自転車は非常に問題が多いと思うけど消防法はそのへんどうなってるのよ?」と問いただす義務感に襲われますが基本的に日本は立法機関である国会がウンコなのでマトモに議論している国会議員はひとりも居ないであろう。

品川区に住んでいるとこの「50cc縛りの駐輪場問題」というのはけっこう深刻であり、本来なら125ccクラスに乗りたいのだが駅の駐輪場を利用するために泣く泣く50ccに乗る自動二輪免許所持者、というのが割とマジでいたりするのだった。まあそういう人はほとんど「原付とは別に趣味で乗るための大きいオートバイも持っている」のですけどね。

ということで「二輪免許取得者からは圧倒的に不人気な50cc原付」ではありますが、長年にわたって社会のインフラを支えてきた乗り物と言う事で今でこそ電動自転車にその地位を奪われたものの、戦後の庶民の足として活躍してきた歴史は壮大であり過去をさかのぼればなかなか魅力的な名車(希少車、珍車ふくむ)がたくさんあるのです。車種バリエーションも百花繚乱という感じでカブやスクーターだけでなくマニュアルシフトのスポーティなモデルすらあった。

私も学生時代は2ストエンジン搭載スクーターのホンダDio(ディオ)を乗り回していましたから、その利便性の高さを享受し「庶民の味方」としての50cc生活を満喫したのであります。右足のじん帯を痛めて歩行困難になった時も「歩くのは無理だけどスクーターなら乗れる」という謎の状態を維持し、自力で通院できましたからね。

で、話は戻る。「のどかモッズ化計画」のためには、かつて国内メーカーがつくっていた「なんちゃってベスパ系のレトロ風味50ccスクーター」に乗るがよいのではと思うのですよ。ちっちゃくて軽い。そして区内の駐輪場もビシバシ利用できる。

ベース車両にしたいモデルとしてまず最初に思い当たるのは1998年に登場したスズキのヴェルデであります。ホンダ・ジョルノとヤマハ・ビーノが1990年代後半にレトロ風スクーターブームを引っ張っていたのですが、スズキが満を持して発売したのがヴェルデです。非常にデザインがよく「レトロ風」をきわめている感はジョルノやビーノの比ではなかった。当初"Verde"のロゴデザインが本家"Vespa"にそっくりで、さすがにコレはやりすぎということで本家から苦情が入ったと聞き及んでいます。エレキギターの世界なんかは全体の造形や電装系はそっくりでヘッドの形状とロゴをちょっとだけ変えたような「本家のコピー品」みたいなものが当たり前に売られている不思議な世界ですが、あれは極端な例外です。通常であればロゴの字体が似ているだけで訴訟モンに発展するのがオトナの世界ですよ。



ヴェルデ


レトロ・イタリアン感が見事なデザイン




乗れるものならこれ一択、と言いたいところです。見た目が最高です。しかも私は人生でスズキのバイクには乗った事がないので、これでスズキデビューしたい気持ちも高まります。

さすがにスズキのヴェルデは1998年登場ということもあり空冷2ストエンジンのスクーター、製造終了から約20年が経過しており中古車市場を検索しても耐用年数に達しているような個体しか残っていません。もともとタマ数が少ないのに、マトモに走る状態で生き残っている個体を探すのは絶望的に困難です。

同時代の車種なら、むしろタマ数の多さでいけばホンダのジョルノの方が上です。なんだかんだで結局はホンダが一番売れているのよね。2スト時代のジョルノはいいデザインなので私も大好きであります。



ジョルノ


2スト時代のジョルノ(AF24)なら探せば見つかるかも?




そりゃぁ乗れるものなら2スト50ccに乗りたいよ私は。50ccという絶望的に小さい排気量は元気に回る2ストエンジンだからこそ実用になるのだと思う。でも排ガス規制が強化されて2008年には2ストエンジンは絶滅したのです。もう15年もたっているのですよ。ジョルノとビーノは4ストエンジンにモデルチェンジして生き長らえて現役ですが、ヴェルデは消滅しました。ただでさえ寿命が短い2ストエンジンを搭載したモデルに乗るのは、さすがにもう無茶な選択という気がする。

なおエンジンの4ストローク化にともないヤマハ・ビーノは水冷式を採用しました。ホンダのジョルノは当初は空冷式を大陸で製造、その後製造拠点を日本に戻して水冷化モデルを発表、モデルチェンジを経た現行モデルはなんとホンダとヤマハの協業(というか事実上ヤマハのモデルもホンダ製)になって細々と延命している次第。かつてはバチバチにやりあっていたライバル企業のホンダとヤマハが50ccでは協業するほどに、もはや50cc原付は販売実績がふるわずジリ貧に追い詰められているという現実があるのだった。

ゆえに現行ジョルノ(ホンダ)と現行ビーノ(ヤマハ)は見た目が違うだけでメカは一緒(※ホンダ製)であります。50cc水冷4ストフューエル・インジェクション装備でアイドリングストップシステムだの燃料計&時計機能の付いた液晶表示だの12Vアクセサリーソケット内蔵グローブボックスだの、最新テクノロジー満載の車両となっています。すごい時代ですよ。


ホンダ ジョルノ(公式)
https://www.honda.co.jp/GIORNO/

ヤマハ ビーノ(公式)
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/vino/


ビーノなら2023年モデルで黄色が選べるけど私はビーノのフロント周りのデザインが正直あまり好きではない。ジョルノは、過去の空冷4スト時代にはいちどだけ黄色のボディカラーがラインナップされていた。2014年モデルであります。わずか一年限りで消滅した希少カラーであり、絶望的にタマ数は少ないのです。しかし今回、中古バイク検索サイトで検索してみたら奇跡的にヒットしてしまい割とマジで欲しくなっているのであります。



ジョルノ


2014年モデルの黄色!これは素晴らしい




この、素の状態でも相当私の好みにジャストフィットしているのですが、これをギトギトのモッズスタイルにカスタムしたい!というのが今回の本題であります。最高じゃないですかね。ハマトラファッション(キタムラの鞄・ミハマの靴・フクゾーの服←どれももう買えない高級品)に身を固め、モッズカスタムの黄色いジョルノで横浜・元町チャーミングセールに突撃よ。そこまでやりきったらこの世にやり残したことはマジでひとつも無くなる感じです。残りの人生はそれで燃え尽きちゃっていいんじゃないでしょうか。

問題があるとすれば9年前のモデルにもかかわらずけっこう強気な販売価格が設定されている事でしょうか。本体価格11万はちょっと吹っ掛けすぎだと思う。実物を見ないで写真だけで判断はできないけどよっぽど程度が良くても車両価格はいいところ8万円ぐらいが妥当じゃないのかな?納車整備してもらって自賠責(仮に3年)も含めたら15万円ちかくなっちゃうよ。中古50cc原付ごときにそんな大金は払えない。

まあそうは言うものの、車種としてはなかなか良い候補ではないかと思う。昨年2022年10月24日のモモ通で、中古で黄色のホンダ・トゥデイをみつけて欲しくなった話を書きましたが、2008年型のトゥデイよりも2014年モデルのジョルノの方が断然いいよね。


モモンガ通信 2022年10月24日(日)#62
「50ccスクーター、ホンダ・トゥデイ対エゾモモンガ」
https://ezomomo.com/momo_j/2022/momo_j2022_4.html#62


でも意外とスクーターって整備が大変なのよね。メカ部分を隠すかのように外装の衣をまとっているから、それこそプラグ一本交換するにも最初にマフラーを外し次はシート下の収納スペースを外し、ステップボードのかかと付近の外装を外したりとパズルのような分解組み立て作業を強いられるのだ。ちゃんとオイル管理をしていればそう簡単に壊れるものではないけれども、ひとたび修理に出せばけっこうな工賃が吹き飛ぶのは覚悟しなければならぬ。

というわけで私のモッズ化計画はホンダのジョルノ(2014年モデル・AF70)をベース車にする感じの方向性で決まり、という塩梅で話は着地させようと思います。

しかし、しかしですね。黄色いジョルノで決まりと見せかけて、ここで思わぬ対抗馬が登場してしまったので話はここで終わらなかった。

過去にホンダは「ジョルカブ」という、レトロ風スクーター「ジョルノ」の見た目をベースにしつつ「スーパーカブ系」のエンジン&トランスミッションを搭載した珍妙な車種をラインナップしていたことがあったのです。これが、また実にヒネクレていて素晴らしいのだ。



ジョルカブ


左足のペダル操作で変速を行うジョルカブ




時代としてはまだ2ストジョルノが主役だった1999年に登場。スクーターでありながらギアチェンジして操ることができるという、まさに「ハンドチェンジベスパ」と同じような性格の変態モデルです。ベスパは左手で変速を行いましたがジョルカブはスーパーカブと同様に左足のペダル操作を行うということで、これは間違いなく乗ると楽しい系のスクーターでありましょう。ただ残念ながらセールス面ではほぼ「爆死」レベルの失敗作でありまして、たいして売れることもなく2001年モデルを最後に製造終了。短命に終わったため残存個体は少なく、また熱烈なマニアが存在することもあってプレミア価格がついております。幸か不幸か黄色は存在しなかったので、無理して探して乗ることもないのかなと思う一方で、スクーターでありながらカブのシーソーペダル式ギヤチェンジができるなんて羨ましい!!という思いも否定できず、事と次第によっては黄色をあきらめてでも乗ってみたいスクーターNo.1になってしまいました。



中古乗り出し27万円


とてもじゃないけど中古の原チャリに出せる金額ではない




なお2025年に施行される排ガス規制に適合させるのがもはや困難ということで、国内の二輪メーカーは50cc製造から撤退する方向で話は固まっております。時代の流れということもありエレキ仕掛けが主流になるんでしょう。つまり内燃機関の50cc原付は「絶滅」することが既に決定事項となっています。メーカーは「110cc〜125ccの車両をデチューンして原付扱いにする案」などを提示しつつ当局と折衝をしているみたいですが、私に言わせれば125ccクラスの巨体でありながら非力になってるスクーターなんて意味がありません。50ccは車体そのものがコンパクトなところに意味があるのです。

遠くない将来、電気はヤダけど原付は必要という人のあいだで中古50ccの争奪戦が激化することは間違いない。これに伴い中古相場も上昇することでしょう。「のどかモッズ化計画」は2025年を目処に遂行しないとダメ、というのが今日の結論です。黄色のジョルノも買えるうちにかっておかないと二度と手に入らなくなるという現実を意識しつつ、スクーター購入に向けての長期計画の策定(ロードマップづくり)をはじめようと思います。

全ては「人生に悔いを残さない為」なのであります。私の未来はどうなるのであろうか。











#33
2023年5月12日(木)
「ネットオークション出品に追われつつオオカミを語る」


ゴールデンウィークに入るちょい前ぐらいから若干の出費がかさんだので、またしても不要なものをネットオークションに出すことにした。

もう金目のものはほぼ出品して処分してしまっているので、あとはもうガラクタのような物ばかりであります。30年以上前のドイツ製キルビメータ(curvimetre)なんて入札する人はいるのだろうか。というか、そんなものを持ってる時点で私がすでに変人なのかもしれない。

ずいぶん前から古い自転車の部品とか出してるけど全然反応が無い。みんな連休は遊びにお金を使うだろうから、出品したってマトモに売れるはずは無いのだけれどもビンボ人は「1円を削り出す」という努力をしないといけないのであるから、とりあえず売れるものは売っとけ!という感じになります。

というわけで久しぶりにネットオークションに顔を出す。今回は長きにわたり「お宝」ということで売るなんてとんでもない!絶対に手放さない!!と思っていた旭光学(ペンタックス)の双眼鏡とかウクレレとかを出品する。商品写真を撮ったり説明文を書いたりマジ大変です。本当に億劫ですよね。

久しぶりにオークションにアクセスしたツイデに私も「登録済ワード」で検索したらちょっと笑えるものを見つけてしまった。



大量のぬいぐるみ


一瞬、自分の部屋かと思った




ぬいぐるみ「もふっとオオカミ」の21個セットですって。といってもコレはちっちゃいやつです。私もいくつか持ってますし、姪っ子をはじめアチコチで配った過去があります。自分で言うのもナンですけど「もふっとオオカミBIG」(巨大なタイプ)を数えきれないほどに所有しているのは武蔵野国広しといえども私ぐらいだろうという自負はある。夜中に「もふっとオオカミ」の山が崩れて雪崩のように寝床におしよせてきて目が覚めるという経験はそうそう味わった人はいるまい。



オオカミ


もふっとオオカミBIGの数なら私も負けない(これはコレクションの一部よ)




ご存知のように私は自分自身はエゾモモンガでアリクイ(オオアリクイとミナミコアリクイ)が好きなのですがなかなかどうしてオオカミも大好きであります。端的に言うと基本的に獣が好きなのですよ。原則として哺乳類はみんな友達というか兄弟姉妹。幼少の頃から動物園が大好きなのは一貫して変わることなく今日に至っております。

アシジの聖フランシスコ(イタリア語の発音を尊重すると「アッシジの聖フランチェスコ」という感じになりますが、我らカトリック教会では慣例的に「アシジの聖フランシスコ」と呼ぶのであります)はどんな生きものも神様がおつくりになったものとして慈しんだ聖人です。彼は「オオカミとお話しして町の人とオオカミを仲直りさせた」っていう話が伝わっています。

グッビオの町の人たちが凶暴なオオカミに襲われて外出もままならないと難儀していたら、たまたま町に立ち寄ったフランシスコがオオカミに会いに行き、優しく言って聞かせて最終的にはオオカミと町の人たちを和解させたのよ。その後は町の人たちがオオカミにエサをやるかわりにオオカミも悪さするのをヤメるというストーリーです。フランスの画家リュック=オリヴィエ・メルソンの『グッビオのオオカミ』という絵画がありますね。オオカミが肉屋のアニキから食事を与えられている町の風景であります。


(画像)『グッビオのオオカミ』リュック=オリヴィエ・メルソン作
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Luc-Olivier_Merson_-_Le_Loup_d%27Aggubio.jpg


オオカミの頭には金色の輪っかですよ。聖人パワーでオオカミも魂が清らかになっちゃったという感じでしょうか。お母さんに手を引かれて歩いてる女の子がもう片方の手でオオカミの背に触れてる。いいねぇ。こうなるとオオカミだかイヌだか区別がつかない状態ではないか。



イヌその1


もちろん犬は大好きなんだ!!







イヌその2


かわいいのう!!




私も主の御心を知って改心した「一匹狼」でありますから(←エゾモモンガだけど生き方は一匹狼だったという意味よ)、アシジの聖フランシスコを「よき先輩」として見習いつつ今後も「主の愛の伝道師」として生きていこうと強く思うのよね。大事なのは慈しみと愛ですよ。オレ。タチ、カリタス。



イヌその3


以前は小型犬ってあまり興味なかったけど、最近は歳のせいか「みんな愛おしい」と感じる




もう30年ぐらい前であろうか。合衆国のCBSテレビが制作したテレビドラマで『ドクター・クイン 大西部の女医物語』というのがありまして、これが大好きだったのよ。19世紀後半の合衆国西部、コロラド・スプリングスにやってきた女医さんを中心に展開する味わい深いドラマでありました。主人公のマイク先生(ミケーラ・クイン)を演じていたのはジェーン・シーモア。いささか古い話ですが『007 死ぬのは奴らだ』のボンドガールですよ。彼女は超かわいくてマイク先生はハマり役でした。

で、このドラマにはバイロン・サリーっていうロン毛のアニキ(無職?)が登場するのです。演じていたのはジョー・ランドー。彼は先住民のシャイアン族と親しい謎のワイルド系で、いつも「ウルフ」という名のデカい犬(たぶんアラスカンマラミュート)を相棒にしていて、これが何とも言えない素敵な存在感を放っておりました。放映していた当時、このサリーが超絶に私のストライクゾーンを直撃していましてマジかっこよすぎてメロメロになっていたものですよ。

ってな具合で、私は「自分はエゾモモンガである」と主張しながら「アリクイが好き」と公言してはばからないクセに、ケータイの壁紙はオオカミだったりするのだった。これはもう「車もオートバイも好きだけどトラクターも好き」みたいなもので、別に矛盾はしていないのであります。



壁紙


出たよ未だにガラケーな奴




なお余談ですがオオカミと言えば『機動戦士ガンダムAGE』(2011年10月から2012年9月にかけて放送)に登場したウルフ・エニアクルっていうパイロットが大好きでした。愛機はパーソナルカラーの白、そしてオオカミのエンブレムを入れていてかっこいいのよ。第一部では主人公のフリット・アスノを助ける良き戦友、そして第二部ではフリットの息子アスノを厳しく鍛える頼れるオッサン隊長として活躍したのであった。彼の愛機「Gエグゼス」のガンプラがゾイド「コマンドウルフ」の隣に飾ってあります、はい。

かくしてオークション出品作業をひととおり終えて、今はくつろぎのコーヒータイムを味わっているところです。ちなみにお宝のウクレレは出品した途端に秒で入札がきました。ありがてえありがてえ。あとは落札価格がいくらになるのかを生暖かく見守りたいと思います。



もふっとオオカミ


売上金がいくらになるか楽しみだワン




さーて今夜もシベリアンハスキーのぬいぐるみを抱いて寝よう。











#34
2023年5月15日(月)
「ゴールデンウィークの遠足 その1 夢見ヶ崎動物公園」


皆様は今年のゴールデンウィークはどのように過ごされましたでしょうか。月末月初が多忙な職種で休みは暦通り、という方は5月1日(月)、2日(火)の2日間は地獄の苦しみで休日出勤を強いられた方もおられるだろうと思います。また職場によっては4月29日(昭和の日)から5月7日(日)まで9連休!という方もいらっしゃるかもしれません。

「連休中は何処に行っても混んでいる」

というのは真実でありますが、かといって全く出かけないというのも寂しいものがあります。家にたてこもってテレビのニュースで高速道路が渋滞している映像を見てニヨニヨしながらお茶を飲む、というのはあまりにもヒネクレ過ぎですから私も遠足の予定を立てておりました。

この連休中にぜひ行ってみたいなァ、と思っていたスポットは2か所であります。

まずはお隣神奈川県の川崎市幸区にある「夢見ヶ崎動物公園」です。昭和47年(1972年)に川崎市が政令指定都市になった記念に開園した歴史ある動物園で、なんと入園料は無料とのこと。ここでは「マーコール」という偶蹄目ウシ科の動物(中央アジアからインドのカシミール地方やパンジャーブ地方にいる野生のヤギ)が展示されているという情報をキャッチして、ぜひ行きたいと思ったのであります。マーコールはグルグルとうねった不思議なツノをもつヤギでありまして、日本で見られる所は非常に少ないのです。まさか、こんなご近所に暮らしているなんて!


夢見ヶ崎動物公園
https://www.yumemizoo.com/


そしてもうひとつのスポットが横浜市港北区にあるショッピングモール「トレッサ横浜」です。一度行ってみたいと思いながら15年が経ってしまった。ここはトヨタ系列のショッピングモールで車の展示もしているとのことで、ふだんディーラーに行きたくても相手にしてもらえない私のような悲惨な独身者が車を見に行くのに絶好の場所なのであります。

まずは遠足第一弾ということで、動物園から攻めようではないか。私は一眼レフカメラに望遠レンズをひっつけて、前の晩にしっかりバッテラを充電して万全の体制で臨みました。公式のアクセス情報によれば川崎駅からバスで行くか、新川崎駅から徒歩(15分ぐらい)というのが主流のようですが、私は東急沿線民ということで東横線・目黒線の元住吉駅から歩いて行くことにします。「モトスミ・ブレーメン通り商店街」でおなじみの元住吉は個人的に馴染み深い街でありまして、私の学生時代はまだ地上駅で急行をやりすごす比較的「穴場」というか「地味」なスポットでありました。その後東急はすさまじい勢いで高架・複々線化工事をすすめて今はもう全く昔の面影はありません。



元住吉駅


久しぶりに帰ってきたYO




ここから動物園まではスマホのGoogleマップの経路案内を使います。オートバイだったら普通に尻手黒川道路を道なりに走って「北加瀬」の交差点で左折すればすぐじゃん、と迷う事も無いのですが、Googleマップの「徒歩」ってけっこうスリリングな道というか「原住民しか通らないでしょ」っていうレベルの凄まじい細道を容赦なく案内してくれるのでちょっとした冒険気分も味わえて楽しいのだ。

ちょっと話は脱線しますが車やオートバイを運転する際にスマホのGoogleマップをナビ代わりにする人ってけっこういるじゃん。でも正直Googleマップって音声の指示出しのタイミングが遅くないですか?徒歩だとちょうどいいけど、オートバイだと「ポーン!まもなく左です」って言われる頃には曲がるべきポイントを既に通り過ぎているような感じで、かなりイラッとしませんか?これは私のスマホが古いせいであろうか。とにかく、徒歩ではちょうどいいけどオートバイでは使い物にならないという印象があるのですが皆様はいかが。

歩いて30分ぐらいで目の前に小高い丘が現れました。これが加瀬山、この上に動物園があるらしい。のぼるルートはいくつかあるが、私が行くのは富士見坂ルート。北西から攻める感じですね。ちなみに山の東南には駐車場があるみたいだ。オートバイだったらそっちに回り込む必要があるのかね。ひとまず、けっこうな斜面を登ってゆく。



富士見坂


この山の上に動物園があるってよ




坂の途中、足元にはこんなクイズが書かれている。この足跡はカモシカかシカでしょうね。さらに上った所には答えが書いてあります。



クイズ


足跡クイズが突きつけられる!冒険の物語なら正解しないと先には進めない展開でしょうか







こたえ


めざせ全問正解ですね




こんな感じでいくつかクイズが続くのですが、こたえの動物がシルエットで描かれているのを見ていたら、ウルトラマンのオープニング映像を思い出してしまった。わかります?主題歌の流れる中、キャストやスタッフの名前が出るのですが、その背景に怪獣のシルエットが次々に現れるの。「初代」から「ウルトラマンエース」までその伝統が続いた気がする。「タロウ」ではじめて、メカが基地から発進するシークエンス映像が使われるようになってときめいた記憶がアリクイ。



ウルトラマンOP映像っぽい


ウルトラ怪獣っぽいぞ!




と、くだらないことを考えているうちに坂を登りきる。動物園だけじゃなくて天照皇大神はまつられているしお寺もあるし戦没者の慰霊塔もあるし太田道灌の碑まであったりするという、なかなかに濃いスポットであります。



到着


いい所ですなあ




さっそく端から見て回る。鳥インフルエンザ対策なのか、檻の外に厚手のビニールシートがかかっているせいで顔を近づけないと中の様子が見えない。



ビニールでおおわれた檻


離れてみると何が何やらワカランぞな、もし







プレーリードッグ


ビニール越しにプレーリードッグを見る




こんな感じで鳥類のほとんどと小動物関連いくつかは見にくい状態でありました。それでも私はひるむことなく接近して目を凝らして動物たちを垣間見。平安時代貴族の殿方が、どこぞに「イカした女がいるらしい」と聞くと必死に覗きにいっていたという気持ちがなんとなくわかる気がする。



モルモット


モルモットも必死にカメラに収めた次第




まあそんなストレスに満ちたコーナーは一部でありまして、すぐ隣のヤギさんロバさんコーナーは普通にオープンな空間でじっくり堪能しましたよ。やっぱりケモノはいいなあ。心が癒されるよホントに。



ヤギ


わぁ可愛いヤギさんがいるよー







ヤギその2


幸せそうな表情がたまりませんなぁ!




私はヒツジとかヤギとかウシとかブタとかウマとか大好きですよ。生き別れになった兄弟姉妹なんじゃないかと思うぐらい、なつかしいような熱い気分で胸がいっぱいになります。すぐ隣にはこれまた私の大好きなロバさんがいて興奮が止まらない。



ロバ


エサが「道具箱」に入っているというのが面白いね




私はスペインの詩人フアン・ラモン・ヒメネスの『プラテーロとわたし』という作品が大好きなのであります。心を病んでふるさとモゲールの街に帰り、ロバのプラテーロ(←名前)と一緒に静かで穏やかな時を過ごす日々を美しく綴る散文詩であります。

さてこの夢見ヶ崎動物公園には動物展示にあわせてかわいいイラストによる紹介がされていて、これが実に素晴らしいのであります。上に貼った写真のヤギさんロバさんの名前もこれでわかるのだから嬉しい!何よりも、なんて素敵なイラストでありましょう。ロバのカグヤちゃんの前髪解説図なんて個人的には100点満点です。愛を感じるのです。こういうのは良いなあ、としみじみする。



イラスト


素晴らしいイラスト解説




それにしても良い天気であります。動物園の開園時間にあわせて入れるように思い切って早起きして朝イチで出かけてきた訳ですが、暑くもなく寒くもなく気分は最高です。



シカもいるよ


オッス!シカちゃん元気にしてるかい?







目を閉じるシカ


気持ちよさそうだネ




広々としたシカコーナーからつぎは「サル舎」へ。いろいろなサルの仲間がいるのだけれど私は個人的にサル系の連中ってあまり好きじゃないんだよなあ。なんか人間の醜い部分を極端にデフォルメしてこっちの感情を逆なでしてくる感じがぬぐいきれず、どうしても嫌悪感を抱いてしまう。「いろは坂のサルじゃねえんだから ちったァ頭つかえよ」の台詞(by『頭文字D』の須藤京一)が効いてるんでしょうね。



ふりかえる


サル系は「自分に似た奴」がいたりするのがビミョーに腹立つ




わが心のふるさと、アンデスの動物リャマもいましたよ。リャマ、グァナコ、ビクーニャ、アルパカ、あのへんの仲間たちはみんな懐かしいわ。



リャマ


おお、可愛いリャマがいるぞー




動物園の敷地内には「飛び出し注意」のかわいい看板がありました。サッカーボールで遊んでいるレッサーパンダもいいし、レトロな車のデザインもイカす。



看板


これも可愛いイラストですね




驚くべきことですが山の上の動物園にもかかわらず立派なペンギンコーナーがあります。フンボルトペンギンがいます。その向かいにはフラミンゴのケージもありました。



フンボルトペンギン


絶滅危惧種とはいえ日本では個体数が爆増してるフンボルトペンギン







フラミンゴ


フラミンゴがいっぱい




さあ、いよいよ本日の目的地にやってまいりました。そう、マーコールであります。この動物が見たくて品川のベイスターズおばさんは元住吉駅から歩いてきたのだ。胸の高まりをおさえつつカメラの電源を入れる。おお、いますぞマーコールが!!かっこいい。



マーコール


このツノが見事であります







マーコールその2


惚れてしまうわ!!




ちなみにこの立派なツノが生えているのはオスです。メスにもツノはありますがサイズ的にはチョコンとついている程度で、すぐに判別できます。オスも若い個体は身体もちいさいしツノの存在感もオヤジ世代の「いぶし銀」のような迫力には到底およびません。いやはや、マーコールを見てさえも「オヤジ好き」という属性から離れられない私であった。うむ、たまらん。



説明板


マーコールの解説が書かれているパネル




この説明パネルの右下のマーコールの絵が上手いなと思った。市内の高校生によるものらしい。描こうと思って描けるものではありません。マーコール愛に満ちていて心洗われます。最高。



二頭のマーコール


本当に美しい動物ですねえ




という感じで私はおおいに満足し、その他の動物を見るべく「消化試合」に臨みました。おお、次はシマウマだぁ。と思ったらすごいナニが目に飛び込んできてビックリ。急遽「性教育」の時間がはじまりました!!



シマウマ


立派!股間に目が釘付けですわ




ニンゲンならモザイク案件ということでしょうが、我々は自然科学を学ぶ謙虚なる研究者として現実ありのままをじっくりと観察するのが筋であります。ということで乙女の恥じらいを捨ててシャッターを切っちゃいました。いささか度肝を抜かれたので冷静さを取り戻すべくまわれ右して心を落ち着ける。さすがにシマウマのナニはインパクトがデカすぎでしたわ。



眠るレッサー


レッサーパンダは夢の中




ポカポカと照りつける陽射しの陰でレッサーパンダがネンネしておりました。かわいい動物は寝てるだけでもかわいいのだから、ある意味ズルいよね。心地よい眠りにつくというのは誠に幸福な時間であります。悩み苦しみを忘れて安らかに眠れるなら、それだけで感謝ですよね。



気持ちよい日


それにしても天気も良くて気分最高ですな




これであらかた動物は見終わった感じですが、想像以上に素晴らしい動物園でこんな魅力的なスポットが無料だなんてありがたい話だとしみじみ思いました。私は動物公園事務所前の広場のベンチに腰掛けて、持参したパンとポットに入れたホットコーヒーをリュックから出してひと休みであります。幸せだなぁ。



名物おじさん


ぬいぐるみ満載自転車の名物おじさん登場




ベンチに座ってコーヒーを味わっていると、ウワサの名物おじさんが登場しました。ぬいぐるみを満載した自転車ですよ。その昔、志村けんのコントで「変なおじさん」というネタがありました。

「きゃー」
「あうあう」
「どうした?どうした?」
「このおじさん、変なんです!」
「誰だ、君は?」
「だれだチミはってか?そうです!私が変なおじさんです」

という一連の流れが、もはや様式美となっているのであります。

今は多様性の時代ゆえなのかどうか知りませんが、志村けんが演じた「変なおじさん」よりもよっぽど変なおじさんが現実世界に次々と登場しており、私が登録している「メールけいしちょう」では毎日のように「西五反田にて公然わいせつの事案が発生しました」みたいなメール速報が届くのであります。おぞましい性欲を解き放つ人というのは本当に勘弁願いたいですが、それを思えば自転車をぬいぐるみでデコレーションして自己実現している人なんて事実上無害ですよ実際。



昼のひととき


静かな動物園の昼




私は軽いランチを終えて、コーヒーを味わいながらしばらくマッタリと休んでおりました。気持ちよいなあ。ふと見ればリャマもネンネしております。そりゃそうだ。こんな良い気分なのだから、お昼寝するのがイチバンですよ。



眠るリャマ


スヤスヤとお昼寝タイム




それにつけても実に充実した時間を過ごすことができました。連休中にマーコールを見に行きたい!と思っていた念願が叶いました。好天に恵まれ、気持ちよく歩き、そして動物たちの姿をじっくりと見て、久しぶりに持ち出した一眼レフカメラも活躍し、これぞ休暇を満喫という感じであります。あとはもう東南の方角に下りれば公園をひととおり見終えるという事になりますが、時間としてはちょうど昼。まだ昼。ふと、

「ここからバスを利用してトレッサ横浜までサラリと行けたりしないだろうか?」

というアイデアが浮かびました。冒頭で書きましたように、この連休中に訪ねてみたいもうひとつのスポットが横浜市港北区にある「トレッサ横浜」であります。

さっそくスマホを取り出して検索してみる。こういう「出先で調べもの」が手軽にできるスマホは本当に便利だと思う。すると、すぐ近くのバス停を経由して鶴見駅に行くバスがトレッサ横浜の近くを通ることが判明。うむ、これは行ってみるしかあるまい。

ということで、急遽「午後はバス移動してトレッサ横浜へれっつごー」計画がただちに実行に移されたのであります。(次回につづく)



動物公園案内図


本当に素晴らしい動物園でありました




何はともあれ「夢見ヶ崎動物公園」は間違いなくオススメのお散歩コースであります。繰り返しになりますが入園は無料、しかも貴重なマーコールの展示があります。今回はトレッサ横浜を目指すことになり東南エリアの視察を断念してただちにもときた道を下山してバス停に向かってしまったので肝心な「駐車場(オートバイを停めるスペース)の視察」が不十分なまま撤収してしまったのでありますが、いずれまたマーコールに会いに来ようと思った次第です。余談ですが「夢見ヶ崎動物公園」に行く人はお弁当と水筒を忘れずにね!











#35
2023年5月19日(金)
「ゴールデンウィークの遠足 その2 トレッサ横浜に行く」


話は前回の続きであります。午前中に「夢見ヶ崎動物公園」をひととおり見終わってしまい、持参したパンとコーヒーで軽くランチも済ませたのですが、「ひょっとしてココから横浜市港北区のトレッサ横浜までバスでサラッと行けたりしないだろうか?」とひらめいて、リュックからスマホを取り出し経路検索を行ったのです。

すると何と!近くのバス停「北加瀬二丁目」を経由してJRの鶴見駅西口に行くバスがあるという。その途中「駒岡不動尊前」で下車すればトレッサ横浜まで歩いてスグ、ということが判明しました。

さて皆様は「トレッサ横浜」はご存知でしょうか。もともとはトヨタの工場や物流センターがあった広大な敷地につくられた、株式会社トヨタオートモールクリエイトが運営する複合型商業施設であります。トヨタとダイハツのディーラーが揃っていて新車を展示するコーナーと、様々な専門店が入ったショッピングモールによって構成された「車を見ることができる&買い物も楽しめる」という実にイカしたスポットなのです。


トレッサ横浜 オフィシャルサイト(公式)
https://www.tressa-yokohama.jp/


私が東横線を利用していた学生時代や横浜OL時代にそんなものはなかった。私としては「いつのまにか登場した」という印象なのだけどモモンガ母に聞いてみるともう10年以上むかし、完成したばかりの時に行ってきたとのこと。ちょっと自慢に聴こえてナンか悔しかったYO。

「トヨタの最新車種が普通に見られる」というのが、実にヨイではないですか。今の私は「とても車を買える身分ではない生物」でありますから、車の販売店に行くことなど夢のまた夢であります。ディーラーは「冷やかし」で行けるほどお気楽な場所ではありません。トヨタ・シエンタの実車を見たいなあ、と思ってもせいぜい店の外からウインドウ越しに見るのがやっとで、店内に突入するなどもってのほか。

しかしトレッサ横浜なら施設内に普通に展示されている、というのだから、シエンタの実車を間近に見る最大のチャンスですよ。

「北加瀬二丁目」のバス停は、私が動物園に来るときに最初にのぼってきた富士見坂をおりた所にあるという。しかも間もなくバスが来る時刻だというから、私はすぐに撤収してもときた道を引き返し、坂をくだっていきました。おかげで「夢見ヶ崎動物公園」にオートバイで行った時の駐車場所の下調べを果たすことができないまま「次回への宿題」として持ち帰る結果になったのであります。



停留所


おお!臨港バスじゃないですか!!




「川崎鶴見臨港バス」は神奈川県川崎市に本社があり、主に川崎駅、鶴見駅を発着する路線をメインとする歴史あるバス会社です。京浜急行電鉄の子会社で京急グループに属しており、私の母方の祖父母の家がまさに臨港バスエリアということで個人的には幼少時から大変馴染みのあるバス会社なのです。さすがに今はそんなことは無いと思いますが、子供の頃は「臨港バスは運転が荒い」と言われていて、走行中はしっかりつかまってないと危ないよとか聞かされたのです。「逝っとけダイヤの鉄道屋」と恐れられている爆走列車の京急の流れをくんでいたのでしょうか。私自身はそんなに「運転が荒い」とは感じなかったのですが、これはひょっとすると私の運転が荒いから気づかなかっただけなんでしょうか。


川崎鶴見臨港バス(公式)
https://www.rinkobus.co.jp/


今はマスコットキャラクターの「りんたん」がいるぐらいですから、運転もマイルドなんじゃないでしょうかね。(←適当)



バス到着


臨港バスが来たぞ




私の子供の頃は銀色のボディに濃紺のストライプという模様でしたが、今はシャレオツなトリコロールですよ。実を言うと私はバスに乗ると緊張してしまうという謎の属性をもっており、土地勘のない場所のバスに乗るといいようのない恐怖で泣きたくなるのですが、今回は鶴見駅行きの臨港バスということで気持ちに余裕があります。誤って乗り過ごしても、馴染みの鶴見駅に着くだけですから気楽なものです。

余談ですが路線バスって、たとえばウチの周辺とかだと前の扉から乗って先に運賃を支払うのですが、地域によっては後ろの扉からのって運賃は後払い(しかも乗る距離がのびれば料金が上がる)とか、いろいろあるじゃないですか。乗車時に整理券を取らないとダメとか、作法もいろいろあって混乱します。PASMOで乗る時はどうすりゃいいの?みたいな感じですごい恐怖。武蔵五日市から西東京バスに乗れ!とか命じられたらマジで恐怖しかない。ダメだ私は本当にバスが苦手だ。

まあ臨港バスは前の扉から乗ってPASMOをピッ!とやればOKですよ。さいわい一人掛けの席も空いていたのでリラックスして乗ることができました。車内を見まわしたら反対側の窓の上にイカした表示があって興奮する。



号車表示


この車両は鶴見666号車ですぅ




666とかいってマジで私のラッキーナンバーじゃないですか。東ドイツ陸軍第666戦術機中隊みたいでカッチョエエ。これは幸先いい感じですわ。今日はぜったいに何かいい事あるね。

とかいって身体をクネらせている間に「駒岡不動尊前」に到着。下車してトレッサはどっちだ?と周りを見まわす。目視する範囲内にはそれらしい施設が見当たらないのでリュックからスマホを取り出してマップを確認したら、ちょっと歩かないといけない感じでした。まあ天気もヨイので気分よく歩けますよ。お、見えてきました。



トレッサ横浜


到着したよ







トレッサ横浜南棟


うわっマジでデカい施設だわ




作戦は決まっております。今日は時間もたっぷりあるから、まずは車の展示があるという北棟をめぐり、トヨタの車をじっくり見て回ったのち、こんどは環状2号線を挟んで建っている南棟に行って片っ端からお店をチェック、そしてさいごにオートバイの駐車スペースを確認して撤収するという段取りで行こうと思う。いやぁ自分で言うのもナンですけど私の計画はいつも万全で抜かりが無いわ(自己陶酔)。

外階段をのぼって北棟に突入する。いやその、1階には車の出入口があるのは見つかったのですが我々ニンゲンの入り口がどこだか分からないのであった。ということでいきなり2階から侵入するという暴挙に打って出た次第。まあ、入ってビックリですよ。いちおう事前の予習により、

「北棟は、横浜市の姉妹都市であるフランス・ローヌ=アルプ地域圏の首府、リヨン市旧市街の街並みが再現されている。とくにライオン像、レリーフ、だまし絵、マンホールはすべてリヨンで特注したものである」(Wikipediaより引用)

という予備知識は得ていた訳ですが、想像以上にシャレオツな空間がひろがっていて割と本気で感動してしまいました。普段、品川区五反田界隈で日陰の道をあゆむ冴えない日々を送っているものですから、トレッサの建物の中の華やかさが想像していたよりもはるかに上をいっていて、実に見事であり、ああ良いなァと晴れやかな気分になったのであります。



らいおん


これがウワサのライオン像か




いたるところにトレッサ15周年を祝う飾りつけがしてあってお祭り気分を高めています。なかなかに心がはずむ雰囲気に満ちていて実にいいですなー、と思いながら歩いていたらさっそくトヨタの車がズラッと並んでいる光景が目にとびこんできました。うわっこりゃすごい。とりあえずは1台ずつ順番に見て回るしかないな、と思ったらすぐそこに「とりあえず今回の本命としてじっくり見たいである」と決めていたシエンタがあった。



シエンタ


シエンタ!!って最初に目が行くのはソコですか




そういえばシエンタのCMにかわいい犬が出てましたよね。って、ぬいぐるみじゃなくて車を見ろ、車を!!



本命の車


おお、ほどよいサイズでいい感じではないか




いきなり値段を見てひるむ訳ですが(サラリと252万円と書いてある)、それよりも恐ろしいのは価格の下に書いてある「オススメ 長期分割型プラン 月々9,800円」という表示であります。それこそ車両本体価格だけで250万を超える車を、月々の支払額わずか9,800円でどうにかなるモノなのか?どう考えても生活水準に不相応なローン支払い計画ですよ。なんか現代の「闇」を垣間見た瞬間であります。まあ、そんなことはどうでもいい。車をじっくり見ていきましょう。

最近は怒ったような顔つきの車が多いのですが、その点シエンタは愛嬌があるとは言えないまでもマイルドな表情で変な威圧感は無いのが良い感じです。今では当たり前のことですがバンパーも綺麗に塗装されていて、私のようなヘタクソがこすったら修理代で頭抱える未来が手に取るように想像できる上質な仕上がりです。



後席ドア


後席の左右スライドドアはいいね




天井が高くて後席もゆったりしていて、スライドドアで利便性も高そうです。床が低くて驚きます。今はこういう、車内広々の日本流ミニバンタイプの車種が大人気ですが、日産プレーリーは本当に先見の明があったなァとしみじみ思う次第であります。プレーリーは時代を先取りしすぎていたんだね。

うしろにまわって荷室をチェック。かつてTVKテレビ神奈川で我が心の師匠である三本和彦さんが「新車情報」という長寿番組をやっていましたが、10センチごとに目盛りがふってあるゼブラ柄の長さ1mの棒(俗称:不躾棒)を用いて荷室の高さやサイズを計っていたのをしみじみと回想しておりました。私も巻尺をもってくれば良かったな。シエンタの後席がどんなふうに畳めるのかはわかりませんでしたが、ちょっと原付バイクを載せるのは無理かなって感じでした(←どういう基準で判断してるんだよ)。まあ、シエンタはいい車でしたよ。私が言ってもなんの説得力もないけどオススメです(※説得力ゼロ)。あれでボディカラーに黄色が選べるなら私自身も乗ってみたい感じよ。



黄色い車


要するにボディが黄色なら私はナンでもいいんじゃないかという噂がある







ハチロクかな


あ、この辺は私のハートに刺さる車たちが置いてある感じですね




なんか気づけばこういう2ドアクーペって絶滅しましたよね。私は幼少期に「スーパーカーブーム」というのがあって、トヨタで言えば上はソアラから下はサイノスまで、っていう感じで2ドアのかっこいい系の車が当たり前にラインナップを賑わせていてました。ファミリーカーと呼ばれる4ドアの乗用車にもスポーティなグレードが用意されていて、カローラやスプリンターのセダンにもGTがあった訳ですよ。あとホットハッチと呼ぶんでしょうかボーイズレーサーと呼ぶのが適切でしょうか?スターレットのターボSやカローラFXの1600GTみたいなスポーティな3ドアハッチバックも人気でした。トヨタはほかにもセリカがあったしコロナクーペはあったし、たしか一代限りだったけどカレンっていう素敵なクーペもあった。今ではみんな遠い夢の記憶ですよ。



スープラ


おや?あのコーナーに私は呼ばれてる気がする







懐かしのスープラ


うわぁスープラじゃないですか!!




まさかのA70型スープラです。発売された時のキャッチコピーは「TOYOTA 3000GT」で、新聞の一頁をまるごと使った広告で日本の自動車ファンに計り知れない衝撃を与えたのであった。さすがにエンジンの型式はおぼえてないけど3000ccのモデルは最高出力230PSっていうのは心に刻まれています。ここに展示してあるのはマイナーチェンジして登場した2500ccのDOHCツインターボですね。黒も精悍な印象でかっこいいけど、私は深みのあるワインレッドのボディが好きでした。いやぁ目の保養になります。かっこいい車は10年経とうが30年経とうが永遠の輝きを放つのであります。現行のスープラって730万円するらしいじゃないですか。おそろしい話ですよ。



スポーティなモデル


そうそう、こういうのが良いのですよ




この白い車は現行のハチロクでしょうか。もうだめだパッと見ても車名が分からない。最近の若い芸能人の女の子がみんな同じ顔に見えて区別がつかない現象みたいな感じでしょうか。それって普通に老化現象じゃないですかやだー。



ハイラックス


ピックアップトラックのハイラックスにもGRスポーツのグレードがあるみたいよ




いま国内でピックアップトラックを販売してるのってトヨタだけじゃないでしょうか。三菱もトライトンは国内販売やめちゃったし。やっぱりトヨタの体力というか底力というか、衰退している日本国内で今なおフルラインナップ体制で販売できるのはすごいなと思う。トヨタがハイラックスサーフでガンガンに攻めてるときに我らが日産はテラノの出してバチバチにやりあったのも今は夢の跡。テラノもダットラ(ダットサントラック)も、もういない(涙)。

トヨタでもアルファードとかヴォクシーとかノアとかは興味ないのでスルー。ツイデという訳ではありませんが、ダイハツの車も展示されていたから堪能させてもらった。個人的にはスズキ派ですが、ダイハツがいてこそスズキも頑張れるみたいな部分はあるから、応援しているメーカーであることに変わりはありません。



キャンバス


この車は愛嬌があって素敵ね




デザインといい色づかいといい最高ですね、ダイハツのキャンバス。このちょっとおとぼけ顔な感じのフロントマスクは素晴らしいと思います。人間もそうだけど性格は表情に出るのよ。意地悪そうな顔してる人は実際いじわるですからね。キャンバス、きみは間違いなくいい子だよ。



ファンクロス


たくましい感じで、これもイイ




この「ちっちゃいボンネットがつきでた背高ノッポのワゴン」っていうのが今のメインストリームです。実際に軽自動車の規格内で理想を追求したらこういう形状がファイナルアンサーになるのだろうと思います。スズキもホンダもダイハツもみんなメイン車種はこんな感じですもんね。荷室に原付を積みたい(←また言ってる)みたいな極端なことを言い出さない限り、実用の車としてはこのタイプが一番便利だと思います。運転席からの視界もよくて、いい車でしたよ。まあ軽自動車とはいえ値段がすさまじいですが。



タフト


天井が窓(サンルーフ)というのは今どき珍しい




タフトという懐かしい名前で復活した車も実物を見ることができました。初代タフトはジープタイプのクロカン四駆で、ブリザードと言う名でトヨタでも販売していたのであります。タフトはモデルチェンジしてラガー(ビールじゃなくてラグビー選手の方ね)と名を変えてモダンな四駆に生まれ変わるのですが、それをまたトヨタがブリザード(二代目)として売っていて、この二代目ブリザードが大好きでした。時代的には三菱パジェロが登場して大旋風を巻き起こしていたし、根っからのトヨタ党の人は普通にランクルに乗っていたから、ラガーとブリザードは「空気」と化して走っているところをほとんど見たことがなかったという悲しい現実がありました。ブリザードについて語りはじめるとまた長くなるので今日はヤメておこう。なんにせよ現行タフトはサンルーフがあるのが最高。でもラインナップから黄色が消滅しました(号泣)。やっぱり黄色は売れないっすね。

と、ひととおり車を見てまわったらけっこうな時間がかかりました。逆に言うとトレッサに来なければこんなにたくさんの車種をじっくり見てまわるのは不可能ですから、来てよかったです。私は単身で車のまわりをウロチョロしていましたが、奥のテーブルでは普通にお客さんが営業担当者と商談しているっぽい風景も見ましたから、トヨタ&ダイハツの車が好きな人には本当におすすめです。私も大満足であります。



展示スペース


行く価値、オオアリクイ!!




車を見終わった後は上のフロアに行ったりしてグルリと巡回。いろいろなお店が入っていてお買い物もはずみそうなスポットです。リヨンの街の雰囲気+クルマ見放題+お買い物も楽しめちゃうとかいって、控え目に言っても超絶オススメな商業施設であります。トイレに行ったら当然ではありますが綺麗なトイレで気分よく使えましたし、この時点でまだ半分(このあと橋をわたって南棟に行くつもり)と考えるとマジで広い。私みたいな「おのぼりさん」だと、つい元をとろうとして(?)全部まわらないと気が済まないけど近所に住んでる人は買い物の目的を絞り込んでお目当てのショップだけピンポイントで訪ねるのでしょうね。そうしないと体力がもたない。

2階には「リヨンブリッジ」と名付けられた連絡通路があり、これを渡ると南棟であります。南棟は1階から3階まで専門店がいっぱい&レストランもある「おサイフが危ういエリア」となっており、浪費癖のある人はむしろ近づいてはいけない場所かもしれません。まあ、所持金はないけど見るだけ見てまわろうではないか。

ということでリヨンブリッジを渡り始めたところ、何か左足に違和感をおぼえる。どうも股関節から下の感触がヘンである。そのうえ、私が歩みをすすめるたびに、なにやらペッタラ、ペッタラと謎の音がする。

うむ。いやな予感がする。

私はペッタラペッタラと音をたてながら連絡通路を渡り終え、南棟に到着しました。別に股関節が痛いわけではない。ただ歩きにくい。そして音がする。私は南棟に入ってすぐ脇にそれて柱の陰に身をひそめ、左足に目をやった。あ、わかっちゃった。やっちまった…



靴底はがれる


ガビーン!靴底崩壊(泣)




そりゃあペッタラペッタラ音がする訳ですよ。歩きにくい訳ですよ。この夏、オートバイを乗るのに使ってシーズンを終えたら引退させよう、と思っていた靴がどうやら限界に達しました。私が想定していたよりも早く天寿を全うしたという結末であります。



はがれた靴底


ちょっと触ったら完全に取れてしまった




突然ですが皆様は外出中に靴底がはがれたことはございますでしょうか?私はこれが二度目です。さかのぼることン十年前、就職活動をしていた時じゃった。いちおう自分的には「第一志望」にしていた会社の面接をつきすすんで、勤務地の現場視察?に行かされたことがあった。その時にけっこうな距離を歩かされたのですが、なんか足に違和感をおぼえてふと靴をみたらヒールが崩壊していたのよ。ふりかえると私が歩いてきた道に点々と靴の破片が粉のように落ちているの。そして、私が歩くと「ヘンゼルとグレーテル」の話で森の中で白い石を道しるべに置いて行く展開のように、靴の破片がポロポロと落ちてゆくのだった。そして私は歩くにつれて徐々に身長が低くなってゆくという。一緒に来ている応募者が気づいてしまい「あなたダイジョブ?」とか言われてガビーンですよ。視察を終えて家に帰り着いた時はすでに「事実上ハダシ状態」に変わり果てていたという悲しい物語よ。

まあウダウダ言っても、靴底がはがれちゃった時点でゲームオーバーですわ。くやしいから記念撮影。



トレッサ靴底


映えるね!バエルネ!!涙




同行者がいない、というのが不幸中の幸いであろうか。これがもし、誰かと一緒であったなら、笑いのネタとして一生言われ続ける運命になるところだった。ひとりで行動している日でよかった。私はあくまでも自然体を装いつつリュックをおろし、お昼に食べたパンの包み等のゴミが入ったレジ袋に、さりげなく靴底を仕舞った。あたかも日常よくある風景のように、その動きに不審な点はなかったという。いま、私の左足には靴底が無い。脚の長さが左右で違っちゃうのである。もう普通には歩けない。ということで、南棟をめぐるのはあきらめて撤収することを決意しました。

どう見ても「歩き方が変な人になってしまいがち」なので、そこを持ち前の演技力で自然に歩いている風をよそおいつつじわじわと前進し出口を目指す。フロア案内を見て「綱島駅行きのバス停」の場所をさりげなく、非常に自然体な感じでチェックし、普通に歩いてる感じをアピールしながらまっしぐらに出口に向かう。まあ普通に歩けるはずは無いですから、すでに挙動不審者であります。やばいな。

変な歩き方をしていたら出口に至る前に股関節がイヤな感じになってきまして、このあとバス停まで行きついても息をつけるのはバス乗車中だけでその後電車に乗って下車したら家まで歩くのかと思うと絶望的な気分になる。むろんトレッサの中に靴屋さんはあるけど私の財布の中には購入するだけの資金がない。



オシャレスクーター


この写真を最後にトレッサでの消息を絶ったエゾモモンガがいたらしい




ようやくバス停に到着して心を落ち着かせる。ふり向けばトレッサ南棟ですよ。ナンも見られなかったZE。ちくしょう、おぼえてろよ!!



トレッサを後にする


アクシデント発生でショップめぐりは消化できなかった







バス停


さあバスにのって綱島駅から帰途につくんだ




なんだかすごい「負け戦」になってしまった。あの前半の、北棟で車をじっくり見ていた時間がもうずいぶん昔のことのように思われる。なんか振り返れば私の人生って本当にこんな感じだよなあ。最後までマトモに何かを成し遂げたっていうのが無いんだよなあ。禍福は糾える縄の如し。いい時もあれば悪い時もある。なんか、濃い一日だったな。



綱島駅


やっとの思いで綱島駅に到着、しかしここは通過点にすぎない




バスをおりるときに足首をグキッってやりそうになって焦りましたよマジで。このあとは東急線を乗り継いで…ああ、気が遠くなりそうだな。しかも東横線は座れなくて一本足で立ってましたよ。ああそういえば今日は午前中にフラミンゴを見たっけな。

目黒線に乗り換えて座席を確保してホッとした私であったが、それもまだ通過点にすぎないのだ。YOUさ、不動前の駅から西五反田まで歩いたことあるかい(涙)

やっとの思いで帰宅しましたよ。もうね、午前中にウキウキでマーコールを見ていたのがウソのような、そしてトレッサに着いてニヨニヨしながら車を見ていたのが全て幻だったかのような、思ひ出の全てが「靴底事件」で上書き保存された一日でありました。いやーマジで疲れました。

「夢見ヶ崎動物公園」の名の由来である「夢を見てうんぬん」というのは、室町時代の太田道灌(おおた どうかん)が城をつくろうと候補地をあちこち検討していた時に加瀬山に目をとめたのだが、なにやら悪い夢をみたのでココに城を築くのはヤメておこうということになったという話からきているらしい。余談ですが私の子供の頃は東京都庁は有楽町にあって太田道灌の像が建っていたのだよ。太田道灌の「山吹の里」の伝説って知ってます?あの話好きなのよ。若き日の太田道灌がオノレの教養の無さを恥じて、その後は学問にも心を注いだというあの話ですよ。まあ私もいいかんじに悪い夢を見ることができました。(号泣)



太田道灌


疲れたネ




前半から中盤にかけては終始自分のペースでいいかんじに試合を展開していたのに、9回ウラでまさかのサヨナラ負けを喫したような遠足の記憶として鮮やかに脳裏に刻み込まれてしまいました。またひとつ人生を豊かにする思い出をつくってしまったわ。

翌日、股関節が痛くて寝床から起きられなかったのは言うまでもありません。(完)











#36
2023年5月23日(火)
「ゴールデンウィーク報告は続く ライディングブーツ購入に向けて」


前回のモモ通で書きましたように、私は連休中のSuper大企画ということで「夢見ヶ崎動物公園」と「トレッサ横浜」をめぐるという遠足を敢行し、多大な戦果をあげたものの最終的には靴を失うという致命傷をこうむったのでありました。

いちおう「もう長年履いてきてボロボロになっているので、今季のオートバイライディング用シューズとして活用した後で引退させる」という方向で心づもりしていたのです。しかし自分が想定していたよりもずっと早く靴底がはがれて終了という結末を迎えました。

その結果、今はオートバイに乗る時に履くブーツもしくはシューズが無いという状態です。

マニュアルシフトのオートバイは左足のつま先による踏み込み・かき上げの操作で変速を行うのが主流で、普通のスニーカーなんかでこれをやっていると靴の先端上部をあっという間に傷めてしまうのであります。やはり専用のブーツや靴を履きたいところです。

ライディングブーツもしくはライディングシューズは、主たる目的によってさまざまなタイプがあります。すごく雑に言うと舗装路を走る「オンロード用」と未舗装路・悪路を走る「オフロード用」に分かれます。そしてどちらも、専用のコースを走る純粋な競技用からカジュアルな見た目のものまでさまざまな展開を見せます。

休日にオートバイで出かけるのが趣味とひとことで言っても「純粋にライディングを楽しむ人」と「目的地まで乗って現地で観光地巡りや食べ歩きを楽しむ人」とでは、求めるものが違ってきます。当然ではありますがオートバイの違いはファッションの違いにも結び付きます。スポーティな車種に乗る人は万一の際の防御性能も重視する傾向が強いですし、映画『イージー・ライダー』のような雰囲気を好む人は極端なバイクウェアをそのまま着用するよりもアメリカン・カジュアルなスタイルをうまく取り入れるように思います。他方、プロテクション性能はさほど重視せず、ぱっと見てバイク乗りとわからないような自然体のファッションで乗るのを好む人もいます。

ひるがえって私はどうかと言えば、オートバイに乗る時はオートバイ乗りのコスプレをしたい的な「ねじ曲がった変身願望」のようなものを抱いており、ちっちゃいオートバイしか乗れないクセに過剰装備と笑われるほどのプロテクターにまみれながら「私はオートバイで来ました」っていう無駄なアピールをしつつ自己陶酔に浸るというのを至上の喜びとしております。

なおかつ、大都会横浜で生まれたにもかかわらず幼少時よりウエスタン東京の山岳地帯に身柄を送られたという悲惨な経歴が私をアウトドア莫迦の野人にしてしまった為、オフロード系バイクの世界が好きという謎属性を魂に刻み込まれてしまいました。何しろ駅からウチの集落に向かうには幹線道路のバス停から15分ほど急な山坂道を登る必要があり(当然、未舗装)、割とマジで出没しまくるニホンカモシカとともに山を登り下りして育ってしまったのだから道といったら未舗装路を走破できないと家に帰れないのであります。

そういう次第で教習所に通うにあたりmyヘルメットを買う際は迷わずオフロード用ヘルメットを買ってしまった。で、最初のオートバイとしてTDR80を買ってしまったこともありブーツはこれまたオフロード系(ガエルネのエンデューロ用ブーツ)を買ったという経歴であります。

で、以前オートバイに乗っていた頃のブーツなんてもうとっくに処分していて手元にない訳ですから、さあ今回はどうするよ?という話です。

はっきり言いますと車種すら判然としていないのであります。以前書きましたように私は人生でやり残した事として「かつて若者の最先端文化だったモッズスタイルのように、スクーターでファッショなるブルにキメ狂ってイキリたい」という願望があります。オシャレなスクーターのある生活ってなんか素敵ですね、という潮流をまたこの世に根付かせたいという強い思いがあります。でも端的に言ってスクーターならどんな靴でもOKということになります。何も今ムキになってライディングブーツを買う必然性は無いのであります。

そもそも手元のお金が乏しいですから、働いていた頃のように「ガエルネ」や「アルパインスター」の高級品などハナから買える訳がありません。



アルパインスターのブーツ


個人的にはこういうのが欲しいのだけど値段がネ




ということで、オートバイ乗りにとってはお馴染み、日本が誇る名門ブランドのコミネのベーシックな靴を買って当面の間は乗り切れたらいいなと思う。たとえばBK-061というモデルは税込11,880円です。めちゃくちゃかっこいい訳はないけれどどんなオートバイでも普通に乗れるでしょう。これを秋〜冬〜春に履いて、あとは暑い季節用にメッシュのタイプをもう一足追加できたら充分ではなかろうか。



コミネBK-061


コミネなら間違いなし、価格と性能のベストバランスよ




靴のサイズというかフィット感は「実物を履いてみないとわからない」ですから、置いてある店に一度リサーチしに行きたいところです。しかし残念な事ですが私の行動範囲内のバイク用品店は3軒、消滅しました(涙)。まずはナップス世田谷が消滅。続いて大田区のニコク沿いにあった南海部品が閉店。大田区の環七近くの2りんかんも閉店。電車でサラッと行けるような所はもう無い。強いて挙げるなら「ラフアンドロード川崎店」でしょうか。略称「ラフロ」。先日、夢見ヶ崎動物公園を訪ねた時に下車した元住吉駅から歩いてスグです。

かくして、私は連休中の遠足第二弾として「元住吉に舞い戻ってラフロでコミネのサイズチェック計画」を実行に移したのであります。ラフロ川崎店ではガエルネを買った思い出もあるのだ。あそこはオリジナルでツーリング用に軸足をすえた製品を出しているし、店舗ではなんとキャンプ用品も扱っている。何よりも素晴らしいのはオフロード系の品ぞろえが他のバイク用品店にくらべて圧倒的に充実しているのだ。



元住吉駅


元住吉駅!また帰ってきたYO




連休中二度目の「元住吉駅下車の旅」であります。今日はお店に直行して、ひたすらライディングブーツ、シューズをリサーチすることを目的とした偵察任務であります。え?財布の中?野暮な事を訊かないで下さいよ。今日も財布の中はキャッシュがレスなんです。買う気はゼロって事じゃん。ま、いつもの事ですよ。



お店に到着


目的地ラフアンドロード川崎店に到着




階段をのぼってすぐ右手にオフロードブーツのコーナーがあるんだよね。ほらあった!私の好きなガエルネだぁ。いいねえ。



ガエルネ


ガエルネのファストバック・エンデューロ




おお、いいじゃないですか。これですよこれ。この感触ですよ。オフロード用のブーツはテンション上がるんだよなあ。コスプレ感はMAXIMUM状態でメーターを振り切るレベルです。これ履いてるだけで「ああこの人はメインはオフ車乗りなんだろうな」と察してもらえる訳ですよ。



ガエルネのブーツ


割とマジで最高です




でも逆に言うとこれ履いてどこ行くんだって話ですよ。悪路で転倒して岩にぶつけた骨が砕けるという可能性は下がりますが、そんな機会ないわけですよ常識的に考えて。夢見ヶ崎動物公園を歩き回るには不向きなのも明白です。脱着が大変だから、旅先で「おう、座敷にあがって蕎麦を食べよう!」という時も大騒ぎになります。みなとみらい周辺に出向いても場違い感がハンパない。あからさまにヘビーデューティ過ぎです。



定番商品


こちらは昔からある定番モデル




なお余談ですが靴のサイズが同じ表示でもメーカーによって差があることは皆様もご存知の通りです。同じサイズにしてはキツめのブランド、もしくはその逆のパターンもよくあります。しかし、このガエルネというメーカーはもっとひどくて同じガエルネの製品でもモデルによってサイズ感がバラバラなのです。こっちのブーツだと25cmが丁度よくて、別のモデルだと27.5cmでピッタリ!なんていう珍現象が当たり前です。多少の違い、というレベルではなくて統一感がまるで無いのです。何を基準につくってるんだ?と言いたくなる。公式サイトでもそれを明言しており、モデルごとのサイズ選びのための目安を検索するページを用意しているほどです。


ガエルネサイズ計測システムG-FIT(ガエルネ公式)
https://www.japex.net/gaerne/g-fit/


「ガエルネ製品はライディングを想定した作りのため、サイズ感が一般のシューズと異なります。またモデルごとに、ラストやソールの形状、ソールの製法も異なりますので、それぞれサイズ感の違いがあります。各モデルのソールやラストのデータを元に、サイズチャートをご用意しましたので、サイズ選びにご活用ください。」

うむ、うまく言ったものだな。しかしこの"G-FIT"サイズ計測システムですら確実とは言えません。改良されたモデルにチェンジしたらサイズ表記も変わってしまったというのが当たり前に存在ます。ということでガエルネのブーツが欲しい人は雨が降ろうがモモンガが飛ぼうが絶対にお店で試着しないとダメです。他のメーカーと同じような気分で「前に履いてたのと同じサイズなら大丈夫でしょう」などと気軽に買えるブランドではありません。靴であれ服であれ、ここまでサイズ表記が統一感ナシでバラバラなメーカーを、私は他に知りません。



アルパインスター


お、アルパインスターもある!




私がYZF-R15に乗っていた時に履いていたのがアルパインスターです。オンロード用のブーツで、フィット感が抜群でした。つくりが固くて歩きにくいのが残念ポイントでしたがオートバイを運転している時は本当に身体と車体がダイレクトにつながっているかのような快感がありました。



サイズが合わない


自分のサイズが無いのが残念




やっぱアルパインスターはいいなあ。欲しいなあ。残念ながら店頭在庫のみでメーカー在庫は払底していて「サイズが選べません」状態でありました。まあ、仮に在庫があったところで、そもそも価格的にお前買えるのかよ状態なのは言うまでもない。



ガエルネもサイズ無し


ガエルネもサイズが無いノダ




かくいう次第でオフロードブーツを長時間にわたって見ていたのですが、そもそも今回の目的は「コミネの靴のサイズチェック」であります。ハナからガエルネやアルパインスターのような高級品は買うつもりはないというか買えないのだった。さんざんオフロードブーツを履き倒したのち、私はサラリと移動してオンロード用ブーツ&シューズのコーナーに向かいました。そして、結論としては


コ ミ ネ が 置 い て 無 い


という割とアッサリと斬り捨てられて私は討ち死にしたのであった。おいおい、コミネのブーツ類は取り扱いゼロじゃんよ。サイズ感を確かめるも何もスタート地点にすら立てなかった次第。RSタイチの高級ブーツを並べられても私には歯が立たないのです。あふれ出る場違い感。今日は、今日のところは、これぐらいにしておいてやろう、という感じですよ。そうかそうかラフロにコミネは無いか(涙)。交通費かけて出てきた意味が無かったYO。いやー今日も敗北したわ。帰ろ、帰ろ。

なお余談ですがFOXのオフロードジャージですごく気に入ったのがありました。派手派手なのが多いオフロード系ブランドのアパレルって好きなんですよ。せっかく来たからこれだけでも買いたいなと思ったけど財布的に討ち死にしました。



オフジャージ


カラーリング的に超好みです




オートバイ用品は何であれ値が張るのであります。ライディングブーツに限った話ではありません。グローブも高いしジャケットもパンツも高い。これは今に始まった事ではなくて昔から変わらない真実であって、騒ぐほどの事ではない。ましてやこの物価高ですよ。いろんなものが価格改定されており、心の中にある「モノの値段」のモノサシもアップデートしていかないとダメなのだった。

話はそれちゃうけど管楽器なんかもすさまじい値上げしてますからね。「貴金属の高騰」なんていう要因まで加算されて数年前まで120万円だったフルートがいつの間にか200万円になってるレベルの惨状ですよ。もはや庶民の財布からは煙も出ない。

ひとまず私は心を落ち着けたのであった。コミネのライディングシューズの実物チェックが出来なかった事はかえすがえすも残念ではあったが、そもそも論として私オートバイ持ってるのかよ?って話ですよ。「モッズみたいにイキりたい」とか並べてるけどライディングシューズが無くても事実上損害ゼロじゃんみたいな。というわけで私は軽く自爆スイッチを押したにすぎなかった。「ホンの致命傷で済んだ」という表現が適切ではなかろうか。



駅に戻った


さぁ帰ろ帰ろ




こうして今日の対局は終わったのであった。今の時点でこのゴールデンウィーク期間中のイベントは通算1勝2敗というところであろう。価値ある1勝は言うまでもなく動物園を堪能したことであり、惜しくもゲームを落とした二つの黒星は「トレッサで靴底がはがれて半分しかまわれなかった」と「わざわざラフアンドロードの店舗まで行ったが収穫は何も無かった」という内容で、たしかに負けは負けだが明日に希望をつなぐ敗北であった。なぜなら金額的に損失を出した訳ではない(←今日の交通費は考えない事とする)。イベントは失敗に終わったがひとすじの人生として考えれば有意義な時間を過ごしたのです。いわば精神的には勝ったも同然と言えるのではないでしょうか。

案ずることは無い。まだ次回のモモ通ではゴールデンウィーク中のネタが続くのであります。ここまでの話は、連休前半に起きた出来事を綴ったにすぎません。

だもんで(←静岡の人が言うセリフ)次回もゴールデンウィークのネタが続きます。ほなまた!!











#37
2023年5月27日(土)
「ゴールデンウィークにサッシの鍵修理」


ゴールデンウィークはとうの昔に過ぎ去っていますがまだ語るべきネタがあります。こう見えてもいろいろと頑張ったのです。ということで今日も連休中の出来事を報告したい。

今日の話は「住んでる部屋のサッシの鍵を交換修理した」という内容であります。内容的にはこれでほぼ全てなので、仮に今超絶に忙しい人とかは無理に読む必要がないかもしれません。

私は幾度も転職や転居をしてきた過去がありますが、もう過ぎ去った日のことはおいておくとして現時点では品川区の比較的ダサいエリアのオンボロ物件で湿った暮らしをしています。

世の中には「車のナンバープレートに書かれた地名に一方的なプラスまたはマイナスのイメージを抱いて序列を決める」という謎の嗜好をたしなむ人たちがいます。曰く、東京都でも「品川ナンバー」は良くて「足立ナンバー」はダサい、みたいな事を言い合ってはどっちのナンバープレートの方が番付が上か下かをウダウダと論じる一派ですな。

ナンバープレートごときは「ゆかりがあって住んでる場所」にちなんだ地名が記載されているにすぎず、自分の愛車が登録されているナンバーに愛着を抱くことはあっても、よその地域と比較して「どちらが上」とか「下」とかの概念が入る余地はないように思いますが、いろんな人がいるものです。

私の場合、たとえば昔の「愛媛ナンバー」は略字(?)が生まれたての漢字っぽくてナンだか可愛いなと思ったりはあります。わかります?あいにく良い画像が手元に無いのですが是非「愛媛 ナンバープレート」で画像検索してくだされ。古い「愛媛ナンバー」のプレート写真をアップしている人がいます。

なんとなく「都会ふう」ナンバーに思われてかっこいいイメージを抱く人がいるのかもしれませんが、品川なんて別になんでもないですぞ。かくいう私も品川ナンバーに乗っていた時代がありましたが、それが理由でモテたためしはありません。以前もどこかに書いたとおり実際の品川区には割とマジで自慢できるようなものがひとつも無いです。オシャレっぽい響きの「高輪(たかなわ)」は港区です(そもそも品川駅が港区にあるからなぁ)。東京タワーとか赤穂浪士ゆかりの泉岳寺とか全部港区ですから。しょせん品川は日本橋を出発して東海道をゆくと最初にある江戸のはずれの宿場町にすぎない。歴史的に有名なものといったら「鈴ヶ森刑場跡」ぐらいしかないんじゃなかろうか。今現在、胸を張って自慢できるのは大井競馬場だけですよ。ってギャンブル場じゃないですかやだー。まあサラブレッドは美しいですからそこはOKということで。

空の玄関口である羽田空港や巨大な物流ターミナルがある平和島やプロレスラー力道山のお墓がある池上本門寺や高級住宅街の田園調布がある大田区のほうがいろんな意味で強力だと思う。

さすがに私も自分の住んでいる場所を「こき下ろす」自虐は辛いので、ひょっとしたら自分の勉強不足で恥をさらしているだけで、実は品川区には猛烈に素晴らしいスポットが多数あるのかもしれない。ということで大井町の「しながわ観光協会」を訪ねて、改めて自分の地区自慢を知ろうと思った事があった。



しながわ観光協会


さすがにココに来れば有益な情報が得られるでしょう!




しかし観光協会に行って落胆しました。ガックリきました。本当に品川区には何も無かった(マジ)。品川ナンバーは、たまたま陸運局が東大井に建っただけじゃないですか。ということで観光協会からよろめき出て、なさけない思いをしながら家に帰ったのですよ。

さて、そんな品川区の住人である私は当然「上流階級が住む山手線の内側エリア」に住んでいるはずもなく、どこの駅もビミョーに遠い場所にある築の古いオンボロ長屋にたてこもっているのです。自分が籍を置いているカトリック教会に歩いて通える範囲で家賃の安い場所を必死に探してようやくさぐり当てたという経緯がありまして、万一ここから放り出されたら「フランダースの犬」の少年ネロのようにあとは天国に行くしかないのであります。たとえ困窮して電気水道ガスが止められようとも家賃だけはちゃんと払わないとヤバいのです。このスリルが生きてるって感じだZE。やがていつの日か私が力尽きる時、天国のアリクイが「もふっとオオカミ」の群れでソリをひいて迎えに来てくれるであろう。たぶんね。

さあ、そろそろ本題に入りましょう。

私の部屋のサッシ、とりたてて不具合など無くて普通に過ごしていたわけですが、ある日洗濯物を外に出そうと扉をあけようとしてビックリ。いつの間にか壊れていました。心当たりは全くありません。基本的に自宅警備にいそしんでいるので不審者が入ったということもない。



壊れたカギ


うわっ、きったねーえ!!




賃貸の住人としてはとりあえず大家さんに連絡して直してもらうというのが「しかるべき手順」な訳ですが、連休中ではあるし、実際に修理してもらう日が連休明けて〇日後になります!とか言われても困ります。いちおう乙女のピンチですから、今すぐなんとかしたい。自腹切ってでもいいから、すぐにパーツ交換して直してしまいたい。

当たり前の話ですが水まわりとかガス関係、あるいは電気関係だったら自分で何とかしようなどとは思いません。玄関の鍵だったら同様に大家さんに頼む案件です。しかしサッシの鍵ならホームセンターで同じ型番を買ってきて交換すれば済む話です。この程度のことで部屋に業者さんが侵入してくるのはヤダ。



購入


買ってきた




以前は五反田周辺は「ホームセンター難民」でしたが、数年前に街道沿いに「コーナン」というホームセンターができて一気に利便性が増したのであります。別にしょっちゅう行くようなスポットではないけれど、こういう不測の事態に陥った時は無いと困るのがホームセンターであります。それより前は必要な時は電車で大田区馬込の「ケンマート」までわざわざ行ってましたから、品川区内にコーナン現る!の知らせは本当にありがたかった。



パッケージ


寸法はジャストフィット




取り外した鍵もきったないけどガラスの汚れがハンパ無い。引っ越してきてからガラスの掃除なんてしたことないもん。外に美しい風景が広がってるならこまめに掃除するかもしれませんが、窓の外を眺めたところでそびえたつブロック塀と、そのはるか上に平行四辺形の空が見えるだけですから。今回の鍵交換にあたって掃除とかやってません。汚い写真を載せてホント申し訳ない。



作業完了


無事に交換作業は完了です







動作確認


こいつ、動くぞ!







鍵かけた状態


取り付け、ヨシ!




戦い済んで日が暮れて、乙女の部屋は無事に守られたのであります。いやぁ、鍵が壊れているのを見た時はどうしようかと思いましたよ。今だから言えることですが、この鍵が壊れている間ウチは事実上無防備だったのだ。かろうじて隙を見せることもなく修理を終えたのだ。科学忍者隊は地球の危機を救ったのだ。ゴッドフェニックスが青空の彼方へ飛び去ってゆく。


海を、陸を、大空を
科学忍者隊は今日も行く
燦々と太陽輝く地球を守り
ゴッドフェニックスは今日も飛ぶ
平和な未来を呼ぶために


(みなさま『科学忍者隊ガッチャマン』の最終話おぼえてます?思い出しただけでもマジ泣ける)

私は充実感にひたりつつ、取り外した鍵をマジマジと見ました。回転を止めるツメを操作するツマミの根元の軸の部分が崩壊していたのね。あぶないところだった。



壊れた鍵


黒いツマミがプランプランですわ




それにつけてもこういう「物理的な鍵」といいますか、目で見て構造がわかる鍵というのは良いものですな。きわめてシンプルですが余程の技術がないと外から解除はできません。極端な話、侵入しようと思ってもワイヤーが入っている網入ガラスを突き破るしかない。

逆に高度に電子化された鍵って閉じ込められそうで怖いわ。高度なセキュリティを追求してコンピューター制御とかやって、これで安泰!と思っていたら外部のネットワークからシステムごと乗っ取られて暗証番号的な解除キーを変更されて自分が出られなくなるとかいう事態もあるんじゃなかろうか。車のキーだって、セキュリティと利便性の両面から良かれと思ってスマートキーを採用したら「リレーアタック」されて盗難された、なんていう話もあるじゃん。鍵のシステムに電源が必要という時点で私は「ヤダなあ」と思ってしまう。あと、たとえば「指紋による個人認証」とか、シロウトは「良さそう!」と思うのかもしれないけど、そんなの装備したら凶悪な連中に待ち伏せされて、いきなり腕ごと切り落とされるかもしれないじゃん。メキシコシティあたりじゃ普通にありそう。

なんだかんだで普通の物理キーを胸の谷間に挟んでおくか、太もものガーターベルトに装着しておくぐらいがイイと思うよ個人的には。まあ私は胸の谷間に電車の切符をはさんだつもりが失くした事があるけどな。

というわけで今日の結論としては、男女関係なく鍵を隠し持つ場所としてはやっぱりパンツの中かな?との流れに至って「勝新太郎作戦」が最上という事になるねえ。俳優の勝新太郎さんがホノルル空港で麻薬所持(隠し場所はパンツの中)でタイーホされたときは実にショックでした。

「何故パンツの中に入っていたか分からない」

という言い訳は不滅です。あのフレーズはかなり応用が利くので、のちに就職して仕事でミスったときの逃げ口上として「何故ホニャララしていたのか分からない」という構文を私は大いに活用したものです。勝新太郎さんはさらに「もうパンツは履かない」などという追い打ちフレーズを口にして伝説の域まで達してしまいましたから偉大です。

えーと。今日はナンの話でしたっけ?(完)











#38
2023年5月31日(水)
「ゴールデンウィーク報告 完結編(オークション卒業の話)」


ここまでゴールデンウィークに楽しんだイベントの報告をしてきましたが、今日がいよいよ最終回であります。今年のゴールデンウィークで勝ち取った「戦利品」を報告しつつ、未来につながる話をしようと思う次第です。

私はもう使う予定のない古い自転車部品を中心に、ネットオークションにて出品を行っておりました。まあ相当数が売れ残りましたが「大物」はそこそこ換金できたのでヨシとしています。

どんな分野であれ耐久消費財に関しては「古物収集の趣味」が自然的に発生するのでありまして、私自身はクラシック自転車を趣味としていた時期があるわけです。しかしどうやらこの「クラシック自転車趣味」というのは文化の継承に失敗した模様です。平たく言えば「現役だったクラシック自転車オタクが次世代の育成に失敗した」という事です。同好の諸氏は私よりもやや上の年齢の方が圧倒的に多かったのですが、私より下の年代で「戦前の英国製自転車に興味がある」なんていう人は現れませんでした。そうこうしているウチにその方面の雑誌が廃刊になったり、細々と文化を牽引していた偉大な先輩方がいよいよ鬼籍に入ったり老人ホームに入ったりして、気づけばもう「語り部」すら居ない状況であります。あれ?ひょっとして私が悪いんですかね?

まあとにかく私が所有していた自転車部品はごく一部のイタリア製品(皆様「カンパニョーロ」ってご存知?)をのぞいて全く売れる気配がなく、オークションに出したところでウォッチすら一件もつかないまま終了する日々が続いたため、「不燃ごみ」の回収日に私の部屋を去っていったという感じです。大英帝国の繁栄を支えたバーミンガムの鉄も今じゃ萌えないゴミ扱いですよ。こうしてヴィクトリア女王の時代も忘れられていくんだ。

もうウチにあった自転車関連のガラクタ類は売り切った感があるし、今回の連休ではなんと自慢のウクレレ(キワヤ60周年記念モデル)も処分したという派手な立ち回りもあって割と燃え尽き症候群です。ウクレレを手放した主たる理由は別にあるのですが、そのあたりはまた別の機会にじっくり書きたいと思います。

もう売るものも無いし、落札についても「もふっとオオカミ」のぬいぐるみがちょっと増えすぎたから、そろそろオークションは卒業かなと思い始めました。落札はお金を払って商品が届くのを待つだけですが、逆に出品する側に立つとオークションはとにかく面倒くさい。商品写真を撮って、正確な説明文を書いて、常識のかけらもない変な奴を弾くための注意書きみたいのも入念に用意して、やっとの思いで仕込んだ素材をセコセコとアップロードしてやっと出品が完了するのです。

一発で数万円稼げる、というような話なら本腰を入れて一生懸命やるけど、売り上げは良くてもせいぜい千円単位、みたいなものはチマチマとやっていられない。私の手元にはもう高額で売れるものなどひとつも無いから、出品も落札も潔くスパッとやめてしまうほうが面倒も余計な「むだづかい」も減らせるでしょう。

というわけでオークション店じまい記念、あるいは引退を決意したから最後の打ち上げ花火をパーッといきましょう!!という感じで面白そうなものを落札して終わりにすることにしました。

この際だから正直に自白しちゃうけど割と日常的にオートバイの出品物はチェックしていたりするのだ。もうオークションはやらん、とか、オークションなんてしょせんバクチなんだから、誰がどんなふうにいじったか分からないようなオートバイを落札するとか有り得ないでしょ、とか言いながら、実は毎晩ひそかに気になったバイクをウォッチ登録してはハァハァしていたのだった。



カタナ


このサイドケース付カタナはいいなと思った




大型自動二輪の運転免許を持っていないのにスズキ・カタナをチェックする人生もどうかと思うけど、でも現行カタナのリア周りが「尻切れトンボ」みたいで残念に思っていた私としては、このサイドケースを装着して見た目のバランスが劇的に良くなっているカタナは実にかっこいいな!と思った次第よ。まあオークション開始価格150万円と言われても異次元すぎて自分には関係ない話ですけどね。目の保養にはなります。

実のところ、今の私はひたすら「オートバイに乗りたい」と思っているわけで、それ以外にコレといって欲しい物は無いのです。わざわざオークションに参入してまで入手するべきモノなど無い。とかなんとか言いながらもついつい、ミニチュア系を中心としたコレクションの悪癖が去来するのであった。


・ゾイドとかガンダムのプラモデルとか→老眼で作るガッツが無いので引退
・ミニ四駆→パーツを大人買いしてマシンを完成させ小学生を容赦なく叩きのめす自分に嫌気がさしてヤメた
・プラレール→欲しいものは一通り揃えたからもういい(←は?)
・その他ちゃんとした鉄道模型→かつての職場(うつ病発症の地)を生々しく思い出すからヤメとく
・フィギュア→今の部屋に引っ越す時に全部処分したから、また同じ道を歩んでも仕方がないと思ふ
・アニメや映画のDVD→最近のアニメは興味ないし、そもそも画面見てると目が疲れるからヤダ
・音楽CD→もう置き場所が無いから増やしたくない
・腕時計→すでに欲しいものはあらかた手に入れていて、現時点でハメる腕が足りないレベルだからやめとく
・オートバイ→そもそもオークションなんていう博打で買う訳がない


という感じで、なんとなくミニチュアカーを見たりしていたのであった。何しろ自動車が大好きなので仕方がない。本物は買えなくてもミニチュアなら飾っていつでも眺めていられるんだよ。

好きな車のミニチュアを片っ端から集め始めたら冗談抜きにキリがないから、じっくりとターゲットを絞り込むことにしました。もしも今、あの頃(←幼年期から青春時代にかけての間ぐらい)に憧れた夢の車に一台だけ乗れるとしたら、何を選ぶか?という基準で、ミニチュア車を選ぶことにする。これはけっこう難問ですよ。

最近の私は車好きをこじらせ過ぎて、一周まわって「フェンダーミラーの日本車じゃないと満足できない」という謎の域に達してしまっているのであります。ドアミラー装備の車は全部「外車に見えてしまう」という次元です。ここまで人間はひねくれるものなのでしょうか?

で、のたうちまわりながら「自分が本当に好きな一台」はどれかと考え続ける日々を送りました。これは例えていうなら「ビートルズで一番好きな曲はどれ?」って訊かれるようなもので、絞り込むのは絶望的に困難なのであります。「吉田拓郎で一番好きな曲はどれ?」とか「渡辺真知子で一番好きな曲はどれ?」とか同じレベルです。ひとつに絞り込むのは無理で、答えようが無い。これが「狩人で一番好きな曲は?」だったら「あずさ2号」って即答できるし、「さとう宗幸で一番好きな曲は?」なら「昔きいたシャンソン」って答えるのですよ。(いやそこはA面の「青葉城恋唄」でしょうが)。さとう宗幸といえば「夢のつばさ」って答える人は間違いなく東北楽天ゴールデンイーグルスの熱烈ファンです。


さとう宗幸 昔きいたシャンソン





まあ意外とあっけなく結論は出たのよ。決め手になったのは「登場した時のインパクトの大きさ」です。世に出た瞬間を目の当たりにしたという体験です。私の「好き」のツボに火の玉ストレートで突き刺さる、あまりにもかっこいい車といえばアレしかない。登場したときは本当に失神しそうになったわ。世の中にとんでもなく素敵な車が登場した、あの記憶は鮮明によみがえります。私が一番好きな車はズバリ!


日産パルサーEXA


ですよ。1982年に登場したN12です。角型2灯のリトラクタブルヘッドランプを採用したカクカクしてとんがったクーペです。翌年1983年にはドアミラーが日本で初めて採用されていますが、私は言うまでもなくフェンダーミラー装着の初代が好きです。



パルサーEXA


日産パルサー・エクサ登場ぅ




今になって改めて見ると、本当に神がかったすさまじいデザインをしています。いろいろな意味で1980年代にイメージした「未来」のテイストがビシバシ伝わってきます。

しかしいくら好きでもこんなマイナーな車のミニチュアが存在するのでしょうか?どれほど好きで「欲しい」と願っても製品化されていなければ意味がない。しかし驚くべきことにN12のミニチュアがオークションに出品されているのを見つけたのであります。マジですか!って感じです。今になってもなお、わざわざミニチュアを手元に飾りたいと思うほどの熱烈なパルサー・エクサファンが世の中にどれだけいるんでしょうか。ミニチュアが存在する事自体が奇跡のようなものです。

出品されているのはかなり強気の価格で、とてもじゃないけどミニカーごときに出せない金額です。さすがの私も「この値段はちょっとなあ」と躊躇しました。いくら好きとはいえこちらは財力が圧倒的に弱いのだ。

うーむ、と唸っていると私の好きなN12の次のモデル、すなわち1986年に登場したN13型エクサもミニチュアが存在することが判明しました。しかもエクサ「クーペ」ではなくエクサ「キャノピー」が出品されているのであります。詳細はいつの日か話したいと思います。この二代目エクサについても個人的には思い入れがあり過ぎて語りはじめると止まらなくなります。話せば長くなるのです。

エクサキャノピーは、端的に言うと過去に日産がたびたびやらかした数々の「爆死事件」においても伝説レベルの失敗をぶっこいた販売不振の不人気モデルです。日産には申し訳ないけど、たぶん100人のうち100人が「失敗作」と思っています。運輸省(当時)からダメ出しをくらって認可が下りず設計コンセプトが根本から崩壊した史上まれにみる駄作です。よりによってこの車がミニチュア化されているというのは、ある意味「頭おかしい」と思う。

オークション開始価格はヤケクソ感あふれる1円出品で、ウォッチしている人がいない。1円出品は送料でボッタくるケースもあるので用心して説明文を読む。ゆうパック800円はちょっと高いように思うが、ボッタくってるというレベルでもない。私はサラッと入札してみた。まあ、世の中にはマニアと呼ばれる連中がうようよしていますから、意外と終了間際になって値段が吊り上がるかもしれません。



入札


1円出品のエクサキャノピーに入札




ひとまず作戦は「先行逃げ切り」です。最初から出せる金額をドン!と突っ込んでおいて、高値更新されたらその時点でとっととあきらめる、という感じですな。ネットオークションといってもしょせんは「金を持っている人が勝つ」ので、興奮してむやみに競り合うなど愚かなことです。落札した翌日になって冷静さを取り戻し「また無駄遣いをしてしまった」と頭を抱える経験を過去にさんざん繰り返していたので、もうそういう気分にはならないのですわ。オークションでは貧乏人は必ず負ける宿命(さだめ)よ。やっぱダメだったね!で笑って終わるぐらいがイイんです。

と思っていたオークション終了日。私は固唾をのんで画面とにらめっこして、競合入札が来る瞬間を見守る。オークション終了時間が迫る。あっ。



落札


まさかの1円落札




マジで…誰も来なかったよ。ということで、日産エクサキャノピーという変態車のミニチュアを送料込801円で落札しちゃいました。なんだこれ。

届いたらけっこういい出来のミニチュアだった。飾っておくにはちょうどいい感じです。なんか、あの時代のまぶしさが戻ってくるようで嬉しくなる。1986年といえば私の好きなオメガトライブがカルロス・トシキをリードヴォーカルに迎えて『君は1000%』をリリースした青春の1ページですよ。私は今も変わらずに、1986オメガトライブのアルバムを聴いて夏を迎えるんだ。私の夢はまだあの頃のビーチ・リゾートに置いてある。



届いたミニチュア


いいね!永遠の輝きを放つ不人気車




手元に届いたのをまじまじと眺めているのですが、一般人からすれば「ミニカーといえばトミカ=子供のおもちゃ」という感じになるんでしょうけどこれはどう見ても大人向けというか、あからさまにコレクター用の飾り物であって(土台にネジで固定されていて、手で持って転がして遊ぶ用途には適さない)、こんなのを収集しはじめたら本格的にヤバいことになるなと思いました。

過去にさかのぼって好きな車をひとつ、またひとつと入手していたらキリがありません。鉄道模型の「先頭車から最後尾車まで合計十両を揃えてようやく一編成が完成」という地獄に較べれば自動車は一台で済むからいいですけど、ある程度理性を保っていないと部屋の中が「ミニチュア版クラシックカー博物館」になるのは確実です。油断してはいけない。



つづいて落札


は?言ってるそばから何やらかしてるんですか







本命を落札


で、結局「大本命」パルサーエクサも手中に




えーと。この人ウダウダ言ってるけど結局はなんでも「自分のもの」にしないと気が済まないんだから初めからこの結末はお見通しだよ。まあ、2代目エクサとまさかのNXクーペを入手してしまったのだから、もうこの際一気にパーッと勝負を決めて、これでキッパリとネットオークションから足を洗えばいいんだよ。おかげで私のミニチュア車物欲は100パーセント大満足の結果で満たされたのであります。

別にいいんだよ私はこうして手元に集まった車のおもちゃを眺めていればそれで幸せなんだもん。実際に本物の四輪を買うことなど今の暮らしでは絶望的に不可能なのだから、せめて本当に好きな車のミニチュアをどれでも全部並べてニヨニヨしていればいいではないか。言わせてもらえば誰かに迷惑をかけている訳ではないのよ。ただ私の部屋がガラクタにまみれるだけで、この世に悪をなしている訳ではありません。どうせ他人なんて陰では何を言ってるか分からないのだから、いつも言っているように


自分を解き放った人だけが幸せを手にする


のですよ。仮にですよ、今から中古車市場を徹底的にあさってN12パルサーエクサの実車を買おうとしたところでマトモな個体など残っているはずもない。つまりいくら憧れても事実上入手不可能なのだから、ミニチュアで満足できるなら安いものですよ。いやぁ最高ですよ。これぞ至福の時ですよ。端的に言えば「一番好きな車」を毎日毎晩眺めていられるのよ。大げさかもしれないけど、この世の全ての富を手に入れた気分ですわ。お酒が好きな人ならそれこそ「一杯やらずにいられない」という状況でしょう。

あえて断言しちゃう。私はもう何も要らない。マジで。



また落札


うわぁぁぁぁあぁぁあああ!!




…かくして、連休の後半は「オークションからの卒業」を目指して最後のお宝を落札するつもりで臨んだのでありましたが

なし崩し的に落札ラッシュで


留 年 確 定


という感じでしょうか。いやぁ、やっちまったよ。「もふっとオオカミ」のシベリアンハスキーの「シベリーヌ」が出てたから落札しちゃった。お前、シベリアンハスキーはもう持っていたじゃん!と突っ込まれそうですがあれは「ツンドラー」でありまして、今回入手したのは「シベリーヌ」なんです。別物ということで勘弁してください。あー、シベリーヌ超かわいい。

っていうかシベリアンハスキーはオオカミじゃなくて普通に犬ですからね(重要)。「もふっとオオカミ」シリーズはシベリアンハスキーやアラスカンマラミュートなどの「犬」がまじってるのみならず「ジャッカル」や「キツネ」まで参戦してますから、オオカミっていう前提条件が完全に破綻しているんです。決して私が悪い訳じゃないんです。もうここまでくると誰のせいでもないんです。みんなで赦し合おうではないですか。

本当はまだゴールデンウィークのネタは多々あるんですけど、もう5月も終わりますからそろそろ気分を切り替えたいと思います。ひとまず今回でゴールデンウィーク報告は終わりということにいたしましょう。











#39
2023年6月4日(日)
「今更コンパクトフラッシュメモリが必要と言われても、ねえ」


皆様はデジタルカメラはお使いでしょうか?かつては破竹の勢いでフィルムカメラを駆逐したデジタルカメラですが、今は仕事で使うプロフェッショナルの人々と、少数のマニアが大げさな機材を使うぐらいで私を含む一般人は「スマホのカメラで事足りている」というのが実情ではないかと思います。

15年前ぐらいには「カメラの性能なんて普通に写りさえすれば正直どうでもいい一般人」もコンパクトなデジタルカメラを持つのが当たり前でした。ヨドバシカメラのデジタルカメラ売場なんて百花繚乱、たくさんのメーカーが参入して数多くの機種がズラリと並び、いわゆるマニア層とは程遠いごく普通の人がどのカメラを買おうかと頭を悩ませたものです。

毎年のように新型が出てカメラはどこまで進歩するのだ?という勢いがありました。最初のうちはいよいよ35mmフィルムの画質を超えただの、まだフィルムには及ばないなどとマニアが論争していたのですがそんな状況はあっという間に通過して、暗室用品を製造販売していたメーカーがことごとく撤退、感材は価格が爆上がりして「もうフィルムは続けられない」と不本意ながらもデジタルに移行する人が続出しました(←私もその一人)。

ところがこんどはスマホが登場、その搭載するカメラ性能の向上スピードは著しく「わざわざデジタルカメラを別途持ち歩く必要性がない」というレベルになって、コンパクトデジタルカメラ市場がみるみる縮小。メーカーの撤退が相次いで今は「写真はスマホで撮ってSNSでシェアするもの」へと変貌しております。

私も以前は「暗室作家」として大砲のようなマミヤの巨大な二眼レフカメラを提げて横浜を徘徊し、夜な夜な暗室でプリント作業にいそしんだ日々を送りましたが、今はもう「スマホでじゅうぶん派」に成り下がっています。これこそ現代の「写ルンです」ではないかと思う。

とはいえ手元にはいくつかのデジタルカメラが残っています。メインシステムとして残したのはオリンパスのフォーサーズ一眼レフ。念のために申し上げるとミラーレスのマイクロフォーサーズではなく、その前の時代の一眼レフのフォーサーズです。



オリンパスのフォーサーズ一眼レフ


おりんぱE-520という化石キャムラ




フィルム時代はOMマウントのレンズをひっさげ「宇宙からバクテリアまで」というキャッチコピーで一時代を築いたものの、自動ピント合わせカメラが主流になる頃にトンチンカンな戦略で迷走をはじめて出す製品がことごとく市場に受け入れられず爆死、そんなオリンパスがデジタル参入にあたって満を持して規格を制定したのがフォーサーズシステムであった。

一部の熱狂的なファン(←私もそのひとり)から絶大な支持を得たもののプロジェクトは見事に爆死、あわてふためいたオリンパスは急遽ミラーレスの「マイクロフォーサーズ」規格を立ち上げパナソニックと共闘する戦略にきりかえて起死回生を図ったのであった。かつてOMマウントのレンズでオリンパス党になった人たちがその後のオリンパスに絶望し、他社に乗り換えようと悩みもがく有様は「オリンパ難民」という言葉を生んだほどであった。

以前、どんな耐久消費財にも古物収集の趣味というのが自然発生するというような話をしましたが、なんの分野であれ必ず「過去の失敗作を再評価する動き」というのが出てくるのであります。どの世界にもヘソ曲がりは居るもので、長いものに巻かれるのを嫌い、あえてマイナーなものに手をそめて日陰の道を歩き、その負け惜しみを数十年後になって「今こそホニャララを再評価すべき時だ」などと叫んで自分の選択したマイナー製品がいかに素晴らしかったかを盛りまくりつつ得意気に語るのです。これは、ずばり、私のいつもの行動パターンそのものです。

いずれオリンパスのフォーサーズ一眼レフが再評価される時代が来ます。間違いなく来ます。これは必然です。で「発想は素晴らしいが仕上がった製品群はあと一歩の詰めが甘かった」「とはいえ製品の放つ魅力は唯一無二」っていう結論が出るところまで、もう手に取るように読めます。この論法で不人気だった古いものの価値を後付けで操作し、価格を吊り上げて金を儲けるのが「骨董ビジネス」なんです。「再評価しようとしたけど結論としては糞だった」という結論は金儲けにつながらないので決して出ません。再評価という名のもとに価格を吊り上げるのが金儲けの手法ですよ。

ま、こんな話をウダウダ続けてるといつまでたっても本題に入れないので先に進めましょう。

私のオリンパス一眼レフは決して「骨董品再評価ビジネス」で儲けるネタで持ち続けている訳ではなく、某有名カメラ買取店に持ち込んでも断られるレベルの骨董品で、売りたくても買い手がつかないというのが実情であります。ここまで来たらもう壊れるまで使い倒すしかないのです。

ちなみに愛機オリンパスE-520は2008年5月発売です。15年前ですよ。車なら自動車税&自動車重量税が上がってるレベルの古さです。車が13年経つと重くなるわけではないし、むしろ今の車と比べれば軽いのだから重量税が上がるというのは全く理解できないのですが、そういう話をしているとまた脱線するのでカメラの話に戻ります。15年前ということで画像の記録メディアはコンパクトフラッシュメモリを採用しています。時代を感じますね!コンパクトフラッシュって最近見かけないですもん。余談ですがコンパクトフラッシュメモリとxDピクチャーカードのスロットを装備しています。覚えていますかxDピクチャーカード。オリンパスと富士フイルムがSDカード陣営に対抗して規格を制定、全く普及しないまま短命に終わったメモリカードです。スマートメディアとxDピクチャーカード、あとソニーのメモリースティックは大嫌いでした。

私は8GBのコンパクトフラッシュを使っているのですが、世の中にはSDカードをコンパクトフラッシュのスロットに入れて使うためのアダプタがあるらしい。もしそれが実用になるなら、今さらコンパクトフラッシュを買い増しすることなく手持ちのSDカードをE-520のボディに装着して使えるではないか。ネット通販で安く販売されているのをみつけたので買ってみた。



アダプタ


あやしいパッケージがいかにも大陸風味




パッケージを見る限りSDXC規格2TBまで対応してるっぽいし、データ転送速度は90m/Sを謳っている。4K動画を撮ろうというのではないから、スペック上は良いんじゃないでしょうか。



SDカード挿入


側面からSDカードを差し込むだけよん




まずこのアダプタに使いたいSDカードを挿入します。するとSDカードがコンパクトフラッシュの衣を身にまとい、カメラボディに装着できるというスグレ物です。こういうアダプタって合体メカっぽくて燃えるわ。



カメラに挿入


コンパクトフラッシュに化けてカメラ内部に潜入




いいじゃないの!これまで8GBで戦ってきた私が、このアダプタのおかげで16GBの容量を手に入れるのだ。倍だぞ、倍!では、スイッチ・オン!



カードエラーメッセージ


なん・・・だと




背面の液晶画面には「このカードは使用できません」「CARD ERROR」の文字が。血も涙もない。まあ、こういう時はサラッとフォーマットすると使えるようになるのが定説ですから心配はいりません。はい、フォーマットして再度スイッチ・オン!


うわぁん(涙)


ということで、こちらの大陸製アダプタは「ただのゴミ」でした。ほかのカードを入れたり別のカメラで試したり、パソコンのカードリーダーに入れたりいろいろチャレンジしましたがカードとして認識されることはなかった。

調べてみるとこの製品は有名な「地雷」だったらしく「みんな、お金をケチらず最初からちゃんとしたメーカーのアダプタを買うんだぞ」と言い残して散っていった先人たちがネット上にあふれていてガビーン。

くやしいのでちょっと値段は高いけどみんながオススメしているサンワサプライのアダプタを買い直しました。マジで価格が10倍ぐらいする。っていうかこっちの値段が適切で、最初に買った大陸製のゴミが10分の1の値段だったって事よね。



サンワサプライ製


こちらはサンワサプライのアダプタです




開封してみると造りが全然違う。SDカードもスムーズに入り、大陸製のゴミとは雲泥の差があります。これは期待できそうです。



コンパクトフラッシュとアダプタ


最初からこっちを買うべきであった




ではさっそく試してみましょう。先ほど掲載した「アダプタ型のゴミ」と同様に、側面からSDカードを挿入します。スプリングが内蔵されていて、奥まで入れると「カチッ」と音がしてロックされます。取り出すときはSDカードを引き抜くのではなく、もう一度奥まで押し込むとロックが解除されてスプリングの力で外に押し戻されて出てくるという無駄に凝った造りになっています。



挿入


なるほど、価格が高いだけあって造りは良いですぞ







カメラに格納


あとはカメラにセットして電源を入れるだけ




これで電源を入れてダメだったらもう「アダプタ作戦」はあきらめることにしよう。人生、なんでも思い通りになるとは限らないんだ。「心のままに生きたとしても幸せとは限らない」っていう歌詞もあったじゃないか(NSPの『面影橋』って曲、知ってます?私あの曲大好きなのよね)。いざ、スイッチ・オン!!



カード認識OK


おお!撮影可能枚数が倍増して1993枚になってる!!




やった。圧倒的勝利ですよ。この、なんの問題もなくカードを認識してくれる展開に歓喜の涙があふれるのであった。インチキアダプタを購入して爆死したあとですから喜びは倍増するのであります。こういう感動を当たり前だと思ってはいけない。感謝しかない。ありがとう!みんなありがとう!!



コンパクトフラッシュとSDカード


何しろ予備用のコンパクトフラッシュは128MBしか持ってないのだ




ということで、ゴールデンウィークに川崎市の「夢見ヶ崎動物公園」に出かけた時はこのアダプタのおかげで写真を撮りまくることができたのであった。SDカードなら手元にいっぱいあるから、文字通りカメラのバッテリーが果てるまでシャッターを切りまくることができたのよね。フィルムカメラの時代は撮影枚数が限られているから「シャッターチャンス」に全てを賭けて慎重にショット数を抑えていたわけですが、デジタルに移行してからはとりあえずシャッター切りまくってあとでダメな画像はバンバン消去するという撮影法に変わりました。動き回る動物の写真なんて数撃たなきゃ当たらないですから、デジタルカメラは偉大ですわ。ニッカド電池の爆速モータードライブで36枚フィルムがみるみる減っていくのはフトコロ的にやばかったですから、気軽に連写できるデジタルカメラは本当に素晴らしいと思うのであります。



アダプタ装着でヤギ撮影


ゴールデンウィークに動物をいっぱい撮れたのはアダプタのおかげよ




今日の結論。今更コンパクトフラッシュを用意しなさいと言われても困るんだよォというそこのアナタ!サンワサプライのアダプタはマジでオススメですよというお話でありました。今もヨドバシで普通に買えますから、ちょっと古いデジタルカメラを持ってる人は今のうちにひとつ持っておくとヨイですぞ。くれぐれもAmazonとかいう「闇市」で大陸製のゴミを買ってしまうという私みたいなポカをやらかさないように気をつけてくださいね。ほなまた!











#40
2023年6月8日(木)
「コンパクトカメラからスマホに移行したらテツコの部屋になった」


前回は私が使っているフォーサーズ一眼レフとコンパクトフラッシュアダプターの話を書きました。動物園で写真を撮ろうとするとどうしても被写体が遠いので、望遠レンズが使える「大げさなカメラ」の活躍の場が増えます。

しかし日常レベルといいますか、極端な望遠や広角を必要としない普通の写真を撮るだけならスマホのカメラ機能で足りてしまうというのは事実です。

若かりし日の私は自転車で旅することを趣味としていましたが、当時の写真は全くありません。

第一にカメラを持ち歩く習慣がありませんでした。デジタルカメラというものがまだ存在せず、当然カメラ付携帯電話もありませんでした。写真といえばフィルムで撮るのが当たり前の時代です。私が自分用にコンパクトカメラを買ったのは1996年5月、ペンタックスのエスピオ115Mの発売直後です。しかし自転車というのは一度走り出すと止まるのが億劫な乗り物でありまして、旅の途中にいちいち停まってノンビリ撮影を楽しもうという気持ちが起きません。旅の荷物はできるだけ減らして装備を少なく軽くしたいという気持ちも強かったので、あえてカメラと予備フィルムを携行する気持ちにはなりませんでした。

第二に、これはフィルムカメラだからこそですが、写真を撮るということはフィルム代や現像&プリント代がかかります。経済的にはかなりの負担です。当時は写真マニアでもないし暗室もやってないので「24枚撮りフィルムを入れたら1年たっても撮りきれない」みたいな状況が当たり前でした。気軽にパシャパシャ撮るものではなかったのです。

友達とグループで遊びに行くときに、なまじいカメラなど持って行こうものなら「写真担当」の任務をおびてしまい撮影係として地味に働かざるを得ず、旅が終わればプリントをみんなに見せて欲しい写真をリクエストしてもらい、またカメラ屋に行ってプリント焼き増しして後日みんなに配る、という労働が待っているのだ。

デジタルカメラの登場というのは写真のあり方、楽しみ方を劇的に変えた革新的な出来事だったのです。今はスマホと連動して「撮ってその場でSNSにアップして友達とシェア」なんていうことが当たり前ですからね。本当にすごい時代を生きてると実感します。

実際、スマホがあったからこそ私もオートバイ免許取得以降の旅写真を手元に残せているのです。基本的に携帯電話やスマホは持ち歩いていますから、今はいつでもどこでも写真撮影ができるという訳ですよ。



新幹線


新幹線が走る姿を見たら撮っちゃいます




で、ふと振り返ればけっこう鉄道の写真が手元にあったりするのであった。今更告白するわけではないけれど、私は鉄道がホンの少しだけ好きなのです。私がやっていた自転車旅というのは鉄道と相性が抜群によいのです。自転車をほどよく分解して袋詰めにし、肩にかついで公共交通機関を利用するという移動法があります(輪行といいます)。特急「あずさ」で輪行して松本で下車し、穂高・安曇野エリアに旅に出たりとか、ブルートレイン「富士」で別府まで輪行して朝イチで湯布院に行き、そこから阿蘇を経て天草へ、みたいなことを存分に楽しんだものです。子供の頃は狩人の「あずさ2号」というヒット曲がありましたし、歌う鉄道マンこと伊藤敏博さんの「サヨナラ模様」に「青春18」、そして私の大好きな野口五郎の「私鉄沿線」という名曲があったりして私は「歌鉄を経由して乗り鉄(自転車旅)」という属性に目覚めたのでありました。

鉄道の話をするとまた脱線しまくりで長くなりそうですので、今日は余計な話はせずに数枚の画像を貼ってゆこうと思います。そう、スマホのおかげで割とホイホイと気軽に鉄道写真が撮れるようになったことにしみじみと感謝するのであります。



東急6000系


私のイチオシはこの子よ




私は品川区在住ということもあり、ホームグラウンド的な意味で最も身近な存在が東急電鉄ということになります。で、今一番好きな車両ななぁに?と訊かれたなら間違いなくこの東急6000系(二代目)と答えるでしょう。最初に見た時は鋭いクサビ型のフロントマスクにハートを射抜かれたものです。とはいえもうデビューから15年が経過しており、すでに最新型の6020系が増えてきましたからいずれはこの車両も退役する日が来るのでしょう。今はバリバリ現役ですから、その精悍でいて美しい姿をじっくり脳裏に焼き付けておきたいと思います。

お次も東急。「旧塗装ラッピング電車」です。



ラッピング電車


そう、幼少の頃の東急は緑色だった




私は、生まれは母方の実家のあるヨコハマですが、当時両親は大田区に居を構えていたので私の最も古い記憶は東急の蒲田駅の風景であります。池上線と目蒲線(当時)が発着し、JRと接続するターミナル駅ですよ。なお、濃紺と黄色のツートーンカラーは昭和26年から41年にかけての配色だそうです。なんとも可愛い色使いです。



京急&東京都交通局


私の好きなコンビ




こちらは私の日常の足として活躍する都営浅草線ならではの光景であります。手前の赤い電車はそう、いろいろな意味で「日本最強の鉄道屋」こと京浜急行電鉄の車両であります。そして向こうの白い電車が私が深く愛した東京都交通局5300形です。歴代の交通局の車両の中で最も美しくチャーミングな姿をしており、なおかつその麗しい姿には似つかわしくない超絶爆音を轟かせて走るさまは絶大なインパクトを誇っておりました。都営浅草線は北は京成線に乗り入れ、そして南は京急に乗り入れということでホームで待っていると鉄道各社の車両が入り乱れて入線してくるので非常にエキサイティングであります。ちなみにこの交通局5300形は「音がうるさい」と評判がきわめて悪く、京急沿線の人々がホームで列車を待っていてコイツが来ると「ハズレを引いた気分」になったと聞き及んでおります。そんな5300形もコロナ禍の時代にひっそりと引退しました。私は本当に寂しいんだ。



回送列車


私は線路沿いの道をゆくのが好きだ




私は全然詳しくないのでこの車両の正体がわからない。撮影場所は五反田駅と目黒駅の間なのですが、これって東京メトロ東西線に乗り入れてる車両ではないの?(←違ってたらスマン)なんでこんな所に現れたの?って頭の中にハテナマークがいっぱい出ながら撮影した記憶があります。場所が中野駅とかならわかるんですけど、キミ五反田ってキャラじゃないよね?何しに来たの??みたいな。まあ回送の文字が見えますから、何か特殊な任務をおびて走行していたのでしょうか。まあ傍から見たらすごくどうでもいい話なのでしょうね。



あずさ


このE257系「あずさ」「かいじ」がたまらなく好きだった




さっき狩人の「あずさ2号」っていう曲の話をちょっとしたけど、国鉄時代のL特急で一番身近な存在だったのがこの「あずさ」であります。新宿を出て甲府、松本、白馬へ。走破する地区が完全に私の好きなエリアですよ。国鉄時代はベージュに赤い帯の183系がヘッドマークをつけて走っていまして、これが実にかっこよかった。その183系をはじめとする車両がいいかげんヨレヨレになってもう限界です!というタイミングで颯爽と登場したのがこのE257系ですよ(2001年から運用開始)。

車両の側面にカラフルな菱形がよっつ並んで(甲斐の「武田菱」みたいな感じ)、これが超かわいくて最高でした。今はこれまた超絶にかっちょええE353系が活躍していますが、年齢を重ねてきたら以前のように「最新型にひかれる」というよりは「役割を終えて現役を退き、やがて歴史のページに静かに埋もれてゆく過去の主役にしみじみと思いをはせる」みたいな感じになってきて、古い型が引退する的なイベントにひかれるようになってきております。すぐ懐古趣味に走るのは老いてる証拠みたいでイヤなんだけど、しょうがない。



小田急7000形LSE車


経堂駅にて小田急ロマンスカーを見送る




小田急の経堂駅がまだ地上にあった頃のショットが出てきました。7000形LSE車ですよ。私は関東民なので他の地域の私鉄事情は本当に全くと言っていいほど知らないのですが、東京周辺で私鉄の花形、特急列車といえば「デラックスロマンスカーの東武鉄道」「レッドアローの西武鉄道」「スカイライナーの京成電鉄」「ロマンスカーの小田急電鉄」というのが燦然と輝いておりました。東急沿線民はそういう特別な特急車両がないので悔しかったですねえ。のちに東横線に特急が新設されて、どんなかっこいい車両がくるのかとウキウキしてホームで待っていたら私がいにしえの学生時代に毎日乗っていた8000系が「特急」の表示も誇らしげに凄まじい轟音とともに入線してきて絶句したものです。


「世田谷ボロ市かよぉ・・・勘弁してクレよォ」


ってホームにいた全員が思ったのも記憶に新しい。それまで東横線には「急行」がありましたがマニアからは「隔駅停車」と揶揄されるほど停車駅が多すぎる「名ばかり急行」でしたから、特急が誕生したのは感無量でありました。でもねえ、横浜を愛する東急民として言わせてもらうと沿線で味のあるゾーンは各駅停車しか止まらない「菊名から横浜の間のエリア」なんだZE。妙蓮寺、白楽、東白楽、反町。これらの駅の周辺を味わってこそ真の東横線マスターの称号を得られるってもんよ。

という具合に「けっこうスマホでも意外によく撮れるもんだね」と思うのでありますが、やっぱり夜になると私のショボいスマホではまともに写りません。かろうじて記録できたけど後で見てもなんだかイマイチというレベルになってしまいます。



夜の撮影


箱根登山鉄道です!って名乗らないと判別できない仕上がり




このように夜の写真を見るとちゃんとしたカメラといいレンズを使ってる鉄道マニア(撮り鉄)の実力が理解できるのであります。今どきの高額なハイエンドモデルのスマホならもっと綺麗に撮れるのでしょうか。一時期ネットで話題になった「江ノ電自転車ニキ」の写真なんて素晴らしいショットですからね。ああいう高いレベルの「作品」を目指すなら、カメラボディと大口径レンズに多額の資金を投入する必要があるわけです。皆様「江ノ電自転車ニキ」の写真はご存知でしょうか?鉄道写真に興味ない方もぜひネットで検索して見ていただきたい。あれは鉄道写真史上に名を残す傑作であります。不朽の名作です。

私もかつては「暗室作家」として活動し、そして鉄道業界に籍を置いて鉄道をなりわいとして禄を食んだ人間ですから率直な意見を申し上げても差し支えはあるまい。鉄道写真界の重鎮、広田尚敬氏の数々の名作と並べてもひけをとらない、いやむしろ凌駕しているとさえ私は思います。従来の鉄道写真が成し得なかった「新しい世界」を創造しています。「撮り鉄」をキレさせて到達した、いわばひとつの新次元です。それぐらい「江ノ電自転車ニキ」は革新的なショットだと思います。

という具合にですね、割と私は気の向くままに鉄道を見かけるとスマホのカメラを構えていたことが明らかになりました。そうは言っても基本的に引きこもりがちな日々を送っている品川区民ですので行動半径がことのほか狭いため、いろいろな地方の魅力的な車両を撮っている訳ではありません。似たような場所で似たような車両を飽きもせずに撮っているというのが実情です。はやくオートバイを入手して自分の愛車を撮りたいモンですよ、まったく。



東武鉄道


たまに東武鉄道とか乗るとワクワクしますな




そういえば友達が「今は仕事で出張に行くときもチケットレスよ」などと言っていたけど、みどりの窓口がビシバシと廃止される昨今、私はもう特急券の買い方すら分からないわ。JR東日本だとまずスマホに「えきねっと」のアプリをインストールしてから「えきねっとチケットレス」で申し込みをするということらしい。やばいよ。今ここでふんばって新しいシステムについていかないと、マジで時代の流れから取り残される岐路に立っていると痛感します。なんでもスマホ、スマホでいやな時代だけど、こればっかりは仕方がないのだろうなあ。

ということで今日は鉄道写真を貼りまくり企画でした。またねー。











#41
2023年6月12日(月)
「人の好みは変わる?オートバイ用ヘルメットの話」


携帯電話に「もふっとオオカミ」のマスコットを付けているのですが、ストラップの金具が壊れて危うくシベリアオオカミのジョーカーくんを紛失しそうになりました。外出先だったらヤバかった。


ストラップ金具壊れる


オオカミ落としたらショックで寝込むわ




金属のパーツだって突然壊れる日が来る。人生はいつ、どんなトラブルが起きるかわからないという事ですよ。まったく予想もできないことが、ある日ある時突然起きる。私なんて人生の半分はトラブルって感じよ。

というイントロから今日の話は始まります。

あくまでも私個人の考えですが、よほどのことがない限り人間は「好き」の基準が人生で大きく変わることは無いと思っています。好みの異性のタイプとか、感動するものとかって「子供の頃好きだったものは大人になってもそれほど変わらない」というふうに感じます。

私の場合は子供の頃にファンだったジェームズ・ディーンは今も変わらずに好きだし、動物園に行くのが大好きという属性も幼少時から微塵も変わらないし、好きな音楽が急に嫌いになった、ということもない。人間だと時々「晩節を汚す」みたいな人がいたりして「あなたの事をずっと好きだったのに、いい歳していったい何やってるのよ・・・」みたいな感じでガッカリすることはありますが、年取ってからすこし言動が変になる人は往々にして存在するのだし、それが理由でその人の過去の輝きが消えうせるわけでもない。

私は洗礼を受けてカトリック教徒になった時に世界観というか人生観が文字通りひっくりかえりましたが、相変わらずジェームズ・ディーンは好きだし動物園にも行きたい。価値基準は変わっても好みは変わってない、というのを痛感するのです。「人の好みは基本的に変わらない」というのが私がなんとなく感じている結論であります。

しかし同時に、子供の頃に較べると段違いなレベルで「守備範囲が広がった」「ストライクゾーンが広くなった」あるいは「許容量が増えた」とは感じます。若かりし頃の私はどちらかといえば偏狭で、ものごとの良し悪しは私が決める事だ、私が良いと思ったモノだけが価値をもち、私がダメだと判定したモノはしょせんクズにすぎないと決めてかかっていました。いまだから正直に言えるけどかなり「痛い」感じです。

価値観は人それぞれだし、自分の好みにあわないモノをこき下ろしても自分の価値が上がる訳ではない。むしろ自分の好みが「極端にふれている」ことに変な優越感を持っていたことが、ある程度の苦労と経験をつみあげていくうちに「恥ずかしく」なってきた。あまり自分のモノサシをふりまわすのは美徳ではないな、と痛感するようになりました。他人の好みにケチをつけるのは野暮な話ですよね。

で、話題はヘルメットに移ります。オートバイに乗る人がかぶるアレです。いつも前置きが長すぎるうえに話が脱線しまくりで意味不明なことを書き散らしているので今回は結論から先に申し上げますと、以前はまったく興味がわかなかったようなデザインのヘルメットが今は欲しくてならない、実に不思議だけどそういう事もあるんだね!というのが今日の話題です。

もともと私はヘルメットに関しては「フルフェイス原理主義者」でした。フルフェイスヘルメットと言うのは、サーキットでレースをするライダーがかぶっているような、頭部の全て(顔面から側面、後頭部まで)を覆っているタイプです。



フルフェイスヘルメット


頭部全体からアゴの部分まで全方位防御




そもそもヘルメットは「万一の事故にそなえる安全装備」という訳ですから、保護性能を最優先にするのは当たり前で顔面を壊したくないならフルフェイスしかあり得ない!と私は頑なに信じていました。大勢のクラスメイトがヘアスタイルが崩れるのを嫌い「半キャップ」と呼ばれる防御力の乏しい「飾り程度のヘルメット」を後頭部に垂らして原付を乗っているのを軽蔑していたほどであります。

でも私も変わったのです。

以前は自分が好きな車種以外は眼中になくて、自分のモノサシをふりかざして他人を評価しておりました。安全装備の意識が低いライダーはオツムが弱い、みたいな勝手な決めつけをしてました。狭い視野で生きていました。でも他人の価値観や趣味にケチをつけるなんて野暮のきわみですよ。

オートバイはみんな違ってみんないい。人それぞれ好みは千差万別、自分が好きなものを好きなように楽しめば良いのですな。ヘルメットも同じ。他人がとやかく口を出す事ではない。おのおの、好きなのをかぶったらいいのだ。

一番決定的だったのはここ10年か15年ぐらいで夏が爆発的に暑くなったという真実です。日本の気候はあきらかに変化しました。私の子供の頃は真夏でも日陰にいれば暑さをしのげたし夕方になればだいぶ涼しくなったものです。しかし今は真夏に熱中症で亡くなる人が出るほどです。最高気温が40度に達したりとか、少なくとも私が子供の頃には有り得ませんでした。

フルフェイスヘルメットをかぶって夏にオートバイで走っていると水分補給のタイミングがとりにくいです。いちいちヘルメットを脱がないと飲み物を口にできませんから、停車してヘルメットを脱着するのが億劫でガマンしてしまい、その結果「脱水状態」で運転を続け、突然足がつったりして気づけば意識朦朧(もうろう)としてヨレヨレという危ない経験を何度かやらかして、コレはイカンなと痛感したのであった。

そして試しに安いジェットヘルメットを買ってみたらこれが実に快適でありまして、アゴの部分のガードがないためシールド(風防)を持ち上げればヘルメットを脱ぐことなくドリンクが飲めるのです。面倒がらずにこまめに給水タイムが取れるのです。ありがたい、実にありがたい。暑い季節はコレしかない!と痛感したのです。むろん事故った時の顔面防御力は落ちる(特にアゴ周辺)訳ですが、すくなくとも脱水状態の危険を回避するには使い勝手が抜群で、フルフェイスとジェット両者のメリット・デメリットをてんびんにかけたら「容易に給水できるほうがトータルでは安全につながる」と思いました。



ジェットヘルメット


おかげでこまめに給水タイムを取れるようになった




他にもメリットはあった。フルフェイスよりも下方向の視界が良好であるとか、メガネかけたままかぶれちゃうとか。いままで頑なにジェットヘルメットを否定して正直スマンかった、と思いました。私はもうタバコはやめちゃったけど、喫煙する人ならヘルメットをかぶったまま一服できるでしょうし、ミュージシャンなら尺八も吹けるって感じでしょうか(←そんな奴はいない)。

昨今はあれもこれも値上げする傾向で、オートバイのヘルメットも各メーカーがすさまじい値上げをしていますが、バイク用品店チェーン「2りんかん」のオリジナルブランド、モーターヘッドのジェットヘル「ルーチェ2」は値下げしたということで話題になりました。名門のAraiやSHOEIのヘルメットは7万8万が当たり前という高価格帯に移行していますが、ルーチェ2は税込8,980円ですよ。



ルーチェ2


安いというだけで、実にありがたい




よく「ヘルメットの値段は命の値段」などと言いますが、以前のモモ通(2023年2月2日)でふれましたように製造から7年使えるものと考えても私の脳みそに出せる金額はできるだけ安く済ませたいところです。上に写真をのせた私のヘルメット、リード工業STRAX SJ-9も購入価格は1万円ちょいぐらいでしたから、その位の価格の製品でいいやって思います。オートバイに乗ってる時点で「凡人の道」から逸脱してるんだし、事故っても助かるか助からないかは運しだいみたいなモノなのです。言い方は悪いけど万全に備えたって、しぬときゃーしぬんだよ。


2023年2月2日(木)
「オートバイ用ヘルメットの寿命」
https://ezomomo.com/momo_j/2023/momo_j2023_1.html#8


かくしてフルフェイス原理主義者だった私も「ジェットヘルって便利よね」というまでに柔軟になったのであります。

次に乗るオートバイを何にするか考えるにあたって「かつてのモッズがライフスタイルにスクーターを活用したのにならって、私もスクーターに乗って新しい二輪文化を創造したい」などと考えております。ずばり、次はスクーターに乗りたいと思っております。自動二輪の愛好家の中には「スクーターはバイクじゃない」などという人もいますが、いやいや、なかなかどうしてスクーターは便利な乗り物ですよ。私は好きです、スクーター。

ざっくり言えば、オートバイという素敵な乗り物をもうちょっとたくさんの人に活用してもらいたいとの願いが全てであり、そのひとつの入り口として「交通インフラとしてのスクーター」の普及活動をしたい、私が自らその先頭に立ちたいと考えている訳ですよ。もはや日本は衰退の一途をたどり多くの国民は貧しくなっていくのだから、手軽で便利なスクーターがもっと流行ってもいいのではないか?と思うのです。



スクーター


イタリアのスクーターとか素敵じゃん




私は毎朝定刻に近隣のパトロールに出ている(というか徘徊している)のでありますが、いつものコース途中でちょうどひとりの女の子がスクーターで出勤するタイミングに遭遇します。誤解をされないようあえて申し上げますが私は決してストーカー行為をしている訳ではないので、その点だけはご理解いただきたい。私が前を通ると彼女はヘルメットをかぶって愛車「ヤマハ・ビーノ」のエンジンを始動するところであって、その後路上までゆっくりと移動してエンジンの音を静かに響かせつつ(いまどきの原付は音が静かなのだ)、颯爽と出発するのであります。非常に美しい光景ですよ。

ヤマハのビーノというのはレトロポップなデザインの可愛い50ccスクーターであります。いま50ccのスクーターは販売台数が激減していて、かつてはライバル同士としてバチバチにやりあっていたホンダとヤマハが協業してやっと維持するほどに衰退しており、なんと現行ビーノはホンダが製造しているのです。外見こそ異なりますが、ホンダのジョルノとヤマハのビーノはメカ的には同じ「姉妹車」なのです。



ジョルノとビーノ


レトロポップ可愛い系の姉妹車




こうして並べてみると「ジョルノ」が正統派のレトロ風デザインで「ビーノ」はちょっと大胆に一歩踏み込んだ愛嬌のある見た目をしています。私の個人的な好みでいくとビーノのフロントマスクがヨイなあと思います。

そして、もし私が仮にビーノに乗るという事になるとしたらヘルメットも今使ってる「フルフェイスヘルメット」やXウイングのパイロットみたいな柄の「ジェットヘルメット」ではイマイチ似合わないな、と思うのであります。実際、朝見かけるビーノの女の子も実にオシャレな可愛いヘルメットをかぶっていて、ああ、あんなのもイイなと初めて思った次第よ。



バブルシールド


バブルシールド付のヘルメット




「バブルシールド」と呼ばれる球面状の風防がついたちょっとレトロ風味のヘルメットです。もしくは、この風防が無い状態でゴーグルをするというパターンもあります。ヘルメット自体の形状も空力性能を追求したような凝ったカタチではなく、シンプルに丸い感じです。ビーノだったらこんな感じのヘルメットが似合うのかな?などと思い始めています。

実は、かつて私はこの手のタイプのヘルメットがあまり好きではなかったので、突然手のひらを返して真逆の方向に「好みのベクトル」が伸びてゆくさまに、我ながら驚いているのだった。今はもう「半キャップヘルメット」すら許容範囲内におさまっています。半キャップにゴーグルとか普通にアリですなぁ、と言い放つ始末ですよ。気軽にかぶれるし、たぶん夏は涼しいでしょうし、本人が好きで使うなら良いと思うよ!と思ってしまいます。自分の一貫性の無さに呆れてしまうのだけど、いいじゃないのヘルメットぐらい。自分の好きなのかぶったら良いよ!みたいな感じ。

で、このタイプのレトロっぽいヘルメットをネットでアレコレ調べつつ、気に入ったデザインのものがあったりすると「お!イイネ!!」と感動するのですよ。これまで全く興味がなかっただけに、なおさら新鮮な気持ちになる。



十字


シルバーに十字のグラフィックがイカす







横浜


YOKOHAMA BASEと書かれている




まあ当たり前ですけどこういうカッコいい物になると値段もドカン!と跳ね上がるのであります。それはもう「この世のさだめ」でありまして、パッと見て「いいな!」って思うものは大抵高額なのです。


ヘルメットの値段は命の値段です
 ↓
と言われましてもヘルメットなんてしょせん消耗品じゃないですか
 ↓
製造から7年で寿命がくるような物に4万も5万も出せないわ
 ↓
まあ要するに私はビンボ人ですし
 ↓
ってことで1万円ぐらいでナンか良さそうなの、ありませんか?
 ↓
(結論)私の命は1万円ぐらい


という事で、「できるだけ低予算でかっこいいのが欲しい」という欲張りなリクエストを全面に押し出しつつ夜な夜なネットでヘルメットリサーチをするのであります。



COOLS


COOLSリーダーの佐藤秀光さんコラボモデルですって!いいなあ




繰り返しになっちゃうけど、まさか自分がこういうタイプのヘルメットに憧れる日が来るとは思いもしませんでした。オートバイは好きだけど、こういう世界は一生縁がないと思っていました。人生って本当に先が読めないというか、いつ、どこで、どんな出会いで価値観が急変するかわからないというのを痛感する次第であります。

かくして、今の私は「ヤマハ・ビーノと、それにマッチするレトロ風ヘルメット」で頭がいっぱいなのであった。ビーノ乗りたいなあ。欲しいなあ。それにつけても、自分の好みの豹変っぷりにまだ驚きを隠せない。そのうち半キャップを買う日がきたとしても、不思議は無いなって思います。











#42
2023年6月16日(金)
「あと半月で『特定小型原動機付自転車』が公道に現れるぞ!(ワクワク)」


さあ、いよいよあと半月ですよ!来たる令和5(2023)年7月1日に特定小型原動機付自転車に関する改正道路交通法が施行されます。ふだん車を運転される方はとっくにご存知でありましょう。

そう、あの電動キックボードが無免許で乗れる時代がすぐそこに来ているんです!!交通ルールすらマトモに習っていない有象無象が公道デビューしちゃうんです。民度の低い連中が信号機のない十字路でロクに安全確認もしないまま飛び出してくる未来が手に取るように見えます。なんとまあエキサイティングな展開でしょうか。

おそらくは大陸の電動キックボード製造者と、それを輸入して儲けようとする業界(業界団体)の連中は日本の阿呆政治家どもに相当な献金をしたのでしょう。日本の交通行政、そしてその根幹をなす法制度が本質的にウンコな状態のまま放置されつつ後付けで「なし崩し」みたいな修正をしまくったせいで現実にそぐわないのは今に始まったことではありません。ですから嘆くのはヤメにしておきます。もう決まっちゃった事ですので、文句をつけてもしょうがないのです。我々国民としては


「いっそう公道がカオスになる」


という未来に備えて心構えをしておく、ぐらいしか手の打ちようがありません。私は去年11月に交通事故に巻き込まれて背後から不意打ちを食らっていますから、また新たな敵キャラが増えるのをワクワクしながら待っているところです。

特定小型原動機付自転車については私がここにツラツラと説明文を書く必要もないであろう。詳細についてはまず、国土交通省のウェブサイトでも読んでいただくのが第一歩ですな。


国土交通省 ホーム>政策・仕事>自動車>特定小型原動機付自転車について
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000058.html


以前から上記サイトは目を通していましたが、非常に重要な部分についての説明が欠落しています。これは国土交通省の莫迦共が「自分たちはすでに理解しているから、それを当然のものとして肝心な部分を書き入れるのを忘れちゃった」のであろう。掲載する文書を作成した下っ端もイカれているがウェブサイト掲載にGOサインを出してしまった(ろくに読んでもいない)上司も相当な恥さらしだと思う。おい役人!ちゃんと最新情報にアップデートしておけ!!

私が指摘するのは

・特定小型原動機付自転車
・特例特定小型原動機付自転車

についての明確な説明が書かれていないという点であります。超絶に重要なポイントであるはずなのに、国土交通省のサイトでひと言も触れていないというのはマズいよ。仕事しろよ。

文字にすると頭痛くなりますね。「特定小型原動機付自転車」と「特例特定小型原動機付自転車」ですって。この「特例」って何?という部分の説明を省いたらダメですよ。端的に言えば、


「そのキックボードで歩道を走ってもいいのか、ダメなのか」


にかかわるポイントです。

まず整理しましょう。今回法整備された乗り物が「特定小型原動機付自転車」なのです。これは要するに「立って乗る電動キックボード」と言い換えて差し支えありません。現時点では極端に乗車姿勢が異なるタイプ(イスがついてるとか、寝そべって乗るとか)は事実上存在していないので、いわゆる電動キックボードという認識でOKよ。

で、「特定小型原動機付自転車」は原則、車道を走るのがルールであって、これに特殊な仕様を付加して歩道も走行できる「モード切り替え」が可能なものが「特例特定小型原動機付自転車」という事なのです。「歩道も走れるタイプ」が「特例」として一部存在する、というふうに理解しませう。

「特例」になるためには満たすべき条件があって、いろいろな種類がある電動キックボードのうち

・「特定小型原動機付自転車」であること
・緑色に点滅させるランプを装備し、歩道を通行する間に用いること
・時速6km制限に切り替えが可能であること
・側車を付けていないこと
・ブレーキの位置が条件を満たしていること
・鋭い突出部がないこと

を全部クリアしていないと駄目です。そして、さらに重要な事なのですが、


通行することができる歩道は、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置されている歩道に限られる


のであります。「特例」の条件を満たしていれば全ての歩道を走れる、という訳ではないのです。

しかし私は思う。そもそも電動キックボードに乗るような人間がここまでちゃんと理解しているかどうか疑わしいと言わざるを得ません。決して電動キックボード乗りを見下してるわけではありません。ただ、免許を取るための講習・教習を受けることもなく、道路交通法の試験も受けたわけでもない連中がここまで細かい部分をしっかりと頭にタタキ込んで公道に出てくるとは到底思えないのです。

普通に時速20kmで歩道を暴走する阿呆が虫のように湧いて出てくるに決まっています。車道では年寄りがプリウスミサイルであちこちに突っ込み、歩道ではスマホ片手にヘッドホンした若者が電動キックボードミサイルで歩道の年寄りを殺戮するという絵巻が繰り広げられるのだ。当て逃げ・轢き逃げ事件が激増するだろうなと思う。

ネット上でこの「特例特定小型原動機付自転車」にも言及しつつ、きちんと細部まで説明されているのは警視庁のサイトです。警視庁のページだけ見れば充分です。さすが警視庁。つけ入るスキのない見事なページを準備しています。


特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/tokuteikogata.html


途中で読むのイヤになった人、挙手!(ハイ!)。ここまで細かくぐちゃぐちゃと書かないと駄目な乗り物を、無免許で乗れルンです。正直わけわかんないですよね。でも繰り返しますがもう法律が決まっちゃったからしょうがないのです。文句を言ってもダメなんです。手遅れなんです。

車やオートバイには「ドライブレコーダー」があるけれど、これからは歩行者も前後カメラを装備したい時代ですよ。こんな「ヤバい乗り物」にとびつく奴らが自分の都合で車道と歩道をいったりきたりしながら爆走すると思うと恐怖しかない。

なお私は上記警視庁のサイトを見ていても文字情報が多すぎてウンザリするレベルだったので、警視庁が公開している動画を見るのが一番わかりやすかったです。自分は電動キックボードに乗るつもりはないけれど、「敵を知る」という目的でじっくり鑑賞しましたよ。


【警察庁】特定小型原動機付自転車の安全利用(特定小型原動機付自転車の基本的な交通ルール)





動画を見ただけでいい感じに香ばしい乗り物だというのが如実に伝わってきて、ますます7月以降が楽しみになってまいりました。歩道も、ボーッと歩いていたらいつ電動キックボードの特攻でヤラれるか分からない殺伐とした空間となるのだ。

個人的に思うのですが電動アシスト自転車もバッテリー積んでいて歩道を走れるんだから同様の保安部品の装着とナンバープレート登録ならびに自賠責の加入を義務化したほうが整合性がとれていいんじゃないか。

1人乗りの電動キックボードはナンバー登録が必要で、そのいっぽうで最大3名乗車が可能で歩道を爆走できる電動アシスト自転車は制約ゼロの無法状態というのは意味がわからない。まあ日本の法律なんてこんなモンよ。立法府のこっかいぎーん達があのレベルですからね。いろいろ、あきらめましょう。

結論。日本において自動二輪車(オートバイ)の地位がないがしろにされているのは、日本の4大メーカーが事実上こっかいぎーんに献金してない、もしくは額がショボいからなのだろうな。いろいろと察する今日この頃であった。











#43
2023年6月20日(火)
「IP電話を解約した話」


今月16日(金曜日)のニュースで、松本剛明総務大臣が記者会見で「050」で始まるIP電話の契約時の本人確認を義務化する方針を明らかにした、と報じられました。

050で始まるIP電話が犯罪に悪用されるケースが多いのが理由らしい。

私もかつて就職して独り暮らしをはじめたのを機にNTT固定電話の回線契約をしてたものですが、そうこうしているうちに携帯電話が爆発的に普及してきたのと、どこぞのテレビ局のディレクターと番号が似ているのか「間違いFAX」が毎日昼夜を問わずおびただしい量で届くようになってしまい(内容はテレビ番組制作に関するものでどう見ても社外秘な機密事項)、それが何度苦情を入れても改善されないので電話回線契約を休止したのだった。

で、休止した場合は定期的に「休止手続きの更新」をしないといけないらしいのだが気づいたら放置状態になってしまったので、たぶん私の電話加入権はすでに消滅していると思います。

その後ネットの固定回線を引いたつながりで「仕事用」という扱いで050から始まるIP電話を契約したのであります。その後アニメ制作から鉄道業界に転職したらイッキに出番がなくなり、惰性でIP電話番号を維持しているような状態になりました。

そんなさなかに16日のニュースが舞い込んできたのです。そういえば「050」でかかってくる電話って変な業者のセールスとか謎の勧誘とかばっかりで、ロクな相手がいなかったのは事実であります。

逆に言えば自分がこの「050」の番号から誰かに電話をかけても「怪しい」と思われて出てもらえない時代なのかもしれないな、と思いました。

とはいえ今の時代はどんなサービスを受けるにも、あるいはネット通販を利用する際などでも、電話番号を書かなければいけない(入力しなければいけない)機会がけっこうあります。こう言ってはナンですが自分の大事なプライベートの電話番号を、そうホイホイとあちらこちらに気軽に晒すのはイヤです。

そういう意味でIP電話の番号は持っていて損は無かったのです。電話番号を書け、と言われたらしれっとIP電話の番号を書けば万事解決ですからね。プライベートの電話が「汚染」されることはない。こういう、いわば「玉砕用」の電話番号というか、万一情報漏洩しても個人的にはダメージゼロな予備的電話番号を持っておく、というのは「リスクを減らす」という目的のためにきわめて有効な手段だと思うのですよ。

まあ、今はすでに「050」イコール「犯罪者や不審な輩が使う電話の番号」というイメージが日本国民にしっかり刻まれてしまっている風味なので、私も無理してIP電話を維持する必要がないとの結論に達しました。

解約手続きはプロバイダのユーザーページにログインしてネットでサクッと完結する、という感じであっという間に終わりました。

モモ通読者の方で私の電話を「050」で始まる番号で登録されている方、おられましたら削除してくださいますようお願いいたします。もう、つながりません。

それにしても、かつて電話の受話器にカプラーをつけてコンピュータと接続し、データ通信していた私としては複雑な気分ですよ。昔はデジタル信号をわざわざアナログの音声信号に変換して電話回線にのせて送受信していたのです。ところが時代が移ろい、デジタルデータのパケット通信というものが実用化されて、こんどはデジタルデータ通信回線にわざわざ音声データを切り刻んでパケット化して送受信するようになったのだから、やってる事が「逆転」したのです。だから何?って言われちゃうかもしれないけど、私としては人間のアイデアって不思議だなあって思うのよねん。


「デジタル信号をアナログ音声に変換すればメタルの電話回線でデータ送れるぞ!」
 ↓
「ほんとだ!すごいね!」
 ↓
「むしろ最初からデジタルデータを高速で送れるほうが便利だわ、ってことで今後は光ファイバーで行くよ」
 ↓
「りょーかい!」
 ↓
「いいこと思いついた!パケット化してデジタルデータを送受信するしくみを利用して、音声データを送れば通話できるぜ」
 ↓
「グッドアイデアですよご隠居!」
 ↓
「皆様のご期待に応えました!IP電話登場!犯罪に便利!!」
 ↓
「は?」
 ↓
犯罪者「これは便利!!マジ最高!!」
 ↓
「050は怪しい電話ばっかりだな。問答無用で拒否!!」
 ↓
総務省「やっぱ規制します!!!」←今ここ


電話なんぞメタル回線アナログ通話のままでよかったのではなかろうか。黒電話にいたっては電源すら必要なかったんだ。技術の進歩は壮大な無駄と紙一重だな、って思う次第。

私の場合、あとは「4Gケータイの2台持ち」を続けるかどうかが問題ですな。2023年現在、スマホの2台持ちしている人というのはけっこういるけれど、ガラケー(4Gケータイ)の2台持ちをしている人は自分以外に会った事はない。私はメインの電話番号がガラケーなので大抵の人は「え?」という顔をする。初対面の人だと「スマホと2台持ちなんでしょ?」と訊かれるから、そこでさりげなくもう1台のガラケーを出して2台を並べて


「私はこういう者です」


と軽くドヤるのが私の数少ない趣味のひとつなのであります。昔から私はクラスでも教室の隅にいる「地味子」で影が薄い存在で生きてきましたが、さすがに「ガラケー2台持ち」というのは強烈な印象を与えるようで顔と名前を一発で覚えてもらえるという特典があるのです。まあ、無駄な遊びですな。

とりあえず近いうちにサブのガラケー回線を解約しようかなと思っております。いくら趣味とはいえランニングコストがかかる遊びはヤメていかないと、昨今の物価上昇に生活がついていけないわ。

ガラケーが1台しかない生活は寂しいだろうな。でもこれも時代の流れ、仕方がないよな。今から覚悟を決めておこう(←謎)











#44
2023年6月24日(土)
「おい、そこの国会議員ども、マイナポータル利用規約を今すぐ見直せ」


最初は「任意」だったはずなのに、政府が事実上の義務化を強引におしすすめているマイナンバーカードがトラブルまみれなのは今更私が語る必要もないでありましょう。

コンビニで住民票の誤発行にはじまって、公金受取口座が別人の名前で登録されていたとか、マイナ保険証に別人の情報が登録されていたとか、マイナポータル(政府が無責任に運営するオンラインサービス)で他人の年金記録が閲覧できちゃったりとか、もう次から次へと問題が噴出しています。

「お粗末」を通り越して「ヤチネズミのウンチ未満」という惨状です。度重なる情報漏洩とシステムの不具合のオンパレードです。世が世なら、かかわった奴は全員「お家取り潰し」に処されても当然、恥を知れと言いたい。役立たずのデヂタル庁は即刻解体、名誉職についてたような無能は腹を切って責任を取れ!と思う。

ここまでみっともない姿を晒しておきながら、従来の保険証を廃止するという方針は意地でも変えないというのだから呆れる。最終的に「義務化」するのなら、マイナポイントのバラ撒きなんて税金の無駄遣いをするべきではなかった。やっぱり全員「お家取り潰し」が妥当ですよ。

気の毒なのは地方自治体の、いわば最前線に身を置いて窓口業務をはじめ実務に携わってる人たちだよ。国がいいかげんな制度と出来損ないのシステムをつくって、面倒な手続きは全部地方自治体に丸投げしたのだ。現場は混乱してるぞ。赤坂の料亭であそんでる場合じゃない。犯罪レベルの悪行ではないか。

私はまだマイナンバーカードをつくっていない。最初は「任意」だと言っていたではないか。だから私は「任意ならイラネ」と思っていたのです。「任意」といいながら、つくれ、つくれと何度も郵送で申し込み案内書類が届いたが、こういう税金のムダづかいはマジやめろと思っていたのです。

でも健康保険証が人質にとられてしまったから、最終的には私も「作らざるを得ない」という状況になるのでしょう。実に腹立たしい。

すでにマイナカードをつくった!という方は当然のことながら、あの「マイナポータル利用規約」をお読みになり、全て承諾したという事ですな。


マイナポータル利用規約(デジタル庁公式)
https://img.myna.go.jp/html/riyoukiyaku_ja.html


第26条において「免責事項」を定めています。



文章引用


デジタル庁の責任逃れ口上




はっきり書いてあります。画像だとちっちゃくて読めないので文書をそのまま転記します。



<以下引用>出典は上記公式サイトの利用規約本文


(免責事項)
第26条 マイナポータルの利用に当たり、利用者本人又は第三者が被った損害について、デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わないものとします。


<引用ここまで>



出たよ、逃げ道だけはあらかじめ念入りに準備してある卑怯者。ここにちゃんと書いてあるから責任は取らないってか。この「デジタル庁の故意又は・・・デジタル庁は責任を負わないものとします。」の逃げ口上は、ほかにも「アカウントの削除」(第18条)や「代理人の登録」(第20条3項)においても使用されています。どこまでも予防線だけは張っておくという、ずる賢い奴らですよ。

しかし言わせてもらえば、これまで現実に発生している「不祥事」の数々は「デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合」に該当するのではないか。明らかに「重過失」があるではないか。この期に及んで責任を取らずに逃げるのはちょっとクズ人間っぷりが過ぎるのではなかろうか。私が悪かった、責任を取りますと頭をさげて国民に詫びる必要があるでしょうに。

このように、きわめて重大な事項をナアナアの雰囲気でお粗末極まりない内容のまま推し進めている連中は私に言わせれば「国賊」であります。その一方で国民の大多数がイマイチ納得していない「LGBT理解増進法」なんていうのを凄まじいスピードで可決したかと思うと、こんどは間髪を入れずにジミントーの一部議員が「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性を守る議員連盟(仮称)」とかいうのを設立しようと動いている。LGBT理解増進どころか速攻で差別してるじゃないか。莫迦なのか?最初から「無くてもいい法律」を無駄に急いで成立させるから、こういう事になるんだよ。いったい何がやりたいんだよお前ら。

私は交通行政に関する話以外は、できるだけ政治の話はしたくないんですけど、最近はあまりにも「目に余る」あるいは「度が過ぎている」と感じるのでつい書いてしまった。こんな文章をネット上に晒していると「当局」にマークされるかもしれないけど、別に嘘は書いてないし特定の誰かを貶(おとし)めるような発言もしていない。いまどき流行りのフレーズで言えば「個人の感想です」という感じでしょうか。

とりあえず、やらかした問題については仕方がない。起きちゃった問題はしょうがない。最優先でシステム改修や今後同様の問題が起きないように策を講じればよい。ただし責任は取れ。言いたいことはそれだけ。もしもマイナポータル利用規約を盾に責任逃れをするなら、規約をイチから見直してつくりなおして来い。

ついでだから言い添えるけど、こっかいぎーんは全員、東京都の最低賃金で働け。時給1023円。当然、実働時間でカウントするものとする。議場にいない時間はもちろんのこと、寝てる間やスマホいじってる間は「勤務時間」とは認めないから宜しく。そうすれば時間給で働いている我々下層民の生活の厳しさ&苦しさが少し分かってくるかもしれないぜ。せいぜい、しっかり仕事することだ。

今日言いたい事はこれだけ。スッキリした。以上ぅ!!











#45
2023年6月28日(水)
「スマホのGPSを用いたストーカー的行為、あるいはスマートタグなどの話」


私はメインが「かけ放題の4Gケータイ(二つ折りの携帯電話)といえども、一応はスマホも併用している身であります。「SNS」だの「なんちゃらペイ」だのをやらないだけで、メールの送受信や地図アプリなどは便利に使っているのだ。

特にGPSを搭載したスマホと地図アプリの威力は絶大だと思っています。いわばハンディ・ナビゲーション端末になるわけですよ。これにより初めての場所を訪ねる時の不安感が激減したのであります。昔は慣れない街に出向くとなると雑誌の「ぴあMAP」なんかを参照して下調べをして、それでも道に迷ったりする事など日常茶飯事、目的地に着く頃には脚が棒のようになってヨレヨレという事態は当たり前でありました。

今はスマホが搭載したGPS機能で地図上に現在位置が示され、目的地までの道案内をしてくれるのです。距離やおおよその時間まで表示されるので、よほどのことがない限り道に迷って絶望することはない。本当に凄い事だと思う。

これを応用して車やオートバイでスマホをナビゲーション・システムとして活用する人も多いようです。オートバイのハンドルバーにスマホ固定台座を装着し、目的地までの道案内に応用している人はよく見かけます。私みたいに紙の地図で下調べをしてあとは道路に設置された「青い道路看板」を頼りに突き進む野人は激減しているものと思われます。すごい時代になりましたね。

で、スマホのさらに驚くべき機能といえば、行った先で写真を撮ればちゃんと位置情報まで記録してくれるという素晴らしさです。その昔、私は位置情報を記録するため「だけ」にわざわざGPS機能搭載のデジタルカメラを買って使っていました。これがなかなかのクセ者でGPS機能をオンにするとバッテリーはあっという間になくなるし、かといって電源を入れた時だけGPSを作動させようとすると現在位置を捕捉するまでやたら時間がかかったりしてイライラしたものです。だから最新鋭の高性能スマホを使いたいと思い、スマホにお金をかける人の気持ちはよくわかる。様々なアプリで多機能スマホを存分に活用している人なら、機種選びにもこだわりが出て当然の事です。

私のスマホはもう型の古いオンボロ端末ですが、それでもまだ私の道具としては充分に働いてくれているので今のところ不満はありません。

月に一度、Googleから「先月のハイライトをお届けします」とかいうタイトルのメールが届きます。なにやら「Angelicaさんのタイムラインの更新情報」という内容で、前月に訪ねた街はここですよ的な地図情報のまとめが送られてくるのだ。



タイムライン


やだぁ私の行動範囲がモロバレじゃないですか




個人的には「ああ、そういえばこんな所にも行ったなぁ」ぐらいの気分ですが、ある意味Googleがスマホを通じて私にストーカーしているようなものですよね。便利と言えば便利ですが、気持ちが悪いといえば気持ちが悪い。極端な言い方ですが「監視されてる気分」は否定できない。

それにつけてもGPSの精度はふた昔前と比べてすごく上がっているなあと感じます。私がまだ学生だった頃、先に就職した友達が車を買って最新鋭のナビゲーションシステムを取り付けた、というのでみんなでドライブに連れて行ってもらった事があった。もともと軍事用に設計された合衆国のGPSはあえて精度を落としている(ある程度の誤差を残している)のですが、当時のナビシステムはその誤差をありのままに反映してしまい、地図上で道ではない区域を走行するなど頻発しまくりでした。現在位置の捕捉に時間がかかるし、精度はユルいし、トンネルに入れば表示は壊滅だし、ちょっと残念な感じがしたものです。液晶画面上で湖の上を爆走している状態になったときはみんなで大笑いした記憶もあります。今は「みちびき」という日本の衛星測位システムもあり、これに対応する機械であれば現在位置を特定する精度はハンパないレベルに達しています。

先日、とあるエリア(まあ私がいつもウロチョロする場所と言えば決まっています)にGPS機能のついた機械を携行して行ったのですが、うちに帰って移動したルートのログをパソコンに取り込んで地図上に表示したところ、見事なほどに正確で肝を冷やすレベルで驚いたのであった。



GPSログ


私の歩いた軌跡が正確にトレースされている




これ、陸の上でも便利なのはもちろんですが海上に出た時は威力絶大だろうなと思いました。私が小型船舶免許を取った時代は民生用のGPS機器はなかった。厳密に言えばあったのかもしれないが、少なくとも個人レベルで導入できる価格帯の物は無かっただろうと思います。海図とコンパスが命綱でありました。一級小型船舶もってる人は割とマジで夜間に六分儀をつかい星を読みながら進むレベル。やってる事は基本的に大航海時代と変わらない状態でした。

私もヤング時代は自転車で旅をしまくったりフル装備で山に入って出てこなかったりしたクチですので「今、自分がどこにいるのか分からなくなった時の恐怖」というのは知り尽くしております。地図をもっていても、現在位置が分からなければナンの意味もないのですよ。

さて。そんな現代ですから、当然のようにひらめいたのが「自分の愛車(車とかオートバイとか)にGPSで特定した位置情報を発信するシステムを仕込んでおけば、泥棒対策になるのではないか」という、まあ平凡といえば平凡なアイデアです。

日本で「私刑」は禁止されているけれども、仮にどこかの阿呆ガキがイタズラ半分で私のオートバイを盗む事態になったら、GPS発信機で位置を特定し地獄の果てまで追い詰めて、犯人を見つけたら取り押さえて金属バットでメッタ打ちにし「二度と盗みを働けない身体にしてやる」ぐらいは可能ではなかろうか。

まあそれは冗談としても、警察に被害届を出す際にひとつの「手がかり」的な情報として提供できれば、窃盗犯の逮捕につなげることができるかもしれません。まあ実際は日本の警察は人身被害が出てない事件には全く手を貸してくれないのですが、そのへんの不満はおいておこう。

オートバイの車体にこっそりと仕込んで置けるような、何かいい「位置情報発信機」ってないですかね?と思ってネットで情報収集してみました。俗にいう「GPSトラッカー」という装置ですね。

その類の製品はいろいろあることが分かったのですが、そんな中に「Appleのエアタグはバイク盗難追跡に使えるか」みたいな実験動画をYouTubeに上げている人がいて「エアタグってナンだ?」となったのです。私はその昔(PowerPCの時代)は熱烈なAppleファンでしたが、諸般の事情によりAppleの商魂に嫌気がさして今はApple製品はiPodのみ所持、というありさまです。だから今どきのApple製品の事は何にも知らない。



エアタグ


Apple社のAirTag(エアタグ)




これは鍵とかお財布など、ちょっとした隙に置き場所が不明になってしまうような貴重品に装着しておくと、iPhone等の端末を通じて在り処を探し当てることが出来るコイン状の小さなスピーカー内蔵通信機とのことです。



エアタグ購入ページ


値段は1個4,780円ですって




私は無線マニアでもあるので、いったいどういう仕組みで位置を追跡するのか?という点に大変興味がわいたので一通り情報を仕入れてみました。まあ詳細は省きますが、Appleが商品説明で明確にしているように「一瞬見失っている鍵だの財布だのを探し当てるためのアクセサリ」にすぎず、正直オートバイが盗難に遭ったときに追跡を可能にするような都合の良いシロモノではなかった。

なおエアタグはApple製品なのでiPhoneを使っていなければ意味がないのであり、Androidスマホのユーザーには似たようなコンセプトの製品で「タイル」というのがあるみたいよ。



タイル


AndroidユーザーにはTile(タイル)がメジャーな存在




これらの製品は「スマートタグ」と呼ばれて既に広く普及している層です。しかし、端的に言ってスマホとBluetooth接続する「エアタグ」や「タイル」ごときでは盗まれた愛車の追跡は出来ません。Bluetoothでは位置情報を送信する能力が低すぎて意味が無いのです。全国にはりめぐらされた携帯電話網のようなインフラを使わなければ、ひたすら逃げてゆく窃盗犯の位置をどこまでも追跡することはできません。

そういう意味ではきちんと「車・バイクを見守る」と謳ってサービスを展開している「ココセコム」のようなシステムを導入しないと駄目という、非常にシンプルな答えに至るのだった。



ココセコム


これ以上のサービスは無い、ぐらいに隙の無いココセコム




私もオートバイを持っていた時は家からだいぶ離れた場所に駐車場を借りていたから、盗難の心配は常につきまとっていました。実際、TDR80に乗っていた時、たまたま私が走りに出かけて帰ってきたら駐車場に常設していた工具箱(タイヤの空気入れとかバイクカバーとかを入れていた)が盗まれていたことがあった。オートバイ本体が盗まれた訳ではないにせよ、気味が悪いなと思って別の月極駐車場に移ったものよ。そういう意味で、天下のセコムが愛車を見張ってくれるなら心強いではないか。

しかし当然、費用はそれなりにかかります。それなりというか、ランニングコストとして考えるとなかなかに高額です。



ココセコム料金表


加入料金+月額基本料金+万一の際のセコム駆け付け料金




加入料金は最初だけだし、駆け付け料金は「最悪の事態」で発生する料金ですが、それを除外して月額基本料金だけ見ても

基本料金 1,200円
セコムくるま盗難監視 800円
合計 2,000円プラス消費税

ということで、なかなかの負担であります。でも大切な愛車を守るための防衛手段と考えれば決して高いとも言い切れません。万一にそなえる「安心料」というのは往々にして高いのが世の習いであります。

私自身としては、オートバイに乗ると仮定した場合、これからは

・前後カメラ装備のドライブレコーダー
・GPSトラッカー
・厳重な盗難防止ロック

の3つは「必須」と思うのであります。ドライブレコーダーが無かった時代の交通事故の取り扱いなんて「悲惨」のひと言でしたからね。今みたいに街のあちこちに監視カメラもありませんでしたから「証拠」を提示することが不可能でした。いわば「ウソでも言ったモン勝ち」だの「ゴネた奴が得をする」だの、それはそれは無残な流れで警察に処理されて多くの人が涙したものです。余談ですが警察が事故の調書をとるときの誘導尋問っぷりとか、「圧」がマジですごいですからね。事故当事者の発言を「違ったニュアンスにとれるような表現に言い換えて文章化する警察の能力」をあなどると痛い目に遭いますぞ。

というわけで、いずれオートバイに乗る時には今どきのドライブレコーダーや高精度のGPS装置を積極的に取り入れて盗難対策もしなくちゃいけないなぁ、としみじみ思った次第であります。

そういう意味で自分や友人の愛車を気軽にホイホイ写真に撮ってSNSに晒すとかいう行為は決してやってはいけないな、と思います。自宅前の駐車スペースで写真なんぞ撮ってネットにアップしたら場所を特定されて窃盗犯に狙われる可能性がイッキに高まってしまいます。現代においては「愛車自慢」や「自己顕示欲を解き放つ行為」は何の得にもならない、と思う今日この頃でありました。

本当に大切な人や物に関しては口をつぐんで語らず「隠しておく」ぐらいがちょうどいいよ。割とマジで。だから私は仮にホンダCB125Rを買ったとしてもモモ通のネタにはしないかもしれません。喜びおどってモモ通でネタを書きまくったら「五反田在住のCB125R乗り」とかいって速攻で保管場所その他すべてが特定されて窃盗団にロックオンされそうじゃん。「ネットに写真掲載して自慢したばっかりに盗まれちゃった」なんて事になったら心が折れるわ。



CB125R


私のマシンを盗むのはマジ勘弁な




教訓。ネット上には「どうでもいい話」を書きましょう。発作的に自己顕示欲を満たす行為がめぐりめぐって自分に不利益な結末をよび計り知れないダメージを受けるなんて馬鹿げた話ですよ。














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