モモンガ通信2025年(第2期) フルートとかオートバイとか動物園とか・・・のどかさんの日常ヨタ話


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#21
2025年4月4日(金)
「エレキ原付・実証実験報告 その1(検討と購入)」


今年も3ヶ月が過ぎ去り、いよいよ第2四半期にさしかかるタイミングということでモモ通でも新しいネタを真面目にとりあげるのであります。

実はこれまで約1年にわたってエレキ原付を導入して実証実験を行っていました。エレキ原付が自分の生活様式に適した乗り物であるかどうかを確認する作業を1年かけて実施したのです。エンジン排気量50cc相当の扱いとなる電動原付を実際に購入し日常的に利用して、自分なりの評価が固まったので報告をしたいと思います。

まず大前提として、私が排気量50ccクラスの原付にこだわっていたのは明快な理由があります。それは保管場所、あるいは外出時に利用可能な駐輪場の問題です。私が生息している東京都品川区では駅前の駐輪場などはほぼ全て「利用可能なのは50cc原付まで」という制約があります。法規上50ccの原付自転車の駐車スペースに関しては自転車と一緒という扱いとなっており、逆に排気量区分が50ccではないもの(デカいもの)は駅前の駐輪場に置くことができません。

これは定期利用の可能な区営駐輪場も同様で、月々の利用料が比較的安い区営駐輪場をふだんの保管場所にしたい場合は50ccじゃないと置かせてもらえないのです。

法定速度が時速30km縛りがイヤだとか、二段階右折がやってられないとか、そういうふうに考えて乗り物を選んでしまうと置き場所問題・駐輪場問題が一気に深刻化するのであります。自分で民間の月極バイク置き場を探さなければなりません。品川区界隈では自動二輪用の月極駐車場は数が少なく、金額もかなり高いです。屋根もない超絶に狭い区画(これじゃあ50ccスクーターしか置けない的なレベル)の駐車場が月に8千円とか1万円とかします。窃盗から愛車を守るために専門業者が運営しているセキュリティの高い物件もあるにはあるけれども月額1万8千円とか2万4千円とか普通にします。それでも空き待ち・キャンセル待ちですからなかなかに香ばしいものがあります。

そして私は当然のことですが民間の月極駐車場をあきらめて区営駐輪場の空きを抑えることに全力を注ぎました。何しろ置き場所が確保できないと原付は買えません。定期利用の空きがないか問い合わせるといつも満車であり、人事異動のある4月や10月がひとつのチャンスという視点で獲物を狙うハンターのようにアンテナを張り巡らせておりました。

しかし結論からいうと去年の春も秋も空きはなく、そしてこの4月も区営駐輪場を確保することは出来なかったのであります。3月に入ってからしつこいほどに問い合わせたけれども結局駐車スペースを抑える夢は叶いませんでした。

であるなら、もう区営駐輪場の空き待ちはスパッとあきらめて民間の月極駐車場を探した方が現実的という話になってきます。家からそれほど遠くない場所で、できれば屋根があるところ、そして月額料金が安い場所を探すしかありません。私自身は大きいサイズのオートバイを買う気はありませんが、民間の月極駐車場を借りてそこに置くのであれば別に50ccに縛られる必要はなくなり、車種の選択肢が大きく広がることになるでしょう。


というあたりが、現時点の状況であります。


では、いよいよエレキ原付の話に入りますかね。おととし2023年のはじめあたりから、私は日本でポツポツと現れ始めた電動原付の試乗をしまくっておりました。言い出しっぺの欧州でEVシフトがにわかに失速している感のある2025年4月現在とは状況が大きく異なり、割とメディアがEVシフトをもてはやしていた頃であります。合衆国のテスラがにわかに話題をさらい、オールドメディアが「EVについては支那がナンバーワンの先進国」とか「トヨタはEV戦略で世界的潮流に大きく出遅れている」などといった印象操作を日本国民に刷り込もうと躍起になっていた時期といえば皆様もなんとなく記憶があると思います。日産のエレキ軽自動車「サクラ」の発売が2022年6月ですのでメディアがEVシフトを煽りまくっていたタイミングといえましょう。

別に私は「これからはEVの時代」などと考えたことは一度もありません。電気、蒸気機関、内燃機関のうち車にもっとも利便性が高いものはどれか?などという問題提起は100年も前に決着がついた話でありまして、ただでさえEVシフトがすすんだら必要な電力をどうやってまかなうのかという問題を考えたらばかばかしいレベルで全車EV化など幻想にすぎず、ましてや二酸化炭素排出量だの環境負荷だのという視点でEV化を推進するのは大きな誤りだと言わざるを得ません。私は鉄道業界で禄を食んだ人間ですから「電気で乗り物を動かすなら鉄道一択だよ」としか言いようがないのであった。車の邪魔になるからとせっかく整備した路面電車網を廃止・解体した無能な交通行政に呆れて放屁するレベルです。

でも、ここで念頭に置いておく重要な点として、私が欲しいのは「ご近所ちょい乗り」の道具なのです。すでに排気量50ccエンジンの原付が欧州基準の排ガス規制に対応できずギブアップする未来は確定事項でありましたから、原付で通院したり買い物に行ったりする程度ならエレキでも足りるんじゃないか?ということで購入候補から無理に外さなかったというだけです。最新テクノロジーのEV(というかエレキ原付)がどれぐらいの実力、あるいは潜在能力や将来性を秘めているのか実際に試してみるのも悪くないぐらいに考えていました。

なので普通に50ccのエンジンを搭載したスクーターやカブを見て回る一方で、試乗可能なエレキ原付はディーラーに問い合わせて積極的に試乗させてもらうという事をやっていました。電動キックボードは対象外です。あれは全く興味がありません。乗車姿勢がきちんとしたマトモな設計のスクーターというのが私にとっては必須条件でありました。具体的にはホンダのEM1 e:やヤマハのE-Vinoなどのようなモデルです。


ホンダ EM1 e:(公式)
https://www.honda.co.jp/EM1e/


ヤマハ E-Vino(公式)
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/e-vino/


四輪業界でEVシフトという用語がにわかに頻出しはじめ合衆国のテスラが時代の最先端みたいな扱いになっていた頃、EVに乗るメリットとして「メンテナンスフリー」と「ランニングコストが安い」という2点がさかんにアピールされていました。

・エンジンオイルなど内燃機関で必要な油脂類の交換が不要
・トランスミッション等、メカ的に複雑な機構がないため故障しにくい
・安い夜間電気料金で充電すればガソリン代より低コスト

といったメリットです。これは私のような「ご近所ちょい乗り派」には割と大きな魅力です。ゆえに環境問題の意識が高いからエレキを積極的に選ぶというのではなく「ズボラな私にはエレキ所有もありかも」という思いがあって選択肢に含めていたというのが正直な話です。



さてさて。

私は原付購入の主たる目的が「ご近所ちょい乗り」と繰り返し発言していますが、具体的には年間どれぐらいの距離を走るのか?と問われると答えに困るのが現実です。だからぁ、ちょい乗りだよ、医者に行ったりスーパーに買い物に行ったりちょっと用事で出かけたりとかいろいろあるでしょ!とは答えられますが具体的に年間で約何kmなどと数字を挙げて答えられるはずがありません。

なので原付導入にあたって「実際に私が原付を日常使いするとして、年間に何キロぐらい走行するのかな」というのはちょっと気になりました。自動車の任意保険なんかでも契約時に年間の走行距離を自己申告してあまり乗らない人は保険料が安くなったりするじゃないですか。通勤通学で使う人なら家と職場の往復距離×出勤日数でざっくり計算できたりするかもしれませんが股関節の痛い私が手ごろな移動手段として乗るとどれぐらいの距離を走るのか、想像して算出できるはずがない。これは実際に乗って使って結果を見てみるしかないな、と思いました。

たまたま知り合いが「電動アシスト自転車」を買ったので、私は充電頻度や月々の電気代が上昇した実感はあるのかどうか、という点について訊いてみました。彼女は通勤に電動アシスト自転車を使用して3日に1度の充電、月の電気代のうちいったいいくらが自転車のバッテリー代なのかは不明(←そりゃそうだ)だけれども極端に電気代が上がったような実感は無い、と言っていた。ふむふむ。

となると私にはエレキ原付の、オイル管理(定期的なオイル交換)が不要という点がかなりの魅力に思われます。4スト50ccの原付であれば少なくとも半年に一度はオイル交換をするためにショップに持ち込む必要があるし、燃料に関してもいちいちガソリンスタンドに行かなくてもバッテリーパックを家で充電できるほうが手間いらずで楽ではないかと思う。携帯電話と同じくコンセントにさしておけばいいだけですもんね。

ちょっとエレキ原付を試してみるというのもアリだな、と思いながらいろいろな車種を試乗しましたが、結論から言いますとBLAZE SMART EVというエレキ原付にすっかり惚れこんでしまいました。


BLAZE SMART EV(ブレイズ公式)
https://portal.blaze-inc.co.jp/smartev/



BLAZE SMART EV

画像は公式サイトより引用




最初、試乗したエレキ原付について今後のモモ通でチビチビと小出しに1台ずつレビューするようなつもりでいたのですが、そんな面倒くさいことをやる気が失せるほどにBLAZE SMART EVは強烈な印象を私に与えました。試乗して一番楽しい乗り物でした。「エレキを買うならこれしかないな」と思ったほどに感動したのであります。実際このエレキ原付を試乗した後もいろいろな車種に乗らせてもらいましたが、どれも私の心を揺さぶるほどではなかった。

今は無くなっちゃったのですが、私がエレキ原付のリサーチ&試乗に全力をあげていた頃には日比谷公園のすぐ近くにブレイズのショールームがありました。どういう訳か今はやってないのです。公式サイトで紹介していません。一時的に閉鎖しただけなのか、それとも完全に東京ショールームは撤退して今後は置く予定はないのかどうか、そのあたりは全く不明です。



ショールーム

すごくオシャレなショールーム




ネット予約で試乗も受け付けていたので私はサラリと申し込みをしたうえで、愛用のヘルメットとグローブを持参して大都会・千代田区内幸町のショールームに赴いたのであった。礼儀正しい青年がニコニコで迎えてくれて、いきなり好印象でありました。

ここで重要なポイントに触れますが現在、日本国内に見られるパーソナル電動モビリティ(電動バイクとか電動キックボードとか違法のモペッドとか)はほぼ全てが支那製であります。念のためにお断りしますと電動アシスト自転車というのはヤマハのPASが最初であり「ペダルをこぐ力をアシストする」機能を装備したタイプは日本発祥、そして今も国内メーカー製が大きなシェアを有しています。私がパーソナル電動モビリティと呼ぶものは要するに「フル電動」の乗り物を指します。日本ではLUUPなどという事業者が都心部を中心に電動キックボードのシェアリングを展開していますが、LUUPが本格稼働するよりも5年も前に支那製の電動キックボードが欧州に大量に輸出されて流行した時期があります。ところが電動キックボードによる事故が多発したため欧州ではこれを禁じる流れが加速。欧州ではあっという間に廃れた経緯があります。

そんなニュースが報じられている中で日本でなんの議論もないまま突然「特定小型原動機付自転車」が制度化され改正道路交通法が施行されたのが2023年(令和5年)7月1日です。自転車の保険加入が義務化されヘルメットの重要性がさかんに取りざたされている一方で、なぜか電動キックボードは免許とヘルメットが不要で公道を走行できる法律が不自然なほど爆速で成立したので疑問に感じた人も多いだろうと思います。これにより欧州で売れなくなった大量の支那製電動キックボード在庫が日本に入ってくることとなり、支那共産党と日本の国会議員の間に何らかの利権が絡んでいたのだろうと国民は察したのであります。

特定小型原付が合法化するよりも前からエレキ仕掛けのオートバイは次々と日本国内市場に上陸していました。売国奴メディアは「日本はEV後進国」というイメージの刷り込みを強力に推進しており、EV先進国の支那ではこんな電動オートバイが登場しました!最新技術で高性能ですね!それに比べて日本は遅れていますね!みたいなニュースをネット上のポータルサイトでガンガン流し続けていました。

数々のエレキ原付を試乗してきた私ですのではっきり申し上げますが、支那の有象無象が適当に既存の部品を組み合わせてつくったパーソナル電動モビリティを日本に持ち込んで販売していたのは「名ばかりの販売代理店」すなわち単なる貿易商であります。彼らは支那で新しい製品が発売されるとそれを日本国内に輸入してネット上に広告をバンバン出して主たる販路はネット通販という戦略をとってきました。そして文字通り「仕入れたら売りっぱなし商法」を展開しているのです。そういう業者ばっかりなのです。言い換えると、製造したメーカーが日本で販売店網を構築して責任をもってアフターサポートまで請け負う、という「まっとうな商売」ではないのであります。

これにより次のようなケースが常態化しています。

我々日本人が名前も知らない支那メーカーから最新電動オートバイが登場した、といって販売代理店(実はただの貿易商で輸入しているだけ)が大々的にネット広告を打ちます。その息のかかった販売店が存在して、試乗動画などをYouTubeにアップするなどして話題を盛り上げます。試乗も受け付けたりします。名誉のために具体的な名は伏せますが、そういうショップが実在します。(というかそういうのばっかりです)

定価は高価格なのですが、キャンペーンなどと称して大幅な値下げ(をしたように見せかけた)販売を行います。動画を見るとけっこう良さそうだし買ってみるか、などと考えて購入する人がでてきます。私のように試乗して気に入って買う人もいます。

仕入れた分が全部売れてしまった段階で「販売終了」のアナウンスが出されます。まあ当たり前ですよね。その頃にはもう最新型ではなくなっていますから(すでに全く別の新型が登場して、話題はそっちに移っている)、実際に買った人は「けっこうな値段はしたけれども定価より安く買えたからまあいいか」みたいな気分でしばらく乗って楽しく過ごします。

問題はこの後です。急に電動バイクの調子が悪くなった、一部のパーツが破損してしまった、というような事態が起きます。支那人は設計が雑なうえにそもそも二輪車をマトモにつくるノウハウなど積み重ねていないですから「普通こんなところ壊れないだろ」みたいな意外な場所がボッキリ折れたり割れたりします。電動オートバイ本体は問題がないけど充電器が壊れた、なんていうのもあります。あるいは、メカは無事だけど充電式バッテリーの持ちが悪くなってきたな、という事は普通に起きます。スマホなんかと同じで充電池は劣化するのです。

そういう事態が起きたときに「名ばかり代理店」の取り扱い製品を購入すると悲劇に見舞われます。「そちらの製品については取り扱いは終了しました」とかいって、何のサポートも受けられないのです。文字通り売りっぱなし商法ですから、壊れたパーツのみ取り寄せなんて受け付けてくれません。バッテリーがヘタってしまったのでバッテリーパックの新品が欲しい、あるいは充電器が壊れたので修理してほしいと言っても「バッテリー単品での取り扱いはしていません」「充電器単品の取り扱いはしていません」などとフザけた事を平然と言ってのけます。充電池が外せないタイプの電動オートバイはもっと悲惨です。もうコレはダメだ、となっても街のバイク屋さんでは引き取ってもらえません。「買ったお店に相談して」と言われるだけです。「名ばかり代理店」は単なる輸入業者にすぎませんから、使用済みの車両を引き取ることなど微塵も考えていません。「お住まいの地方自治体に回収してもらってください」とかマジで言いやがります。もっとひどい業者だと、購入元に問い合わせようとサイトを探したら行方不明(サイトが無くなっている)、というケースもある。とにかく奴らは支那製品をガバッと仕入れて売りさばいて一通り稼いだらサッサと逃げてしまうんです。

これは冗談でも作り話でもなく本当です。パーソナル電動モビリティ界隈は、とにかく胡散臭い。いや、それを通り越して支那商人の悪徳ビジネスが横行する無法地帯そのものです。だからネット通販で得体のしれないキックボードなんて絶対に買ってはいけないのであります。

で、私が強調して申し上げるのはBLAZEだけは本当にまっとうな代理店がきちんとした商売をやっている稀なる存在であります。私が選んだBLAZE SMART EVは2017年12月に国内で販売を開始した時からずっと、公式サイトでタイヤやチューブ、ブレーキパッドなどの消耗品を正式に販売しつづけるという万全のサポート体制を続けているのであります。ホンダやヤマハのような日本の自動二輪メーカー以外で、購入後のサポートをきちんと継続しているのはBLAZEだけなのであります。他のインチキくさい業者とは実績が違うのです。



安心のBLAZE

エレキ輸入車界隈で信頼と実績ナンバーワンのBLAZE




ショールームでひととおり車両を見せてもらい詳しく話をきき、いよいよ試乗させてもらう時になりましたが実物を目の当りにし跨ってみるとなかなかに興味深い。ふしぎな形状のフレームとやたらと小っちゃい車輪に目が行きますが、乗車すると両脚で車体を挟み込む「通常のオートバイと同じ様式」での運転姿勢となり、ひざをそろえてチョコンと座る一般的なスクーターとは一線を画した身体と車体の一体感があります。運転操作は一般的なスクーターと同様で右手のスロットルをひねると発進、加速。右手で前ブレーキ、左手で後ろのブレーキを操作します。足はステップに乗せるだけで操作はいりません。



SMART EV

個性みなぎるBLAZE SMART EV




ステップの位置が絶妙な所にある(車体のけっこう後ろの方にある)おかげで、両脚で車体を挟み込むとヒザがダウンチューブ(というのか?フレームのうち後輪につながる本体部分)にいいかんじに決まりいわゆるニーグリップができるのです。これにより下半身が完全に車体と一体化します。ゆえに上半身をリラックスさせて運転するのですが、小さい車輪とあいまって割と機敏に曲がることができて乗り物として(これまでに類をみない自動二輪として)超絶に楽しいのであります。この時点ですでに「もしもエレキ原付を買うならこれ以外は考えられない」という結論に到達してしまいました。

その後も他のエレキ原付にいくつか試乗しましたが、後にも先にも乗り物として面白かったのはBLAZE SMART EVが一番でした。

私が試乗した頃はまだ新車が税込で18万円を切っていたのですよ。18万というとまあ高いですよね。ガソリン50ccで中古を狙うのと比較したらほぼ倍でしょう。しかし、その後BLAZE SMART EVはズンズンと値上げしてこのモモ通を書いている2025年4月3日現在では税込239,580円になっています。おそろしいほどに金額が上昇しましたな。

結局、50ccエンジンの原付ではなく、私がエレキ仕掛けのBLAZE SMART EVに決めた理由は下記の3点です。

・運転が超絶に面白い(エンジン原付では味わえない独特の快感がある)
・置き場所問題から解放される(折りたたみ式で玄関の中に収納できる)
・たまたま安い中古車を見つけた

エレキ原付の中古なんてほとんど無いですし、仮にあったとしても何処の誰がどんな使い方をしたのか分からない、もっとハッキリ言うとバッテリーのヘタり具合がわからないからいくら安くてもそうそう手を出せるものではありません。

ところが、偶然ネットフリマで走行距離が80kmに満たない車両が捨て値のような価格で出ているのを発見しました。ミラーのネジがゆがんで要交換、という注意書きはあるものの自賠責は4年近く残っているし送料も出品者負担だという。おそらく、面白そうだor便利そうだと思って試乗などせぬままネット通販かなにかで購入し、いざ入手してみたらコレジャナイ感が炸裂し、あまり乗らないうちに嫌気がさして手放すという状況ではなかろうかと推測しました。付属品に欠品無し=重要なスマートキー(新品では2個付属)がきちんと2個揃っているということだったので即決しました。



購入

試乗で気に入った緑が欲しかったけど買ったのは黒




受け取った車両はそれなりに傷などがありましたけど気にしません。オドメーターで走行距離を見ると本当に70km台です。さっそく充電して動かしてみたら試乗した時の感動がよみがえる。おお、これはナイスだ!ということですぐにナンバー登録だの任意保険だの一連の手続きを済ませました。自賠責の名義も自分にしておいた。

こうして、これまでグジグジ、ウダウダと原付が欲しい原付が欲しいと繰り返し、買う買う詐欺みたいな話を書き続けていたモモンガ通信の陰でひっそりとエレキ原付購入が行われていたのであります。



仕様

製品スペック(BLAZE公式より引用)




なかなかに面白そうな乗り物(まあ実際に面白い)だというのがお分かりいただけますでしょうか。

車両サイズ:全長1230mm×全幅600mm×全高1000mm
折りたたみサイズ:全長660mm×全幅270mm×全高:1230mm
乗車定員:1名
耐荷重量:120kg
車両重量:20kg
充電時間:約3.5時間
定格出力:0.35kw
航続距離:30km
タイヤサイズ:12-1/2 × 2-1/4 R
ブレーキ:前後ディスク
最高速度:30km/h
ACアダプター出力:2A
バッテリー:リチウムイオンバッテリー(48V/8.7Ah)
空気圧:前250kPa 後280kPa

蛇足ですがこちらは原付免許が必要なタイプ、すなわち排気量50cc相当のものになります。今は特定小型原付モデルも売ってるみたいです。

画像にもあるけど折りたたみ機構が素晴らしいのですよ。純正オプションの専用スタンド(これはネットオークションで中古品を安く入手)を使うと家の玄関入ったすぐ脇に立てておくことができます。かつて折りたたみ自転車を置いていた場所に原付が置けるなんて嬉しいじゃないの。自宅(玄関内)保管ということで駐輪場どうするよ問題が一発解決ですよ。マジ最高。

ということで、このBLAZE SMART EV購入によって私のエレキ原付生活が始まったのであります。実際問題としてEVは実用に耐えるのか?そして私が「ご近所ちょい乗り」と言っている使用範囲だと年間走行距離はどれぐらいになるのか?本当にカタログ値のように航続距離が30kmあるのか?電動の具体的なメリットやデメリットをじっくりみてゆこうではないか。

いやぁ、自動二輪のある生活に復帰したい、自分のオートバイに乗りたいと思っていた願いがやっと叶いましたよ。私は自由を取り戻したのだ。



理想と現実

まあ現実はこんなもんよ




次回はいよいよBLAZE SMART EVのある生活を赤裸々に告白したいと思います。つづく。










#22
2025年4月8日(火)
「エレキ原付・実証実験報告 その2(じっくり観察)」


念願かなって「ご近所ちょい乗り」に特化したエレキ原付"BLAZE SMART EV"を購入した私であります。これはもう天にも昇るほどに嬉しい事件ですよ。

前回書きましたように新車ではなく走行距離が70kmに満たない中古車をネットフリマで購入しました。各社から販売されているさまざまなエレキ原付を試乗しまくった結論として「買うならこれしかない」と思って選んだ車種ですから一切の迷いも不安もありません。

購入手続きをすませるとすぐに車両が手元にやってきました。ただちに役所に赴いてナンバープレートを取得。自賠責は残り期間が4年以上ある(どうやら前のオーナーは購入して5年間の自賠責に加入したものの半年程度で見切りをつけて私に売却したようですな)ので、保険会社に連絡して契約者の名義を自分に変更してもらいました。あわせて任意保険も加入。これで必要な手続きは全て完了、役所で受け取ったナンバープレートを車体に装着すれば存分に乗り倒して遊べるってモンよ。

試乗したときは乗り味が最高に楽しかった印象ですが、そうはいってもショールームの周辺の道路を3周しただけです。BLAZE SMART EVの真の実力、といいますか自分の住んでいる品川区五反田周辺での使い勝手はどんな具合なのかは未知数ということになりますから、まずはじっくり走らせてみたい。



車体

これからヨロシク頼むぜ相棒




まず、何と言ってもこの見た目が最高ですよ。エンジン原付では不可能なすっきりとしたデザインとなっています。エレキ式の採用によってデザインの自由度が一気に高くなるのを上手に活用した見事な姿だと思います。車体を左側から見るとアルファベットの"K"のように3本の直線で構成されています。

タテ棒にあたる部分がハンドルバーの付け根から前輪を固定するフロントフォークまでまっすぐに伸びています。てっぺんの部分には前方に向けて丸形のLEDヘッドライトがあり、自分に向かっている部分は液晶のメーターパネルがレイアウトされています。太い柱のように下に伸びて12インチホイール(といっても自転車用のサイズ)を装着する部分に一応はサスペンション機能を有するフロントフォークが装備されています。それほどしなやかに動く感触はありませんがわずかな可動域が確保された程度の衝撃吸収装置という感じです。油圧を使用しない完全機械式のディスクブレーキがあり、タイヤサイズは 12-1/2×2-1/4 というものになります。自転車用の小径ホイールはただ単に「12インチ」というだけではリム幅などの違いにより種類が多くありますので一般的にETRTO(エトルト)という表記法を用いて正確なサイズを表す習わしです。BLAZE SMART EVのタイヤはETRTO表記では"57-203"というサイズになります。米式バルブのチューブタイヤで、子供用のBMXで用いられるタイヤサイズです。このサイズを前後共通で使用します。純正ではCSTチェンシンという大陸メーカーの"E-Bike PRO"という銘柄のタイヤです。当たり前ですが初めて聞いたタイヤです。

ブレーキについても言及しましょう。油圧式ではない純粋に機械式のディスクブレーキで、メーカーはTEKTRO(テクトロ)という台湾の自転車用ブレーキ製造会社であります。1986年創業。







ブレーキレバーを握るとワイヤーが引かれます。このワイヤーの先っぽは金属のアームに固定されており、テコの原理でアームがブレーキパッドを車輪に固定したディスクに押さえつける力が働き、その摩擦で車輪の回転を止めるという仕組みです。ワイヤーを引っ張った分だけパッドを押し付ける力が強まる単純明快な構造ですから、メンテナンスはきわめて容易です。BLAZE SMART EVに使われているキャリパーはMTBに用いるタイプの廉価グレードで、MD-M280というモデルです。ラインナップの中のザ・最底辺という位置付け。


TEKTRO MD-M280(公式)
https://www.tektro.com/index.php/en/product/41


さてここで世の自転車マニアを全員敵にまわす覚悟で言いますが、テクトロのブレーキはダメだというネット上の噂をうのみにしてはいけません。断言しますが(油圧式ではない)純粋な機械式ディスクブレーキの部品としては決して悪いものではない、というかむしろ充分すぎるほどに高性能です。そもそも、レースに出る前提でもっと繊細なタッチで指先制御できるブレーキを使いたい人はテクトロを選ぶとしても上位グレードの"TRP(Tektro Racing Products)"を最初から選びます。何が何でもシマノが最上でテクトロは駄目みたいな事を言う人は他人のインプレに影響を受けてシマノを妄信しているだけの単なる知識自慢の知ったかぶり君です。もしくは、シンプルな構造のテクトロの機械式ディスクブレーキすらちゃんとセッティングできないレベルの人です。1年間無事故無違反の私が断言しますが、時速30kmで走行する重量20kgのエレキ原付をしっかり停止させるだけのスペックがテクトロMD-M280には有ります。充分に実用に足る性能をもっています。青春のほぼすべてを自転車にささげた私だから言いますが、アマチュアが趣味で走らせる自転車ごときでテクトロのブレーキの性能が不足などという事は断じてありません。とはいえ、また改めて話すつもりですが後輪のブレーキパッドはすさまじい速さで消耗します。あっという間に交換が必要なほどに減ってしまうのにはビビりました。

BLAZEの車体の話に戻りましょう。

さきほどアルファベットの"K"の字を引用して縦棒の部分がフロント部という話をしました。ヘッドライトのすぐ脇から折りたたみ構造を有するハンドルバーが出ています。右手のグリップ部はオートバイと同じように手前にひねるとスロットル操作ができるようになっています。エンジンの場合は始動するとまずアイドリング状態になります。そこからゆっくりとスロットルをあけてゆくと動かした量に応じてエンジンの回転数が上がってゆくのがわかるものです。アイドリングからじわじわっと回転数が上がり、スロットルを戻すと回転がアイドリングまで戻ってゆきます。

しかしエレキの場合はこの「じわじわ」感がありません。スロットルを操作するとエレキ回路がつながる一点に達した瞬間に「スイッチオン」になります。ここでゼロからイチにドン!と切り替わります。ゆえに、どんなに慎重にゆっくりと操作してもある瞬間にいきなり発進する感じになります。まさにミニ四駆の電源を入れた瞬間と同じです。もしくは掃除機やドライヤーの電源を入れる瞬間と同じです。ある瞬間に突然ドカンと機械が動き出すのです。この、ゼロからイチに切り替わる境い目の衝撃はいかなる努力をしても完全に消すことはできません。鉄道でもディーゼル機関車が「ガリガリガリガリ・・・」と音をたてながらじわじわと動き出すのに対して電車はグッと動き出しますよね。あれと同じです。

左手のグリップはオートバイと同様に動きませんが、親指で操作するウインカースイッチとホーンスイッチがあります。原付ですから保安部品としてウインカーが前後に装備されていますが、フロントウインカーはなんとハンドルに固定したミラーに内蔵しています。

ここで重要な点に触れますが、このウインカー内蔵ミラーがクセ物です。ミラー自体はハンドルバーの台座にねじ込んで固定する仕様です。これが本来BLAZE SMART EV最大のメリットである折りたたみ機構を根本的に台無しにする超絶クソ仕様であるのは幼稚園児でもわかるところです。つまり、工具無しでワンタッチで下に折りたたむ機構をもつハンドルバーでありながら、ミラーをつけっぱなしだとミラーが外に広がった状態になり「なんだよ折りたためてないじゃないか!」という状態なのです。ですので、もし純正のウインカー内蔵ミラーを使い続けるとしたら折りたたむ際にミラーも外す必要が出てしまいます。BLAZEが公式で「わずか5秒で折りたたみ可能」と言っていますがプラスしてミラー脱着の時間がかかるのだから誇張表現と批判されても文句は言えないでしょう。

しかもウインカー内蔵ということは配線どうするよ問題がおのずと発生します。BLAZE SMART EVでは脱着式のコネクターを備えて毎回コードの付け外しをしろ、という設計です。ふだん折りたたんで玄関の中に収納している人は、まず車体を外に出し、車体を展開し、ハンドルバーをのばし、そして左右のミラーをそれぞれネジ込み、最後にウインカーの電気ケーブルをコネクター部で結合する、という感じになります。まったくもって5秒では済まされないのであります。

ということで、このミラーとウインカーについては「要改造」というのは購入前から想定しておりました。

液晶画面にはスピードと充電池残量と電源をオンにしてからの走行距離(トリップメーター)、あとはオマケ的に気温が表示されます。電源を切るとトリップはリセットされてしまいますから


電源を入れて走り出す(距離ゼロからスタート)
 ↓
目的地に着いたので下車して電源を切る
 ↓
用事が済んだので再び電源を入れる(距離がゼロにもどっている)
 ↓
別の目的地に立ち寄るために下車して電源を切る
 ↓
電源を入れて帰途につく
 ↓
帰宅して電源を切って折りたたんで玄関内に収納する


というような使い方をして、さあ今日は何km走行したでしょうか?と問われても毎回トリップがリセットされてるから正直ワカンネ!!という事になります。

ちなみにオドメーター(新品状態からの積算距離)は電源を入れた直後に4秒ぐらい表示されます。

いずれ書くつもりですがこのバッテリー残量表示は本当にアテにならないし気温も本当かよ?どこの気温だよと疑いたくなる謎の数値だし(いちおう摂氏表示)、まあいろいろと「?」な感じなのは使い始めてからだんだんわかってきた真実です。

BLAZEの外観の話に戻りましょう。

アルファベットの"K"の字でいうところの右肩上がりの直線、これはSMART EVでは水平方向にのびてその後部に薄っぺらいサドルがついています。そして、サドルのすぐ下にはブレーキランプとウインカーとナンバー灯がユニット化されて後ろ向きについています。ナンバープレート台座は可倒式で、車体を折りたたむ際はナンバープレートを内側に折り込むような感じで収納します。



ナナメ後ろ

すっきりした良いデザイン




このエレキ原付は積載能力がゼロですので私は最初、こちらの画像にみえるようにトップチューブにバッグをぶら下げていました。自賠責など書類を入れておくスペースもないのだから困ったものです。積載に関してはその後あれこれ試行錯誤することになりました。

あと、このサドルの形状もよく見て記憶の片隅にとどめておいてください。形状としては自転車のサドルに似た、割と細長いタイプの座面でありますが、特筆すべきはその「薄っぺら」な仕上がりです。のちに乗り心地を向上させるためにシートのあんこ盛りをする大改造を施すのですが、純正のままだとペラペラのウレタンシートがはさんであるだけのカチンコチンなサドルです。座面が固すぎてクッション性は皆無。さらに言うとシート表皮がツルツルで滑りがよいので、急停車をするとお尻が前にスパーン!と滑ってしまうというなかなかに味な仕上がりとなっています。

そして"K"の字の最後の右下に下がる直線、ここが車両の本体(メインフレーム)といっても良い部分でありましょう。自転車でいう所のダウンチューブとチェーンステーに該当する部分。折りたたみ機構のヒンジ部(BLAZEの白いロゴが見える円形の部分)から一直線に伸びる金属製のフレームで、巨大なようかんのような直方体のバッテリーパックをここにはめこんであります。そして先端部分が二股にわかれ、後輪を固定しています。この二股にわかれる部分に可倒式のステップ(乗車中に足をのせる踏み台)があり、左足のかかとの下あたりにはリアのディスクブレーキ用キャリパー(テクトロMD-M280)が配置されています。動力源はインホイールモーター、すなわち後輪のホイールのハブ部分にブラシレスモーターが仕込んであり、スロットル操作による電気信号はケーブルを伝ってホイールの中心からモーターに接続し、スロットル開度に応じてモーターの回転数が上がるというメカニズムです。車輪そのものが動力源であるモーターを内蔵しているがゆえに、構造はきわめて単純であり、当然のことながら変速機構はおろかチェーンなどの駆動部品がいっさい使われていません(そもそも必要がない)。この単純さは内燃機関を用いる乗り物ではどう逆立ちしても太刀打ちできないほどにスッキリさわやかです。すでにお気づきの方もいると思いますが後輪にはサスペンション機構すらありません。自転車と同様のリジッドです。部品点数が少ないので本当にいじるところがありません。壊れようもありません。サスペンションが存在しないからサスペンションが壊れる心配がないという凄まじい論法でメンテナンスフリーを証明してゆくスタイル。あとはサイドスタンドがついているだけです。

このように、見た目はかなりインパクトのあるデザインで、なおかつシンプルの権化のような設計思想で「折りたたみ可能な必要最低限の原付をつくってみた」というのがBLAZE SMART EVの姿カタチであります。エンジンの原付では決して真似できないスタイル、まさにエレキだからこそ成立したデザイン、新しい価値観を提案するコンセプトの乗り物といえましょう。これこそがBLAZE SMART EVの最もすぐれた利点そのものであり、存在意義であると私は思っています。だってヤマハE-Vinoみたいな「既存のデザインそのままのスクーターを単にエレキ化したもの」では、なんら新しい文化を生みだすポテンシャルが感じられないではないか。新しいライフスタイルを提案するワクワク感は、このBLAZEのほうが圧倒的に強烈アピールしています。

BLAZE公式では車体重量は約20kgと表記していますが、私が購入した頃は18kgというふうに書いていた記憶があります。厳密に計測したら18kgはさすがにサバを読みすぎだった、ということでしょうか。ひっそりこっそりと20kgに変わっていたのはご愛嬌ですね。絶滅寸前の50cc原付でもっとも重量の軽いスズキ・レッツですら70kgありますから、20kgというのがいかに軽いかは言うまでもありません。ちなみに巨大なようかんみたいな直方体のリチウムイオンバッテリーパックは約2.7kgで、これは車体から分離可能です。3kgのお米よりも軽いと思えばバッテリーパックの取り回しの良さがお分かりいただけるでしょう。ホンダのエレキ原付EM1 e:で用いられているバッテリー"Honda Mobile Power Pack e:"は重量10.2kgですからね。毎回車体から取り外して室内に持ち込んで充電、というのはけっこう大変だろうと思います。

BLAZE SMART EVの充電については、よくありがちな長いコードのAC充電器が標準装備であり、バッテリーパックを外しても充電できるし車体に装着したままでも充電できる設計になっています。当たり前ですが車体からバッテリーパックをはずせば車体は軽くなる=折りたたみも玄関の出し入れも楽になる、ということで私はバッテリーはそのつど車体からはずして部屋で充電していました。バッテリーが2.7kgと軽いから付け外しは苦にならないですし、外せば車体の出し入れも劇的に楽になるのは本当にありがたいと思いましたよ。

BLAZE SMART EVはスマートキーすなわち電池でうごくリモコンキーを使用します。今時は車でもリモコンキーが当たり前なんですよね?私もいっぱしの最新技術を手に入れてちょっと嬉しかったですよ。車両の本体にある電源スイッチを入れ、それからリモコン操作をするとピヨピヨと起動音が鳴って電源が入ります。このスマートキーを持っていない状態で動かそうとすると防犯アラームが鳴るからくりです。

BLAZE SMART EVは折りたたみ式で軽量ですのでそのへんに置いておけば簡単に盗めるのですが、車体を盗んだところでスマートキーがなければどうしようもありません。電源を入れる事すらできないただのガラクタでしかない。だから仮に盗んだとしても

・動かせないからただのゴミ
・装備しているパーツはテクトロのブレーキなど廉価品ばかりで分解しても売り物にならない
・強いて言えばバッテリーパックが本体みたいなものだけれども、こんなマイナーな車種の中古バッテリーなんて誰も買い手がつかない

という苦労を味わうだけです。盗むだけムダという、罰ゲームのようなガラクタでしかないのであった。

それにしてもBLAZE SMART EVの折りたたみ機構は素晴らしいですな。



折りたたみ時

たためば軽トラックに20台ぐらい積めそう




かつて、ホンダのモンキーという50ccのちいさな原付はハンドルを折りたたむ機構があって車に積んで遊びに行けますよ!という新しいスタイルを提案しました。これは本当に画期的なことで、空母から艦載機が飛び立つように小さなオートバイの活躍の場が無限に広がる可能性を世に知らしめたのであります。

とはいえオートバイを車に積むというのはなかなかに大変なことであります。バンの荷室に入れようにも相応の重量があって積み下ろしはなかなかの重労働です。それに荷室での固定がうまくいっていなかったらドライブ中に大惨事を引き起こす可能性もあります。

しかしエレキ原付はガソリンやオイルなどの油脂類を必要としないのが大きなアドバンテージになります。横に寝かせて車の荷台に置いても何ら支障はないのです。しかもBLAZE SMART EVはバッテリーをはずせば車体はせいぜい17kgですから非力な私でも持ち上げることは容易です。持ち上げるときはバッテリーパックを抜く、これだけで取り回しが超絶にラクになるのだから笑いがとまりません。車に積んでゆく前提なら折り畳み式エレキ原付のSMART EVは本当に有力な候補になると思います。



たたんだ時の車輪周辺

よく考えられた設計ですな




ここまで見ていただくとBLAZE SMART EVが従来の原付自転車という概念に対して新しい風を吹き込む面白そうな存在だという私のイメージがなんとなく皆様にも伝わったのではなかろうかと思います。他人とは違った物を選びたい!みんなと一緒な物は絶対にイヤだ!!という私のようなザ・へそ曲がりのヒネクレ者としては見るからに「変な乗り物」であるBLAZE SMART EVがまさに最高の選択肢となったのであります。

しかも、これに人が乗っている姿というのがまた強烈にインパクトがあるのです。なんといいますか、変というか滑稽です。人をおちょくっているような、フザけている感すらあります。



乗車姿勢

ブレイズ公式より画像引用




傍から見ると「なんだソレ」感がハンパないのであります。明らかに街の風景に異質な空気感を持ち込む変な乗り物なのであります。この独特の後ろ姿になんともいえない哀愁が漂っているではありませんか。意外と高い位置にある絶妙なバックステップ風味な両足と後輪の位置関係、なんとも形容しがたいヒザの曲がり具合、端的に言うとうらやましさを感じさせる愉快な乗車姿勢であります。「それは乗りやすいのか?」とツッコミたくなるでしょうが、これがまた、実際に跨ってみると実に快感なポジションなのです。可倒式のステップに足を置くとオフロードバイクで重要な「くるぶしグリップ」すなわち両足首の内側を車体にしっかり押し付けることで思い通りにステップに荷重をかけられる位置に決まります。そして、これまた自動二輪でいうところの「ニーグリップ」すなわち両方のももの内側からヒザにかけての部位を車体にしっかりと添えることができます。これにより下半身は完全に車体と一体になり、サスペンション機構のない後輪、しかも径の小さい車輪が暴れるのを防ぎます。

シートの位置は車体の最後部ですから、良い感じの後輪荷重が決まります。ハンドルはかなりクイックに反応しますが腹筋を使い後輪荷重を心がけて腕の力をうまく抜くとリーンウィズ(自分の身体と車体をそのまま素直に倒す)で気持ちよくコーナーを抜けてゆく独特の旋回性能を味わうことができます。シュイーンと静かに作動する電動モーターの動きとこの操縦感が謎の心地よさを生み、スピードは出ていない(時速30kmでリミッターが作動してそれ以上の速度は出せない)のにやたらと運転が楽しいという


これまでにない、まったく新しい乗り物


であることが体感できるのであった。折りたたみ機構にこだわっているからポジションの制約はあるし、かなりクセが強い操作感ですからある程度の練習というか慣れは必要ですが、操縦のコツがわかってくるとバチクソに楽しい珍奇な乗り物という実に素晴らしいおもちゃなのであります。変な乗り物が好きな人であれば何かしらのツボにはまるというか、刺さるだけのポテンシャルは充分にあります。

しかし皆様が気になるのは「外見なんてどうでもいいから走行性能について語れよ」という点でありましょう。肝心なのは動力性能や航続距離など、実用面での使い勝手ですよね。そのあたりの話は次回にじっくり書くことにして、あくまでも今日は外見上の特徴(小型軽量で折りたたみ機構を備えた原付自転車)をメインに語ってみました。試乗の段階で既に気に入っていた乗り物ですが、入手した時点でかなり心を奪われている私の興奮がお分かりいただけたと思います。もうしばらくBLAZE SMART EVの話がダラダラと展開しますので生あたたかく見守ってください。

つづく。










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