モモンガ通信2024年(第2期) ヴェノーヴァとかフルートとかオートバイとか・・・のどかさんの日常ヨタ話


2024年第1期 ← モモンガ通信 2024(令和6)年第2期 → 2024年第3期


#26
2024年(令和6年)4月4日(木)
「お花見2024」


こちら東京、3月さいごの土日は気温がドンと上がって本当に暑かったです。気温の上昇につられる感じでソメイヨシノの開花が報じられました。うむ、今年は桜の開花がちょっと遅かったですな。

我らが品川区内には他の都市と同じぐらいのレベルで「桜の名所」とされるスポットがいくつかありますが、五反田マンにとっては花見といえば「目黒川沿いの桜並木」ということになります。しばしばテレビなどでも映る有名ドコロなので名前は聞いたことがある人も多いと思います。まあ、その名の通りメインは「目黒区」(目黒雅叙園あたりから中目黒付近)なのは言うまでもないのですが、下流にある品川区もそのネームバリューのおこぼれを貰う感じで五反田から大崎、そして河口(天王洲付近)まで花見スポットが点在しています。

私がうろつく近所のお花見エリアといえば


・目黒区の碑文谷(ひもんや)八幡宮所まで続く立会川(たちあいがわ)の桜並木
・目黒不動尊の近くにある「かむろ坂」の桜並木
・上述の、目黒川沿い


の三か所がメインであり、どれも名が示す通り「事実上、目黒区の持ち物」という感じでマジで品川区って何も無いよね感が胸にこみあげるのであった。

まずは立会川の桜並木&かむろ坂の桜並木を堪能。こちらはタイミング的にちょうど「咲き始め」ならではの風景がひろがっており、大いに満足したのであります。満開の時期は数日後という感じでありましょう。

ということで日をあらためて目黒川にレッツGo。西五反田の「亀の甲橋」から川沿いをさかのぼって中目黒の「東京共済病院」のあたりまで行き、反対の岸にわたって五反田にもどるのが私のお決まりコースです。



亀の甲橋より

スタート地点、亀の甲橋




あれ?まだあんまり咲いてない感じですな。「立会川」「かむろ坂」がもっと華やかな風景だったので一瞬面食らった感じのザンネン感がよぎります。歩き始めたものの、まだ「膨らんだつぼみ状態」の木が多い。どうやら今回はいささか来るのが早すぎたようです。といってもねえ、4月3日の水曜日&4日の木曜日は天気予報では雨マークだったのだ。しょうがない。

タイミングがよければ文字通り川の両岸が見事に「花咲か爺さん状態」になりますから、今日はちょっとフライングが過ぎたと思ってテキトーに眺める方針に切り替える。



しだれ桜

咲いてる木だけ見ればヨイのだ




今回は荷物を減らそうと思って本気カメラを持ってこなかった。だからスマホのカメラ機能で適当に撮影するのみ。私自身のヤル気の無さが全開であります。「動物園に行く」となったら意地でも望遠レンズを持ってゆくけれど、それ以外の時は「面倒くさい」とか平気で言ってしまう。左肩が痛くてリュックを背負いたくないので、できるだけ軽装備にしたいのよね。水筒と団子とスマホだけ持ってゆけば充分ではないか?

服装も微妙に難しい感じです。上着を着れば暑いし脱げば寒い、みたいな。歩いている時は暑いけど立ち止まって休憩すると寒い。この季節は本当に何を着たらいいか悩みますな。

いつもなら中目黒の駅近くまで歩くのですが、何しろ今年はタイミングが早すぎました。咲いてる木が少ないので花見というよりは「ただの川沿い散歩」状態です。たくさんの人が来ていましたがおそらくみんな同じ気持ちだったに違いない。天気予報で晴れマークが出ている4月6日の土曜日辺りがちょうど見ごろになって良さそうです。そうこうしているうちに股関節も痛くなってきたので早々に撤収体制に入りました。



川岸の桜

これだけ見られれば充分だな




それにつけても股関節が痛くなる「限界」が、自分のイメージより早いタイミングで訪れるのが深刻な事態な気がする。その昔、腰の症状が悪化して左脚が動かせなくなり「杖っ子どうぶつ」になっていた頃に主治医から「20年後には車いすだよ」という結構キツい宣告を受けたのだった。ふざけるな負けてたまるかと思って水中ウォーキングなどのリハビリに必死に励み、サクサク動けるほどではないものの自動二輪免許が取れるぐらいには復活したのである。そう簡単に車いすになってたまるかバーカ!と思っていたけれども、ここ数年で股関節の状態がみるみる悪化して今日に至っております。ほんの5年ぐらい前には「冬は無理してオートバイに乗っても危険だから、新たにウィンタースポーツとしてスノーシューでもはじめようかな」とか思っていたのであります。現状からいうと、とてもじゃないけどスノーシューなんて出来ない。

まさか今の年齢で「ロコモティブシンドローム」(運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態)で日常生活に支障が出てくる事態は想定していませんでしたから、人知れず抱えている危機感はただならぬものがあります。今年のゴールデンウィークは横浜の「ズーラシア」に遠足に行く計画を立てているところですが、ヘタをすると股関節痛の限界で「園内で遭難」という恥をさらず可能性も否定できない。スノーシューをあきらめたのはもちろん、今はもう登山とか不可能だし去年の秋には電動アシスト自転車のペダルもふめなかったのであるから、ちょっと真剣に対策をとらないとマズいのかなと思ったりする。

身体の何処かが痛いときって湿布を貼るじゃないですか。でも股関節って湿布の貼りようがないのですよ。わかります?がんばって太ももの付け根あたりに前から貼ったとしても、寝てる間に100パーセントはがれちゃうのですよ。というか、寝返りをうつ瞬間にはがれます。だから湿布でスースー作戦ができない。いつも


仰向けでも痛い
横向きでも痛い

どうすりゃいいんだぁ(泣)


みたいな状況で布団の中で「人として変なカタチ」になってたりする訳ですよ。首から左肩にかけての部位も痛いから、この身体にとって楽な姿勢というのがマジでわからない。毎晩、寝床で私の左腕の下敷きにされているシベリアンハスキーのぬいぐるみはペッタンコになっていて本当に可哀想になるレベルですよ。ごめんよ、君を下に敷かないと肩が痛くて眠れないんだヨ。

今更登山をしたいという欲望は無いけれど、歩行困難になるのはちょっと勘弁してほしいよね。自力で外出できなくなったら人生は暗い。ということで本年度も


た の し い 通 院 生 活


な日々を送ることになりそうであります。「生き続ける」というのも、なかなかに過酷な果てしない道のりであります。










#27
2024年(令和6年)4月8日(月)
「右投げ転向で復活を誓う」


いよいよ始まりましたプロ野球ペナントレース。今シーズンは我らが横浜DeNAベイスターズが開幕3カード連続勝ち越しという、夢のような現実をまのあたりにして実に気分爽快であります。接戦をモノにする、最後は競り勝つという「あれ?もしかしてウチのチームって強い?」みたいな不慣れな状況に戸惑うレベルです。私は「ハマの番長」こと三浦大輔監督が現役時代から大ファンでありますから、この状況で興奮するなと言われても無理です。

そして当然の流れとして「私もこうしてはいられないよNE」という感情が湧きおこってくるのです。ベイスターズの快進撃は弱っている私のメンタルを奮起させるのに充分なインパクトがあるのです。


「こうなったら私も右投げに転向するしかない」


と、思っている次第であります。野球漫画の読み過ぎではないか?と言われそうだけど実際に思うのだから仕方がない。左手で投げられないなら右投げにスイッチすればよいのだ。というか、それ以外に道は無いと思います。

私は箸を持つのも文字を書くのも普通に右利きであります。しかし小学生の時に転落して右肩を粉砕するという割と派手な怪我をして、いちおう治ったけど骨が正しい位置で固定してなくて要するに右肩の動きに若干の支障が残ったのであった。なので私は自然とボールを左手で投げる生活様式が習慣化したのでした。

その後も怪我が多くて右手については小指の骨折して外に曲がってしまったり、人差し指の腱を断裂させたり数々の間抜けな故障をやらかしまくっていました。肩は上がらないし指はヨレヨレだし、右腕はマジで役立たず状態と化しました。他方、左に関しては手首を二回骨折した以外は割と無傷であり、言わば私のメインアームとして大車輪の活躍をしてきたのであった。私がふだん「蛇口をひねる」「ドアの取っ手を握る」「鍵をさす」「スイッチを押す・レバーを操作する」「ものをつまむ・拾う」といった些細な動作を左手で行う癖があるのは、おのずと身に付いた習慣なのだと思います。

余談ですが下半身(腰から下)の怪我については挙げたらキリがないレベルなので触れません。今は皆様ご存知のように腰と股関節が悪くてロコモティブシンドロームで頭を抱えているありさまですから、そこは色々と察していただきたいところです。

まあそんな具合で「右利きだけどメインで使うのは左手」という訳のわからないスタイルで生きてきた私ですが、2022年11月に交通事故に遭って結果的に後遺症が残り左腕が役立たずになってしまったのが現在の姿です。蛇口もドアノブもひねれないし落ちたネジすら拾えません。ふだん無意識にやっていた当たり前の動作が思うようにできない、というのはけっこうイライラするものです。ギターの弦も押さえられないしフルートもヴェノーヴァもロクに構えられないのでハーモニカを買って遊んでるネタは3月31日のモモ通で書きました。精神的にはけっこうヤケクソ状態に近いものがあります。

実際問題として今の自分に車の運転は無理ではなかろうか?と思うのであります。マニュアル車のシフトチェンジそのものは決して力が要る操作ではありませんが、現在のように腕全体が重だるくて手のひらが年がら年中シビレているような状態で迅速かつスムーズにできるとは思えません。ちなみにモーターボートの操縦では左手でスロットルレバーの操作を行いますが、こちらは割と力が要ります。しっかり握ってそこそこの力を込めつつ繊細にコントロールしなければならず、今の私には絶望的です。なので小型船舶操縦士免許の次回の更新は断念しました。現在の免許が失効する時点で私は船を降りる覚悟です。車の免許よりも先に取得した船舶免許は私の数少ない「誇り」であって、大海原を我がものとして自由に航海する船乗りである自覚は私の人生の指針であり哲学そのものであります。しかし身体能力的に無理だというのなら諦めるしかない。「艦長」の肩書を失うのは身を切られるように辛いのですが仕方がない。私もそろそろ青春の後始末をする年齢になったと思って覚悟を決めましょう。ですので今後は「元艦長」と呼んでください(←未練がましい奴だな)。



ボート

私の航海は間もなく終わる




こうなってくると心配なのはオートバイの運転でありまして、私にとっては死活問題というか生きる意味、生きる価値が問われるレベルの重要度です。船を降りて陸に上がるのは百歩譲ってガマンするとして、それでいて楽器もできない自動二輪も乗れない、となったら文字通り生きる希望はありません。何が楽しくて生きてるんだって話よ。

結論から言いますと「左手でクラッチを引くのは長時間じゃなければイケる」という感じでした。クラッチレバーの引きの重さは車種にもよりますし整備状態にも左右されますから一概には言えませんが、握力を競う訳ではないので教習所で習った通りに四本指で引けば何とか大丈夫でした。ただ街中で道がそこそこに混んできて半クラッチを強いられながら発進・停止を繰り返すのはかなりシンドいなと感じました。前にいる車両に突っ込んだらシャレになりませんから、左腕・左手に疲れをためないように早め&こまめに休憩を取るしかない。

むしろスクーターの左手ブレーキ操作のほうが地獄レベルでキツかったです。左手を休ませる時間がほぼ無いので長時間の運転は無理だと思いました。スクーターの話はまたいずれじっくりしたいと思いますが、私の身体の状態としてはリアブレーキは右足で踏んで操作する方が確実で安心だと思いました。あれ?だったらスーパーカブで良いんじゃないか?

しばらく前のモモ通でホンダが自動二輪については異様なまでの執念を燃やしてクラッチレバー操作不要の機構を開発しているというネタを書きまして、あのこだわりは一体ナンなんだという疑問を投げかけたのです。しかし自分自身の左腕が事実上役立たずになった今の私としては(あれからそれほど日数は経っていないにもかかわらず)一周まわって「ホンダえらい!最高!!マジ愛してる」と思い始めている今日この頃であります。先月のモーターサイクルショー2024でお披露目した「Eクラッチ」は夢の機構じゃないですか。左手のレバー操作無しで変速できるなんて素晴らしすぎます。超うらやまC。

人間は不老不死ではないのだから、こうやって年齢を重ねて行けば若い頃には想像もつかなかったような衰えを自覚する日が来るわけですよ。私とて、自転車でアチコチをかけめぐりザックを背負って山中に分け入る日々を送っていた頃は脚力だけは絶対の自信があったわけで、よもや数十年後に現在のように歩行に困難をきたすようなロコモティブシンドロームを抱える日が来るとは思いもよらなかった。ざっくり言えば身体の関節というのは「消耗品」ですから、酷使すればパーツの寿命が縮まるというそれだけの話ですけど、自分自身がその境遇になって初めて他の人の病気や障害の苦労を知る、という面は否定できません。私は自分で経験した事しか理解できないタイプの阿呆ですので、最近になってようやく他の人の苦しみや辛さを想像するようになった。自分ももっと高齢になれば出来ない事が増えるであろう。そういう想像力がようやく身について、世界中のお爺ちゃん&お婆ちゃんの苦労を察して気の毒な気分になってしまうのであります。

これは言い方を換えると私は身体の自由が利くうちに、ありとあらゆる方面でやりたい事をやってきたのは恵まれていたと痛感するのであった。今となっては大きいオートバイに乗って高速道路をひた走り長距離を移動するとか絶対にやりたくないもん。無理だもん。早朝に品川区を出発しひたすら高速道路を走り、安曇野インターチェンジで下りて「大王わさび農場」「碌山美術館」をまわって「青木湖」に寄ってから白馬で宿泊、なんていうのを当たり前にやっていたのが夢か幻のようです。もうそんな気力も体力もない。穂高や白馬に帰りたいと思うけれども自力では無理だと思う。天国に行く前にあと一度でいいから白馬村から白馬三山(鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)を眺めたいと思うけど不可能であろう。あの日あの時に見ておいて、その美しい光景を脳裏にクッキリと焼き付けておいて本当にヨカッタと思うのであります。このような現実を鑑みれば、あれもやりたい、これもやりたいと心の底で願いながら


老後の楽しみにとっておく


という人生計画がいかに馬鹿げているかを痛感するのです。やりたい事があるなら今、ただちに始める!というのが最優先なのは明白です。後回しにしてはダメなのです。これからの人生で今が一番若い、と気づけばおのずと「動くべき時は今しかない」のであります。我々に残された時間は意外と短い、というのを日々感じるのであります。



もふっとオオカミ

身体の自由が利かなくなったら家でぬいぐるみを抱いて過ごすしか出来なくなる




長々と綴ってきましたがここでようやく最初の話に戻るのです。右投げに転向すると言っても私の右肩は上がらないので、投げ方にも制約が出ると思います。雑にくくるとフォームとしてはサイドスローもしくはアンダースローの二者択一になると思いますが、下半身が柔らかくないとアンダースローなんて不可能です。自分の肩の可動域を活かし、できる範囲内でのサイドスローを習得したいと思います。

私の中では右投げ・サイドスローのピッチャーといえば、たとえば西武ライオンズの塩崎哲也投手、ヤクルトスワローズの高津臣吾投手が浮かびます(←なんか情報が古いな)。高津臣吾さんといえば今は監督ですよ!いつの話だよ!!みたいな。しかしサイドスローの投手で一番印象に残っているのは何と言ってもジャイアンツの斎藤雅樹投手です。私は根っからのホエールズファン&ベイスターズファンであり「資金力にモノをいわせて他球団の良い選手をひっこぬいてチーム強化をはかる『札束野球』をする巨人」というのは憎き存在でありましたから、正直ジャイアンツの選手はどうでもいいのです。それでも斎藤雅樹投手は応援していました。ハンサムだしピッチングは素晴らしいし。藤田監督時代のジャイアンツのエースといえば斎藤雅樹、という印象です。打たれ始めるとどんどん表情が曇って、みるみる弱っていく感じも親近感がありました。

「右投げに転向」というのは極論を言っただけで実際には野球をすることはないでしょう。でも、とりあえず右手の能力向上を目指したいというのが今回のモモ通の趣旨であります。そもそもキャッチボールをする相手もいないしウチの近所ではボールを投げられる場所もないですから、まずは庭でひとりシャドウ・ピッチングをはじめようかと思っております。バッティングセンターというのはあるけどピッチングセンターという施設はないですよね。

水島新司先生の野球漫画『ドカベン』で、エースの里中智くん(←わりと怪我が多い)が投球ができない時期にリハビリのために年がら年中ゴムまりを握ってニギニギしていたエピソードがあるのです。あのひそみに倣って、私も

・ゴムまりをニギニギして左腕のリハビリ
・軟式野球用ボールをつかった右投げのシャドウ・ピッチング

という二つのメニューをやろうと思い立ったのであります。現状、激しい運動はできませんし柔軟体操もヘタにやると翌日腰が立たなくなることがあるので、慢性的運動不足なのは否めません。でもシャドウ・ピッチングなら無理せずはじめられるメニューではないか?とひらめいたのであります。速球や変化球を投げる必要はありません。「軽いキャッチボールで球を放るイメージで身体全体を柔らかく動かせるようになる」のが主たる目的だと思えばそれほど阿呆なアイデアでもないし、続ける努力も無駄にならないと思います。無理しない投球フォームを通じて身体全体の筋力アップをしようという作戦です。痛い痛いと言って何もしないで過ごすよりはマシでしょう。

私はあまり漫画を読む習慣が無かったのでアニメ化した作品ぐらいしか知りませんが、昔の『巨人の星』の星飛雄馬は大リーグボール3号で左腕を破壊して引退、のちに『新・巨人の星』で右投げに転向しています。アニメ『メジャー』でも主人公の茂野吾郎は小学生のリトルリーグ時点で右肩を故障、中学から左投げに転向していますな。こういう展開を漫画・アニメの世界だけにしておくのはもったいない。自分もやってみようではないか、と思うのであります。

というわけで取り急ぎ軟式野球のボールと、天然ゴム製のゴムまりを入手したいと思っているんですけど何処に行けば揃いますかね?品川区の武蔵小山商店街にスポーツ用品店があるので近いうちに見に行こうと思います。たしかトレッサ横浜の中にも大きいスポーツ用品店があった気がするので、下調べをしてみよう。

ノドカまさかの右投げ転向宣言、今後の展開にご期待ください。










#28
2024年(令和6年)4月12日(金)
「空力特性とエアロパーツ」


自動車競技の最高峰、フォーミュラ1(日本では「F1グランプリ」の名で広く馴染みがある)にて用いられる車両は、私たちが日常生活で使う乗用車や貨物車とは次元の違う「異形」をしているのは、多くの方がご存知であろう。地を這うような低い車体に太くて大きな車輪、何よりも目に飛び込んでくるのが車体前後のウイングであります。高速走行した時にこのウイングが空力特性を発揮してタイヤを路面に押し付ける力を発生させて旋回速度を高めているそうです。

本質的に、エアロパーツは特定の条件下において性能を発揮するものです。

と同時に「たとえ個人所有の普通の乗用車であろうとも、装着するとあたかも競技用車両のような雰囲気になるので純粋に見た目がかっこよい」という面もあります。言い方は賛否両論かもしれませんが「ドレスアップ効果」と言い換えても良い。装着することで愛車の見た目のカッコ良さが増す、という側面は重要です。

「このパーツが実際に空力的な効果を最大限に発揮するのは時速130km〜140kmで走行した時」とわかっていても、公道でそんな速度は出さないと百も承知の上で日産サニーのセダンに純正オプションのリヤウイングを装着した訳ですよ。ただのファミリーセダンじゃなくて排気量1600ccのツインカムエンジンを搭載したスポーティグレードだということをアピールするのが主たる目的であった訳です。

パジェロミニを購入したときもルーフにウイング(ハイマウントストップランプ付)を装着したのは『パリ・ダカールラリー』に出場したパジェロをイメージしたのであって、正直なところ空力特性はオマケ程度(たぶん効果を体感することはない)と自分でも思っておりました。

どうにも昔話ばかりになってしまい申し訳ないのですが、三菱自動車からランサーエボリューションが登場した時に私は大歓喜しており、公道で見かけると「わぉ!」となって目が釘付けになったものです。しかし、世の中からみたらそういう人は圧倒的少数派でありまして


「あんなデカいリアウイングつけても意味ないでしょ(嘲笑)」


みたいな事を言う人がいっぱいいたのであります。



ランエボ

ランサーエボリューションIII




エアロパーツのたぐいを「意味がない」「ただの飾り」と決めつけ、嘲笑の的にするだけでは飽き足らず「そもそもエアロを付けようという感性がダサい」などと人格否定までする人がいたりするけれども、ダサいかどうかはその人の好みの問題であってエアロパーツ装着する意味は間違いなく有る訳で、断じて「ただの飾り」ではない。

ということで私は、GTウイングやエアロパーツの専門メーカー、ボルテックスさんのウェブサイトを見ておりました。


GTウィングやエアロパーツなど空力特性にこだわったクオリティの高いカーボン製品などをリリースする専門メーカーのボルテックス
VOLTEX RACING SUZUKA JAPAN
https://www.voltex.ne.jp/


製品カタログページより画像抜粋
https://www.voltex.ne.jp/catalog



エアロパーツ



ボルテックスさんの上記カタログページより画像を引用しております。かっけえ。




エアロパーツ装着車をダサいと思うか否か、という話は単純に「好みの問題」として片付けるとして、空力特性への配慮に意味が有るか無いかという点については私のメインの趣味であるオートバイを例にして考えてみたいと思います。

私自身がオートバイに乗るようになって驚いたのは、走行時の風圧(空気抵抗)のすさまじさであります。

免許を取ろうと教習所に通っていた頃は課題をこなすのに必死で、体感として風圧を意識した記憶はありません。しかし免許を取得し実際に公道で走行するようになってから、スピードを上げれば上げるほど全身に受ける空気抵抗が極端に増してゆく現象を痛烈に思い知ったのであった。

時速15km:空気抵抗は感じない・ほぼ無風
時速30km:あぁ、この爽快感!その昔原付スクーターに乗っていた頃を思い出すなァ(しみじみ)
時速60km:け、けっこうな空気抵抗じゃないか(おもいのほか風圧がキツいな)
時速90km:ギョエェエ!!(後ろに飛ばされそうだぁ)

みたいな体感ですよ。

私は自転車競技をやっていたので、当時の最先端モデルの「流線型で、かぶると後頭部がエイリアンみたいに後ろに長いヘルメット」なんていうのをかぶったものであります。自転車の世界でも空力特性というは話題になるテーマでありました。しかし自転車の場合は平地のみならず下り坂であろうとも文字通りシャカリキになってペダルを漕ぐのに必死で風圧の違いなど意識する余裕がないのであります。ましてや上り坂になればハンドルバーを強く握りサドルから尻を持ち上げ、車体を左右に揺らしつつアゴから汗をボタボタと垂らしながら全身もがきまくって脚が「売り切れる」までいわゆる「立ち漕ぎ」状態で必死ですから、空力特性など知った事ではありません。

だから私はオートバイで走って最初に感動したのは「上り坂でも身体が空気抵抗を感じる」という点でありました。自転車しか乗らなかったら一生知ることのなかった真実ですよ。

排気量が400ccなどという大きなエンジンを積もうとも、見た目が「すっぽんぽん」のオートバイだと時速80km巡航ぐらいが楽で、それ以上のスピードを出そうとすると風圧がすさまじくて体力的にものすごくシンドくなります。私は教習所に通っていた時からオフロード用のヘルメットをかぶっていましたが、高速道路で車線変更するのに安全確認のため後方をチラ見しようとわずかに首を動かしただけで凄まじい風圧がブワッとおしよせて本当に首がモゲるんじゃないかというぐらいの力を受けてビビった次第であります。



オフロードバイク

こういうタイプの車種は風圧が全身に正面からモロにかかります




その後私はヤマハYZF-R15というオートバイを買って高速道路も使いまくってあちこちに出かけたのですが、それまで乗っていた「バッタみたいな見た目の、すっぽんぽん系」ではなく風防のついたスポーティなオートバイに乗り換えたことでまたしても新たな感動を味わいました。同じ時速100kmで走っても、正面から身体に当たる風が圧倒的に少ないのであります。



R15

空力特性を考慮した外装のついたタイプ




このオートバイにオフロード用ヘルメットは似合わないので、あわせてヘルメットも卵型のオンロード用フルフェイスタイプに買い換えたのですが、これも効果絶大。顔面といいますか頭部全体が正面から受ける風をスムーズに後方に流していく、というのがわかるのです。車線変更で首を後ろにふっても「いきなり風圧がかかって首がモゲそうになる」という事はありません。

それだけではありません。高速道路を走っている最中に突然ポツポツと雨が降り出す、みたいな最悪の状況で半泣き状態になりながら次のサービスエリアまで「忍の一字」で走るようなケースで、下半身がほとんど濡れないのであります。ヒザの前あたりまで風防がある効果がてきめんで、上から下まで絶望的にビショ濡れ、というふうにならないのであった。

YZF-R15は私の身体にちょうどいい塩梅に合っていたようで、乗車姿勢に無理が無くて何時間でも乗っていられるほどでありました。また非常に軽快で意のままに動く感じで、左右コーナーが連続する山坂道を走らせるのがとても楽しいのです。舗装路で運転を楽しむにはこのようなオンロードスポーツ系のオートバイがやっぱり向いているんだなあ、と強く実感したのであります。もともとアウトドア志向で悪路を走れるオフロードバイクにしか興味が無かった私にはすごく新鮮な感動でした。

ちょっと話がそれたので空力特性の話題に戻しましょう。

このように、オートバイに乗る人なら誰でも「風圧」「空気抵抗」というものはいつも全身で感じ取っているから、空力特性がいかに重要な要素であるかを野生の感覚的に涙が出るほど知っているのです。

であるから、ビジネスバイクの代表車種スーパーカブのレッグシールドをダサいとは思わないし、スクーターに透明の風防を付ける人の気持ちも察するし、快適に走行するために正面からの風をうまく流す部品を取り付けたり、スピードメーターの上に配置された透明のバイザーを大きいものに交換したり、みんな自分の使用目的にあわせて改造するのは当たり前の事だと認識しているのであります。

ゆえに「エアロパーツなんて意味無い」「ただの飾り」などというふうには思わないし、口に出すこともない。

もちろん前提条件として「エアロパーツも無暗やたらに付ければいいってモンじゃない」ということは承知しています。エアロパーツは特定の条件下で最大の効果を発揮する、ということを知識としてでは無く体感で知っているからこそ「付けたっていいじゃん!」「付けたいなら付けるといいよ!」ぐらいに思っている、それだけの話です。

さすがに私ももう「無益な論争などするのも面倒くさい」という齢にさしかかっていますので、エアロパーツを「無駄」と一蹴する人がいてもテキトーにスルーするだけです。「GTウイングなんて付けても重心が高くなるし車両の重量が増して燃費が悪化するだけ」みたいなことを言ってる人がいても


「はい、そうっすねー(棒読み)」


と軽く流しておしまい。別に「小仏トンネルの渋滞」を前提にしてGTウイング付けてるわけじゃないんだから正直どうでもいいじゃんね。

空気抵抗との闘い、という意味ではジェット戦闘機が誕生してから「音速の壁(sonic barrier)」を破るまでの各国の開発競争に目を向けると、正直に言って感動のストーリーしかない。航空機は音速(いわゆるマッハ1ですな)のあたりで様々な要素で飛行困難になるわけですが、先人たちは知恵をしぼって難題に取り組んだのであります。個人的には「シンプルで効果絶大」なMiG-21のショックコーンが好きであります。一時期、ソビエトのカメラを収集していましたが「シャッターは切れないけどフィルムはチぎれる」「レンズ交換式にもかかわらず一度装着したレンズが二度と外れない」みたいなどれもこれもポンコツだらけで「やっぱり共産主義国の工業製品なんて大したことは無いな」と思ったりしましたが、第二次世界大戦後に最も成功した(高性能でたくさん製造され長きにわたって世界中で活躍した)戦闘機といったらMiG-21ということで異論はあるまい。1万機以上生産されて正式な製造数がわからない(数えきれない)というのはちょっと考えられない。傑作機の誉れ高い合衆国のF-4ファントムIIでさえ生産数は5,195機にすぎない。

なんか話が訳のわからない方角に脱線してしまいましたが、結論としては「空力特性を学びたいならまずは自動二輪に乗って体感するのが初めの一歩」というのが私の持論であり、「良いじゃないですか、NISSAN GT-R!」と叫びたいのであります。



GT-R

画像は下記公式サイトより引用




NISSAN GT-R(日産公式)
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/gt-r.html


いいよねえGT-R。これぞ日本の誇り、唯一にしておそらく最後のスーパーカーですよ。今日はそれが言いたかっただけです。はい。










#29
2024年(令和6年)4月16日(火)
「體育推進運動 ボールを用いてリハビリ開始&右投げ転向へ」


私は交通事故の負傷のダメージから回復することを目指しているのであります。テレビアニメに出てくる強いキャラクターのように「あの程度でやられる私ではない」と言いたいではないか。まだ、この先人生が長く続くかもしれないのだから「できる範囲で動けばよい」などと弱気になってはイカンと思う。

アニメ的によくあるじゃないですか。圧倒的な数の敵に包囲された主人公が絶体絶命のピンチ、もはやこれまで、というまさにその時!いきなり彼方の上空にピキーン!と謎の光とともに謎の機体が超速で飛来したかと思うと凄まじい飽和攻撃で主人公を囲んでいた敵を瞬時に殲滅。あれは!過去のエピソードですでにヤラれていたはずのキャラがまさかの再登場。そして


主人公:生きていたのか、エゾモモンガ!

モンちゃん:へへっ、地獄から舞い戻ってきたZE!(ニヤリ)


みたいな会話が交わされ、状況が一転。先ほどまでヘトヘトだった主人公も謎の力がみなぎって形勢逆転という熱い展開。

あれよ。あきらめかけたその時に駆けつけて助太刀する復活キャラ(←どうやって生き延びたのかは不明)みたいな。私もそういう強いキャラとして復活したいと思う。今の状態はともかく、まだフルートの演奏をあきらめたくはないのだ。

ということで4月8日のモモ通で書きましたように


・ゴムまりをニギニギして左腕のリハビリ
・軟式野球用ボールをつかった右投げのシャドウ・ピッチング


というのをやろうと決意したのであった。で、まずは重だるさと痛みが治らない首、肩から左腕および年がら年中ぴりぴりとシビレて思うように力が入れられない左の手のひらを何とかするために、適度に弾力があり低下した握力でも握り潰せるようなボールを「ひたすらニギニギ」して症状の回復を目指したい。イメージは子供の玩具レベルのゴムボールでしょうか。

まずは近所の商店街にあるスポーツ用品店に行ってみることにしました。もう20年以上前に品川区に住み始めた頃からある「街のスポーツ用品店」という感じで店先にはサッカー日本代表のユニフォームがズラッと並んだりしているのをなんとなくチラ見しつつ、いつも前を素通りしていたのであります。

で、そのお店を目指して出かけたのはいいのですがやっぱり個人の店って気軽には入れないですよね。店の前には到着したのですがナンとも入りづらい。いちど中に入ったら何かを買わないと出て来られなさそうな空気感がたちこめているのです。そもそもこういう小さい店が極端な安売りをしていることはないでしょうから、ホコリかぶったような売り物もすべて定価という可能性がオオアリクイ。

私自身、別に本気のスポーツをやろうという訳ではないのでアスリートが真面目に使い込むような用品をすすめられても困る。握力鍛えるならこれだよ、と正真正銘のハンドグリップなど出されたら逃れる術はない。とてもじゃないけど、軽い気持ちで覗きに入れる店ではなかった。

ゆえに、そのスポーツ用品店に突入する作戦は断念しました。かといって手ぶらで帰るのもちょっと悔しいので駄目もとで100円ショップを覗く。

犬のおもちゃとして売られているボールが握った感じは良かったのですが、握って潰すたびに「キュー!」みたいな音が出る仕掛けなのでこれはさすがにちょっと無理だと思いました。

玩具コーナーを見ていたら2個入りのゴムボール(?)がありました。商品名は「パールエアーボール」ということで、空気で膨らんでいるみたい。外から握った感じはちょっと固いけど、試しに買ってみましょうかね。



ボール

大小のボール2個セット




材質は塩化ビニル樹脂と記載があり、非常によく弾むボールでありました。小さい方(青い方)がおおよそ直径65mm程度で、手のひらにはスッポリおさまる。手に吸い付くようなグリップ感がしっかりあります。ニギニギするにはちょっと固いかな。



商品タグ

これだけのマトモなボールが2個で100えんは安いと思った




とても弾力があり、床や壁にあてるとよく弾むボールで、こんなので野球ごっこして本気バッティングしようものなら凄い勢いで飛んでしまってあっという間に失くしてしまいそうです。もうちょっと握り心地が柔らかければコレで充分だったなあ。もうすこしツブれてくれるものが欲しいんだよう。



オオカミとボール

まあ100円ショップのおもちゃですから文句は言えない




その後も出かけるたびに「テキトーなボールは無いかなあ」と探していたのですが、なんと!まさかの新宿ヨドバシカメラおもちゃ館の外遊びコーナーにて絶妙な商品を発見しました。



ウレタンボール

ウレタン野球ボールネオ




こちらも「対象年齢3才以上」と書かれた商品ですが、握ってみると非常にいい感じであります。中に空気が入っているのではなく球体のスポンジみたいなもので、ムギュッとつぶれるのです。健康な右手で握ればいい感じに潰すことができますし、ヨレヨレの左手には適度な負荷という印象です。何よりも見た目が野球のボールに寄せている(ちゃんと縫い目ふうの赤い着色がしてある)のが妙にテンションUPです。ちなみにお値段はヨドバシ店頭価格で180円(税込)です。これは気に入ったゾ。



野球のボール風味

つぶし心地もなかなか良好




触り心地は最初に紹介した塩化ビニル樹脂の「手に吸い付くような感じ」とは全く違い、サラサラしています。私がリハビリで握りたい感触のイメージとぴったりなので満足度が非常に高いであります。

余談ですが左手でニギニギすると過去に骨折した手首のパーツがコッツンコッツンと音を立てています。身体ボロボロですな。まだニギニギをはじめて数日なので如実に変化を感じはじめた、という事はありませんがリハビリだと思って気長に続けていれば何かしらのプラス作用があるだろうと期待していますので焦る気持ちもありません。何もしないでいるよりは確実に握力の復活にはつながると思います。左手の握力が少しでも向上してゆけば、たとえばオートバイのクラッチレバーを引く動作なんかも楽になってくるでしょう。もしそうなれば結果的には大成功です。

かくしてリハビリ目的でニギニギするボールを無事に入手いたしました。と同時に、このボールを右手で持ってみれば今後、右投げの投球フォームを習得するための練習にも活用できそうです。ゆえに結論としては「まずはリハビリ用品購入作戦を始めた訳だけど、比較的いいスタートを切ったのではないか」という感じであります。

こちらは何しろ数年積もり積もった「慢性的運動不足」ですし、股関節が痛すぎてロコモティブシンドロームすら危惧する状況ですから、これからは少しずつ身体を柔らかくほぐしつつ適度に動かしながら不健康状態から脱却したいなと思っています。

人間は不老不死ではありませんから、加齢とともに内臓の働きも筋力も衰えて身体のアチコチに不具合が出てくる、というのは当たり前の話です。だからといって、予防と称してただの筋トレをするのは超つまらないじゃないですか。トレーニングのためのトレーニングはつまらん。ですので私自身は「野球の動作」というのを実践しながら全身を軽く動かしつつ健康増進を図ろうと思っています。今後の課題としては、たとえば右投げに転向するという最終目標に向けて適切なピッチングフォームを習得する努力をしながら全身の筋肉を使う、ひいてはその一連の行為が筋力トレーニングにつながってゆく、というような流れになればヨイなと思っています。

左手にグローブをはめて捕球できるようになり、そのうえ右手で狙ったところにある程度ちゃんとボールを放れるようになったら(別に速球を投げる必要は無いし、変化球を覚える必要も無い)、将来的にはキャッチボールができるようになるではないか。そう思うとワクワクが止まりませんよ。










#30
2024年(令和6年)4月20日(土)
「ポンチョ」


2024年4月現在、日本において自動二輪を運転するための免許は細かく分けられており、区分はなんと7つもある。

・原付免許
・小型限定普通自動二輪免許
・小型限定普通自動二輪免許(AT限定)
・普通二輪免許
・普通二輪免許(AT限定)
・大型二輪免許
・大型二輪免許(AT限定)

以前は「原付」「小型二輪」「中型二輪」「大型二輪」という呼び名であった。私はこっちのほうがスッキリする。私が持っているのは「普通二輪免許」だけれども、なにをもって「普通」と呼んでいるのか意味がわからない。

「普通」というのは、あえて類語を挙げるならあ「一般」「平常」「通常」という意味ですよね。現代ではあまり使わないけど「尋常(じんじょう)」ということばもあります。たとえば


ノドカさんの精神状態は尋常ではない


みたいなふうに使います(なんと適切な例文であろうか)。そして「普通」の対義語は「特別」「特殊」あるいは文脈によっては「異常(※ノーマルに対するアブノーマル)」という言葉が該当するでしょう。排気量400ccのオートバイのいったい何が「普通」なんでしょうか?

ましてや現代は「多様性」の名のもとに「普通」という概念が人によってバラバラになりつつあるのだから、安易に用いるべきではない単語だと思う。サイズで区分するなら「大・中・小」でいいじゃん、と思うのです。ゆえに私は400ccまで乗れる免許を「中免(中型二輪免許)」と呼ぶほうがしっくり来ます。

でも今の自動二輪界隈においては「ミドルサイズ」というカタカナ呼称を見る機会が多くて、その内容はエンジンの排気量が650cc前後のものを指しているようです。ならば400ccは小さい部類、ということでしょうかね?よくわかりません。

さて私は旅の相棒として、あるいはパーソナルな移動手段として自動二輪をこよなく愛する者です。しかし自分自身は「旅先などで車体を倒してしまった時に自力で起こせるような、小さくて軽いオートバイ」に乗りたい(自分自身で対処できる範囲の大きさ・重さでないと怖くて乗れない)という個人的モノサシを持っていて、


乗り物としてのオートバイはみんな好きだけど自分が運転するのはちっちゃい車両じゃないと無理です派


という流派に属しており、排気量やサイズに制約なく世界中のありとあらゆる自動二輪を運転できる「大型二輪免許」は自分には要らないような気がして今日に至っております。オートバイ好きを自認する人は選択肢に制約が出ることを嫌い大型二輪免許を取得するのがほとんどですから、そういう意味で普通二輪免許で満たされている私は「オートバイ好き」を自称するには「ひよっ子」というか「名ばかり」というか「こけおどし」に近い存在であり、正しくは


「ちっちゃいオートバイが好きな人」

もしくは

「ちっちゃいオートバイしか乗れない人」


というのが適正な表現でしょう。しかしオートバイの「サイズ」の境い目というのは非常にあいまいであり、250ccよりも車体サイズの大きい125ccバイクであるとか、私が教習車で乗ったCB400SFよりも車体が細くて重量も軽い排気量500ccの大型バイクなんていうのも珍しくはありません。そういう現実も含めて制度的・法的な制約にとらわれず色々な車種にあれこれ乗って楽しみたいと思う「生粋のオートバイ好き」は迷うことなく大型二輪免許を取る、というのは当然な話です。

ハナから乗る気が無いとはいえそ、そもそも大きいオートバイに乗った事が無い私は「自動二輪の楽しみの全てを知り尽くしている」などとホラを吹く資格は無いし、自動二輪の神髄すら理解していないのかもしれません。しょせんは「毛の生えた原付マン」といったところでありましょう。

別にヨイのであります。私個人が実際に乗って一番楽しかったのは2ストローク80ccエンジン車であったから、仮に4ストエンジンであれば単純計算で2倍して排気量160ccもあれば充分かな、などと思うレベルで「ちっちゃいの」が好きなのです。これはもう一生治らない「性癖」みたいなもので、その身に生まれたオノレを受け入れて生きて行けばよいだけの話よ。

さて。ここで話は自動二輪からクルマに移ります。今日の主たるテーマは自動二輪ではなくクルマなのであります。ということはここまでの長い話はすべて前置きです。

私自身は二輪も四輪も大好きではあるものの、今の生活ではとてもじゃないけど四輪を所有して乗り回すなどという贅沢は不可能です。自分で運転するならスズキの軽トラック「スーパーキャリイ」が欲しいな、などという妄想は抱いていますが現実問題としては到底叶わぬ夢のまた夢です。ちなみにウチの周辺だと月極駐車場の相場は6万円です。五反田でも「東五反田」(要するに山手線の内側)だと、もっと高いです。車を置くスペースに月6万を払うなど、私のような下層民にできるはずがありません。

私がふたこと目には「原付!原付!」と騒ぐのは決してネタで言っているのではなくて、真面目な話として割と生活水準の低い人間がパーソナルな乗り物を確保しようと思ったら自転車と同じ駐輪場に停めさせてもらえる原付自転車というのが限界ではなかろうかと思います。過去には私も仕事をして給料を受け取っていたからTDR80やYZF-R15といったオートバイを月極バイク置き場に保管できたわけで、今それと同じことをやろうとしても無理です。

いくら往生際の悪い私とはいえ、現在は正直左腕の具合がイマイチだから仮にスーパーキャリイがあるとしてもキビキビと運転する自信は無いし、そもそも口で言うほど運転が上手なわけでもない。また、オートバイに関しても高速道路を使ってまで遠乗りしたいという野望も体力も無い現実を直視しています。ゆえに


「若くて元気な時にやりたい事を片っ端からやったのだから、もうヨシとするか」


みたいな境地に達しているのであります。最近は街でスーパーキャリイを見かけると「お!いいな!!」とは思うけれども、それ以外の車に関してはほとんど興味を失っており(どうせ自分には乗れないと諦めている)、何を見ても「みんな良い車のってるなあ」ぐらいにしか思わなくなっているのでした。

しかしそんな矢先、友人との会話の中で偶然「個人的には凄く好きだけれども自分が運転する類のものではない(運転する可能性は0パーセント)ゆえに名前すら知らなかった車両」が登場し、予期せぬタイミングで好きな車の姿と名前が一致してしまったのです。私自身にとっては大事件でありました。

ずばり、バスであります。路線バスというか主にコミュニティバスで用いられるちょっと小さいバス型の車両であります。その名は「日野ポンチョ」です。


日野ポンチョ(日野自動車 公式)
https://www.hino.co.jp/poncho/



ポンチョ

日野自動車公式サイトの画像を引用




一般的にポンチョというと私のふるさとアンデスの人々が身につける頭からかぶるタイプの民族衣装(アルパカなどの毛で編んだマントふうの外套)を思い浮かべるのであります。むかしのテレビアニメ『母をたずねて三千里』の主人公マルコが着ていたアレです。

私もギターをメイン楽器としていた時代はポンチョをまとい愛用のギターを黒いハードケースに入れてペルーやボリビアあたりのフォルクローレ歌手をきどっている時期があったので深い思い入れがあります。

日野ポンチョという名前はこのアンデス民族衣装の意味合いも含ませつつ「PONと乗って、CHOこっと行く。」というキャッチコピーを前面に出しているというなかなかに素適な世界観です。

そして今日一番肝心なポイントは、この日野ポンチョが渋谷区のコミュニティバス「ハチ公バス」に使用されていて私の勤務先が渋谷にあった時代にその可愛らしさで私のハートをつかみまくっていたのです。要するに私は「ハチ公バスが可愛くて大好き!!」という思いを胸に抱いて暮らしていたのです。


ハチ公バス(渋谷区 公式)
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/kotsu/hachiko/



ハチ公バス

渋谷区公式サイトの画像をお借りしました




多くの市区町村で小型の車両を用いた「コミュニティバス」が運行されていると思いますが、私自身は「あんな小っちゃいバスもあるんだねー」ぐらいの印象でとりたてて好きとか嫌いとかまで意識が無かったわけですよ、「ハチ公バス」を見るまでは。

勤務先が渋谷になって、いわば「仕方なく渋谷に通勤する」生活になった私は「ハチ公バス」をひと目見ていきなり悶絶しました。車体に描かれているハチ公(←いうまでもなく忠犬ハチ公ですよ)のイラストが超かわいくて完全に魂を抜かれてしまった次第よ。



神宮の杜ルート

画像は「代々木1ばん.com」さまのページを引用ぅ




代々木商店街振興組合 代々木1ばん.com
https://www.yoyogi-ichiban.com/


というわけで私はこの小さいバスを「ハチ公バス」と脳内変換して覚えていて、たとえば杉並区のコミュニティバス「すぎ丸」を見ても「ハチ公バスの杉並区版」というふうな捉え方をして、正式な車両の名前を知ろうという気すら無かったのであります。

しかしこのたび会話中の偶然とはいえ「日野ポンチョ」が正式名称だと知ってしまった今は完全に「ポンチョ派」になってしまったのですよ。私はひとたび大きな感動を受けてしまうと思考回路が極端に振れる癖がありますから、たちまち「世の中を走っている車の中でポンチョが一番好き」という状態に至ったのであります。


ハチ公バスかわいい=日野ポンチョかわいい=もはや他の車はどうでもいい


という拗(こじ)らせっぷりであります。とはいえ幾らなんでも私自身が日野ポンチョを個人で所有するなどという事は絶対にありません。まず運転する免許がないのだし、仮に免許の有無を除外して考えたとしてもバスを個人が所有するというのは通常は考えられない話です。鉄道車両が好きとか航空機が好きとかと同じ次元になって「自分が運転・操縦するかどうかは問わず単に好き・嫌いを述べているだけ」になります。なまじい「スズキのスーパーキャリイが好き」という話だと所有する・しないの問題が出てきて悶々とする訳ですが、好きな車両がバスということになると購入するか否かというのは考えなくて済みます。ただひとすじに「ハチ公バス」を愛していればよいのです。

という訳で私の中から「車が欲しい」という欲望が忽然と消失しました。「ハチ公バス」が好きすぎて、ほかの車に対する興味がすっかり薄れてしまったのです。自分で買ったり乗ったりするのはちっちゃい自動二輪や原付自転車でいいや。私は心の平安を得たのであります。

心の平安という話のツイデに『ハチ公バスのうた』を皆様にご紹介したいと思います。可愛くてマジ最高な名曲ですのでぜひ聴いていただけたら幸いです。心が清らかで渋谷の街とハチ公が大好きでなければこんなに素敵な曲はつくれませんよ。


ハチ公バスのうた(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=Z6jt6tAqfEs







実に素晴らしい楽曲であります。聴くたびに心が晴れるのであります。「ハチ公バスだワン!ワン!ワン!」がタマランです。根が暗くて人として捻じ曲がり過ぎている私にはどう逆立ちしても書けない、本当に素敵な曲であります。

という訳で、今年のゴールデンウィークの遠足プランが決定しました。

プラン1:よこはま動物園ズーラシアにお出かけ
プラン2:ハチ公バスに乗りに行く

以上です。言うまでもなく一番の願いはズーラシアに行ってオオアリクイのオレオくん、アモちゃん、サエちゃんに会いに行くことです。あわせて予備的にプラン2を準備しておけば、仮に大雨でズーラシア遠足が中止になったとしても「ハチ公バスに乗る」という計画なら実現できますから「どこにも行かず何もしないまま連休を棒に振った」という最悪の事態は回避できます。うまくすれば両方のプランを実現して最高のゴールデンウィークになるかもしれません。我ながらグッドアイデアすぎてシビレる。

結論。一番好きな車?日野ポンチョに決まってるじゃないですか(断言)。










#31
2024年(令和6年)4月24日(水)
「ジョン・ダウランド」


昨日は個人的に大切な日である4月23日すなわち「セント・ジョージの日」だったこともあり、私は毎年この季節になるとなんとなく気持ちがイングランド方面に向くのであります。皆様ご存知のように私の魂のふるさとはエスパーニャ(スペイン)でありますから、どうしてもまず最初に1588年に我らがスペイン帝国の艦隊 "Grande y Felicísima Armada" (いわゆる「スペイン無敵艦隊」ですな)がフランシス・ドレイク率いるイングランド艦隊にボコられた苦い記憶がよみがえってしまうのであります。

また、ついこの間の1982年の話でありますが、我らアルゼンチンの領土であるマルビナス諸島(当時は何もなくてペンギンが住んでるだけの場所)に上陸したらブリテンが「おい!ウチの領土に勝手に入ってくるんじゃねえよ」とイチャモンをつけてきて、ついうっかり戦になってしまい(さすがの私も、まさか連中が大西洋をはるばる渡って本気で攻めて来るとは思わなかった)これまた一方的にボコられて結局マルビナスを丸ごと取られちゃった(※奴らはフォークランド諸島と呼んでいる)という苦い記憶がよみがえってしまうのであります。

しかしその一方で「二輪車の理論」というのは19世紀の英国において既に確立されており私自身もBSA製の1930年代の自転車を宝物として乗っていたのであります。戦前のバーミンガム産の鉄といえば世界最高品質。ダテに産業革命をやった国ではないのであります。

ゆえに私はブリテンに対しては「好き」と「嫌い」が混ぜこぜになったきわめて複雑な感情を抱いており、憎たらしいけど気になってしょうがないアイツ、というような思いでビミョーな距離感を保っております。余談ですがかの国の正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(略称United Kingdom:UK)」ですが、個人的な好みでブリテンと呼ばせていただきます。ラテン語の「ブリタニア」に由来する名称として敬意を抱いて呼んでいるのであり、差別的な意図や偏見などは一切含んでおりませんのでご了承ください。

で、今日はナンの話かというとひと言でいえばクラシック音楽の話であります。どうしても文脈的にイングランドが登場するので上記のような前置きをせずにはいられなかったのであります。

私がクラシック音楽に接近したのはハタチになるかならないか、という年頃でありました。恥ずかしながらそれ以前、高校生の頃なんかは全く興味関心がありませんでした。そりゃあもう、ロックに夢中でありました。

スペイン語を勉強していたつながりでパブロ・カザルスが演奏するチェロを聴いたのがきっかけです。忘れもしない、楽曲はシューマンの「トロイメライ」とフォーレの「夢のあとに」の二曲であります。魂をわしづかみにするほどの衝撃でありました。野人の私が生まれて初めてクラシック音楽の扉を開いたのであります。チェロの音色(音域)ってものすごく心地よくて素敵よね。

そこから乾いたスポンジが水を吸うようにいろいろなクラシックの作品にふれていったのですが、正直クラシックの楽曲は「過去の名作」が多すぎて追いきれません。今でも知らない曲ばっかりです。

で、結論を先に言っちゃいますけど私はイングランドの作曲家でありリュート奏者のジョン・ダウランドが大好きなのであります。またしても宿敵イングランド人にヤラれてしまったのであります。いつも私はイングランド人に負けるのです。

イタリアの画家メロッツォ・ダ・フォルリの『リュートを弾く天使』という素敵な作品がありますね。リュートというのは一体どんな音色がするのだろう?と想像をふくらませていたわけですよ。そしてダウランドに出逢ったのです。何が好きなのか、どこが良いのか、というのは言葉にして答えることができない。魂が共鳴する、としか言いようがない。



リュートによる『常にダウランド 常に悲しく(J.ダウランド)』おやすみリュート
https://www.youtube.com/watch?v=n56DX6tg4Ek







John Dowland - Can She Excuse My Wrongs|Vivid Consort & David Bergmuller
https://www.youtube.com/watch?v=LB9USv8VYvA







John Dowland | Now, O Now | Lute Song by Les Canards Chantants
https://www.youtube.com/watch?v=5l6jF8v_Wus







ダウランドは作品が多いので動画のリンクを貼り出したらキリがないのでそろそろヤメにしておきます。ああ、これが絵画で見てどんな音色なのだろうかと想像を膨らませたリュートの響きなのか、としみじみと感動しつつ、ダウランドの作品がたたえる憂いと悲しみに私は深い喜びを見出すのであります。

ダウランドはイングランドで宮廷リュート奏者になりたいとの願いを抱いていたけれどその夢は叶わず、失意のうちに大陸に渡って転々とし、やがてデンマーク王のもとでリュート奏者の地位を得た、などという割と可哀想系な来歴を聞くと


なるほどねえ
そりゃあ、作品もこうなるよねえ


と納得したりする訳ですが、私の勝手な想像ではダウランドは「作品は暗いけど実際に会ってみると人物的にはけっこう陽気なタイプ」だったんじゃなかろうか、と思ったりするのです。なんとなく私自身と重ね合わせてしまうというか、ダウランドは私と似たようなタイプの人間だったんじゃないか、と妙な親近感を一方的に抱いているのですよ。

という訳で、ここ数日なんとなくブリテンに思いをはせている私が、作曲家でリュート奏者のダウランドをたまらなく好き!という「秘めたる思い」を赤裸々に告白して今日はおしまい。やっぱり、ブリテンには何か私をとらえて離さない不思議な魅力があるんだよなあ。










#32
2024年(令和6年)4月28日(日)
「ゴールデンウィーク遠足計画、意表をつく」


いよいよ連休開幕であります。既に書きました通り、私は「天候が良いときに実施する1号作戦:よこはま動物園ズーラシア訪問」および「雨天でも決行可能な2号作戦:渋谷区のコミュニティバス『ハチ公バス』に乗って車窓の風景を楽しむ」という、ふたつの遠足プランを用意してこの休暇を待ちわびておりました。

先日、これらの極秘プランをハマっ子の友人にひっそりと打ち明けたところ


「連休中のズーラシアは凄く混雑するから、動物をじっくり見たいならヤメておいたほうが良いよ」


と簡潔かつ的確な助言を頂戴したのであった。実際、ズーラシア公式サイトのトップページでも「GW御来援予定のみなさまへ」という見出しで大変な混雑が見込まれることを大々的に告知したうえで「できるだけ公共交通機関をご利用ください」と呼びかけています。聞くところによれば例年ゴールデンウィーク中はマイカー勢が殺到するため周辺の道路はすさまじい渋滞が発生し、収拾がつかないレベルの絶望的状況に陥るとのことです。



公式の告知


公式サイトには「大変混雑」のオンパレード




まあ、そりゃそうですよね。どんなに駐車スペースがあろうとも皆がイッキに殺到したらパンク状態になります。そして当然、園内も大混雑になります。当たり前の話です。

このタイミングしか休みが取れないという人ならまだしも、その気になればいつでも行かれる身であるのなら何も大混雑が確定している動物園にあえて突入する必要はない。たしかに「おっしゃるとおり」でありまして、家族がいないばかりか毎日が基本的にフリー状態の私は「連休中のズーラシア遠足」というプランにこだわる理由があるはずもなく、サクッと取りやめを決めたのであった。

そして、その発想で行くなら「ハチ公バス」もわざわざ人出の多い連休中に乗りに行く必要は皆無であります。人がごったがえしている混雑の中に行って楽しいことなど無いのであります。うむ、これはもう実行する日はすいている日を選んだ方が遥かに良いな、ということで最終的には当初思い描いていた「連休中の遠足プラン」を取りやめ(延期)にしたわけであります。

目的地としてはキープするけど、行くタイミングをずらす、ということです。

ふだん仕事に追われて忙しい毎日を送っていて「家族そろってお出かけできるのは連休しかない」という世の中のお父様方には同情を禁じ得ません。身も心もヘトヘトになって休みの日ぐらいは家でノンビリしたいなあ、と思っても子供から「ズーラシアにつれてって」と言われたら断れるはずなどあるまい。ルンルン気分の妻子をのせて朝から車を運転せねばならぬ。なんと過酷な生活であろうか。動物園で遊び疲れた妻子は帰りの車では眠ってしまうであろう。そんな中「ああ今日も疲れたなあ」とヨレヨレな本音を包み隠して、家に帰り着くまで渋滞しまくる道をひとり黙々と運転するしかないのだ。『男はつらいよ』っていう映画シリーズのタイトルじゃないけど、私は世の男性の日々のたいへんな苦労を想像してしまうというか思いを馳せては


みんなをゆっくりさせてあげたいよなァ


と、しみじみと思わずにいられないのであった。「男はつらいよ」って言われたときに「何言ってんの?女だってつらいよ!」とケンカ腰で語気を強めて条件反射のように叫んでしまう女は「ひとの話を聞こうとしない」「まずは自分の主張を先に出す」「相手の身になって考えるという想像力が足りない」と私は思うのよね。みんなそれぞれ事情があって人知れずつらい思いをしているのは当たり前であって、その前提に立ったうえで


「男はつらいよ」


っていうフレーズを「いつくしみと愛、そしてまごころ」で受け止めるぐらいの「器(うつわ)」というか「度量」というか、自分自身の内側にやわらかいクッション素材をもっていたいなと思う次第であります。私は必殺技としての「毒」はもってるけど、ふだんの心のありようとしてはギスギスしていたくはない。

ズーラシアの話に戻りますが、皆様は公式サイトで園内の動物を紹介しているページはご覧になったことがおありでしょうか?ズーラシアの動物写真はなかなかに良いですぞ。ぜひご覧いただきたい。

まあ、どこの動物園も園内で展示している動物の紹介ページは当たり前のように存在します。決して珍しい物ではありません。ズーラシアの何が素晴らしいかと言えば、動物の正面顔を撮影した写真を掲載しているのであります。まさに「卒業アルバム」みたいになっているのです。



園内動物紹介

正面顔の写真が掲載されている







紹介は続く


どう見ても卒業写真じゃないですか




こんな感じでズラーッと動物の写真が並んでいるのがズーラシアの公式ページであります。世界中に動物園はあるけれども、動物を紹介するために写真を掲載する場合は全身像が見えるものを使うのが一般的、というかそれが王道というか逆にそうしないと情報としては不十分のそしりを免れないはずです。

しかしズーラシアだけは正面顔のアップ写真という前代未聞の手法を用いているのです。こう言ってはナンですがオオアリクイの正面顔というのは私のようなオオアリクイ好き(言い換えればマニア)でなければ興奮するわけがなくて、世の中的にみるとニーズは限りなくゼロに近いのです。しかし、それをあえてやっているのがズーラシアの唯一無二、世界においても比類のない超絶技法なのであります。

そしてやっぱりどうみてもこれは「卒業写真の世界観」であって、私の頭の中にはユーミンのあの楽曲が流れてしまい動物たちに対する懐かしい思いやオオアリクイに対してあふれる恋心が清純にあふれまくってしまうという胸キュン案件なのであった。

ということで、気になった方はぜひズーラシアの公式サイトを訪ねていただきたいと思います。


よこはま動物園ズーラシア(公式)※動物紹介のページをごらんください
https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/


この「卒業アルバム方式」で動物紹介ページを作成したスタッフの方はかなりのやり手というか達人というか偉人です。発想が凄いですし、それにGOサインを出した上層部の判断も好感が持てます。動物好きとしてはもう殿堂入りさせたいレベルの見事な業です。私は気持ちとしては表彰したいぐらいなんですけど私には何の権威も無いので、せめて多くの方にこのズーラシア公式の素晴らしさを伝えて今日は終わりたいと思います。

連休が明けてから、あらためて平日に時間をつくってズーラシア遠足は実現したいと思います。梅雨に入る前の良い季節を存分に味わっておきたいですね。

かくして私は連休は完全に予定なっしんぐのヒマ人と化した次第であります。たぶん、部屋中のぬいぐるみを押したり引いたりして遊んで終わるのだと思います。何かやれよ!と言われそうですが去年買ってそのままになってるガンダムのプラモデルをつくるのも面倒だし(←目が疲れるから細かい作業をしたくない)、急ぎの用事も無いし、とりたててすることはナンもないっすわ、マジで。











#33
2024年(令和6年)5月2日(木)
「ひざ&すね用のプロテクター」


今日はコミネのプロテクターの話。

オートバイ用品の企画、製造、販売を手掛ける会社はたくさんありますが、手頃な価格で良質なウェアやプロテクターをユーザーに提供しつづけてきたコミネは安心の日本ブランドの代表といえましょう。予算が同じなら海外ブランド品よりも3ランク上の製品が買えるほどに「庶民ライダーの強い味方」です。コミネ製品の愛好家は自らを「コミネマン」と名乗るほどに熱烈応援しているぐらいですよ。


株式会社コミネ(公式)
https://www.komine.ac/


今は大陸からコミネの偽物が日本国内に入ってきている(ネット通販などで値段が極端に安い物を買うと痛い目にあう)ほどにステイタスもあがっており、名実ともに実力派の名門ブランドです。

かく言う私もプロテクターやウェア関係、その他小物にいたるまでコミネ製品は多く愛用しております。強いてコミネ製品にケチをつけるなら、ウェア類は同じサイズ表記でも型番によってサイズ感がバラバラなのと、次に私のようなノッポ系デカ女向けのサイズ展開が存在しないという2点です。しかしサイズ表記にまどわされずに試着して自分の体型に合うものを買えば失敗することはありません。これまでコミネ製品を買って後悔したことはマジで一度も無いですぞ。

ここから今日の話題、下半身のうち「ひざ」と「すね」を守る「ニーシンプロテクター」のお話です。

私はオートバイの排気量や走行距離に関係なく「プロテクターを着ける派」でありまして、万一の事態に備えて自分の防御力だけはしっかり固めたうえで運転するのが習慣になっています。公道では何が起きるかわかりませんし、万一事故にあった場合に過失割合はどうであるにせよ怪我をして困るのは自分自身です。学生時代はTシャツ&短パンにビーチサンダルで原付スクーターに乗る、なんてことを平然とやっていましたが今は絶対にそんなことはしません。

自動二輪免許を取るために教習所に行くと「胸部および脊椎プロテクター」と「ニーシンプロテクター」を装着させられます(教習所で貸し出しをしている)。教習を受ける際の義務です。当然のことながら受講生が次から次へと順繰りに使い倒しますので、すね&ふくらはぎに巻き付けるゴムベルトがびろんびろんに伸びきっていたりするのが常です。仕方がないのでベルトを脚にグルグル巻きまくって適当にねじって固定する(教習中に外れなければソレで良いのだ)という感じになります。この、教習所御用達なのがコミネのプロテクターなのです。



コミネのニーシンプロテクター

コミネ公式サイトより画像をお借りしました




製品名は「SK-462 ハードニープロテクター」というものです。定価は税込3,850円、ネット通販などの実売価格は3,000円ちょっとぐらいでしょうか。人間の身体はどこを怪我しても大変なわけですが、万一の事故の際にこのプロテクターでひざとすねが多少なりとも保護されるなら安いものです。ということで免許を取ってすぐに私も同じものを購入しました。

そして10年以上の長きにわたり愛用してきたプロテクターが、さながら教習所の備品状態というかんじでヨレヨレのビロビロになってしまいました。脚に巻き付けて固定するゴムベルトが伸びきっちゃってマトモに固定できない。



私の愛用品

ベルトがびろーん




いくら脚が太かろうがさすがにここまでゴムが伸びきってしまうとどうやってもユルユルになっちゃうのです。強引にグルグル巻きにしてなんとなく装着しても走行しているうちにズリ落ちてきたりする。

私はつねづね「貧乏はいいけど貧乏くさいのはイヤだ」と言っている訳ですが、さすがにこの状態は貧乏くさい。絶望的なレベルで貧乏くさい。誰にも知られぬよう一人でひっそりと走っている時ならともかく、こんなボロいプロテクターを装着している姿を知り合いに見られるのはちょっと勘弁願いたい感じであります。せいぜい3,000円なんだからとっとと買い換えなさいよ!と思いますよね。

なおネット上のインプレ記事などで情報を集めてみるとコミネのニーシンプロテクターとしては上位モデルの「SK-819 CEレベル2トリプルニーガード」という製品のほうが使い勝手ならびに保護性能の面で断然良いそうです。定価は税込6,380円とお高くなりますが「ニーシンプロテクターを買うならケチらずにこちらにしろ」という声が圧倒的多数ですので、私も次に誰かと会うまでにはこちらに買い換えたいなと思う次第です。



上位モデル

SK-819 CEレベル2トリプルニーガード







装着した状態

画像はコミネ公式より引用




特徴としては腓骨(ひこつ)すなわち脛骨(けいこつ)の外側ちょい後方にある細い骨の部分にもプロテクター部分が及んでいる点でしょうか。ちなみにCEレベル2というのはプロテクターの保護性能の高さを表しています。CEというのは欧州で流通・販売するオートバイ用品に義務付けられた規格で、いわば「安全性の証」であります。厳しい基準をクリアした製品だけがCEマーク表示のうえで販売が認可されます。逆にCE評価が付いていない粗悪プロテクターなどを製造して売ったりすると罰せられるのであります。CEにはレベルがあってCEレベル1よりも厳しい基準を満たしたもの(すなわち防御性が高い)がCEレベル2製品ということです。

以上をふまえてプロテクターを買い直すとなれば今まで使っていたヨレヨレ君は「お役御免」になる訳ですが、まだプロテクターの本体部分が使えるのに捨ててしまうのは惜しい気がする。ダメになっているベルト部分だけ交換すれば延命できるのではなかろうか?と思って、私は100円ショップにとんでいった。



ベルト購入

使えそうなベルトを適当に買ってきた




さて、常識的に考えたら「この後、いかにしてプロテクターを修理し復活させたか」というのが重要な話になるのだろうと思います。普通の人間であれば修理の構想、実際の作業の行程、そして結果的に仕上がったものの検証を簡潔にまとめた動画をYouTubeにアップするなり、画像入りで詳細に綴ってウェブサイトに掲載するなり、なんらかの形で公開するだろうと思います。しかしここはモモンガ通信でありまして、


最終的にはダイソーで買った「べんりベルト2倍伸縮」という製品を強引にくっつけてプロテクターを再利用できる状態にしました。以上


という展開で話を締めくくって終わるのであった。修理の内容とか仕上がりとかを晒す気はさらさら無いのであります。だって、考えてみてくださいよ。


1. プロテクターのベルトが使い物にならなくなった
2. まだ捨てるのは惜しい
3. 100円ショップのゴムベルトに付け替えて目的を達成した


という話だけなら「随分と貧乏な話だなあ」で済むわけですよ。しかし、その内容を詳(つまび)らかにして仕上げた再生プロテクターの「幼稚園児の工作レベル」な画像をネットに晒すなんていう行為に至るとしたらホームラン級の恥さらしであり、一瞬にして「貧乏くさい話」に成り下がってしまうのであります。しつこく繰り返しますが私は「貧乏はいいけど貧乏くさいのは絶対にイヤ」ですから、断じてそのような姿を見せるわけにはいきません。

最終的にできあがった再生プロテクターは見た目のダサさ以外は実用上なんの問題もありませんから、一人でこっそりと原付を運転するときに使おうと思います。人目につかないところで隠れて装着する背徳感(←なのか?)を堪能しながらあと数年は使い倒そうと思います。万一事故を起こして救急搬送されたらこの恥ずべき行為、激しくダサい貧乏プロテクターを装着していた真実があまねく世間に知れ渡ってしまう、と思えばただならぬ緊張と恐怖に包まれるわけで


これまで以上に安全運転


を心がけることができるのではなかろうか。それは結果的には世の為、人の為、社会の為にプラスに作用するわけだからヨシとしようではないか。

さーて。それでは、他人に見られても恥ずかしくない新しいプロテクターを買ってきましょうかね。










#34






















モモ通2024年第1期 ← 工房 エゾモモンガ 最初のページ → モモ通2024年第3期