モモンガ通信2024年(第2期) ヴェノーヴァとかフルートとかオートバイとか・・・のどかさんの日常ヨタ話


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#26
2024年(令和6年)4月4日(木)
「お花見2024」


こちら東京、3月さいごの土日は気温がドンと上がって本当に暑かったです。気温の上昇につられる感じでソメイヨシノの開花が報じられました。うむ、今年は桜の開花がちょっと遅かったですな。

我らが品川区内には他の都市と同じぐらいのレベルで「桜の名所」とされるスポットがいくつかありますが、五反田マンにとっては花見といえば「目黒川沿いの桜並木」ということになります。しばしばテレビなどでも映る有名ドコロなので名前は聞いたことがある人も多いと思います。まあ、その名の通りメインは「目黒区」(目黒雅叙園あたりから中目黒付近)なのは言うまでもないのですが、下流にある品川区もそのネームバリューのおこぼれを貰う感じで五反田から大崎、そして河口(天王洲付近)まで花見スポットが点在しています。

私がうろつく近所のお花見エリアといえば


・目黒区の碑文谷(ひもんや)八幡宮所まで続く立会川(たちあいがわ)の桜並木
・目黒不動尊の近くにある「かむろ坂」の桜並木
・上述の、目黒川沿い


の三か所がメインであり、どれも名が示す通り「事実上、目黒区の持ち物」という感じでマジで品川区って何も無いよね感が胸にこみあげるのであった。

まずは立会川の桜並木&かむろ坂の桜並木を堪能。こちらはタイミング的にちょうど「咲き始め」ならではの風景がひろがっており、大いに満足したのであります。満開の時期は数日後という感じでありましょう。

ということで日をあらためて目黒川にレッツGo。西五反田の「亀の甲橋」から川沿いをさかのぼって中目黒の「東京共済病院」のあたりまで行き、反対の岸にわたって五反田にもどるのが私のお決まりコースです。



亀の甲橋より

スタート地点、亀の甲橋




あれ?まだあんまり咲いてない感じですな。「立会川」「かむろ坂」がもっと華やかな風景だったので一瞬面食らった感じのザンネン感がよぎります。歩き始めたものの、まだ「膨らんだつぼみ状態」の木が多い。どうやら今回はいささか来るのが早すぎたようです。といってもねえ、4月3日の水曜日&4日の木曜日は天気予報では雨マークだったのだ。しょうがない。

タイミングがよければ文字通り川の両岸が見事に「花咲か爺さん状態」になりますから、今日はちょっとフライングが過ぎたと思ってテキトーに眺める方針に切り替える。



しだれ桜

咲いてる木だけ見ればヨイのだ




今回は荷物を減らそうと思って本気カメラを持ってこなかった。だからスマホのカメラ機能で適当に撮影するのみ。私自身のヤル気の無さが全開であります。「動物園に行く」となったら意地でも望遠レンズを持ってゆくけれど、それ以外の時は「面倒くさい」とか平気で言ってしまう。左肩が痛くてリュックを背負いたくないので、できるだけ軽装備にしたいのよね。水筒と団子とスマホだけ持ってゆけば充分ではないか?

服装も微妙に難しい感じです。上着を着れば暑いし脱げば寒い、みたいな。歩いている時は暑いけど立ち止まって休憩すると寒い。この季節は本当に何を着たらいいか悩みますな。

いつもなら中目黒の駅近くまで歩くのですが、何しろ今年はタイミングが早すぎました。咲いてる木が少ないので花見というよりは「ただの川沿い散歩」状態です。たくさんの人が来ていましたがおそらくみんな同じ気持ちだったに違いない。天気予報で晴れマークが出ている4月6日の土曜日辺りがちょうど見ごろになって良さそうです。そうこうしているうちに股関節も痛くなってきたので早々に撤収体制に入りました。



川岸の桜

これだけ見られれば充分だな




それにつけても股関節が痛くなる「限界」が、自分のイメージより早いタイミングで訪れるのが深刻な事態な気がする。その昔、腰の症状が悪化して左脚が動かせなくなり「杖っ子どうぶつ」になっていた頃に主治医から「20年後には車いすだよ」という結構キツい宣告を受けたのだった。ふざけるな負けてたまるかと思って水中ウォーキングなどのリハビリに必死に励み、サクサク動けるほどではないものの自動二輪免許が取れるぐらいには復活したのである。そう簡単に車いすになってたまるかバーカ!と思っていたけれども、ここ数年で股関節の状態がみるみる悪化して今日に至っております。ほんの5年ぐらい前には「冬は無理してオートバイに乗っても危険だから、新たにウィンタースポーツとしてスノーシューでもはじめようかな」とか思っていたのであります。現状からいうと、とてもじゃないけどスノーシューなんて出来ない。

まさか今の年齢で「ロコモティブシンドローム」(運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態)で日常生活に支障が出てくる事態は想定していませんでしたから、人知れず抱えている危機感はただならぬものがあります。今年のゴールデンウィークは横浜の「ズーラシア」に遠足に行く計画を立てているところですが、ヘタをすると股関節痛の限界で「園内で遭難」という恥をさらず可能性も否定できない。スノーシューをあきらめたのはもちろん、今はもう登山とか不可能だし去年の秋には電動アシスト自転車のペダルもふめなかったのであるから、ちょっと真剣に対策をとらないとマズいのかなと思ったりする。

身体の何処かが痛いときって湿布を貼るじゃないですか。でも股関節って湿布の貼りようがないのですよ。わかります?がんばって太ももの付け根あたりに前から貼ったとしても、寝てる間に100パーセントはがれちゃうのですよ。というか、寝返りをうつ瞬間にはがれます。だから湿布でスースー作戦ができない。いつも


仰向けでも痛い
横向きでも痛い

どうすりゃいいんだぁ(泣)


みたいな状況で布団の中で「人として変なカタチ」になってたりする訳ですよ。首から左肩にかけての部位も痛いから、この身体にとって楽な姿勢というのがマジでわからない。毎晩、寝床で私の左腕の下敷きにされているシベリアンハスキーのぬいぐるみはペッタンコになっていて本当に可哀想になるレベルですよ。ごめんよ、君を下に敷かないと肩が痛くて眠れないんだヨ。

今更登山をしたいという欲望は無いけれど、歩行困難になるのはちょっと勘弁してほしいよね。自力で外出できなくなったら人生は暗い。ということで本年度も


た の し い 通 院 生 活


な日々を送ることになりそうであります。「生き続ける」というのも、なかなかに過酷な果てしない道のりであります。










#27
2024年(令和6年)4月8日(月)
「右投げ転向で復活を誓う」


いよいよ始まりましたプロ野球ペナントレース。今シーズンは我らが横浜DeNAベイスターズが開幕3カード連続勝ち越しという、夢のような現実をまのあたりにして実に気分爽快であります。接戦をモノにする、最後は競り勝つという「あれ?もしかしてウチのチームって強い?」みたいな不慣れな状況に戸惑うレベルです。私は「ハマの番長」こと三浦大輔監督が現役時代から大ファンでありますから、この状況で興奮するなと言われても無理です。

そして当然の流れとして「私もこうしてはいられないよNE」という感情が湧きおこってくるのです。ベイスターズの快進撃は弱っている私のメンタルを奮起させるのに充分なインパクトがあるのです。


「こうなったら私も右投げに転向するしかない」


と、思っている次第であります。野球漫画の読み過ぎではないか?と言われそうだけど実際に思うのだから仕方がない。左手で投げられないなら右投げにスイッチすればよいのだ。というか、それ以外に道は無いと思います。

私は箸を持つのも文字を書くのも普通に右利きであります。しかし小学生の時に転落して右肩を粉砕するという割と派手な怪我をして、いちおう治ったけど骨が正しい位置で固定してなくて要するに右肩の動きに若干の支障が残ったのであった。なので私は自然とボールを左手で投げる生活様式が習慣化したのでした。

その後も怪我が多くて右手については小指の骨折して外に曲がってしまったり、人差し指の腱を断裂させたり数々の間抜けな故障をやらかしまくっていました。肩は上がらないし指はヨレヨレだし、右腕はマジで役立たず状態と化しました。他方、左に関しては手首を二回骨折した以外は割と無傷であり、言わば私のメインアームとして大車輪の活躍をしてきたのであった。私がふだん「蛇口をひねる」「ドアの取っ手を握る」「鍵をさす」「スイッチを押す・レバーを操作する」「ものをつまむ・拾う」といった些細な動作を左手で行う癖があるのは、おのずと身に付いた習慣なのだと思います。

余談ですが下半身(腰から下)の怪我については挙げたらキリがないレベルなので触れません。今は皆様ご存知のように腰と股関節が悪くてロコモティブシンドロームで頭を抱えているありさまですから、そこは色々と察していただきたいところです。

まあそんな具合で「右利きだけどメインで使うのは左手」という訳のわからないスタイルで生きてきた私ですが、2022年11月に交通事故に遭って結果的に後遺症が残り左腕が役立たずになってしまったのが現在の姿です。蛇口もドアノブもひねれないし落ちたネジすら拾えません。ふだん無意識にやっていた当たり前の動作が思うようにできない、というのはけっこうイライラするものです。ギターの弦も押さえられないしフルートもヴェノーヴァもロクに構えられないのでハーモニカを買って遊んでるネタは3月31日のモモ通で書きました。精神的にはけっこうヤケクソ状態に近いものがあります。

実際問題として今の自分に車の運転は無理ではなかろうか?と思うのであります。マニュアル車のシフトチェンジそのものは決して力が要る操作ではありませんが、現在のように腕全体が重だるくて手のひらが年がら年中シビレているような状態で迅速かつスムーズにできるとは思えません。ちなみにモーターボートの操縦では左手でスロットルレバーの操作を行いますが、こちらは割と力が要ります。しっかり握ってそこそこの力を込めつつ繊細にコントロールしなければならず、今の私には絶望的です。なので小型船舶操縦士免許の次回の更新は断念しました。現在の免許が失効する時点で私は船を降りる覚悟です。車の免許よりも先に取得した船舶免許は私の数少ない「誇り」であって、大海原を我がものとして自由に航海する船乗りである自覚は私の人生の指針であり哲学そのものであります。しかし身体能力的に無理だというのなら諦めるしかない。「艦長」の肩書を失うのは身を切られるように辛いのですが仕方がない。私もそろそろ青春の後始末をする年齢になったと思って覚悟を決めましょう。ですので今後は「元艦長」と呼んでください(←未練がましい奴だな)。



ボート

私の航海は間もなく終わる




こうなってくると心配なのはオートバイの運転でありまして、私にとっては死活問題というか生きる意味、生きる価値が問われるレベルの重要度です。船を降りて陸に上がるのは百歩譲ってガマンするとして、それでいて楽器もできない自動二輪も乗れない、となったら文字通り生きる希望はありません。何が楽しくて生きてるんだって話よ。

結論から言いますと「左手でクラッチを引くのは長時間じゃなければイケる」という感じでした。クラッチレバーの引きの重さは車種にもよりますし整備状態にも左右されますから一概には言えませんが、握力を競う訳ではないので教習所で習った通りに四本指で引けば何とか大丈夫でした。ただ街中で道がそこそこに混んできて半クラッチを強いられながら発進・停止を繰り返すのはかなりシンドいなと感じました。前にいる車両に突っ込んだらシャレになりませんから、左腕・左手に疲れをためないように早め&こまめに休憩を取るしかない。

むしろスクーターの左手ブレーキ操作のほうが地獄レベルでキツかったです。左手を休ませる時間がほぼ無いので長時間の運転は無理だと思いました。スクーターの話はまたいずれじっくりしたいと思いますが、私の身体の状態としてはリアブレーキは右足で踏んで操作する方が確実で安心だと思いました。あれ?だったらスーパーカブで良いんじゃないか?

しばらく前のモモ通でホンダが自動二輪については異様なまでの執念を燃やしてクラッチレバー操作不要の機構を開発しているというネタを書きまして、あのこだわりは一体ナンなんだという疑問を投げかけたのです。しかし自分自身の左腕が事実上役立たずになった今の私としては(あれからそれほど日数は経っていないにもかかわらず)一周まわって「ホンダえらい!最高!!マジ愛してる」と思い始めている今日この頃であります。先月のモーターサイクルショー2024でお披露目した「Eクラッチ」は夢の機構じゃないですか。左手のレバー操作無しで変速できるなんて素晴らしすぎます。超うらやまC。

人間は不老不死ではないのだから、こうやって年齢を重ねて行けば若い頃には想像もつかなかったような衰えを自覚する日が来るわけですよ。私とて、自転車でアチコチをかけめぐりザックを背負って山中に分け入る日々を送っていた頃は脚力だけは絶対の自信があったわけで、よもや数十年後に現在のように歩行に困難をきたすようなロコモティブシンドロームを抱える日が来るとは思いもよらなかった。ざっくり言えば身体の関節というのは「消耗品」ですから、酷使すればパーツの寿命が縮まるというそれだけの話ですけど、自分自身がその境遇になって初めて他の人の病気や障害の苦労を知る、という面は否定できません。私は自分で経験した事しか理解できないタイプの阿呆ですので、最近になってようやく他の人の苦しみや辛さを想像するようになった。自分ももっと高齢になれば出来ない事が増えるであろう。そういう想像力がようやく身について、世界中のお爺ちゃん&お婆ちゃんの苦労を察して気の毒な気分になってしまうのであります。

これは言い方を換えると私は身体の自由が利くうちに、ありとあらゆる方面でやりたい事をやってきたのは恵まれていたと痛感するのであった。今となっては大きいオートバイに乗って高速道路をひた走り長距離を移動するとか絶対にやりたくないもん。無理だもん。早朝に品川区を出発しひたすら高速道路を走り、安曇野インターチェンジで下りて「大王わさび農場」「碌山美術館」をまわって「青木湖」に寄ってから白馬で宿泊、なんていうのを当たり前にやっていたのが夢か幻のようです。もうそんな気力も体力もない。穂高や白馬に帰りたいと思うけれども自力では無理だと思う。天国に行く前にあと一度でいいから白馬村から白馬三山(鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)を眺めたいと思うけど不可能であろう。あの日あの時に見ておいて、その美しい光景を脳裏にクッキリと焼き付けておいて本当にヨカッタと思うのであります。このような現実を鑑みれば、あれもやりたい、これもやりたいと心の底で願いながら


老後の楽しみにとっておく


という人生計画がいかに馬鹿げているかを痛感するのです。やりたい事があるなら今、ただちに始める!というのが最優先なのは明白です。後回しにしてはダメなのです。これからの人生で今が一番若い、と気づけばおのずと「動くべき時は今しかない」のであります。我々に残された時間は意外と短い、というのを日々感じるのであります。



もふっとオオカミ

身体の自由が利かなくなったら家でぬいぐるみを抱いて過ごすしか出来なくなる




長々と綴ってきましたがここでようやく最初の話に戻るのです。右投げに転向すると言っても私の右肩は上がらないので、投げ方にも制約が出ると思います。雑にくくるとフォームとしてはサイドスローもしくはアンダースローの二者択一になると思いますが、下半身が柔らかくないとアンダースローなんて不可能です。自分の肩の可動域を活かし、できる範囲内でのサイドスローを習得したいと思います。

私の中では右投げ・サイドスローのピッチャーといえば、たとえば西武ライオンズの塩崎哲也投手、ヤクルトスワローズの高津臣吾投手が浮かびます(←なんか情報が古いな)。高津臣吾さんといえば今は監督ですよ!いつの話だよ!!みたいな。しかしサイドスローの投手で一番印象に残っているのは何と言ってもジャイアンツの斎藤雅樹投手です。私は根っからのホエールズファン&ベイスターズファンであり「資金力にモノをいわせて他球団の良い選手をひっこぬいてチーム強化をはかる『札束野球』をする巨人」というのは憎き存在でありましたから、正直ジャイアンツの選手はどうでもいいのです。それでも斎藤雅樹投手は応援していました。ハンサムだしピッチングは素晴らしいし。藤田監督時代のジャイアンツのエースといえば斎藤雅樹、という印象です。打たれ始めるとどんどん表情が曇って、みるみる弱っていく感じも親近感がありました。

「右投げに転向」というのは極論を言っただけで実際には野球をすることはないでしょう。でも、とりあえず右手の能力向上を目指したいというのが今回のモモ通の趣旨であります。そもそもキャッチボールをする相手もいないしウチの近所ではボールを投げられる場所もないですから、まずは庭でひとりシャドウ・ピッチングをはじめようかと思っております。バッティングセンターというのはあるけどピッチングセンターという施設はないですよね。

水島新司先生の野球漫画『ドカベン』で、エースの里中智くん(←わりと怪我が多い)が投球ができない時期にリハビリのために年がら年中ゴムまりを握ってニギニギしていたエピソードがあるのです。あのひそみに倣って、私も

・ゴムまりをニギニギして左腕のリハビリ
・軟式野球用ボールをつかった右投げのシャドウ・ピッチング

という二つのメニューをやろうと思い立ったのであります。現状、激しい運動はできませんし柔軟体操もヘタにやると翌日腰が立たなくなることがあるので、慢性的運動不足なのは否めません。でもシャドウ・ピッチングなら無理せずはじめられるメニューではないか?とひらめいたのであります。速球や変化球を投げる必要はありません。「軽いキャッチボールで球を放るイメージで身体全体を柔らかく動かせるようになる」のが主たる目的だと思えばそれほど阿呆なアイデアでもないし、続ける努力も無駄にならないと思います。無理しない投球フォームを通じて身体全体の筋力アップをしようという作戦です。痛い痛いと言って何もしないで過ごすよりはマシでしょう。

私はあまり漫画を読む習慣が無かったのでアニメ化した作品ぐらいしか知りませんが、昔の『巨人の星』の星飛雄馬は大リーグボール3号で左腕を破壊して引退、のちに『新・巨人の星』で右投げに転向しています。アニメ『メジャー』でも主人公の茂野吾郎は小学生のリトルリーグ時点で右肩を故障、中学から左投げに転向していますな。こういう展開を漫画・アニメの世界だけにしておくのはもったいない。自分もやってみようではないか、と思うのであります。

というわけで取り急ぎ軟式野球のボールと、天然ゴム製のゴムまりを入手したいと思っているんですけど何処に行けば揃いますかね?品川区の武蔵小山商店街にスポーツ用品店があるので近いうちに見に行こうと思います。たしかトレッサ横浜の中にも大きいスポーツ用品店があった気がするので、下調べをしてみよう。

ノドカまさかの右投げ転向宣言、今後の展開にご期待ください。










#28
2024年(令和6年)4月12日(金)
「空力特性とエアロパーツ」


自動車競技の最高峰、フォーミュラ1(日本では「F1グランプリ」の名で広く馴染みがある)にて用いられる車両は、私たちが日常生活で使う乗用車や貨物車とは次元の違う「異形」をしているのは、多くの方がご存知であろう。地を這うような低い車体に太くて大きな車輪、何よりも目に飛び込んでくるのが車体前後のウイングであります。高速走行した時にこのウイングが空力特性を発揮してタイヤを路面に押し付ける力を発生させて旋回速度を高めているそうです。

本質的に、エアロパーツは特定の条件下において性能を発揮するものです。

と同時に「たとえ個人所有の普通の乗用車であろうとも、装着するとあたかも競技用車両のような雰囲気になるので純粋に見た目がかっこよい」という面もあります。言い方は賛否両論かもしれませんが「ドレスアップ効果」と言い換えても良い。装着することで愛車の見た目のカッコ良さが増す、という側面は重要です。

「このパーツが実際に空力的な効果を最大限に発揮するのは時速130km〜140kmで走行した時」とわかっていても、公道でそんな速度は出さないと百も承知の上で日産サニーのセダンに純正オプションのリヤウイングを装着した訳ですよ。ただのファミリーセダンじゃなくて排気量1600ccのツインカムエンジンを搭載したスポーティグレードだということをアピールするのが主たる目的であった訳です。

パジェロミニを購入したときもルーフにウイング(ハイマウントストップランプ付)を装着したのは『パリ・ダカールラリー』に出場したパジェロをイメージしたのであって、正直なところ空力特性はオマケ程度(たぶん効果を体感することはない)と自分でも思っておりました。

どうにも昔話ばかりになってしまい申し訳ないのですが、三菱自動車からランサーエボリューションが登場した時に私は大歓喜しており、公道で見かけると「わぉ!」となって目が釘付けになったものです。しかし、世の中からみたらそういう人は圧倒的少数派でありまして


「あんなデカいリアウイングつけても意味ないでしょ(嘲笑)」


みたいな事を言う人がいっぱいいたのであります。



ランエボ

ランサーエボリューションIII




エアロパーツのたぐいを「意味がない」「ただの飾り」と決めつけ、嘲笑の的にするだけでは飽き足らず「そもそもエアロを付けようという感性がダサい」などと人格否定までする人がいたりするけれども、ダサいかどうかはその人の好みの問題であってエアロパーツ装着する意味は間違いなく有る訳で、断じて「ただの飾り」ではない。

ということで私は、GTウイングやエアロパーツの専門メーカー、ボルテックスさんのウェブサイトを見ておりました。


GTウィングやエアロパーツなど空力特性にこだわったクオリティの高いカーボン製品などをリリースする専門メーカーのボルテックス
VOLTEX RACING SUZUKA JAPAN
https://www.voltex.ne.jp/


製品カタログページより画像抜粋
https://www.voltex.ne.jp/catalog



エアロパーツ



ボルテックスさんの上記カタログページより画像を引用しております。かっけえ。




エアロパーツ装着車をダサいと思うか否か、という話は単純に「好みの問題」として片付けるとして、空力特性への配慮に意味が有るか無いかという点については私のメインの趣味であるオートバイを例にして考えてみたいと思います。

私自身がオートバイに乗るようになって驚いたのは、走行時の風圧(空気抵抗)のすさまじさであります。

免許を取ろうと教習所に通っていた頃は課題をこなすのに必死で、体感として風圧を意識した記憶はありません。しかし免許を取得し実際に公道で走行するようになってから、スピードを上げれば上げるほど全身に受ける空気抵抗が極端に増してゆく現象を痛烈に思い知ったのであった。

時速15km:空気抵抗は感じない・ほぼ無風
時速30km:あぁ、この爽快感!その昔原付スクーターに乗っていた頃を思い出すなァ(しみじみ)
時速60km:け、けっこうな空気抵抗じゃないか(おもいのほか風圧がキツいな)
時速90km:ギョエェエ!!(後ろに飛ばされそうだぁ)

みたいな体感ですよ。

私は自転車競技をやっていたので、当時の最先端モデルの「流線型で、かぶると後頭部がエイリアンみたいに後ろに長いヘルメット」なんていうのをかぶったものであります。自転車の世界でも空力特性というは話題になるテーマでありました。しかし自転車の場合は平地のみならず下り坂であろうとも文字通りシャカリキになってペダルを漕ぐのに必死で風圧の違いなど意識する余裕がないのであります。ましてや上り坂になればハンドルバーを強く握りサドルから尻を持ち上げ、車体を左右に揺らしつつアゴから汗をボタボタと垂らしながら全身もがきまくって脚が「売り切れる」までいわゆる「立ち漕ぎ」状態で必死ですから、空力特性など知った事ではありません。

だから私はオートバイで走って最初に感動したのは「上り坂でも身体が空気抵抗を感じる」という点でありました。自転車しか乗らなかったら一生知ることのなかった真実ですよ。

排気量が400ccなどという大きなエンジンを積もうとも、見た目が「すっぽんぽん」のオートバイだと時速80km巡航ぐらいが楽で、それ以上のスピードを出そうとすると風圧がすさまじくて体力的にものすごくシンドくなります。私は教習所に通っていた時からオフロード用のヘルメットをかぶっていましたが、高速道路で車線変更するのに安全確認のため後方をチラ見しようとわずかに首を動かしただけで凄まじい風圧がブワッとおしよせて本当に首がモゲるんじゃないかというぐらいの力を受けてビビった次第であります。



オフロードバイク

こういうタイプの車種は風圧が全身に正面からモロにかかります




その後私はヤマハYZF-R15というオートバイを買って高速道路も使いまくってあちこちに出かけたのですが、それまで乗っていた「バッタみたいな見た目の、すっぽんぽん系」ではなく風防のついたスポーティなオートバイに乗り換えたことでまたしても新たな感動を味わいました。同じ時速100kmで走っても、正面から身体に当たる風が圧倒的に少ないのであります。



R15

空力特性を考慮した外装のついたタイプ




このオートバイにオフロード用ヘルメットは似合わないので、あわせてヘルメットも卵型のオンロード用フルフェイスタイプに買い換えたのですが、これも効果絶大。顔面といいますか頭部全体が正面から受ける風をスムーズに後方に流していく、というのがわかるのです。車線変更で首を後ろにふっても「いきなり風圧がかかって首がモゲそうになる」という事はありません。

それだけではありません。高速道路を走っている最中に突然ポツポツと雨が降り出す、みたいな最悪の状況で半泣き状態になりながら次のサービスエリアまで「忍の一字」で走るようなケースで、下半身がほとんど濡れないのであります。ヒザの前あたりまで風防がある効果がてきめんで、上から下まで絶望的にビショ濡れ、というふうにならないのであった。

YZF-R15は私の身体にちょうどいい塩梅に合っていたようで、乗車姿勢に無理が無くて何時間でも乗っていられるほどでありました。また非常に軽快で意のままに動く感じで、左右コーナーが連続する山坂道を走らせるのがとても楽しいのです。舗装路で運転を楽しむにはこのようなオンロードスポーツ系のオートバイがやっぱり向いているんだなあ、と強く実感したのであります。もともとアウトドア志向で悪路を走れるオフロードバイクにしか興味が無かった私にはすごく新鮮な感動でした。

ちょっと話がそれたので空力特性の話題に戻しましょう。

このように、オートバイに乗る人なら誰でも「風圧」「空気抵抗」というものはいつも全身で感じ取っているから、空力特性がいかに重要な要素であるかを野生の感覚的に涙が出るほど知っているのです。

であるから、ビジネスバイクの代表車種スーパーカブのレッグシールドをダサいとは思わないし、スクーターに透明の風防を付ける人の気持ちも察するし、快適に走行するために正面からの風をうまく流す部品を取り付けたり、スピードメーターの上に配置された透明のバイザーを大きいものに交換したり、みんな自分の使用目的にあわせて改造するのは当たり前の事だと認識しているのであります。

ゆえに「エアロパーツなんて意味無い」「ただの飾り」などというふうには思わないし、口に出すこともない。

もちろん前提条件として「エアロパーツも無暗やたらに付ければいいってモンじゃない」ということは承知しています。エアロパーツは特定の条件下で最大の効果を発揮する、ということを知識としてでは無く体感で知っているからこそ「付けたっていいじゃん!」「付けたいなら付けるといいよ!」ぐらいに思っている、それだけの話です。

さすがに私ももう「無益な論争などするのも面倒くさい」という齢にさしかかっていますので、エアロパーツを「無駄」と一蹴する人がいてもテキトーにスルーするだけです。「GTウイングなんて付けても重心が高くなるし車両の重量が増して燃費が悪化するだけ」みたいなことを言ってる人がいても


「はい、そうっすねー(棒読み)」


と軽く流しておしまい。別に「小仏トンネルの渋滞」を前提にしてGTウイング付けてるわけじゃないんだから正直どうでもいいじゃんね。

空気抵抗との闘い、という意味ではジェット戦闘機が誕生してから「音速の壁(sonic barrier)」を破るまでの各国の開発競争に目を向けると、正直に言って感動のストーリーしかない。航空機は音速(いわゆるマッハ1ですな)のあたりで様々な要素で飛行困難になるわけですが、先人たちは知恵をしぼって難題に取り組んだのであります。個人的には「シンプルで効果絶大」なMiG-21のショックコーンが好きであります。一時期、ソビエトのカメラを収集していましたが「シャッターは切れないけどフィルムはチぎれる」「レンズ交換式にもかかわらず一度装着したレンズが二度と外れない」みたいなどれもこれもポンコツだらけで「やっぱり共産主義国の工業製品なんて大したことは無いな」と思ったりしましたが、第二次世界大戦後に最も成功した(高性能でたくさん製造され長きにわたって世界中で活躍した)戦闘機といったらMiG-21ということで異論はあるまい。1万機以上生産されて正式な製造数がわからない(数えきれない)というのはちょっと考えられない。傑作機の誉れ高い合衆国のF-4ファントムIIでさえ生産数は5,195機にすぎない。

なんか話が訳のわからない方角に脱線してしまいましたが、結論としては「空力特性を学びたいならまずは自動二輪に乗って体感するのが初めの一歩」というのが私の持論であり、「良いじゃないですか、NISSAN GT-R!」と叫びたいのであります。



GT-R

画像は下記公式サイトより引用




NISSAN GT-R(日産公式)
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/gt-r.html


いいよねえGT-R。これぞ日本の誇り、唯一にしておそらく最後のスーパーカーですよ。今日はそれが言いたかっただけです。はい。










#29






















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