フルート奏者への道

〜ヴェノーヴァ奏者にフルートは吹けるのか?憧れのフルート挑戦記〜

2020年5月7日




エゾモモンガのモンちゃん、フルートを吹く




#01
2020年5月7日(木)

ことのはじまり&TooTで横笛に挑戦


ウェブサイトのトップページで公言しておりますように、わたしはフラメンコ歌手であり、ヴェノーヴァ奏者であります。ことにヤマハのVenovaに関しましては、その楽器としての素晴らしさ、楽しさ、奥深さにたいへん魅了されており、普及活動にいそしむ日々なのであります。ひとりでも多くのヴェノーヴァ奏者が増えるようにと願いつつ、この新しい楽器を自分のメイン楽器に据えて活動している次第です。

話はとびますが、わたしが幼少時より憧れていた楽器は3つあります。それはギター、ヴァイオリン、そしてフルートの3種類であります。ギターは中島みゆきや吉田拓郎のようなフォークの弾き語りスタイルを自分もやってみたいと強く思ったのです。ヴァイオリンとフルートについては、その演奏するときのエレガントなスタイルに「カッコ的な意味で」あこがれたのでありました。

中学生になった時にギター教室にかよいはじめ、あっけなく挫折し水中深く潜航したのち、数十年後に大人のヤマハ音楽教室のアコースティックギターレッスンに行って「ギターの弾き語り」に関しては子供の頃のあこがれを実現することができました。これは本当に素晴らしいことでした。中学時代のグループレッスンではワケがわからずオロオロするばかりでしたが、ヤマハの先生が丁寧に指導してくれたことで「挫折からよみがえった」のであります。ただの野蛮人だったわたしが、ギターを手にすることでミュージシャンとして活動を開始したのであります。

わたしは20代の半ばに自転車で派手な落車事故にあい、頸椎から腰、股関節にかけて大けがを負いました。その後遺症で何年も苦しんでいるのですが、特に頸椎のダメージは半端ではなく、手のしびれ、のどの閉塞感、舌のふるえなどが残ったため母親から「その身体ではヴァイオリンもフルートも無理であろう」と言われたのでありました。

懸命のリハビリで日常生活が送れるところまで復旧した現在はヴェノーヴァ奏者として縦横無尽にうごきまわる日々なのであります。今更ヴァイオリンには憧れはまったくない。わたしは管楽器が好きなのだ。管楽器が性に合っているのだ。であるなら、やはり、フルートに挑戦したいではないか。



今こそフルートに挑戦してみるのはどうであろうか



というようなことを「思いついちゃった」のです。いま、こうやってヴェノーヴァを吹きながら音楽を心の底から楽しむ生活を送っているわけです。かつておおいに憧れ、そしてあきらめた楽器に「チャレンジしてみる」いい機会、というか最後のチャンスではないのか。

わたしの座右の銘は

・「困ったときはまず飯を食え」
・「これからの人生で今日が一番、若い」

という2つであります。ここで大事なのは2つ目のほうです。これからの人生で今日が一番、若い。何事も挑戦するなら「今こそがその時」なのであります。この若さを無駄にしてはいけない。ということでフルートに挑戦したい気持ちがどんどん高まってゆきました。しかし、いきなりフルートというのは困難であります。そこで、わたしは子供向けのプラスチック楽器であるnuvo社のTooT(トゥート)に注目しました。


nuvo TooT
https://kcmusic.jp/nuvo/toot.html



nuvo TooT

プラスチックボディにシリコンパーツのおもちゃフルート、TooTです(写真は上記公式サイトより引用)







nuvo TooT

リッププレートがリコーダータイプとフルートタイプの交換式で初心者でも簡単に音が出せるという(写真は上記公式サイトより引用)




まさに子供向け知育玩具といった趣であろうか。これで音が出せなかったら見込みはない。フルートなんて無理であろう。逆に、これで音が出せたならフルートにステップアップしてもよいのではないか。さっそく購入してみた。Amazonで4千円ぐらい。チャチに見えるが値段がけっこう高いので一瞬ひるみつつも、憧れのフルートに向けての第一歩ということで思い切ってポチった。余談ですがなんか黒×ピンクとかって海中の生き物みたいでなんか気味が悪いので、色は白×青にした。

まずはリコーダーのように息を吹き込むだけで音が出る方のリッププレートを装着した状態で、実験であります。運指がヴェノーヴァとは違うので付属の運指表をみながら少しずつ覚える。あくまでもオモチャ的な楽器なのでチューニングなどはできないし、マトモに音が出るのはドからはじまる1オクターブぐらいで(上にはもうちょっと伸びる)決して本気の演奏に使ってはいけない的な感じであります。いちおう半音も(その気になれば)出せるようだが、仮にこれでいろいろ運指を覚えても応用がきかない。あまり深入りせず、あくまでもフルートのアンブシュア(演奏時の口のカタチ)を習得するための道具として使おうと思う。

簡単な方のリッププレートを使えば幼稚園児でも横笛が吹けるというナイス発明品であります。さっそくハインリッヒ・ヴェルナー(ウェルナー)の「野ばら」を吹いてみた。わたしの好きな曲であります。こういう単純な音使いで美しいメロディーが書けるというのは本当にすごいと思う。TooTは実にいい感じだ。横笛を吹いている、というのがとても嬉しく思われる。これはいい。数日間はその状態で遊んだ。まさに幼稚園児状態。

しかし、いつまでもそうしてはいられない。笛の吹き口がついた簡単な方のリッププレートを使っている限り、幼稚園児のままであります。フルートと同じタイプのリッププレートを使えるようにならなければ意味がない。サクッと移行して、フルートで音を出す練習をし、とっととTooTなど卒業したいではないか。わたしはリッププレートの交換を行いました。



nuvo TooT

これで音が出せればフルートにステップアップできるはずだ!




さて。ここから本当の試練が始まりました。いちおうTooT付属の説明書にもフルートのアンブシュア(演奏時の口の位置や形)について解説が出ているのだがいまいちわからん。理屈としてはサイダー瓶の口に息を吹きかけてボーボー言わせるあの「鳴らし方」なのだが、唇に当てる位置や息を吹く感じがなかなかつかめず、音が出せる位置を必死に探す感じであります。

フルート演奏家がいきなり構えて、百発百中で美麗な音を出す

というのは、すさまじい神業に思われる。ヴェノーヴァは口に咥えるという動作が入るので「ちょうどいい場所を意識してくわえればよい」わけですが、フルートは下唇に当てるだけで、噛んだり咥えたりはしない。ということで「正しい位置と角度で口にあてる」のがハンパ無く難しい。「猛特訓」がはじまったのであります。これは遠回りになるな、と思ったので初心者向けの教本もあわてて購入。



nuvo TooT

初心者向けの教則本も入手したぞ!もう後にはひけないエゾモモンガ!!




ということで目下、フルートのアンブシュアの練習に励んでおります。本当ならきちんと先生のところに習いに行くのが筋なのですが、経済的にこれ以上音楽関係のレッスンにお金をかけるのはチト厳しいのでな。わたしは独学でフルート奏者になれるのでしょうか(つづく)。










#02
2020年5月23日(土)

そろそろ、きちんとしたフルートに転向したい

nuvoのTooTに思いのほかハマり、なんとかフルート型のリッププレートでも音が出せるようになってきたエゾモモンガ。ここまできたなら、いつまでもこんなおもちゃで遊んでいないで、きちんとしたフルートに転向したほうがよいように思われます。

しかしフルートは高価な楽器であります。1万円程度で買えるプラスチック楽器、ソプラノヴェノーヴァとは訳が違う。新品なんて、ヤマハ海外工場製の廉価モデルでも10万円ぐらいする。楽器屋さんに並んでるフルートを見ると普通に30万とか60万とかするのである。そう、フルートに限らず管楽器はおしなべてブルジョワジーの持ち物なのだ。とてもじゃないけど貧乏底辺ミュージシャンのエゾモモンガには手が届かない世界であります。

そこでわたしは、TooTと同じ、nuvo社のスチューデントフルートという製品に注目しました。TooTと同じようにプラスチックボディを採用した軽量な楽器であります。


Student Flute:スチューデントフルート
https://kcmusic.jp/nuvo/student_flute_2.html



nuvo Student Flute

プラスチック製のフルートです




Amazonで2万円ぐらいで買えます。アルトヴェノーヴァと変わらない。これでいいではないか!!何しろわたしの本業はヴェノーヴァなのでありますから、きまぐれで始めたフルートに必要以上にお金をかけず、自分が楽しめればそれでいいじゃん。メンテナンスの楽なプラスチックなら、なおさら大歓迎だよ。わたしはスチューデントフルートをAmazonのカートに入れました。あとはポチっとするだけであります。

しかし、ポチれない。何か中途半端なものを買うような気がしてしまうのだ。

ヴェノーヴァは、もともとヴェノーヴァという楽器だからあれでいい。しかしこれ(スチューデントフルート)は、いわばフェイク・フルートであります。フルートもどき。フルートのようなもの。本物のフルートではない。そこが、何かひっかかる。

私の買い物のポリシーは「迷ったら最上位モデルか、最下位モデルを買え」ということになっています。さすがに楽器の最上位モデルは無理ですから、最下位モデルを買うのが筋でありましょう。スチューデントフルートは「最下位モデルのフルート」ですらない。どちらかといえばTooTの延長線上にある。

やっぱり、ちゃんとしたフルートが欲しい。

最下位モデルというのは、Amazonなどで2万円程度で売られているMade in Chinaの安物のことではない。まともな楽器の世界でいえば、ヤマハの廉価モデルのことであります。もちろん他のメーカーであってもよいけれど、楽器については、とにかくヤマハが一番なんである。

楽器のヤマハは、これは褒め言葉として受け止めていただきたいのだが、「どうでもいいものを作らせたら世界一」という素晴らしいメーカーなのだ。たとえばフラメンコギター。安いフラメンコギターを作らせたらヤマハの右に出るものはいない。スペイン製のギターなどは日本に来ると湿気でヤラれて音が変わってしまうことがあるが、ヤマハのフラメンコギターは最初から日本の気候にあってるから最初から「それなりに鳴る」のである。劇的にいい音はしないが、ヘボくもない。そういう意味で安心して使えるのがヤマハの安いフラメンコギターだ。予算10万円ではスペインのギターは買えない。フラメンコギターの買い物はとりあえず20万円、できれば60万円用意しろと言われる世界でありますから、私のようなビンボ人はヤマハのギターで充分なのであります。

とあるサックス奏者が言っていたことですが、サックスを買うにあたっては

・安物を買うぐらいならレンタルで済ませなさい
・予算が限られている人はヤマハの中古を買いなさい
・予算が潤沢にある人は、上手な人にお店につきそってもらってじっくり音色を比較して買いなさい

とのことであった。これは真理だと思うのです。2番目が大事。そう、「予算が限られている人はヤマハの中古を買いなさい」というのは格言のようなものだと思う。

ヤマハの楽器は日本全国どこにいても安心して修理に出せる、というのが素晴らしいのだ。中古品なら新品の半値ぐらいで買える。わたしはヤマハの中古フルートを買うべきだろう。

ということで、後悔しないようにとヤマハの中古を狙うことにしました。きちんとメンテナンスされてお店の保証がついた中古品が、ヤマハの古い廉価モデルなら4〜5万でなんとかなる。5万ならなんとかなる。

これまで中古ギターや中古ウクレレに関してはネットオークションなどもつかってきましたが、フルートに関しては楽器屋さんで買うことにしました。東京に実店舗のある所で、きちんと調整済みで、お店の保証付きの、程度のそこそこな中古品を買おう。気に入ったものが見つかるまで、気長に構えてじっくり探そう。

そうと決まれば戦は長期を覚悟しなければなりません。とりあえず「TooT以上フルート未満」ということでヤマハのファイフ(横笛)を買いました。


ヤマハ ファイフ
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/recorders/abs_resin_fife/index.html



Yamaha Fife

ヤマハのプラスチック製の横笛、ファイフ







運指表

ファイフの運指表




現状はとりあえずファイフで遊びつつ、つなぎ的にnuvoのスチューデントフルートを買ってしまうのもアリかもしれません。いずれ本物のフルートを買っても、サブの楽器として活用できそうに思います。










#03
2020年7月2日(木)

フルート購入!!


楽器購入の格言、すなわち「予算が限られている人はヤマハの中古を買え」というありがたい先人たちのアドバイスにしたがい、ネットで楽器屋さんの中古フルート販売サイトをチェックする日々が続きました。中古なら、むろんグレードと商品の状態(程度)によりピンキリということにはなりますが、ちゃんとしたものが新品の半額ぐらいで買えるのです。古い廉価モデルなら税込4万円ぐらい。その気になればわたしでも歯が立ちそうな金額です。

そんなさなか、東京都内のある楽器屋さんで、ヤマハのYFL-211PS IV(IVはローマ数字の4)という中古フルートに巡り会いました。

真鍮製のヘッドキャップ(先端部分)に、千歳緑色(ちとせみどりいろ)の京都オパールが装飾されているというゴージャスな限定モデルであります。10月生まれで10月2日が霊名の祝日、誕生石はオパールな上にオパールが大好きでしょうがないというわたしにとってはまさに「コレダ!これしかない」という逸品であります。どうしてもこのフルートが欲しくなってしまいました。



フルートの先端にオパールがついているフルート

先端部分にオパールが埋め込まれたフルート(写真は京都オパールの供給元、京セラの下記サイトより引用)




京都オパール採用事例 ヤマハのフルート https://www.kyocera.co.jp/social/products/20131022-1/


クラウンに京都オパール埋め込み、リップ(唄口)銀製、その他洋白、洋銀製、銀メッキ仕上、Eメカニズム付の限定モデル。

しかし高い。中古とはいえ値段がすさまじい。どうするよ。

当初考えていた「予算?そうねMAXで4万円ぐらいかな」というのでは全然歯が立たないのであります。オパールが付いている分だけ価格が跳ね上がっているのであります。高いよ!!だがわたしの誕生石であるオパールがついているからこそ欲しい。まさに「のどかアンジェリカ・スペシャル」の名にふさわしいフルートではないか。

都内の楽器屋さんが扱っている中古品ということで「分解クリーニング、バランス調整、オイルUP、1年保証付」を謳っています。曰く、

・使用頻度が低く小さなスリキズが少しある程度の綺麗な良いコンディションです。
・タンポは新品同様できっちり調整済みですので長くお使いいただけます。
・吹きやすく鳴らしやすく、Eメカニズム付で高音Eも出しやすいので吹奏楽や音楽教室にお奨めできます。唄口銀製の限定モデルで通常モデルよりも音のまとまりとツヤがあります。頭部管クラウンに施された京都オパールが美しいフルートです。ケースカバーもこのモデル限定で高級感のある品の良い作りです。
・手入れ用品は新品のクロス、クリーニングガーゼをお付けしています。

ということで素人のわたしが手を出しても大丈夫そうな感じの中古品です。オークションでゴミをつかまされる失敗(の可能性)をおもえば、多少値が張ろうとも良い買い物であろう。

買おうと思っていた自転車を、ひとまず延期して、ことしはフルートにしよう。

わたしは覚悟を決めました。エゾモモンガらしく飛膜をひろげて清水の舞台ならぬサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の屋根から華麗にダイブしたのであります。

翌日、店から発送完了の電話&メール連絡があり、さらに1日たってフルートが手元にやってきました。ありがとう佐川急便さん。

おっかなびっくり開けてみる。何しろこっちはフルートなんて触ったこともないエゾモモンガなのであります。「フルート 初歩の初歩 入門」なんていう手引書をあわてて買ったほどの、初心者以前の存在でありますから、緊張することこの上ない。

ケースをあけると3分割で収納された銀色のフルートが現れました。おお!カッチョエエ。なんという高級感。なんというエレガンス。



ヤマハのフルート

美しいフルート(構え方すらワカラナイ!)







オパールの輝き

オパールが輝いているYO!




「やっぱフルートは美人以外は吹いたらダメだよなぁ」

などと軽く自爆しつつ、まじまじと眺める。たとえて言うなら宝石やアクセサリーを買ったときの感動に似ている。ものすごく綺麗なのだ。見ているだけでも惚れ惚れするような、銀色に輝く楽器であります。わたしがこんな高級そうなものを手にしてしまっていいのであろうか。

フルート奏者の方にとっては当たり前なのでしょうけど、楽器そのものはハードケースに入っており、そのハードケースを入れるポーチというかソフトケースがあって、いわば二重で保管・携行するのであります。ギターと違って本当に「貴金属」って感じだ。ちょっと感動してしまった。

なおショップの付属品としてメンテナンス用のクロスなどがついてきました。もう、あとは吹いてみよといわんばかり。

しみじみとフルートを見ながら「思い切って買って良かった」と感動したのであります。オパールの輝きは見事というほかはなく、神秘的な銀河に吸い込まれそうな感じです。10月生まれで本当に良かったと思うのであります。誕生石がこんなに素晴らしい、自分好みの石だなんて主に感謝せずにいられないわ。劇的に予算オーバーしてしまった荒ぶる買い物でしたが、後悔は微塵もありません。

ということでエゾモモンガさんはまごうことなきフルート所有者(←奏者とは言ってない)になったのです。お見事!!次回はいよいよ音を出してみるよ。










#04










(2020年5月7日 最終アップデート)





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